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特開2024-67790自動レベル調整装置および自動レベル調整方法
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  • 特開-自動レベル調整装置および自動レベル調整方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067790
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】自動レベル調整装置および自動レベル調整方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/00 20060101AFI20240510BHJP
   F16M 7/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B23Q1/00 T
F16M7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178120
(22)【出願日】2022-11-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】519101498
【氏名又は名称】株式会社ニッシン
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】作間 雄次
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048AA03
3C048EE00
(57)【要約】
【課題】ベースプレートの基礎ボルト通し孔を受承箇所および係止部として利用し地震が発生し大きな横揺れが生じても構造物の落下を未然に防げること。
【解決手段】
回転可能・上下方向移動不能で軸上端部がベースプレートBに設けられたボルトを通す孔に挿通されるネジ軸11と、ネジ軸11に螺合されベースプレートを受承するナット12とを含み、ネジ軸11が回転するとナット12が構造物Aとの摩擦により回転不能で従動する昇降機構部10と、傘歯車伝達機構21、22を介して水平軸線の周りの回転を鉛直軸線の周りの回転に変換してネジ軸11に回転伝達する回転方向変換機構部20と、傘原動傘歯車21に駆動回転を与える制御用モータ31とを備え、制御用モータ31は、ベースプレートBの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器40の出力パルスに基づいてベースプレートBの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行うように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられレベル調整作業時に軸上端部が前記ベースプレートに設けられた中心孔に挿通されるネジ軸と、前記ネジ軸に螺合され前記ベースプレートを受承するナットとを含み、前記ネジ軸が回転すると前記ナットが前記構造物との摩擦により回転不能で上下方向に従動する昇降機構部と、
傘歯車伝達機構を介して水平軸線の周りの回転を鉛直軸線の周りの回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する回転方向変換機構部と、
前記傘歯車伝達機構に駆動回転を与える制御用モータとを備え、
前記制御用モータは、前記ベースプレートの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器の出力パルスに基づいて前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行うように構成されている
ことを特徴とする自動レベル調整用昇降装置。
【請求項2】
中心孔を有し前記中心孔に前記ネジ軸が挿通され前記ナットの上面に密着し前記ベースプレートの下面を受承し前記構造物の負荷による摩擦で前記ナットとともに回転不能である平座金様の形態の目付きプレートを備えた
請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項3】
前記制御用モータは、サーボモータまたはパルスモータである
請求項1に記載の自動レベル調整用昇降装置。
【請求項4】
前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えて前記制御用モータが駆動回転を停止したら、前記構造物のベースプレートの負荷により前記ネジ軸が逆回転することがないよう前記ネジ軸または前記制御用モータの回転軸を回転不能とするブレーキ装置が設けられている。
【請求項5】
前記ナットの側面より突出するブラケットに保持され、または前記従動傘歯車の下側に備えられ前記構造物の負荷を前記ナットで受承したことを検知する感圧センサを備えた
前記請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項6】
前記構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項1-5のいずれか1つに記載の自動レベル調整用昇降装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整用昇降装置のねじ軸11の上端部をベースプレートの周縁部に設けられたボルト通し孔に通し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行う
ことを特徴とする自動レベル調整方法。
【請求項7】
請求項1-5のいずれか1つに記載の前記自動レベル調整用昇降装置を、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する
請求項6に記載の自動レベル調整方法。
【請求項8】
請求項1-5のいずれか1つに記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置と、1つまたは複数のアジャスター機能を有する支持脚とを、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する
請求項6に記載の自動レベル調整方法。
【請求項9】
請求項1-5のいずれか1つに記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置を前記構造物の吊り下ろしの前または後に前記ナットの上面が前記ベースプレートの下面よりも数mm低い状態に配置し、前記ベースプレートの下面四隅に締付により高さが調整可能なボルト・ナットを含む下支え脚を垂設した前記構造物をレベル調整作業スペースの床上に吊り下ろす
請求項6に記載の自動レベル調整方法。
【請求項10】
請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置の各前記制御用モータを駆動して各ナットを微小量ずつ上昇させ前記ベースプレートの下面に密着した状態を前記感圧センサが検出したら、前記制御用モータの駆動を終了とする
請求項8または9に記載の自動レベル調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工作機械等のベースプレートのレベル調整が必要な構造物をレベル調整して設置する際に用いられる自動レベル調整装置および自動レベル調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工作機械の製造過程では、加工・組付け・検査等の各工程毎に構造物のレベル調整が必要であった。具体的には、例えば工作機械が各工程毎に定盤等に載置されると共に、その基準面となるテーブル等に水平器(水準器ともいう)を置き、作業者がこれを見ながら経験と勘に依って工作機械が水平となる様にその脚部に設けられたアジャスタをレンチで回していた。構造物の鉛直出しも定盤等に載置されるワークのレベル調整の後に行っている。
