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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006778
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A01K29/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107981
(22)【出願日】2022-07-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 開催日(公開日) 令和3年9月22日(会期:令和3年9月21日~22日) 集会名、開催場所 2021年度農業施設学会大会(オンライン) 研究発表会・農業施設学会50周年記念事業 オンライン開催 <資 料> 2021年度農業施設学会大会 研究発表会 開催概要 <資 料> 2021年度農業施設学会大会 研究発表会 プログラム <資 料> 2021年度農業施設学会大会 研究発表会 発表資料
(71)【出願人】
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】池口 厚男
(72)【発明者】
【氏名】高柳 真子
(57)【要約】
【課題】牛の蹄病の推定を早期に精度良く行うことができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて学習モデルを生成し、生成された前記学習モデルを用いて推定対象牛の蹄病の有無を推定する、情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて学習モデルを生成し、生成された前記学習モデルを用いて推定対象牛の蹄病の有無を推定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記複数のデータは、前記牛の行動のデータと前記牛の乳質のデータとのうちの一方または両方を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数のデータは、前記牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数、前記牛の乳量、前記牛の行動である反芻と休息、及び前記牛の乳質である乳脂質と乳タンパク質と体細胞数と乳糖のデータを含む、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数のデータのうちの少なくとも1つのデータは、1日ごとのデータについて複数日にわたって移動平均を取った結果のデータである、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
外部装置に前記複数のデータと前記牛の蹄の状態を含む指示を送信することで前記外部装置に前記学習モデルを生成し、
前記外部装置の前記学習モデルを用いて前記推定対象牛の蹄病の有無を推定した結果を受信する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて学習モデルを生成する、
情報処理装置。
【請求項7】
牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて生成された学習モデルを用いて推定対象牛の蹄病の有無を推定する、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
牛の蹄病が知られている。牛が蹄病に罹患すると、歩様の異常が発生し、その後、跛行が発生する。また、牛が蹄病に罹患すると、産乳の低下、繁殖障害が発生し、生産性が低下してしまう。
蹄病は三大生産病の一つであり、牛の蹄病の推定を行うことは、様々な市場でのニーズが高い。
【0003】
そこで、従前より、牛が蹄病に罹患しているか否かを推定する各種の技術が開発されている。
例えば、非特許文献1には、コンピュータービジョンを用いて画像を解析することで、デジタル皮膚炎を発見する技術が記載されている(非特許文献1参照。)。
また、非特許文献2には、歩数計を利用して牛の歩数を計測し、これにより蹄病を早期に発見することが図られている(非特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Preston Cernek,Nathan Bollig,Kelly Anklam, and Dorte Dopfer、“Detecting digital dermatitis with computer vision”、J.Dairy Sci.103:9110-9115
【非特許文献2】池山歩惟、大谷新太郎、西山篤、池山亨、“蹄病の早期発見および予後観察としての歩数計の利用”、家畜診療 60巻8号(2013年8月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、牛の蹄病の推定が可能であるものの、未だに不十分な点もあり、さらなる開発の余地があった。
【0006】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、牛の蹄病の推定を早期に精度良く行うことができる情報処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて学習モデルを生成し、生成された前記学習モデルを用いて推定対象牛の蹄病の有無を推定する、情報処理装置である。
