(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067803
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】決済端末
(51)【国際特許分類】
G06K 7/00 20060101AFI20240510BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240510BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240510BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20240510BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G06K7/00 004
G06K7/00 013
G06K7/10 264
G06K7/14 017
G06K7/10 372
G06K7/10 148
G07G1/00 311D
G07G1/12 321P
G06K7/10 216
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178138
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】高見 弘樹
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142FA02
3E142GA05
3E142GA06
3E142GA07
3E142GA36
3E142KA01
(57)【要約】
【課題】複数の決済方式が採用される場合でも利用者が意図しない決済方式が選択され難い構成を提供する。
【解決手段】筐体11の側面11bに設けられる差込口12に対してICカードCが差し込まれた差込状態がICカードリーダ28aを利用して検知され、筐体11の側面11bに連なりアンテナ29及び撮像窓24aが設けられる表面11aに対して物体が近づけられた近接状態が近接センサ31により検知される。そして、制御部21にてなされる決済処理において、差込状態が検知される状態では、決済用の情報を読み取り可能にICカードリーダ28aを動作させるように制御し、近接状態が検知されない状態では、非接触読取部28c及び撮像部24を機能停止状態に制御し、近接状態が検知される状態では、非接触読取部28cを機能停止状態に制御しつつ撮像部24を動作させるように制御して、撮像部24により撮像された情報コードの読み取りが失敗した場合に、非接触読取部28cを動作させるように制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の決済方式を利用可能な決済端末であって、
第1面にICカードを差し込む差込口が設けられ前記第1面に連なる第2面に非接触決済用アンテナ及び撮像窓が設けられる筐体と、
前記筐体内に配置されて前記撮像窓を介した外方を撮像範囲とする撮像部と、
前記差込口に差し込まれた前記ICカードから決済用の情報を読み取るためのカード読取部と、
前記非接触決済用アンテナを利用して非接触通信媒体から決済用の情報を非接触通信で読み取るための非接触読取部と、
前記撮像窓を介して前記撮像部により撮像された情報コードから決済用の情報を読み取るための情報コード読取部と、
前記差込口に対して前記ICカードが差し込まれた差込状態を検知するための第1検知部と、
前記第2面に対して物体が近づけられた近接状態を検知するための第2検知部と、
前記第1検知部及び前記第2検知部の検知結果に基づいて、前記カード読取部、前記非接触読取部及び前記情報コード読取部を制御する読取制御部と、
前記カード読取部、前記非接触読取部及び前記情報コード読取部のいずれか1つが動作することで読み取られた前記決済用の情報を利用した決済処理を行う決済処理部と、
を備え、
前記読取制御部は、
前記第1検知部により前記差込状態が検知される状態では、前記カード読取部を動作させるように制御し、
前記第2検知部により前記近接状態が検知される状態では、前記非接触読取部を機能停止状態に制御しつつ前記情報コード読取部を動作させるように制御して、当該情報コード読取部による読み取りが失敗した場合に、前記非接触読取部を動作させるように制御することを特徴とする決済端末。
【請求項2】
前記読取制御部は、前記第2検知部により前記近接状態が検知されない状態では、前記非接触読取部を機能停止状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【請求項3】
前記情報コードには、予め定められた形状の特定パターンが配置され、
前記撮像部により撮像された撮像画像に前記特定パターンが含まれているか否かについて判定するコード判定部を備え、
前記読取制御部は、前記第2検知部により前記近接状態が検知される状態にて前記情報コード読取部による読み取りが失敗した場合に、前記コード判定部により前記特定パターンが含まれていないと判定されると前記非接触読取部を動作させるように制御し、前記コード判定部により前記特定パターンが含まれていると判定されると前記非接触読取部の機能停止状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【請求項4】
前記第2検知部は、前記物体までの距離を検出可能な近接センサであることを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【請求項5】
前記第2面の周囲の照度を検出する照度センサを備え、
前記読取制御部は、
前記第2検知部により前記近接状態が検知される状態では、前記照度センサによって検出される照度が所定の照度閾値よりも大きくなる場合に、前記非接触読取部を機能停止状態に制御しつつ前記情報コード読取部を動作させるように制御して、前記照度センサによって検出される照度が前記所定の照度閾値以下となる場合又は前記照度センサによって検出される照度が所定の照度閾値より大きくなっても前記情報コード読取部による読み取りが失敗した場合に、前記非接触読取部を動作させるように制御することを特徴とする請求項1又は4に記載の決済端末。
【請求項6】
前記第2検知部は、前記第2面の周囲の照度を検出する照度センサであって、前記照度センサによって検出される照度の変化が所定の照度差閾値よりも大きくなる場合に前記近接状態が検知されることを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【請求項7】
