(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067760
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】電源装置用蓄電装置および電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240510BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H02J7/02 G
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178080
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清田 一樹
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GA04
5G015HA02
5G015JA58
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA03
5G503CA12
5G503CC02
5G503DA06
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】並列接続された複数の電池ユニットを備えた、電源装置用蓄電装置において、電池ユニットの並列数の増加による電源装置のバックアップ時間の減少を抑制する。
【解決手段】各電池ユニットは、蓄電池20と、蓄電池20と電源装置10の直流端子T2との間に接続されるスイッチ22とを含む。蓄電装置7を充電する場合、監視装置74は、少なくとも1つの第1の電池ユニットBAに含まれるスイッチ22をオンするとともに、少なくとも1つの第2の電池ユニットBBに含まれるスイッチ22をオフすることにより、少なくとも1つの第1の電池ユニットBAを充電する。監視装置74は、少なくとも1つの第1の電池ユニットBAの充電が完了したことに応じて、少なくとも1つの第1の電池ユニットBAに含まれるスイッチ22をオフするとともに、少なくとも1つの第2の電池ユニットBBに含まれるスイッチ22をオンすることにより、少なくとも1つの第2の電池ユニットBBを充電する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置用蓄電装置であって、
複数の電池ユニットと、
前記複数の電池ユニットを監視する監視装置とを備え、
各電池ユニットは、蓄電池と、前記蓄電池と前記電源装置の直流端子との間に接続されるスイッチとを含み、前記蓄電池が前記スイッチを介して前記直流端子に接続されることにより、前記電源装置との間で直流電力の授受が可能に構成され、
前記複数の電池ユニットは、
少なくとも1つの第1の電池ユニットと、
少なくとも1つの第2の電池ユニットとを含み、
前記蓄電装置を充電する場合には、前記監視装置は、
前記少なくとも1つの第1の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオンするとともに、前記少なくとも1つの第2の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオフすることにより、前記少なくとも1つの第1の電池ユニットの前記蓄電池を充電し、
前記少なくとも1つの第1の電池ユニットの前記蓄電池の充電が完了したことに応じて、前記少なくとも1つの第1の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオフするとともに、前記少なくとも1つの第2の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオンすることにより、前記少なくとも1つの第2の電池ユニットの前記蓄電池を充電する、電源装置用蓄電装置。
【請求項2】
前記監視装置はさらに、前記少なくとも1つの第2の電池ユニットの前記蓄電池の充電が完了したことに応じて、前記少なくとも1つの第1の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオンするとともに、前記少なくとも1つの第2の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオンする、請求項1に記載の電源装置用蓄電装置。
【請求項3】
前記蓄電装置から放電する場合には、前記監視装置は、
前記少なくとも1つの第1の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオンするとともに、前記少なくとも1つの第2の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオンすることにより、前記少なくとも1つの第1の電池ユニットおよび前記少なくとも1つの第2の電池ユニットの前記蓄電池から放電する、請求項2に記載の電源装置用蓄電装置。
【請求項4】
前記監視装置は、前記蓄電装置の故障が検出されたことに応じて、前記少なくとも1つの第1の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオフするとともに、前記少なくとも1つの第2の電池ユニットに含まれる前記スイッチをオフする、請求項1に記載の電源装置用蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電池はリチウム電池であり、
各電池ユニットは、前記蓄電池の電圧および前記蓄電池に流れる電流に関する情報を前記監視装置に送信するように構成され、
前記監視装置は、前記蓄電池の電圧が閾値電圧よりも高いこと、または、前記蓄電池に流れる電流が閾値電流よりも低下したことにより、前記蓄電池の充電が完了したと判断する、請求項1に記載の電源装置用蓄電装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の電池ユニットは、常用電池ユニットであり、
前記少なくとも1つの第2の電池ユニットは、冗長電池ユニットである、請求項1に記載の電源装置用蓄電装置。
【請求項7】
前記電源装置と、
請求項1から6のいずれか1項に記載の前記電源装置用蓄電装置とを備える、電源システム。
【請求項8】
前記電源装置は、
交流電源に接続される入力端子と、
負荷に接続される出力端子と、
前記蓄電装置に接続される前記直流端子と、
前記入力端子および前記出力端子の間に接続される電力変換器とを含み、
前記交流電源の健全時には、前記電力変換器は、前記入力端子に入力される交流電力を前記出力端子から前記負荷に供給するとともに、前記蓄電装置に蓄え、
前記交流電源の停電時には、前記電力変換器は、前記蓄電装置に蓄えられた電力を交流電力に変換して前記出力端子から前記負荷に供給する、請求項7に記載の電源システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電池ユニットの個数は、前記交流電源の異常時に、前記電源装置が予め定められたバックアップ時間を遵守することができるように、前記負荷の大きさに応じて設定される、請求項8に記載される電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置用蓄電装置および電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply)や瞬低補償装置(Multiple Power Compensator)などの電源装置は、商用系統に瞬時電圧低下や停電などの異常が発生したときには、蓄電装置に蓄えられた電力を利用して負荷への給電を継続するように構成されている。このような電源装置に使用される蓄電装置として、例えば、特開2021-23074号公報(特許文献1)には、互いに並列接続された複数の電池ユニットを備えた蓄電装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載される蓄電装置において、各電池ユニットは、二次電池と、二次電池と電源装置との間に接続されるスイッチとを有している。電源装置の運用中、複数の電池ユニットの何れかが故障した場合には、故障した電池ユニットに設けられたスイッチがオフされて、当該電池ユニットが蓄電装置から切り離される。これにより、故障した電池ユニットの修理または別の電池ユニットへの交換を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の蓄電装置では、故障した電池ユニットが蓄電装置から切り離されている期間においても、電源装置が商用系統の異常に対応することができるように、負荷への電力供給に必要な並列数よりも多い数の電池ユニットを実装することで冗長化を図ることができる。
【0006】
このような並列冗長構成を有する蓄電装置においては、商用系統の健全時には、各電池ユニットのスイッチをオンすることで、商用系統から供給される電力の一部を蓄電装置に供給して、複数の電池ユニットを一括に充電することができる。
【0007】
これによると、電池ユニットの並列数を増やすことで、蓄電装置全体の容量(すなわち、蓄電装置に蓄えられる電力量)を増やすことができる。よって、商用系統の異常時に、電源装置は、予め定められているバックアップ時間を遵守することができる。
【0008】
