(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067710
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】肩紐脱落防止具
(51)【国際特許分類】
A41F 15/02 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A41F15/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177984
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】522434886
【氏名又は名称】松原 未紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】松原 未紀子
(57)【要約】
【課題】肩紐を備えた被服をお直しすることなく、被服着用者の肩から肩紐が脱落するのを防止することが可能な肩紐脱落防止具の提供。
【解決手段】肩紐脱落防止具1は、磁石21を含む内側部材2と、磁力によって磁石21と引き合う磁石31を含む外側部材3とを備える。内側部材2は、ブラジャーやキャミソール等のアンダーウェアの一部を構成するショルダーストラップの外面において任意位置に設けられる。外側部材3は、エプロンやサロペット等の被服の一部を構成する肩紐の外面に載置される。外側部材3は、磁石21と磁石31との引き合う力によって、肩紐を挟んで任意位置に設けられた内側部材2に固着する。その結果、肩紐は、任意位置において内側部材2と外側部材3とによって挟持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被服の一部を構成する肩紐の内側において任意位置に設けられる内側部材と、
前記肩紐の外側に配置される外側部材と、
を備え、
前記内側部材と前記外側部材とは、磁力によって引き合うように構成され、
前記外側部材は、前記磁力の引き合う力によって、前記肩紐を挟んで前記任意位置に設けられた前記内側部材に固着し、
前記肩紐は、前記任意位置において前記内側部材と前記外側部材とによって挟持されることを特徴とする肩紐脱落防止具。
【請求項2】
前記内部部材は、アンダーウェアのショルダーストラップの外面において任意位置に設けられ、
前記内側部材には、前記ショルダーストラップに取り付けて前記任意位置に固定するための固定部材が設けられ、
前記内側部材は、前記固定部材を介して前記ショルダーストラップに着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の肩紐脱落防止具。
【請求項3】
前記外側部材は、前記肩紐の外面に載置される部材であり、
前記外側部材は、前記肩紐に面接触する接触面と、前記接触面とは反対側の非接触面とを含み、
前記非接触面には、着用者が指先で前記外部部材を操作するための摘みが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の肩紐脱落防止具。
【請求項4】
前記内側部材及び前記外側部材のうち、一方には磁石が設けられ、他方には前記磁石に引き寄せられる磁性体または他の磁石が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の肩紐脱落防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩紐脱落防止具に関し、より詳細には、被服の肩紐が被服着用者の肩から脱落するのを防止する肩紐脱落防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エプロン等の被服の肩紐が被服着用者の肩からずれ落ちないようにするための技術が提案されている。例えば、特許文献1では、エプロン本体(1)の前部の2本の前肩紐(2)と後のヨーク衿(3)とを連結一体とした紐に2本の後部の後肩紐(4)とが縫い付けられている。また、エプロン本体(1)の中央部左右先端に2本の結び紐(5)が縫い合わされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載に技術は、エプロン自体に改良を加えることで、肩紐がエプロン着用者の肩からずれ落ちないようにするものである。そのため、既に所有しているエプロンや販売中のエプロン等に関しては、お直し(リフォーム)しない限り、肩紐の脱落を防止することは困難である。
【0005】
また、サロペットやオーバーオールといった肩紐を備えた洋服に関してもエプロンと同様の課題が存在するが、同じくお直しすることなく、当該課題を解決することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、肩紐を備えた被服をお直しすることなく、被服着用者の肩から肩紐が脱落するのを防止することが可能な肩紐脱落防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、被服の一部を構成する肩紐の内側において任意位置に設けられる内側部材と、前記肩紐の外側に配置される外側部材と、を備え、前記内側部材と前記外側部材とは、磁力によって引き合うように構成され、前記外側部材は、前記磁力の引き合う力によって、前記肩紐を挟んで前記任意位置に設けられた前記内側部材に固着し、前記肩紐は、前記任意位置において前記内側部材と前記外側部材とによって挟持されることを特徴とする肩紐脱落防止具を提供している。
