(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067784
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】荷台高さ調整装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/02 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B60P1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178111
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 誠
(57)【要約】
【課題】荷台高さ調整において運転者の負担を軽減する。
【解決手段】荷台高さ調整装置9は、車両1の後方に取り付けられ、車両幅方向に延在するリヤアンダランプロテクタ4と、リヤアンダランプロテクタ4の長手方向の少なくとも一方の端部に設けられ、車両後方の物体までの距離及び車両下方の物体までの距離のそれぞれを計測する計測部5L,5Rと、荷台高さ調整の開始を指示するための指示部13と、荷台高さ調整の開始が指示された場合に、計測部5L,5Rで計測された車両下方の物体までの距離に基づき算出された現在の荷台高さを、荷積み及び荷下ろし作業時の荷台の高さとして予め設定された高さに合わせるように昇降駆動する昇降制御部11と、指示部13から荷台高さ調整の開始が指示された場合に、計測部5L,5Rで計測された車両後方物体までの距離が所定距離未満の場合に警報を発生する警報部12と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台を備えた車両における荷台高さ調整装置であって、
前記車両後方に取り付けられ、車両幅方向に延在する棒状部材からなるリヤアンダランプロテクタと、
前記リヤアンダランプロテクタの長手方向の少なくとも一方の端部に設けられており、前記車両後方の物体までの距離及び前記車両下方の物体までの距離のそれぞれを計測する計測部と、
荷台高さ調整の開始を指示するための指示部と、
前記指示部から荷台高さ調整の開始が指示された場合に、前記計測部で計測された前記車両下方の前記物体までの前記距離に基づき算出された現在の荷台高さを、荷積み及び荷下ろし作業時の荷台の高さとして予め設定された高さに合わせるように昇降駆動する昇降制御部と、
前記指示部から荷台高さ調整の開始が指示された場合に、前記計測部で計測された前記車両後方の前記物体までの前記距離が所定距離未満の場合に警報を発生する警報部と、を備えた
ことを特徴とする荷台高さ調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、トラックなど荷台を備えた車両における荷台高さ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックなどの車高が高い車両には、衝突時に乗用車などの車高が低い他車両が自車両に潜り込むことを防止するためのアンダランプロテクタが備えられている。
このアンダランプロテクタは、車両前方に備えられるフロントアンダランプロテクタと、車両後方に備えられるリヤアンダランプロテクタ(以下、RUPとも記す。RUPはRear Under-run Protectorの略)がある。例えば、特許文献1には、車両後方に配備され、車両幅方向に沿って延びた棒状部材からなるリヤアンダランプロテクタが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トラックは、倉庫内において、地面よりも高い位置に床面が設けられたプラットフォームに対して荷積み及び荷下ろし作業を行うことがある。このとき、荷積み荷下ろし作業を円滑に行うために、荷台の高さとプラットフォームの高さとを合わせるように、荷台の高さを調整している。具体的には、トラックの運転手は、まず、自車両を後退させて荷台の後端をプラットフォームに近づけた後、荷台をプラットフォームの高さに合わせている。
【0005】
上記の荷台高さ調整に際し、運転者は後退位置や荷台の高さなどを専ら目視で確認していた。そのため、荷積み及び荷下ろし作業では荷台高さ調整に手間がかかる。よって、荷台を備えた車両の荷台高さ調整において運転者の負担を軽減するうえで改善の余地があった。
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、荷台を備えた車両の荷台高さ調整において運転者の負担を軽減することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