しかしながら、その一方で、電池ユニットの並列数の増大に伴って、蓄電装置の充電時に各電池ユニットに流すことができる充電電流が小さくなるため、蓄電装置の充電速度を低下させることになる。その結果、充電開始から各電池ユニットの充電が完了するまでの充電時間が長くなることが懸念される。
【0009】
ここで、複数の電池ユニットの一括充電中に、一部の電池ユニットが故障した場面を想定する。このような場面において、商用系統に停電等の異常が発生したときには、電源装置は、充電中の残りの電池ユニットに蓄えられた電力を利用して負荷への給電を継続させる必要が生じる。ただし、充電速度が遅いために、残りの電池ユニットに蓄えられた電力量が少ない場合には、電源装置がバックアップ時間を遵守することが困難となる可能性が懸念される。
【0010】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、並列接続された複数の電池ユニットを備えた、電源装置用蓄電装置において、電池ユニットの並列数の増加による電源装置のバックアップ時間の減少を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様に係る電源装置用蓄電装置は、複数の電池ユニットと、複数の電池ユニットを監視する監視装置とを備える。各電池ユニットは、蓄電池と、蓄電池と電源装置の直流端子との間に接続されるスイッチとを含む。各電池ユニットは、蓄電池がスイッチを介して直流端子に接続されることにより、電源装置との間で直流電力の授受が可能に構成される。複数の電池ユニットは、少なくとも1つの第1の電池ユニットと、少なくとも1つの第2の電池ユニットとを含む。蓄電装置を充電する場合には、監視装置は、少なくとも1つの第1の電池ユニットに含まれるスイッチをオンするとともに、少なくとも1つの第2の電池ユニットに含まれるスイッチをオフすることにより、少なくとも1つの第1の電池ユニットの蓄電池を充電する。監視装置は、少なくとも1つの第1の電池ユニットの蓄電池の充電が完了したことに応じて、少なくとも1つの第1の電池ユニットに含まれるスイッチをオフするとともに、少なくとも1つの第2の電池ユニットに含まれるスイッチをオンすることにより、少なくとも1つの第2の電池ユニットの蓄電池を充電する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、並列接続された複数の電池ユニットを備えた、電源装置用蓄電装置において、電池ユニットの並列数の増加による電源装置のバックアップ時間の減少を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る電源システムの構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】
図1に示した蓄電装置の構成を示す回路ブロック図である。
【
図3】監視装置の構成例を示す回路ブロック図である。
【
図4】電池ユニットに含まれる組電池の充電特性の一例を示す図である。
【
図5】蓄電装置の第1の動作例を説明するためのタイミング図である。
【
図6】蓄電装置の第2の動作例を説明するためのタイミング図である。
【
図7】蓄電装置の第3の動作例を説明するためのタイミング図である。
【
図8】実施の形態2に係る蓄電装置7に含まれる監視装置の構成例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰り返さないものとする。
【0015】
[実施の形態1]
<電源システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る電源システムの構成を示す回路ブロック図である。
図1に示すように、実施の形態1に係る電源システムは、UPS(Uninterruptible Power Supply)10と、蓄電装置7とを備える。
【0016】
UPS10は、入力端子T1と、直流端子T2、および出力端子T3を含む。入力端子T1は、商用交流電源6に接続される。商用交流電源6は、商用周波数の交流電力をUPS10に供給する。UPS10は「電源装置」の一実施例に対応する。
【0017】
直流端子T2は、蓄電装置7に接続される。蓄電装置7は、直流電力を蓄える。蓄電装置7は、互いに並列に接続された複数の電池ユニットと、複数の電池ユニットを監視するための監視装置とを有している。蓄電装置7の詳細な構成については後述する。
【0018】
出力端子T3は、負荷8に接続される。負荷8は、UPS10から供給する交流電力によって駆動される。
【0019】
UPS10は、コンバータ1、双方向チョッパ2、インバータ3、コンデンサC、操作部4、および制御装置5をさらに含む。
【0020】
コンバータ1の交流ノード1aは入力端子T1に接続される。入力端子T1に現れる交流入力電圧VIの瞬時値は、制御装置5によって検出される。交流入力電圧VIの瞬時値に基づいて、停電の発生の有無などが判別される。
【0021】
コンバータ1は、制御装置5によって制御される。商用交流電源6の健全時には、コンバータ1は、商用交流電源6から供給される交流電力を直流電力に変換して直流ライン9に出力する。商用交流電源6の停電時には、コンバータ1の運転は停止される。
【0022】
直流ライン9は、コンバータ1の直流ノード1b、およびインバータ3の直流ノード3aに接続される。コンデンサCは、直流ライン9に接続され、直流ライン9の電圧VDを平滑化させる。直流ライン9に現れる直流電圧VDの瞬時値は、制御装置5によって検出される。直流ライン9は双方向チョッパ2の高電圧側ノード2aに接続され、双方向チョッパ2の低電圧側ノード2bは直流端子T2に接続される。
【0023】
双方向チョッパ2は、制御装置5によって制御される。商用交流電源6の健全時には、双方向チョッパ2は、コンバータ1から直流ライン9を介して供給される直流電力を蓄電装置7に蓄える。商用交流電源6の停電時には、双方向チョッパ2は、蓄電装置7の直流電力を、直流ライン9を介してインバータ3に供給する。
【0024】
制御装置5は、商用交流電源6の健全時には、蓄電装置7の端子間電圧VBが参照電圧VBrになるように双方向チョッパ2を制御し、商用交流電源6の停電時には、直流ライン9の直流電圧VDが参照電圧VDrになるように双方向チョッパ2を制御する。
【0025】
インバータ3は、制御装置5によって制御される、商用交流電源6の健全時には、インバータ3は、コンバータ1から直流ライン9を介して供給される直流電力を交流電力に変換する。商用交流電源6の停電時には、インバータ3は、蓄電装置7から双方向チョッパ2を介して供給される直流電力を交流電力に変換する。インバータ3の交流ノード3bは出力端子T3に接続される。出力端子T3に現れる交流出力電圧VOの瞬時値は、制御装置5によって検出される。
【0026】
操作部4は、電源システムのユーザによって操作される複数のボタン、種々の情報を表示するディスプレイなどを含む。電源システムのユーザは、操作部4を操作することにより、UPS10を手動で運転したり、自動的に運転させることができる。
【0027】
制御装置5は、操作部4からの信号、交流入力電圧VI、直流電圧VD、交流出力電圧VO、および蓄電装置7からの信号などに基づいて、UPS10を制御する。制御装置5は、例えばマイクロコンピュータなどで構成することができる。具体的には、制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよびデータを格納するメモリとを備えており、当該プログラムをCPUが実行することによるソフトウェア処理によって、UPS10を制御することができる。あるいは、当該制御の一部または全部について、ソフトウェア処理に代えて、内蔵された専用の電子回路などを用いたハードウェア処理によって実現することも可能である。
【0028】
<蓄電装置の構成>
図2は、
図1に示した蓄電装置7の構成を示す回路ブロック図である。
図2に示すように、蓄電装置7は、n台の第1の電池ユニットBA1~BAnと、m台の第2の電池ユニットBB1~BBmと、監視装置74とを含む。n,mの各々は1以上の整数である。n,mは異なる値であっても、同じ値であってもよい。
【0029】
複数の電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmは、互いに並列に接続されている。以下の説明では、第1の電池ユニットBA1~BAnを包括的に「第1の電池ユニットBA」と称し、第2の電池ユニットBB1~BBmを包括的に「第2の電池ユニットBB」とも称する場合がある。
【0030】
蓄電装置7は、並列冗長系を構成している。複数の電池ユニットBA,BBを常時並列に接続することにより、少なくとも一部の電池ユニットが故障した場合でもUPS10と安定的に電力を遣り取りすることが可能となる。
【0031】
第1の電池ユニットBA1~BAnは、常用電池ユニット70である。第1の電池ユニットBAの個数nは、商用交流電源6の停電時に、UPS10が予め定められたバックアップ時間(停電補償時間)を遵守することができるように、負荷8の大きさに応じて設定することができる。
【0032】
第2の電池ユニットBB1~BBmは、第1の電池ユニットBAの一部が故障した場合に備えて、故障発生後でも電力を供給し続けることができるように、バックアップとして配置されたものである。すなわち、第2の電池ユニットBB1~BBmは、冗長電池ユニット72である。第2の電池ユニットBBの個数mは、第1の電池ユニットBAの個数nに応じて設定することができる。
【0033】
