(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067717
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/414 20060101AFI20240510BHJP
G01G 19/415 20060101ALI20240510BHJP
G01G 19/62 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01G19/414 B
G01G19/415 Z
G01G19/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178000
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】和田 一典
(72)【発明者】
【氏名】吉田 充宏
(57)【要約】
【課題】設定した価格範囲の商品に簡単に調整することができる計量装置を提供する。
【解決手段】計量装置(100)は、計量部(10)と、入力部(20)と、第1表示部(31)と、制御部(130)と、第2表示部(32)と、を備える。計量部(10)は、商品を計量する。入力部(20)は、商品の販売価格の価格範囲を入力する。第1表示部(31)は、価格範囲を表示する。制御部(130)は、価格範囲に対応する重量範囲を算出する。第2表示部(32)は、重量範囲を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量した商品の重量と単価とに基づいて、前記商品の販売価格を算出する計量装置であって、
前記商品を計量する計量部と、
前記商品の販売価格の価格範囲を入力する入力部と、
前記価格範囲を表示する第1表示部と、
前記価格範囲に対応する重量範囲を算出する制御部と、
前記重量範囲を表示する第2表示部と、
を備える、計量装置。
【請求項2】
前記第2表示部と対面していない者に、前記重量範囲、または、前記重量範囲に対する過不足量を伝達する伝達手段をさらに備える、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記伝達手段は、前記重量範囲、または、前記重量範囲に対する過不足量をラベルに印字するラベル発行部を含む、
請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記商品の重量と単価とに基づいて算出した前記商品の販売価格が、前記価格範囲を満たす場合は、前記ラベル発行部に対し、前記商品の販売価格が印字された前記ラベルを発行させ、
前記商品の重量と単価とに基づいて算出した前記商品の販売価格が、前記価格範囲を満たさない場合は、前記ラベル発行部に対し、前記ラベルを発行させない、または、前記重量範囲あるいは前記過不足量が印字されたラベルを発行させる、
請求項3に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特許第5382785号)に開示されたラベル発行装置が知られている。特許文献1のラベル発行装置は、計量ラベル発行機能及び定額ラベル発行機能を有している。定額ラベル発行機能は、商品の重量に拘わらず、価格を一定にして販売する機能のことで、この場合には、商品の重量等を表示することは、計量法上、禁止されているので、定額ラベルを発行するときは、計量した商品の重量等をブランクにし、その代わりに、定額販売に係る商品の重量範囲を表示するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1のラベル発行装置の計量ラベル発行機能では、価格範囲に対応する重量範囲が表示されないので、例えば、売れ筋となる価格範囲に入る商品を販売しようとする場合は、計量部に商品を載せて販売価格を表示させ、その販売価格が、希望する価格範囲に収まるように、計量部上の商品を加減しなければならない。しかし、前工程の盛付作業者は価格範囲となる重量範囲が分からない煩わしさがある。
【0004】
特に、商品が、例えば鶏の唐揚げのように、単体重量がバラついている場合には、大きいものと小さいものを入れ替えて計量しても、設定した価格範囲に収まらなければ、その作業を繰り返さざるを得ないから、作業性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決せんとするもので、設定した価格範囲の商品に簡単に調整することができる計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係る計量装置は、計量部と、入力部と、第1表示部と、制御部と、第2表示部と、を備える。計量部は、商品を計量する。入力部は、商品の販売価格の価格範囲を入力する。第1表示部は、価格範囲を表示する。制御部は、価格範囲に対応する重量範囲を算出する。第2表示部は、重量範囲を表示する。
