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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067774
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】脱硝制御装置及び脱硝装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/90 20060101AFI20240510BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B01D53/90 ZAB
B01D53/86 222
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178098
(22)【出願日】2022-11-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「グリーンイノベーション基金事業/燃焼アンモニアサプライチェーンの構築アンモニアの発電利用における高混焼化・専焼化石炭ボイラにおけるアンモニア高混焼技術(専焼技術を含む)の開発・実証/アンモニア専焼バーナを活用した火力発電所における高混焼実機実証」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】冨永 幸洋
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 明正
(72)【発明者】
【氏名】富澤 直季
(72)【発明者】
【氏名】嶺 聡彦
(72)【発明者】
【氏名】山内 康弘
(72)【発明者】
【氏名】竹井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】甘利 猛
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】浦方 悠一郎
(72)【発明者】
【氏名】大浦 康二
【テーマコード(参考)】
4D148
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC03
4D148AC04
4D148CC61
4D148CD03
4D148CD10
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA05
4D148DA08
4D148DA09
4D148DA10
4D148EA07
(57)【要約】
【課題】脱硝装置の下流に流出するアンモニアを抑制する。
【解決手段】本開示の少なくとも一実施形態に係る脱硝制御装置は、アンモニアを燃料とする燃焼装置から排出される排ガスから窒素酸化物を除去するため脱硝反応器を備える脱硝装置の制御装置である。本開示の少なくとも一実施形態に係る脱硝制御装置は、未燃アンモニアを考慮した還元剤の過剰量に基づいて、還元剤の投入量を算出する投入量算出部、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを燃料とする燃焼装置から排出される排ガスから窒素酸化物を除去するため脱硝反応器を備える脱硝装置の制御装置であって、
未燃アンモニアを考慮した還元剤の過剰量に基づいて、前記還元剤の投入量を算出する投入量算出部、
を備える、
脱硝制御装置。
【請求項2】
前記脱硝反応器に流入する前記未燃アンモニアの流量を取得するように構成された未燃アンモニア流量取得部、
を備え、
前記投入量算出部は、前記未燃アンモニア流量取得部で取得した前記未燃アンモニアの流量に基づいて、前記還元剤の投入量を算出する、
請求項1に記載の脱硝制御装置。
【請求項3】
前記脱硝反応器に流入する前記排ガスに含まれる前記未燃アンモニアの濃度を検出可能な未燃アンモニア濃度取得部、
を備え、
前記未燃アンモニア流量取得部は、前記未燃アンモニア濃度取得部で取得した前記未燃アンモニアの濃度と、前記脱硝反応器に流入する前記排ガスの流量とに基づいて前記未燃アンモニアの流量を取得する、
請求項2に記載の脱硝制御装置。
【請求項4】
前記燃焼装置における火炎を撮像可能な撮像装置と、
前記撮像装置で撮像した前記火炎の画像から前記脱硝反応器に流入する前記排ガスに含まれる前記未燃アンモニアの濃度を推定する未燃アンモニア濃度推定部と、
を備え、
前記未燃アンモニア流量取得部は、前記未燃アンモニア濃度推定部で推定した前記未燃アンモニアの濃度と、前記脱硝反応器に流入する前記排ガスの流量とに基づいて前記未燃アンモニアの流量を取得する、
請求項2に記載の脱硝制御装置。
【請求項5】
前記脱硝反応器から流出する前記排ガスに含まれる排出アンモニアの濃度を取得する排出アンモニア濃度取得部、
を備え、
前記未燃アンモニア流量取得部は、前記排出アンモニア濃度取得部で取得した前記排出アンモニアの濃度と、前記脱硝反応器から流出する前記排ガスの流量とに基づいて前記未燃アンモニアの流量を取得する、
請求項2に記載の脱硝制御装置。
【請求項6】
前記脱硝反応器から流出する前記排ガスに含まれる排出NOの濃度を取得する排出NO濃度取得部と、
前記排出NO濃度取得部で取得した前記排出NOの濃度に基づいて前記還元剤の投入量の補正量を算出する補正量算出部と、
を備える、
請求項5に記載の脱硝制御装置。
【請求項7】
前記脱硝反応器から流出する前記排ガスに含まれる排出NOの濃度を取得する排出NO濃度取得部と、
前記排出NO濃度取得部で取得した前記排出NOの濃度と、前記排出NOの濃度の目標値との差分を算出する差分算出部と、
を備え、
前記未燃アンモニア流量取得部は、前記差分算出部で算出した前記差分に基づいて前記未燃アンモニアの流量を取得する、
請求項2に記載の脱硝制御装置。
【請求項8】
前記未燃アンモニア流量取得部は、前記排ガスの流れに直交する前記脱硝反応器の断面を分割して得られる複数の区画の各々に流入する前記未燃アンモニアの流量を取得するように構成され、
前記投入量算出部は、前記複数の区画の各々に投入する前記還元剤の投入量を算出する、
請求項2又は3に記載の脱硝制御装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の脱硝制御装置と、
前記脱硝反応器と、
前記排ガス中に前記還元剤を投入するための還元剤投入部と、
を備える、
脱硝装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脱硝制御装置及び脱硝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置からの排ガスに含まれる窒素酸化物(NO)を、還元剤と反応させて無害な窒素と水に分解することにより除去又は低減する脱硝装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ボイラからの排ガス中に還元剤としてのアンモニアを注入するアンモニア注入装置と、排ガス流路においてアンモニア注入装置の下流側に設けられる脱硝触媒と、アンモニア注入装置からのアンモニア注入量を調節するための調節手段と、を備えた脱硝システムが開示されている。上述の調節手段は、脱硝触媒の出口側での排ガス流路断面におけるNO濃度分布に基づいて、脱硝が不十分の領域(即ちNO濃度が比較的高い領域)により多くのアンモニアが供給されるように、還元剤供給量を調節するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-100630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような脱硝装置では、還元剤の供給量が過剰であると脱硝装置の下流にアンモニアが流出するおそれがある。脱硝装置の下流にアンモニアが流出すると、酸性硫安の発生による閉塞や腐食等のリスクが生じる。そのため、脱硝装置の下流に流出するアンモニアをできるだけ抑制することが求められる。
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、脱硝装置の下流に流出するアンモニアを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る脱硝制御装置は、
アンモニアを燃料とする燃焼装置から排出される排ガスから窒素酸化物を除去するため脱硝反応器を備える脱硝装置の制御装置であって、