適用例に係る荷台高さ調整装置は、荷台を備えた車両における荷台高さ調整装置であって、前記車両後方に取り付けられ、車両幅方向に延在する棒状部材からなるリヤアンダランプロテクタと、前記リヤアンダランプロテクタの長手方向の少なくとも一方の端部に設けられており、前記車両後方の物体までの距離及び前記車両下方の物体までの距離のそれぞれを計測する計測部と、荷台高さ調整の開始を指示するための指示部と、前記指示部から荷台高さ調整の開始が指示された場合に、前記計測部で計測された前記車両下方の前記物体までの前記距離に基づき算出された現在の荷台高さを、荷積み及び荷下ろし作業時の荷台の高さとして予め設定された高さに合わせるように昇降駆動する昇降制御部と、前記指示部から荷台高さ調整の開始が指示された場合に、前記計測部で計測された前記車両後方の前記物体までの前記距離が所定距離未満の場合に警報を発生する警報部と、を備えている。
【0007】
適用例に係る荷台高さ調整装置を備えた車両では、荷積み及び荷下ろし作業の際に運転者が指示部から荷台高さ調整の開始を指示すると、昇降制御部により自動的に荷台の高さが所定の高さに合わせて調整される。そのため、荷台の高さを調整する作業が容易である。また、計測部で計測された車両後方の物体までの距離が所定距離未満の場合に警報部により警報が発生する。警報により車両の後退作業がアシストされるので、車両をプラットフォームの手前まで後退させる作業が容易になる。
よって、荷台高さ調整における運転者の負担が軽減する。
【発明の効果】
【0008】
適用例に係る荷台高さ調整装置によれば、荷台を備えた車両の荷台高さ調整において運転者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】適用例に係る荷台高さ調整装置を備えた車両の模式図である。
【
図2】
図1のリヤアンダランプロテクタの要部を示す平面図である。
【
図3】(a)はリヤアンダランプロテクタの要部を分解して示す平面図であり、(b)はリヤアンダランプロテクタの要部を分解して示す背面図である。
【
図4】荷台高さ調整制御の説明図であって、車両を倉庫のプラットフォームに停車させた状態を示している。
【
図5】(a),(b)は変形例に係る説明図であって、(a)はリヤアンダランプロテクタの要部平面図であり、(b)はリヤアンダランプロテクタの要部背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、本件の適用例に係る荷台高さ調整装置について説明する。以下の適用例はあくまでも例示に過ぎず、この適用例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の適用例の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、下記の適用例の各構成は、必要に応じて取捨選択でき、あるいは公知技術に含まれる各種構成と適宜組み合わせられる。
なお、以下の説明では、本適用例に係る荷台高さ調整装置を備えた車両を基準にして前後方向(車両前後方向D1),左右方向(車両幅方向D2)及び上下方向(車両高さ方向D3)が定められている。
【0011】
[1.構成]
図1は、本実施形態に係る荷台高さ調整装置9を備えた車両1の模式図である。
車両1は荷台3を備えている。
図1では車両1として、キャブ2と荷台3とを備えたトラックを例に挙げている。
図1においてキャブ2と荷台3とを一点鎖線で示す。なお、車両1の車種は、荷台を備えた車両であればトラックに限定されない。
【0012】
キャブ2は、車両1の前方に配置されており、内部に運転席が設けられている。
キャブ2に対して車両1の後方に荷台3が配置されている。荷台3は、荷物を積載するための台状部分であり、フレーム(図示略)に対して取り付けられている。
荷台3(車両1)の後端には、リヤアンダランプロテクタ(以下「RUP」と記す。RUPはRear Under-run Protectorの略)4が設けられている。RUP4は、車両1の後方に衝突した他車両が下側へ潜り込むのを防止するために設けられており、車両幅方向D2に延在する金属製の中空棒状部材からなる。RUP4は、車両1のフレーム(
図1では図示略、
図4中符号40)の後端部に対しステー(
図1では図示略、
図4中符号41)を介して取り付けられている。
【0013】
図1において、荷台高さ調整装置9の構成要素を一点鎖線で囲んで示す。
RUP4の長手方向(車両幅方向D2)の両端部には距離センサ5L,5R(計測部)が設けられている。距離センサ5L,5Rのそれぞれは、車両後方(車両前後方向D1)に存在する物体までの距離(前後距離)と、車両下方(車両高さ方向D3,
