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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067779
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】発電設備及び発電方法
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/26 20060101AFI20240510BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240510BHJP
   C25B 5/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
F03B13/26
C25B9/00 H
C25B9/00 A
C25B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178104
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】児玉 聡
【テーマコード(参考)】
3H074
4K021
【Fターム(参考)】
3H074AA08
3H074AA12
3H074BB10
3H074BB30
3H074CC02
3H074CC36
3H074CC50
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA09
4K021CA15
(57)【要約】
【課題】再生可能エネルギを効率的に利用することができる発電設備及び発電方法を提供する。
【解決手段】磁界の方向と交差する方向において対向するように配置された一対の電極の間に水が流れることによって電極間に起電力を発生させる発電部110と、電極での水の電気分解で生じた水素を回収する水素回収部120と、を備えている。また、係留された状態で水面に浮かぶ浮体160を備え、発電部110は、浮体160に設けられている。また、発電部110の数は、複数とされ、各発電部110は、互いに連結されていてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界の方向と交差する方向において対向するように配置された一対の電極の間に水が流れることによって前記電極間に起電力を発生させる発電部と、
前記電極での水の電気分解で生じた水素を回収する水素回収部と、
を備えている発電設備。
【請求項2】
係留された状態で水面に浮かぶ浮体を備え、
前記発電部は、前記浮体に設けられている
請求項1に記載の発電設備。
【請求項3】
前記発電部の数は、複数とされ、
各前記発電部は、互いに連結されている
請求項1に記載の発電設備。
【請求項4】
各前記発電部は、前記電極を包囲するとともに水が流れる流路が内側に形成されたダクトを有し、
複数の前記発電部は、それぞれが有する前記流路が一列に並んだ連続流路を形成するように互いに連結され、
前記水素回収部の数は、複数とされ、
前記水素回収部は、前記連続流路の両端と隣り合うように前記発電部と連結されている
請求項3に記載の発電設備。
【請求項5】
各前記発電部は、前記電極を包囲するとともに水が流れる流路が形成されたダクトを有し、
前記流路に向かって流路断面積が縮小する絞り流路が内側に形成された絞りダクトを備えている
請求項1に記載の発電設備。
【請求項6】
前記浮体は、水中に没したキールを有している
請求項2に記載の発電設備。
【請求項7】
磁界の方向と交差する方向において対向するように配置された一対の電極の間に水を流すことによって前記電極間に起電力を発生させ、前記電極での水の電気分解で生じた水素を回収する
発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水流によって発電を行う発電設備及び発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギを利用した発電方法の例として潮流発電が挙げられる。
潮流発電には、例えば、海中に没した回転翼を用いて動力を回収する方法や、例えば特許文献1に開示されている潮流MHD発電装置を用いた方法がある。
これらの発電方法は、例えば海と広く接している国や地域において有用な発電方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-72675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
潮流発電に回転翼を用いて動力を回収する方法では、動力の伝達ロス、摺動部品の故障のリスク、大型化の困難性が伴う懸念がある。