【0008】
本開示の一態様は、牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて学習モデルを生成する、情報処理装置である。
【0009】
本開示の一態様は、牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて生成された学習モデルを用いて推定対象牛の蹄病の有無を推定する、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る情報処理装置によれば、牛の蹄病の推定を早期に精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係るAI部及び移動平均部の処理の様子の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る複数のケースの例を示す図である。
図4】実施形態に係るそれぞれのケースの推定の精度を示す図である。
図5】実施形態に係る1つのケース(Case5)における推定日と正解率との関係の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る移動平均と正解率との関係の例を示す図である。
図7】実施形態の変形例に係るAI部の処理の様子の一例を示す図である。
図8】実施形態の変形例に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
【0013】
[情報処理装置]
図1は、実施形態に係る情報処理装置1の構成の一例を示す図である。
本実施形態では、情報処理装置1は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)の機能を用いて深層学習(ディープラーニング)を行うことで、牛(例えば、搾乳牛)の蹄病の推定を行う。
なお、図1に示される情報処理装置1の構成は、説明のための一例であり、必ずしも図1に示される構成に限定されない。
【0014】
情報処理装置1は、入力部11と、出力部12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15と、を備える。
入力部11は、操作部31を備える。
出力部12は、表示部51を備える。
制御部15は、AI部111の機能と、移動平均部112の機能と、を備える。
【0015】
入力部11は、外部から情報を入力する。
入力部11は、例えば、外部記憶媒体などと直接接続して、当該外部記憶媒体などから情報を入力してもよい。
また、入力部11は、例えば、操作部31によって、情報処理装置1を操作する人(ユーザー)から情報を入力してもよい。操作部31は、ユーザーによって行われる操作の内容に応じた情報を受け付けて入力する。
【0016】
出力部12は、外部へ情報を出力する。
出力部12は、例えば、外部記憶媒体などと直接接続して、当該外部記憶媒体などに情報を出力してもよい。
出力部12は、例えば、表示部51によって、ユーザーに対して情報を表示出力してもよい。表示部51は、画面を有しており、表示対象の情報を当該画面に表示出力する。
【0017】
通信部13は、外部の装置と通信を行う機能を有する。当該通信は、例えば、有線の通信であってもよく、または、無線の通信であってもよく、あるいは、有線と無線との両方が含まれる通信であってもよい。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、通信部13を入力部11及び出力部12とは別の機能部として説明するが、例えば、通信部13の受信機能(受信により入力する機能)が入力部11の機能に含まれ、通信部13の送信機能(送信により出力する機能)が出力部12の機能に含まれると捉えられてもよい。
【0018】
記憶部14は、情報を記憶する。
制御部15は、情報処理装置1における各種の制御及び処理を行う。
本実施形態では、制御部15は、AI部111の機能と、移動平均部112の機能と、を実現する。
なお、制御部15は、さらに、他の任意の機能を実現してもよい。
【0019】
ここで、本実施形態では、情報処理装置1は、任意のコンピューターを用いて構成されている。
そして、制御部15はCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサーを有しており、記憶部14は所定のプログラム(制御プログラム)を記憶している。
制御部15は、当該プロセッサーによって、記憶部14に記憶された当該プログラムを実行することで、各種の制御及び処理を実行する。
【0020】
このように、本実施形態では、制御部15は、コンピューターソフトウェアを用いることで、AI部111の機能及び移動平均部112の機能を実現する。
なお、他の構成例として、AI部111の機能は、機械学習のモデルを実現する電子回路を用いて実現されてもよく、あるいは、電子回路とコンピューターソフトウェアとの両方を用いて実現されてもよい。
また、他の構成例として、移動平均部112の機能は、移動平均の演算を実現する電子回路を用いて実現されてもよく、あるいは、電子回路とコンピューターソフトウェアとの両方を用いて実現されてもよい。
【0021】
ここで、本実施形態では、説明の便宜上、情報処理装置1において情報処理される情報をデータとも呼ぶ場合がある。
【0022】