図1では紙面に対して垂直方向)に存在する物体までの距離(上下距離)とを測定する距離検出手段である。すなわち、本実施形態では、1つのセンサ(距離センサ5L,5Rのそれぞれ)を用いて前後距離と上下距離とのそれぞれが検出信号として出力される構成を例に挙げている。
距離センサ5L,5Rとしては従来知られるどのような種類の距離検出手段を適用してもよい。距離センサ5L,5Rの例としては、赤外線距離センサ,レーザー距離センサ,超音波センサが挙げられる。
【0014】
距離センサ5L,5Rで前後距離を測定することで、RUP4(車両1)に対して後方に存在する物体までの距離を測定できる。距離センサ5L,5Rで上下距離を測定することで、RUP4(車両1)に対して下方に存在する物体までの距離を測定できる。ここでRUP4に対して下方に存在する物体とは典型的には路面である。すなわち、上下距離は、路面(タイヤの接地面)から距離センサ5L,5Rまでの高さに相当する。
【0015】
図2は、RUP4の要部として一方の端部(左側)を車両1の上方からみた平面図である。RUP4左右両端の構造は共通である。そのため、RUP4の左端部の構造のみを図面を参照して説明して、右端部の構造の説明を省略する。
図2に示すようにRUP4の端部には、距離センサ5L(
図2において二点鎖線で示す)を内蔵したキャップ部材6Lが装着されている。
図3(a)はRUP4とキャップ部材6Lとを分解して示す平面図であり、
図3(b)はRUP4とキャップ部材6Lとを分解して示す背面図である。なお、
図3(a),(b)では、距離センサ5Lを省略している。
【0016】
図3(a),(b)に示すようにRUP4の端部は、RUP4内の中空部4A(図中破線で示す)を外部に連通する開口部4Bをなす。開口部4Bから中空部4A内にキャップ部材6Lが挿入される。
キャップ部材6Lは、立体状に形成された樹脂部材からなり、RUP4の端部(エッジ)を覆う保護カバーの機能と、RUP4に対し距離センサ5Lを取り付けるためのセンサマウントの機能とを兼ね備えたものである。このキャップ部材6Lの設置位置は、RUP4の法規で規定された荷重負荷点よりも車両幅方向の外側に設定されている。
【0017】
キャップ部材6Lには、RUP4に装着された状態で中空部4Aに挿入される足部6A(
図2では二点鎖線で示す)と、この足部6Aとは反対側(車両幅方向D2外側)でRUP4から車両幅方向の外側へ突出した頭部6Bと、が含まれている。キャップ部材6Lの内部には空洞6C(図中破線で示す)が設けられている。キャップ部材6LがRUP4に装着された状態で、空洞6Cは一端で中空部4Aに連通し他端で外部に連通している。
【0018】
キャップ部材6Lの足部6Aの外径は、RUP4内の中空部4Aの内径とほぼ同一とされており、足部6AをRUP4内の中空部4Aへ差し込むとともに、上面側及び下面側においてネジ4Cで固定することでキャップ部材6LのRUP4の端部に装着(固定)できるようになっている。キャップ部材6LがRUP4内への差し込み方式で装着されているため、キャップ部材6Lは、RUPの外周に保護キャップを被せる従来構造に比べて、RUP4に対して外れにくい構造となっている。
【0019】
頭部6Bの空洞6C内に距離センサ5Lが配設されている。
図2及び
図3(a)に示すように本実施形態のキャップ部材6Lの頭部6Bは、上面視で車両1の後方かつ左側(符号6Dで示す部位)が面取りされた五角形状をなす。この面取り部6Dに空洞6Cの他端6Eが配置されている。距離センサ5Lは、面取り部6Dから車両後方かつ左側へ臨む姿勢で取り付けられている。
【0020】
距離センサ5Lの検出信号は、センサケーブル(
図2において二点鎖線で示す)5Cを通じて車両1内のVCU10(
図1)へ伝送される。
センサケーブル5Cは、空洞6Cを介してRUP4の中空部4Aに配線されている。センサケーブル5Cは、中空部4A,RUP4を支持するステー(
図1では図示略、
図4中符号41)、及び、車両1のフレーム(
図1では図示略、
図4中符号40)の内部を通じて配線され、車両1内のVCU10(
図1参照)に接続されている。
【0021】
図1に戻ると、車両1内には、VCU10が設けられている。VCU10は、車両1が備える各種装置を統括制御するための電子制御装置であり、例えばマイクロプロセッサやROM、RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成されている。VCU10は、ROM、RAM等のメモリ装置に記憶されたソフトウェアプログラムを実行することにより、後述する荷台高さ調整制御を実施する。
【0022】
VCU10は、通信ライン(