前記差込口は、前記ICカードの差込方向が前記第2面に沿う平面に対して略平行となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の決済方式が利用可能な決済端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、接触ICカード決済や、非接触決済、QRコード(登録商標)等を利用した情報コード決済、磁気カード決済などの複数の決済方式を利用可能な決済端末が普及しつつある。このような決済端末として、例えば、下記特許文献1に開示される決済端末が知られている。この決済端末は、PIN入力の操作や電子サインの操作を受け付けるタッチパネルを備えており、非接触ICカードの読み取りが可能な状態では、タッチパネルによる入力検出が不能な状態となり、非接触ICカードの読み取りが不能な状態では、タッチパネルによる入力検出が可能な状態となることで、非接触ICカードの読み取りとタッチパネルの入力検出とで互いに電気的に干渉することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の決済方式が利用可能な決済端末に対して接触ICカード決済機能と非接触決済機能とを兼備するICカードを利用して接触ICカード決済を行う際に、利用者が意図しない非接触決済にて決済処理が実施されてしまう可能性がある。そのICカードが決済端末の差込口に差し込まれる前に決済端末の非接触決済用アンテナに近づいたため、当該ICカードから非接触通信にて決済用の情報を読み取り可能な状態になると、決済方式に関する指示を受けていない決済端末では、複数の決済方式のうち非接触決済が選択されてしまうからである。また、例えば、非接触決済機能を有する携帯端末に情報コード決済用のQRコードを表示させて情報コード決済(QRコード決済)を行う際でも同様の問題がある。そのQRコードが決済端末にて読み取り可能に撮像される前に上記携帯端末が非接触決済用アンテナに近づいたため、当該携帯端末から非接触通信にて決済用の情報を読み取り可能な状態になると、決済方式に関する指示を受けていない決済端末では、複数の決済方式のうち非接触決済が選択されてしまうからである。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数の決済方式が採用される場合でも利用者が意図しない決済方式が選択され難い構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
複数の決済方式を利用可能な決済端末(10,10a)であって、
第1面(11b)にICカード(C)を差し込む差込口(12)が設けられ前記第1面に連なる第2面(11a)に非接触決済用アンテナ(29)及び撮像窓(24a)が設けられる筐体(11)と、
前記筐体内に配置されて前記撮像窓を介した外方を撮像範囲とする撮像部(24)と、
前記差込口に差し込まれた前記ICカードから決済用の情報を読み取るためのカード読取部(28a)と、
前記非接触決済用アンテナを利用して非接触通信媒体から決済用の情報を非接触通信で読み取るための非接触読取部(28c)と、
前記撮像窓を介して前記撮像部により撮像された情報コードから決済用の情報を読み取るための情報コード読取部(21,24)と、
前記差込口に対して前記ICカードが差し込まれた差込状態を検知するための第1検知部(28a)と、
前記第2面に対して物体が近づけられた近接状態を検知するための第2検知部(31,32)と、
前記第1検知部及び前記第2検知部の検知結果に基づいて、前記カード読取部、前記非接触読取部及び前記情報コード読取部を制御する読取制御部(21)と、
前記カード読取部、前記非接触読取部及び前記情報コード読取部のいずれか1つが動作することで読み取られた前記決済用の情報を利用した決済処理を行う決済処理部(21)と、
を備え、
前記読取制御部は、
前記第1検知部により前記差込状態が検知される状態では、前記カード読取部を動作させるように制御し、
前記第2検知部により前記近接状態が検知される状態では、前記非接触読取部を機能停止状態に制御しつつ前記情報コード読取部を動作させるように制御して、当該情報コード読取部による読み取りが失敗した場合に、前記非接触読取部を動作させるように制御することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、筐体の第1面に設けられる差込口に対してICカードが差し込まれた差込状態が第1検知部により検知され、筐体の第1面に連なり非接触決済用アンテナ及び撮像窓が設けられる第2面に対して物体が近づけられた近接状態が第2検知部により検知される。そして、読取制御部は、第1検知部により差込状態が検知される状態では、カード読取部を動作させるように制御し、第2検知部により近接状態が検知される状態では、非接触読取部を機能停止状態に制御しつつ情報コード読取部を動作させるように制御して、当該情報コード読取部による読み取りが失敗した場合に、非接触読取部を動作させるように制御する。
【0008】
これにより、非接触決済機能を有する携帯端末等の非接触通信媒体に情報コード決済用の情報コードを表示させて情報コード決済を行う際には、非接触通信媒体が第2面に近づけられる近接状態が第2検知部にて検知されることで、まず、情報コード読取部のみが動作して、非接触読取部は機能停止状態に制御される。このため、利用者が意図しない非接触決済が選択されることもない。その一方で、上記非接触通信媒体にて非接触決済を行う際には、情報コード読取部による読み取りが失敗するために、機能停止状態に制御されていた非接触読取部が動作するように制御されるので、利用者が意図する非接触決済が選択されることとなる。したがって、複数の決済方式が採用される場合でも利用者が意図しない決済方式が選択され難い決済端末を実現することができる。
【0009】
請求項2の発明では、読取制御部は、第2検知部により近接状態が検知されない状態では、非接触読取部を機能停止状態に制御する。これにより、接触ICカード決済機能と非接触決済機能とを兼備するICカードを利用して接触ICカード決済を行う際には、そのICカードが差込口を設けた第1面と異なる第2面に近づけられていると第2検知部にて検知されない限り非接触読取部が動作することもないので、利用者が意図しない非接触決済が選択されることもない。したがって、複数の決済方式が採用される場合でも利用者が意図しない決済方式が選択され難い決済端末を実現することができる。