【0003】
加工・組付け・検査等を行う機械加工機等はレベル(水平)に設置することでその性能を発揮できる設計になっている。レベルとは水平の度合いのことで、産業機械にとって、加工・組付け・検査等の各工程毎に水平を高精密に出すことは基本であり、動作精度の維持には欠かせない。
【0004】
各種の加工機や製造装置、組立装置等(以下、構造物という。)において、ワークを固定し当該ワークに高精密な水平度を有する平面加工や孔加工、鉛直な平面加工や孔加工を実施するには、そもそも機械加工機のベースプレートやワークを固定する定盤などが高精密にレベル調整されて設置されていなければならない。レベル調整は、装置架台やベース装置フレームの設置では欠かせない作業であり、特に、装置間のやり取りを行う搬送設備ではフロアレベルの測定とパスラインの調整が重要である。
【0005】
ワークを固定する定盤が高精密にレベル調整されていない場合、例えば、高精密に竪孔加工するワイヤカット放電加工機のワイヤカットを高精密にレベル調整できないことに加え、高精密な鉛直にセットすることができないから高精密に鉛直な竪孔加工が実現できない。
【0006】
レベル調整が高精密に行われていない構造物ではベースプレートやワークを設置するための架台上面の水平度にわずかな誤差があると、それに起因してワークに水平面を出す平面加工や鉛直な孔加工を高精度に行うことはできず不良品の発生や、機械・工具の寿命を縮める原因になる。なお、水平は産業機械を使用しているうちに自重や振動・熱などにより変化するため、設置後も定期的にレベル調整を行う必要がある。
【0007】
同様に、その他、食品加工機や半導体製造装置、その他の産業機械においてもレベル調整が高精密に行われている必要がある。
【0008】
多くの産業機械では、基本的に、工場などの床にアンカーボルトが埋設され当該アンカーボルトのボルト頭部を産業機械のベースプレートの周縁部に設けるボルト通し孔に挿通するよう産業機械を吊り下ろし、ボルトに螺合するアジャスタとしてのダブルナットでベースプレートを受け止め、ベースプレートに載置した水平器・ダイヤルゲージ・レーザー墨出し器・コンベックスなどを見ながらナットを締めたり緩めたりして高さや角度を確認しながらレベル調整を人手により行っていた。
【0009】
人手によるレベル調整は多くの場合は長い作業時間を要する。構造物の重量が大きい時には、レンチを回す力も大きくなって微妙な調整が難しく、X軸・Y軸共に水平にするには、熟練作業者でも数十分の時間が掛かっていた。
【0010】
水平器としては、気泡管に加えて測定した値をデジタルで表示するモニタを備え水平・垂直だけでなく、さまざまな角度の微妙な値を読み取ることができ、さらにパルムを出力できるデジタル水平器(デジタル精密水準器)が利用されている。また、最新式の三次元測定機が活用されている。
【0011】
そこで、作業者の熟練度に関係なく、自動的に短時間で高精度な水平出し(レベル調整と同義)が行なえる自動水平出し装置が提案されている(特許文献1)。
【0012】
この自動水平出し装置は、構造物の下面の平面三角形状の3頂点のうちの一側中程の1点を支持脚を有する固定サポートで支承し他側両角の2点をそれぞれジャッキで支承し、構造物の基準面に水平器を置いてX軸とY軸の傾斜角度を計測しそのセンサ信号に基づいて2つのジャッキを昇降制御し構造物の水平出しを行うよう構成されている。ジャッキは、扛重部(持ち上げ昇降機構)とこれを駆動する駆動部(減速機付きサーボモータ)とを着脱可能に連結した構造である。水平出し完了後は、2つのジャッキの各扛重部を支持脚として残し駆動部を取り外し、取り外した駆動部を他のジャッキと組み合わせ別の構造物の水平出しに使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許公開2000-107962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
[自動レベル調整装置の二度目の適用について]
構造物の製造工場内で特許文献1の自動水平出し装置を用いて構造物のベースプレートの上面の水平出しを一度行い、さらに別の水平器を用いて構造物が備えている定盤の水平出し、切削工具の水平出しまたは鉛直出し、ワイヤカット線の鉛直出し等の調整を行った構造物について、ユーザー企業の工場に搬送・設置しベースプレートの水平出しを行う際は、人手により水平器を用いてベースプレートの水平出しを短時間作業で終わらせている。自動レベル調整装置を用いる二度目の水平出しを行っていない。これは、ベースプレートの水平出しをそのように取り扱っても一度目の水平出し後に行った定盤などの水平出し精度が維持され加工精度に問題が生じないからである。
【0015】
しかしながら、特許文献1の自動水平出し装置には以下の問題がある。自動水平出し作業をユーザー企業の設置場所で行うものであり、特許文献1の自動水平出し装置は、水平出し完了後は、ジャッキの一部を構成している駆動部(減速機付きサーボモータ)を取り外し、扛重部を引き続き構造物のベースプレートの下面の平面三角形状の3頂点のうちの2点の支持脚として利用するとしている。この扛重部は、装置フレームを含み、縦軸廻りに回転可能なウォームホイールに、水平軸廻りに回転可能なウォームが噛合され、駆動部の動力回転がウォームの回転軸に入力するようになっており、縦軸廻りの回転不能な昇降体がウォームホイールの中心の雌ネジに螺合され昇降可能であり、昇降体の上端にサドルを備えている。したがって、特許文献1の自動水平出し装置を用いる場合、昇降体のみをウォームやウォームホイールなどから分離して支持脚として利用することはできず、減速機付きサーボモータだけ分離できる構造であるのでコストが高く付き不経済であるという問題点がある。またサドルは小さい面積でベースプレートを受承しているだけで連結関係にはない。
【0016】
また、2つの特許文献1の自動水平出し装置と1つの支持脚とで構造物のベースプレートの下面の端縁近くが選ばれる平面三角形状の3頂点を受承部とするピンポイント受承状態で例えば大地震による大きな横揺れがあると、ピンポイント受承部に横ずれが大きく生ずることがあると、構造物が落下する事故が起こる恐れがある。そこで、単なる点としての受承状態でなくベースプレートの周縁部に設けられている基礎ボルト通し孔を掛止手段として利用して構造物が落下する事故を防げるようにしたい。
【0017】
本発明者は、新規な自動レベル調整装置を発明するに際し製造工場内で取り扱う構造物を適用対象とした。すなわち、製造工場内で取り扱う構造物は、自動レベル調整装置を用いて構造物のベースプレートの一度目の自動レベル調整を行い、構造物に備える定盤、切削工具、ワイヤカット線などのレベル調整、鉛直出し等の調整は自動レベル調整装置とは別の水平器を用いて行う当該構造物を適用対象とした。さらに、当該構造物をユーザー企業の設置場所に移して二度目のレベル調整を行う場合には、構造物の下面の支持脚としての利用が不要であって、自動レベル調整装置ではなく通常の水平器とスペーサーを用いてレベル調整を行っても差支えが無い構造物を適用対象とした。
【0018】
そうして、本発明者は、新規な自動レベル調整装置を発明するに際し、当該構造物について製造工場内で自動レベル調整装置を用いてベースプレートの周縁部に設けられている基礎ボルト通し孔を掛止手段として利用できるようにして自動レベル調整を行っている最中に大きな地震がもし発生したとしても構造物が自動レベル調整装置から外れて落下するという事故を未然に防げる工夫をして本願発明を完成させた。
【0019】
