(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067825
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240510BHJP
G06Q 10/08 20240101ALI20240510BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240510BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240510BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240510BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G06Q10/08
G01C21/26 C
G16Y10/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178176
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】二見 徹
(72)【発明者】
【氏名】伊予永 昭寛
(72)【発明者】
【氏名】左向 貴代
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 千絵
(72)【発明者】
【氏名】平原 賢司
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB23
2F129BB29
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2F129FF73
2F129GG25
2F129HH12
2F129HH21
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181EE07
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF32
5H181MA41
5H181MA48
5H181MB03
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】電気自動車の性能の算出精度を高める。
【解決手段】情報処理装置は、電気自動車の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する取得部と、センサデータに基づき電気自動車の積載量に対応する積載量情報を求める積載量推定部と、所定の基準積載量での電気自動車の電費情報を記憶する記憶部と、電費情報と、電気自動車が有する電池の充電量と、積載量推定部が求めた積載量情報とに基づいて、電気自動車の走行可能距離を算出する走行距離特定部と、走行距離特定部が算出した走行可能距離に基づく提示情報を生成する提示情報生成部と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の期間においてユーザが管理している管理車両が走行した位置履歴を示す走行データ及び管理車両の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する取得部と、
電気自動車ごとに前記電気自動車の電費情報及びバッテリー容量を記憶し、前記電気自動車の用途ごとに前記電気自動車が前記電気自動車の用途で走行した場合における電費を予測するための予測パラメータを記憶する記憶部と、
前記ユーザに提示する候補の電気自動車である候補車両の前記電費情報と、前記管理車両の用途に対応する前記電気自動車の前記予測パラメータとに基づいて、前記候補車両が所定の基準積載量で前記位置履歴を走行した場合に想定される想定電費を算出する第1算出部と、
前記走行データに基づいて、前記候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出する第2算出部と、
前記センサデータに基づいて前記管理車両の走行中における積載量に対応する想定積載量情報を求める第3算出部と、
前記第1算出部が算出した前記想定電費と、前記候補車両に対応する前記バッテリー容量と、前記第3算出部が求めた前記想定積載量情報とに基づいて、最大充電時における走行可能距離を算出する第4算出部と、
前記走行基準距離と前記走行可能距離とに基づく提示情報を、表示装置に表示させる表示処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記センサデータとして上下方向の加速度又はヨー・レートのデータを取得し、
前記第3算出部は、当該センサデータについて周波数解析を行って固有振動数を求め、当該固有振動数の変化に基づいて前記想定積載量情報を求めることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記センサデータとして走行時の進行速度と上下方向の加速度とが関連付けられたデータを取得し、
前記第3算出部は、走行時の進行速度から求めた加速度が所定の値のときの上下方向の加速度の微分値に基づいて前記想定積載量情報を求めることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第4算出部は、前記想定電費と、前記バッテリー容量とに基づいて、基準積載量での最大充電時における走行可能距離を特定し、前記想定積載量情報に基づいて積載量係数を特定し、特定した基準積載量での最大充電時における走行可能距離に特定した前記積載量係数を乗算することにより、想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での最大充電時における走行可能距離を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記想定積載量情報は、積載の有無を示す情報であり、
前記第4算出部は、積載の有無に応じて前記積載量係数を変更することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記想定積載量情報は、積載量の値であり、
前記第4算出部は、積載量の値に応じて前記積載量係数を変更することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、さらに前記電気自動車の車種ごとに定められた前記予測パラメータを記憶し、
前記第1算出部は、さらに前記候補車両の車種に対応する前記予測パラメータに基づいて、前記想定電費を算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記走行データに基づいて前記管理車両の用途を特定する特定部をさらに有し、