制御部15は、所定の入力データをAI部111に入力し、真値(正解値)を用いて、AI部111の学習(機械学習)を行う。これにより、AI部111では、学習の結果として、学習モデルが生成される。
ここで、当該入力データは、例えば、訓練データを含み、さらに、テストデータを含んでもよい。また、当該入力データは、例えば、移動平均部112によって所定のデータ(例えば、生データ)の移動平均が行われた結果のデータであってもよい。
また、当該真値は、任意の手法で取得されてもよく、例えば、人間の判断によって取得されてもよい。
【0023】
制御部15は、学習済みのAI部111(機械学習によって生成された学習モデル)に所定の入力データを入力し、当該入力データに応じてAI部111から出力される出力データを推定結果として取得する。
ここで、当該入力データは、例えば、移動平均部112によって所定のデータ(例えば、生データ)の移動平均が行われた結果のデータであってもよい。
【0024】
本実施形態では、制御部15は、移動平均部112により所定の時系列のデータ(生データ)に移動平均の処理を施し、その結果(移動平均結果)のデータを取得してAI部111への入力データとする。
なお、当該所定の時系列のデータは、例えば、入力部11によって外部から入力されることで取得されてもよく、通信部13によって外部の装置から受信されることで取得されてもよく、あるいは、記憶部14に記憶されているファイルなどから読み出されることで取得されてもよい。
【0025】
AI部111からの出力データは、例えば、出力部12によって外部へ出力されてもよく、通信部13によって外部の装置に送信されてもよく、あるいは、ファイルなどとして記憶部14に記憶されてもよい。
一例として、AI部111からの出力データは、そのまま、または、加工されて、所定の情報として表示部51によってユーザーに閲覧可能に表示出力されてもよい。
また、例えば、制御部15は、AI部111からの出力データに基づいて、解析などの任意の処理を実行してもよい。
【0026】
[AI部及び移動平均部の処理]
図2は、実施形態に係るAI部111及び移動平均部112の処理の様子の一例を示す図である。
情報処理装置1は、AI部111と、移動平均部112と、を備える。
【0027】
図2の例では、説明の便宜上、移動平均の処理が行われる前のデータを生データと呼ぶ。当該生データは、例えば、センサーなどによって検出されたままのデータあるいは人間によって判断されたままのデータであるが、必ずしもこれらに限られず、任意の処理が施された後のデータであってもよい。
【0028】
生データ1011は、複数の入力因子のデータを含む。
本実施形態では、入力因子のデータとしては、牛の各種の状況を表すデータ(状況データ)が用いられる。
【0029】
ここで、本実施形態で使用される入力因子の候補例を示す。
なお、以下で示される入力因子の候補例のうちで、実際に入力因子として使用される候補例の組み合わせとしては、様々な組み合わせが用いられてもよい。
また、以下で示される1個以上の入力因子の候補例と、以下で示される入力因子の候補例とは異なる1個以上の入力因子と、が組み合わされて使用されてもよい。
【0030】
蹄病は、飼養管理からのストレスで生じ得る。飼養管理の状態として、餌、暑熱、床の状態などがある。
採食(行動)、乳量及び乳質(日々の変化と泌乳曲線)にストレスによる変化が出てくるが、蹄病の症状が現れるまでにはタイムラグがある。また、乳量及び乳質には、採食行動(反芻)が反映する。
【0031】
そこで、本実施形態における入力因子としては、分娩後日数、削蹄後日数、乳量、乳質、行動を候補例とする。
【0032】
分娩後日数は、牛が分娩をした後に経過した日数である。本実施形態では、当該日数は、牛が分娩をした日(当日)を含むが、他の例として、牛が分娩をした日(当日)を除いて次の日からカウントされてもよい。
分娩後日数は、例えば、飼育者などからの聞き取りによって特定される。
【0033】
削蹄後日数は、牛の削蹄が行われた後に経過した日数である。
削蹄後日数は、例えば、ある診断日(削蹄日)から次の診断日(削蹄日)までの日数である。
本実施形態では、当該日数は、牛の削蹄が行われた日(当日)を含むが、他の例として、牛の削蹄が行われた日(当日)を除いて次の日からカウントされてもよい。
削蹄後日数は、例えば、削蹄者などからの聞き取りによって特定される。
【0034】
なお、削蹄者は、飼育者と同一であってもよく、あるいは、異なってもよい。
また、本実施形態では、情報処理装置1のユーザーは、例えば、飼育者または削蹄者と同一であってもよく、あるいは、異なる者であってもよい。
【0035】
乳量は、例えば、牛の個体ごとの1日分の乳量(日乳量)である。
乳量は、例えば、搾乳ロボットにより牛の個体別に測定されることで特定される。
なお、乳量のデータとして、1日分以外の期間の乳量のデータが用いられてもよい。
【0036】
乳質は、例えば、牛の個体ごとの1日分の乳質(日乳質)である。
乳質としては、例えば、9個の成分があり、具体的には、乳脂肪、乳タンパク質、乳糖、無脂乳固形分、水分、乳中尿素態窒素、体細胞数、プロジェステロン、シクロフィリンAがある。
乳質は、例えば、乳質測定装置によって測定されることで、それぞれの成分(本実施形態では、9個の成分)が特定される。
乳質測定装置は、例えば、搾乳ロボットに組み込まれてもよい。
乳質測定装置は、赤外線を利用して測定を行ってもよい。
なお、乳量と同様に、乳質のデータとして、1日分以外の期間の乳質のデータが用いられてもよい。
【0037】
行動は、例えば、牛の個体ごとの行動である。
