(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067801
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/56 20060101AFI20240510BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B65D5/56 A
B65D77/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178134
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【テーマコード(参考)】
3E060
3E067
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB12
3E060BC01
3E060BC04
3E060CG13
3E060CG24
3E067AB01
3E067BA10A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067BC02A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA32
3E067EB27
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】処分する際に容器本体からライナを容易に分離できることと輸送過程でライナが容器本体から剥離してしまわないこととが両立されるとともに、電子レンジによる加熱に適した容器を提供する。
【解決手段】容器は、紙製のブランクを組み立てた容器本体と、樹脂材料製のライナとを備える。紙の一方の主面上のみにクレイコートが配置されている。容器本体は、凹部と矩形環状のフランジ部とを有する。凹部は、側壁と、側壁の下端に連なっている底壁とを有する。底壁は、ブランクが重なっている重なり部を有する。側壁と底壁とがなす角度は、40°以上80°以下である。フランジ部は側壁の上端から張り出している。ライナは、フランジ部の表面、側壁の内壁面及び底壁の内壁面に接着されている。フランジ部の表面とライナとの間の接着強度は、側壁の内壁面とライナとの間の接着強度及び重なり部以外における底壁の内壁面とライナとの間の接着強度よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製のブランクを組み立てた容器本体と、
樹脂材料製のライナとを備え、
前記紙の一方の主面上のみにクレイコートが配置されており、
前記容器本体は、凹部と、矩形環状のフランジ部とを有し、
前記凹部は、側壁と、前記側壁の下端に連なっている底壁とを有し、
前記底壁は、前記ブランクが重なっている重なり部を有し、
前記側壁と前記底壁とがなす角度は、40°以上80°以下であり、
前記フランジ部は、前記側壁の上端から張り出しており、
前記ライナは、前記フランジ部の表面、前記側壁の内壁面及び前記底壁の内壁面に接着されており、
前記フランジ部の表面と前記ライナとの間の接着強度は、前記側壁の内壁面と前記ライナとの間の接着強度及び前記重なり部以外における前記底壁の内壁面と前記ライナとの間の接着強度よりも大きく、
前記重なり部における前記底壁の内壁面と前記ライナとの間の接着強度は、前記重なり部以外における前記底壁の内壁面と前記ライナとの間の接着強度よりも大きい、容器。
【請求項2】
前記フランジ部の表面と前記ライナとの間の接着強度は、1N/15mm以上5N/15mm以下である、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記側壁の内壁面と前記ライナとの間の接着強度は、1N/15mm以上4N/15mm以下である、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記重なり部以外における前記底壁の内壁面と前記ライナとの間の接着強度は、0.5N/15mm以上2N/15mm以下である、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記重なり部における前記底壁の内壁面と前記ライナとの間の接着強度は、1N/15mm以上4N/15mm以下である、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記紙の坪量は、100g/m2以上500g/m2以下である、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記クレイコートは、カオリンを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