(電池ユニットの構成例)
第1の電池ユニットBAは、蓄電池と、スイッチ22と、電流センサ24と、電池監視ユニット(BMU:Battery Management Unit)26とを含んで構成される。
【0034】
蓄電池は、二次電池であり、例えばリチウムイオン電池である。蓄電池は、直列接続された複数の電池セル20を有する組電池である。蓄電池は、単電池であってもよい。各電池セル20は、電池セル20には、電池セル20の状態(電圧、温度等)を監視するための状態監視ユニット(CMU:Cell Management Unit)が設けられている。CMUは、対応する電池セル20の状態を示すセル情報をBMU26に与える。セル情報には、電池セル20の端子間電圧Vb(以下、「セル電圧Vb」とも称する)の検出値が含まれている。
【0035】
スイッチ22の第1の端子はUPS10の直流端子T2に接続され、スイッチ22の第2の端子は、複数の電池セル20からなる組電池の正極端子に接続される。スイッチ22のオンオフはBMU26によって制御される。スイッチ22は、対応する電池ユニットBAの使用時にオンされ、例えば電池ユニットBAのメンテナンス時にオフされる。
【0036】
電流センサ24は、組電池に流れる電流IB(以下、「電池電流IB」とも称する)を検出し、その検出値を示す信号IBAをBMU26に与える。以下の説明では、電池電流IBの極性について、対応する組電池からの放電方向を正とし、組電池への充電方向を負と定義する。
【0037】
BMU26は、複数の電池セル20にそれぞれ設けられた複数のCMUから与えられる情報に基づいて、組電池全体の状態を監視する。具体的には、BMU26は、複数の電池セル20のセル電圧Vbの合計値を算出することにより、組電池の端子間電圧VBA(以下、「電池電圧VBA」とも称する)を求める。
【0038】
また、BMU26は、各電池セル20のセル電圧Vbおよび温度に基づいて、各電池セル20の異常を検出する。例えば、セル電圧Vbが所定の電圧範囲から外れている場合、または、電池セル20の温度が上昇して所定の閾値温度を超えた場合には、BMU26は、電池セル20が異常であると判断する。
【0039】
BMU26は、対応する電池ユニットBAの状態を示すユニット情報UAを監視装置74に与える。ユニット情報UAには、電池電流IBAおよび電池電圧VBAに関する情報、ならびに、各電池セル20の異常の有無に関する情報が含まれている。
【0040】
BMU26は、監視装置74から、対応するスイッチ22のオンオフを制御するための制御指令SAを受ける。制御指令SAは、対応するスイッチ22をオンするためのオン指令と、対応するスイッチ22をオフするためのオフ指令とを含む。BMU26は、監視装置74からのオン指令に応答して対応するスイッチ22をオンし、オフ指令に応答してスイッチ22をオフする。スイッチ22をオンすることにより、対応する電池ユニットBAがUPS10の直流端子T2に電気的に接続される。反対に、スイッチ22をオフすることにより、対応する電池ユニットBAが直流端子T2から電気的に切り離される。
【0041】
第2の電池ユニットBBは、第1の電池ユニットBAと同一の構成を有している。具体的には、第2の電池ユニットBBは、直列接続された複数の電池セル20と、スイッチ22と、電流センサ24と、BMU26とを含んで構成される。
【0042】
BMU26は、複数の電池セル20にそれぞれ設けられた複数のCMUからセル情報を受け、電流センサ24から電池電流IBの検出値を示す信号IBBを受ける。BMU26は、複数の電池セル20のセル電圧Vbの合計値を算出することにより、組電池の端子間電圧VBB(以下、「電池電圧VBB」とも称する)を求める。また、BMU26は、各電池セル20のセル電圧Vbおよび温度に基づいて、各電池セル20の異常を検出する。
【0043】
BMU26は、対応する電池ユニットBBの状態を示すユニット情報UBを監視装置74に与える。ユニット情報UBには、電池電流IBBおよび電池電圧VBBに関する情報、ならびに、各電池セル20の異常の有無に関する情報が含まれている。
【0044】
BMU26は、監視装置74から、対応するスイッチ22のオンオフを制御するための制御指令SBを受ける。制御指令SBは、オン指令と、オフ指令とを含む。BMU26は、監視装置74からのオン指令に応答して対応するスイッチ22をオンし、オフ指令に応答してスイッチ22をオフする。
【0045】
(監視装置の構成例)
監視装置74は、例えばマイクロコンピュータなどで構成することができる。具体的には、監視装置74は、CPUと、プログラムおよびデータを格納するメモリとを備えており、当該プログラムをCPUが実行することによるソフトウェア処理によって、複数の電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmの監視、および、各電池ユニットに設けられたスイッチ22のオンオフの制御を実行することができる。あるいは、当該処理の一部または全部について、ソフトウェア処理に代えて、内蔵された専用の電子回路などを用いたハードウェア処理によって実現することも可能である。
【0046】
図3は、監視装置74の構成例を示す回路ブロック図である。
図3に示すように、監視装置74は、電圧演算部80,84と、電流演算部82,86と、比較器88~94と、論理和(OR)回路96,98,104,106と、論理積(AND)回路100,102,108,110と、放電検出部112と、故障検出部114とを含む。
【0047】
電圧演算部80は、第1の電池ユニットBA1~BAnのBMU20によってそれぞれ算出された電池電圧VBA1~VBAnを受ける。電圧演算部80は、電池電圧VBA1~VBAnから、第1の電池ユニットBAの電池電圧VBAを評価するための電池電圧評価値VBAeを生成する。電池電圧評価値VBAeは、電池電圧VBA1~VBAnの平均値として求めることができる。あるいは、電池電圧評価値VBAeは、電池電圧VBA1~VBAnの代表値として求めてもよい。代表値には、電池電圧VBA1~VBAnの中央値、最大値、最小値などを適宜適用することができる。
【0048】
電流演算部82は、第1の電池ユニットBA1~BAnの電流センサ24によってそれぞれ検出された電池電流IBA1~IBAnを受ける。電流演算部82は、電池電流IBA1~IBAnから、第1の電池ユニットBAの電池電流IBを評価するための電池電流評価値IBAeを生成する。電池電流評価値IBAeは、電池電流IBA1~IBAnの平均値として求めることができる。あるいは、電池電流評価値IBAeは、電池電流IBA1~IBAnの代表値として求めてもよい。代表値には、電池電流IBA1~IBAnの中央値、最大値、最小値などを適宜適用することができる。
【0049】
電圧演算部84は、第2の電池ユニットBB1~BBmのBMU20によってそれぞれ算出された電池電圧VBB1~VBBmを受ける。電圧演算部84は、電池電圧VBB1~VBBmから、第2の電池ユニットBBの電池電圧VBBを評価するための電池電圧評価値VBBeを生成する。電池電圧評価値VBBeは、電池電圧VBB1~VBBmの平均値として求めることができる。あるいは、電池電圧評価値VBBeは、電池電圧VBB1~VBBmの代表値として求めてもよい。代表値には、電池電圧VBB1~VBBmの中央値、最大値、最小値などを適宜適用することができる。
【0050】
電流演算部86は、第2の電池ユニットBB1~BBmの電流センサ24によってそれぞれ検出された電池電流IBB1~IBBmを受ける。電流演算部86は、電池電流IBB1~IBBmから、第2の電池ユニットBBの電池電流IBを評価するための電池電流評価値IBBeを生成する。電池電流評価値IBBeは、電池電流IBB1~IBBmの平均値として求めることができる。あるいは、電池電流評価値IBBeは、電池電流IBB1~IBBmの代表値として求めてもよい。代表値には、電池電流IBB1~IBBmの中央値、最大値、最小値などを適宜適用することができる。
【0051】
比較器88は、電圧演算部80によって生成された電池電圧評価値VBAeと、閾値電圧Vthとを比較する。閾値電圧Vthは、電池ユニットに含まれる組電池の充電の要否を判定するための判定値である。閾値電圧Vthは、予め取得されている、組電池の残容量と電池電圧VBとの関係に基づいて設定することができる。
【0052】
比較器88は、電池電圧評価値VBAeが閾値電圧Vthよりも小さいときに、第1の電池ユニットBAの充電が必要であると判断し、H(論理ハイ)レベルの信号を出力する。一方、電池電圧評価値VBAeが閾値電圧Vthよりも大きいときには、第1の電池ユニットBAの充電が不要であると判断し、比較器88は、L(論理ロー)レベルの信号を出力する。これによると、第1の電池ユニットBAの充電中、VBAe<Vthのときには、比較器88の出力信号はHレベルとなり、VBAe>Vthとなったことに応じて、比較器88の出力信号はHレベルからLレベルに遷移する。
【0053】
比較器90は、電流演算部82によって生成された電池電流評価値IBAeと、閾値電流Ithとを比較する。閾値電流Ithは、電池ユニットに含まれる組電池の充電完了を判定するための判定値である。閾値電流Ithは、予め取得されている、組電池の充電特性(
図4参照)に基づいて設定することができる。
【0054】