前記第1算出部は、前記特定部が特定した前記管理車両の用途に対応する前記電気自動車の前記予測パラメータに基づいて、前記想定電費を算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第2算出部は、複数の前記候補車両それぞれの基準積載量での前記電費情報と、前記複数の候補車両それぞれに対応する前記バッテリー容量と、前記第3算出部が求めた前記想定積載量情報とに基づいて、前記複数の候補車両それぞれの最大充電時における走行可能距離を算出し、
前記表示処理部は、前記複数の候補車両のうち、前記候補車両の走行可能距離が前記走行基準距離以上である前記候補車両を、前記提示情報として表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第3算出部は、さらに前記候補車両に搭載された電池の劣化度合いに基づいて、前記候補車両の最大充電時における走行可能距離を算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記記憶部は、前記候補車両の状態及び前記候補車両の価格を含む候補車両情報をさらに記憶し、
前記表示処理部は、前記候補車両に対応する前記候補車両情報を、前記提示情報として表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記表示処理部は、前記管理車両が消費するエネルギーに基づくランニングコストと、前記候補車両が消費する電力に基づくランニングコストとを比較した比較結果を、前提示情報として表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記表示処理部は、前記管理車両が消費するエネルギーを生産することに応じて発生するCO2と、前記候補車両が消費する電力を生産することに応じて発生するCO2とを比較した比較結果を、前記提示情報として表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
複数の電気自動車の中から、前記管理車両の少なくとも一部の仕様を満たす前記電気自動車を、前記候補車両として選択する選択部をさらに有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する、
所定の期間においてユーザが管理している管理車両が走行した位置履歴を示す走行データ及び前記管理車両の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得するステップと、
記憶部に電気自動車ごとに記憶されている前記電気自動車の電費情報であって前記ユーザに提示する候補の電気自動車である候補車両の前記電費情報と、前記記憶部に前記電気自動車の用途ごとに記憶されている前記電気自動車が前記電気自動車の用途で走行した場合における電費を予測するための予測パラメータのうちの前記管理車両の用途に対応する前記電気自動車の前記予測パラメータとに基づいて、前記候補車両が所定の基準積載量で前記位置履歴を走行した場合に想定される想定電費を算出するステップと、
前記走行データに基づいて、前記候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出するステップと、
前記センサデータに基づいて前記管理車両の走行中における積載量に対応する想定積載量情報を求めるステップと、
算出した前記想定電費と、前記記憶部に前記電気自動車ごとに記憶されているバッテリー容量であって前記候補車両に対応する前記バッテリー容量と、前記想定積載量情報とに基づいて、最大充電時における走行可能距離を算出するステップと、
前記走行基準距離と前記走行可能距離とに基づく提示情報を、表示装置に表示させるステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータを、
所定の期間においてユーザが管理している管理車両が走行した位置履歴を示す走行データ及び前記管理車両の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する取得部、
記憶部に電気自動車ごとに記憶されている前記電気自動車の電費情報であって前記ユーザに提示する候補の電気自動車である候補車両の前記電費情報と、前記記憶部に前記電気自動車の用途ごとに記憶されている前記電気自動車が前記電気自動車の用途で走行した場合における電費を予測するための予測パラメータのうちの前記管理車両の用途に対応する前記電気自動車の前記予測パラメータとに基づいて、前記候補車両が所定の基準積載量で前記位置履歴を走行した場合に想定される想定電費を算出する第1算出部、
前記走行データに基づいて、前記候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出する第2算出部、
前記取得部が取得したセンサデータに基づいて前記管理車両の走行中における積載量に対応する想定積載量情報を求める第3算出部、
前記第1算出部が算出した前記想定電費と、前記記憶部に前記電気自動車ごとに記憶されているバッテリー容量であって前記候補車両に対応する前記バッテリー容量と、前記第3算出部が求めた前記想定積載量情報とに基づいて、最大充電時における走行可能距離を算出する第4算出部、及び
前記走行基準距離と前記走行可能距離とに基づく提示情報を、表示装置に表示させる表示処理部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項17】
電気自動車の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する取得部と、
前記センサデータに基づき前記電気自動車の積載量に対応する積載量情報を求める積載量推定部と、
所定の基準積載量での前記電気自動車の電費情報を記憶する記憶部と、
前記電費情報と、前記電気自動車が有する電池の充電量と、前記積載量推定部が求めた前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出する走行距離特定部と、
前記走行距離特定部が算出した前記走行可能距離に基づく提示情報を生成する提示情報生成部と、
を有する情報処理装置。
【請求項18】
前記取得部は、前記電気自動車が有する電池の現在の充電量を取得し、
前記走行距離特定部は、前記電費情報と、前記取得した現在の電池の充電量と、前記積載量推定部が求めた前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出することを特徴とする請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記走行距離特定部は、前記電費情報と、前記電気自動車が有する電池の最大充電量と、前記積載量推定部が求めた前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出することを特徴とする請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記取得部は、前記センサデータとして上下方向の加速度又はヨー・レートのデータを取得し、