【0010】
請求項3の発明では、情報コードには、予め定められた形状の特定パターンが配置される。そして、読取制御部は、第2検知部により近接状態が検知される状態にて情報コード読取部による読み取りが失敗した場合に、コード判定部により特定パターンが含まれていないと判定されると非接触読取部を動作させるように制御し、コード判定部により特定パターンが含まれていると判定されると非接触読取部の機能停止状態を維持する。
【0011】
これにより、情報コード読取部による読み取りが失敗した場合であってコード判定部により特定パターンが含まれていると判定される場合には、非接触読取部の機能停止状態が維持される。すなわち、情報コードらしいものが撮像されていてもその情報コードのデコードが失敗するような場合には、利用者が情報コード決済を希望しているとして、非接触読取部の機能停止状態を維持することで、利用者が意図しない非接触決済の選択を抑制することができる。
【0012】
請求項4の発明では、第2検知部は、第2面に対して近づけられた物体までの距離を検出可能な近接センサであるため、近接状態と検知される距離閾値をその設置環境等に応じて容易に変えることができ、第2面に上述したICカードや非接触通信媒体等がかざされている状態を正確に検知することができる。
【0013】
請求項5の発明では、第2面の周囲の照度を検出する照度センサが設けられる。そして、読取制御部は、第2検知部により近接状態が検知される状態では、照度センサによって検出される照度が所定の照度閾値よりも大きくなる場合に、非接触読取部を機能停止状態に制御しつつ情報コード読取部を動作させるように制御して、照度センサによって検出される照度が上記所定の照度閾値以下となる場合又は照度センサによって検出される照度が上記所定の照度閾値より大きくなっても情報コード読取部による読み取りが失敗した場合に、非接触読取部を動作させるように制御する。
【0014】
ICカードが第2面にかざされた際にはそのICカードによって照度センサが覆われるために照度センサによって検出される照度が暗くなり、情報コードを表示した画面が第2面にかざされた際には照度センサによって検出される照度が明るくなる。このため、第2検知部により近接状態が検知される状態にて、照度センサによって検出される照度が所定の照度閾値よりも大きくなる場合には、情報コードを表示した画面が第2面にかざされているとして情報コード読取部のみ動作させ、照度センサによって検出される照度が所定の照度閾値以下となる場合には、ICカードが第2面にかざされているとして非接触読取部を動作させることで、利用者が意図しない決済方式の選択を抑制することができる。
【0015】
請求項6の発明では、第2検知部は、第2面の周囲の照度を検出する照度センサであって、照度センサによって検出される照度の変化が所定の照度差閾値よりも大きくなる場合に近接状態が検知される。
【0016】
情報コードを表示した画面が第2面にかざされた際には照度センサによって検出される照度が明るく変化し、ICカードが第2面にかざされた際にはそのICカードによって照度センサが覆われるために照度センサによって検出される照度が暗く変化する。このため、照度センサによって検出される照度の変化に応じて、第2面に上述したICカードや非接触通信媒体等がかざされている近接状態であるか否かについて判断することができる。
【0017】
請求項7の発明では、差込口は、ICカードの差込方向が第2面に沿う平面に対して略平行となるように形成されるため、差込口に差し込もうとしているICカードが第2検知部にて検知され難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る決済端末の概要を説明する説明図である。
【
図2】
図1の決済端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【
図3】近接センサによる検知範囲を説明する説明図であり、
図3(A)は、差込方向に対して直交する方向から見た検知範囲を示し、
図3(B)は、差込口側から見た検知範囲を示す。
【
図4】第1実施形態において決済端末の制御部により実行される決済処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】差込口に差し込もうとしているICカードと近接センサの検知範囲との位置関係を説明する説明図である。
【
図6】第2実施形態において決済端末の制御部により実行される決済処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】第3実施形態における決済端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【
図8】第3実施形態において決済端末の制御部により実行される決済処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】第4実施形態において決済端末の制御部により実行される決済処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る決済端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る決済端末10は、接触ICカード決済や、非接触決済、情報コード決済、磁気カード決済などの複数の決済方式を利用者(購入者)が選択して利用可能なタッチパネル式の情報処理端末として構成されている。
【0020】
図1に示すように、決済端末10は、その外郭を構成する筐体11が略薄板状に形成されており、所定の載置面S上に載置されて使用される。筐体11の表面(上面)11aの略中央に配置されるタッチパネル23の操作面23aに対して、購入者から見て手前側となる側面11bにICカード用の差込口12が設けられ、購入者から見て右側となる位置に磁気カード用のスロット13が設けられている。差込口12は、ICカードの差込方向Fが表面11aに沿う平面に対して略平行となるように形成されている。また、表面11aのうち操作面23aの奥側となる位置に、撮像部24の撮像窓24aが設けられ、表面11aのうち操作面23aの手前側となる位置に、近接センサ31が設けられている。なお、側面11bは、「第1面」の一例に相当し得る。
【0021】