比較器90は、電池電流評価値IBAeが閾値電流Ithよりも大きいときに、第1の電池ユニットBAが充電中であると判断し、Hレベルの信号を出力する。一方、電池電流評価値IBAeが閾値電流Ithよりも小さいときには、第1の電池ユニットBAの充電が完了したと判断し、比較器90は、Lレベルの信号を出力する。これによると、第1の電池ユニットBAの充電中、IBAe>IVthのときには、比較器90の出力信号はHレベルとなり、IBAe<Ithとなったことに応じて、比較器90の出力信号はHレベルからLレベルに遷移する。
【0055】
比較器92は、電圧演算部84によって生成された電池電圧評価値VBBeと、閾値電圧Vthとを比較する。比較器88は、電池電圧評価値VBBeが閾値電圧Vthよりも小さいときに、第2の電池ユニットBBの充電が必要であると判断し、Hレベルの信号を出力する。一方、電池電圧評価値VBBeが閾値電圧Vthよりも大きいときには、第2の電池ユニットBBの充電が不要であると判断し、比較器90は、Lレベルの信号を出力する。これによると、第2の電池ユニットBBの充電中、VBBe<Vthのときには、比較器90の出力信号はHレベルとなり、VBBe>Vthとなったことに応じて、比較器90の出力信号はHレベルからLレベルに遷移する。
【0056】
比較器94は、電流演算部86によって生成された電池電流評価値IBBeと、閾値電流Ithとを比較する。比較器94は、電池電流評価値IBBeが閾値電流Ithよりも大きいときに、第2の電池ユニットBBが充電中であると判断し、Hレベルの信号を出力する。一方、電池電流評価値IBBeが閾値電流Ithよりも小さいときには、第2の電池ユニットBBの充電が完了したと判断し、比較器94は、Lレベルの信号を出力する。これによると、第2の電池ユニットBBの充電中、IBBe>IVthのときには、比較器94の出力信号はHレベルとなり、IBB<Ithとなったことに応じて、比較器94の出力信号はHレベルからLレベルに遷移する。
【0057】
図4は、電池ユニットBA,BBに含まれる組電池の充電特性の一例を示す図である。
図4の横軸は充電時間を示し、
図4の縦軸は電池電圧VB、電池電流IBおよび電池容量を示す。
図4には、リチウムイオン電池の一般的な充電特性が示されている。
【0058】
図4に示すように、充電初期には、電池電流IBを一定に保つ定電流充電が行われる。定電流充電の実行中、電池容量の増加とともに、電池電圧VBが徐々に上昇する。電池電圧VBが一定の電圧に到達したことに応じて、定電流充電から、電池電圧VBを一定に保つ定電圧充電に切り替えられる。
【0059】
定電圧充電の実行中、電池電流IBが徐々に低下する。電池電流IBが閾値電流Ith以下となったことに応じて、組電池が満充電状態になったと判断される。なお、定電圧充電に切り替えられた時点から電池電流IBが減少するために、電池容量の増加は頭打ちとなる。
【0060】
図4に示す充電特性に基づいて、比較器88,92(
図3)における閾値電圧Vthを、定電圧充電時の電池電圧VB以下となるように設定することにより、電池電圧VBと閾値電圧Vthとの比較結果に基づいて、電池ユニットの充電の要否を判定することができる。また、比較結果から、充電中に電池ユニットの充電が完了したか否かを判定することができる。
【0061】
同様に、比較器90,94(
図3)における閾値電流Ithを、定電流充電時の電池電流IB未満となるように設定することにより、電池電流IBと閾値電流Ithとの比較結果に基づいて、電池ユニットの充電が完了したか否かを判定することができる。
【0062】
図3に戻って、OR回路96は、第1入力端子に比較器88の出力信号を受け、第2入力端子に比較器90の出力信号を受ける。OR回路96は、2つの比較器88,90の出力信号の論理和を算出し、算出結果を示す信号S1を出力する。比較器88,90の少なくとも一方の出力信号がHレベルのときに、OR回路96の出力信号S1はHレベルとなる。
【0063】
したがって、第1の電池ユニットBAの電池電圧評価値VBAeが閾値電圧Vthより小さいとき、および/または、電池電流評価値IBAeが閾値電流Ithより大きいときには、OR回路96の出力信号S1はHレベルとなる。すなわち、第1の電池ユニットBAの充電が必要である、または、第1の電池ユニットBAが充電中であると判断されるときには、OR回路96はHレベルの信号S1を出力する。一方、第1の電池ユニットBAの充電が不要である、または、第1の電池ユニットBAの充電が完了していると判断されるときには、OR回路96はLレベルの信号S1を出力する。
【0064】
OR回路98は、第1入力端子に比較器92の出力信号を受け、第2入力端子に比較器94の出力信号を受ける。OR回路98は、2つの比較器92,94の出力信号の論理和を算出し、算出結果を示す信号S2を出力する。比較器92,94の少なくとも一方の出力信号がHレベルのときに、OR回路98の出力信号S2はHレベルとなる。
【0065】
したがって、第2の電池ユニットBBの電池電圧評価値VBBeが閾値電圧Vthより小さいとき、および/または、電池電流評価値IBBeが閾値電流Ithより大きいとき、OR回路98の出力信号S1はHレベルとなる。すなわち、第2の電池ユニットBBの充電が必要である、または、第2の電池ユニットBBが充電中であると判断されるときには、OR回路98はHレベルの信号S2を出力する。一方、第2の電池ユニットBBの充電が不要である、または、第2の電池ユニットBBの充電が完了していると判断されるときには、OR回路98はLレベルの信号S2を出力する。
【0066】
AND回路100は、第1入力端子にOR回路96の出力信号S1の反転信号を受け、第2入力端子にOR回路98の出力信号S2の反転信号を受ける。AND回路100は、2つの出力信号S1,S2の反転信号の論理積を算出し、算出結果を示す信号S3を出力する。AND回路100の出力信号S3は、信号S1,S2が何れもLレベルのときにHレベルとなり、信号S1,S2の少なくとも一方がHレベルのときにLレベルとなる。すなわち、第1の電池ユニットBAおよび第2の電池ユニットBBの何れも充電が不要である、または、第1の電池ユニットBAおよび第2の電池ユニットBBの充電が完了していると判断されるとき、AND回路100の出力信号S3はHレベルとなる。一方、第1の電池ユニットBAおよび第2の電池ユニットBBの少なくとも一方の充電が必要である、または、第1の電池ユニットBAおよび第2の電池ユニットBBの少なくとも一方が充電中であると判断されるときには、AND回路100の出力信号S3はLレベルとなる。
【0067】
AND回路102は、第1入力端子にOR回路96の出力信号S1の反転信号を受け、第2入力端子にOR回路98の出力信号S2を受ける。AND回路102は、出力信号S1の反転信号および出力信号S2の反転信号の論理積を算出し、算出結果を示す信号S3を出力する。AND回路102の出力信号S4は、信号S1がLレベルのとき、かつ、信号S2がHレベルのときにHレベルとなる。信号S1がHレベルのとき、または、信号S2がLレベルのときに、出力信号S4はLレベルとなる。すなわち、第1の電池ユニットBAの充電が不要である、または、第1の電池ユニットBAの充電が完了しており、かつ、第2の電池ユニットBBの充電が必要である、または、第2の電池ユニットBBが充電中であると判断されるとき、AND回路102の出力信号S4はHレベルとなる。一方、第1の電池ユニットBAの充電が必要である、または、第1の電池ユニットBAが充電中であるとき、もしくは、第2の電池ユニットBBの充電が不要である、または、第2の電池ユニットBBの充電が完了していると判断されるときには、AND回路102の出力信号S4はLレベルとなる。
【0068】
放電検出部112は、電流演算部82から電池電流評価値IBAeを受け、電流演算部86から電池電流評価値IBBeを受ける。放電検出部112は、電池電流評価値IBAe,IBBeに基づいて、電池ユニットBA,BBが放電状態であるか否かを判定し、判定結果を示す信号DET1を出力する。
【0069】
具体的には、放電検出部112は、電池電流評価値IBAeが正値であるときに、第1の電池ユニットBAが放電状態であると判定し、電池電流評価値IBAeが負値であるときに、第1の電池ユニットBAが充電状態であると判定する。同様に、放電検出部112は、電池電流評価値IBBeが正値であるときに、第2の電池ユニットBBが放電状態であると判定し、電池電流評価値IBBeが負値であるときに、第2の電池ユニットBBが充電状態であると判定する。放電検出部112は、電池ユニットBA,BBの少なくとも一方が放電状態であると判定された場合には、Hレベルの信号DET1を出力する。一方、電池ユニットBA,BBが何れも充電状態である場合には、放電検出部112は、Lレベルの信号DET1を出力する。
【0070】
故障検出部114は、蓄電装置7における故障の有無を判定する。具体的には、故障検出部114は、電源システムの運用中、電池ユニットBA,BBの各々のBMU26から与えられるユニット情報UA,UBに基づいて、電池ユニットBA,BBの各電池セル20の異常の有無を判定する。また、故障検出部114は、電池ユニットBA,BBの各々のBMU26と監視装置74との間の通信エラーの有無、監視装置74と制御装置5との間の通信エラーの有無などを判定する。そして、電池ユニットBA,BBの何れかにおいて電池セル20の異常が発生した場合、あるいは、監視装置74およびBMU26間、または、監視装置74および制御装置5間に通信エラーが発生した場合には、故障検出部114は、蓄電装置7の故障を検出する。
