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  • 特開-捕捉体及び堰堤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067755
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】捕捉体及び堰堤
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/02 20060101AFI20240510BHJP
   E02B 5/08 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
E02B7/02 B
E02B5/08 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178072
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】山口 聖勝
(57)【要約】
【課題】捕捉体を構成する部材の重量を削減する。
【解決手段】本発明における捕捉体30は、基礎Bに立設される互いに連結された鋼管部材により形成された複数の柱部を備え、複数の柱部のうち少なくとも一の柱部は、上流側に面する上流側柱部41と、上流側柱部に連結されていて下流側に面する下流側柱部43,50と、を有し、下流側柱部は、基礎Bに設置される第2ピース50と、第2ピース50に連結されて上流側柱部41に向かって延びる第2脚部43と、を含み、第2ピース50は、第2脚部43に連結される側の薄肉部51と、薄肉部51の肉厚51dよりも大きな肉厚53dを有する基礎Bの側に設けられた厚肉部53と、を有する
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎に立設される互いに連結された鋼管部材により形成された複数の柱部を備え、
前記複数の柱部のうち少なくとも一の柱部は、上流側に面する上流側柱部と、前記上流側柱部に連結されていて下流側に面する下流側柱部と、を有し、
前記下流側柱部は、基礎に設置される第1鋼管部と、前記第1鋼管部に連結されて前記上流側柱部に向かって延びる第2鋼管部と、を含み、
前記第1鋼管部は、前記第2鋼管部に連結される側の第1部分と、前記第1部分の肉厚よりも大きな肉厚を有する前記基礎の側に設けられた第2部分と、を有する
ことを特徴とする上流から流れてくる物体を捕捉するとともに水を通流させる捕捉体。
【請求項2】
前記第1部分及び前記第2部分は、互いに同軸上に延びていることを特徴とする請求項1に記載の捕捉体。
【請求項3】
前記第1部分及び前記第2部分は、鋼製の板材を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の捕捉体。
【請求項4】
前記第1部分及び前記第2部分は、全周にわたって前記板材に溶接されて互いに連結されていることを特徴とする請求項3に記載の捕捉体。
【請求項5】
前記第1鋼管部は、前記第2鋼管部とボルトにより連結されていることを特徴とする請求項1に記載の捕捉体。
【請求項6】
前記第1鋼管部の前記第1部分の肉厚は、前記第2鋼管部の肉厚と同じであることを特徴とする請求項1に記載の捕捉体。
【請求項7】
前記第2部分の肉厚は、前記上流側柱部を構成する鋼管部材の肉厚と同じであることを特徴とする請求項1に記載の捕捉体。
【請求項8】
上流側に面する上流壁部および下流側に面する下流壁部を有し、河川の両岸からそれぞれ延出する一対の袖部と、
前記一対の袖部の間で流水を通す透過部と、
請求項1に記載の捕捉体と、
を備えることを特徴とする堰堤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕捉体及び堰堤に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳地の渓流などにおいて、土砂災害を防止する砂防堰堤が知られている。従来の砂防堰堤は、上流側から流れ込む土石流等の越流を阻止する一対の非越流部(袖部)と、一対の袖部の間に、土石流等を捕捉させる透過部と、透過部に設けられた捕捉体と、を備える(例えば、特許文献1)。
【0003】
捕捉体は、複数の鋼管部材を互いに連結することにより形成されている。捕捉体は、上流側に面する上流側柱部と、下流側に面する下流側柱部と、を有し、上流側柱部と、下流側柱部とは、互いに連結されている。
【0004】
図6は、従来の捕捉体100の構成を説明するための側面図である。ところで、捕捉体100は、例えば、鋼管により形成された2つのピース110,120を連結することにより形成されている。ピース110,120は、互いに独立して別個に形成されている。ピース110,120は、工場において個別に形成されており、堰堤施工現場に運搬される。
【0005】
