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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067783
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】移動式の付け刃口装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 23/04 20060101AFI20240510BHJP
   E02D 23/08 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
E02D23/04 Z
E02D23/08 F
E02D23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178110
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000207780
【氏名又は名称】大豊建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】平岡 元
(72)【発明者】
【氏名】入江 勉
(57)【要約】
【課題】きわめて迅速に設置することのできる、移動式の付け刃口装置を提供する。
【解決手段】移動式の付け刃口装置3は、ニューマチックケーソン1の刃口11の作業室13側に設置される複数の付け刃口4、・・・と、複数の付け刃口4、・・・の移動機構5であって、付け刃口4が、刃口11の上部にある退避位置P1と、刃口11の下部にある抵抗位置P2と、の間を移動できるようにされた、複数の移動機構5と、を備えている。このような構成であるから、本発明の移動式の付け刃口装置3によれば、付け刃口4の搬入作業が不要であり、付け刃口4を移動させるだけで、きわめて迅速に付け刃口4を設置できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューマチックケーソンの刃口の作業室側に設置される複数の付け刃口と、
複数の前記付け刃口の移動機構であって、前記付け刃口が、前記刃口の上部にある退避位置と、前記刃口の下部にある抵抗位置と、の間を移動できるようにされた、複数の移動機構と、を備える、移動式の付け刃口装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記刃口の作業室側に沿って斜め上下方向に延設されるレールと、前記付け刃口と一体にされて前記レールにスライド移動自在に嵌合するベース部と、から構成される、請求項1に記載された、移動式の付け刃口装置。
【請求項3】
前記移動機構は、作業室内に配置された掘削機の動作によって、前記退避位置と前記抵抗位置の間を移動できるようにされている、請求項2に記載された、移動式の付け刃口装置。
【請求項4】
前記付け刃口は、前記抵抗位置において地盤から受ける抵抗力によって、前記レールに沿って前記付け刃口が上方へスライド移動しないようにされた、くさび機構をさらに有する、請求項3に記載された、移動式の付け刃口装置。
【請求項5】
前記くさび機構は、前記付け刃口の上面において前記レールとの間に設けられた孔部と、前記孔部に挿入されるくさび部と、前記くさび部と一体にされた掘削機操作用の傘部と、から構成される、請求項4に記載された、移動式の付け刃口装置。
【請求項6】
前記付け刃口は、前記退避位置において重力によって、前記レールに沿って前記付け刃口が下方へスライド移動しないようにされた、フック機構をさらに有する、請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載された、移動式の付け刃口装置。
【請求項7】
前記フック機構は、前記付け刃口の上部に回転可能に支承されて前記レールの上端に掛止する方向に付勢されたフック部と、前記フック部に連繋された掘削機操作用の受部と、から構成される、請求項6に記載された、移動式の付け刃口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーソンやニューマチックケーソンにおいて、刃口抵抗力を増強するために用いられる、付け刃口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ニューマチックケーソン沈下掘削時に、軟弱地盤等で地盤支持力が不足してケーソンが傾斜するなどの状況が発生した場合、抵抗力を増強することで傾斜を抑える必要がある。このような傾斜抑制手法として、作業室内に鋼製サンドルと呼ばれる支保部材を設置する場合がある。