前記ライナは、第1層と、第2層と、バリア層とを有し、
前記バリア層は、前記第1層と前記第2層との間に配置されており、
前記ライナは、前記第2層において前記フランジ部の表面、前記側壁の内壁面及び前記底壁の内壁面に接着されている、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記第1層は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートの層であり、
前記第2層は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の層であり、
前記バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂の層である、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
前記ブランクは、第1パネル、第2パネル、第3パネル及び第4パネルをさらに有し、
前記フランジ部は、第1方向に沿って延在しており、かつ前記第1方向に直交する第2方向において互いに間隔を空けて対向している第1部分及び第2部分と、前記第2方向に延在しており、かつ前記第1方向において互いに間隔を空けて対向している第3部分及び第4部分とからなり、
前記第1パネルは、前記第1方向に沿って折り曲げ可能に前記第1部分にある前記フランジ部の内周縁に連なっているトップパネルと、前記第1方向に沿って折り曲げ可能に前記トップパネルに連なっている第1底壁パネルとを有し、
前記第2パネルは、前記第1方向に沿って折り曲げ可能に前記第2部分にある前記フランジ部の内周縁に連なっているエンドパネルと、前記第1方向に沿って折り曲げ可能に前記エンドパネルに連なっている第2底壁パネルとを有し、
前記第3パネルは、前記第2方向に沿って折り曲げ可能に前記第3部分にある前記フランジ部の外周縁に連なっており、かつ前記第3部分の裏面に接着される第1接着部と、前記第2方向に沿って折り曲げ可能に前記第1接着部に連なっている第1側壁パネルと、前記第2方向に沿って折り曲げ可能に前記第1側壁パネルに連なっている第3底壁パネルとを有し、
前記第4パネルは、前記第2方向に沿って折り曲げ可能に前記第4部分にある前記フランジ部の外周縁に連なっており、かつ前記第4部分の裏面に接着される第2接着部と、前記第2方向に沿って折り曲げ可能に前記第2接着部に連なっている第2側壁パネルと、前記第2方向に沿って折り曲げ可能に前記第2側壁パネルに連なっている第4底壁パネルとを有し、
前記側壁は、前記トップパネル、前記エンドパネル、前記第1側壁パネル及び前記第2側壁パネルで構成されており、
前記底壁は、前記第1底壁パネル、前記第2底壁パネル、前記第3底壁パネル及び前記第4底壁パネルで構成されており、
前記第1底壁パネル及び前記第2底壁パネルは、前記第3底壁パネルと重なって前記重なり部を構成している、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
前記第1底壁パネル及び前記第2底壁パネルは、互いに切断可能に2箇所以上で接続されており、
前記第1底壁パネルと前記第2底壁パネルとの間の接続強度は、10N以上35N以下である、請求項10に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特表2021-533041号公報(特許文献1)には、容器が記載されている。特許文献1の容器は、容器本体と、ライナとを有している。容器本体は、紙製のブランクを組み立てて構成されている。紙は、第1主面及び第2主面を有している。第1主面及び第2主面の一方又は双方には、クレイコートが行われている。
【0003】
容器本体は、凹部と、フランジ部とを有している。凹部は、側壁と、側壁の下端に連なっている底壁とを有している。フランジ部は、第1方向に沿って延在しており、かつ第1方向に直交する第2方向において互いに間隔を空けて配置されている第1部分及び第2部分と、第2方向に沿って延在しており、かつ第1方向において互いに間隔を空けて配置されている第3部分及び第4部分とからなる矩形環状である。フランジ部は、凹部の側壁の上端から張り出している。
【0004】
ブランクは、フランジ部に加えて、第1パネル、第2パネル、第3パネル及び第4パネルとを有している。第1パネルは、第1部分にあるフランジ部の内周縁に第1方向に沿って折り曲げ可能に接続されている。第2パネルは、第2部分にあるフランジ部の内周縁に第1方向に沿って折り曲げ可能に接続されている。
【0005】