【0007】
第1観点の計量装置では、入力部によって、商品の販売価格の価格範囲を設定できる。そして、制御部は、設定された価格範囲に対応する重量範囲を算出して、第2表示部に表示させることができる。第2表示部に表示された重量範囲を作業者が取得することによって、計量中の商品重量が、表示された重量範囲内に入っているか否かを判断し、入っていない場合には、商品の量を加減することによって、設定した価格範囲内に入るように調整することができる。
【0008】
第2観点に係る計量装置は、第1観点に係る計量装置であって、伝達手段をさらに備える。伝達手段は、第2表示部と対面していない者に、重量範囲、または、重量範囲に対する過不足量を伝達する。
【0009】
第2観点の計量装置では、伝達手段によって、設定された価格範囲に対応する重量範囲を、第2表示部と対面していない者に、例えば商品をトレーに盛り付ける前工程の作業者に、伝達することができる。このため、作業者は伝達された重量範囲に基づいて、商品の盛り付け量を加減することができるので、設定した価格範囲から外れる商品の売れ残りを未然に防止することができる。
【0010】
第3観点に係る計量装置は、第2観点に係る計量装置であって、伝達手段は、重量範囲、または、重量範囲に対する過不足量をラベルに印字するラベル発行部を含む。
【0011】
第3観点の計量装置では、ラベル発行部が印字したラベルによって、設定された価格範囲に対応する重量範囲、または、この重量範囲に対する過不足量を、第2表示部と対面していない作業者に伝達することができる。このため、作業者が、例えばバックヤードに居る場合でも、過不足のある商品を、そこに貼付されたラベルによって特定して、その盛り付け量を加減させることができる。
【0012】
第4観点に係る計量装置は、第3観点に係る計量装置であって、制御部は、商品の重量と単価とに基づいて算出した商品の販売価格が、価格範囲を満たす場合は、ラベル発行部に対し、商品の販売価格が印字されたラベルを発行させる。また、制御部は、商品の重量と単価とに基づいて算出した商品の販売価格が、価格範囲を満たさない場合は、ラベル発行部に対し、ラベルを発行させない、または、重量範囲あるいは過不足量が印字されたラベルを発行させる。
【0013】
第4観点の計量装置では、制御部は、算出した販売価格が、設定された価格範囲を満たす場合と、満たさない場合とで、ラベル発行部に対する制御を異ならせている。これにより、重量に過不足のある商品を陳列させないようにするとともに、前工程の盛付作業員に対し、適正な重量に調整するための情報を提供して、例えば単重にバラツキのある唐揚げ等の盛り付け作業を効率化させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設定した価格範囲に簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】販売価格が価格範囲を満たす場合の表示部の一例を示す図である。
【
図4】実施形態の販売価格が価格範囲を満たす場合のラベルの一例を示す図である。
【
図5】実施形態の販売価格が価格範囲を満たさない場合のラベルの一例を示す図である。
【
図6A】実施形態の計量装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6B】実施形態の計量装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】価格範囲を入力する前の表示部の一例を示す図である。
【
図8】価格範囲の入力により重量範囲が表示された表示部の一例を示す図である。
【
図9】販売価格が価格範囲を超える場合の表示部の一例を示す図である。
【
図10】販売価格が価格範囲を下回る場合の表示部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
(1)計量装置の機器構成
図1に示すように、計量装置100は、計量した商品の重量と単価とに基づいて、商品の販売価格を算出する。本実施形態の計量装置100は、ラベル発行機能を有するラベル発行装置付きの計量装置である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、計量装置100は、主として、計量部10と、入力部20と、表示部30と、ラベル発行部40と、を備える。