【0003】
別の傾斜抑制手法として、例えば特許文献1に記載されたように、「付け刃口」と呼ばれる対策を実施することがある。この付け刃口は、対策が必要な箇所の刃口内側に設置することにより、部分的に抵抗力を増強させて沈下を抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-37203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の「付け刃口」は、アンカーボルトを事前に埋設しておいたとしても、作業室内への付け刃口の搬入作業と設置作業に時間を要することになる。そのため、いっそう迅速に付け刃口を設置する手法の開発が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、きわめて迅速に設置することのできる、移動式の付け刃口装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の移動式の付け刃口装置は、ニューマチックケーソンの刃口の作業室側に設置される複数の付け刃口と、複数の前記付け刃口の移動機構であって、前記付け刃口が、前記刃口の上部にある退避位置と、前記刃口の下部にある抵抗位置と、の間を移動できるようにされた、複数の移動機構と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明の移動式の付け刃口装置は、ニューマチックケーソンの刃口の作業室側に設置される複数の付け刃口と、複数の付け刃口の移動機構であって、付け刃口が、刃口の上部にある退避位置と、刃口の下部にある抵抗位置と、の間を移動できるようにされた、複数の移動機構と、を備えている。このような構成であるから、本発明の移動式の付け刃口装置によれば、付け刃口の搬入作業が不要であり、付け刃口を移動させるだけで、きわめて迅速に付け刃口を設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ニューマチックケーソンの側面図である。
図2】ニューマチックケーソンの刃口付近の平面図である。
図3】移動式の付け刃口装置の側面図である。
図4】移動式の付け刃口装置の平面図である。
図5】移動式の付け刃口装置の正面図である。
図6】くさび機構の構成・作用を説明する説明図である。
図7】フック機構の構成・作用を説明する説明図である。
図8】移動式の付け刃口装置の使用手順図である。(a)は抵抗位置P1から退避位置P1への移動手順であり、(b)は退避位置P1から抵抗位置P2への移動手順である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0011】
まず、図1図2を用いて本発明の移動式の付け刃口装置3を備えるニューマチックケーソン1の全体構成を説明する。ニューマチックケーソン1は、図1図2に示すように、側壁10の下部に、先端が細くなった刃口11が形成されており、この刃口11の内面と作業室スラブ12の下面とに囲まれて作業室13が形成されている。作業室13内には、掘削機2が配置されており、遠隔操作される掘削機2によって地盤(地山)を掘削してニューマチックケーソン1を沈下させていくようになっている。
【0012】
作業室13からは、地上に向かってマテリアルシャフト14が延びており、上部にマテリアルロック15が設置されている。図示しないが、作業室13からは、マンシャフトやマンロックを設置することもできる。
【0013】
掘削機2によって掘削された土砂は、土砂バケット18に投入されてマテリアルシャフト14及びマテリアルロック15を通じて外部に排出される。この他、図示を省略するが、作業室13、マテリアルシャフト14、及びマテリアルロック15等に圧縮空気を送り込んだり排気したりするための圧気設備が配置されている。
【0014】
さらに、ニューマチックケーソン1に近接する地上には、図示しないが、中央監視室が設置されており、掘削機2の操作、土砂バケット18の操作、マテリアルシャフト14及びマテリアルロック15を通じた資材の搬入と掘削された土砂の搬出、ケーソンの沈下量、傾斜等の姿勢表示等、全体の監視や管理が行われる。
【0015】
そして、本実施例のニューマチックケーソン1の刃口11には、図2に示すように、地盤からの抵抗力を位置に応じて部分的に増強するために、複数の移動可能な付け刃口4、・・・が設置されている。具体的に言うと、刃口11の作業室側(内側)には、円周方向に分散して16個(例えば、円周角22.5度ずつ離れている)の付け刃口4、・・・が、刃口11内面の傾斜に沿って斜め上下方向にスライド移動可能に配置されている。なお、付け刃口4の個数は、16個に限定されるものではなく、ニューマチックケーソン1の大きさや形状に応じて、適切な数の付け刃口4を配置できる。