本発明は、上述した点に鑑み案出されたもので、レベル調整を必要とする構造物について製造工場内で自動レベル調整装置を用いてベースプレートの周縁部に設けられている基礎ボルト通し孔を受承箇所および係止部として受承できるようにして自動レベル調整を行うことができ、大きな地震が発生しても構造物が落下する事故を未然に防ぐことができ、水平軸線の周りに回転するモータの動力回転を傘歯車機構と鉛直なネジ軸とナットランナの組み合わせにより直線微動・高トルクに変換し、押上げ力を増大して構造物が大型かつ大重量であっても十分な持ち上げ機能を発揮することができる自動レベル調整装置および自動レベル調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本願発明に係る自動レベル調整装置は、レベル調整が必要な構造物のベースプレートを下支えし微小変化量で昇降しつつベースプレートの上面の水平度をデジタル水平器を計測し出力パルスに基づいて自動レベル調整する装置であり、昇降機構部と回転方向変換機構部と回転駆動手段とを備えている。
【0021】
本願の第1の発明態様に係る自動レベル調整装置は、軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられレベル調整作業時に軸上端部が前記ベースプレートに設けられた中心孔に挿通されるネジ軸と、前記ネジ軸に螺合され前記ベースプレートを受承するナットとを含み、前記ネジ軸が回転すると前記ナットが前記構造物との摩擦により回転不能で上下方向に従動する昇降機構部と、傘歯車伝達機構を介して水平軸線の周りの回転を鉛直軸線の周りの回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する回転方向変換機構部と、前記傘歯車伝達機構に駆動回転を与える制御用モータとを備え、前記制御用モータは、前記ベースプレートの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器の出力パルスに基づいて前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行う構成である。
【0022】
本願の第2の発明態様に係る自動レベル調整装置は、第1の発明態様の構成に加え、中心孔を有し前記中心孔に前記ネジ軸が挿通され前記ナットの上面に密着し前記ベースプレートの下面を受承し前記構造物の負荷による摩擦で前記ナットとともに回転不能である平座金様の形態の目付きプレートを備えた構成である。
【0023】
本願の第3の発明態様に係る自動レベル調整装置は、第1の発明態様の構成に加え、前記制御用モータがサーボモータまたはパルスモータである構成である。
【0024】
本願の第4の発明態様に係る自動レベル調整装置は、第1の発明態様の構成に加え、前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えて前記制御用モータが駆動回転を停止したら、前記構造物のベースプレートの負荷により前記ネジ軸が逆回転することがないよう前記ネジ軸または前記制御用モータの回転軸を回転不能とするブレーキ装置が設けられた構成である。
【0025】
本願の第5の発明態様に係る自動レベル調整装置は、第1の発明態様の構成に加え、前記ナットの側面より突出するブラケットに保持され、または前記従動傘歯車の下側に備えられ前記構造物の負荷を前記ナットで受承したことを検知する感圧センサを備えた構成である。
【0026】
本願の第6の発明態様に係る自動レベル調整方法は、第5の発明態様の構成に加え、前記構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に第1-5のいずれか1つの発明態様に係る前記自動レベル調整用昇降装置を複数の所定位置にそれぞれ配置し、この際、前記自動レベル調整用昇降装置のねじ軸11の上端部をベースプレートの周縁部に設けられたボルト通し孔に通し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行う構成である。
【0027】
本願の第7の発明態様に係る自動レベル調整方法は、第6の発明態様の構成に加え、請求項1-5のいずれか1つに記載の前記自動レベル調整用昇降装置を、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する構成である。
【0028】
本願の第8の発明態様に係る自動レベル調整方法は、第6の発明態様の構成に加え、請求項1-5のいずれか1つに記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置と、1つまたは複数のアジャスター機能を有する支持脚とを、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する構成である。
【0029】
本願の第9の発明態様に係る自動レベル調整方法は、第6の発明態様の構成に加え、請求項1-5のいずれか1つに記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置を前記構造物の吊り下ろしの前または後に前記ナットの上面が前記ベースプレートの下面よりも数mm低い状態に配置し、前記ベースプレートの下面四隅に締付により高さが調整可能なボルト・ナットを含む下支え脚を垂設した前記構造物をレベル調整作業スペースの床上に吊り下ろす構成である。
【0030】
本願の第10の発明態様に係る自動レベル調整方法は、第6の発明態様の構成に加え、請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置の各前記制御用モータを駆動して各ナットを微小量ずつ上昇させ前記ベースプレートの下面に密着した状態を前記感圧センサが検出したら、前記制御用モータの駆動を終了とする構成である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、レベル調整を必要とする構造物について製造工場内で自動レベル調整装置を用いてベースプレートの周縁部に設けられている基礎ボルト通し孔を受承箇所および係止部として受承できるようにして自動レベル調整を行うことができ、大きな地震が発生しても構造物が落下する事故を未然に防ぐことができ、水平軸線の周りに回転するモータの動力回転を傘歯車機構と鉛直なネジ軸とナットランナの組み合わせにより直線微動・高トルクに変換し、押上げ力を増大して構造物が大型かつ大重量であっても十分な持ち上げ機能を発揮することができる自動レベル調整装置および自動レベル調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1の実施の形態に係り、自動レベル調整装置を示す正面図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係り、自動レベル調整方法を示す概略の平面図である。
図3】本発明の第3の実施の形態に係り、自動レベル調整方法を示す概略の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態に係る自動レベル調整装置および自動レベル調整方法を図面を参照して説明する。第1の実施の形態は自動レベル調整装置に関し、第2-第4の実施の形態は自動レベル調整方法に関するものである。
【0034】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の実施の形態に係る自動レベル調整装置を示す。自動レベル調整装置1は、レベル調整が必要な構造物AのベースプレートBを下支えし微小変化量で昇降しつつベースプレートBの上面の水平度(傾斜度)をデジタル水平器40を計測し出力パルスに基づいて自動レベル調整する装置であり、昇降機構部10と回転方向変換機構部20と回転駆動手段30とを備え、これらが装置フレーム60に纏めて保持されている。
【0035】
昇降機構部10は、軸方向が鉛直であり回転可能・上下方向移動不能に設けられレベル出し作業時に軸上端部が前記ベースプレートBに設けられた基礎ボルト通し孔Cに挿通されるネジ軸11と、ネジ軸11に螺合されベースプレートBの下面を受承するナット12とを含み、ネジ軸11が回転するとナット12が前記構造物Aとの摩擦により回転不能で上下方向に従動するよう構成されている。