前記積載量推定部は、当該センサデータについて周波数解析を行って固有振動数を求め、当該固有振動数の変化に基づいて前記積載量情報を求めることを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記取得部は、前記センサデータとして走行時の進行速度と上下方向の加速度とが関連付けられたデータを取得し、
前記積載量推定部は、走行時の進行速度から求めた加速度が所定の値のときの上下方向の加速度の微分値に基づいて前記積載量情報を求めることを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記走行距離特定部は、前記電費情報と、前記電気自動車が有する電池の充電量とに基づいて、基準積載量での走行可能距離を特定し、前記積載量情報に基づいて積載量係数を特定し、特定した基準積載量での前記走行可能距離に特定した前記積載量係数を乗算することにより、前記積載量情報に対応する重量を積載した状態での前記電気自動車の走行可能距離を算出することを特徴とする請求項21に記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記積載量情報は、積載の有無を示す情報であり、
前記走行距離特定部は、積載の有無に応じて前記積載量係数を変更することを特徴とする請求項22に記載の情報処理装置。
【請求項24】
前記積載量情報は、積載量の値であり、
前記走行距離特定部は、積載量の値に応じて前記積載量係数を変更することを特徴とする請求項22に記載の情報処理装置。
【請求項25】
提示情報生成部は、前記走行距離特定部が算出した走行可能距離が所定の距離以下となった場合に、警告情報を生成することを特徴とする請求項17から19のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項26】
前記提示情報生成部は、前記積載量推定部が算出する積載量に所定の閾値以上の変化があったことを条件に、最新の積載量を踏まえた提示情報を生成することを特徴とする請求項17から19のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項27】
コンピュータが実行する、
電気自動車の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得するステップと、
前記センサデータに基づき前記電気自動車の積載量に対応する積載量情報を求めるステップと、
記憶部に記憶されている所定の基準積載量での前記電気自動車の電費情報と、前記電気自動車が有する電池の充電量と、前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出するステップと、
算出した前記走行可能距離に基づく提示情報を生成するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項28】
コンピュータを、
電気自動車の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する取得部、
前記センサデータに基づき前記電気自動車の積載量に対応する積載量情報を求める積載量推定部と、
記憶部に記憶されている所定の基準積載量での前記電気自動車の電費情報と、前記電気自動車が有する電池の充電量と、前記積載量推定部が求めた前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出する走行距離特定部、及び
前記走行距離特定部が算出した前記走行可能距離に基づく提示情報を生成する提示情報生成部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリン車から電気自動車に乗り換えるユーザが増えつつある。特許文献1には、カタログ等に記載されている車両の性能や装備等の情報(以下、「カタログ情報」という。)を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、カタログ情報を参照することにより、乗り換えを検討している電気自動車の性能を把握することができる。しかしながら、電気自動車の性能においては、ユーザの車両の用途に応じて変動し得る。そのため、ユーザがカタログ情報をもとに電気自動車を選んでしまうと、上記用途において必要な性能を満たさない電気自動車が選択されてしまうリスクが高かった。諸性能の中でも、最大走行可能距離や電費は、車両の用途、バッテリー等の劣化の程度、車両の積載量等に依存するため性能を正確に把握することは容易ではない。また、車両の乗り換えを検討する場面ではなく、既に電気自動車を使用している状況においても、使用中の電気自動車の走行可能距離(航続距離)や電費を正確に把握することは容易ではない。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、電気自動車の性能の算出精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、所定の期間においてユーザが管理している管理車両が走行した位置履歴を示す走行データ及び管理車両の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する取得部と、電気自動車ごとに前記電気自動車の電費情報及びバッテリー容量を記憶し、前記電気自動車の用途ごとに前記電気自動車が前記電気自動車の用途で走行した場合における電費を予測するための予測パラメータを記憶する記憶部と、前記ユーザに提示する候補の電気自動車である候補車両の前記電費情報と、前記管理車両の用途に対応する前記電気自動車の前記予測パラメータとに基づいて、前記候補車両が所定の基準積載量で前記位置履歴を走行した場合に想定される想定電費を算出する第1算出部と、前記走行データに基づいて、前記候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出する第2算出部と、前記センサデータに基づいて前記管理車両の走行中における積載量に対応する想定積載量情報を求める第3算出部と、前記第1算出部が算出した前記想定電費と、前記候補車両に対応する前記バッテリー容量と、前記第3算出部が求めた想定積載量情報とに基づいて、想定積載量を積載した状態での最大充電時における走行可能距離を算出する第4算出部と、前記走行基準距離と前記走行可能距離とに基づく提示情報を、表示装置に表示させる表示処理部と、を有する。
【0007】
前記取得部は、前記センサデータとして上下方向の加速度又はヨー・レートのデータを取得し、前記第3算出部は、当該センサデータについて周波数解析を行って固有振動数を求め、当該固有振動数の変化に基づいて前記想定積載量を算出するとよい。
【0008】