未燃アンモニアを考慮した還元剤の過剰量に基づいて、前記還元剤の投入量を算出する投入量算出部、
を備える。
【0008】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係る脱硝装置は、
上記(1)の構成の脱硝制御装置と、
前記脱硝反応器と、
前記排ガス中に前記還元剤を投入するための還元剤投入部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、脱硝装置の下流に流出するアンモニアを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】燃焼装置の一例としての本実施形態のアンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料を主燃料とするボイラを備えるボイラシステムを表す概略構成図である。
図2】排ガスの流れに直交する脱硝反応器の断面を分割して得られる複数の区画について説明するための模式的な図である。
図3】第1実施形態に係る脱硝制御装置による還元剤の投入量の制御ブロック図である。
図4】第1実施形態に係る脱硝制御装置におけるセンサの配置を模式的に示す図であり、区画の1つ分について示している。
図5】第2実施形態に係る脱硝制御装置による還元剤の投入量の制御ブロック図である。
図6】第3実施形態に係る脱硝制御装置による還元剤の投入量の制御ブロック図である。
図7】第2実施形態及び第3実施形態に係る脱硝制御装置におけるセンサの配置を模式的に示す図であり、区画の1つ分について示している。
図8】第4実施形態に係る脱硝制御装置による還元剤の投入量の制御ブロック図である。
図9】第4実施形態に係る脱硝制御装置におけるセンサの配置を模式的に示す図であり、区画の1つ分について示している。
図10】入口NH濃度の予測モデルを用いた入口NH濃度(未燃アンモニア濃度)の推定についてのブロック図である。
図11】入口NO濃度の予測モデルを用いた入口NO濃度の推定についてのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0012】
<1.ボイラシステム1の全体的な構成>
図1は、燃焼装置の一例としての本実施形態のアンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料を主燃料とするボイラを備えるボイラシステム1を表す概略構成図である。
【0013】
本実施形態のボイラシステム1が備えるボイラ10は、アンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料とをバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能なボイラである。他燃料として、例えばバイオマス燃料や石炭などの固体燃料が使用される。固体燃料は、例えば石炭を微粉砕した微粉炭燃料である。また、アンモニア燃料は、アンモニアを含む液体または気体である。
【0014】
ボイラ10は、火炉11と燃焼装置20、50と燃焼ガス通路12を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11の内壁面を構成する火炉壁101は、複数の伝熱管と、伝熱管同士を接続するフィンとで構成され、燃料の燃焼により発生した熱を、伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して回収すると共に、火炉壁101の温度上昇を抑制している。
【0015】
燃焼装置20、50は、火炉11の下部領域に設置されている。本実施形態では、燃焼装置20は、微粉炭燃料を火炉11の内部に噴射するように構成される。また、燃焼装置50は、アンモニア燃料を火炉11の内部に噴射するように構成される。
【0016】
燃焼装置20は、火炉壁101に装着された複数のバーナ21を有し、燃焼装置50は、複数のアンモニアバーナ(アンモニア燃焼バーナ)51を有している。各々のバーナ21の先端部には、微粉炭燃料を火炉11内に噴射するように構成された噴射ノズル(図示外)が設けられる。また、各々のアンモニアバーナ51には、アンモニア噴射ノズル(図示外)が設けられる。
【0017】
バーナ21とアンモニアバーナ51は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたもの(例えば、四角形の火炉11の各コーナ部に設置された4個)を1セットとして、鉛直方向に沿って複数段配置されている。図1の例では、1セットのバーナ21が2段、1セットのアンモニアバーナ51が4段配置される。なお、図1では、図示の都合上、1セットのバーナのうちの2個のみを記載し、各セットに符合21、51を付している。火炉の形状やバーナの段数、一つの段におけるバーナの数、バーナの配置などは、この実施形態に限定されるものではない。
また、本実施形態の火炉11における燃焼方式は、コーナ部にバーナが設置され、火炉11内部でらせん状に旋回する火炎を形成する旋回燃焼方式であるが、他の燃焼方式であってもよい。採用される燃焼方式に応じて、火炉11の形状と、複数のバーナ21及び複数のアンモニアバーナ51の配置はいずれも適宜変更されてよい。他の燃焼方式としては、例えば、火炉11の対向する1対の炉壁の双方にバーナが設置される対向燃焼方式である。
【0018】
燃焼装置20のバーナ21は、それぞれ、複数の微粉炭燃料供給管22A、22B(以下、一括して「微粉炭燃料供給管22」と記載する場合がある。)を介して、複数のミル(粉砕機)31A、31B(以下、一括して「ミル31」と記載する場合がある。)に連結されている。ミル31は、例えば、内部に粉砕テーブル(図示省略)が駆動回転可能に支持されていて、粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラ(図示省略)が粉砕テーブルの回転に連動回転可能に支持されて構成されている竪型ローラミルである。粉砕ローラと粉砕テーブルが協働して粉砕された固体燃料は、ミル31に供給される一次空気(搬送用ガス、酸化性ガス)により、ミル31が備える分級機(図示省略)に搬送される。分級機では、バーナ21での燃焼に適した粒径以下の微粉炭燃料と、該粒径より大きな粗粉炭燃料とに分級される。微粉炭燃料は、分級機を通過して、一次空気と共に微粉炭燃料供給管22を介してバーナ21に供給される。分級機を通過しなかった粗粉炭燃料は、ミル31の内部で、自重により粉砕テーブル上に落下し、再粉砕される。
【0019】
ミル31に供給される上述の一次空気(搬送用ガス、酸化性ガス)は、外気を取り込む1次空気通風機33(PAF:Primary Air Fan)から空気管30を介してミル31に送出される。空気管30は、1次空気通風機33から送出された空気のうちエアヒータ(空気予熱器)42で加熱された熱空気が流れる熱空気誘導管30Aと、1次空気通風機33から送出された空気のうちエアヒータ42を経由しない常温に近い冷空気が流れる冷空気誘導管30Bと、熱空気と冷空気が合流して流れるための搬送用ガス流路30Cとを備える。
【0020】
燃焼装置50のアンモニアバーナ51は、アンモニア燃料供給ユニット90に連結されている。本実施形態のアンモニア燃料供給ユニット90は、アンモニアタンク91と、アンモニアタンク91に貯留されるアンモニア燃料(例えば液体アンモニア)をボイラ10の燃焼装置50に供給するためのアンモニア燃料供給管92とを備える。アンモニアガス噴射方式が採用される場合、液体アンモニアに気化処理を施すための気化器(図示外)がアンモニア燃料供給ユニット90に設けられてもよい。また、液体アンモニア噴射方式が採用される場合、アンモニア燃料供給ユニット90は、燃焼装置50に液体アンモニアを微粒化するためのアトマイズ流体を供給するアトマイズ流体供給管(図示外)をさらに備えてもよい。
【0021】
バーナ21とアンモニアバーナ51の装着位置における火炉11の炉外側には、エアレジスタ(風箱)23が設けられており、このエアレジスタ23には風道(空気ダクト)24の一端部が連結されている。風道24の他端部には、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32が連結されている。押込通風機32から供給された空気は、風道24に設置された空気予熱器42で加熱され、エアレジスタ23を介してバーナ21に二次空気(燃焼用空気、酸化性ガス)として供給され、及びアンモニアバーナ51に燃焼用空気(酸化性ガス)として供給され、火炉11の内部に投入される。