行動としては、例えば、3個の行動があり、具体的には、反芻、活動、休息がある。
行動のデータとして、例えば、1日分の行動の割合(行動割合)のデータが用いられてもよい。1日分の行動割合は、例えば、1日における各行動の割合が所定のセンサーによって測定されることで、特定される。
一例として、牛に取り付けられて加速度を測定する加速度計が用いられて、当該加速度計によって測定された加速度のデータに基づいて当該牛の行動(反芻、活動、休息)の割合が特定されてもよい。
他の例として、牛の画像を検出(撮像)する撮像装置(例えば、カメラ)が用いられて、当該撮像装置によって撮像された画像のデータに基づいて当該牛の行動(反芻、活動、休息)の割合が特定されてもよい。
なお、乳量及び乳質と同様に、行動のデータとして、1日分以外の期間の行動(例えば、行動割合)のデータが用いられてもよい。
【0038】
移動平均部112は、生データ1011を入力し、入力された生データ1011について所定の移動平均を取る処理を行い、当該処理の結果のデータを入力データ1012としてAI部111に出力する。
ここで、生データ1011は、複数の入力因子のデータを含み、移動平均が行われる前のデータを表している。
【0039】
ただし、本実施形態では、分娩後日数データ及び削蹄後日数のデータが入力因子のデータとして用いられる場合には、これらのデータについては移動平均は行われない。
一方、本実施形態では、乳量のデータ、行動割合のデータ及び乳質のデータが入力因子のデータとして用いられる場合には、これらの1日ごとの生データについて複数日にわたる移動平均が行われる。
【0040】
ここで、本実施形態では、移動平均の手法として、当日(該当する日)を含んで過去の所定期間に窓を設け、当該窓の内部におけるデータの平均(移動平均)を取る手法が用いられるが、これに限られず、他の任意の手法が用いられてもよい。
なお、本実施形態では、当該所定期間として、実験により良好な結果が得られた7日間の移動平均が用いられるが、必ずしも7日間に限られず、他の日数の移動平均が用いられてもよい。
例えば、当該所定期間として、7日間よりも長い期間が用いられてもよい。
【0041】
移動平均部112は、移動平均を行う対象となるそれぞれの入力因子のデータについて移動平均を取り、当該移動平均の結果のデータを入力データ1012としてAI部111に出力する。
なお、移動平均を行う対象以外の入力因子のデータについては、そのまま入力データ1012としてAI部111に入力される。
【0042】
AI部111は、入力層131と、中間層である隠れ層132と、出力層133と、を備える。
AI部111は、入力データ1012を入力し、入力データ1012に基づいて各層(入力層131、隠れ層132、出力層133)で演算が行われた結果のデータを出力データ1021として出力する。
本実施形態では、AI部111は、牛の蹄病の有無について判定を行い、牛の蹄病が発症するか否かを表す出力データ1021を出力する。
【0043】
ここで、本実施形態では、隠れ層132は、5個の層を有している。これら5個の層のそれぞれのノードの数は、入力層131から出力層133へ向かう順に、3個、5個、7個、7個、4個となっている。
このような隠れ層132の構成は、実験により良好な結果が得られた構成の一例であるが、必ずしも当該構成に限られず、他の構成が用いられてもよい。
例えば、隠れ層132が有する5個の層のうちの任意の1個の層のノード数を変更した構成が用いられてもよい。
【0044】
本実施形態では、分類を目的とする教師あり深層学習の多層パーセプトロン法(MLP:multi-layer perceptron)が用いられている。
また、本実施形態では、活性化関数として、ReLU関数、または、ソフトマックス関数が用いられている。
また、本実施形態では、出力層133からの出力結果として、one-hotベクトル化した出力結果が用いられており、具体的には、「健康」を表す出力結果と、「蹄病」を表す出力結果とが用いられている。本実施形態では、「健康」は「蹄病」ではないことを表しており、これにより、出力層133からの出力結果として、蹄病の有無に関する推定結果が得られる。
また、本実施形態では、過学習及び未学習を防ぐために、学習モデルのパラメーターの数が200前後に設定されているが、必ずしもこれに限られず、任意の数のパラメーターが設定されてもよい。
なお、図2に示されるAI部111の構成は、説明のための一例であり、他の任意の構成(機械学習モデル)が用いられてもよい。
【0045】
<学習モデル>
本実施形態では、AI部111において、複数の牛に関するデータを学習の対象として、それぞれの個体の牛に関するデータを用いて、機械学習を行うことで、学習モデルを生成する。
また、本実施形態では、AI部111において、生成された学習モデルに対して、推定の対象となる個体の牛(推定対象牛)に関するデータを当該学習モデルの入力因子のデータとして用いて、当該学習モデルによって推定を行うことで、当該学習モデルからの出力データを当該牛の蹄病の有無に関する推定結果として取得する。
ここで、学習モデルによる推定の対象となる牛は、例えば、学習の対象とした牛とは異なっていてもよい。
【0046】
<学習モデルの生成>
所定の2個以上の入力因子の組み合わせパターン(データセット)を用いて、機械学習により、学習モデルを生成した。
本実施形態では、学習に用いられる真値として、学習の対象となる牛の蹄病の有無を削蹄師によって判断(診断)した結果を用いた。牛の蹄病の有無は、例えば、当該牛の蹄の状態変化の測定結果に基づいて判断されてもよい。