ピース110,120は、互いにボルトにより連結されている。ピース110、2つの脚部111,112を有する。ピース110とピース120とが互いに連結された状態において、脚部111は、上流側柱部を形成し、脚部112は、下流側柱部の一部を形成する。下流側柱部は、ピース110の一部(脚部111)及びピース120により形成されている。ピース120の鋼管部分の肉厚は、ピース110の脚部112の肉厚よりも大きく(厚く)形成されている。つまり、脚部112の肉厚は、ピース120よりも小さく(薄く)形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5957398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、捕捉体100においては、下流側柱部のピース120の基礎の側の部分に、上流側柱部を越流してすり抜けた礫が衝突することが想定される。これに対して、ピース110と連結される側のピース120の部分には、礫が衝突することが想定されておらず、ピース110の脚部112と同様に肉厚を薄くしてピース120の重量の削減を図りたい、という需要があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、捕捉体を構成する部材の重量を削減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、上流から流れてくる物体を捕捉するとともに水を通流させる本発明に係る捕捉体は、基礎に立設される互いに連結された鋼管部材により形成された複数の柱部を備え、前記複数の柱部のうち少なくとも一の柱部は、上流側に面する上流側柱部と、前記上流側柱部に連結されていて下流側に面する下流側柱部と、を有し、前記下流側柱部は、基礎に設置される第1鋼管部と、前記第1鋼管部に連結されて前記上流側柱部に向かって延びる第2鋼管部と、を含み、前記第1鋼管部は、前記第2鋼管部に連結される側の第1部分と、前記第1部分の肉厚よりも大きな肉厚を有する前記基礎の側に設けられた第2部分と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る捕捉体の一態様において、前記第1部分及び前記第2部分は、互いに同軸上に延びている。
【0011】
また、本発明に係る捕捉体の一態様において、前記第1部分及び前記第2部分は、鋼製の板材を介して互いに連結されている。
【0012】
また、本発明に係る捕捉体の一態様において、前記第1部分及び前記第2部分は、全周にわたって前記板材に溶接されて互いに連結されている。
【0013】
また、本発明に係る捕捉体の一態様において、前記第1鋼管部は、前記第2鋼管部とボルトにより連結されている。
【0014】
また、本発明に係る捕捉体の一態様において、前記第1鋼管部の前記第1部分の肉厚は、前記第2鋼管部の肉厚と同じである。
【0015】
さらに、上記課題を解決するために、本発明に係る堰堤は、上流側に面する上流壁部および下流側に面する下流壁部を有し、河川の両岸からそれぞれ延出する一対の袖部と、前記一対の袖部の間で流水を通す透過部と、上記捕捉体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、捕捉体を構成する部材の重量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】捕捉体を備える砂防堰堤の斜視図である。
図2】捕捉体を上流側から見た斜視図である。
図3】捕捉体を上流側から見た正面図である。
図4】捕捉体を側方から見た側面図である。
図5】第1ピース及び第2ピースの部分縦断面図である。
図6】従来の捕捉体の構成を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
<砂防堰堤の構成>
図1は、捕捉体30を備える砂防堰堤1の斜視図である。砂防堰堤1は、渓流等を含む河川に設置されて、上流から流されてくる土砂、流木、岩石(礫)を含む物体を堰き止める。砂防堰堤1は、一対の非越流部(袖部)10と、越流部(透過部)20と、捕捉体30と、を備える。
【0020】
(非越流部)
非越流部10は、河川の両岸からそれぞれ河川の中央に向かって延出する壁部である。非越流部10は、その底部が地盤に埋設されており、河川を横切るように河川の幅方向に沿って延在するように構築されている。非越流部10は、例えば、コンクリート又はソイルセメントによって構築されている。なお、非越流部10において、河川の上流側又は下流側に面する壁面を、複数の鋼製セグメントを連結することにより形成された鋼板壁とし、その内部にコンクリートやソイルセメントを充填してもよい。
【0021】
(越流部)
越流部20は、河川の幅方向において非越流部10が所定の間隔をあけて離間した部分である。越流部20は、開口部21と、水通し部22とを有する。開口部21は、後述する捕捉体30が設置される部分である。開口部21において、上流から流されてくる土砂、流木、岩石等が捕捉される。
【0022】
水通し部22は、砂防堰堤1の高さ方向において開口部21の上側に位置する。具体的には、捕捉体30が設置された状態において、捕捉体30よりも上側の部分である。水通し部22は、開口部21が、例えば、土砂や流木等によって塞がれた場合に水を上流側から下流側に流す機能を有する。
【0023】
(捕捉体)