あるいは、前記取得部は、前記センサデータとして走行時の進行速度と上下方向の加速度とが関連付けられたデータを取得し、前記第3算出部は、走行時の進行速度から求めた加速度が所定の値のときの上下方向の加速度の微分値に基づいて前記想定積載量を算出してもよい。
【0009】
前記第4算出部は、前記想定電費と、前記バッテリー容量とに基づいて、基準積載量での最大充電時における走行可能距離を特定し、前記想定積載量情報に基づいて積載量係数を特定し、特定した基準積載量での最大充電時における走行可能距離に特定した前記積載量係数を乗算することにより、想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での最大充電時における走行可能距離を算出するとよい。
【0010】
前記想定積載量情報は、例えば積載の有無を示す情報とするとよく、この場合、前記第4算出部は、積載の有無に応じて前記積載量係数を変更するとよい。あるいは、前記想定積載量情報は、積載量の値としてもよく、この場合、前記第4算出部は、積載量の値に応じて前記積載量係数を変更するとよい。
【0011】
前記記憶部は、さらに前記電気自動車の車種ごとに定められた前記予測パラメータを記憶してもよいし、前記第1算出部は、さらに前記候補車両の車種に対応する前記予測パラメータに基づいて、前記想定電費を算出してもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、前記走行データに基づいて前記管理車両の用途を特定する特定部をさらに有してもよいし、前記第1算出部は、前記特定部が特定した前記管理車両の用途に対応する前記電気自動車の前記予測パラメータに基づいて、前記想定電費を算出してもよい。
【0013】
前記第2算出部は、複数の前記候補車両それぞれの基準積載量での前記電費情報と、前記複数の候補車両それぞれに対応する前記バッテリー容量と、前記第3算出部が求めた想定積載量情報とに基づいて、前記複数の候補車両それぞれの最大充電時における走行可能距離を算出してもよいし、前記表示処理部は、前記複数の候補車両のうち、前記候補車両の走行可能距離が前記走行基準距離以上である前記候補車両を、前記提示情報として表示させてもよい。
【0014】
前記第4算出部は、さらに前記候補車両に搭載された電池の劣化度合いに基づいて、前記候補車両の最大充電時における走行可能距離を算出してもよい。
【0015】
前記記憶部は、前記候補車両の状態及び前記候補車両の価格を含む候補車両情報をさらに記憶してもよいし、前記表示処理部は、前記候補車両に対応する前記候補車両情報を、前記提示情報として表示させてもよい。
【0016】
前記表示処理部は、前記管理車両が消費するエネルギーに基づくランニングコストと、前記候補車両が消費する電力に基づくランニングコストとを比較した比較結果を、前提示情報として表示させてもよい。
【0017】
前記表示処理部は、前記管理車両が消費するエネルギーを生産することに応じて発生するCO2と、前記候補車両が消費する電力を生産することに応じて発生するCO2とを比
較した比較結果を、前記提示情報として表示させてもよい。
【0018】
前記情報処理装置は、複数の電気自動車の中から、前記管理車両の少なくとも一部の仕様を満たす前記電気自動車を、前記候補車両として選択する選択部をさらに有してもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、コンピュータが実行する、所定の期間においてユーザが管理している管理車両が走行した位置履歴を示す走行データ及び管理車両の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得するステップと、記憶部に電気自動車ごとに記憶されている前記電気自動車の電費情報であって前記ユーザに提示する候補の電気自動車である候補車両の前記電費情報と、前記記憶部に前記電気自動車の用途ごとに記憶されている前記電気自動車が前記電気自動車の用途で走行した場合における電費を予測するための予測パラメータのうちの前記管理車両の用途に対応する前記電気自動車の前記予測パラメータとに基づいて、前記候補車両が所定の基準積載量で前記位置履歴を走行した場合に想定される想定電費を算出するステップと、前記走行データに基づいて、前記候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出するステップと、前記センサデータに基づいて前記管理車両の走行中における積載量に対応する想定積載量情報を求めるステップと、算出した前記想定電費と、前記記憶部に前記電気自動車ごとに記憶されているバッテリー容量であって前記候補車両に対応する前記バッテリー容量と、前記想定積載量情報とに基づいて、最大充電時における走行可能距離を算出するステップと、前記走行基準距離と前記走行可能距離とに基づく提示情報を、表示装置に表示させるステップと、を有する。
【0020】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータを、所定の期間においてユーザが管理している管理車両が走行した位置履歴を示す走行データ及び管理車両の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する取得部、記憶部に電気自動車ごとに記憶されている前記電気自動車の電費情報であって前記ユーザに提示する候補の電気自動車である候補車両の前記電費情報と、前記記憶部に前記電気自動車の用途ごとに記憶されている前記電気自動車が前記電気自動車の用途で走行した場合における電費を予測するための予測パラメータのうちの前記管理車両の用途に対応する前記電気自動車の前記予測パラメータとに基づいて、前記候補車両が所定の基準積載量で前記位置履歴を走行した場合に想定される想定電費を算出する第1算出部、前記走行データに基づいて、前記候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出する第2算出部、前記取得部が取得したセンサデータに基づいて前記管理車両の走行中における積載量に対応する想定積載量情報を求める第3算出部、前記第1算出部が算出した前記想定電費と、前記記憶部に前記電気自動車ごとに記憶されているバッテリー容量であって前記候補車両に対応する前記バッテリー容量と、前記第3算出部が求めた前記想定積載量情報とに基づいて、最大充電時における走行可能距離を算出する第4算出部、及び前記走行基準距離と前記走行可能距離とに基づく提示情報を、表示装置に表示させる表示処理部、として機能させる。
【0021】
本発明の第4の態様の情報処理装置は、電気自動車の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する取得部と、前記センサデータに基づき前記電気自動車の積載量に対応する積載量情報を求める積載量推定部と、所定の基準積載量での前記電気自動車の電費情報を記憶する記憶部と、前記電費情報と、前記電気自動車が有する電池の充電量と、前記積載量推定部が求めた前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出する走行距離特定部と、前記走行距離特定部が算出した前記走行可能距離に基づく提示情報を生成する提示情報生成部と、を有する。