また、特許文献1に開示されているような方法では、上記のような懸念はないものの、効率は回転翼を用いて動力を回収する方法よりも劣る可能性がある。つまり、再生可能エネルギを効率的に利用することができない可能性がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、再生可能エネルギを効率的に利用することができる発電設備及び発電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の発電設備及び発電方法は、以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係る発電設備は、磁界の方向と交差する方向において対向するように配置された一対の電極の間に水が流れることによって前記電極間に起電力を発生させる発電部と、前記電極での水の電気分解で生じた水素を回収する水素回収部と、を備えている。
【0007】
また、本開示の一態様に係る発電方法は、磁界の方向と交差する方向において対向するように配置された一対の電極の間に水を流すことによって前記電極間に起電力を発生させ、前記電極での水の電気分解で生じた水素を回収する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、再生可能エネルギを効率的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る発電装置の概略構成図である。
図2】発電部の側面図である。
図3図2に示す矢印Aから平面視した発電部である。
図4】発電部の側面図である。
図5図4に示す切断線V-Vにおける横断面図である。
図6図4に示す切断線VI-VIにおける横断面図である。
図7図1に示す切断線VII-VIIにおける横断面図である。
図8】変形例1に係るダクトの側面図である。
図9】変形例2に係る第2の発電部の概略構成図である。
図10】変形例3に係る浮体の平面図である。
図11】変形例3に係る浮体の平面図である。
図12】変形例4に係る浮体の平面図である。
図13】変形例4に係る浮体の側面図である。
図14】変形例4に係る浮体の平面図である。
図15】第2実施形態に係る発電装置の概略構成図である。
図16】発電装置の平面図である。
図17】発電装置の平面図である(メンテナンス時)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態に係る発電設備について図面を参照しながら説明する。
なお、各図に示されている白抜きの矢印は、水流や水流の向きを意味している。
【0011】
発電設備100は、海上等の水上に設置され、潮流等の水流によって発電を行いつつ水素を生産する設備である。
図1に示すように、発電設備100は、発電部110を備えている。
【0012】
発電部110は、水流によって発電を行ういわゆるMHD発電(電磁流体発電)装置である。
図2から図5に示すように、発電部110は、ダクト111、コイル113及び電極115を有している。
【0013】
ダクト111は、筒状(例えば円筒)の部材であり、内側には水が流れる流路111aが形成されている。ダクト111は、水中に設置される。
【0014】
図2及び図3に示すように、ダクト111の外周面には、ダクト111の長手に沿って延びた2つの環状のコイル113が、ダクト111の短手方向において対向するように、かつ、ダクト111の外周面の形状に適合するように設けられている。
なお、ダクト111が円筒の場合、ダクト111の長手方向は円筒の軸線方向に一致して、ダクト111の短手方向は円筒の半径方向に一致する。
【0015】
図4から図6に示すように、ダクト111の内側に形成された流路111aには、ダクト111の長手に沿って延びた一対(2枚)の板状の電極115が、ダクト111の短手方向(コイル113が対向する方向と略直交する方向)において略平行に対向するように設けられている。すなわち、対向する一対の電極115は、ダクト111に包囲された状態で水中に設置されることになる。
各コイル113は、図示しない電源部と接続されており、電流を流すことによって磁界(磁場)が発生するように構成されている。本実施形態の発電部110の場合、コイル113で発生した磁界は、一方の電極115と他方の電極115との間を通過する。このとき、電極115間を通過する磁界の方向は、電極115が対向する方向と交差(具体的には略直交)している。
【0016】
なお、図7に示すように、ダクト111、コイル113及び電極115のセットは、ダクト111の短手方向に複数並べられてもよい。
【0017】
ここで、発電部110による発電の原理について説明する。
図1に示すように、発電部110は水中に没するように設置される。水中に没した発電部110のダクト111の流路111aには、水流(例えば潮流)によって水が流れる。そして、各コイル113で発生した磁界が通過する電極115間に導電性を有する水が流れたときに、電極115間に起電力が生じて発電が行われる(電磁誘導の法則)。
発電された電気は、図示しない送電部を介して発電設備100の外部に供給される。なお、送電部は、周波数変換、交流と直流との相互変換、電圧変換など、電力の変換や調整操作の全般を行う機能も有する。
【0018】