図2は、捕捉体30を上流側から見た斜視図である。図3は、捕捉体30を上流側から見た正面図である。図4は、捕捉体30を側方から見た側面図である。基礎Bに立設される互いに連結された鋼管部材により形成された複数の柱部31,33を備え、複数の柱部31,33のうち少なくとも一の柱部31は、上流側に面する上流側柱部41と、上流側柱部に連結されていて下流側に面する下流側柱部43,50と、を有し、下流側柱部43,50は、基礎Bに設置される第2ピース50と、第2ピース50に連結されて上流側柱部41に向かって延びる第2脚部43と、を含み、第2ピース50は、第2脚部43に連結される側の薄肉部51と、薄肉部51の肉厚51dよりも大きな肉厚53dを有する基礎Bの側に設けられた厚肉部53と、を有することを特徴とする。以下、捕捉体30の構成について具体的に説明する。
【0024】
捕捉体30は、非越流部10の延在方向、すなわち、河川の幅方向に沿って越流部20の開口部21における基礎Bに設けられている。基礎Bは、コンクリートにより構築された個所でも、地盤そのものであってもよい。捕捉体30は、複数の柱部31,33と、梁部35と、柱連結部37と、を有する。柱部31,33は、砂防堰堤1の高さ方向に延在し、梁部35は、柱部31,33に交差して、河川の幅方向に延在する。
【0025】
各柱部31,33は、それぞれ交互に設けられている。本実施の形態において3本の柱部31と、柱部31の間に2本の柱部33が設けられている。柱部31は、捕捉体30において両端部及び中央部に設けられている。柱部31は、第1ピース40と、第2ピース(第1鋼管部)50と、を互いに連結することにより構成されている。第1ピース40は、第1脚部41と、第2脚部(第2鋼管部)43と、を有する。
【0026】
第1脚部41は、第2脚部43に対して上流側に位置し、基礎Bから立設した状態において、上流側から下流側に向かって傾斜している。第2脚部43は、その上端が第1脚部41に一体に連結されていて、柱部31がλ状に形成されるように下端が下流側に延びている。
【0027】
第1脚部41は、鋼製の管状部材(鋼管)により形成されている。第1脚部41は、上流側に面するように基礎Bに立設されていて、上流側柱部(「上流側柱部41」とも言う)を形成する。第1脚部41は、複数の梁部35と、2つの柱連結部37と、を有する。梁部35は、隣接する柱部33に面する側で当該柱部33に向かって延出している。梁部35は、第1脚部41の延在方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。柱連結部37は、隣接する柱部33に面する側で当該柱部33に向かって延出している。柱部31は、柱連結部37を介して後述する柱部33に設けられている柱連結部37を介して連結されている。
【0028】
第2脚部43は、構成の管状部材(鋼管)により形成されている。第2脚部43は、第1脚部41の上端側の部分において下流側に面する部分に、例えば、溶接等により一体に接合されている。第2脚部43は、他端部において後述する第2ピース50とボルト接合されている。具体的には、第2脚部43の他端部には、円環状のベースプレート43Pが取り付けられていて、第2脚部43は、ベースプレート43Pを介して、後述する第2ピース50にボルト接合されている。
【0029】
第1ピース40において、第1脚部41の壁厚は、第2脚部43の壁厚よりも大きくなっており、また、後述する第2ピース50の厚肉部53と同じである。第2脚部43の壁厚は、第2ピース50の薄肉部51の壁厚(肉厚)51dと同じ又は略同じである。
【0030】
図5は、第1ピース40及び第2ピース50の部分縦断面図である。第2ピース50は、第1ピース40の第1脚部41に対して下流側に設けられており、下流側柱部の一部を構成する。本実施の捕捉体30において、下流側柱部は、本実施の形態においては、第1ピース40の第2脚部43及び第2ピース50により形成されている(「下流側柱部43,50」ともいう)。
【0031】
第2ピース50は、基部Bから立設した状態において、下流側から上流側に向かって傾斜している。第2ピース50は、薄肉部(第1部分)51と、厚肉部(第2部分)53と、鋼板(板材)55と、を有し、本実施の形態において、ワンピースに形成されている部材である。
【0032】
薄肉部51及び厚肉部53は、外径の同じ又は略同じ2つの鋼製の管状部材(鋼管)により形成されている。薄肉部51及び厚肉部53は、平面視円形のダイヤフラムとも呼ばれる鋼板55を介して互いに同軸上に一体に連結されている一部材である。薄肉部51及び厚肉部53は、互いに同じ又は略同じ直径を有していて、鋼板55に対して同軸上に、例えば、溶接により全周にわたって接合されている。
【0033】
薄肉部51は、後述する厚肉部53の壁厚よりも薄い壁厚を有している。なお、薄肉部51の壁厚は、第1ピース40の第2脚部43の壁厚と同じ又は略同じである。薄肉部51は、第1ピース40と連結される部分である。鋼板55と連結される薄肉部51の端部とは反対側の端部には、円環状のベースプレート51Pが取り付けられている。第2ピース50は、ベースプレート51P,43Pを介して第1ピース40の第2脚部43にボルト接合されている。薄肉部51の外径及び第2脚部43の外径及び内径は、同じ又は実質的に同じである。