【0047】
情報処理装置1において、制御部15は、AI部111の学習に用いるべき入力データ及び真値を含む学習用データを取得する。当該学習用データは、例えば、情報処理装置1の外部から取得されてもよく、あるいは、内部(記憶部14)から取得されてもよい。
制御部15は、当該学習用データをAI部111に入力し、当該学習用データを用いてAI部413の機械学習を行うことで、AIに413の学習モデルを生成する。ここで、制御部15は、例えば、当該学習用データを移動平均部112を介してAI部111に入力してもよい。
このような学習の処理によって、情報処理装置1のユーザーにとって所望の学習モデルがAI部111において生成される。
【0048】
<学習モデルを用いた推定>
ここでは、情報処理装置1において、AI部111では、既に、所望の学習モデルが生成されているとする。
情報処理装置1では、制御部15は、推定の対象となる牛に関する複数の入力因子のデータ(入力データ)をAI部111に入力する。ここで、本実施形態では、AI部111への入力データは、移動平均が行われる対象となる入力因子のデータについては移動平均が行われたデータである。
制御部15は、当該入力データに応じてAI部111から出力される出力データ(蹄病の有無に関する推定結果)をAI部111から取得する。
【0049】
[複数のケースの例]
図3は、実施形態に係る複数のケースの例を示す図である。
図3には、入力因子の組み合わせパターンについて、7つのケースの例を表すテーブルT1を示してある。
本実施形態では、7つのケースをCase1~Case7と示す。
【0050】
Case1は、入力因子として、分娩後日数、削蹄後日数、乳量、行動割合(反芻、活動、休息)、乳質(上述の9個の成分)を用いるケースである。
Case2は、入力因子として、分娩後日数、乳量を用いるケースである。
Case3は、入力因子として、分娩後日数、乳量、乳質(上述の9個の成分)を用いるケースである。
Case4は、入力因子として、分娩後日数、乳量、行動割合(反芻、活動、休息)を用いるケースである。
Case5は、入力因子として、分娩後日数、削蹄後日数、乳量、行動割合(反芻、休息)、乳質(乳脂質、乳タンパク質、体細胞数、乳糖)を用いるケースである。
Case6は、入力因子として、分娩後日数、削蹄後日数、乳量を用いるケースである。
Case7は、入力因子として、分娩後日数、行動割合(反芻、活動、休息)を用いるケースである。
【0051】
[それぞれのケースの推定の精度]
図4は、実施形態に係るそれぞれのケースの推定の精度を示す図である。
図4に示されるグラフにおいて、横軸に沿って、7つのケース(Case1~Case7)を区別して表している。
当該グラフにおいて、縦軸は、AI部111による推定の精度である正解率(Accuracy:無単位)を表している。
【0052】
当該グラフでは、Case1の正解率2011と、Case2の正解率2012と、Case3の正解率2013と、Case4の正解率2014と、Case5の正解率2015と、Case6の正解率2016と、Case7の正解率2017と、を並べて示してある。
【0053】
図3及び図4の例における各ケース(Case1~Case7)では、Case5の正解率が最も高かったが、いずれのケースについても50%前後の正解率が達成されており、実用可能な正解率となっている結果が得られた。
【0054】
なお、図3及び図4の例では示されていないが、入力因子として乳質のみが単独で用いられる場合には、正確率が低いことが実験により確認されている。
【0055】
ここで、図4の例では、牛の蹄病の診断日の間隔(ある診断日と次の診断日との間隔)を120日(およそ3箇月)とした場合の例を示してある。
また、図4の例では、それぞれケースの正解率は、牛が蹄病であると診断されたときよりも110日前~2日前までのデータ(入力因子のデータ)を用いた場合に得られた正解率となっている。
また、図4の例では、それぞれのケースの正解率は、推定対象牛として複数の個体の牛について推定を行った結果の平均値となっている。
【0056】
[推定日と正解率との関係の例]
図5は、実施形態に係る1つのケース(Case5)における推定日と正解率との関係の一例を示す図である。
ここで、図5の例では、Case5についての結果を表しているが、他のケースについても同様な傾向が見られる。
【0057】
図5に示されるグラフでは、横軸は、牛の蹄病が発生したとき(発生日)よりも過去にさかのぼる期間を表しており、縦軸は正解率(推定の精度)を表している。
当該グラフには、正解率の特性(正解率特性2111)を示してある。
正解率特性2111は、牛の蹄病が診断されるよりも前の日数ごとの正解率の特性となっている。
当該グラフでは、牛の蹄病が発生したときと比べて、42日前、35日前、28日前、21日前、14日前、7日前の正解率を繋げた正解率特性2111を示してある。
図5に示される正解率特性2111からは、およそ28日前から正解率が特に良好になることが把握される。
【0058】
[移動平均と正解率との関係の例]
図6は、実施形態に係る移動平均と正解率との関係の例を示す図である。
図6は、実施形態に係る1つのケース(Case5)における移動平均と正解率との関係の例を示してある。
ここで、図6の例は、Case5についての結果を表しているが、他のケースについても同様な傾向が見られる。
【0059】