なお、発電効率向上の観点から、コイル113の巻き数を増やしたり、コイル113において磁力線が発生する部分の面積を増やしたり、コイル113に流す電流を増やしたり、電極115の面積を増やしたりすることが望ましい。
【0019】
発電と同時に、各電極115では水が電気分解されて、気体の水素が副生成物として発生する。
また、水が海水の場合、各電極115では塩素及び苛性ソーダが発生し、それらが反応することで液体の次亜塩素酸ナトリウムが副生成物として生成される。
【0020】
本実施形態では、副生成物としての水素を積極的に回収することで、発電と同時に水素の生産を行うこととしている。
【0021】
具体的には、発電設備100は、水素回収部120を備えている。
水素回収部120は、発電部110の各電極115で発生した水素を回収する装置である。
【0022】
水素回収部120には、回収空間121及び供給流路123が形成されている。
回収空間121は、発生した水素を回収して一時的に溜めるための空間であり、発電部110が有するダクト111の開口端に隣接するように設置されている。
供給流路123は、回収空間121で回収された水素を図示しない水素貯留部に供給するための流路であり、一端が回収空間121の上部と接続されている。
【0023】
電極115で発生した水素は、水流に乗ってダクト111に形成された流路111aを移動して回収空間121まで導かれる。そして、回収空間121に溜まった水素は、供給流路123を介して水素貯留部に導かれることになる。
なお、例えば水流が潮流の場合、潮流の向きが反転することを考慮して、水素回収部120をダクト111の両方の開口端に隣接するように設置しておくことが好ましい。
また、図7に示すように、ダクト111、コイル113及び電極115のセットが、ダクト111の短手方向に複数並べられている場合、ダクト111毎に水素回収部120を設けてもよいし、各ダクト111で共有された水素回収部120を設けてもよい。
【0024】
水素回収部120で回収された水素が貯留される水素貯留部では、例えば、水素が圧縮された状態で貯留される。そのため、水素回収部120及び/又は水素貯留部は、水素を圧縮するための機器を有していてもよい。
【0025】
また、本実施形態では、副生成物としての次亜塩素酸ナトリウムを積極的に利用することで、発電効率を悪化させる海洋生物が電極115やダクト111に付着することや付着した海洋生物が成長することを抑制している。
【0026】
具体的には、電極115間に電流が流れることで生成された次亜塩素酸ナトリウムは、水流に乗ってダクト111に形成された流路111aを移動する。その際に、次亜塩素酸ナトリウムが電極115やダクト111に触れるので、海洋生物の付着や成長を抑制することができる。
なお、生成された次亜塩素酸ナトリウムは流路111aを潮流の下流に向かって流れるため次亜塩素酸ナトリウムの濃度は流路111aの下流ほど濃くなるが、潮流の向きが反転することを考慮すれば、ダクト111の内側は結果的に均一に殺菌されることになる。
【0027】
以上の構成において、発電部110は、例えば、係留索161によって係留された状態で水上に浮かぶ浮体160に設置されている。
具体的には、発電部110は、浮体160の下部に接続され、水中に没した状態で設置されている。
【0028】
なお、浮体160を発電部110ではなく水素回収部120と接続することで、水素回収部120を介して発電部110を間接的に浮体160と接続してもよい。
また、発電部110及び水素回収部120の両方を浮体160と接続してもよい。
【0029】
<変形例1>
図8に示すように、ダクト111の開口端に絞りダクト112を接続してもよい。
絞りダクト112の内側には、ダクト111の流路111aに向かって流路断面積が縮小する絞り流路112aが形成されている。
これによって、流路111aに向かって流れる水の流速を速くすることができ、発電効率を向上させることができる。
なお、絞りダクト112は必ずしも発電部110に組み込む必要はなく、水素回収部120等の他の装置に組み込んでもよい。
【0030】
<変形例2>
浮体160上の空間を有効活用するために、浮体160に第2の発電部(発電部110とは異なるもの)を設置してもよい。
第2の発電部は、発電部110とともに発電設備100の発電源として使用されてもよいし、発電部110が有するコイル113に電流を流すための電源部として使用されてもよいし、その両方を担ってもよい。なお、発電部110で安定的に発電が開始された後は、発電部110をコイル113の電源部として使用してもよい。
【0031】
第2の発電部は、図9に示すように、例えば太陽電池パネル171を有している太陽光発電装置170や波力タービン181及び発電機182を有している波力発電装置180等が例示される。
【0032】
波力発電装置180は、波力タービン181によって回転駆動される発電機182によって発電する装置である。
波力タービン181は、空間S1から吐出され、また空間S1に吸引される空気によって回転される回転機械である。