【0022】
燃焼ガス通路12は、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路12には、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102A、102B、102C(以下、一括して「過熱器102」と記載する場合がある。)、再熱器103A、103B(以下、一括して「再熱器103」と記載する場合がある。)、節炭器104が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。なお、各熱交換器の配置や形状は、図1に記載した形態に限定されない。
【0023】
燃焼ガス通路12の下流側には、熱交換器で熱回収された燃焼ガスが排出される煙道13が連結されている。煙道13には、風道24との間に空気予熱器(エアヒータ)42が設けられており、風道24を流れる空気と、煙道13を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、ミル31に供給する一次空気やバーナ21とアンモニアバーナ51に供給する燃焼用空気を加熱することで、水や蒸気との熱交換後の燃焼ガスから、さらに熱回収を行う。
【0024】
本実施形態のボイラシステム1は、脱硝装置70を備えている。脱硝装置70は、脱硝反応器71と、還元剤投入部73と、脱硝制御装置77とを有する。
脱硝反応器71は、煙道13において空気予熱器42よりも上流側の位置に設けられている。脱硝反応器71は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を、煙道13内を流通する燃焼ガス(排ガス)に供給し、還元剤が供給された排ガス中の窒素酸化物(NO)と還元剤との反応を、脱硝反応器71内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、排ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
【0025】
還元剤投入部73は、脱硝反応器71よりも上流側の位置で還元剤を煙道13内に投入するための投入ノズル74と、投入ノズル74からの還元剤の投入量を調節するための流量調節弁75とを備えている。
投入ノズル74、及び流量調節弁75は、後述するように複数設けられている。
【0026】
脱硝制御装置77は、各流量調節弁75の開度を制御することで各流量調節弁75を流れる還元剤の流量を調節して、煙道13内への還元剤の投入量を制御するための制御装置である。脱硝制御装置77は、例えばプロセッサ(CPU等)、記憶装置(メモリデバイス;RAM等)、補助記憶部及びインターフェース等を備えた計算機を含む。
脱硝制御装置77による煙道13内への還元剤の投入量の制御の内容については、後で説明する。
【0027】
煙道13の空気予熱器42より下流側には、ガスダクト41が連結されている。ガスダクト41には、排ガス中の灰などを除去する電気集じん機などの集じん装置44や硫黄酸化物を除去する脱硫装置46などの環境装置、また、それらの環境装置に排ガスを導くための誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45が設けられている。ガスダクト41の下流端部は、煙突47に連結されており、環境装置で処理された排ガスが系外に排出される。
【0028】
ボイラ10において、複数のミル31が駆動すると、粉砕、分級された微粉炭燃料が、一次空気と共に微粉炭燃料供給管22を介してバーナ21に供給される。また、アンモニア燃料供給ユニット90からアンモニア燃料がアンモニアバーナ51に供給される。さらに、空気予熱器42で加熱された二次空気が、風道24からエアレジスタ23を介してバーナ21とアンモニアバーナ51とに供給される。
バーナ21は、微粉炭燃料と一次空気とが混合した微粉炭燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に、二次空気を火炉11に吹き込む。火炉11に吹き込まれた微粉炭燃料混合気が着火し、二次空気と反応することで火炎を形成する。アンモニアバーナ51は、アンモニア燃料と共に燃焼用空気を火炉11に吹き込む。火炉11に吹き込まれたアンモニア燃料は、燃焼用空気と反応して燃焼する。
微粉炭燃料とアンモニア燃料の燃焼により生じる高温の燃焼ガスは、火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路12に流入する。
なお、アンモニア燃料が火炉11に吹き込まれるタイミングは、微粉炭燃料の燃焼によって火炉11内の温度が一定温度まで上昇した後であってもよい。例えば、ボイラ10の起動時に微粉炭燃料の専焼が行われたのち、アンモニア燃料が火炉11に吹き込まれ、アンモニア燃料と微粉炭燃料とのアンモニア混焼が行われてもよい。さらにその後、微粉炭燃料の吹き込みを停止し、アンモニア専焼が行われてもよい。
また、本実施形態では、酸化性ガス(一次空気、二次空気、燃焼用空気)として空気を用いるが、空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、供給される燃料量に対する酸素量の比率を適正な範囲に調整することで、火炉11において安定した燃焼が実現される。
【0029】
燃焼ガス通路12に流入した燃焼ガスは、燃焼ガス通路12の内部に配置された過熱器102、再熱器103、節炭器104で水や蒸気と熱交換した後、煙道13に排出され、脱硝装置70で窒素酸化物が除去され、空気予熱器42で一次空気、二次空気及び燃焼用空気と熱交換した後、脱硝反応器71で窒素酸化物が除去され、さらにガスダクト41に排出され、集じん装置44で灰などが除去され、脱硫装置46で硫黄酸化物が除去された後、煙突47から系外に排出される。なお、燃焼ガス通路12における各熱交換器及び煙道13からガスダクト41における各装置の配置は、燃焼ガス(排ガス)の流れに対して、必ずしも上述の記載順に配置されなくともよい。
【0030】
なお、本開示のボイラは上述した実施形態に限定されない。ボイラに使用される固体燃料としては、石炭である代わりにまたは石炭と共に、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)燃料、石油残渣などが使用されてもよい。
また、アンモニア燃料と組み合わせるボイラの燃料としては、固体燃料に限らず、重油、軽油、重質油などの石油類や工場廃液などの液体燃料も使用することができる。また、天然ガスや各種石油ガス、製鉄プロセスなどで発生する副生ガスなどの気体燃料も使用することができる。
さらに、これらの各種燃料を組み合わせて使用する混焼ボイラにも適用することができる。
【0031】
上述したように、本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10は、火炉壁101を含む火炉11と、火炉壁101に設けられたアンモニアバーナ51と、火炉壁101のアンモニアバーナ51とは異なる位置に設けられ、微粉炭を燃焼させる微粉炭バーナとしてのバーナ21とを備える。
これにより、本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10からのNOの排出量を抑制できる。
なお、バーナ21は、アンモニア燃料以外の他燃料を燃焼させる他燃料バーナであってもよい。
また、本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ10は、アンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料を燃焼させる混焼ボイラであってもよく、アンモニア燃料だけを燃焼させるアンモニア専焼ボイラであってもよい。なお、アンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料を燃焼させる場合、他燃料は1種類に限らず複数種類であってもよい。
【0032】
<脱硝装置70の投入ノズル74及び流量調節弁75について>
図2は、排ガスの流れに直交する脱硝反応器71の断面を分割して得られる複数の区画について説明するための模式的な図である。