筐体11内には、決済端末10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなる記憶部22とともに情報処理装置を構成している。記憶部22には、各種の決済処理を実行するためのプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。
【0022】
また、
図2に示すように、決済端末10は、上述した制御部21及び記憶部22に加えて、タッチパネル23、撮像部24、操作部25、報知部26、外部インタフェース27、決済情報読取部28、近接センサ31などを備えている。タッチパネル23は、公知のタッチパネル型の表示装置として構成されており、液晶表示器等の公知の表示デバイスとして構成される表示部と、この表示部の表示画面に重ねられて当該表示画面に対して押圧操作(接触)している範囲を操作面23aとして検出可能な透明性の操作パネルとを備えている。このタッチパネル23は、制御部21によって表示部の表示内容が制御される。
【0023】
撮像部24は、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成されるもので、制御部21により制御されて、撮像窓24aを介して撮像した撮像画像データを制御部21に出力するように構成されている。この撮像部24は、撮像窓24aを介した外方を撮像範囲とするように筐体11内に配置されている。この撮像部24により撮像窓24aを介して決済用のQRコードが撮像されることで、制御部21にてそのQRコードから決済用の情報を読み取る読取処理がなされる。なお、この読取処理を行う制御部21及び撮像部24は、「情報コード読取部」の一例に相当し得る。
【0024】
操作部25は、上記操作パネルと筐体11の側面等に設けられる1又は2以上のキーとを備えるように構成されることで、タッチパネル23の操作面23aに対するタッチ操作やキー操作に応じた信号を制御部21に出力するように構成される。
【0025】
報知部26は、LEDなどの発光部やスピーカ、ブザー、バイブレータ等を備えており、制御部21によって発光部の発光状態やスピーカの音声ガイダンス、ブザーの鳴動状態、バイブレータの振動等が制御されることで、決済処理の結果等に応じた所定の報知を行うように構成されている。
【0026】
外部インタフェース27は、決済サーバやPOS端末等の外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行うように機能する。
【0027】
決済情報読取部28は、接触ICカード用のカードリーダ(以下、ICカードリーダ28aともいう)と、磁気カード用のカードリーダ(以下、磁気カードリーダ28bともいう)と、非接触決済用の非接触読取部28cとを備えている。
【0028】
ICカードリーダ28aは、差込口12から所定の位置まで差し込まれたICカードC(
図1参照)の外部端子Ctに接続する読取端子(図示略)を備えて、この読取端子にICカードCの外部端子Ctが接続することで、差込口12に対してICカードCが差し込まれた差込状態を検知し、このICカードCから読み取った決済用の情報を、制御部21に出力するように構成されている。なお、ICカードリーダ28aは、上記差込状態を検知するための「第1検知部」及び差込口12に差し込まれたICカードCから決済用の情報を読み取るための「カード読取部」の一例に相当し得る。
【0029】
磁気カードリーダ28bは、スロット13をスワイプされる磁気カードから読み取った決済用の情報を、制御部21に出力するように構成されている。
【0030】
非接触読取部28cは、近距離無線通信(NFC)機能等を有し、筐体11内部の表面11a側に設けられる非接触決済用アンテナ(以下、アンテナ29ともいう)を利用して、表面11aにかざされた決済用の非接触通信媒体(非接触ICカードや非接触決済機能を有する携帯端末、電子マネー用の媒体等)から読み取った決済用の情報を、制御部21に出力するように構成されている。なお、
図1では、非接触通信媒体である非接触決済機能を有する携帯端末40が表面11aにかざされた状態を例示しており、アンテナ29の位置を破線にて簡略化して図示している。
【0031】
近接センサ31は、筐体11の表面11aに対して物体が近づけられた近接状態を検知するための検知部であり、上記物体までの距離を検出して、その検出距離に関する情報を検知結果として制御部21に出力するように構成されている。この近接センサ31は、表面11aでの操作面23aを囲う略四角環状の縁部のうち側面11bの近傍となる操作面23aの手前側縁部の中央付近に配置されることで、検知範囲が表面11aの側面11b側の上方となるように設定されている。これにより、近接センサ31は、
図3(A)(B)に示すように、表面11aにかざそうとするICカードCなどの物体を検知できる一方で、差込口12に差し込もうとしているICカードCを検知することもない。なお、
図3(A)(B)では、近接センサ31の検知範囲にハッチングを付している。また、表面11aは、「第2面」の一例に相当し、近接センサ31は、「第2検知部」の一例に相当し得る。
【0032】
このように構成される決済端末10では、制御部21にてなされる決済処理にて、ICカードリーダ28aにより差込状態が検知される場合に接触ICカード決済を実施し、近接センサ31による上記近接状態が検知されない場合に非接触決済及び情報コード決済を実施できないようにすることで、利用者が意図しない決済方式が選択されることを抑制している。このため、制御部21は、ICカードリーダ28aによる差込状態に関する検知結果や近接センサ31による近接状態に関する検知結果に基づいて、カード読取部、非接触読取部及び情報コード読取部等を制御する「読取制御部」として機能する。
【0033】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる決済処理について、
図4に示すフローチャートを参照して詳述する。なお、以下の説明では、ICカードCは、接触ICカード決済機能だけでなく、電子マネーなどの非接触決済機能をも兼備するICカードとして構成されているものとする。
【0034】
購入商品に関する情報(商品名や購入金額等)が取得されることで制御部21にて決済処理が開始されると、
図4のステップS101に示す近接状態検知有効化処理がなされる。この処理では、制御部21による制御に応じて近接センサ31が有効化されることで、この近接センサ31によって筐体11の表面11aに対して物体が近づけられた近接状態を検知可能な状態になる。