【0008】
ここで、前記内部部材は、アンダーウェアのショルダーストラップの外面において任意位置に設けられ、前記内側部材には、前記ショルダーストラップに取り付けて前記任意位置に固定するための固定部材が設けられ、前記内側部材は、前記固定部材を介して前記ショルダーストラップに着脱可能に構成されているのが好ましい。
【0009】
また、前記外側部材は、前記肩紐の外面に載置される部材であり、前記外側部材は、前記肩紐に面接触する接触面と、前記接触面とは反対側の非接触面とを含み、前記非接触面には、着用者が指先で前記外部部材を操作するための摘みが設けられているのが好ましい。
【0010】
さらに、前記内側部材及び前記外側部材のうち、一方には磁石が設けられ、他方には前記磁石に引き寄せられる磁性体または他の磁石が設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、磁力の引き合う力によって、外側部材が肩紐を挟んで任意位置で内側部材に固着し、肩紐が任意位置で内側部材と外側部材とによって挟持される。そのため、肩紐を備えた被服をお直しすることなく、被服着用者の肩から肩紐が脱落するのを防止することが可能である。
【0012】
なお、本発明の肩紐脱落防止具のように、肩紐を備えた被服をお直しすることなく、肩紐が被服着用者の肩から脱落するのを防止するための具体的構成は、上述した特許文献1には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る肩紐脱落防止具の一例を示す側面図。
【
図2】肩紐脱落防止具の一部を構成する内側部材を示す平面図(A)及び底面図(B)。
【
図3】肩紐脱落防止具の一部を構成する外側部材を示す平面図(A)及び底面図(B)。
【
図4】内側部材がアンダーウェアのショルダーストラップに装着された様子を示す概略図。
【
図5】外側部材がエプロンの肩紐外面に装着された様子を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による肩紐脱落防止具について、
図1から
図5を参照しながら説明する。以下では、肩紐脱落防止具の一例として、
図1に示す肩紐脱落防止具1を例示する。
【0015】
図1に示すように、肩紐脱落防止具1は、アンダーウェア(ブラジャーやキャミソール等)のショルダーストラップST(
図4参照)の外面に設けられる内側部材2と、被服の肩紐の外面に載置される外側部材3とを備えて構成される。
【0016】
内側部材2は、下面2Lと上面2Uとを含む平面視矩形状の薄板部材として構成されている。下面2Lは、
図4に示すショルダーストラップSTの外面に装着される側の面である。上面2Uは、下面2Lの反対側の面である。
【0017】
図1及び
図2(A)の破線で示されるように、内側部材2は、円盤状の磁石21を内部に備えている。
【0018】
図2(B)に示すように、内側部材2の下面2Lには、アンダーウェアのショルダーストラップSTに対して内側部材2を取り付けて固定するための固定用クリップ23が設けられている。なお、固定用クリップ23は、本発明に係る固定部材の一例である。
【0019】
図4に示すように、内側部材2は、上述した固定用クリップ23を介してアンダーウェアのショルダーストラップに固定される。つまり、内側部材2は、固定クリップ23を介してショルダーストラップSTに着脱可能に構成されている。
【0020】
内側部材2は、アンダーウェアのショルダーストラップの外面において任意位置(着用者によって決定される位置)に固定される。
図4の例では、内側部材2が肩の頂点付近に固定されている。
【0021】
再び
図1を参照する。外側部材3は、下面3Lと上面3Uとを含む平面視矩形状の薄板部材として構成されている。下面3Lは、被服の肩紐の外面に面接触する側の面であり、本発明に係る接触面の一例である。上面3Uは、下面3Lとは反対側の面であり、本発明に係る非接触面の一例である。
【0022】
図1及び
図3(B)の破線で示されるように、外側部材3は、円盤状の磁石31を内部に備えている。
【0023】
図2(A)に示すように、外側部材3の上面3Uには、着用者が指先で外部部材3を操作するための摘みボタン33が設けられている。摘みボタン33は、外側部材3のデザイン的なアクセントとしても機能する。なお、ボタン33は、本発明に係る摘みの一例である。
【0024】
図5に示すように、外側部材3は、エプロンの肩紐ASの外面に載置される。より詳細には、エプロンの肩紐ASの外面のうち内側部材2に対応する位置(内側部材2が取り付けられている位置)に外側部材3が配置される。
【0025】
外側部材3が内側部材2に対応する位置に配置されると、外側部材3の磁石31と内側部材2の磁石21とが磁力によって引き合う。これに伴い、外側部材3は、エプロンの肩紐AS及びTシャツTSを挟んで内側部材2に固着する。その結果、エプロンの肩紐ASは、内側部材2と外側部材3とで挟持される。