【0036】
ナット12の上面には目付きプレート13を備えていることが好ましい。目付きプレート13は、平座金様の形態、すなわち中心孔を有しこの中心孔にネジ軸11が挿通されナット12の上面に密着載置される。目付きプレート13は、ベースプレートBの下面を広い面積で受承し構造物Aの負荷による摩擦でナット12とともに回転不能である。なお、目付きプレート13は無くてもよい。
【0037】
ナット12の側面より突設された弾持装置14に弾持され、目付きプレート13の上面にベースプレートBが着座したことを検出する感圧センサ15を備えているのが好ましい。なお、この感圧センサ15は、後述する従動傘歯車22の下側に備えられ、構造物Aの負荷が従動傘歯車22に伝達されることを検知するように設けられてもよい。
【0038】
感圧センサ15は次の様に利用される。例えば、別位置の組立工場から出荷前検査を行う工場に構造物Aを移送してきてクレーン等でレベル調整を行う位置に吊り下ろす際に、構造物AのベースプレートBをプレート四隅に予め用意する台座や支持脚で受承した後に、2つまたは3つの自動レベル調整装置をベースプレートBを差し込んでから目付きプレート13をベースプレートBに密着するまでナット12を上昇させ、自動レベル調整を実施する際に、当該密着を検知して従動ブロック13の上昇を停止する検知手段とされる。
【0039】
回転方向変換機構部20は、互いに噛合回転する原動傘歯車21と従動傘歯車22とを有する。原動傘歯車21は、装置フレーム60に軸受を介して軸支され水平軸線の周りに回転可能である。従動傘歯車22は、中心孔に軸線が鉛直方向であるネジ軸11が挿通状態に固定され、ネジ軸11の従動傘歯車22に対する上下位置を装置フレーム60に軸受を介して軸支されており、ネジ軸11と一体に鉛直軸線の周りに回転可能である。もって、回転方向変換機構部20は、水平軸線の周りに回転を鉛直軸線の周りに回転に変換してネジ軸11に回転を伝達する。
【0040】
回転動力部30は、モータ出力回転を減速機33を介して原動傘歯車21に伝達されるよう設けられた制御用モータ31を備えた構成である。減速機33はモータの出力回転を原則しトルクを増幅して原動傘歯車21に伝達する。
【0041】
制御用モータ31は、ベースプレートBの上面の水平度を検出するよう設置されたデジタル水平器(デジタル精密水準器)40が水平度がゼロになるまで出力する出力パルス(水平LEVEL信号)をモータドライバ32に入力しモータドライバ32内の専用アプリで出力パルス(水平LEVEL信号)を受信・処理して制御用モータ31の駆動に必要な駆動パルスを生成し、制御用モータ31が駆動パルスを入力してベースプレートBの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行うように構成されている。
【0042】
制御用モータ31は、サーボモータまたはパルスモータである。サーボモータは、指示を出した通りに、位置/速度/回転力(トルク)などを正確に実現するサーボ機構に使用されるモータであり、フィードバック制御する検出器付の電動機が一般的であり、ここでは、デジタル水平器40から出力されるパルスをモータドライバ32に入力し逓倍にしてモータ駆動パルスを出力するとともに、デジタル水平器40が出力する傾き角の値がゼロに収束するようにフィードバック制御するよう構成される。パルスモータは電流を流す相を切り替えることで一定の角度ずつ動いて回転しセンサなしに位置決めができるモータであり、サーボモータに比べて制御が容易である。
【0043】
回転動力部30にはブレーキ装置34が設けられている。ブレーキ装置34は、ネジ軸11または制御用モータ31の回転軸を回転不能とするようもうけられていればよい。ブレーキ装置34は、ベースプレートBの上面のレベル調整を終えて制御用モータ31が駆動回転を停止するとともにブレーキ作動するようになっており、構造物AのベースプレートBの負荷によりネジ軸11が逆回転しベースプレートBのレベル調整が損なわれること防止する。この実施の形態ではブレーキ装置34は、軸接手35に設けられたディスク10の回転を制動するように設けられているが、適宜の位置に設けられてよい。
【0044】
デジタル水平器40はANYDESIN社製のデジタル水準器、あるいは新潟精機株式会社のデジタル水準器(レベルニック(登録商標))を用いることができる。デジタル水平器は、デジタル水平器のメーカーによって水平度を検出する手順が相違する。デジタル水平器は、一例では、ベースプレートBの上面に水平度検出の方向をXまたはY方向に合わせ、ゼロ設定ボタンを押して表示メモリがゼロを表示したら、180度向きを変えて測定ボタンを押して表示メモリがある値を表示するので、半値修正ボタンを押すと表示メモリに表示される半値が実傾斜度を示す。デジタル水平器は、パルス出力設定ボタンにより傾斜度がゼロになる(水平になる)まで一定数のパルスを出力できるのでこのパルスをモータの駆動に利用できる。
【0045】
特に本発明によれば、ネジ軸11の上部に螺合するナット12よりも上側部分がベースプレートBの周縁部に設けられた基礎ボルト通し孔Cに通され、ナット12がベースプレートBの下面を受承する構成であり、モータの回転を傘歯車伝達機構を介して回転方向を変換して縦軸であるネジ軸11に伝達し、ネジ軸11の回転でナット12に伝達しナット12が高持ち上げ力を有して微進上動しベースプレートBを受承する構成であるから、自動レベル調整を行っている最中に大きな地震がもし発生したとしても構造物Aが自動レベル調整装置1から外れて落下するという事故を防げるとともに、大型で大重量の構造物Aの自動レベル調整作業に適用できる自動レベル調整装置を提供することができる。
【0046】
続いて、本発明の実施の形態に係る自動レベル調整方法について複数例を説明する。
【0047】
[第2の実施の形態]
【0048】
図2は本発明の第2の実施の形態に係り、自動レベル調整方法を示す。この自動レベル調整方法では、図1に示す自動レベル調整装置1を3つ使用する。まず、レベル調整作業スペース(構造物AのベースプレートBの設置が予定される平面スペース)の四隅の中、一方の短辺側の二隅と他方の短辺側の中程位置との3点のそれぞれに、図2に示すように自動レベル調整装置1A、1B、1Cを配置するとともに、短辺側の中程位置の自動レベル調整装置1Cを配置する。
【0049】
このとき、レベル調整作業が効率的に行われるようにするために、3つの自動レベル調整装置1A、1B、1Cのベースプレート受承高さについて、低い順に1C、1A、1Bとなる相対的な受承高さに設定をする。例えば、自動レベル調整装置1Cの従動ブロック12の上面を自動レベル調整装置1Aの従動ブロック12の上面よりも2mm低い状態に設定し、さらに自動レベル調整装置1Aの従動ブロック12の上面を自動レベル調整装置1Bの上面よりも2mm低い状態に設定する。このようにするときは、以下に説明するように、自動レベル調整装置1Bについては、自動レベル調整を行わないで済み、先に自動レベル調整装置1AによりX方向の自動レベル調整を行ない、後から自動レベル調整装置1AによりY方向の自動レベル調整を行なうと構造物AのベースプレートBのレベル調整が行える。
【0050】
上記の相対的な受承高さに設定した3つの自動レベル調整装置1A、1B、1Cの従動ブロック12上にベースプレートBが載るように構造物Aを吊り下ろす。3つの自動レベル調整装置1は、配置が平面視三角形の3つの頂点の位置であって、平面視三角形の面積の中心が構造物Aの重心に近い位置になるから、構造物Aを安定して受承できる。なお、ベースプレートBは図1に示す感圧センサ14を押圧するがこの実施の形態では感圧センサ14を利用しない。
【0051】