【0019】
計量部10は、商品を計量して載荷された商品の重量を出力する。商品は、例えば、単体重量にバラツキのある鳥の唐揚げや、総菜等が、蓋付容器に入れられたものである。このため、計量部10は、風袋を含む商品の重量を出力する。
【0020】
入力部20は、入力キーで構成され、作業者がこれを操作することにより、価格範囲等を入力することができる。詳細には、入力部20は、計量装置100に対し、商品情報の呼び出しや、設定値などを入力する。入力部20は、商品の販売価格の価格範囲が入力できるものであれば、特にハード構成は限定されないが、本実施形態では、テンキーを構成に含む。
【0021】
価格範囲は、消費者が買い易い販売価格であって、過去の販売実績から売れ筋の価格帯として設定される価格である。価格範囲は、上限値及び下限値の少なくとも一方を表示すれば足りる。
【0022】
表示部30は、計量装置100の本体に取り付けられた周知の表示装置である。表示部30は、計量装置100で計量する種々の商品情報を表示する。例えば、商品名、販売単価、載荷された商品の重量、大容器に盛り付ける場合の価格範囲、小容器に盛り付ける場合の価格範囲、消費期限等が表示される。また、この表示部30は、タッチパネル等で構成され、計量装置100を操作するための情報や設定した情報を表示する。
【0023】
表示部30は、
図2及び
図3に示すように、第1表示部31と、第2表示部32と、を含む。ここでは、
図3に示すように、第1表示部31及び第2表示部32は、表示部30の画面の一部に表示された表示領域である。
【0024】
第1表示部31は、入力部20で入力された商品の好ましい価格範囲を表示する。第2表示部32は、後述する制御部130によって算出された価格範囲に対応する重量範囲を表示する。
図3では、第1表示部31及び第2表示部32の一例を示す。この例では、第1表示部31は、入力部20で入力された価格範囲の上限値(298円)が上限金額欄に表示され、価格範囲の下限値(200円)が下限金額欄に表示されたものである。第2表示部32は、制御部130によって算出された重量範囲の上限値(151g)が上限重量欄に表示され、重量範囲の下限値(101g)が下限重量欄に表示されたものである。
【0025】
ラベル発行部40は、計量部10で計量された商品の商品名、重量、価格等を含む情報を、ラベルに印字して発行する。この場合のラベルは、販売される商品に貼り付けられる正量ラベルであり、
図4に一例を示す。
【0026】
さらに、ラベル発行部40は、後述する制御部130によって算出された、価格範囲に対応する重量範囲、または、重量範囲に対する過不足量をラベルに印字して発行する。この場合のラベルは、前工程に返却される商品に貼り付けられるエラーラベルであり、
図5に一例を示す。
【0027】
図1に示すように、ラベル発行部40は、印字されたラベルを発行する発行口41を含む。この場合のラベルは、台紙から剥離された一定形状のラベルであってもよいし、ラベルロールから繰り出されたラベルシートが、印字量に応じた長さで切断された台紙レスラベルであってもよい。
【0028】
(2)計量装置の制御構成
図2に示すように、計量装置100は、構成機器の運転制御を行う制御装置110を有している。制御装置110は、コンピュータで構成されている。具体的には、制御装置110は、記憶部120と、制御部130と、を有し、その制御部130は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)といったプロセッサで構成される。制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、所定の演算処理を行う。さらに、制御部130は、プログラムに従って、演算結果を記憶部120に書き込んだり、記憶部120に記憶されている情報を読み出して、表示したりすることができる。
【0029】
以下、記憶部120及び制御部130について説明する。
【0030】
(2-1)記憶部
記憶部120は、計量装置100の制御に必要な各種プログラム及び各種情報を記憶する。記憶部120は、商品マスタ121を有する。
【0031】
商品マスタ121は、商品の商品情報を記憶する。商品情報は、例えば、商品名、商品コード、単価、原材料、原産地、アレルギー物質名等を含む。
【0032】