【0071】
蓄電装置7の故障が検出された場合、故障検出部114はHレベルの信号DET2を出力する。一方、蓄電装置7の故障が検出されない場合、すなわち、蓄電装置7が正常であると判断された場合には、故障検出部114はLレベルの信号DET2を出力する。
【0072】
OR回路104は、第1入力端子にOR回路96の出力信号S1を受け、第2入力端子にAND回路100の出力信号S3を受け、第3入力端子に放電検出部112の出力信号DET1を受ける。信号S1,S3,DET1の少なくとも1つがHレベルのときに、OR回路104はHレベルの信号S5を出力する。信号S1,S3,DET1が何れもLレベルのときに、OR回路104はLレベルの信号S5を出力する。
【0073】
これによると、(i)第1の電池ユニットBAの充電が必要である、または、第1の電池ユニットBAが充電中であると判断されるとき(S1=H)、(ii)電池ユニットBA,BBの何れも充電が不要である、または、電池ユニットBA,BBの充電が完了していると判断されるとき(S3=H)、(iii)電池ユニットBA,BBの少なくとも一方が放電状態であると判定されたとき(DET1=H)、の何れかが成立する場合に、OR回路104の出力信号S5はHレベルとなる。反対に、上記(i)~(iii)の何れも成立しない場合には、OR回路104の出力信号S5はLレベルとなる。
【0074】
OR回路106は、第1入力端子にAND回路100の出力信号S3を受け、第2入力端子にAND回路102の出力信号S4を受け、第3入力端子に放電検出部112の出力信号DET1を受ける。信号S3,S4,DET1の少なくとも1つがHレベルのときに、OR回路106はHレベルの信号S6を出力する。信号S3,S4,DET1が何れもLレベルのときに、OR回路106はLレベルの信号S5を出力する。
【0075】
これによると、(ii)電池ユニットBA,BBの何れも充電が不要である、または、電池ユニットBA,BBの充電が完了していると判断されるとき(S3=H)、(iii)電池ユニットBA,BBの少なくとも一方が放電状態であると判定されたとき(DET1=H)、(iv)第1の電池ユニットBAの充電が不要である、または、第1の電池ユニットBAの充電が完了しており、かつ、第2の電池ユニットBBの充電が必要である、または、第2の電池ユニットBBが充電中であると判断されるとき(S4=H)、の何れかが成立する場合に、OR回路106の出力信号S6はHレベルとなる。反対に、上記(ii)~(iv)の何れも成立しない場合には、OR回路106の出力信号S6はLレベルとなる。
【0076】
AND回路108は、第1入力端子にOR回路104の出力信号S5を受け、第2入力端子に故障検出部114の出力信号DET2の反転信号を受ける。AND回路108は、信号S5と信号DET2の反転信号との論理積を算出し、算出結果を示す信号SA1~SAnを出力する。信号SA1~SAnは、第1の電池ユニットBA1~BAnのスイッチ22のオンオフを制御するための制御指令に相当する。Hレベルの信号SA1~SAnは、第1の電池ユニットBA1~BAnのスイッチ22をオンするためのオン指令に相当する。Lレベルの信号SA1~SAnは、第1の電池ユニットBA1~BAnのスイッチ22をオフするためのオフ指令に相当する。
【0077】
AND回路108は、信号S5がHレベルであり、信号DET2がLレベルのときに、Hレベルの信号SA1~SAn(オン指令)を出力する。すなわち、(i)第1の電池ユニットBAの充電が必要である、または、第1の電池ユニットBAが充電中であると判断されるとき(S1=H)、(ii)電池ユニットBA,BBの何れも充電が不要である、または、電池ユニットBA,BBの充電が完了していると判断されるとき(S3=H)、(iii)電池ユニットBA,BBの少なくとも一方が放電状態であると判定されたとき(DET1=H)、の何れかが成立し、かつ、(v)蓄電装置7が正常であると判断されたとき(DET2=L)、AND回路108は、Hレベルの信号SA1~SAn(オン指令)を出力する。
【0078】
反対に、上記(i)~(iii)の何れも成立しない、または、(vi)蓄電装置7の故障が検出されたとき(DET2=H)、AND回路108は、Lレベルの信号SA1~SAn(オフ指令)を出力する。
【0079】
AND回路110は、第1入力端子にOR回路106の出力信号S6を受け、第2入力端子に故障検出部114の出力信号DET2の反転信号を受ける。AND回路110は、信号S6と信号DET2の反転信号との論理積を算出し、算出結果を示す信号SB1~SBmを出力する。信号SB1~SBmは、第2の電池ユニットBB1~BBmのスイッチ22のオンオフを制御するための制御指令に相当する。Hレベルの信号SB1~SBmは、第2の電池ユニットBB1~BBmのスイッチ22をオンするためのオン指令に相当する。Lレベルの信号SB1~SBmは、第2の電池ユニットBB1~BBmのスイッチ22をオフするためのオフ指令に相当する。
【0080】
AND回路110は、信号S6がHレベルであり、信号DET2がLレベルのときに、Hレベルの信号SB1~SBm(オン指令)を出力する。すなわち、(ii)電池ユニットBA,BBの何れも充電が不要である、または、電池ユニットBA,BBの充電が完了していると判断されるとき(S3=H)、(iii)電池ユニットBA,BBの少なくとも一方が放電状態であると判定されたとき(DET1=H)、(iv)第1の電池ユニットBAの充電が不要である、または、第1の電池ユニットBAの充電が完了しており、かつ、第2の電池ユニットBBの充電が必要である、または、第2の電池ユニットBBが充電中であると判断されるとき(S4=H)、の何れかが成立し、かつ、(v)蓄電装置7が正常であると判断されたとき(DET2=L)、AND回路110は、Hレベルの信号SB1~SBm(オン指令)を出力する。
【0081】
反対に、上記(ii)~(iv)の何れも成立しない、または、(vi)蓄電装置7の故障が検出されたとき(DET2=H)、AND回路110は、Lレベルの信号SB1~SBm(オフ指令)を出力する。
【0082】
以上説明したように、監視装置74は、第1の電池ユニットBA1~BAnの電池電圧VBAおよび電池電流IBAと、第2の電池ユニットBB1~BBmの電池電圧VBBおよび電池電流IBBとに基づいて、第1の電池ユニットBA1~BAnのスイッチ22をオンオフするための制御指令SA1~SAnと、第2の電池ユニットBB1~BBmのスイッチ22をオンオフするための制御指令SB1~SBmとを生成するように構成されている。
【0083】
このような構成とすることにより、監視装置74は、第1の電池ユニットBA1~BAnのスイッチ22のオンオフと、第2の電池ユニットBB1~BBmのスイッチ22のオンオフとを互いに独立して制御することができる。
【0084】
具体的には、第1の電池ユニットBA1~BAnのBMU26が監視装置74からのオン指令SA1~SAnに応答してスイッチ22をオンさせることにより、UPS10の直流端子T2に、第1の電池ユニットBA1~BAnが互いに並列に接続される。よって、UPS10と第1の電池ユニットBA1~BAnとの間で電力の授受(すなわち、第1の電池ユニットBA1~BAnの充放電)が可能となる。また、BMU26が監視装置74からのオフ指令SA1~SAnに応答してスイッチ22をオフさせることにより、UPS10の直流端子T2から第1の電池ユニットBA1~BAnが切り離される。よって、UPS10と第1の電池ユニットBA1~BAnとの間で電力を授受することができなくなる。
【0085】
第2の電池ユニットBB1~BBmのBMU26が監視装置74からのオン指令SB1~SBmに応答してスイッチ22をオンさせることにより、UPS10の直流端子T2に、第2の電池ユニットBB1~BBmが互いに並列に接続される。よって、UPS10と第2の電池ユニットBB1~BBmとの間で電力の授受(すなわち、第2の電池ユニットBB1~BBmの充放電)が可能となる。また、BMU26監視装置74からのがオフ指令SB1~SBmに応答してスイッチ22をオフさせることにより、UPS10の直流端子T2から第2の電池ユニットBB1~BBmが切り離される。よって、UPS10と第2の電池ユニットBB1~BBmとの間で電力を授受することができなくなる。
【0086】
また上記構成において、監視装置74は、蓄電装置7の故障が検出された場合には、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmの全てのスイッチ22をオフするためのオフ指令SA1~SAn,SB1~SBmを生成するように構成される。したがって、蓄電装置7の故障が検出されたことに応じて、UPS10の直流端子T2から電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmが一括して切り離される。これによると、蓄電装置7の故障によって電源システムの正常動作が妨げられることを未然に回避することができる。
【0087】
<蓄電装置7の動作>
次に、実施の形態1に係る蓄電装置7の動作について説明する。
【0088】
(第1の動作例)
図5は、蓄電装置7の第1の動作例を説明するためのタイミング図である。
図5には、
図3に示した監視装置74において生成される信号S1~S6,DET1,DET2、および制御指令SA1~SAn,SB1~SBmの各々の波形が示されている。
【0089】