図6に示されるグラフにおいて、横軸は移動平均を取った日数(期間)を表しており、縦軸は正解率(推定の精度)を表している。
当該グラフには、移動平均を行っていない生データ(当日の値)がAI部111への入力データとして用いられた場合における正解率2211と、3日間の移動平均を取ったデータ(3日移動平均)がAI部111への入力データとして用いられた場合における正解率2212と、7日間の移動平均を取ったデータ(7日移動平均)がAI部111への入力データとして用いられた場合における正解率2213と、を示してある。
【0060】
ここで、移動平均は、所定の入力因子の時系列のデータに対して行われる。
複数の入力因子の組み合わせパターン(データセット)について、移動平均の処理が適用されることで、推定の精度(正解率)が高くなる場合があると考えられる。例えば、移動平均の処理が適用されることで、異常検知(健康である通常の状態と蹄病である異常の状態との区別)が容易化される場合があると考えられる。
【0061】
図6の例では、推定の精度(正解率)は、移動平均を取る期間(窓)の大きさで変化し得ることが把握される。本実施形態では、実験により、図6の例においては、7日間の移動平均の処理が行われる場合に、正解率が最も良好であった。
なお、この結果から、7日間を超える期間の移動平均が行われる場合についても、当日の値よりも推定の精度(正解率)が良好になる場合があると推測される。
【0062】
[変形例に係るAI部]
図7は、実施形態の変形例に係るAI部211の処理の様子の一例を示す図である。
変形例に係るAI部211は、入力層231と、中間層である隠れ層232と、出力層233と、を備える。
変形例に係るAI部211は、移動平均が行われていない生データ(例えば、図2に示される生データ1011と同様なデータ)を入力データ1111として入力し、入力データ1111に基づいて各層(入力層231、隠れ層232、出力層233)で演算が行われた結果のデータを出力データ1121として出力する。
【0063】
なお、図7の例では、図2の例の場合と同様に、説明の便宜上、移動平均の処理が行われていないデータを生データと呼んでいる。当該生データは、例えば、センサーなどによって検出されたままのデータあるいは人間によって判断されたままのデータであるが、必ずしもこれらに限られず、任意の処理が施された後のデータであってもよい。
【0064】
ここで、変形例に係るAI部211における入力層231、隠れ層232、出力層233の構成は、例えば、図2に示される入力層131、隠れ層132、出力層133の構成と同様であるが、他の構成が用いられてもよい。
【0065】
このような変形例のように、情報処理装置1における機械学習では、必ずしも移動平均の処理が行われなくてもよい。この場合、図1に示される情報処理装置1において、制御部15は、移動平均部112の機能を備えなくてもよい。
【0066】
[他の変形例に係る入力データ]
なお、他の変形例として、図1及び図2の例に示される移動平均部112と同様な機能が、情報処理装置1とは異なる装置に備えられてもよく、当該装置によって移動平均が行われた後のデータが情報処理装置1により取得されてAI部211への入力データ1111として用いられてもよい。つまり、移動平均の処理は、必ずしも情報処理装置1の内部の演算で行われなくてもよく、情報処理装置1の外部の装置で行われてもよい。
この場合、図7に示されるAI部211では、実質的には、図2に示されるAI部111と同様な入力データを入力し、図2に示されるAI部111と同様な出力データを出力する。
【0067】
[変形例に係る学習モデルの生成及び学習モデルによる推定]
以上の実施形態では、共通の装置(例えば、情報処理装置)が、機械学習の学習モデルを生成する機能と、生成された学習モデルを用いて推定を行う機能と、の両方を備える場合を示したが、他の構成例として、これらの機能のうちの一方を備えて他方を備えない装置が実施されてもよい。
つまり、機械学習の学習モデルを生成する機能を備える装置と、生成された学習モデルを用いて推定を行う機能を備える装置と、が別の装置として構成されてもよい。
【0068】
[変形例に係る情報処理システム]
図8は、実施形態の変形例に係る情報処理システム301の構成の一例を示す図である。
情報処理システム301は、情報処理装置311と、サーバー装置312と、を備える。
【0069】
情報処理装置311は、概略的には、図1に示される情報処理装置1と同様な機能部を備えているが、本変形例では、AI部111の機能を備えていなくてもよい。また、情報処理装置311は、本変形例では、移動平均の処理を行わない場合には、移動平均部112の機能を備えていなくてもよい。
【0070】
サーバー装置312は、受信部411と、送信部412と、AI部413と、を備える。
なお、図8の例では、サーバー装置312の概略的な構成例を示してあり、サーバー装置312は他の様々な機能部を備えてもよい。
【0071】
ここで、情報処理装置311は、例えば、任意のコンピューターを用いて構成されている。
また、サーバー装置312は、例えば、任意のコンピューターを用いて構成されており、クラウドの装置となっている。
情報処理装置311とサーバー装置312とは、通信を行うことが可能である。当該通信は、例えば、有線の通信であってもよく、または、無線の通信であってもよく、あるいは、有線と無線との両方が含まれる通信であってもよい。
なお、情報処理装置311とサーバー装置312とは、例えば、他の装置(中継装置)を介して通信を行ってもよい。