第3パネルは、第1接着部と、第1側壁パネルと、第1底壁パネルとを有している。第1接着部は、第2方向に沿って折り曲げ可能に第3部分の外周縁に接続されており、かつ第3部分の裏面に接着される。第1側壁パネルは、第2方向に沿って折り曲げ可能に第1接着部に接続されている。第1底壁パネルは、第2方向に沿って折り曲げ可能に第1側壁パネルに接続されている。第4パネルは、第2接着部と、第2側壁パネルと、第2底壁パネルとを有している。第2接着部は、第2方向に沿って折り曲げ可能に第4部分の外周縁に接続されており、かつ第4部分の裏面に接着される。第2側壁パネルは、第2方向に沿って折り曲げ可能に第2接着部に接続されている。第2底壁パネルは、第2方向に沿って折り曲げ可能に第2側壁パネルに接続されている。
【0006】
第1パネル、第2パネル、第1側壁パネル及び第2側壁パネルは、凹部の側壁を構成している。第1底壁パネル及び第2底壁パネルは、凹部の底壁を構成している。なお、凹部の底壁は、ブランクが重なり合っている部分を有しない。すなわち、第1底壁パネル及び第2底壁パネルは、互いに重なり合っていない。ライナは、フランジ部の表面、凹部の側壁の内壁面及び凹部の底壁の内壁面に接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の容器では、処分する際に容器本体からライナを容易に分離できることと輸送過程でライナが容器本体から剥離してしまわないこととを両立できない。また、特許文献1に記載の容器では、電子レンジによる加熱に対する適性が考慮されていない。本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、処分する際に容器本体からライナを容易に分離できることと輸送過程でライナが容器本体から剥離してしまわないこととが両立されるとともに、電子レンジによる加熱に適した容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の容器は、紙製のブランクを組み立てた容器本体と、樹脂材料製のライナとを備える。紙の一方の主面上のみに、クレイコートが配置されている。容器本体は、凹部と、矩形環状のフランジ部とを有している。凹部は、側壁と、側壁の下端に連なっている底壁とを有している。底壁は、ブランクが重なっている重なり部を有している。側壁と底壁とがなす角度は、40°以上80°以下である。フランジ部は、側壁の上端から張り出している。ライナは、フランジ部の表面、側壁の内壁面及び底壁の内壁面に接着されている。フランジ部の表面とライナとの間の接着強度は、側壁の内壁面とライナとの間の接着強度及び重なり部以外における底壁の内壁面とライナとの間の接着強度よりも大きい。重なり部における底壁の内壁面とライナとの間の接着強度は、重なり部以外における底壁の内壁面とライナとの間の接着強度よりも大きい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の容器によると、処分する際に容器本体からライナを容易に分離できることと輸送過程でライナが容器本体から剥離してしまわないこととが両立されるとともに、電子レンジによる加熱に対する適性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3A】角度θの決定方法法を示す第1説明図である。
【
図3B】角度θの決定方法を示す第2説明図である。
【
図4】ブランク11を構成している紙の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。実施形態に係る容器を、容器100とする。
【0013】
(容器100の構成)
以下に、容器100の構成を説明する。
【0014】
図1は、容器100の分解斜視図である。
図1に示されるように、容器100は、容器本体10と、ライナ20とを有している。容器100は、さらに、蓋部材30を有していてもよい。
【0015】
容器本体10は、ブランク11を組み立てたものである。
図2は、ブランク11の平面図である。
図2に示されるように、ブランク11は、フランジ部12と、第1パネル13と、第2パネル14と、第3パネル15と、第4パネル16とを有している。ブランク11は、紙製である。
【0016】
フランジ部12は、矩形環状である。フランジ部12は、第1部分12aと、第2部分12bと、第3部分12cと、第4部分12dとからなる。第1部分12a及び第2部分12bは、第1方向DR1に沿って延在しており、かつ第2方向DR2において互いに間隔を空けて対向している。第2方向DR2は、第1方向DR1に直交する方向である。第3部分12c及び第4部分12dは、第2方向DR2に沿って延在しており、かつ第1方向DR1において互いに間隔を空けて対向している。フランジ部12の内周縁を内周縁12eとし、フランジ部12の外周縁を外周縁12fとする。フランジ部12は、厳密な矩形環状である必要はない。例えば、外周縁12fの角部は、丸まっていてもよい。