【0035】
続いて、ステップS103の判定処理にて、差込口12に対してICカードCが差し込まれている差込状態であるか否かについて判定される。ここで、ICカードリーダ28aの読取端子にICカードCの外部端子Ctが接続されていない場合には、差込状態でないと判定される(S103でNo)。続いて、ステップS105の判定処理にて、スロット13に対して磁気カードがスワイプされているか否かについて判定される。ここで、スロット13に対して磁気カードがスワイプされていない場合には(S105でNo)、ステップS107の判定処理にて、筐体11の表面11aに対して物体が近づけられた近接状態であるか否かについて判定される。ここで、近接センサ31にて検出される物体までの距離が近接状態と検知される距離閾値以上となる場合又は物体が検出されない場合には、近接状態でないと判定され(S107でNo)、終了操作等がなされていない場合には(S109でNo)、上記ステップS103からの処理が繰り返される。この繰り返し処理中では、制御部21により、非接触読取部28cや撮像部24等が機能停止状態に制御される。なお、上記繰り返し処理中では、ICカードリーダ28aは、差込状態の検知に関する処理を除いて機能停止状態に制御されてもよい。同様に、磁気カードリーダ28bは、スワイプの検知に関する処理を除いて機能停止状態に制御されてもよい。
【0036】
上述のような繰り返し処理中に、接触ICカード決済を希望する利用者がICカードCを差込口12に差し込むことで、差込状態であると判定されると(S103でYes)、ステップS111に示す接触ICカード決済処理がなされる。なお、
図5に示すように、近接センサ31の検知範囲が表面11aの上方となっているため、差込口12に差し込もうとしているICカードCが近接センサ31によって検知されることもない。
【0037】
上記接触ICカード決済処理では、非接触読取部28cや撮像部24等の機能停止状態が維持された状態で、ICカードリーダ28aのみが動作するように制御される。そして、ICカードリーダ28aにより、差込口12に差し込まれたICカードCから読取端子を介して決済用の情報が読み取られると、この決済用の情報等に関して決済サーバと通信することで支払い処理がなされる。このような接触ICカード決済を利用した支払い処理が完了することで、本決済処理が終了する。
【0038】
また、上述した繰り返し処理中に、磁気カード決済を希望する利用者によって磁気カードがスロット13に対してスワイプされることで、上記ステップS105の判定処理にてYesと判定されると、ステップS113に示す磁気カード決済処理がなされる。この処理では、非接触読取部28cや撮像部24等の機能停止状態が維持された状態で、磁気カードリーダ28bのみが動作するように制御される。そして、磁気カードリーダ28bにより、スロット13をスワイプされた磁気カードから決済用の情報が読み取られると、この決済用の情報等に関して決済サーバと通信することで支払い処理がなされる。このような磁気カード決済を利用した支払い処理が完了することで、本決済処理が終了する。
【0039】
また、上述した繰り返し処理中に、筐体11の表面11aに対して物体が近づけられたことで、近接センサ31による検知結果に基づいて近接状態であると判定されると(S107でYes)、ステップS115に示す撮像処理がなされる。この処理では、非接触読取部28c等の機能停止状態が維持された状態で、撮像部24のみが動作して撮像窓24aにかざされた決済用のQRコードなどの情報コードを撮像可能な状態になる。続いて、ステップS117に示すデコード処理がなされ、撮像部24により撮像窓24aを介して撮像された情報コードから決済用の情報を読み取るための処理がなされる。
【0040】
ここで、情報コード決済(QRコード決済)を希望する利用者によって携帯端末40に画面表示されたQRコードが撮像窓24aにかざされることで、撮像されたQRコードから決済用の情報の読み取りに成功していると(S119でYes)、ステップS121に示す情報コード決済処理がなされる。この処理では、上述のように読み取られた決済用の情報等に関して決済サーバと通信することで支払い処理がなされる。このような情報コード決済を利用した支払い処理が完了することで、本決済処理が終了する。
【0041】
一方、撮像された情報コードから決済用の情報を読み取るための処理が失敗すると(S119でNo)、ステップS123に示す非接触読取有効化処理がなされ、撮像部24が機能停止状態に制御された状態で、非接触読取部28cのみが動作するように制御される。続いて、ステップS125の判定処理にて、非接触読取部28cにより決済用の情報を読み取り可能な非接触通信媒体が検出されているか否かについて判定される。なお、ステップS109の判定処理では、撮像した情報コードのデコード処理が失敗した場合にNoと判定されるだけでなく、規定時間中に情報コードが撮像されなかったためにデコード処理が失敗した場合にもNoと判定される。
【0042】
ここで、非接触決済を希望する利用者がICカードCを表面11aにかざすことで、そのICカードCが非接触読取部28cにより検出されると(S125でYes)、ステップS127に示す非接触決済処理がなされる。この処理では、非接触読取部28cにより、表面11aにかざされたICカードCからアンテナ29を介して決済用の情報が読み取られて、この決済用の情報等に関して決済サーバと通信することで支払い処理がなされる。このような非接触決済処理を利用した支払い処理が完了することで、本決済処理が終了する。
【0043】
一方、非接触読取部28cにより決済用の情報を読み取り可能な非接触通信媒体が検出されない場合には(S125でNo)、非接触読取部28cが機能停止状態に制御されるとともに撮像部24等の機能停止状態が維持された状態で、上記ステップS103からの処理が繰り返される。なお、上述したステップS111の接触ICカード決済処理、ステップS121の情報コード決済処理、ステップS127の非接触決済処理を実施する制御部21は、カード読取部、非接触読取部及び情報コード読取部のいずれか1つが動作することで読み取られた決済用の情報を利用した決済処理を行う「決済処理部」の一例に相当し得る。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10では、筐体11の側面11bに設けられる差込口12に対してICカードCが差し込まれた差込状態がICカードリーダ28aを利用して検知され、筐体11の側面11bに連なりアンテナ29及び撮像窓24aが設けられる表面11aに対して物体が近づけられた近接状態が近接センサ31により検知される。そして、制御部21にてなされる決済処理において、差込状態が検知される状態では(S103でYes)、決済用の情報を読み取り可能にICカードリーダ28aを動作させるように制御し(S111)、近接状態が検知される状態では(S107でYes)、非接触読取部28cを機能停止状態に制御しつつ撮像部24を動作させるように制御して、撮像部24により撮像された情報コードの読み取りが失敗した場合に(S119でNo)、非接触読取部28cを動作させるように制御する(S123)。