商品マスタ121に記憶されている各種商品の商品情報は、ネットワークを介してサーバから取得されてもよく、他の記憶媒体から取得されてもよい。各種商品の商品情報は、適宜更新される。
【0033】
(2-2)制御部
制御部130は、入力部20からの各種入力に応じて、計量部10及びラベル発行部40を制御するとともに、第1表示部31及び第2表示部32を含む表示部30に各種情報を出力する。本実施形態では、制御部130は、算出部131と、判断部132と、を有している。
【0034】
算出部131は、入力部20から、入力された商品の好ましい価格範囲を取得し、取得した価格範囲を、第1表示部31に表示させる。
【0035】
算出部131は、取得した価格範囲に対応する重量範囲を算出する。具体的には、算出部131は、入力部20から商品の呼出番号(呼出No.)が入力されると、記憶部120の商品マスタ121から呼出番号に対応する商品の商品情報の中から、単位重量当たりの単価を取得する。そして、算出部は、入力部20から入力された価格範囲を、取得した単価で割る(価格範囲/単価)ことによって、重量範囲を算出する。なお、ここでの重量範囲は、風袋重量を減算して得られる商品の正味重量である。算出部131は、算出した重量範囲を、第2表示部32に表示させる。
【0036】
図3の例では、算出部131は、入力部20からの価格範囲(200円~298円)を、呼出No.3の唐揚げの単価(198円/100g)で除して、重量範囲(101g~151g)を算出する。
【0037】
また、算出部131は、計量部10で商品が計量されると、計量部10の計量結果に基づいて、商品の価格を算出する。具体的には、算出部131は、商品マスタ121から呼び出した商品の単価と、計量部10で計量された商品の重量と、を掛けて、商品の価格を算出する。なお、算出部131は、「商品の重量」を、計量部10での計量値が安定したときの計量値から風袋重量を減算して得られる商品の正味重量としている。
【0038】
図3の例では、算出部131は、計量部10で計量された全体の重量(151g)から風袋重量(4g)を差し引いて、正味重量(147g)を算出する。そして、算出部131は、呼出No.3の唐揚げの単価(198円/100g)と、正味重量(147g)と、を乗じて、商品の販売価格(291円)を算出する。
【0039】
判断部132は、商品の重量と単価とに基づいて算出した商品の販売価格が、入力部20で入力された価格範囲を満たすか否かを判断する。ここでは、判断部132は、計量部10で計量された商品の重量に基づいて算出部131が算出した販売価格が、入力部20で入力された価格範囲内に含まれているか否かを判断する。
【0040】
判断部132は、商品の重量と単価とに基づいて算出した商品の販売価格が、価格範囲を満たす場合は、ラベル発行部40に対し、商品の販売価格が印字されたラベルを発行させる。ここでは、判断部132は、計量部10で計量した商品に過不足がない場合は、ラベル発行部40に対し、商品名と販売価格とをラベルに印字して発行させる。
【0041】
正量ラベルの一例を示す
図4の例では、判断部132は、算出した販売価格が入力された価格範囲を満たす場合には、商品マスタ121から呼び出した単価(198円/100g)に正味重量(147g)を乗算して得られる価格(291円)と、その他の商品情報などをラベル発行部40に送信して、ラベル発行部40にラベルを生成させて、印刷させている。
【0042】
一方、判断部132は、商品の重量と単価とに基づいて算出した商品の販売価格が、価格範囲を満たさない場合は、ラベル発行部40に対し、ラベルを発行させない、または、重量範囲あるいは過不足量が印字されたラベルを発行させる。ここでは、判断部132は、ラベル発行部40に、計量部10で計量した商品に過不足がある場合は、エラーラベルを発行させる。
【0043】
なお、過不足量の印字は、例えば、「何g不足」、「何gオーバー」等の表記である。エラーラベルの一例を示す
図5の例では、判断部132は、ラベル発行部40に対して、算出した販売価格が入力された価格範囲を満たさない場合には、算出した重量範囲(101g~151g)、及び、計量部10で計量された正味重量(169g)の価格範囲に対する過量(18g)が印字されたラベルを発行させている。
【0044】
(3)伝達手段
本実施形態の計量装置100は、伝達手段をさらに備える。伝達手段は、第2表示部32と対面していない者に、制御部130が算出した重量範囲、または、制御部130が算出した重量範囲に対する過不足量を伝達するものである。本実施形態の伝達手段は、上述した重量範囲、または、重量範囲に対する過不足量をラベルに印字するラベル発行部40である。