本実施形態のボイラシステム1では、排ガスの流れに直交する脱硝反応器71の断面を仮想的に格子状に分割して複数の区画81を定める。図2に示す例では、例えば3行8列の計24の区画81に分割されているが、分割数は図2の例に限定されない。
本実施形態のボイラシステム1では、区画81毎に還元剤の投入量を調節可能にするために、投入ノズル74は、複数の区画81のそれぞれに対応するように複数設けられている。また、流量調節弁75は、複数の投入ノズル74のそれぞれに対応するように複数設けられている。
【0033】
<還元剤の過剰投入について>
還元剤の投入量が過少であると、脱硝反応器71から排出される排ガス中のNOの濃度が増えてしまう。逆に、還元剤の投入量が過剰であると、未反応のアンモニアが脱硝反応器71から排出されてしまう。脱硝反応器71の下流にアンモニアが流出すると、酸性硫安の発生による閉塞や腐食等のリスクが生じる。そのため、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアをできるだけ抑制することが求められる。
脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアには、投入された還元剤に由来するアンモニアの他、本実施の形態のボイラ10のようにアンモニアを燃料とする場合には、排ガス中に含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)に由来するアンモニアが含まれる。
このリークアンモニア(未燃アンモニア)を考慮せずに還元剤を投入してしまうと、リークアンモニア(未燃アンモニア)も脱硝反応器において脱硝に用いられるため、投入した還元剤が過剰となって、脱硝反応器71の下流にアンモニアが流出するおそれがある。
そこで、本実施の形態の脱硝制御装置77では、排ガス中に含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)を考慮して還元剤の投入量を設定するようにしている。以下、本実施の形態の脱硝制御装置77における還元剤の投入量の制御について説明する。
【0034】
<還元剤の投入量の制御について>
図3は、第1実施形態に係る脱硝制御装置77による還元剤の投入量の制御ブロック図である。
図4は、第1実施形態に係る脱硝制御装置77におけるセンサの配置を模式的に示す図であり、区画81の1つ分について示している。
図5は、第2実施形態に係る脱硝制御装置77による還元剤の投入量の制御ブロック図である。
図6は、第3実施形態に係る脱硝制御装置77による還元剤の投入量の制御ブロック図である。
図7は、第2実施形態及び第3実施形態に係る脱硝制御装置77におけるセンサの配置を模式的に示す図であり、区画81の1つ分について示している。
図8は、第4実施形態に係る脱硝制御装置77による還元剤の投入量の制御ブロック図である。
図9は、第4実施形態に係る脱硝制御装置77におけるセンサの配置を模式的に示す図であり、区画81の1つ分について示している。
【0035】
<第1実施形態から第4実施形態に係る脱硝制御装置77に共通する構成>
図3図5図6、及び図8に示すように、幾つかの実施形態に係る脱硝制御装置77は、不図示のプロセッサによるプログラムの実行によって実現される機能ブロックとして、投入量算出部771と、リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772と、マスバランス計算部773とを備えている。
投入量算出部771は、リークアンモニア(未燃アンモニア)を考慮した還元剤の過剰量に基づいて、還元剤の投入量を算出するように構成されている。
リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772は、脱硝反応器71に流入する未燃アンモニアの流量を取得するように構成されている。
マスバランス計算部773は、脱硝反応器71に流入する排ガスのNO濃度、脱硝反応器71に流入する排ガスの流量、及び脱硝反応器71から排出される排ガスのNO濃度の目標値に基づいて、マスバランスから決定される還元剤の投入量を算出するように構成されている。
【0036】
図4図7、及び図9に示すように、幾つかの実施形態に係る脱硝制御装置77は、入口NO濃度センサ781と、出口NO濃度センサ782とを備えている。
入口NO濃度センサ781は、脱硝反応器71よりも上流側において脱硝反応器71に流入する排ガスのNOの濃度を検出するためのNO濃度センサであり、上述した各区画81に対応する領域のNOの濃度を検出するために複数設けられている。
なお、上述した各区画81の数と同数の入口NO濃度センサ781を設けてもよく、上述した各区画81の数よりも少ない数の入口NO濃度センサ781を用い、各区画81に対応する領域からの排ガスのサンプリング流路を適宜切り替えることで上述した各区画81に対応する全ての領域のNO濃度をそれぞれ検出できるようにしてもよい。
【0037】
出口NO濃度センサ782は、脱硝反応器71よりも下流側において脱硝反応器71から流出する排ガスのNOの濃度を検出するためのNO濃度センサであり、上述した各区画81に対応する領域のNOの濃度を検出するために複数設けられている。
なお、上述した各区画81の数と同数の出口NO濃度センサ782を設けてもよく、上述した各区画81の数よりも少ない数の出口NO濃度センサ782を用い、各区画81に対応する領域からの排ガスのサンプリング流路を適宜切り替えることで上述した各区画81に対応する全ての領域のNO濃度をそれぞれ検出できるようにしてもよい。
出口NO濃度センサ782は、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれる排出NOの濃度(出口NO濃度)を取得する排出NO濃度取得部787を構成している。
【0038】
<第1実施形態に係る脱硝制御装置77について>
図4に示すように、第1実施形態に係る脱硝制御装置77は、入口NH濃度センサ783を備えている。
入口NH濃度センサ783は、投入ノズル74よりも上流側において脱硝反応器71に流入する排ガス中のリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を検出するためのNH濃度センサであり、上述した各区画81に対応する領域のリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を検出するために複数設けられている。
なお、上述した各区画81の数と同数の入口NH濃度センサ783を設けてもよく、上述した各区画81の数よりも少ない数の入口NH濃度センサ783を用い、各区画81に対応する領域からの排ガスのサンプリング流路を適宜切り替えることで上述した各区画81に対応する全ての領域のリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度をそれぞれ検出できるようにしてもよい。
入口NH濃度センサ783は、脱硝反応器71に流入する排ガスに含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を検出可能なリークアンモニア(未燃アンモニア)濃度取得部785を構成している。
【0039】
図3及び図4に示す第1実施形態に係る脱硝制御装置77では、マスバランス計算部773は、入口NO濃度センサ781で検出した各区画81に流入する排ガスのNO濃度(入口NO濃度)と、脱硝反応器71から流出する排ガスのNO濃度の目標値(出口NO濃度目標値)と、各区画81に流入する排ガスの流量(入口ガス流量)とに基づいて、マスバランスから決定される還元剤の投入量を算出する。そして、マスバランス計算部773は、算出したマスバランスから決定される還元剤の投入量を投入量算出部771に出力する。
なお、マスバランス計算部773に入力される入口ガス流量は、例えば、ボイラ10の燃料流量と、排ガス中の酸素濃度とに基づいて算出される燃焼ガスの流量を上述した区画81の数で除した流量である。
【0040】