【0045】
これにより、非接触決済機能を有する携帯端末40に決済用のQRコード等(情報コード決済用の情報コード)を表示させて情報コード決済を行う際には、携帯端末40が表面11aに近づけられる近接状態が検知されることで、まず、情報コード読取部として機能する撮像部24のみが動作して、非接触読取部28cは機能停止状態に制御される。このため、利用者が意図しない非接触決済が選択されることもない。その一方で、ICカードCにて非接触決済を行う際には、情報コード読取部による読み取りが失敗するために、機能停止状態に制御されていた非接触読取部28cが動作するように制御されるので、利用者が意図する非接触決済が選択されることとなる。したがって、複数の決済方式が採用される場合でも利用者が意図しない決済方式が選択され難い決済端末10を実現することができる。
【0046】
また、制御部21にてなされる決済処理において、近接状態が検知されない状態では(S107でNo)、非接触読取部28c及び撮像部24が機能停止状態に制御される。これにより、接触ICカード決済機能と非接触決済機能とを兼備するICカードCを利用して接触ICカード決済を行う際には、そのICカードCが差込口12を設けた側面11bと異なる表面11aに近づけられていると検知されない限り非接触読取部28cが動作することもないので、利用者が意図しない非接触決済が選択されることもない。したがって、複数の決済方式が採用される場合でも利用者が意図しない決済方式が選択され難い決済端末10を実現することができる。
【0047】
さらに、近接状態を検知するための検知部(第2検知部)として、筐体11の表面11aに対して近づけられた物体までの距離を検出可能な近接センサ31が採用されるため、近接状態と検知される距離閾値をその設置環境等に応じて容易に変えることができ、表面11aに上述したICカードや携帯端末40等がかざされている状態を正確に検知することができる。
【0048】
特に、差込口12は、ICカードCの差込方向Fが表面11aに沿う平面に対して略平行となるように形成されるため、差込口12に差し込もうとしているICカードCが近接センサ31にて検知され難くすることができる。なお、差込口12は、ICカードCの差込方向Fが載置面Sに対して略平行となるように形成されても、差込口12に差し込もうとしているICカードCが近接センサ31にて検知され難くすることができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る決済端末について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、決済用の情報コードの読み取りが失敗しても情報コードらしいものが撮像されている場合には非接触読取部28cの機能停止状態が維持される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
決済用のQRコードなどの情報コードを撮像窓24aにかざしていても、そのかざし方等によっては情報コードの読み取りが失敗する場合があり、このような場合に非接触読取部28cを動作させると、利用者が意図しない非接触決済にて決済処理が選択されてしまう可能性がある。
【0051】
そこで、本実施形態において制御部21にてなされる決済処理では、情報コードの読み取りが失敗しても、その読み取りが失敗した撮像画像にて情報コードらしいものが撮像されている場合には、非接触読取部28cの機能停止状態を維持することで、利用者が意図しない非接触決済の選択を抑制する。
【0052】
情報コードには、撮像画像中にてコード領域(情報コードを構成する各セルが配列される領域)を容易に特定するため、予め定められた形状の特定パターンが配置される。例えば、QRコードでは、予め定められた形状の特定パターンとして、三隅の位置検出パターン(ファインダパターン)やタイミングパターン等が配置される。このため、これらのような特定パターンが撮像画像に含まれているか否かで、情報コードらしいものが撮像されているか否かについて判定することができる。
【0053】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる決済処理について、
図6に示すフローチャートを参照して詳述する。
上記第1実施形態と同様に、近接状態と判定された後に(
図6のS107でYes)、撮像された情報コードから決済用の情報を読み取るための処理が失敗すると(S119でNo)、ステップS129に示す判定処理にて、その読み取りに失敗した撮像画像に情報コードらしいものが撮像されているか否かについて判定される。なお、上記ステップS129の判定処理を行う制御部21は、「コード判定部」の一例に相当し得る。
【0054】
ここで、例えば、読み取りに失敗した撮像画像に上述した2つの位置検出パターンと一部のタイミングパターン等の特定パターンが含まれている場合には、情報コードらしいものが撮像されていると判定される(S129でYes)。この場合には、非接触読取部28c等の機能停止状態が維持された状態で、上記ステップS103からの処理が繰り返される。
【0055】
一方、読み取りに失敗した撮像画像に特定パターンが含まれておらず情報コードらしいものが撮像されていないと判定される場合には(S129でNo)、上述した非接触読取有効化処理以降の処理がなされて、撮像部24が機能停止状態に制御された状態で、非接触読取部28cのみが動作するように制御される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10において、制御部21にてなされる決済処理では、近接状態が検知される状態にて情報コード読取部による読み取りが失敗した場合に(S119でNo)、読み取りに失敗した撮像画像に特定パターンが含まれていないと判定されると(S129でNo)、非接触読取部28cが動作するように制御され、読み取りに失敗した撮像画像に特定パターンが含まれていると判定されると(S129でYes)、非接触読取部28cの機能停止状態が維持される。