【0045】
以下、伝達手段の役割を説明する。計量装置100は、例えば唐揚げ店や総菜店等の店頭に設置され、トレーや容器に収容された商品に、ラベル発行部40で発行されたラベルを貼付して、販売される場合に用いられる。この場合、前工程では、店頭と異なる場所、例えば第2表示部32を有していない計量装置が設置されたバックヤードなどにおいて、第1の作業者が、例えば唐揚げを容器等に入れて後工程である店頭に送る。店頭では、第2の作業者が、送られた商品を、計量装置100の計量部10に載置する。すると、計量装置100は、載置された商品の重量と単価とに基づいて算出された販売価格を表示するとともに、その販売価格が、入力部20で設定した価格範囲内に入っていれば、重量、販売価格等が印字された
図4のようなラベルを発行する。第2の作業者は、そのラベルをトレーや容器に貼り付けて、販売する。一方、計量した商品の重量と単価とに基づいて算出された販売価格が、入力部20で設定した価格範囲外であれば、伝達手段としてのラベル発行部40で、
図5のような過不足量を印字したラベルを発行する。第2の作業者は、そのラベルの一部をトレーや容器等に貼り付けて、前工程に戻す。前工程では、第1の作業者がそのラベルを見て、トレー内の商品の過不足量を調整する。なお、第1の作業者は、トレーや容器等にラベルの一部が貼り付けられているので、ラベルを容易に剥がすことができる。
【0046】
(4)計量装置の動作
図1~
図10を参照して、本実施形態の計量装置100の動作を説明する。計量装置100における商品の計量及びラベルの発行は、制御装置110が各種部材を運転制御することによって、行われる。
【0047】
図6Aに示すように、まず、第2の作業者が入力部20に商品の呼出番号を入力する(ステップS1)。本実施形態では、第2の作業者は、「呼出No.」として例えば「3」を入力して「鶏の唐揚げ」を選択すると、ステップS2に移行する。
【0048】
なお、ステップS1では、入力部20で呼出No.を入力する代わりに、表示部30に商品の一覧を表示し、その中から該当する商品名を指定することによって呼び出してもよい。
【0049】
ステップS2では、制御部130は、商品マスタ121から、ステップS1で入力された呼出No.の商品に対応する商品情報を呼び出す。本実施形態では、制御部130は、商品マスタ121から、「呼出No.」が「3」に対応する商品情報を読み出す。具体的には、商品情報として、商品名、単価などを呼び出して、
図7に示すように、呼び出した商品情報を、表示部30に表示させる。なお、
図7では、価格範囲(上限金額及び下限金額)と、重量範囲(上限重量及び下限重量)は、初期状態では、「0」がデフォルトとして設定されている。また、後述のステップS7において計量部10で商品を計量するまでは、「計量中」がデフォルトとして設定されている。その後、ステップS3に進む。
【0050】
ステップS3では、制御部130は、入力部20から商品の価格範囲が入力されたか否かを判断する。ステップS3において、価格範囲が入力されていない場合には、ステップS4に進む。一方、ステップS3において、価格範囲が入力されている場合には、ステップS5に進む。
【0051】
ステップS4では、入力部20から商品の好ましい価格範囲が入力される。ここでは、第2の作業者によって、入力部20から価格の上限値及び下限値が入力される。入力された価格範囲は、制御部130に入力される。
【0052】
ステップS5では、制御部130は、価格範囲に対応する重量範囲を算出する。ここでは、制御部130の算出部131は、入力部20から価格の上限値及び下限値と、商品マスタ121から単価とを取得して、価格の上限値及び下限値を単価で割って、重量の上限値及び下限値を算出する。その後、ステップS6に進む。
【0053】
ステップS6では、
図8に示すように、制御部130は、入力部20で入力された価格範囲を第1表示部31に表示させるとともに、算出部131で算出した重量範囲を第2表示部32に表示させる。その後、ステップS7に進む。
【0054】
ステップS7では、第2の作業者によって、ステップS1で選択された呼出No.の商品を、計量部10に載置する。計量部10は、載置された商品の重量を計量する。本実施形態では、計量部10は、トレーや容器等に収容された「唐揚げ」が載置されると、その全体の重量を計量値として計量する。その後、ステップS8に進む。
【0055】