また、図3及び図4に示す第1実施形態に係る脱硝制御装置77のリークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772である第1リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Aは、入口NH濃度センサ783で検出した各区画81に流入する排ガス中のリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度(未燃アンモニア濃度)と、上述した入口ガス流量とに基づいて、各区画81に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を算出して取得する。そして、第1リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Aは、取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を投入量算出部771に出力する。
【0041】
図3及び図4に示す第1実施形態に係る脱硝制御装置77では、投入量算出部771は、マスバランス計算部773で算出したマスバランスから決定される還元剤の投入量から第1リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Aで取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を減じることで、各投入ノズル74からの還元剤の投入量を算出する。
そして、脱硝制御装置77は、投入量算出部771で算出された還元剤の投入量で還元剤が各投入ノズル74から投入されるように各流量調節弁75へ開度調節信号を出力する。
これにより、投入量算出部771で算出された還元剤の投入量で還元剤が各投入ノズル74から煙道13内に投入される。
【0042】
なお、以下の説明では、上述した第1リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Aと、後述する第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bや第3リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Cとを特に区別する必要がない場合や、第1リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Aと、第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bと、第3リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Cとを総称する場合、符号の末尾のアルファベットの記載を省略し、単に、リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772と称することとする。
【0043】
<第2実施形態に係る脱硝制御装置77について>
図7に示すように、第2実施形態に係る脱硝制御装置77は、出口NH濃度センサ784を備えている。
出口NH濃度センサ784は、脱硝反応器71よりも下流側において脱硝反応器71から流出する排ガスのNHの濃度を検出するためのNH濃度センサであり、上述した各区画81に対応する領域のNHの濃度を検出するために複数設けられている。
なお、上述した各区画81の数と同数の出口NH濃度センサ784を設けてもよく、上述した各区画81の数よりも少ない数の出口NH濃度センサ784を用い、各区画81に対応する領域からの排ガスのサンプリング流路を適宜切り替えることで上述した各区画81に対応する全ての領域のNH濃度をそれぞれ検出できるようにしてもよい。
出口NH濃度センサ784は、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれるリークアンモニア(排出アンモニア)の濃度を取得するリークアンモニア(排出アンモニア)濃度取得部786を構成している。
【0044】
図5及び図7に示す第2実施形態に係る脱硝制御装置77では、マスバランス計算部773は、第1実施形態に係る脱硝制御装置77のマスバランス計算部773と同様に、マスバランスから決定される還元剤の投入量を算出する。そして、マスバランス計算部773は、算出したマスバランスから決定される還元剤の投入量を投入量算出部771に出力する。
【0045】
また、図5及び図7に示す第2実施形態に係る脱硝制御装置77のリークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772である第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bは、出口NH濃度センサ784で検出した各区画81から流出する排ガス中のNHの濃度(リークアンモニア(排出アンモニア)の濃度)と、上述した入口ガス流量と、直前に投入した還元剤の投入量とに基づいて、各区画81に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を算出して取得する。なお、第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bは、各区画81に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量の算出に際し、各区画81から流出する排ガスの流量(出口ガス流量)には、入口ガス流量を用いる。
第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bは、取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を投入量算出部771に出力する。
【0046】
図5及び図7に示す第2実施形態に係る脱硝制御装置77では、投入量算出部771は、マスバランス計算部773で算出したマスバランスから決定される還元剤の投入量から第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bで取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を減じることで、各投入ノズル74からの還元剤の投入量を算出する。
そして、脱硝制御装置77は、投入量算出部771で算出された還元剤の投入量で還元剤が各投入ノズル74から投入されるように各流量調節弁75へ開度調節信号を出力する。
これにより、投入量算出部771で算出された還元剤の投入量で還元剤が各投入ノズル74から煙道13内に投入される。
【0047】
なお、リークアンモニア(排出アンモニア)の濃度が比較的高いということは、リークアンモニア(未燃アンモニア)の量が多いために、マスバラで算出された還元剤の投入量が結果として過剰であることを表している。
図5及び図7に示す第2実施形態に係る脱硝制御装置77では、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれるリークアンモニア(排出アンモニア)の濃度を取得できるので、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアを抑制し易くなるとともに、還元剤の過剰な投入を抑制して還元剤のコストを抑制できる。
<第3実施形態に係る脱硝制御装置77について>
図6に示すように、第3実施形態に係る脱硝制御装置77は、出口NO濃度センサ782で検出した脱硝反応器71から流出する排ガスのNOの濃度(出口NO濃度)と、出口ガス流量(すなわち入口ガス流量)とに基づいて還元剤の投入量の補正量を算出する補正量算出部774を備えている。
図7に示すように、第3実施形態に係る脱硝制御装置77は、出口NH濃度センサ784を備えている。
【0048】
図6及び図7に示す第3実施形態に係る脱硝制御装置77では、マスバランス計算部773は、第1実施形態及び第2実施形態に係る脱硝制御装置77のマスバランス計算部773と同様に、マスバランスから決定される還元剤の投入量を算出する。そして、マスバランス計算部773は、算出したマスバランスから決定される還元剤の投入量を投入量算出部771に出力する。
【0049】
また、図6及び図7に示す第3実施形態に係る脱硝制御装置77のリークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772である第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bは、第2実施形態と同様に、リークアンモニア(排出アンモニア)の濃度と、上述した入口ガス流量と、直前に投入した還元剤の投入量とに基づいて、各区画81に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を算出して取得する。そして、第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bは、取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を投入量算出部771に出力する。