【0072】
<学習モデルの生成>
情報処理装置311は、AI部413の学習に用いるべき入力データ及び真値を含む学習用データをサーバー装置312に送信する。
サーバー装置312は、情報処理装置311から送信された学習用データを受信し、受信した学習用データを用いてAI部413の機械学習を行うことで、学習モデルを生成する。
これにより、情報処理装置311のユーザーにとって所望の学習モデルがサーバー装置312のAI部413において生成される。
【0073】
<学習モデルを用いた推定>
ここでは、サーバー装置312のAI部413では、既に、所望の学習モデルが生成されているとする。
情報処理装置311は、推定の対象について、AI部413に入力する入力データをサーバー装置312に送信する。
【0074】
ここで、AI部413への入力データは、例えば、移動平均の処理が行われた結果のデータであってもよく、あるいは、移動平均の処理が行われていないデータ(例えば、生データ)であってもよい。
なお、移動平均の処理が行われる場合、当該処理は、例えば、情報処理装置311において行われてもよく、あるいは、サーバー装置312において行われてもよい。
【0075】
つまり、情報処理装置311において移動平均の処理が行われた結果のデータが情報処理装置311からサーバー装置312に送信されて、当該データがAI部413への入力データとされてもよく、あるいは、移動平均の処理が行われていないデータが情報処理装置311からサーバー装置312に送信されて、当該データに対する移動平均の処理がサーバー装置312において行われた後に、当該移動平均の結果のデータがAI部413への入力データとされてもよい。
なお、移動平均の処理が行われていないデータがAI部413への入力データとされる場合には、移動平均の処理が行われていないデータが情報処理装置311からサーバー装置312に送信されて、当該データがAI部413への入力データとされる。
【0076】
サーバー装置312は、情報処理装置311から送信されたデータを受信部411により受信する。
サーバー装置312は、受信したデータをそのままあるいは所定の処理を施して入力データとしてAI部413に入力し、当該入力データに応じた出力データをAI部413から出力する。
サーバー装置312は、AI部413からの出力データを送信部412により情報処理装置311に送信する。
【0077】
情報処理装置311は、サーバー装置312から送信されたデータ(AI部413からの出力データ)を受信し、受信したデータに基づいて、牛の蹄病の有無に関する推定結果を取得する。
【0078】
このように、情報処理装置311は、外部のクラウドなどにあるAIの機能(図8の例では、AI部413の機能)を利用することで、学習モデルの生成、及び、生成された学習モデルによる推定を行ってもよい。
【0079】
<学習モデルの生成及び学習モデルによる推定>
ここで、図8の例では、情報処理装置311が、サーバー装置312におけるAI部413の学習モデルを生成するための処理を行う機能と、サーバー装置312において生成された学習モデルを用いて推定を行うための処理を行う機能と、の両方を備える場合を示したが、他の構成例として、これらの機能のうちの一方を備えて他方を備えない情報処理装置が実施されてもよい。
つまり、サーバー装置312におけるAI部413の学習モデルを生成するための処理を行う機能を備える装置と、サーバー装置312において生成された学習モデルを用いて推定を行うための処理を行う機能を備える装置と、がそれぞれ別の装置として構成されてもよい。
【0080】
[以上の実施形態について]
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置1では、所定の入力因子が入力されるAIの学習モデルを用いて牛の蹄病の推定を行うことで、牛の蹄病の推定を早期に精度良く行うことができる。
本実施形態に係る情報処理装置1では、牛の蹄病を早期に発見することで、生産性を向上させることができ、例えば、畜産業務の効率化(例えば、省力化)を図ることができ、人材不足の解決も図られる。
【0081】
本実施形態に係る情報処理装置1では、牛の蹄病の発症前に、牛の蹄病を早期に発見することが可能である。
本実施形態に係る情報処理装置1では、例えば、歩様の異常または牛の跛行が観察される前に、牛の蹄病を早期に発見することが可能である。
本実施形態に係る情報処理装置1では、例えば、牛の跛行前に、歩様以外の因子を用いて、牛の蹄病を早期に発見することが可能である。
【0082】
このように、本実施形態に係る情報処理装置1では、例えば、牛が蹄病を発症した後における推定ではなく、牛が蹄病を発症する前における推定(予測)を行うことが可能である。これにより、本実施形態に係る情報処理装置1では、牛の蹄病が発症した後(罹患後)ではなく、牛の蹄病が発症する前に蹄病の兆候(特徴)を見つけることができ、蹄病の発症を予防することが可能である。
なお、本実施形態に係る情報処理装置1は、牛が蹄病を発症した後における推定に利用されてもよい。
【0083】
例えば、AIの深層学習の入力因子として、牛の分娩後日数、削蹄後日数及び乳量のうちの一部または全部を使用して、行動及び乳質を使用しない構成が用いられてもよい。
当該構成では、使用される入力因子(例えば、分娩後日数、削蹄後日数、乳量)は、通常の農場で使用されている搾乳ロボット以外に特別な装置を必要とせずに得られるデータである。一方、行動のデータは牛に個体センサーを付けて測定することが必要であり、また、乳質のデータは乳質測定装置によって測定することが必要である。