以下、第1の動作例を時系列順に説明する。まず、
図5の時刻t0における蓄電装置7の動作を説明する。
【0090】
時刻t0において、蓄電装置7が起動されると、監視装置74は動作を開始する。監視装置74は、第1の電池ユニットBA1~BAnのBMU26から与えられる、電池電圧VBA1~VBAnに基づいて、第1の電池ユニットBAの電池電圧評価値VBAeを生成し、生成した電池電圧評価値VBAeと閾値電圧Vthとを比較する。監視装置74はまた、第1の電池ユニットBA1~BAnのBMU26から与えられる、電池電流IBA1~IBAnに基づいて、第1の電池ユニットBAの電池電流評価値IBAeを生成し、生成した電池電流評価値IBAeと閾値電流Ithとを比較する。
【0091】
監視装置74はさらに、第2の電池ユニットBA1~BAnのBMU26から与えられる、電池電圧VB1~VBmに基づいて、第2の電池ユニットBBの電池電圧評価値VBBeを生成し、生成した電池電圧評価値VBBeと閾値電圧Vthとを比較する。監視装置74はまた、第2の電池ユニットBB1~BBmのBMU26から与えられる、電池電流IBB1~IBBmに基づいて、第2の電池ユニットBBの電池電流評価値IBBeを生成し、生成した電池電流評価値IBBeと閾値電流Ithとを比較する。
【0092】
電池電圧評価値VBAe,VBBeが閾値電圧Vthより小さい場合には、監視装置74は、電池ユニットBA,BBの充電が必要であると判断する。そのため、時刻t1において、OR回路96,98の出力信号S1,S2はLレベルからHレベルに変化する。信号S1,S2が何れもHレベルであるため、AND回路100,102の出力信号S3.S4はLレベルとなる。
【0093】
信号S1がLレベルからHレベルに変化したことに応答して、OR回路104の出力信号S5がLレベルからHレベルに変化する。蓄電装置7が正常である場合には故障検出部114の出力信号DET2がLレベルとなるため、信号S5がLレベルからHレベルに変化したことに応答して、Hレベルの信号SA1~SAn(オン指令)が生成される。
【0094】
第1の電池ユニットBA1~BAnの各々のBMU26は、監視装置74からのHレベルの信号SA1~SAn(オン指令)に応答して、対応するスイッチ22をオンさせる。これにより、第1の電池ユニットBA1~BAnは、UPS10の直流端子T2に互いに並列に接続される。UPS10において、制御装置5は、監視装置74と通信することにより、商用交流電源6の健全時には、蓄電装置7の端子間電圧VB(この場合は、第1の電池ユニットBA1~BAnの電池電圧VBA)が参照電圧VBrになるように双方向チョッパ2を制御する。双方向チョッパ2は、コンバータ1から直流ライン9を介して蓄電装置7に直流電力を供給する。その結果、時刻t1において、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が開始される。
【0095】
第1の電池ユニットBA1~BAnの充電中、監視装置74は、電池電圧評価値VBAeと閾値電圧Vthとを比較するとともに、電池電流評価値IBAeと閾値電流Ithとを比較することにより、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が完了したか否かを判定する。
【0096】
電池電圧評価値VBAeが閾値電圧Vthを超えた場合、または、電池電流評価値IBAeが閾値電流Ithを下回った場合には、監視装置74は、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が完了したと判断する。よって、時刻t2において、OR回路96の出力信号S1はHレベルからLレベルに変化する。
【0097】
OR回路96の出力信号S1がHレベルからLレベルに変化したことに応答して、OR回路104の出力信号S5がHレベルからLレベルに変化する。信号S5がHレベルからLレベルに変化したことに応答して、Lレベルの信号SA1~SAn(オフ指令)が生成される。
【0098】
第1の電池ユニットBA1~BAnの各々のBMU26は、監視装置74からのLレベルの信号SA1~SAn(オフ指令)に応答して、対応するスイッチ22をオフさせる。これにより、第1の電池ユニットBA1~BAnは、UPS10の直流端子T2から切り離される。その結果、時刻t2において、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が終了する。
【0099】
時刻t2においてOR回路96の出力信号S1がHレベルからLレベルに変化したことに応答して、AND回路102の出力信号S4がLレベルからHレベルに変化する。信号S4がLレベルからHレベルに変化したことに応答して、OR回路106の出力信号S6がLレベルからHレベルに変化する。故障検出部114の出力信号DET2がLレベルのため、信号S6がLレベルからHレベルに変化したことに応答して、Hレベルの信号SB1~SBm(オン指令)が生成される。
【0100】
第2の電池ユニットBB1~BBmの各々のBMU26は、監視装置74からのHレベルの信号SB1~SBm(オン指令)に応答して、対応するスイッチ22をオンさせる。これにより、第2の電池ユニットBB1~BBmは、UPS10の直流端子T2に互いに並列に接続される。UPS10において、制御装置5は、監視装置74と通信することにより、商用交流電源6の健全時には、蓄電装置7の端子間電圧VB(この場合は、第2の電池ユニットBB1~BBnの電池電圧VBB)が参照電圧VBrになるように双方向チョッパ2を制御する。双方向チョッパ2は、コンバータ1から直流ライン9を介して蓄電装置7に直流電力を供給する。その結果、時刻t2において、第2の電池ユニットBB1~BBmの充電が開始される。
【0101】
第2の電池ユニットBB1~BBmの充電中、監視装置74は、電池電圧評価値VBBeと閾値電圧Vthとを比較するとともに、電池電流評価値IBBeと閾値電流Ithとを比較することにより、第2の電池ユニットBB1~BBmの充電が完了したか否かを判定する。
【0102】
電池電圧評価値VBBeが閾値電圧Vthを超えた場合、または、電池電流評価値IBBeが閾値電流Ithを下回った場合には、監視装置74は、第2の電池ユニットBB1~BBmの充電が完了したと判断する。よって、時刻t3において、OR回路98の出力信号S2はHレベルからLレベルに変化する。OR回路98の出力信号S2がHレベルからLレベルに変化したことに応答して、AND回路102の出力信号S4は、HレベルからLレベルに変化する。
【0103】
一方、信号S2がHレベルからLレベルに変化したことに応答して、AND回路100の出力信号S3がLレベルからHレベルに変化する。信号S3がLレベルからHレベルに変化したことに応答して、OR回路104の出力信号S5がLレベルからHレベルに変化する。これにより、再びHレベルの信号SA1~SAn(オン指令)が生成される。第1の電池ユニットBA1~BAnの各々のBMU26は、監視装置74からのHレベルの信号SA1~SAn(オン指令)に応答して、対応するスイッチ22をオンさせる。これにより、第1の電池ユニットBA1~BAnは、UPS10の直流端子T2に互いに並列に接続される。
【0104】
時刻t3において、信号S3がLレベルからHレベルに変化したことに応答して、時刻t3以降もOR回路106の出力信号S6はHレベルに保たれる。よって、時刻t3以降においても、Hレベルの信号SB1~SBm(オン指令)が生成される。第2の電池ユニットBB1~BBmの各々のBMU26は、監視装置74からのHレベルの信号SB1~SBm(オン指令)に応答して、対応するスイッチ22をオンさせる。その結果、第2の電池ユニットBB1~BBmは、UPS10の直流端子T2に互いに並列に接続される。
【0105】
以上のように、蓄電装置7が動作を開始すると、最初に第1の電池ユニットBA1~BAnがUPS10の直流端子T2に接続されて、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が開始される。そして、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が完了したことに応じて、第1の電池ユニットBA1~BAnが直流端子T2から切り離される一方で、第2の電池ユニットBB1~BBmが直流端子T2に接続されて、第2の電池ユニットBB1~BBmの充電が開始される。そして、第2の電池ユニットBB1~BBmの充電が完了した後に、第1の電池ユニットBA1~BAnが再び直流端子T2に接続されることにより、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmの全てが互いに並列に接続された状態となる。
【0106】
この状態において、商用交流電源6の停電が発生したことが判別された場合には、制御装置5は、直流ライン9の直流電圧VDが参照電圧VDrになるように双方向チョッパ2を制御する。双方向チョッパ2は、蓄電装置7の直流電力を、直流ライン9を介してインバータ3に供給する。電池ユニットBA,BBが放電状態になったことに応じて、時刻t4において、放電検出部112の出力信号DET1がLレベルからHレベルに変化する。
【0107】
信号DET1がLレベルからHレベルに変化したことに応答して、時刻t4以降においても、Hレベルの信号SA1~SAn,SB1~SBm(オン指令)が生成される。これにより、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmに蓄えられた電力を利用して負荷8への給電を継続させることができる。