【0050】
図6及び図7に示す第3実施形態に係る脱硝制御装置77では、補正量算出部774は、出口NO濃度と入口ガス流量に基づいて、脱硝反応器71から流出するNOの流量を算出する。脱硝反応器71から流出するNOの流量は、直前に投入された還元剤の投入量の不足分を反映したものであるので、補正量算出部774は、算出した脱硝反応器71から流出するNOの流量に応じた還元剤の投入量の補正量を算出する。そして、補正量算出部774は、算出した還元剤の投入量の補正量を投入量算出部771に出力する。
【0051】
図6及び図7に示す第3実施形態に係る脱硝制御装置77では、投入量算出部771は、マスバランス計算部773で算出したマスバランスから決定される還元剤の投入量から第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bで取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を減じるとともに、補正量算出部774で算出した還元剤の投入量の補正量を加えることで、各投入ノズル74からの還元剤の投入量を算出する。
そして、脱硝制御装置77は、投入量算出部771で算出された還元剤の投入量で還元剤が各投入ノズル74から投入されるように各流量調節弁75へ開度調節信号を出力する。
これにより、投入量算出部771で算出された還元剤の投入量で還元剤が各投入ノズル74から煙道13内に投入される。
【0052】
図6及び図7に示す第3実施形態に係る脱硝制御装置77では、出口NO濃度センサ782で取得した排出NOの濃度(出口NO濃度)が比較的高い場合、還元剤の投入量が不足していることとなるため、補正量算出部774で算出した還元剤の投入量の補正量に基づいて還元剤の投入量を増やすことで、出口NO濃度を抑制できる。
【0053】
<第4実施形態に係る脱硝制御装置77について>
図8に示すように、第4実施形態に係る脱硝制御装置77は、出口NO濃度センサ782で検出した出口NO濃度と、出口NO濃度目標値との差分を算出する差分算出部775を備えている。
【0054】
図8及び図9に示す第4実施形態に係る脱硝制御装置77では、マスバランス計算部773は、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態に係る脱硝制御装置77のマスバランス計算部773と同様に、マスバランスから決定される還元剤の投入量を算出する。そして、マスバランス計算部773は、算出したマスバランスから決定される還元剤の投入量を投入量算出部771に出力する。
【0055】
図8及び図9に示す第4実施形態に係る脱硝制御装置77では、差分算出部775は、出口NO濃度と、出口NO濃度目標値との差分を算出して、第4実施形態に係る脱硝制御装置77のリークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772である第3リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Cに出力する。
ここで、出口NO濃度と、出口NO濃度目標値とに差が生じた理由は、脱硝反応器71に流入した排ガスにリークアンモニア(未燃アンモニア)が含まれていたからであると考えられる。すなわち、出口NO濃度が出口NO濃度目標よりも低い値である場合、出口NO濃度と、出口NO濃度目標値との差分は、リークアンモニア(未燃アンモニア)が脱硝に用いられたためと考えることができる。そのため、出口NO濃度と、出口NO濃度目標値との差分は、リークアンモニア(未燃アンモニア)の量に応じた値となる。
【0056】
そこで、図8及び図9に示す第4実施形態に係る脱硝制御装置77では、第3リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Cは、上記差分と、入口NO濃度と、入口ガス流量とに基づいて、各区画81に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を算出して取得する。そして、第2リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Bは、取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を投入量算出部771に出力する。
【0057】
図8及び図9に示す第4実施形態に係る脱硝制御装置77では、投入量算出部771は、マスバランス計算部773で算出したマスバランスから決定される還元剤の投入量から第3リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772Cで取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を減じることで、各投入ノズル74からの還元剤の投入量を算出する。
そして、脱硝制御装置77は、投入量算出部771で算出された還元剤の投入量で還元剤が各投入ノズル74から投入されるように各流量調節弁75へ開度調節信号を出力する。
これにより、投入量算出部771で算出された還元剤の投入量で還元剤が各投入ノズル74から煙道13内に投入される。
【0058】
図8及び図9に示す第4実施形態に係る脱硝制御装置77では、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれる排出NOの濃度(出口NO濃度)に基づいてリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得できるので、脱硝反応器71に流入する排ガスに含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を検出する場合や脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれるリークアンモニア(排出アンモニア)の濃度を検出する場合と比べて、計測機器を比較的安価に調達できる。
【0059】
以上、還元剤の投入量の制御について述べたように、本実施の形態の脱硝制御装置77によれば、投入量算出部771を備えるので、リークアンモニア(未燃アンモニア)を考慮した還元剤の過剰量に基づいて、還元剤の投入量を算出でき、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアを抑制できる。
【0060】
本実施の形態の脱硝装置70は、上述した何れかの実施形態に係る脱硝制御装置77と、脱硝反応器71と、排ガス中に還元剤を投入するための還元剤投入部73と、を備える。
これにより、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアを抑制できる。
【0061】
本実施の形態の脱硝制御装置77では、投入量算出部771は、複数の区画81の各々に投入する還元剤の投入量を算出するように構成されている。
これにより、排ガスの流れに直交する脱硝反応器71の断面におけるリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量(濃度)の分布に応じて還元剤の投入量を算出できるので、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアを効率的に抑制できる。
【0062】
本実施の形態の脱硝制御装置77では、投入量算出部771は、リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772で取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量に基づいて、還元剤の投入量を算出するように構成されている。
これにより、還元剤の投入量を精度よく適切化できる。よって、脱硝反応器71の下流に流出するNOを十分に抑制しつつ、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアも抑制できる。
【0063】