【0017】
第1パネル13は、トップパネル13aと、第1底壁パネル13bとを有している。トップパネル13aは、第1方向DR1に沿って折り曲げ可能に、第1部分12aにある内周縁12eに接続されている。第1部分12aにある内周縁12eとは反対側において、トップパネル13aには、第1方向DR1に沿って折り曲げ可能に、第1底壁パネル13bが接続されている。
【0018】
トップパネル13aの第1方向DR1における幅は、第1部分12aにある内周縁12eから離れるにつれて小さくなっている。すなわち、トップパネル13aは、台形状である。第1底壁パネル13bは、第1部分と、第1部分よりもトップパネル13aから離れている第2部分とを有している。第1底壁パネル13bの第1部分の第1方向DR1における幅は、トップパネル13aから離れるにつれて小さくなっている。すなわち、第1底壁パネル13bの第1部分は、台形状である。第1底壁パネル13bの第2部分の第1方向DR1における幅は、一定である。すなわち、第1底壁パネル13bの第2部分は、矩形状である。
【0019】
第2パネル14は、エンドパネル14aと、第2底壁パネル14bとを有している。エンドパネル14aは、第1方向DR1に沿って折り曲げ可能に、第2部分12bにある内周縁12eに接続されている。第2部分12bにある内周縁12eとは反対側において、エンドパネル14aには、第1方向DR1に沿って折り曲げ可能に、第2底壁パネル14bが接続されている。
【0020】
エンドパネル14aの第1方向DR1における幅は、第2部分12bにある内周縁12eから離れるにつれて小さくなっている。すなわち、エンドパネル14aは、台形状である。第2底壁パネル14bは、第1部分と、第1部分よりもエンドパネル14aから離れている第2部分とを有している。第2底壁パネル14bの第1部分の第1方向DR1における幅は、エンドパネル14aから離れるにつれて小さくなっている。すなわち、第2底壁パネル14bの第1部分は、台形状である。第2底壁パネル14bの第2部分の第1方向DR1における幅は、一定である。すなわち、第2底壁パネル14bの第2部分は、矩形状である。
【0021】
トップパネル13aとは反対側の第1底壁パネル13bの端及びエンドパネル14aとは反対側の第2底壁パネル14bの端は、2箇所以上において、互いに接続されていてもよい。トップパネル13aとは反対側の第1底壁パネル13bの端とエンドパネル14aとは反対側の第2底壁パネル14bの端との間の接続強度は、10N以上35N以下であることが好ましい。トップパネル13aとは反対側の第1底壁パネル13bの端とエンドパネル14aとは反対側の第2底壁パネル14bの端との間の接続強度は、13N以上20N以下であることがさらに好ましい。トップパネル13aとは反対側の第1底壁パネル13bの端とエンドパネル14aとは反対側の第2底壁パネル14bの端との間の接続強度は、以下の方法により測定される。第1に、トップパネル13aとは反対側の第1底壁パネル13bの端とエンドパネル14aとは反対側の第2底壁パネル14bの端との接続部から、当該接続部が中央部にあり、かつ長さが50mmとなる試験片が切り出される。第2に、上記の試験片の中央部がチャック部の中央に位置するように上記の試験片を引張試験機(例えば、島津製作所製AUTOGRAPH AG-IS)にセットし、上記の試験片の接続部を垂直方向に300mm/分の速度で引っ張る。これにより、上記の試験片の接続部の接続強度が測定される。
【0022】
トップパネル13aとは反対側の第1底壁パネル13bの端とエンドパネル14aとは反対側の第2底壁パネル14bの端との間には、ミシン目が形成されている。このミシン目は、例えば複数の貫通穴17で構成されている。貫通穴17は、第1方向DR1に沿って延在している。隣り合う2つの貫通穴17は、第1方向DR1において間隔を空けて配置されている。隣り合う2つの貫通穴17の間の第1方向DR1における間隔、貫通穴17の第1方向DR1における幅及び貫通穴17の数を調整することにより、トップパネル13aとは反対側の第1底壁パネル13bの端とエンドパネル14aとは反対側の第2底壁パネル14bの端との間の接続強度を調整することが可能である。
【0023】
第3パネル15は、第1接着部15aと、第1側壁パネル15bと、第3底壁パネル15cとを有している。第1接着部15aは、第2方向DR2に沿って折り曲げ可能に、第3部分12cにある外周縁12fに接続されている。第1接着部15aの第2方向DR2における幅は、一定である。すなわち、第1接着部15aは、矩形状である。