図1において二点鎖線で示す)を介してVCU10内の各種装置に接続されている。具体的には、VCU10の出力側には、エアサスペンション11や、警報器12が接続されている。また、VCU10の入力側には、距離センサ5L,5Rや、スイッチ(指示部)13,リモートコントローラ14が接続されている。
【0023】
エアサスペンション11は、車輪(図示略)に対して車両1のフレーム(図示略)を昇降(上下移動)可能に支持する支持部材である。エアサスペンション11の駆動により車高を変更可能である。エアサスペンション11の昇降駆動はVCU10からの制御信号により制御される。
警報器12は、後退時に車両1が車両後方の物体に近接した際に、運転者に対して警報を発生する装置である。警報の例として、警告音を発生することのほか、ランプの点滅,画面上に警告文字(画像)を表示することや、これらの組み合わせが挙げられる。警報器12の警報動作はVCU10からの制御信号により制御される。
【0024】
スイッチ13は、後述する荷台高さ調整制御の開始を指示するためのスイッチである。リモートコントローラ14は、荷台高さを手動で調整する際に用いる操作子であり、エアサスペンション11の駆動のオン・オフ制御を指示するものである。後述する荷台高さ調整制御を用いずに手動で荷台高さを調節する場合、運転者は、目視で荷台3の高さを確認しながら、リモートコントローラ14を用いて荷台3の高さを調整する。
スイッチ13とリモートコントローラ14とは、例えばキャブ2内の運転席近傍に配置される。
【0025】
[2.制御]
次に、VCU10が実施する荷台高さ調整制御について
図4を参照して説明する。
荷台高さ調整制御は、車両1が、例えば倉庫内で地面30よりも高い位置に床面31が設けられたプラットフォーム32に対して荷積み及び荷下ろし作業を行う際に、運転者の指示(スイッチ13の操作)に応じて実施される制御である。
荷積み及び荷下ろし作業に際し、運転者は、荷台3の後端がプラットフォーム32の手前に位置するまで車両1を後退させるとともに、荷台3の高さT1とプラットフォーム32の高さT2とを合わせる必要がある。ここで、「荷台3の高さ」T1は、地面30(タイヤの接地面)から荷台3の下面までの距離である。「プラットフォーム32の高さ」T2は、地面30(タイヤの接地面)からプラットフォーム32の床面31までの距離である。
【0026】
荷台高さ調整制御には、車両1の車高を昇降駆動する昇降制御と、後退時に車両1が車両後方の物体に近接した際に、運転者に対して警報を発生する警報制御と、荷台3の高さT1をプラットフォーム32の高さT2に合わせる昇降制御とが含まれている。
すなわち、荷台高さ調整制御は、警報により車両1の後退運転をアシストするとともに、荷台3の高さ調整を自動化する機能である。
【0027】
昇降制御では、VCU10は、距離センサ5L,5Rの検出信号として供給された車両下方に存在する物体までの距離(上下距離Y)に基づいて、エアサスペンション11を駆動して車両1の車高を調整する。車高を調整することで、結果的に荷台3の高さT1が調整される。すなわち、VCU10とエアサスペンション11とが昇降制御部として機能する。
【0028】
具体的には、VCU10は、距離センサ5L,5Rの検出信号(上下距離Y)から現在の荷台3の高さT1を算出し、算出した現在の荷台3の高さT1をプラットフォーム32の高さT2に合わせるように、エアサスペンション11を駆動する。
距離センサ5L,5Rから荷台3の下面までの上下方向に沿う距離は所定距離で固定されていることから、VCU10は、距離センサ5L,5Rの検出信号(上下距離Y)から現在の荷台3の高さT1を算出できる。
【0029】
プラットフォーム32の高さT2は、VCU10内の記憶部10A(
図1)に予め記憶された所定の高さである。
VCU10は、算出された現在の荷台3の高さT1と、所定の高さとして与えられたプラットフォーム32の高さT2と差分に基づきエアサスペンション11を駆動することで、荷台3の高さT1をプラットフォーム32の高さT2に合わせることができる。
【0030】
記憶部10Aには、複数の作業地点に応じた複数通りのプラットフォームの高さ(所定の高さ)が予め記憶されている。
複数の作業地点とは、荷積み及び荷下ろし作業が実施される複数の地理的地点である。複数の作業地点の例としては、様々な地理的地点に存在する倉庫や荷物集積場が挙げられる。プラットフォーム32の高さは、様々な作業地点に応じて異なり得る。そのため、複数の作業地点に応じた複数通りのプラットフォームの高さ(所定の高さ)が記憶部10A内に予め記憶(設定)されている。
【0031】
VCU10は、現在車両1が位置している作業地点を特定し、特定した作業地点に応じたプラットフォームの高さを記憶部10Aから取得して、取得したプラットフォームの高さを、本作業地点のプラットフォームの高さ(所定の高さ)として設定する。