【0022】
前記取得部は、前記電気自動車が有する電池の現在の充電量を取得し、前記走行距離特定部は、前記電費情報と、前記取得した現在の電池の充電量と、前記積載量推定部が求めた前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出するとよい。
【0023】
前記走行距離特定部は、前記電費情報と、前記電気自動車が有する電池の最大充電量と、前記積載量推定部が求めた前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出するとよい。
【0024】
本発明では、前記取得部は、前記センサデータとして上下方向の加速度又はヨー・レートのデータを取得し、前記積載量推定部は、当該センサデータについて周波数解析を行って固有振動数を求め、当該固有振動数の変化に基づいて前記積載量情報を求めるとよい。
【0025】
あるいは、前記取得部は、前記センサデータとして走行時の進行速度と上下方向の加速度とが関連付けられたデータを取得し、前積載量推定部は、走行時の進行速度から求めた加速度が所定の値のときの上下方向の加速度の微分値に基づいて前記積載量情報を求めてもよい。
【0026】
前記走行距離特定部は、前記電費情報と、前記電気自動車が有する電池の充電量とに基づいて、基準積載量での走行可能距離を特定し、前記積載量情報に基づいて積載量係数を特定し、特定した基準積載量での前記走行可能距離に特定した前記積載量係数を乗算することにより、前記積載量情報に対応する重量を積載した状態での前記電気自動車の走行可能距離を算出するとよい。
【0027】
前記積載量情報は、積載の有無を示す情報とするとよく、この場合、前記走行距離特定部は、積載の有無に応じて前記積載量係数を変更するとよい。あるいは、前記積載量情報は、積載量の値としてもよく、この場合、前記走行距離特定部は、積載量の値に応じて前記積載量係数を変更するとよい。
【0028】
提示情報生成部は、前記走行距離特定部が算出した走行可能距離が所定の距離以下となった場合に、警告情報を生成するとよい。
【0029】
また、前記提示情報生成部は、前記積載量推定部が算出する積載量に所定の閾値以上の変化があったことを条件に、最新の積載量を踏まえた提示情報を生成してもよい。
【0030】
本発明の第5の態様の情報処理方法は、コンピュータが実行する、電気自動車の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得するステップと、前記センサデータに基づき前記電気自動車の積載量に対応する積載量情報を求めるステップと、記憶部に記憶されている所定の基準積載量での前記電気自動車の電費情報と、前記電気自動車が有する電池の充電量と、前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出するステップと、算出した前記走行可能距離に基づく提示情報を生成するステップと、を有する。
【0031】
本発明の第6の態様のプログラムは、コンピュータを、電気自動車の走行中における加速度又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する取得部、前記センサデータに基づき前記電気自動車の積載量に対応する積載量情報を求める積載量推定部と、記憶部に記憶されている所定の基準積載量での前記電気自動車の電費情報と、前記電気自動車が有する電池の充電量と、前記積載量推定部が求めた前記積載量情報とに基づいて、前記電気自動車の走行可能距離を算出する走行距離特定部、及び前記走行距離特定部が算出した前記走行可能距離に基づく提示情報を生成する提示情報生成部、として機能させる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、一例として、ユーザの電気自動車の用途において必要な性能を満たさない電気自動車が選択されてしまうリスクを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第1実施形態における情報処理システムの概要を説明するための図である。
【
図2】情報端末が第1距離画像及び第2距離画像を表示する画面の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態における情報処理装置の構成を示す図である。
【
図6】車種と用途がユーザにより選択された後に第1距離画像及び第2距離画像が表示された画面の一例を示す図である。
【
図7】第1実施形態の情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【
図9】ユーザが使用条件を入力するための画面の一例を示す図である。
【
図10】選択結果を表示する画面の一例を示す図である。
【
図11】第3実施形態における情報処理システムの概要を説明するための図である。
【
図12】第3実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【
図13】パラメータ管理データベースの構成の一例を示す図である。
【
図14】提示情報を表示する画面の一例を示す図である。
【
図15】第3実施形態における情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第4実施形態における情報処理システムの概要を説明するための図である。
【
図17】第4実施形態における情報処理システムの構成をより詳細に示す図である。
【
図18】第4実施形態の情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施形態>
[第1実施形態における情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、電池により走行する電気自動車に関する情報をユーザUに提供するためのシステムである。情報処理システムSは、情報処理装置1と、情報端末2とを備える。情報処理装置1と情報端末2とは、インターネット又はイントラネット等のネットワークを介してデータを送受信可能である。情報端末2は、情報を表示する機能を有する任意の表示装置であってよく、例えばスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。
【0035】
情報処理装置1は、情報端末2に対して、電気自動車の使用希望者であるユーザUが使用する候補になっている電気自動車の航続距離(例えば最大走行可能距離)を示す距離画像を表示させる。最大走行可能距離は、最大量まで充電した状態の電池により走行できる距離である。電池は、最大量まで電池を充電した際に出力できる電力量が、時間の経過又は電気自動車の累積走行距離に伴って変化する。したがって、電池により走行する電気自動車の最大走行可能距離は、時間の経過、累積走行距離(いわゆる充放電回数と相関性を有する)、又は走行地域の環境に応じて異なる値になる。また、電気自動車の最大走行可能距離は積載量によっても変化する。