本実施の形態の脱硝制御装置77では、リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772は、リークアンモニア(未燃アンモニア)濃度取得部785を構成する入口NH濃度センサ783で取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度と、脱硝反応器71に流入する排ガスの流量(入口ガス流量)とに基づいてリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得するように構成されている。
これにより、脱硝反応器71に流入する排ガスに含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)の検出濃度に基づいて脱硝反応器71に流入する未燃アンモニアの流量を取得できるので、脱硝反応器71に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を比較的正確に取得できる。よって、還元剤の投入量を精度よく適切化でき、脱硝反応器71の下流に流出するNOを十分に抑制しつつ、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアも抑制できる。
【0064】
<入口NH濃度センサ783について>
上述した入口NH濃度センサ783は、例えばNH濃度を直接検出できるガス分析計であるとよい。
また、上述した入口NH濃度センサ783は、例えば赤外線CT装置であってもよい。
さらに、入口NH濃度の検出には、以下のようにしてボイラ10における燃焼火炎の画像から入口NH濃度を推定するようにしてもよい。すなわち、ボイラ10における火炎の画像と入口NH濃度との関係をあらかじめ機械学習させることで入口NH濃度の予測モデルを作成しておく。そして、ボイラ10の火炎を撮像可能な撮像装置79をボイラ10に設け(図1参照)、撮像装置79で撮像した火炎の画像と入口NH濃度の予測モデルとに基づいて、入口NH濃度を推定するようにしてもよい。
図10は、入口NH濃度の予測モデルを用いた入口NH濃度(未燃アンモニア濃度)の推定についてのブロック図である。
図10に示す脱硝制御装置77は、ボイラ10に設けた撮像装置79で撮像した火炎の画像から脱硝反応器71に流入する排ガスに含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を推定するリークアンモニア(未燃アンモニア)濃度推定部776を備えている。
リークアンモニア(未燃アンモニア)濃度推定部776は、撮像装置79で撮像した火炎の画像から入口NH濃度の予測モデルを用いて各区画81に流入する排ガス中の入口NH濃度を推定する。
これにより、比較的簡素な構成でリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を推定できる。
【0065】
<出口NH濃度センサ784について>
上述した出口NH濃度センサ784は、例えばNH濃度を直接検出できるガス分析計であるとよい。
また、上述した出口NH濃度センサ784は、例えば赤外線CT装置であってもよい。
【0066】
<入口NO濃度センサ781について>
上述した入口NO濃度センサ781は、例えばNO濃度を直接検出できるガス分析計であるとよい。
また、上述した入口NO濃度センサ781は、例えば赤外線CT装置であってもよい。
さらに、入口NO濃度の検出には、以下のようにしてボイラ10における燃焼火炎の画像から入口NO濃度を推定するようにしてもよい。すなわち、ボイラ10における火炎の画像と入口NO濃度との関係をあらかじめ機械学習させることで入口NO濃度の予測モデルを作成しておく。そして、ボイラ10の火炎を撮像可能な撮像装置79をボイラ10に設け(図1参照)、撮像装置79で撮像した火炎の画像と入口NO濃度の予測モデルとに基づいて、入口NO濃度を推定するようにしてもよい。
図11は、入口NO濃度の予測モデルを用いた入口NO濃度の推定についてのブロック図である。
図11に示す脱硝制御装置77は、ボイラ10に設けた撮像装置79で撮像した火炎の画像から脱硝反応器71に流入する排ガスに含まれるNOの濃度(入口NO濃度)を推定する入口NO濃度推定部777を備えている。
入口NO濃度推定部777は、撮像装置79で撮像した火炎の画像から入口NO濃度の予測モデルを用いて各区画81に流入する排ガス中の入口NO濃度を推定する。
【0067】
<出口NO濃度センサ782について>
上述した出口NO濃度センサ782は、例えばNO濃度を直接検出できるガス分析計であるとよい。
また、上述した出口NO濃度センサ782は、例えば赤外線CT装置であってもよい。
【0068】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述の説明では、幾つかの実施形態の燃焼装置の一例としてボイラシステム1を例に挙げて説明したが、幾つかの実施形態に係る燃焼装置はボイラシステム1に限定されず、ガスタービンや工業炉であってもよい。
【0069】
上述の説明では、脱硝反応器71の断面を複数の区画81に分割し、各区画81に投入ノズル74及び流量調節弁75を配置していたが、例えば幾つかの実施形態に係る燃焼装置の規模に応じて区画81の数は適宜増減させてもよく、比較的小規模である場合には、脱硝反応器71の断面を複数の区画81に分割しなくてもよい。
【0070】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る脱硝制御装置77は、アンモニアを燃料とする燃焼装置(ボイラ10)から排出される排ガスから窒素酸化物を除去するため脱硝反応器71を備える脱硝装置70の制御装置である。本開示の少なくとも一実施形態に係る脱硝制御装置77は、リークアンモニア(未燃アンモニア)を考慮した還元剤の過剰量に基づいて、還元剤の投入量を算出する投入量算出部771を備える。
【0071】
上記(1)の構成によれば、リークアンモニア(未燃アンモニア)を考慮した還元剤の過剰量に基づいて、還元剤の投入量を算出するので、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアを抑制できる。
【0072】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、脱硝反応器71に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得するように構成された未燃アンモニア流量取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772)を備えるとよい。投入量算出部771は、未燃アンモニア流量取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772)で取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量に基づいて、還元剤の投入量を算出するように構成されているとよい。
【0073】
上記(2)の構成によれば、未燃アンモニア流量取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772)で取得した脱硝反応器71に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量に基づいて還元剤の投入量を算出するので、還元剤の投入量を精度よく適切化できる。これにより、脱硝反応器71の下流に流出するNOを十分に抑制しつつ、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアも抑制できる。
【0074】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、脱硝反応器71に流入する排ガスに含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を検出可能な未燃アンモニア濃度取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)濃度取得部785)を備えるとよい。未燃アンモニア流量取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772)は、未燃アンモニア濃度取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)濃度取得部785)で取得したリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度と、脱硝反応器71に流入する排ガスの流量とに基づいてリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得するように構成されているとよい。