【0016】
付け刃口4は、鋼板によって全体としてI字状断面(H字状断面)を有するものであり、刃口11の内面に垂直な上板40aと、上板40aと下板40cに連結される縦板40bと、設置された状態で略水平になり地盤と接触する下板40cと、上板40aと下板40bとに連結され刃口11の内面に略平行な横板40dと、刃口11の内面に沿うベース部21と、から一体に構成されている(付け刃口4の本体部40の構成については、図6及び図7参照)。以下に説明するように、この付け刃口4と、付け刃口4の移動機構5によって、移動式の付け刃口装置3が構成されて、安全性と施工速度の向上が図られている。
【0017】
すなわち、移動式の付け刃口装置3は、図3図5に示すように、複数の付け刃口4、・・・のそれぞれが移動機構5を介して、刃口11の上部にある退避位置P1と、刃口11の下部にある抵抗位置P2と、の間をスライド移動できるようになっている。このうち、退避位置P1は、後述するように、フック機構44がレール51のベース部50の上縁に掛止される位置である。一方、抵抗位置P2は、移動時点の地盤の位置に応じて決まる位置であり、付け刃口4が実際に地盤から抵抗力を受ける位置である。抵抗位置P2は、通常は、刃口4の下部になる。
【0018】
この移動機構5は、具体的には、刃口11の作業室13側-すなわち内側-に沿って、斜め上下方向に延設されるレール51、51と、付け刃口4と一体にされてレール51、51にスライド移動自在に嵌合するベース部41と、から構成される。すなわち、左右両側に平行に設置されたレール51、51の内側に、付け刃口4のベース部41が摺動できる程度の隙間をもって嵌合されている。
【0019】
より詳細に言うと、レール51は、鋼板によってL字状に形成されるものであり、刃口11の内面にアンカーボルトによって固定される細長い矩形のベース部50の左右に、溶接によって内側に付け刃口を差し込めるように固定されている。そして、開いたL字の幅と略同一の厚みの鋼板によって形成される付け刃口4のベース部41が嵌め込まれている。
【0020】
そして、本実施例の付け刃口4の移動機構5は、作業室内に配置された重機としての掘削機2のバケット20の動作によって、退避位置P1と抵抗位置P2の間を往復移動できるようにされている。具体的には、移動機構5は、次に説明するように、付け刃口4の本体部40の上部に、掘削機2のバケット20で操作できる、左右のくさび機構43、43及び中央のフック機構44が搭載されていることで、退避位置P1における退避機能と、抵抗位置P2における抵抗機能と、の両方の機能を実現できるように構成されている。
【0021】
くさび機構43は、抵抗位置P2において地盤から受ける抵抗力を受けて、付け刃口4が上方にスライド移動しないようにするものであり、図6(a)(b)に示すように、付け刃口4の上面においてレール51との間に設けられた孔部43aと、孔部43aに挿入されるくさび部43bと、くさび部43bの上部に溶接によって固定された掘削機操作用の傘部43cと、から構成されている。
【0022】
このうち孔部43aは、上板40aを切り欠いて形成される凹部である。一方、くさび部43bは、本体部40とは別体として形成され、先端に向かって(設置された状態で下に向かって)少しずつ幅が狭くなる形状である。また、孔部43aは、上板40aの切り欠き部から、くさび部43bと相対するように、徐々に狭くなる形状に、補強用の鋼板43dを上板40aの下面に溶接して形成しても良い。この場合、くさび部43bでレール51をより強く固定しやすくなる。なお、くさび部43bと孔部43aの具体的な形状は、ここで説明した形状に限定されるものではない。
【0023】
したがって、図6(a)に示す固定状態では、孔部43aにくさび部43bが嵌合することで、付け刃口4全体がレール51に対して摩擦力によって固定される。より詳細に言えば、レール51を、ベース部41とくさび部43bによって挟み込むことで、付け刃口4が固定される。一方で、図6(b)に示す解除状態(移動可能な状態)では、掘削機2のバケット20によって、孔部43aからくさび部43bが引き抜かれるように移動されることで、摩擦力が作用しなくなり付け刃口4全体がレール51に対して自由にスライド移動できる。
【0024】