【0036】
情報処理装置1が情報端末2に表示させる最大走行可能距離が、新しい電池を最大量まで充電した状態で、基準積載量(例えば積載量0kg、つまり空荷の状態)で電気自動車が走行可能な距離だけであるとすると、ユーザUは、当該最大走行可能距離に基づいて、候補になっている電気自動車の最大走行可能距離で足りるか否かを判断するしかない。時間の経過又は累積走行距離の増加に伴って実際の最大走行可能距離が減少してしまっている(すなわち性能劣化が生じている)場合や、ユーザUが基準積載量よりも重い積載量で電気自動車を使用する場合には、候補になっている電気自動車の最大走行可能距離で足りるとユーザUが判断したとしても、ユーザUが1回の充電で走行しなければならない距離よりも実際の最大走行可能距離が短いという場合が生じ得る。
【0037】
一例として、ユーザUが1日の業務で150kmを走行するとする。そして、電気自動車が新しい状態(すなわち性能劣化していない新しい電池を使用する状態)、かつ基準積載量における最大走行可能距離が160kmである場合、ユーザUが電気自動車を使用する当初は、ユーザUが1日の業務の開始前に電気自動車を充電しておけば、途中で充電することなく1日の業務を遂行することができる。ところが、6年後における最大走行可能距離が120kmになってしまうとすると、ユーザUが1日の業務の開始前に電気自動車を充電しておいたとしても、1日の業務の途中で電気自動車に充電をしなければならないという問題が生じてしまう。
【0038】
さらに、ユーザUが基準積載量よりも重い積載量で電気自動車を使用する場合には、電気自動車が新しい状態であっても、実使用上の最大走行可能距離が150kmよりも短くなってしまう状況が生じ得る。
【0039】
そこで、情報処理装置1は、電気自動車に新しい電池が搭載されてからの経過日が異なる複数の日における複数の最大走行可能距離を示す画像を情報端末2に表示させる。そして、このとき情報端末2に表示させる複数の最大走行可能距離は、電気自動車の使用時に想定される積載量を加味したものとされる。本明細書において、複数の日を第1基準日及び第2基準日という。第1基準日は、例えば、電気自動車が出荷された直後の日であるが、ユーザUが電気自動車の使用を開始する予定の日であってもよい。第2基準日は、例えば第1基準日から所定の年数が経過した後の日である。第1基準日、第2基準日、又は第1基準日と第2基準日との間の期間の長さは、ユーザUが情報端末2を介して設定してもよい。ユーザUは、第1基準日、第2基準日、又は第1基準日と第2基準日との間の期間の長さの他、電気自動車の種別(車種)又は用途を含む使用条件を設定してもよい。また以下の説明では基準積載量を0kg(つまり空荷の状態)として説明する。
【0040】
本明細書において、第1基準日における最大走行可能距離を第1最大走行距離といい、第2基準日における最大走行可能距離を第2最大走行距離という場合がある。また、第1最大走行距離に対応する画像を第1距離画像といい、第2最大走行距離に対応する画像を第2距離画像という場合がある。
【0041】
図2は、情報端末2が第1距離画像及び第2距離画像を表示する画面の一例を示す図である。
図2の左上の領域R1には、第1距離画像及び第2距離画像を表示する対象とする車種を選択するための画像が表示されている。領域R2には、ユーザUが電気自動車を使用する用途、及び想定積載量情報を選択するための文字が表示されている。
図2に示す例では、電気自動車を使用する部署名が用途として表示されているが、用途は部署名に限らず、「長距離輸送」、「荷物の配達」といったように業務の内容を直接的に示す文字が表示されてもよい。
【0042】
領域R3には、月別の最大走行可能距離が示されている。画像G1は第1最大走行距離を示しており、画像G2は第2最大走行距離を示している。画像G1は第1距離画像の一例であり、画像G2は第2距離画像の一例である。画像G3は、ユーザUの用途で必要な走行距離を示している。ユーザUの用途で必要な走行距離は、例えば、用途で必要な距離に加えて、使用時におけるバッファとして所定の値を加えて算出された距離である。電池及び電気自動車の特性は温度によって変化するので、第1最大走行距離及び第2最大走行距離は月によって異なる値になっている。ユーザUは、領域R3に表示された画像を見ることで、最大走行可能距離が最も少ない月であっても、最大走行可能距離がユーザUの用途で必要な走行距離よりも大きいか否かを確認することができる。
【0043】
領域R4には、地図に重ねて、ユーザUが電気自動車を使用する際の出発地点である基準位置(
図2においては横浜)を起点とする第1距離画像及び第2距離画像が示されている。領域R4に示す画像G4(一点鎖線)は、第1距離画像であり、画像G5(破線)は第2距離画像である。横浜から第1距離画像が示す位置までの距離が、横浜から第2距離画像が示す位置までの距離よりも大きいことが確認できる。
図2においては、道路に沿った距離、道路の勾配及び道路の渋滞度合いなどを考慮して算出された第1最大走行距離及び第2最大走行距離に対応する第1距離画像及び第2距離画像が表示されている。第1距離画像及び第2距離画像は、出発地点を中心とする同心円により、出発地点から第1最大走行距離及び第2最大走行距離に対応する概略の位置が表されてもよい。
【0044】
第1基準日から第2基準日までの間の期間内において想定される最大走行距離に対応する範囲が、所定の模様で塗りつぶされることにより第1距離画像及び第2距離画像が示されてもよい。この場合、
図2の領域R4に示す画像G4と画像G5との間の領域が塗りつぶされた状態になり、当該領域における基準位置から最も遠い側の外縁が第1距離画像に相当し、当該領域における基準位置に最も近い側の外縁が第2距離画像に相当する。
【0045】
領域R4には、第1距離画像及び第2距離画像に重ねて地名も表示されている。ユーザUは、第1距離画像、第2距離画像、及び重ねて表示された地名などを見ることにより、ユーザUの業務において、
図2に距離画像が表示された電気自動車を使用できるかどうかを判断することができる。
【0046】
[第1実施形態における情報処理装置1の構成]
図3は、情報処理装置1の構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。制御部13は、基準データ取得部131と、入力データ取得部132と、走行距離特定部133と、表示処理部134と、を有する。コンピュータが、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、情報処理装置1の機能を実現してもよい。
【0047】