ステップS8では、制御部130は、商品の販売価格を算出する。本実施形態では、制御部130の算出部131は、計量部10から入力された計量値から、商品マスタ121から呼び出した風袋重量を減算して「唐揚げ」の正味重量を求め、求めた正味重量と商品マスタ121から取得した単価とを掛けて、販売価格を算出する。算出部131は、算出した販売価格を表示部30に表示させる。その後、ステップS9に進む。
【0056】
ステップS9では、制御部130の判断部132は、ステップS8で算出した販売価格が、入力部20で入力された価格範囲を満たすか否かを判断する。ここでは、算出部131で商品の重量と単価とに基づいて算出した商品の販売価格が、入力部20で入力された価格範囲内であるか否かを判断する。
【0057】
ステップS9において、判断部132が価格範囲を満たすと判断すると、判断部132は、
図3に示すように、表示部30に「範囲内」と表示させる。その後、ステップS10に進む。
【0058】
ステップS10では、判断部132は、ラベル発行部40に対し、商品の販売価格等を印字したラベルを発行させる。ここでは、
図4に示すように、ラベル発行部40に、商品の情報として、商品名、商品の重量(正味量)、販売価格、単価、消費期限等が印字されたラベルを発行させる。その後、ステップS11に進む。
【0059】
ステップS11では、第2の作業者によって、ラベル発行部40の発行口41から発行されたラベルを、商品に貼り付けて、商品を店頭に展示する。
【0060】
一方、ステップS9において、判断部132が価格条件を満たさないと判断すると、
図6BのステップS12に進む。
【0061】
ステップS12では、制御部130は、ステップS8で算出した販売価格が、入力部20に入力された価格範囲の上限金額を超えるか否かを判断する。本実施形態では、制御部130の判断部132は、算出部131が算出した販売価格が、上限金額である298円を超えるか否かを判断する。
【0062】
ステップS12において、制御部130が上限金額を超えると判断すると、ステップS13及びS14に進む。一方、ステップS12において、制御部130が上限金額未満であると判断すると、ステップS15及びS16に進む。この場合、ステップS8で算出した販売価格は、価格範囲を満たさず、かつ、上限金額を超えるため、下限金額未満である。
【0063】
ステップS13では、制御部130は、ステップS8で算出した販売価格(
図9では「334円」)が上限値を超えるため、
図9に示すように、表示部30に「超過」を表示させる。また、ステップS14では、制御部130は、ステップS8で算出した販売価格(
図9では「334円」)が上限値を超えるため、ラベル発行部40に対して、重量範囲あるいは過量が印字された、
図5に示すようなラベルを発行させる。その後、ステップS17に進む。
【0064】
ステップS15では、制御部130は、ステップS11で算出した販売価格(
図10では「184円」)が下限値未満であるため、
図10に示すように、表示部30に「不足」を表示させる。また、ステップS16では、制御部130は、ステップS11で算出した販売価格(
図10では「184円」)が下限値未満であるため、ラベル発行部40に対して、重量範囲あるいは不足量が印字されたラベルを発行させる。その後、ステップS17に進む。
【0065】
ステップS17では、第2の作業者によって、ステップS14またはS17で発行された重量範囲あるいは過不足量が印字されたラベルの一部を、商品に貼り付けて、第2表示部32と対面していない第1の作業者に返却する。
【0066】
(5)特徴
(5-1)
本実施形態の計量装置100は、計量部10と、入力部20と、第1表示部31と、制御部130と、第2表示部32と、を備える。計量部10は、商品を計量する。入力部20は、商品の販売価格としての好ましい価格範囲を入力する。第1表示部31は、価格範囲を表示する。制御部130は、価格範囲に対応する重量範囲を算出する。第2表示部32は、重量範囲を表示する。
【0067】
本実施形態の計量装置100では、入力部20によって、商品の販売価格としての好ましい価格範囲を設定できる。そして、制御部130は、設定された価格範囲に対応する重量範囲を算出して、第2表示部32に表示させることができる。第2表示部32に表示された重量範囲を第1の作業者が取得することによって、設定した価格範囲に簡単に調整することができる。このため、包装済みの商品のフィルムを取り除いてから、盛り付け量を加減する手間を減らすことができる。
【0068】
このように、本実施形態の計量装置100は、消費動向に応じて、売れ筋の価格範囲の商品を、高い作業効率で、製造することができる。このため、本実施形態の計量装置100は、単体重量がバラつくような商品に好適に用いられる。