フック機構44は、退避位置P1において重力を受けて、付け刃口4が下方にスライド移動(落下)しないようにするものであり、図7(a)(b)に示すように、付け刃口4の上部にブラケットを介して回転可能(揺動可能)に支承されてレール51の上端に掛止されるフック部44aと、フック部44aに連繋された掘削機操作用の受部44bと、フック部44aをレール51方向に付勢するためのバネ44cと、から構成されている。
【0025】
このうちフック部44aは、上板40aの上面に立設された一対のブラケットの間に、回転軸を介して回転可能に支承されている。そして、受部44bとはリンク部材を介して連繋されており、受部44bが奥側(刃口11に近い側)に押されることで、フック部44aの先端側は手前側(刃口11から遠い側)に移動するようになっている。フック部44aの先端側は、バネ44cによって奥側に向いて付勢されている。
【0026】
したがって、図7(a)に示す掛止状態では、受部44bが押されておらず、フック部44aの先端側はバネ44cによって奥側に付勢され、レール51の上端に掛止されている。したがって、付け刃口4が下方向に向かって移動(落下)することはない。一方で、図7(b)に示す解除状態(移動可能な状態)では、受部44bが掘削機2のバケット20によって奥側に押されることで、フック部44aの先端側はバネ44cの付勢力に抗して手前側に回転移動するため、レール51の上端への掛止が解除される。したがって、付け刃口4は、自由に下方向に向かって移動することができる。
(設置)
レール51を予め刃口11に取り付けておき、セントル撤去時に付け刃口4をレール51に取り付け、退避位置P1に設置しておいても良いし(先付け施工)、アンカーボルトを介して後からレール51を取り付けても良い(後付け施工)。
(撤去)
付け刃口撤去時は、レール51上部から付け刃口4のみを抜き出し、撤去することもできる。又は、アンカーボルトを外してレール51と付け刃口4を一緒に撤去しても良い。
【0027】
(使用手順)
このように移動式の付け刃口装置3は、付け刃口4の移動機構5に加えて、くさび機構43とフック機構44を備えることで、掘削機2のバケット20による動作のみで、移動・固定が可能となっている。次に、図8を用いて、移動式の付け刃口装置3の使用手順について説明する。
【0028】
具体的に言うと、図8(a)に示すように、付け刃口4が不要になったタイミングで、上方に退避させる際には、下方の抵抗位置P2にある付け刃口4の上部のくさび機構43を解除する。すなわち、掘削機2のバケット20によって傘部43cを持ち上げてくさび部43bを引き抜く。次に、付け刃口4の上板40aにバケット20を引っ掛けるなどして、付け刃口4をレール51の上端の退避位置P1まで持ち上げる。そうすると、フック機構44のフック部44aが自動的にレール51の上端に掛止される。
【0029】
他方で、図8(b)に示すように、付け刃口4が必要になったタイミングで、下方に移動させて抵抗力を得る際には、上方の退避位置P1にある付け刃口4の上部のフック機構44を解除する。すなわち、掘削機2のバケット20によって受部44bを押しながら少し下にずらすことで、フック部44aを手前側に揺動させながら、付け刃口4全体を下に移動させる。次に、そのまま付け刃口4の上板40aをバケット20で押すなどして、付け刃口4をレール51の下部の抵抗位置P2まで押し下げる。そして、念のため、くさび機構43の傘部43cを上からバケット20で押すなどして、くさび部43bを孔部43aにしっかりと挿入・固定する。
【0030】
次に、本実施例の移動式の付け刃口装置3の奏する効果を列挙して説明する。
【0031】
(1)上述してきたように、本実施例の移動式の付け刃口装置3は、ニューマチックケーソン1の刃口11の作業室13側に設置される複数の付け刃口4、・・・と、複数の付け刃口4、・・・の移動機構5であって、付け刃口4が、刃口11の上部にある退避位置P1と、刃口11の下部にある抵抗位置P2と、の間を移動できるようにされた、複数の移動機構5と、を備えている。このような構成であるから、本発明の移動式の付け刃口装置3によれば、付け刃口4の搬入作業が不要であり、付け刃口4を移動させるだけで、きわめて迅速に付け刃口4を設置できる。すなわち、従来は「付け刃口の準備」「付け刃口の投入」「付け刃口の移動・設置」「付け刃口の下方に詰め物を配置」といった工程が必要であったが、本発明であれば「整地・設置・くさび固定」を1つの工程としてきわめて短時間に実施できる。
【0032】