通信部11は、ネットワークを介して情報端末2との間でデータを送受信するための通信インターフェースを含む。通信部11は、情報端末2から受信したデータを基準データ取得部131、入力データ取得部132又は走行距離特定部133に入力する。また、通信部11は、表示処理部134から入力されたデータを情報端末2へと送信する。
【0048】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を含む。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、制御部13が情報端末2に第1距離画像及び第2距離画像を表示させるために用いる各種のデータを記憶する。記憶部12は、例えば第1基準日からの経過時間又は第1基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示す性能データを記憶する。
【0049】
図4は、性能データの一例を示す図である。
図4に示すグラフの横軸は、電気自動車の使用が開始される時点からの経過時間を示す。縦軸は、積載量0kgかつ電池を最大量まで充電した満充電状態における最大走行可能距離を示す。
図4に示すように、時間の経過に伴って最大走行可能距離が低下する。
図4におけるT1は第1基準日に対応しており、T2は第2基準日に対応している。第2基準日における第2最大走行距離が第1基準日における第1最大走行距離よりも短いことがわかる。
【0050】
図4(a)及び
図4(b)は、それぞれ異なる第1基準日T1の時点における電池の性能(例えば電池容量)が異なる場合を示している。電池容量は、電池の性能劣化によって変化する最大充電量である。
図4(a)は、第1基準日T1の時点での最大走行可能距離がL1であり、第2基準日T2の時点での最大走行可能距離がL2であることを示している。
【0051】
図4(b)は、
図4(a)におけるT1’の時点が第1基準日になっている場合の性能データを示している。
図4(b)においては、第1基準日T1の時点での最大走行可能距離がL1’であり、経過時間がT2の時点での最大走行可能距離がL2’であることを示している。
図4(b)におけるT1は、
図4(a)のT1’の時点に対応しており、L1’はL1よりも小さく、L2’はL2よりも小さい。
【0052】
性能データは、例えば、製造からの日数(保存劣化度)、新車か中古車か(保存劣化度及び充放電サイクル劣化度)、累積走行距離(保存劣化度及び充放電サイクル劣化度)、その他の要因(保存劣化度、充放電サイクル劣化度、充放電パターン)等に基づいて算出されたデータである。なお、充放電パターンは、例えば、運転の方法や走行する場所の地形により異なる。
【0053】
性能データは、電気自動車に搭載された電池の種別、電気自動車が使用される環境、又は電気自動車の用途によって異なる。そこで、記憶部12は、電気自動車に搭載された電池の性能に関連付けられた複数の性能データを記憶してもよい。また、記憶部12は、温度に関連付けて複数の性能データを記憶してもよく、用途に関連付けて複数の性能データを記憶してもよい。また、記憶部12は、電気自動車が製造されてからの経過時間又は累積走行距離に関連付けて複数の性能データを記憶してもよい。さらには、性能データは、経過時間から算出される性能劣化による充電容量の変化であってもよいし、経過時間に加えて累積走行距離(サイクル数)に基づいて算出された性能劣化による充電容量の変化であってもよい。さらには、当該車両が走行中に取得した走行データ(使用状況・運転状況等の履歴情報)に基づいてさらに精緻に算出されるものであってもよい。
【0054】
以下、
図3を参照しながら、制御部13の各部の構成及び動作を説明する。
基準データ取得部131は、電気自動車に搭載された電池の性能を示す処理基準データを取得する。基準データ取得部131は、少なくとも第1基準日における電池の性能を示す処理基準データを取得する。基準データ取得部131は、電気自動車の車種又は電池の種別に関連付けて処理基準データを取得してもよい。
【0055】
処理基準データは、電池の性能との相関性がある任意のデータを含んでよく、例えば、電気自動車から取得する実測データ、電気自動車の製造日を示すデータ、電気自動車の走行距離を示すデータ、又は電気自動車が新車か中古車かを示すデータの少なくともいずれかを含む。基準データ取得部131は、予め記憶部12に記憶された処理基準データを取得してもよく、電気自動車に関するデータを記憶している外部装置から処理基準データを取得してもよい。基準データ取得部131は、取得した処理基準データを走行距離特定部133に通知する。
【0056】
入力データ取得部132は、情報端末2において入力された各種のデータを取得する。入力データ取得部132は、例えば、情報端末2において複数の車種からユーザUが選択した車種を示す車種データを取得する。また、入力データ取得部132は、ユーザUによる電気自動車の用途を示す用途データを情報端末2から取得してもよい。入力データ取得部132は、取得したデータを走行距離特定部133に通知する。入力データ取得部132は、情報端末2において入力される想定積載量情報を取得する。
【0057】
入力データ取得部132は、情報端末2において入力された、電気自動車が走行を開始する基準位置を示す位置データを取得する位置データ取得部として機能してもよい。位置データは、基準位置を示す住所や郵便番号、基準位置の代表地点を示す地名であってもよく、基準位置の緯度・経度を示すデータであってもよい。
【0058】
入力データ取得部132は、第1基準日から第2基準日までの期間を示す期間データを取得する期間データ取得部として機能してもよい。期間データは、例えば、ユーザUが電気自動車の使用を開始する第1基準日から、電気自動車の使用を終了する予定の第2基準日までの期間である。
図2に示した例において、当該期間は6年に設定されている。
【0059】
走行距離特定部133は、各種のデータに基づいて、ユーザUが使用可能な電気自動車の積載量0kgでの最大走行可能距離を特定する。そして、走行距離特定部133は、例えば、記憶部12に記憶された性能データを参照することにより、第1基準日における電気自動車の最大充電時の積載量0kgでの最大走行可能距離として第1基準最大走行距離を特定する。具体的には、走行距離特定部133は、基準データ取得部131が取得した基準処理データが示す電池の状態に対応する性能に対応する性能データを参照し、性能データが示す第1基準日に対応する積載量0kgでの最大走行距離を第1基準最大走行距離として特定する。
【0060】
一例として、走行距離特定部133は、電気自動車が製造されてから1年が経過していることを基準処理データが示している場合、電気自動車が製造されてからの経過時間が1年である場合に対応する性能データ(例えば
図4(b)に示すような性能データ)を参照する。走行距離特定部133は、電気自動車の累積走行距離が1万kmであることを基準処理データが示している場合、累積走行距離1万kmに対応する性能データを参照してもよい。