【0069】
また、例えば商品をトレーに盛り付ける前工程の第1の作業者が第2表示部32に表示された重量範囲を取得すると、第1の作業者が盛り付けた商品の重量を秤でチェックした後に、計量部10で商品を計量することになる。このため、2重のチェックとなるので、想定外の価格帯の商品を減らして、売れ残りを減らすことができる。
【0070】
(5-2)
本実施形態の計量装置100は、伝達手段をさらに備える。伝達手段は、第2表示部32と対面していない者に、重量範囲、または、重量範囲に対する過不足量を伝達する。
【0071】
ここでは、伝達手段によって、設定された価格範囲に対応する重量範囲を、第2表示部32と対面していない者として、例えば商品をトレーに盛り付ける前工程の第1の作業者に、伝達することができる。このため、第1の作業者は伝達された重量範囲に基づいて、商品の盛り付け量を加減することができるので、設定した価格範囲により簡単に調整することができる。
【0072】
(5-3)
本実施形態の計量装置100において、伝達手段は、重量範囲、または、重量範囲に対する過不足量をラベルに印字するラベル発行部40を含む。
【0073】
ここでは、ラベル発行部40が印字したラベルによって、設定された価格範囲に対応する重量範囲、または、この重量範囲に対する過不足量を、第2表示部32と対面していない第1の作業者に伝達することができる。
【0074】
(5-4)
本実施形態の計量装置100において、制御部130は、商品の重量と単価とに基づいて算出した商品の販売価格が、設定された価格範囲を満たす場合は、ラベル発行部40に対し、商品の販売価格が印字されたラベルを発行させる。また、制御部130は、商品の重量と単価とに基づいて算出した商品の販売価格が、価格範囲を満たさない場合は、ラベル発行部40に対し、ラベルを発行させない、または、重量範囲あるいは過不足量が印字されたラベルを発行させる。
【0075】
ここでは、制御部130は、算出した販売価格が設定された価格範囲を満たす場合と、満たさない場合とで、ラベル発行部40に対する制御を異ならせている。このため、重量に過不足のある商品を店頭に並べないようにさせるとともに、前工程の作業員に対し、適正な重量に調整するための情報を提供して、例えば単重にバラツキのある唐揚げ等の盛り付け作業を効率化させることができる。
【0076】
(6)変形例
以下に、上記実施形態の変形例を示す。なお、各変形例の内容の一部または全部は、互いに矛盾しない範囲で上記実施形態の内容や他の変形例の内容と組み合わされてもよい。
【0077】
(6-1)変形例A
上記実施形態では、伝達手段がラベル発行部40である例を説明したが、これに限定されない。本変形例では、伝達手段は、第1表示部31及び第2表示部32と異なる、第3表示部(図示せず)である。第3表示部は、第2表示部32と同様に制御部130が算出した重量範囲を表示する。第3表示部は、通信機能を有している。制御部130は、算出した重量範囲を、Wi-Fiなどで第3表示部に送信する。
【0078】
第3表示部は、計量装置100の計量部10及び入力部20と分離している。第3表示部は、例えば商品をトレーに盛り付ける前工程の第1の作業者が作業するバックヤードなどに配置される。第1の作業者は、第3表示部に表示された重量範囲を見ながら、商品の盛り付け量を調整することができる。
【0079】
(6-2)変形例B
上記実施形態では、伝達手段を備える計量装置100を例に挙げて説明したが、伝達手段は省略されてもよい。この場合、例えば、第2表示部32に表示された重量範囲を、後工程の第2の作業者が、前工程の第1の作業者に口頭、メモなどを用いて、伝達する。
【0080】
(6-3)変形例C
上記実施形態では、計量装置100はラベル発行部40を備えているが、ラベル発行部40は省略されてもよい。
【0081】
(6-4)変形例D
上記実施形態では、制御部130は、価格範囲を単価で除算することによって重量範囲を算出するが、これに限定されない。制御部130は、前述の除算によって算出された重量に、若干上乗せした値を重量範囲としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 :計量部
20 :入力部
31 :第1表示部
32 :第2表示部
40 :ラベル発行部
100 :計量装置
130 :制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】