【0024】
第3部分12cにある外周縁12fとは反対側において、第1接着部15aには、第2方向DR2に沿って折り曲げ可能に、第1側壁パネル15bが接続されている。第1接着部15aとは反対側において、第1側壁パネル15bには、第2方向DR2に沿って折り曲げ可能に、第3底壁パネル15cが接続されている。
【0025】
第1側壁パネル15bの第2方向DR2における幅は、第1接着部15aから離れるにつれて小さくなっている。すなわち、第1側壁パネル15bは、台形状である。第3底壁パネル15cは、第1部分と、第1部分よりも第1側壁パネル15bから離れている第2部分とを有している。第3底壁パネル15cの第1部分の第2方向DR2における幅は、第1側壁パネル15bから離れるにつれて小さくなっている。すなわち、第3底壁パネル15cの第1部分は、台形状である。第3底壁パネル15cの第2部分の第2方向DR2における幅は、一定である。すなわち、第3底壁パネル15cの第2部分は、矩形状である。
【0026】
第4パネル16は、第2接着部16aと、第2側壁パネル16bと、第4底壁パネル16cとを有している。第2接着部16aは、第2方向DR2に沿って折り曲げ可能に、第4部分12dにある外周縁12fに接続されている。第2接着部16aの第2方向DR2における幅は、一定である。すなわち、第2接着部16aは、矩形状である。
【0027】
第4部分12dにある外周縁12fとは反対側において、第2接着部16aには、第2方向DR2に沿って折り曲げ可能に、第2側壁パネル16bが接続されている。第2接着部16aとは反対側において、第2側壁パネル16bには、第2方向DR2に沿って折り曲げ可能に、第4底壁パネル16cが接続されている。
【0028】
第2側壁パネル16bの第2方向DR2における幅は、第2接着部16aから離れるにつれて小さくなっている。すなわち、第2側壁パネル16bは、台形状である。第4底壁パネル16cは、第1部分と、第1部分よりも第2側壁パネル16bから離れている第2部分とを有している。第4底壁パネル16cの第1部分の第2方向DR2における幅は、第2側壁パネル16bから離れるにつれて小さくなっている。すなわち、第4底壁パネル16cの第1部分は、台形状である。第4底壁パネル16cの第2部分の第2方向DR2における幅は、一定である。すなわち、第4底壁パネル16cの第2部分は、矩形状である。第3底壁パネル15cの第2部分の第1方向DR1における幅は、第4底壁パネル16cの第2部分の第1方向DR1における幅よりも大きい。
【0029】
ブランク11を組み立てて容器本体10とする際、第1接着部15a及び第2接着部16aは、それぞれ第3部分12cの裏面及び第4部分12dの裏面に接着される。ブランク11を組み立てて容器本体10とする際、上記のミシン目において、第1底壁パネル13bと第2底壁パネル14bとが分離される。
【0030】
図1に示されるように、容器本体10は、凹部18を有している。凹部18は、側壁18aと、底壁18bとを有している。底壁18bは、側壁18aの下端に連なっている。フランジ部12は、側壁18aの上端から張り出している。ブランク11を組み立てて容器本体10とする際、トップパネル13a、エンドパネル14a、第1側壁パネル15b及び第2側壁パネル16bが、側壁18aを構成する。ブランク11を組み立てて容器本体10とする際、第1底壁パネル13b、第2底壁パネル14b、第3底壁パネル15c及び第4底壁パネル16cが、底壁18bを構成する。
【0031】
容器本体10では、第1底壁パネル13bが第3底壁パネル15c及び第4底壁パネル16cの少なくとも一方と重なっている部分を有しており、第2底壁パネル14bが第3底壁パネル15c及び第4底壁パネル16cの少なくとも一方と重なっている部分を有している。このことを別の観点から言えば、底壁18bは、ブランク11が2層以上重なっている重なり部を有している。
【0032】
側壁18aと底壁18bとがなす角度を、角度θとする。
図3Aは、角度θの決定方法法を示す第1説明図である。
図3Bは、角度θの決定方法を示す第2説明図である。
図3Aに示されるように、トップパネル13a(エンドパネル14a)と底壁18bとがなす角度は、角度θ1である。
図3Bに示されるように、第1側壁パネル15b(第2側壁パネル16b)とがなす角度は、角度θ2である。角度θ1及び角度θ2のうちのいずれか大きい方が、角度θとされる。この例では、角度θ1が角度θ2よりも大きいため、角度θ1が角度θとなる。角度θは、40°以上80°以下である。