現在車両1が位置している作業地点は、ユーザの入力により手動で特定されてもよいし、GPS位置情報を用いて自動的に特定されてもよい。ユーザの手動入力で特定する方法としては、例えば倉庫や荷物集積場の名称や住所を入力する方法や、倉庫や荷物集積場の候補を列挙したリストから選択する方法などが挙げられる。
【0032】
警報制御では、VCU10は、距離センサ5L,5Rの検出信号として供給された車両後方に存在する物体までの距離(前後距離X)に基づいて、警報器12を制御する。すなわち、VCU10と警報器12とが警報部として機能する。
具体的には、VCU10は、車両1の後退時に距離センサ5L,5Rの検出信号(前後距離X)が所定距離未満の場合に、警報器12を作動して警報を発生させる。
【0033】
積み及び荷下ろし作業における車両1の後退時には、距離センサ5L,5Rの検出信号(前後距離X)は、荷台3の後端(車両1の後端)とプラットフォーム32との間の距離に相当する。
所定距離は、車両1の後退時に車両1の後端がプラットフォーム32に接近し過ぎない距離として予め設定されている。
【0034】
[3.作用及び効果]
本適用例の荷台高さ調整装置9を備えた車両1では、荷積み及び荷下ろし作業の際に運転者がスイッチ13を押すと、上述した昇降制御により自動的に荷台3の高さT1がプラットフォーム32の高さT2(所定の高さ)に合わせて調整される。そのため、荷台3の高さを調整する作業が容易である。また、上述した警報制御により、プラットフォーム32の手前まで車両1を後退させる際、車両1がプラットフォーム32に接近し過ぎたときに警報が発生する。警報により車両1の後退作業がアシストされるので、車両1をプラットフォーム32の手前まで後退させる作業が容易になる。
よって、荷積み及び荷下ろし作業に際し、荷台高さ調整に関する運転者の負担が軽減する。
【0035】
また、本適用例の荷台高さ調整装置9では、RUP4の両端部に距離センサ5L,5Rが取り付けられている。距離センサ5L,5Rを車両1に取り付けるためのブラケットは不要である。仮にRUP4以外の場所に距離センサを取り付ける場合、取付け位置によっては、ブラケットの開発費や製造費が高価になる場合がある。この点、RUP4の両端部に距離センサ5L,5Rが取り付けた本適用例の構造によれば、低コストで既存の車両1に距離センサ5L,5Rを取り付けることが可能である。
【0036】
[4.その他]
上記の適用例では、距離センサ5L,5Rが前後距離と上下距離とを計測するセンサとして構成された場合を例に挙げたが、距離センサ5L,5Rは、前後距離と上下距離とに加えて左右方向(車両幅方向D2外側に存在する物体までの距離)を計測するセンサとして構成されてもよい。この場合、VCU10は、距離センサ5L,5Rで検出した左右距離に基づき、車両1の旋回時における側方の物体に対する干渉防止制御を実施可能である。干渉防止制御は、具体的には、車両1の旋回時に、後輪から後ろ側のROH(
図4参照,リアオーバーハング,Rear Overhang)が側方の物体に近接しすぎたときに、警報器12を作動して警報を発生させるものである。
また、距離センサ5L,5Rで計測した上下距離の利用した警報機能の別の例として、上記のほか、車両1がスロープを上る際に車両後方下面部が路面に近接しすぎたときに、警報器12を作動して警報を発生させる機能が挙げられる。
【0037】
上記の適用例では、距離センサ5L,5Rが前後距離と上下距離とを計測するセンサとして構成されており、RUP4の各端部に一つのセンサを設けた構造を例に挙げたが、
図5(a),(b)に示すように、RUP4の各端部に前後距離を測定する第一距離センサ51と上下距離を測定する第二距離センサ52との二つのセンサを設けた構造であってもよい。この場合、一つのキャップ部材6L内に第一距離センサ51と第二距離センサ52との二つが設けられている。
また、前後距離と上下距離とを計測する距離センサ(計測部)は、RUP4の少なくとも一方の端部に設けられていればよい。
【符号の説明】
【0038】
1 車両
2 キャブ
3 荷台
4 RUP(リヤアンダランプロテクタ)
4A 中空部
4B 開口部
4C ネジ
5L,5R 距離センサ
5C センサケーブル
6L キャップ部材
6A 足部
6B 頭部
6C 空洞
6D 面取り部
6E 他端
9 荷台高さ調整装置
10 VCU
10A 記憶部
11 エアサスペンション
12 警報器
13 スイッチ
14 リモートコントローラ
30 地面
31 床面
32 プラットフォーム
51 第一距離センサ
52 第二距離センサ
D1 車両前後方向
D2 車両幅方向
D3 車両高さ方向
T1 高さ
T2 高さ
X 前後距離
Y 上下距離