【0034】
厚肉部53は、第2ピース50が基礎Bに立設された状態において、薄肉部51に対して基礎Bの側に設けられている。厚肉部53は、薄肉部51の壁厚51dよりも厚い壁厚(肉厚)53dを有している(51d<53d)。つまり、厚肉部53は、薄肉部51に対して、外径は同じ又は略同じであるが、内径は小さくなっている。なお、厚肉部53の壁厚53dは、第1ピース40の第1脚部41の壁厚と同じ又は略同じである。鋼板55と連結される厚肉部53の端部とは反対側の端部には、円環状のベースプレート53Pが取り付けられている。
【0035】
柱部33は、捕捉体30において柱部31の間に設けられている。柱部33は、上流側に面する一の鋼製の管状部材(鋼管)により形成されている。柱部33の外径及び内径は、柱部31における第1脚部41の外径及び内径と同じ又は略同じである。柱部33は、基礎Bから立設した状態において、上流側から下流側に向かって傾斜している。
【0036】
柱部33は、複数の梁部35と、2つの柱連結部37と、を有する。梁部35は、隣接する柱部31に面する側で当該柱部31に向かって延出している。梁部35は、柱部33の延在方向に沿って間隔をあけて、第1ピース40の梁部35と同じ高さ位置に設けられている。柱連結部37は、隣接する柱部31に面する側で当該柱部31に向かって延出している。柱部33は、柱連結部37を介して柱部31の柱連結部37に連結されている。
【0037】
従来の捕捉体100は、通常、複数のピース、例えば、ピース110とピース120とを互いに連結させることにより構成されている(図6参照)。捕捉体100は、通常、上流側から流れてくる礫をピース110の脚部111において捕捉するが、礫が脚部111をすり抜けてピース120に到達することがある。ピース110を越流した礫は、ピース120の基礎Bの側に衝突することが想定される。しかしながら、従来の捕捉体100において、一の鋼管により形成されているピース120の壁厚は、礫が衝突することが想定される部分に合わせて全体的に肉厚に、つまり、ピース110の脚部112の壁厚よりも大きくなっている。
【0038】
ピース110及びピース120は、それぞれ、工場において予め製造されて、捕捉体100の設置現場に搬送されて、設置現場にて連結される。従来の捕捉体100においては、ピース120は、礫が衝突することが想定される以外の部分も肉厚に形成されており、全体として重量が大きくなっており、製造コストも嵩んでいた。
【0039】
これに対して、本実施の形態にかかる捕捉体30によれば、下流側柱部43,50を構成する第2ピース50は、壁厚の異なる薄肉部51と厚肉部53とにより形成されており、第2ピース50の越流した礫が衝突することが想定される基礎Bの側の部分だけを壁厚の厚い鋼管を有している。これにより、第2ピース50は、捕捉体30の機能として壁厚を厚くすることが必要な部分と、それ以外の部分とを別々の鋼管により形成しているので、第2ピース50の重量及びコストを減じることができる。
【0040】
例えば、薄肉部51と厚肉部53とがボルトにより接合されている態様に比べて、第2ピース50において薄肉部51と厚肉部53とは、溶接により全周にわっって鋼板55に接合されているので、第2ピース50の剛性が高くなっている。薄肉部51及び厚肉部53を、鋼板55を介して接合するので、例えば、第2ピース50において厚肉部53が占める割合を、捕捉体30の設計寸法に応じて自由に適宜変更することができる。
【0041】
また、薄肉部51及び厚肉部53は、同軸上に互いに延びるようになっているので、鋼板55に対する接合作業が容易である。
【0042】
また、第1ピース40と第2ピース50とは、互いにボルト接合により連結されているので、現場での捕捉体30の構築作業が容易である。
【0043】
また、第2ピース50の厚肉部53の壁厚53dは、上流側柱部41を構成する第1脚部41の壁厚と同じであるので、礫が第1脚部41を越流した場合であっても、第2ピース50においても確実に礫を捕捉することができ、薄肉部51を有しつつ、捕捉体30としての強度を十分に確保することができる。
【0044】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、上記実施の形態において、捕捉体30は、一の上流側柱部に対して一の下流側柱部を有する形態であったが、一の上流側柱部に対して複数の下流側柱部を流れ方向に有していてもよい。
【0045】
この場合、一の上流側柱部に対して設けられた複数の下流側柱部のうち、少なくとも1つの下流側柱部に上記第2ピース50が用いられていればよい。
【符号の説明】
【0046】
1・・・砂防堰堤
10・・・非越流部(袖部)
20・・・越流部(透過部)
30・・・捕捉体、31,33・・・柱部
40・・・第1ピース、41・・・第1脚部、43・・・第2脚部(第2鋼管部)
50・・・第2ピース(第1鋼管部)、51・・・薄肉部(第1部分)、53・・・厚肉部(第2部分)、55・・・鋼板(ダイヤフラム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6