【0108】
このように実施の形態1では、蓄電装置7を充電する場面において、第1の電池ユニットBA1~BAnを第2の電池ユニットBB1~BBmよりも優先的に充電する構成としたことにより、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmを一括して充電する構成と比較して、第1の電池ユニットBA1~BAnの各々に流れる電池電流IBA(すなわち、充電電流)を、(n+m)/n倍に増やすことができる。これにより充電速度を上昇させることができるため、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電開始から充電が完了するための充電時間(
図5の時刻t1~t2の期間に相当)を短縮することができる。
【0109】
上述したように、第1の電池ユニットBA1~BAnは、常用電池ユニット70であり、その個数nは、商用交流電源6の停電時に、UPS10が予め定められたバックアップ時間を遵守することができるように、負荷8の大きさに応じて設定されている。常用電池ユニット70の充電を短時間で完了させることにより、蓄電装置7の充電中(
図5の時刻t1~t3の期間に相当)に、商用交流電源6の停電が発生した場合においても、常用電池ユニット70に蓄えられた電力を利用して負荷8への給電を継続させることができる。特に、商用交流電源6の停電発生時に常用電池ユニット70の充電が完了していれば、蓄電装置7の充電中であっても、UPS10はバックアップ時間を遵守することができる。
【0110】
また、蓄電装置7の充電中に第2の電池ユニットBB1~BBm(冗長電池ユニット72)の一部が故障し、故障した電池ユニットBBが直流端子T2から切り離された場合であっても、常用電池ユニット70に蓄えられた電力を利用してUPS10はバックアップ時間を遵守することができる。
【0111】
ここで、実施の形態1とは対照的に、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmをUPS10の直流端子T2に互いに並列接続して、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmを一括して充電する場合を想定する。
【0112】
この場合、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmの各々に流れる電池電流IBは、電池ユニットの個数(n+m)に反比例して減少するため、充電速度が低下し、結果的に電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmの充電時間が長くなる。この長い充電時間の間に、冗長電池ユニット72の一部が故障して直流端子T2から切り離された場合には、商用交流電源6の停電発生に応じて、充電中の残りの電池ユニットに蓄えられた電力を利用して負荷8への給電を継続させる必要が生じる。ただし、充電速度が遅いために、常用電池ユニット70に蓄えられた電力量が少ない場合には、UPS10がバックアップ時間を遵守することが困難となる可能性が懸念される。実施の形態1によれば、このような懸念点を解消することができる。
【0113】
(第2の動作例)
図6は、蓄電装置7の第2の動作例を説明するためのタイミング図である。
図6には、
図3に示した監視装置74において生成される信号S1~S6,DET1,DET2、および制御指令SA1~SAn,SB1~SBmの各々の波形が示されている。
【0114】
以下、第2の動作例を時系列順に説明する。第2の動作例は、
図5に示した第1の動作例とは、蓄電装置7の放電が開始されるタイミングが異なる。
【0115】
図5と同じ時刻t1において、Hレベルの信号SA1~SAn(オン指令)が生成されると、第1の電池ユニットBA1~BAnは、UPS10の直流端子T2に互いに並列に接続される。商用交流電源6の健全時には、双方向チョッパ2が、コンバータ1から直流ライン9を介して蓄電装置7に直流電力を供給することにより、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が開始される。
【0116】
第1の電池ユニットBA1~BAnの充電中に、商用交流電源6の停電が発生したことが判別された場合には、双方向チョッパ2は、蓄電装置7の直流電力を、直流ライン9を介してインバータ3に供給する。電池ユニットBA1~BAnが放電状態になったことに応じて、時刻t11において、放電検出部112の出力信号DET1がLレベルからHレベルに変化する。
【0117】
信号DET1がLレベルからHレベルに変化したことに応答して、OR回路106の出力信号S6がLレベルからHレベルに変化する。これにより、Hレベルの信号SB1~SBm(オン指令)が生成される。これにより、第2の電池ユニットBB1~BBmは、UPS10の直流端子T2に互いに並列に接続される。その結果、時刻t11以降において、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmに蓄えられた電力を利用して負荷8への給電が継続される。
【0118】
商用交流電源6が健全な状態に復帰すると(商用交流電源6が復電すると)、双方向チョッパ2は、コンバータ1から直流ライン9を介して蓄電装置7に直流電力を供給する。電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmが放電状態から充電状態に切り替えられたことに応じて、時刻t12において、放電検出部112の出力信号DET1がHレベルからLレベルに変化する。
【0119】
信号DET1がHレベルからLレベルに変化したことに応答して、OR回路106の出力信号S6がHレベルからLレベルに変化する。これにより、Lレベルの信号SB1~SBm(オフ指令)が生成される。第2の電池ユニットBB1~BBmの各々のBMU26は、監視装置74からのLレベルの信号SB1~SBm(オフ指令)に応答して、対応するスイッチ22をオフさせる。これにより、第2の電池ユニットBB1~BBmは、UPS10の直流端子T2から切り離される。その結果、時刻t12において、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が再開される。
【0120】
第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が完了したと判断されると、
図5と同じ時刻t2において、Lレベルの信号SA1~SAn(オフ指令)が生成される。第1の電池ユニットBA1~BAnが直流端子T2から切り離されることにより、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電が終了する。
【0121】
また時刻t2において、Hレベルの信号SB1~SBm(オン指令)が生成されることにより、第2の電池ユニットBB1~BBmが直流端子T2に互いに並列に接続され、第2の電池ユニットBB1~BBmの充電が開始される。
【0122】
以上のように、第1の電池ユニットBA1~BAnの充電中に、商用交流電源6の停電が発生したことが判別された場合には、第2の電池ユニットBB1~BBmをUPS10の直流端子T2に接続することにより、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmに蓄えられた電力を利用して負荷8への給電を継続させることができる。したがって、第1の電池ユニットBA1~BAn(常用電池ユニット70)に蓄えられた電力量が少ない状況においても、第2の電池ユニットBB1~BBm(冗長電池ユニット72)に蓄えられた電力を利用して負荷8への給電を継続させることができる。
【0123】
(第3の動作例)
図7は、蓄電装置7の第3の動作例を説明するためのタイミング図である。
図7には、
図3に示した監視装置74において生成される信号S1~S6,DET1,DET2、および制御指令SA1~SAn,SB1~SBmの各々の波形が示されている。
【0124】
以下、第3の動作例を時系列順に説明する。第3の動作例は、
図5に示した第1の動作例とは、第2の電池ユニットBB1~BBmの充電が完了した後の時刻t5において、蓄電装置7の故障が検出されている点が異なる。
【0125】
図5と同じ時刻t3において、OR回路98の出力信号S2がHレベルからLレベルに変化したことに応答して、OR回路100の出力信号S3がLレベルからHレベルに変化することにより、再びHレベルの信号SA1~SAn(オン指令)が生成される。これにより、第1の電池ユニットBA1~BAnは、UPS10の直流端子T2に互いに並列に接続される。
【0126】
時刻t3において、信号S3がLレベルからHレベルに変化したことに応答して、時刻t3以降もOR回路106の出力信号S6はHレベルに保たれため、Hレベルの信号SB1~SBm(オン指令)が生成される。これにより、第2の電池ユニットBB1~BBmは、UPS10の直流端子T2に互いに並列に接続される。
【0127】