【0033】
図4は、ブランク11を構成している紙の断面図である。ブランク11を構成している紙は、主面11aと、主面11bとを有している。主面11a及び主面11bは、ブランク11を構成している紙の厚さ方向における端面である。主面11a上には、クレイコート11cが配置されている。クレイコート11cは、粘土鉱物の層である。この粘土鉱物は、例えばカオリンである。但し、クレイコート11cを構成する粘土鉱物は、これに限られるものではない。他方で、主面11b上には、クレイコート11cが配置されていない。なお、図示されていないが、主面11a上にクレイコート11cが配置されず、主面11b上にクレイコート11cが配置されてもよい。要するに、ブランク11を構成している紙の一方の主面上にのみ、クレイコート11cが配置されていればよい。
【0034】
クレイコート11cを主面11a上及び主面11b上の一方にのみ配置する理由は、電子レンジを用いた加熱時にブランク11を構成している紙内で生じた水分発泡が残存しにくくなり、電子レンジを用いた加熱後にブランク11を構成している紙の強度が変化しにくくなってライナ20が容器本体10から分離しやすくするからである。
【0035】
ブランク11を構成している紙の坪量は、100g/m2以上500g/m2以下であることが好ましい。ブランク11を構成している紙の坪量は、190g/m2以上400g/m2以下であることがさらに好ましい。
【0036】
図1に示されるように、ライナ20は、容器本体10に接着される。より具体的には、ライナ20は、フランジ部12の表面、側壁18aの内壁面及び底壁18bの内壁面に接着されている。ライナ20は、樹脂材料製である。ライナ20は、溶着により、容器本体10に接着されている。
【0037】
ライナ20とフランジ部12の表面との間の接着強度を、第1接着強度とする。ライナ20と側壁18aの内壁面との間の接着強度を、第2接着強度とする。重なり部以外におけるライナ20と底壁18bとの間の接着強度を第3接着強度とし、重なり部におけるライナ20と底壁18bとの間の接着強度を第4接着強度とする。第1接着強度、第2接着強度、第3接着強度及び第4接着強度は、以下の方法により測定される。第1に、幅が15mm、長さが50mmの試験片が切り出される。第2に、上記の試験片に対して引張試験機(例えば、島津製作所製AUTOGRAPH AG-IS)を用いて300mm/分の速度で90°剥離試験が行われる。これにより、第1接着強度ないし第4接着強度が測定される。
【0038】
第1接着強度は、第2接着強度及び第3接着強度よりも大きい。第1接着強度は、好ましくは、第4接着強度よりも大きい。第1接着強度は、好ましくは、1N/15mm以上4N/15mm以下であり、さらに好ましくは1.5N/15mm以上4.5N/15mm以下である。第2接着強度は、好ましくは、第3接着強度及び第4接着強度よりも大きい。第2接着強度は、好ましくは1N/15mm以上4N/15mm以下であり、さらに好ましくは1.3N/15mm以上3.6N/15mm以下である。第4接着強度は、第3接着強度よりも大きい。第3接着強度は、好ましくは0.5N/15mm以上2N/15mm以下であり、さらに好ましくは0.7N/15mm以上1.5N/15mm以下である。第4接着強度は、好ましくは1N/15mm以上4N/15mm以下であり、さらに好ましくは1.3N/15mm以上3N/15mm以下である。
【0039】
なお、第1接着強度、第2接着強度、第3接着強度及び第4接着強度の上限値を上記のように定めることが好ましい理由は、ライナ20の容器本体10からの分離がしやすくなるからである。また、第1接着強度の下限値を上記のように定めるのが好ましい理由は、蓋部材30を取り外す際にライナ20が蓋部材30とともにフランジ部12から剥がれにくくなるからである(二重蓋になりにくくなるからである)。
【0040】
ライナ20は、樹脂材料製である。
図5は、ライナ20の断面図である。
図5に示されるように、ライナ20は、第1層21と、第2層22と、バリア層23とを有している。バリア層23は、ライナ20の厚さ方向において第1層21と第2層22との間にある。第1層21とバリア層23とは、接着層24で接着されている。第2層22とバリア層23とは、接着層25で接着されている。ライナ20は、第2層22において容器本体10(フランジ部12の表面、側壁18aの内壁面及び底壁18bの内壁面)に接着されている。第1層21は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)の層である。第2層22は、例えば、PE、PP又はポリプロピレン又はエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(PVA)の層である。バリア層23は、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)の層である。