この実施の形態では、ベースプレートBの短辺に沿った方向をX方向とする。構造物AのベースプレートBの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器41とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器42とを配置して順次にベースプレートBの上面のX方向の水平度とY方向の水平度を検出する。
【0052】
この実施の形態では、3つの自動レベル調整装置1A、1B、1Cの各目付きプレート13の上面の高さを上述したように構造物Aを吊り下ろす前の設定としているから、最初のレベル調整として、第1のデジタル水平器41においてレベル測定をして、次いでパルスを出力させ、この出力パルスに基づいて、自動レベル調整装置1Aの制御用モータ31を駆動して目付きプレート13の上面を上昇させ、自動レベル調整装置1Aの目付きプレート13の上面を微小量ずつ上昇させて自動レベル調整装置1Bの目付きプレート13の上面とを同一高さに調整する。もって、ベースプレートBのX方向のレベル調整を行うことができる。なお、自動レベル調整装置1Bの目付きプレート13の上面の方が自動レベル調整装置1Aの目付きプレート13の上面よりも低い設定としたときは、第1のデジタル水平器41において傾斜度が逆になるから、このときは、第1のデジタル水平器41からの出力パルスに基づいて、自動レベル調整装置1Bの制御用モータ31を駆動して目付きプレート13の上面を上昇させることになる。
【0053】
ベースプレートBのX方向のレベル調整を行なったら、第2のデジタル水平器42によりベースプレートBのY方向のレベル測定(傾斜度測定)を行い、次いでパルスを出力させ、この出力パルスに基づいて、既にX方向のレベル調整を済ませた2つの自動レベル調整装置1A、1Bに対しY方向の他側にある自動レベル調整装置1Cの制御用モータ31を駆動して目付きプレート13の上面を上昇させて自動レベル調整装置1A、1Bの目付きプレート13の上面とを同一高さに調整する。もって、ベースプレートBのY方向のレベル調整を行うことができる。
【0054】
Y方向のレベル調整の後、再度、第1のデジタル水平器41と第2のデジタル水平器42でレベル検出を行い、レベル検出がゼロの値でなければ、X方向およびY方向のレベル調整を繰り返し行ってもよい。
【0055】
続いて、ベースプレートBのレベル調整を終えた構造物Aについて、定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整が行われているから、定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整を行なう。その後、クレーン等により自動レベル調整装置1A、1B、1Cに受承されていて連結されていない構造物Aのみを吊り上げ、出荷のために移送する。このようにすると、自動レベル調整装置1A、1B、1Cを含まない構造物Aのみが製造工場からユーザーの工場に移されて直に床置して改めて行うベースプレートBのレベル調整については水平器とスペーサーを用いて人手により短時間に行いことができ、再度の定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整を行わなくても要求される高精度のレベル調整、鉛直調整を担保することができる。
【0056】
なお、この実施の形態の変形例として、自動レベル調整装置1Bをアジャスタ機能を有する台座(または支持脚)に替えてもよい。これにより、2つの自動レベル調整装置1Aと1Cおよびアジャスタ機能を有する台座によりそれぞれ広い受承面精を有して吊り下ろされる構造物AのベースプレートBを受承できる。そしてこの場合、構造物AのベースプレートBを吊り下ろす前の自動レベル調整装置1Aと1Cのベースプレートを受承する高さを、自動レベル調整装置1Cのベースプレート受承高さを一番低くし、自動レベル調整装置1Aのベースプレート受承高さを2番目に低くし、台座や支持脚のベースプレート受承高さを一番高く設定する。次いで、最初に第1のデジタル水平器41と自動レベル調整装置1Aと用いてベースプレートBのX方向の自動レベル調整を行い、次いで、第2のデジタル水平器42と自動レベル調整装置1Cと用いてベースプレートBのY方向の自動レベル調整を行う。これにより、構造物AのベースプレートBのレベル調整を行うことができる。
【0057】
なおまた、自動レベル調整装置を4つ用いてもよいが、3点支持で平面が構成され、4点目の支持は追随して平面を支持するものとなる。
【0058】
[第3の実施の形態]
図3は本発明の第3の実施の形態に係る自動レベル調整方法を示す。この自動レベル調整方法では、4つの支持脚(アジャスタボルト)50A、50B、50C、50Dを使用するとともに、2つの自動レベル調整装置1A、1Cを使用する。4つの支持脚(アジャスタボルト)50A、50B、50C、50Dは、構造物AのベースプレートBの周縁部に設けられている4つの基礎ボルト通し孔Cに取り付けるものとする。
【0059】
この場合例えば、支持脚50C、50Dのベースプレート受承高さを一番低く、それよりも支持脚50Aのベースプレート受承高さを2mm高く設定し、さらに、支持脚50Dのベースプレート受承高さをさらに2mm高く設定する。
【0060】
上記の様に、この実施の形態では4つの基礎ボルト通し孔は、4つの支持脚(アジャスタボルト)50A、50B、50C、50Dの装着に用いられ、自動レベル調整装置1A、1Cのねじ軸11の挿通に利用できない。このため別途に、ベースプレートBの周縁部に自動レベル調整装置1A、1Cのねじ軸11の上端部を通すためのボルト通し孔C2を、支持脚50Aの内側に1つと、支持脚50C、50Dの中間に配置するように予め穿設しておく。これらのボルト通し孔C2に自動レベル調整装置1A、1Cの各ねじ軸11の上端部を通すように構造物Aを吊り下ろすものとする。
【0061】
まず、レベル調整作業スペース(構造物AのベースプレートBの設置が予定される平面スペース)に、上記の様に受承高さを調整した支持脚50A、50B、50C、50DをベースプレートBの基礎ボルト通し孔Cに装着し、構造物Aを吊り下ろすものとする。そして、支持脚50Aの近傍のボルト通し孔C2に合わせて下側に自動レベル調整装置1Aを配置し制御用モータ31をチョッパ駆動してねじ軸11を上昇させねじ軸11の上端部をボルト通し孔C2に通し、同様に、自動レベル調整装置1Cをもう1つのボルト通し孔C2に合わせて下側に配置し制御用モータ31をチョッパ駆動してねじ軸11を上昇させねじ軸11の上端部をボルト通し孔C2に通すものとする。このとき、感圧センサ15の感圧信号を利用してモータの駆動を停止させると、自動レベル調整の開始前の準備完了とする。
【0062】
次いで、この実施の形態では第2の実施の形態に係る自動レベル調整方法と同様に自動レベル調整を行うことができる。最初のレベル調整として、第1のデジタル水平器41においてレベル測定をして、第1のデジタル水平器41の出力パルスに基づいて自動レベル調整装置1Aの制御用モータ31を駆動して目付きプレート13の上面を上昇させて目付きプレート13の上面のベースプレート受承高さと支持脚50Bのベースプレート受承高さとの間でベースプレートBのX方向のレベル調整を行う。
【0063】
次いで、第2のデジタル水平器42によりベースプレートBのY方向のレベル測定を行い、パルスを出力させ、この出力パルスに基づいて、X方向のレベル調整を済ませた自動レベル調整装置1Aおよび支持脚50Bに対してY方向に並ぶ自動レベル調整装置1Cの目付きプレート13の上面を上昇させ、ベースプレートBのY方向のレベル調整を行う。これにより、構造物AのベースプレートBのレベル調整を行うことができる。
【0064】