このようにして、付け刃口4を作業室13内に仮置きできれば作業室13内への搬出入が不要となることと、作業室13内の本体刃口11の作業室スラブ12との付け根部分が、掘削沈下作業等に影響することなく利用できることを発見した。作業室スラブ12と刃口11付け根の部分は、電気系統、計測系統のケーブル等以外に占有するものはなく、天井走行ショベル(掘削機2)についても旋回時にテールが接触することがないことを確認している。さらに、スライド移動式の付け刃口装置3は、使用箇所と未使用時の保管場所をスライド用のレール51でむすび、使用時と未使用時はそれぞれの場所に固定して使用又は保管できるようにしたものである。
【0033】
(2)また、移動機構5は、刃口11の作業室13側に沿って斜め上下方向に延設されるレール51と、付け刃口4と一体にされてレール51にスライド移動自在に嵌合するベース部41と、から構成されるため、レール51とベース部41をあらかじめ準備しておけば、移動作業をきわめて短時間で実施・完了することができる。
【0034】
(3)さらに、移動機構5は、作業室13内に配置された掘削機2の動作によって、退避位置P1と抵抗位置P2の間を移動できるようにされているため、圧気環境下に作業員が立ち入る必要がなくなり(高気圧作業の削減)、安全性が向上するうえ、いっそう短時間で作業を実施・完了することができる。
【0035】
(4)また、付け刃口4は、地盤からの抵抗力を受け止めることができるように、抵抗位置P2において地盤から受ける抵抗力によって、レール51に沿って付け刃口4が上方へスライド移動しないようにされた、くさび機構43をさらに有することが好ましい。このようにくさび機構43を用いることで、付け刃口4をどの位置にも固定できるため、付け刃口4と地盤との密着性が格段に向上するため、付け刃口4の目的である変位荷重の沈下抵抗力として瞬時に効果を発揮できるのである。
【0036】
(5)このくさび機構43は、具体的には、付け刃口4の上面においてレール51との間に設けられた孔部43aと、孔部43aに挿入されるくさび部43bと、くさび部43bと一体にされた掘削機操作用の傘部43cと、から構成される。したがって、掘削機2のバケット20によって、固定/解除を容易に操作できる。
【0037】
(6)また、付け刃口4は、重力によって下方にずれ落ちないように、退避位置P1において重力によって、レール51に沿って付け刃口4が下方へスライド移動しないようにされた、フック機構44をさらに有することが好ましい。
【0038】
(7)このフック機構44は、具体的には、付け刃口4の上部に回転可能に支承されてレール51の上端に掛止する方向に付勢されたフック部44aと、フック部44aに連繋された掘削機操作用の受部44bと、から構成される。したがって、掘削機2のバケット20によって、掛止/解除を容易に操作できる。
【0039】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0040】
例えば、実施例では、掘削機2のバケット20を操作することによって、付け刃口4のくさび機構43の固定/解除やフック機構44の掛止/解除を実施する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、迅速性はやや劣るものの、人力で操作することもできる。
【0041】
また、実施例では、円形の小型のニューマチックケーソン1を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、どのような形状・大きさのニューマチックケーソン1であっても本発明の移動式の付け刃口装置3を適用することができる。
【0042】
また、実施例では説明しなかったが、レール51内に入り込んで詰まる可能性のある土砂については、付け刃口4を上下に数回スライド移動させることによって除去できるため、十分に機能を発揮できる状態まで回復できる。この他に、例えば、空気によってレール51内の土砂を吹き飛ばす手段を追加することもできる。
【符号の説明】
【0043】
1 ニューマチックケーソン
10 側壁
11 刃口
12 作業室スラブ
13 作業室
14 マテリアルシャフト
15 マテリアルロック
18 土砂バケット
2 掘削機
20 バケット
3 移動式の付け刃口装置
4 付け刃口
40 本体部
41 ベース部
43 くさび機構
43a 孔部
43b くさび部
43c 傘部
43d (補強用の)鋼板
44 フック機構
44a フック部
44b 受部
44c バネ
5 移動機構
50 ベース部
51 レール
P1 退避位置
P2 抵抗位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8