空間S1は、浮体160の側面と該側面に設けられた外殻162とによって画定された空間である。外殻162の上端は浮体160の上部(水中に没しない位置)に接続され、外殻162の下端は水中に没している。外殻162の上端付近には、通気口162aが形成されており、この通気口162aを介して空間S1に空気が出入りするように構成されている。
空間S1の下方は開放されており、海水(波W)が進入するように構成されている。空間S1に進入した波Wは、空間S1において空気が占める容積を変動させる。そして、空気の容積が変動するのに伴って通気口162aを介して空間S1に空気が出入りして、これによって、波力タービン181が回転するよう構成されている。
【0033】
<変形例3>
図10に示すように、浮体160は2つとされてもよい(双胴式)。
以下の説明において浮体160を区別する場合、一方の浮体160を符号160Aで記載して、他方の浮体160を符号160Bで記載することとする。
【0034】
浮体160A及び浮体160Bは、発電部110が有するダクト111の長手方向に沿って延びている。
浮体160A及び浮体160Bは、短手方向において略平行に対向するように設けられている。
【0035】
浮体160Aと浮体160Bとの間には、複数の隔壁163が設けられている。
各隔壁163は、板状の部材とされ、浮体160Aと浮体160Bとを接続している。
各隔壁163は、浮体160の長手方向に沿って互いに所定の間隔を空けて設けられている。
【0036】
浮体160A及び浮体160Bと、長手方向に隣り合う2つの隔壁163とによって複数の空間S1が画定されている。各空間S1は、上述した波力タービン181を駆動するために用いられる。
なお、必ずしも全ての空間S1に対応するように波力タービン181を設ける必要はない。
【0037】
発電部110が有するダクト111は、浮体160A及び浮体160Bの下部に設けられている。
水素回収部120は、2つのダクト111の長手方向における各端部に設けられている。図10の場合、2つのダクト111の端部に共通の水素回収部120が設けられている(合計2つ)。ただし、2つダクト111の端部に独立した水素回収部120を1つずつ設けてもよい(合計4つ)。
【0038】
図11に示すように、浮体160A及び浮体160Bを備えている発電設備100は、複数接続して並べることができる。
複数の発電設備100は、図11に示すように短手方向(幅方向)に並べてもよいし、長手方向に並べてもよい。
【0039】
<変形例4>
図12及び図13に示すように、2つの浮体160を備えている発電設備100において、各浮体160の底面(水中に没する位置)に下方に向かって突出したキール164を設けてもよい。キール164は、例えば、各浮体160の長手方向における両端部の近傍に設けられている。なお、図12及び図13では、発電部110や水素回収部120の図示を省略している。
キール164を設けることによって、浮体160の長手方向の向きを自動的に水流の向きに合わせることができる。言い換えれば、発電部110が有するダクト111の長手方向の向きを自動的に水流の向きに合わせることができる。そのため、ダクト111に水が導かれやすくなる。
【0040】
また、図14に示すように、平面視したときに発電設備100の四隅に相当する各浮体160の隅部(浮体160Aに2箇所、浮体160Bに2箇所)を係留索161で留め、隅部に設けたリール等の伸縮装置165によって係留索161を伸縮させることで、発電設備100の向き、すなわち浮体160の長手方向の向きを変更してもよい。
なお、キール164と伸縮する係留索161とを組みわせてもよい。
【0041】
以上の通り説明した本実施形態の作用効果は以下の通りである。
コイル113によって発生した磁界の方向と交差する方向において対向するように配置された一対の電極115の間に水が流れることによって電極115間に起電力を発生させる発電部110を備えているので、水流によって発電することができる(いわゆるMHD発電、電磁流体発電)。また、回転翼を用いた水流発電では、動力の伝達ロス、摺動部品の故障のリスク、大型化の困難性が伴うのに対して、回転翼を用いていない本実施形態に係る発電設備100の発電部110では、動力の伝達ロスがなく、摺動部品の故障のリスクもなく、大型化が容易である。
【0042】
また、電極115での水の電気分解で生じた水素を回収する水素回収部120を備えているので、発電部110での発電によって生じる副生成物としての水素(気体)を効率的に回収することができる。つまり、発電を利用して水素を生産することもできる。
【0043】
また、水が海水の場合、海水の電気分解によって生成される副生成物としての次亜塩素酸ナトリウム(液体)を、発電効率を悪化させる海洋生物の付着や成長を抑制するために利用できる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る発電設備100によれば、発電と発電に伴う副生成物(水素や次亜塩素酸ナトリウム)を有効に利用することで、再生可能エネルギを効率的に利用することができる。
【0045】
また、発電部110は、浮体160に設けられているので、発電部110を備えている発電設備100を水上に設置することができる。