続いて、ベースプレートBのレベル調整を終えた構造物Aについて、定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整が行われているから、定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整を行なう。その後、クレーン等により自動レベル調整装置1A、1Cに受承されていて連結されていない構造物Aを支持脚50A、50B、50C、50Dとともに吊り上げ、出荷のために移送する。このようにすると、支持脚50A、50B、50C、50Dが垂下した状態の構造物Aのみが製造工場からユーザーの工場に移されて床置して改めて行うベースプレートBのレベル調整については人手により水平器を用い支持脚50A、50B、50C、50Dについて必要なアジャストを行うだけで短時間に処理することができ、再度の定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整を行わなくても要求される高精度のレベル調整、鉛直調整を担保することができる。
【0065】
以上説明してきたように、本発明によれば、構造物Aの製造工場内で構造物AのベースプレートBの上面のレベル出しを一度行い、さらに別の水平器を用いて構造物Aが備えている定盤等のレベル出し、定盤等に固定したワークを加工、組立または測定等を行う切削工具等のレベル出しまたは鉛直出し、ワイヤカット線の鉛直出し等の調整を行う当該構造物Aに好適であり、作業者の熟練度に関係なく、自動的に短時間で高精度なレベル出しが行なえる自動レベル調整装置を提供することができる。
【0066】
特に本発明によれば、ベースプレートBの周縁部に設けられている基礎ボルト通し孔C(または基礎ボルト通し孔Cが支持脚の装着で使われているときは別途に穿設するボルト通し孔C2に)に、ねじ軸11を通しかつベースプレートBの下面をねじ軸11に螺合したナット12またはナット12の上に設ける目付きプレート13で受承して持ち上げる構成であり、すなわち基礎ボルト通し孔Cを受承箇所および係止部として利用する構成であり、自動レベル調整を行っている最中に大きな地震がもし発生したとしても構造物Aが当初の受承面から外れて落下するという事故を防げる自動レベル調整装置を提供することができる。
【0067】
本発明によれば、特に水平軸線の周りに回転するモータの動力回転をネジ機構により微動・直動・高トルクに変換し、さらにて再びネジ機構により微動・直動・高トルクに変換し、もってベースプレートBを受承して持ち上げる力を二乗倍に増大することができ、大型で大重量の構造物Aの自動レベル調整に適用できる自動レベル調整装置を提供することができる。
【0068】
また本発明によれば、特許文献1の自動水平出し装置と同様に、作業者の熟練度に関係なく、自動的に短時間で高精度なレベル出しが実現できる。
【0069】
なお、本発明の自動水平出し装置を用いて、構造物の製造工場内ではなく、ユーザー企業の工場にて上記の第2-第4の自動レベル調整方法を実施した場合にも本発明の実施に相当するものである。
【符号の説明】
【0070】
1…自動レベル調整装置、
10…昇降機構部、
11…ネジ軸、
12…ナット、
13…目付きプレート、
14…弾持装置、
15…感圧センサ、
20…回転方向変換機構部、
21…原動傘歯車、
22…従動傘歯車、
30…回転動力部、
31…制御用モータ、
32…モータドライバ、
33…減速機、
34…ブレーキ装置、
35…軸接手、
40…デジタル水平器、
41…第1のデジタル水平器、
42…第2のデジタル水平器、
60…装置フレーム、
A…構造物、
B…ベースプレート、
C…基礎ボルト通し孔、
C2…ボルト通し孔、
50A-50D…支持脚
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本願の第1の発明態様に係る自動レベル調整装置は、軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられレベル調整作業時に軸上端部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に挿通されるネジ軸と、前記ネジ軸に螺合され前記ベースプレートを受承するナットとを含み、前記ネジ軸が回転すると前記ナットが前記構造物との摩擦により回転不能で上下方向に従動する昇降機構部と、傘歯車伝達機構を介して水平軸線の周りの回転を鉛直軸線の周りの回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する回転方向変換機構部と、前記傘歯車伝達機構に駆動回転を与える制御用モータとを備え、前記制御用モータは、前記ベースプレートの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器の出力パルスに基づいて前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行う構成である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本願の第2の発明態様に係る自動レベル調整装置は、第1の発明態様の構成に加え、中心孔に前記ネジ軸が挿通され前記ナットの上面に密着し前記ベースプレートの下面を受承し前記構造物の負荷による摩擦で前記ナットとともに回転不能である平座金様の形態の目付きプレートを備えた構成である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
1…自動レベル調整装置、
10…昇降機構部、
11…ネジ軸、
12…ナット、
13…目付きプレート、
14…弾持装置、
15…感圧センサ、
20…回転方向変換機構部、
21…原動傘歯車、
22…従動傘歯車、
30…回転動力部、
31…制御用モータ、
32…モータドライバ、
33…減速機、
34…ブレーキ装置、
35…軸接手、
40…デジタル水平器、
41…第1のデジタル水平器、
42…第2のデジタル水平器、
60…装置フレーム、
A…構造物、
B…ベースプレート、
C…基礎ボルト通し孔(ボルトを通す孔)
C2…ボルト通し孔(ボルトを通す孔)
50A-50D…支持脚、
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられレベル調整作業時に軸上端部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に挿通されるネジ軸と、前記ネジ軸に螺合され前記ベースプレートを受承するナットとを含み、前記ネジ軸が回転すると前記ナットが前記構造物との摩擦により回転不能で上下方向に従動する昇降機構部と、
傘歯車伝達機構を介して水平軸線の周りの回転を鉛直軸線の周りの回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する回転方向変換機構部と、
前記傘歯車伝達機構に駆動回転を与える制御用モータとを備え、
前記制御用モータは、前記ベースプレートの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器の出力パルスに基づいて前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行うように構成されている
ことを特徴とする自動レベル調整用昇降装置。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
心孔に前記ネジ軸が挿通され前記ナットの上面に密着し前記ベースプレートの下面を受承し前記構造物の負荷による摩擦で前記ナットとともに回転不能である平座金様の形態の目付きプレートを備えた
請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられレベル調整作業時に軸上端部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に挿通されるネジ軸と、前記ネジ軸に螺合され前記ベースプレートを受承するナットとを含み、前記ネジ軸が回転すると前記ナットが前記構造物との摩擦により回転不能で上下方向に従動する昇降機構部と、