【0057】
これにより、情報コードらしいものが撮像されていても、その情報コードのデコードが失敗するような場合には、利用者が情報コード決済を希望しているとして、非接触読取28c部の機能停止状態を維持することで、利用者が意図しない非接触決済の選択を抑制することができる。
【0058】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る決済端末について、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、近接状態を検知する第2検知部として照度センサが採用される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
本実施形態に係る決済端末10aは、
図7に示すように、上述した決済端末10に対して、近接センサ31に加えて周囲の照度を検出する照度センサ32を兼備するセンサ30を備えるように構成されている。センサ30は、上記第1実施形態における近接センサ31と同じ位置に配置されている。
【0060】
照度センサ32は、表面11aの周囲の照度を検出して、その検出した照度に関する情報を検知結果として制御部21に出力するように構成されている。
【0061】
例えば、決済用のQRコードなどの情報コードを表示した携帯端末40の画面が表面11aにかざされた際には照度センサ32によって検出される照度が明るく変化し、ICカードCが表面11aにかざされた際にはそのICカードCによって照度センサ32が覆われるためにその照度センサ32によって検出される照度が暗く変化する。
【0062】
すなわち、照度センサ32によって検出される照度の変化に応じて、表面11aにICカードCや携帯端末40等がかざされている近接状態であるか否かについて判断することができる。このため、本実施形態では、近接センサ31による検知結果に代えて、照度センサ32による検知結果に基づいて上記近接状態であるか否かについて判定する。なお、照度センサ32は、筐体11の表面11aに対して物体が近づけられた近接状態を検知する「第2検知部」の一例に相当し得る。
【0063】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる決済処理について、
図8に示すフローチャートを参照して詳述する。
購入商品に関する情報(商品名や購入金額等)が取得されることで制御部21にて決済処理が開始されると、
図8のステップS131に示す初期照度値測定処理がなされ、表面11aに物体が近づけられていない初期状態での照度値が初期照度値Bqとして計測される。
【0064】
そして、差込口12に対してICカードCが差し込まれておらず(S103でNo)、スロット13に対して磁気カードがスワイプされていない場合には(S105でNo)、ステップS133に示す現照度値測定処理にて、現時点での照度値が現照度値Bcとして計測される。続いて、ステップS135の判定処理にて、現照度値Bcと初期照度値Bqとの差の絶対値が所定の照度差閾値よりも大きくなるか否かに応じて、近接状態であるか否かについて判定される。
【0065】
ここで、現照度値Bcと初期照度値Bqとの差の絶対値が上記所定の照度差閾値以下である場合には、近接状態でないとして(S135でNo)、上記ステップS103からの処理が繰り返される。
【0066】
上述のような繰り返し処理中に、情報コード決済(QRコード決済)を希望する利用者によって携帯端末40に画面表示されたQRコードが撮像窓24aにかざされることで、現照度値Bcが明るく変化するために、現照度値Bcと初期照度値Bqとの差の絶対値が上記所定の照度差閾値よりも大きくなると、近接状態であると判定される(S135でYes)。
【0067】
この場合には、ステップS137の判定処理にて、現照度値Bcが初期照度値Bqより大きいか否かについて判定される。上述のように携帯端末40に画面表示されたQRコードが撮像窓24aにかざされていることから現照度値Bcが初期照度値Bqより大きくなると(S137でYes)、情報コード決済用の情報コードが表面11aにかざされているとして、上述したステップS115以降の処理がなされる。
【0068】
一方、非接触決済を希望する利用者がICカードCを表面11aにかざしていると、このICカードCによって照度センサ32が覆われるために、現照度値Bcが暗く変化して、現照度値Bcと初期照度値Bqとの差の絶対値が上記所定の照度差閾値よりも大きくなることで近接状態と判定される(S135でYes)。この場合には、現照度値Bcが初期照度値Bq以下となるため(S137でNo)、ICカードC等の非接触通信媒体が表面11aにかざされているとして、上述したステップS123以降の処理がなされる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10aでは、照度センサ32によって検出される照度の変化(現照度値Bcと初期照度値Bqとの差の絶対値)が所定の照度差閾値よりも大きくなる場合に近接状態が検知される。
【0070】
このように、照度センサ32によって検出される照度の変化に応じて、表面11aに上述したICカードCや携帯端末40などの非接触通信媒体がかざされている近接状態であるか否かについて判断することができる。
【0071】
なお、近接センサ31及び照度センサ32を兼備するセンサ30を備える決済端末10aに代えて、近接センサ31を除き照度センサ32を備えた決済端末であっても、上述した本実施形態の効果を奏する。また、本実施形態においても、上記第2実施形態にて述べたように、情報コードの読み取りが失敗しても情報コードらしいものが撮像されていると判定される場合には非接触読取部28cの機能停止状態が維持されてもよい。
【0072】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る決済端末について、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、近接センサ及び照度センサの双方の検知結果を利用する点が、上記第3実施形態と主に異なる。したがって、第3実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