この状態で、蓄電装置7の故障が検出された場合には、時刻t5において、故障検出部114の出力信号DET2がLレベルからHレベルに変化する。信号DET2がLレベルからHレベルに変化したことに応じて、AND回路108の出力信号SA1~SAnおよびAND回路110の出力信号SB1~SBmはHレベルからLレベルに変化する。Lレベルの信号SA1~SAn,SB1~SBm(オフ指令)に応答して、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmが直流端子T2から切り離される。
【0128】
以上のように、UPS10の運用中に蓄電装置7の故障が検出された場合には、監視装置74は、電池ユニットBA1~BAn,BB1~BBmをUPS10の直流端子T2から切り離す。これによると、蓄電装置7の故障によって電源システムの正常動作が妨げられることを未然に回避することができる。
【0129】
[実施の形態2]
実施の形態2では、蓄電装置7に含まれる監視装置74の他の構成例について説明する。実施の形態2に係る蓄電装置7の構成は、監視装置74の構成を除いて、実施の形態1に係る蓄電装置7と同じであるため、図示および説明を省略する。
【0130】
図8は、実施の形態2に係る蓄電装置7に含まれる監視装置74の構成例を示す回路ブロック図である。実施の形態2に係る監視装置74は、
図3に示した監視装置74とは、放電検出部112に代えて、状態検出部116を有する点が異なる。
【0131】
UPS10の制御装置5は、商用交流電源6から供給される交流入力電圧VIの瞬時値に基づいて、商用交流電源6の停電の発生の有無を判別する。制御装置5は、例えば、交流入力電圧VIが下限値よりも高い場合には、商用交流電源6から交流電圧VIが正常に供給されていると判別し、交流入力電圧VIが下限値よりも低下した場合には、商用交流電源6の停電が発生したと判別する。制御装置5は、判別結果を示す信号を監視装置74に送信する。
【0132】
状態検出部116は、制御装置5と通信接続されており、制御装置5から判別結果を示す信号を受信する。状態検出部116は、受信した信号に基づいて、商用交流電源6の状態を検出し、検出結果を示す信号DET3を出力する。具体的には、状態検出部116は、商用交流電源6の健全時にはLレベルの信号DET3を出力し、商用交流電源6の停電時にはHレベルの信号DET3を出力する。
【0133】
OR回路104は、第1入力端子にOR回路96の出力信号S1を受け、第2入力端子にAND回路100の出力信号S3を受け、第3入力端子に状態検出部116の出力信号DET3を受ける。信号S1,S3,DET3の少なくとも1つがHレベルのときに、OR回路104はHレベルの信号S5を出力する。信号S1,S3,DET3が何れもLレベルのときに、OR回路104はLレベルの信号S5を出力する。
【0134】
これによると、(i)第1の電池ユニットBAの充電が必要である、または、第1の電池ユニットBAが充電中であると判断されるとき(S1=H)、(ii)電池ユニットBA,BBの何れも充電が不要である、または、電池ユニットBA,BBの充電が完了していると判断されるとき(S3=H)、(iii)商用交流電源6の停電が発生したと判定されたとき(DET3=H)、の何れかが成立する場合に、OR回路104の出力信号S5はHレベルとなる。反対に、上記(i)~(iii)の何れも成立しない場合には、OR回路104の出力信号S5はLレベルとなる。
【0135】
OR回路106は、第1入力端子にAND回路100の出力信号S3を受け、第2入力端子にAND回路102の出力信号S4を受け、第3入力端子に状態検出部116の出力信号DET3を受ける。信号S3,S4,DET3の少なくとも1つがHレベルのときに、OR回路106はHレベルの信号S6を出力する。信号S3,S4,DET3が何れもLレベルのときに、OR回路106はLレベルの信号S5を出力する。
【0136】
これによると、(ii)電池ユニットBA,BBの何れも充電が不要である、または、電池ユニットBA,BBの充電が完了していると判断されるとき(S3=H)、(iii)商用交流電源6の停電が発生したと判定されたとき(DET3=H)、(iv)第1の電池ユニットBAの充電が不要である、または、第1の電池ユニットBAの充電が完了しており、かつ、第2の電池ユニットBBの充電が必要である、または、第2の電池ユニットBBが充電中であると判断されるとき(S4=H)、の何れかが成立する場合に、OR回路106の出力信号S6はHレベルとなる。反対に、上記(ii)~(iv)の何れも成立しない場合には、OR回路106の出力信号S6はLレベルとなる。
【0137】
AND回路108は、OR回路104の出力信号S5と、故障検出部114の出力信号DET2の反転信号との論理積を算出し、算出結果を示す信号SA1~SAnを出力する。具体的には、AND回路108は、信号S5がHレベルであり、信号DET2がLレベルのときに、Hレベルの信号SA1~SAn(オン指令)を出力する。すなわち、(i)第1の電池ユニットBAの充電が必要である、または、第1の電池ユニットBAが充電中であると判断されるとき(S1=H)、(ii)電池ユニットBA,BBの何れも充電が不要である、または、電池ユニットBA,BBの充電が完了していると判断されるとき(S3=H)、(iii)商用交流電源6の停電が発生したと判定されたとき(DET3=H)、の何れかが成立し、かつ、(v)蓄電装置7が正常であると判断されたとき(DET2=L)、AND回路108は、Hレベルの信号SA1~SAn(オン指令)を出力する。反対に、上記(i)~(iii)の何れも成立しない、または、(vi)蓄電装置7の故障が検出されたとき(DET2=H)、AND回路108は、Lレベルの信号SA1~SAn(オフ指令)を出力する。
【0138】
AND回路110は、OR回路106の出力信号S6と、故障検出部114の出力信号DET2の反転信号との論理積を算出し、算出結果を示す信号SB1~SBmを出力する。具体的には、AND回路110は、信号S6がHレベルであり、信号DET2がLレベルのときに、Hレベルの信号SB1~SBm(オン指令)を出力する。すなわち、(ii)電池ユニットBA,BBの何れも充電が不要である、または、電池ユニットBA,BBの充電が完了していると判断されるとき(S3=H)、(iii)商用交流電源6の停電が発生したと判定されたとき(DET3=H)、(iv)第1の電池ユニットBAの充電が不要である、または、第1の電池ユニットBAの充電が完了しており、かつ、第2の電池ユニットBBの充電が必要である、または、第2の電池ユニットBBが充電中であると判断されるとき(S4=H)、の何れかが成立し、かつ、(v)蓄電装置7が正常であると判断されたとき(DET2=L)、AND回路110は、Hレベルの信号SB1~SBm(オン指令)を出力する。反対に、上記(ii)~(iv)の何れも成立しない、または、(vi)蓄電装置7の故障が検出されたとき(DET2=H)、AND回路110は、Lレベルの信号SB1~SBm(オフ指令)を出力する。
【0139】
以上説明したように、実施の形態2では、監視装置74は、第1の電池ユニットBA1~BAnの電池電圧VBAおよび電池電流IBAと、第2の電池ユニットBB1~BBmの電池電圧VBBおよび電池電流IBBと、制御装置5から与えられる、商用交流電源6の停電の発生の有無を示す信号とに基づいて、第1の電池ユニットBA1~BAnのスイッチ22をオンオフするための制御指令SA1~SAnと、第2の電池ユニットBB1~BBmのスイッチ22をオンオフするための制御指令SB1~SBmとを生成するように構成されている。
【0140】
実施の形態2に係る蓄電装置7の動作は、
図6から
図8に示した動作例のタイミング図において、放電検出部112の出力信号DET1の波形を、状態検出部116の出力信号DET3の波形に置き換えたものとなる。
【0141】
上述したように、商用交流電源6の停電時には、双方向チョッパ2が蓄電装置7の直流電力を、直流ライン9を介してインバータ3に供給するため、電池ユニットBA,BBは放電状態となる。すなわち、信号DET3がLレベルからHレベルに変化するタイミングは、信号DET1がLレベルからHレベルに変化するタイミングと一致するため、信号DET1,DET3の波形は互いに等しくなる。したがって、実施の形態2に係る蓄電装置7の動作は、実施の形態1に係る蓄電装置7の動作と同じとなる。実施の形態2においても、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0142】
なお、上述した実施の形態1および2では、蓄電装置7が接続される電源装置として、UPS10を例示したが、電源装置はUPS10に限定されるものではない。例えば、電源装置として、MPC(Multiple Power Compensator)を適用することが可能である。
【0143】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0144】
1 コンバータ、2 双方向チョッパ、3 インバータ、4 操作部、5 制御装置、6 商用交流電源、7 蓄電装置、8 負荷、10 UPS、20 電池セル、22 スイッチ、24 電流センサ、26 BMU、70 常用電池ユニット、72 冗長電池ユニット、74 監視装置、80,84 電圧演算部、82,86 電流演算部、88,90,92,94 比較器、96,98,104,106 OR回路、100,102,108,110 AND回路、112 放電検出部、114 故障検出部、116 状態検出部、T1 入力端子、T2 直流端子、T3 出力端子、BA,BA1~BAn 第1の電池ユニット、BB,BB1~BBm 第2の電池ユニット。