傘歯車伝達機構を介して水平軸線の周りの回転を鉛直軸線の周りの回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する回転方向変換機構部と、
前記傘歯車伝達機構に駆動回転を与える制御用モータと、
前記ベースプレートの上面の水平度を検出し前記上面の水平度がゼロになるまで出力パルスもしくは水平LEVEL信号を出力するデジタル水平器と、
前記デジタル水平器によって出力された前記出力パルスもしくは水平LEVEL信号を受信・処理して前記制御用モータの駆動に必要な駆動パルスを生成し、前記制御用モータは、前記駆動パルスを入力されて前記水平軸線の周りの回転を発生させることで、前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行うようにする手段と
を具備することを特徴とする自動レベル調整用昇降装置。
【請求項2】
中心孔に前記ネジ軸が挿通され前記ナットの上面に密着し前記ベースプレートの下面を受承し前記構造物の負荷による摩擦で前記ナットとともに回転不能である平座金様の形態の目付きプレートを備えた
請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項3】
前記制御用モータは、サーボモータまたはパルスモータである
請求項1に記載の自動レベル調整用昇降装置。
【請求項4】
前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えて前記制御用モータが駆動回転を停止したら、前記構造物のベースプレートの負荷により前記ネジ軸が逆回転することがないよう前記ネジ軸または前記制御用モータの回転軸を回転不能とするブレーキ装置が設けられている
請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項5】
前記ナットの側面より突出するブラケットに保持され、または前記従動傘歯車の下側に備えられ前記構造物の負荷を前記ナットで受承したことを検知する感圧センサを備え
求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項6】
前記構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項1-5のいずれか1つに記載の自動レベル調整用昇降装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整用昇降装置のねじ軸11の上端部をベースプレートの周縁部に設けられたボルト通し孔に通し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行う
ことを特徴とする自動レベル調整方法。
【請求項7】
請求項1-5のいずれか1つに記載の前記自動レベル調整用昇降装置を、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する
請求項6に記載の自動レベル調整方法。
【請求項8】
請求項1-5のいずれか1つに記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置と、1つまたは複数のアジャスター機能を有する支持脚とを、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する
請求項6に記載の自動レベル調整方法。
【請求項9】
請求項1-5のいずれか1つに記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置を前記構造物の吊り下ろしの前または後に前記ナットの上面が前記ベースプレートの下面よりも数mm低い状態に配置し、前記ベースプレートの下面四隅に締付により高さが調整可能なボルト・ナットを含む下支え脚を垂設した前記構造物をレベル調整作業スペースの床上に吊り下ろす
請求項6に記載の自動レベル調整方法。
【請求項10】
請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置と、1つまたは複数のアジャスター機能を有する支持脚とを、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する自動レベル調整方法であって、
前記構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項5に記載の自動レベル調整用昇降装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整用昇降装置のねじ軸11の上端部をベースプレートの周縁部に設けられたボルト通し孔に通し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行い、
請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置の各前記制御用モータを駆動して各ナットを微小量ずつ上昇させ前記ベースプレートの下面に密着した状態を前記感圧センサが検出したら、前記制御用モータの駆動を終了とす
動レベル調整方法。
【請求項11】
請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置を前記構造物の吊り下ろしの前または後に前記ナットの上面が前記ベースプレートの下面よりも数mm低い状態に配置し、前記ベースプレートの下面四隅に締付により高さが調整可能なボルト・ナットを含む下支え脚を垂設した前記構造物をレベル調整作業スペースの床上に吊り下ろす自動レベル調整方法であって、
前記構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項5に記載の自動レベル調整用昇降装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整用昇降装置のねじ軸11の上端部をベースプレートの周縁部に設けられたボルト通し孔に通し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行い、
請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置の各前記制御用モータを駆動して各ナットを微小量ずつ上昇させ前記ベースプレートの下面に密着した状態を前記感圧センサが検出したら、前記制御用モータの駆動を終了とする
自動レベル調整方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の実施の形態に係る自動レベル調整装置を示す。自動レベル調整装置1は、レベル調整が必要な構造物AのベースプレートBを下支えし微小変化量で昇降しつつベースプレートBの上面の水平度(傾斜度)をデジタル水平器40計測し出力パルスに基づいて自動レベル調整する装置であり、昇降機構部10と回転方向変換機構部20と回転駆動手段30とを備え、これらが装置フレーム60に纏めて保持されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
回転方向変換機構部20は、互いに噛合回転する原動傘歯車21と従動傘歯車22とを有する。原動傘歯車21は、装置フレーム60に軸受を介して軸支され水平軸線の周りに回転可能である。従動傘歯車22は、中心孔に軸線が鉛直方向であるネジ軸11が挿通状態に固定され、ネジ軸11の従動傘歯車22に対する上下位置を装置フレーム60に軸受を介して軸支されており、ネジ軸11と一体に鉛直軸線の周りに回転可能である。もって、回転方向変換機構部20は、水平軸線の周り回転を鉛直軸線の周り回転に変換してネジ軸11に回転を伝達する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