本実施形態では、近接センサ31による検知結果に基づいて上記近接状態であるか否かについて判定し、照度センサ32による検知結果に基づいて情報コード決済及び非接触決済のいずれであるか否かについて判定する。ICカードCが筐体11の表面11aにかざされた際にはそのICカードCによって照度センサ32が覆われるために照度センサ32によって検出される照度が暗くなり、決済用のQRコードなどの情報コードを表示した画面が筐体11の表面11aにかざされた際には照度センサ32によって検出される照度が明るくなるからである。
【0074】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる決済処理について、
図9に示すフローチャートを参照して詳述する。
購入商品に関する情報(商品名や購入金額等)が取得されることで制御部21にて決済処理が開始されると、
図9のステップS101に示す近接状態検知有効化処理がなされて、上述したように近接センサ31によって筐体11の表面11aに対して物体が近づけられた近接状態を検知可能な状態になる。
【0075】
そして、差込口12に対してICカードCが差し込まれておらず(S103でNo)、スロット13に対して磁気カードがスワイプされておらず(S105でNo)、近接センサ31による検知結果に基づいて近接状態と判定されない場合には(S107でNo)、終了操作等がなされていないことで(S109でNo)、上記ステップS103からの処理が繰り返される。
【0076】
上述のような繰り返し処理中に、筐体11の表面11aに対して物体が近づけられたことで、近接センサ31による検知結果に基づいて近接状態であると判定されると(S107でYes)、ステップS133に示す現照度値測定処理にて、照度センサ32により現時点での照度値が現照度値Bcとして計測される。続いて、ステップS139の判定処理にて、上述のように計測された現照度値Bcが所定の照度閾値Bnよりも大きいか否かについて判定される。
【0077】
ここで、所定の照度閾値Bnは、決済用のQRコードなどの情報コードを読み取り可能な最低画面輝度での表示画面が表面11aにかざされたときに照度センサ32により計測される照度値に応じて設定されている。このため、照度センサ32により計測される現照度値Bcが所定の照度閾値Bnより大きくなると(S139でYes)、上述のように携帯端末40に画面表示されたQRコードが撮像窓24aにかざされているとして、上述したステップS115以降の処理がなされる。
【0078】
一方、照度センサ32により計測される現照度値Bcが所定の照度閾値Bn以下になると(S139でNo)、非接触決済を希望する利用者がICカードCを表面11aにかざしているとして、上述したステップS123以降の処理がなされる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10aでは、近接センサ31による検知結果により近接状態が検知される状態では(S107でYes)、照度センサ32によって検出される現照度値Bcが所定の照度閾値Bnよりも大きくなる場合に(S139でYes)、非接触読取部28cを機能停止状態に制御しつつ撮像部24を動作させるように制御して、照度センサ32によって検出される現照度値Bcが所定の照度閾値Bn以下となる場合(S139でNo)又は照度センサ32によって検出される照度が上記所定の照度閾値より大きくなっても情報コードの読み取りが失敗した場合に(S119でNo)、非接触読取部28cを動作させるように制御する。
【0080】
このように、近接センサ31による検知結果により近接状態が検知される状態にて、照度センサ32によって検出される現照度値Bcが所定の照度閾値Bnよりも大きくなる場合には、決済用のQRコードなどの情報コードを表示した画面が筐体11の表面11aにかざされているとして情報コード読取部として機能する撮像部24のみ動作させ、照度センサ32によって検出される現照度値Bcが所定の照度閾値Bn以下となる場合には、ICカードCが筐体11の表面11aにかざされているとして非接触読取部28cを動作させることで、利用者が意図しない決済方式の選択を抑制することができる。
【0081】
なお、本実施形態においても、上記第2実施形態にて述べたように、情報コードの読み取りが失敗しても情報コードらしいものが撮像されていると判定される場合には非接触読取部28cの機能停止状態が維持されてもよい。
【0082】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)筐体11の表面11aに対して物体が近づけられた近接状態を検知するための検知部(第2検知部)として、上述した近接センサ31や照度センサ32が採用されることに限らず、他の機能にて上記近接状態を検知可能なセンサが採用されてもよい。
【0083】
(2)近接センサ31や照度センサ32は、表面11aでの操作面23aを囲う略四角環状の縁部のうち側面11bの近傍となる操作面23aの手前側縁部の中央付近に配置されることに限らず、表面11aに対して物体が近づけられた近接状態を検知可能な位置に配置されればよい。
【0084】
(3)携帯端末40などに画面表示される情報コード決済用の情報コードとして、QRコードが採用されることに限らず、他のコード種別の情報コード、例えば、バーコードが採用されてもよい。
【0085】
(4)制御部21にてなされる決済処理では、近接センサ31による上記近接状態が検知されない場合に、非接触決済及び情報コード決済の双方を実施できないようにすることに限らず、非接触決済を実施できないようにしつつ、情報コード決済を実施できるように撮像部24等が動作することで撮像窓24aにかざされた決済用のQRコードなどの情報コードを撮像可能な状態が維持されもよい。すなわち、近接センサ31の検知結果にかかわらず、情報コード決済を実施可能な状態が維持されてもよい。
【0086】
10,10a…決済端末
11…筐体
11a…表面(第2面)
11b…側面(第1面)
12…差込口
21…制御部(情報コード読取部,読取制御部,決済処理部,コード判定部)
24…撮像部(情報コード読取部)
24a…撮像窓
28a…ICカードリーダ(カード読取部,第1検知部)
28c…非接触読取部
29…アンテナ(非接触決済用アンテナ)
31…近接センサ(第2検知部)
32…照度センサ(第2検知部)
40…携帯端末(非接触通信媒体)
Bc…現照度値
Bn…照度閾値
Bq…初期照度値
C…ICカード
F…差込方向