【0041】
蓋部材30は、ライナ20を介在させて、フランジ部12上に接着されている。蓋部材30は、樹脂材料製である。
図6は、蓋部材30の一例の断面図である。
図6に示されるように、蓋部材30は、第1層31と第2層32とを有している。蓋部材30は、第1層31において、ライナ20を介在させてフランジ部12上に接着されている。第2層32は、第1層31上に配置されている。第1層31はイージーピール層であり、第2層32は例えば透明蒸着PETの層である。
【0042】
図7は、蓋部材30の他の例の断面図である。
図7に示されるように、蓋部材30は、第1層31と、バリア層33と、第3層34と、第4層35とを有していてもよい。バリア層33、第3層34及び第4層35は、この順で第1層31上に積層配置されている。バリア層33、第3層34及び第4層35は、例えば、それぞれEVOHの層、PEの層及びPETの層である。
図1に示されるように、蓋部材30は、開封タブ36を有していてもよい。蓋部材30は、開封タブ36において、フランジ部12上に接着されない。開封タブ36は、フランジ部12よりも外側に張り出した位置にある。蓋部材30は、凹部18の内部空間に食品等の内容物を配置した後に、ライナ20を介在させてフランジ部12上に接着される。
【0043】
(容器100の製造方法)
以下に、容器100の製造方法を説明する。
【0044】
図8は、容器100の製造方法を示す工程図である。
図8に示されているように、容器100の製造方法は、容器本体組み立て工程S1と、ライナ貼り付け工程S2と、蓋部材貼り付け工程S3とを有している。
【0045】
容器100の製造方法では、まず容器本体組み立て工程S1が行われる。容器本体組み立て工程S1では、ブランク11から容器本体10が組み立てられる。この組み立ては、例えば、内周縁12eで画されているフランジ部12の開口から凹部18の形状に合わせたプランジャを挿入することにより行われる。この際、第1底壁パネル13b及び第2底壁パネル14bは、ミシン目に沿って切断及び分離されることになる。
【0046】
ライナ貼り付け工程S2は、容器本体組み立て工程S1の後に行われる。ライナ貼り付け工程S2では、ライナ20が容器本体10に貼り付けられる。ライナ貼り付け工程S2は、外側から吸引されている容器本体10上に加熱により軟化させたライナ20を配置することにより行われる。但し、ライナ20の貼り付け方法は、これに限られるものではない。蓋部材貼り付け工程S3は、ライナ貼り付け工程S2の後に行われる。ライナ貼り付け工程S2と蓋部材貼り付け工程S3との間に、凹部18の内部空間に食品等の内容物が配置される。以上により、容器100が製造される。
【0047】
(容器100の効果)
以下に、容器100の効果を説明する。
【0048】
クレイコート11cがブランク11の一方の主面上にのみ配置されていることを、条件Aとする。角度θが40°以上80°以下であることを、条件Bとする。第1接着強度が第2接着強度及び第3接着強度よりも大きいことを、条件Cとする。第4接着強度が第3接着強度よりも大きいことを、条件Dとする。容器のサンプルとして、サンプル1からサンプル19が準備された。サンプル1からサンプル19の詳細は、表1に示されている。なお、サンプル1からサンプル19の内容物は、200gの水とされた。
【0049】
【0050】
表1に示されるように、サンプル15では、角度θが40°よりも小さく、条件Bが満たされていない。サンプル16では、第4接着強度が第3接着強度よりも小さく、条件Dが満たされていない。なお、サンプル16で第4接着強度が0となっているのは、第1パネル13及び第2パネル14がそれぞれ第1底壁パネル13b及び第2底壁パネル14bを有していない結果、底壁18bが重なり部を有していないためである。サンプル17では、クレイコート11cが主面11a上及び主面11b上の双方にクレイコート11cが配置されており、条件Aが満たされていない。サンプル18では、角度θが80°よりも大きく、条件Bが満たされていない。サンプル19では、第2接着強度が第1接着強度よりも大きく、条件Cが満たされていない。このように、サンプル15からサンプル19では、条件Aから条件Dのうちのいずれか1つが満たされていない。他方で、サンプル1からサンプル14では、条件Aから条件Dの全てが満たされている。
【0051】