このとき、レベル調整作業が効率的に行われるようにするために、3つの自動レベル調整装置1A、1B、1Cのベースプレート受承高さについて、低い順に1C、1A、1Bとなる相対的な受承高さに設定をする。例えば、自動レベル調整装置1Cの従動ブロック12の上面を自動レベル調整装置1Aの従動ブロック12の上面よりも2mm低い状態に設定し、さらに自動レベル調整装置1Aの従動ブロック12の上面を自動レベル調整装置1Bの上面よりも2mm低い状態に設定する。このようにするときは、以下に説明するように、自動レベル調整装置1Bについては、自動レベル調整を行わないで済み、先に自動レベル調整装置1AによりX方向の自動レベル調整を行ない、後から自動レベル調整装置1CによりY方向の自動レベル調整を行なうと構造物AのベースプレートBのレベル調整が行える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整用昇降装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられレベル調整作業時に軸上端部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に挿通されるネジ軸と、前記ネジ軸に螺合され前記ベースプレートを受承するナットとを含み、前記ネジ軸が回転すると前記ナットが前記構造物との摩擦により回転不能で上下方向に従動する昇降機構部と、
傘歯車伝達機構を介して水平軸線の周りの回転を鉛直軸線の周りの回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する回転方向変換機構部と、
前記傘歯車伝達機構に駆動回転を与える制御用モータと、
前記ベースプレートの上面の水平度を検出し前記上面の水平度がゼロになるまで出力パルスもしくは水平LEVEL信号を出力するデジタル水平器と、
前記デジタル水平器によって出力された前記出力パルスもしくは水平LEVEL信号を受信・処理して前記制御用モータの駆動に必要な駆動パルスを生成し、前記制御用モータは、前記駆動パルスを入力されて前記水平軸線の周りの回転を発生させることで、前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行うようにする手段と
を具備することを特徴とする自動レベル調整用昇降装置。
【請求項2】
中心孔に前記ネジ軸が挿通され前記ナットの上面に密着し前記ベースプレートの下面を受承し前記構造物の負荷による摩擦で前記ナットとともに回転不能である平座金様の形態の目付きプレートを備えた
請求項1に記載の自動レベル調整用昇降装置。
【請求項3】
前記制御用モータは、サーボモータまたはパルスモータである
請求項1に記載の自動レベル調整用昇降装置。
【請求項4】
前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えて前記制御用モータが駆動回転を停止したら、前記構造物のベースプレートの負荷により前記ネジ軸が逆回転することがないよう前記ネジ軸または前記制御用モータの回転軸を回転不能とするブレーキ装置が設けられている
請求項1に記載の自動レベル調整用昇降装置。
【請求項5】
前記ナットの側面より突出するブラケットに保持され、または従動傘歯車であって前記回転方向変換機構部に備えられて前記ネジ軸と一体に前記鉛直軸線の周りに回転可能である従動傘歯車、の下側に備えられ前記構造物の負荷を前記ナットで受承したことを検知する感圧センサを備えた
請求項1に記載の自動レベル調整用昇降装置。
【請求項6】
前記構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項1-5のいずれか1つに記載の自動レベル調整用昇降装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整用昇降装置のねじ軸11の上端部をベースプレートの周縁部に設けられたボルト通し孔に通し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行う
ことを特徴とする自動レベル調整方法。
【請求項7】
請求項1-5のいずれか1つに記載の前記自動レベル調整用昇降装置を、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する
請求項6に記載の自動レベル調整方法。
【請求項8】
請求項1-5のいずれか1つに記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置と、1つまたは複数のアジャスター機能を有する支持脚とを、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する
請求項6に記載の自動レベル調整方法。
【請求項9】
請求項1-5のいずれか1つに記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置を前記構造物の吊り下ろしの前または後に前記ナットの上面が前記ベースプレートの下面よりも数mm低い状態に配置し、前記ベースプレートの下面四隅に締付により高さが調整可能なボルト・ナットを含む下支え脚を垂設した前記構造物をレベル調整作業スペースの床上に吊り下ろす
請求項6に記載の自動レベル調整方法。
【請求項10】
請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置と、1つまたは複数のアジャスター機能を有する支持脚とを、前記構造物の前記ベースプレートのレベル調整作業スペースの床上にかつ前記ベースプレートを安定して下支えできる複数位置に設置し、それらの上に前記ベースプレートを載置する自動レベル調整方法であって、
前記構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項5に記載の自動レベル調整用昇降装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整用昇降装置のねじ軸11の上端部をベースプレートの周縁部に設けられたボルト通し孔に通し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行い、
請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置の各前記制御用モータを駆動して各ナットを微小量ずつ上昇させ前記ベースプレートの下面に密着した状態を前記感圧センサが検出したら、前記制御用モータの駆動を終了とする
自動レベル調整方法。
【請求項11】
請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置を前記構造物の吊り下ろしの前または後に前記ナットの上面が前記ベースプレートの下面よりも数mm低い状態に配置し、前記ベースプレートの下面四隅に締付により高さが調整可能なボルト・ナットを含む下支え脚を垂設した前記構造物をレベル調整作業スペースの床上に吊り下ろす自動レベル調整方法であって、
前記構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項5に記載の自動レベル調整用昇降装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整用昇降装置のねじ軸11の上端部をベースプレートの周縁部に設けられたボルト通し孔に通し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整用昇降装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行い、
請求項5に記載の複数の前記自動レベル調整用昇降装置の各前記制御用モータを駆動して各ナットを微小量ずつ上昇させ前記ベースプレートの下面に密着した状態を前記感圧センサが検出したら、前記制御用モータの駆動を終了とする
自動レベル調整方法。