【0026】
上述した実施形態によれば、内側部材2の磁石21と外側部材3の磁石31とが引き合う力によって、外側部材3がエプロンの肩紐AS及びその下のTシャツTSを挟んで内側部材2に固着する。その結果、肩紐ASは、内側部材2と外側部材3とによって挟持される。そのため、肩紐ASを備えた被服(エプロンやサロペット等)をお直しすることなく、被服着用者の肩から肩紐が脱落するのを防止することが可能である。
【0027】
また、上述した実施形態によれば、固定クリップ23を介してショルダーストラップSTに内側部材2が着脱可能に構成されている。そのため、ショルダーストラップSTに内側部材2を事前に据え付けする必要がなく、既存のアンダーウェアをお直しすることなく用いることが可能である。
【0028】
また、上述した実施形態によれば、外側部材3の上面3Uに摘みボタン33が設けられている。そのため、摘みボタン33が存在しないものに比べて、外側部材3を着用者が操作しやすい。
【0029】
<2.変形例>
本発明による肩紐脱落防止具は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、アンダーウェアのショルダーストラップSTに内側部材2を固定するための固定部材の一例として、
図2(B)に示す固定クリップ23を例示したが、これに限定されない。
図6に示すように、スナップボタン24a,24bを備えた固定ストラップ24を固定部材として採用してもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、固定クリップ23を介してショルダーストラップSTに内側部材2が着脱可能に構成される場合を例示したが、これに限定されない。例えば、内側部材2をショルダーストラップSTに予め縫い付けておけば、固定クリップ23は必ずしも必須でない。
【0032】
また、上述した実施形態では、内側部材2に磁石21が設けられ、外側部材3に磁石31が設けられる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、磁石21及び磁石31のうち、一方を磁石に代えて強磁性体(鉄板等)を用いるようにしてもよい。
【0033】
また、上述した実施形態では、磁石21を含む内側部材2がショルダーストラップSTに設けられる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、アンダーウェア(下着)やインナーに磁石21を内蔵または装着するようにしてもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、磁石31を含む外側部材3がエプロンの肩紐ASの外面に載置される場合を例示したが、これに限定されない。例えば、エプロンの上に羽織る上着に磁石31を内蔵するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 肩紐脱落防止具
2 内側部材
2L 下面
2U 上面
3 外側部材
3L 下面
3U 上面
21 磁石
23 固定用クリップ
23 固定クリップ
24 固定ストラップ
24a,24b スナップボタン
31 磁石
33 摘みボタン
AS 肩紐
ST ショルダーストラップ
TS Tシャツ
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被服の一部を構成する肩紐の内側において任意位置に設けられる内側部材と、
前記肩紐の外側に配置される外側部材と、
を備え、
前記内側部材と前記外側部材とは、磁力によって引き合うように構成され、
前記外側部材は、前記磁力の引き合う力によって、前記肩紐を挟んで前記任意位置に設けられた前記内側部材に固着し、
前記肩紐は、前記任意位置において前記内側部材と前記外側部材とによって挟持され、
前記内側部材は、アンダーウェアのショルダーストラップの外面において前記任意位置に設けられ、
前記内側部材は、前記ショルダーストラップの外面に装着される側の下面と、前記下面とは反対側の上面とを含む平面視矩形状の薄板部材として構成され、
前記内側部材の下面には、前記ショルダーストラップに取り付けて前記任意位置に固定するための固定部材が前記内側部材と一体的に設けられ、
前記内側部材は、前記固定部材を介して前記ショルダーストラップに着脱可能に構成されていることを特徴とする肩紐脱落防止具。
【請求項2】
前記外側部材は、前記肩紐の外面に載置される部材であり、
前記外側部材は、前記肩紐に面接触する接触面と、前記接触面とは反対側の非接触面とを含み、
前記非接触面には、着用者が指先で前記外側部材を操作するための摘みが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の肩紐脱落防止具。
【請求項3】
前記内側部材及び前記外側部材のうち、一方には磁石が設けられ、他方には前記磁石に引き寄せられる磁性体または他の磁石が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の肩紐脱落防止具。