サンプル1からサンプル20に対して、ライナ分離性、輸送適性及びレンジ適性の評価が行われた。ライナ分離性の評価は、20人の評価者にライナ20を分離させ、分離しやすいと回答した評価者の数が15人以上である場合に「OK」とし、分離しやすいと回答した評価者の数が15人未満である場合に「NG」とした。
【0052】
輸送適性は、JIS規格(JIS Z 0200)に基づいて落下試験及び振動試験を実施し、ライナ20が容器本体10から剥離している部分(容器本体10から浮いている部分)がないかにより評価した。落下試験又は剥離試験が行われた後にライナ20の剥離がない場合に「OK」と評価され、落下試験又は振動試験が行われた後にライナ20の剥離がある場合に「NG」と評価された。レンジ適性は、各サンプルに対して電子レンジを用いて600Wの出力で2分間の加熱を行った後に、加熱前後で容器自体に変化がない場合に「OK」と評価し、容器本体10からの発泡があったりライナ20が容器本体10から部分的に浮いてしまったりしている場合に「NG」と評価した。ライナ分離性、輸送適性及びレンジ適性の評価結果も、表1に示されている。
【0053】
表1に示されているように、サンプル15からサンプル19では、ライナ分離性、輸送適性及びレンジ適性の評価のうちの少なくともいずれかが「NG」であった。他方で、サンプル1からサンプル14では、ライナ分離性、輸送適性及びレンジ適性の評価がいずれも「OK」であった。この比較から、条件Aから条件Dが満たされていることによりライナ分離性及び輸送適性が両立されるとともに、電子レンジを用いた加熱に対する適性が得られることが明らかになった。
【0054】
第1底壁パネル13bと第2底壁パネル14bとが2箇所以上で接続されていることを条件Eとし、第1底壁パネル13bと第2底壁パネル14bとの間の接続強度が10N以上35N以下であることを条件Fとする。サンプル20からサンプル44の詳細は、表2に示されている。表2に示されているように、サンプル35では、条件E及び条件Fが満たされていなかった。サンプル36では、条件E及び条件Fが満たされていなかった。なお、サンプル36において第1底壁パネル13bと第2底壁パネル14bとの接続箇所の数が0とされており、第1底壁パネル13bと第2底壁パネル14bとの間の接続強度が0とされているのは、第1パネル13及び第2パネル14がそれぞれ第1底壁パネル13b及び第2底壁パネル14bを有していないためである。サンプル37では、条件Fが満たされていなかった。サンプル20からサンプル34及びサンプル38からサンプル44では、条件E及び条件Fの双方が満たされていた。
【0055】
【0056】
サンプル20からサンプル44に対して、製函性の評価を行った。製函性は、製函機に通した際に供給が問題なく、容器本体10の製函ができた場合に「OK]と評価し、製函機に通した際に供給に問題があり製函機に引っ掛かりうまく製函できない場合又は第1底壁パネル13bと第2底壁パネル14bとの接続部が金型上で切断されずに設計と異なる変形が生じ、容器の製函ができなかった場合に「NG」と評価した。製函性の評価も、表2に示されている。表2に示されているように、サンプル35からサンプル37では、製函性の評価が「NG」であった。他方で、サンプル20からサンプル34及びサンプル38からサンプル44では、製函性の評価が「OK」であった。この比較から、条件E及び条件Fの双方が満たされることによりブランク11から容器本体10を組み立てやすくなることが明らかになった。
【0057】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上記の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0058】
10 容器本体、11 ブランク、11a,11b 主面、11c クレイコート、12 フランジ部、12a 第1部分、12b 第2部分、12c 第3部分、12d 第4部分、12e 内周縁、12f 外周縁、13 第1パネル、13a トップパネル、13b 第1底壁パネル、14 第2パネル、14a エンドパネル、14b 第2底壁パネル、15 第3パネル、15a 第1接着部、15b 第1側壁パネル、15c 第3底壁パネル、16 第4パネル、16a 第2接着部、16b 第2側壁パネル、16c 第4底壁パネル、17 貫通穴、18 凹部、18a 側壁、18b 底壁、20 ライナ、21 第1層、22 第2層、23 バリア層、24,25 接着層、30 蓋部材、31 第1層、32 第2層、33 バリア層、34 第3層、35 第4層、36 開封タブ、100 容器、DR1 第1方向、DR2 第2方向、S1 容器本体組み立て工程、S2 ライナ貼り付け工程、S3 蓋部材貼り付け工程。