【0046】
また、流路111aに向かって流路断面積が縮小する絞り流路112aが内側に形成された絞りダクト112を備えているので、流路111aに向かって流れる水の流速を絞り流路112aによって速くすることができる。これによって、発電効率を向上させることができる。
【0047】
また、浮体160は、水中に没したキール164を有しているので、浮体160の向きを自動的に水流の向きに合わせることができる。
【0048】
[第2実施形態]
以下、本開示の第2実施形態に係る発電設備について図面を参照しながら説明する。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0049】
第1実施形態で説明した発電部110や水素回収部120をモジュール化して、各種モジュール同士が任意に組み合わされた発電設備100を構成してもよい。
以下、その具体例について説明する。
【0050】
図15に示すように、モジュール化された発電部110を、それぞれの発電部110が有する流路111aが一列に並べられた連続流路117を形成するように、互いに連結する。
このとき、水素回収部120は、一連の連続流路117の両端に隣接するように設置すればよく、各流路111aの両端に隣接するように設置する必要はない。
【0051】
また、図16に示すように、水素貯留部130、電源部140及び送電部150もモジュール化して、各種モジュール同士が任意に組み合わされた発電設備100を構成してもよい。
図16に示された発電設備100(平面図)の場合、各モジュールは、縦方向及び横方向に並べられ互いに連結されている。具体的には、流れ方向の上流及び下流のそれぞれに複数の水素回収部120が隣接するように配置され、それらの間に複数の発電部110及び水素貯留部130並びに電源部140及び送電部150が配置されている。
【0052】
ここで、水素貯留部130は、第1実施形態と同様、水素回収部120で回収された水素が貯留される装置である。
また、電源部140は、第1実施形態と同様、発電部110が有するコイル113に電流を流す装置である。更に、電源部140は、充電/蓄電の機能を有していてもよく、例えば蓄電された電力を発電部110(コイル113)に供給することもできる。
また、送電部150は、第1実施形態と同様、電力の変換や調整操作の全般を行う装置である。
【0053】
発電部110、水素回収部120、水素貯留部130、電源部140及び送電部150のように機能ごとに分けられた各装置がそれぞれモジュール化された発電設備100では、図17に示すように、一部のモジュールだけを取り外すことができる。図17の場合、4つの発電部110が発電設備100から取り外されている。この場合、発電容量の合計は低下するが、発電設備100としての機能は損なわれない。
取り外されたモジュール(4つの発電部110及び1つの水素貯留部130)は、例えばメンテナンス作業にあてられる。
【0054】
なお、各種モジュールの数、配置、組合せ等は任意に変更できるものであり、図16図17は一例に過ぎない。
【0055】
以上の通り説明した本実施形態の作用効果は以下の通りである。
発電部110の数は、複数とされ、各発電部110は、互いに連結されているので、要求される発電量や水域の状態に応じて発電部110の数を自在に設定できる。
また、発電部110等の各種モジュールの連結の仕方によって、発電設備100の形状を水域の状態に応じて自在に設定できる。
また、例えば、一部の発電部110をメンテナンスしつつ他の発電部110によって発電を継続するといった柔軟な運用も可能となる。
【0056】
また、複数の発電部110は、それぞれが有する流路111aが一列に並んだ連続流路117を形成するように互いに連結され、水素回収部120は、連続流路117の両端と隣り合うように発電部110と連結されているので、各流路111a(各ダクト111によって形成されるもの)が一列に並んで1つの長い流路(連続流路117)を形成する場合、水素回収部120を連続流路117の両端に配置しておけば足り、流路111aごとに配置する必要がなくなる。
【0057】
以上の通り説明した各実施形態は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る発電設備(100)は、磁界の方向と交差する方向において対向するように配置された一対の電極(115)の間に水が流れることによって前記電極間に起電力を発生させる発電部(110)と、前記電極での水の電気分解で生じた水素を回収する水素回収部(120)と、を備えている。
【0058】
本態様に係る発電設備によれば、磁界の方向と交差する方向において対向するように配置された一対の電極の間に水が流れることによって電極間に起電力を発生させる発電部を備えているので、水流によって発電することができる(いわゆるMHD発電、電磁流体発電)。また、回転翼を用いた水流発電では、動力の伝達ロス、摺動部品の故障のリスク、大型化の困難性が伴うのに対して、回転翼を用いていない本態様に係る発電設備の発電部では、動力の伝達ロスがなく、摺動部品の故障のリスクもなく、大型化が容易である。