このように、当該構成では、特別な装置を必要としない入力因子のデータを用いて牛の蹄病の有無に関する推定を行うことが可能である。
このように、分娩後日数、削蹄後日数、乳量は、データの得易さと正解率を考慮した場合に良好(例えば、最適)な入力因子となる。
【0084】
一例として、情報処理装置1では、牛の分娩後日数及び削蹄後日数のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと当該牛の蹄の状態に基づいて学習モデルを生成し、生成した学習モデルを用いて牛の蹄病の有無を推定してもよい。
この場合、情報処理装置1では、図3及び図4の例に示されるように、牛の蹄病の推定において、50%前後の正解率を得ることができる。
【0085】
一例として、情報処理装置1では、牛の分娩後日数のデータを含む複数のデータと当該牛の蹄の状態に基づいて学習モデルを生成し、生成した学習モデルを用いて牛の蹄病の有無を推定してもよい。
この場合、情報処理装置1では、図3及び図4の例に示されるように、牛の蹄病の推定において、50%前後の正解率を得ることができる。
【0086】
[構成例]
構成例を示す。
(構成例1)
牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて学習モデルを生成し、生成された前記学習モデルを用いて推定対象牛の蹄病の有無を推定する、
情報処理装置。
【0087】
(構成例2)
前記複数のデータは、前記牛の行動のデータと前記牛の乳質のデータとのうちの一方または両方を含む、
(構成例1)に記載の情報処理装置。
【0088】
(構成例3)
前記複数のデータは、前記牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数、前記牛の乳量、前記牛の行動である反芻と休息、及び前記牛の乳質である乳脂質と乳タンパク質と体細胞数と乳糖のデータを含む、
(構成例1)または(構成例2)に記載の情報処理装置。
【0089】
(構成例4)
前記複数のデータのうちの少なくとも1つのデータは、1日ごとのデータについて複数日にわたって移動平均を取った結果のデータである、
(構成例1)から(構成例3)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0090】
(構成例5)
外部装置に前記複数のデータと前記牛の蹄の状態を含む指示を送信することで前記外部装置に前記学習モデルを生成し、
前記外部装置の前記学習モデルを用いて前記推定対象牛の蹄病の有無を推定した結果を受信する、
(構成例1)から(構成例4)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0091】
(構成例6)
牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて学習モデルを生成する、
情報処理装置。
【0092】
(構成例7)
牛の分娩後日数、前記牛の削蹄後日数及び前記牛の乳量のうちの少なくとも1つのデータを含む複数のデータと前記牛の蹄の状態に基づいて生成された学習モデルを用いて推定対象牛の蹄病の有無を推定する、
情報処理装置。
【0093】
[以上の実施形態について]
なお、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、オペレーティングシステムあるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーあるいはクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。当該揮発性メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)であってもよい。記録媒体は、例えば、非一時的記録媒体であってもよい。
【0094】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0095】
また、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピューター読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0096】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルター回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0097】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1、311…情報処理装置、11…入力部、12…出力部、13…通信部、14…記憶部、15…制御部、31…操作部、51…表示部、111、211…AI部、112…移動平均部、131、231…入力層、132、232…隠れ層、133、233…出力層、312…サーバー装置、411…受信部、412…送信部、413…AI部413、1011…生データ、1012、1111…入力データ、1021、1121…出力データ、2011~2017、2211~2213…正解率、2111…正解率特性、T1…テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8