【0075】
上記(3)の構成によれば、脱硝反応器71に流入する排ガスに含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)の検出濃度に基づいて脱硝反応器71に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得できるので、脱硝反応器71に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を比較的正確に取得できる。これにより、還元剤の投入量を精度よく適切化でき、脱硝反応器71の下流に流出するNOを十分に抑制しつつ、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアも抑制できる。
【0076】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、燃焼装置(ボイラ10)における火炎を撮像可能な撮像装置79と、撮像装置79で撮像した火炎の画像から脱硝反応器に流入する排ガスに含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を推定する未燃アンモニア濃度推定部(リークアンモニア(未燃アンモニア)濃度推定部776)と、を備えていてもよい。未燃アンモニア流量取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772)は、未燃アンモニア濃度推定部(リークアンモニア(未燃アンモニア)濃度推定部776)で推定したリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度と、脱硝反応器71に流入する排ガスの流量とに基づいてリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得するように構成されていてもよい。
【0077】
上記(4)の構成によれば、比較的簡素な構成でリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を推定できる。
【0078】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれるリークアンモニア(排出アンモニア)の濃度を取得する排出アンモニア濃度取得部(リークアンモニア(排出アンモニア)濃度取得部786)を備えていてもよい。未燃アンモニア流量取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772)は、排出アンモニア濃度取得部(リークアンモニア(排出アンモニア)濃度取得部786)で取得したリークアンモニア(排出アンモニア)の濃度と、脱硝反応器71から流出する排ガスの流量とに基づいてリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得するように構成されていてもよい。
【0079】
リークアンモニア(排出アンモニア)の濃度が比較的高いということは、還元剤の投入量が過剰であることを表している。
上記(5)の構成によれば、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれる排出アンモニアの濃度を取得できるので、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアを抑制し易くなるとともに、還元剤の過剰な投入を抑制して還元剤のコストを抑制できる。
【0080】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれる排出NOの濃度を取得する排出NO濃度取得部787と、排出NO濃度取得部787で取得した排出NOの濃度に基づいて還元剤の投入量の補正量を算出する補正量算出部774と、を備えていてもよい。
【0081】
上記(6)の構成によれば、排出NO濃度取得部787で取得した排出NOの濃度が比較的高い場合、還元剤の投入量が不足していることとなるため、補正量算出部774で算出した還元剤の投入量の補正量に基づいて還元剤の投入量を増やすことで、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれる排出NOの濃度を抑制できる。
【0082】
(7)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれる排出NOの濃度を取得する排出NO濃度取得部787と、排出NO濃度取得部787で取得した排出NOの濃度と、排出NOの濃度の目標値との差分を算出する差分算出部775と、を備えていてもよい。未燃アンモニア流量取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772)は、差分算出部775で算出した上記差分に基づいてリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得するように構成されていてもよい。
【0083】
上記(7)の構成によれば、脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれる排出NOの濃度に基づいてリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得できるので、脱硝反応器71に流入する排ガスに含まれるリークアンモニア(未燃アンモニア)の濃度を検出する場合や脱硝反応器71から流出する排ガスに含まれるリークアンモニア(排出アンモニア)の濃度を検出する場合と比べて、計測機器を比較的安価に調達できる。
【0084】
(8)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(7)の何れかの構成において、未燃アンモニア流量取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部772)は、排ガスの流れに直交する脱硝反応器71の断面を分割して得られる複数の区画81の各々に流入するリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量を取得するように構成されているとよい。投入量算出部771は、複数の区画81の各々に投入する還元剤の投入量を算出するように構成されているとよい。
【0085】
上記(8)の構成によれば、排ガスの流れに直交する脱硝反応器71の断面におけるリークアンモニア(未燃アンモニア)の流量(濃度)の分布に応じて還元剤の投入量を算出できるので、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアを効率的に抑制できる。
【0086】
(9)本開示の少なくとも一実施形態に係る脱硝装置70は、上記(1)乃至(8)の何れかの構成の脱硝制御装置77と、脱硝反応器71と、排ガス中に還元剤を投入するための還元剤投入部73と、を備える。
【0087】
上記(9)の構成によれば、脱硝反応器71の下流に流出するアンモニアを抑制できる。
【符号の説明】
【0088】
1 ボイラシステム
10 ボイラ
70 脱硝装置
71 脱硝反応器
73 還元剤投入部
79 撮像装置
81 区画
771 投入量算出部
772 未燃アンモニア流量取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)流量取得部)
774 補正量算出部
775 差分算出部
776 未燃アンモニア濃度推定部(リークアンモニア(未燃アンモニア)濃度推定部)
785 未燃アンモニア濃度取得部(リークアンモニア(未燃アンモニア)濃度取得部)
786 排出アンモニア濃度取得部(リークアンモニア(排出アンモニア)濃度取得部)
787 排出NO濃度取得部
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