また、電極での水の電気分解で生じた水素を回収する水素回収部を備えているので、発電部での発電によって生じる副生成物としての水素(気体)を効率的に回収することができる。つまり、発電を利用して水素を生産することもできる。
また、水が海水の場合、海水の電気分解によって生成される副生成物としての次亜塩素酸ナトリウム(液体)を、発電効率を悪化させる海洋生物の付着や成長を抑制するために利用できる。
以上のように、本態様に係る発電設備によれば、発電と発電に伴う副生成物(水素や次亜塩素酸ナトリウム)を有効に利用することで、再生可能エネルギを効率的に利用することができる。
【0059】
また、本開示の第2態様に係る発電設備は、第1態様において、係留された状態で水面に浮かぶ浮体(160)を備え、前記発電部は、前記浮体に設けられている。
【0060】
本態様に係る発電設備によれば、係留された状態で水面に浮かぶ浮体を備え、発電部は、浮体に設けられているので、発電部を備えている発電設備を水上に設置することができる。
【0061】
また、本開示の第3態様に係る発電設備は、第1態様又は第2態様において、前記発電部の数は、複数とされ、各前記発電部は、互いに連結されている。
【0062】
本態様に係る発電設備によれば、発電部の数は、複数とされ、各発電部は、互いに連結されているので、要求される発電量や水域の状態に応じて発電部の数を自在に設定できる。また、発電部の連結の仕方によって、発電設備の形状を水域の状態に応じて自在に設定できる。また、例えば、一部の発電部をメンテナンスしつつ他の発電部によって発電を継続するといった柔軟な運用も可能となる。
【0063】
また、本開示の第4態様に係る発電設備は、第3態様において、各前記発電部は、前記電極を包囲するとともに水が流れる流路(111a)が内側に形成されたダクト(111)を有し、複数の前記発電部は、それぞれが有する前記流路が一列に並んだ連続流路(117)を形成するように互いに連結され、前記水素回収部の数は、複数とされ、前記水素回収部は、前記連続流路の両端と隣り合うように前記発電部と連結されている。
【0064】
本態様に係る発電設備によれば、各発電部は、電極を包囲するとともに水が流れる流路が内側に形成されたダクトを有しているので、一対の電極の間に水を円滑に、かつ、速い流速で流すことができ、発電効率を向上させることができる。
また、複数の発電部は、それぞれが有する流路が一列に並んだ連続流路を形成するように互いに連結され、水素回収部の数は、複数とされ、水素回収部は、連続流路の一端及び他端と隣り合うように発電部と連結されているので、各流路(各ダクトによって形成されるもの)が一列に並んで1つの長い流路(連続流路)を形成する場合、水素回収部を連続流路の両端に配置しておけば足り、流路ごとに配置する必要がなくなる。
【0065】
また、本開示の第5態様に係る発電設備は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、各前記発電部は、前記電極を包囲するとともに水が流れる流路が形成されたダクトを有し、前記流路に向かって流路断面積が縮小する絞り流路(112a)が内側に形成された絞りダクト(112)を備えている。
【0066】
本態様に係る発電設備によれば、各発電部は、電極を包囲するとともに水が流れる流路が形成されたダクトを有し、流路に向かって流路断面積が縮小する絞り流路が内側に形成された絞りダクトを備えているので、流路に向かって流れる水の流速を絞り流路によって速くすることができる。これによって、発電効率を向上させることができる。
【0067】
また、本開示の第6態様に係る発電設備は、第2態様から第5態様のいずれかにおいて、浮体は、水中に没したキール(164)を有している。
【0068】
本態様に係る発電設備によれば、浮体は、水中に没したキールを有しているので、浮体の向きを自動的に水流の向きに合わせることができる。
【0069】
また、本開示の第7態様に係る発電方法は、磁界の方向と交差する方向において対向するように配置された一対の電極の間に水を流すことによって前記電極間に起電力を発生させ、前記電極での水の電気分解で生じた水素を回収する。
【符号の説明】
【0070】
100 発電設備
110 発電部(モジュール)
111 ダクト
111a 流路
112 絞りダクト
112a 絞り流路
113 コイル
115 電極
117連続流路
120 水素回収部(モジュール)
121 回収空間
123 供給流路
130 水素貯留部(モジュール)
140 電源部(モジュール)
150 送電部(モジュール)
160,160A,160B 浮体
161 係留索
162 外殻
162a 通気口
163 隔壁
164 キール
165 伸縮装置
170 太陽光発電装置
171 太陽電池パネル
180 波力発電装置
181 波力タービン
182 発電機
S1 空間
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