【0061】
また、走行距離特定部133は、第1基準日から第2基準日までの経過時間又は第1基準日から第2基準日までの間における累積走行距離に基づいて、第2基準日における電気自動車の最大充電時の積載量0kgでの最大走行可能距離として第2基準最大走行距離を特定する。走行距離特定部133は、例えば、期間データが示す期間に基づいて第2基準最大走行距離を特定する。具体的には、走行距離特定部133は、第1基準最大走行距離の特定に用いた性能データにおいて、第1基準日から帰還データが示す期間が経過した後の第2基準日に対応する最大走行距離を第2基準最大走行距離として特定する。
【0062】
基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能に対応する性能データが
図4(a)に示したデータである場合、走行距離特定部133は、第1基準日T1における最大走行可能距離がL1であることから、第1基準最大走行距離がL1であると特定する。そして、走行距離特定部133は、期間データが示す期間ΔTだけ第1基準日T1から経過した第2基準日T2を特定し、第2基準日T2における最大走行可能距離がL2であることから、第2基準最大走行距離がL2であると特定する。
【0063】
走行距離特定部133は、基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能に関連付けられた性能データを参照することにより、第1基準最大走行距離と第2基準最大走行距離とを特定してもよい。一例として、基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能に対応する性能データが
図4(a)に示したデータである場合、走行距離特定部133は、第1基準日における第1基準最大走行距離がL1であると特定し、第1基準日から期間ΔTが経過した後の第2基準日における第2基準最大走行距離がL2であると特定する。
【0064】
一方、基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能に対応する性能データが
図4(b)に示したデータである場合、走行距離特定部133は、第1基準日における第1基準最大走行距離がL1’であると特定し、第2基準日における第2基準最大走行距離がL2’であると特定する。走行距離特定部133がこのように動作することで、第1基準日における電池の性能が考慮されて第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離が特定されるので、走行距離特定部133が第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を特定する精度が向上する。
【0065】
ところで、電気自動車が使用される環境によって電池の性能は異なる。そこで、走行距離特定部133は、位置データが示す基準位置における基準気温に対応する温度に関連付けられた性能データを参照することにより、基準位置を起点とする第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を特定してもよい。走行距離特定部133は、性能データが示す値を所定の演算式に入れて第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を算出することにより、第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を特定してもよい。走行距離特定部133がこのように動作することで、情報処理装置1が第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を特定する対象となる電気自動車が、気候が異なる複数の地域で使用される場合に、地域によらず、走行距離特定部133が特定した第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離と実際に電気自動車が走行可能な距離との差を小さくすることができる。
【0066】
また、走行距離特定部133は、電気自動車が使用されるエリアの時期ごとの平均気温に対応する性能データを参照することにより、複数の時期それぞれにおける第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を特定してもよい。
【0067】
[用途別の最大走行距離]
ところで、自動車は、用途によって最大走行可能距離が異なる。例えば、発進と停止の頻度が低い幹線道路を走行する用途における最大走行可能距離は、発進と停止の頻度が多い用途における最大走行可能距離よりも大きい。そこで、情報処理装置1は、ユーザUから電気自動車の用途の入力を受け付けて、入力された用途ごとに異なる第1最大走行距離及び第2最大走行距離を求める。
【0068】
情報処理装置1は、用途ごとに第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を特定するために、用途に関連付けられた実効係数を用いる。記憶部12は、電気自動車の複数の用途それぞれに関連付けて、基準用途における走行距離を複数の用途それぞれにおける実走行距離に変換する係数を示す実効係数を記憶する。実効係数は、基準となる用途におけるエネルギー効率に対する、各用途におけるエネルギー効率の比を示す値である。基準となる用途は、例えば、発進と停止の頻度が低く、エネルギー効率が相対的に高い用途である。
【0069】
図5は、用途ごとの実効係数の一例を示す図である。実効係数は、ガソリンによって走行する自動車で走行した場合の燃費(燃費実績)に基づいて算出されてもよく、満充電した状態の電気自動車の走行可能距離に基づいて算出されてもよいが、
図5に示す表においては、用途と燃費と実効係数とが関連付けて示されている。
図5に示す例においては、総務部門における用途の実効係数が最も高く、発進と停止の頻度が高い配達部門の用途の実効係数が最も低い。なお、電気自動車の走行可能距離は、ガソリン車の実燃費を算出し、算出した実燃費を、ガソリン車の実燃費と電気自動車の走行可能距離とを変換するための所定の係数を乗算、除算、加算又は減算することにより算出されてもよい。
【0070】
表示処理部134は、複数の用途から一の用途を選択するための画面を情報端末2に表示させ、入力データ取得部132がユーザUによる用途の入力又は選択を受け付ける。走行距離特定部133は、選択された用途に対応する実効係数によって基準用途における第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を変換することにより、選択された用途における第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を算出する。
【0071】
走行距離特定部133は、例えば、用途として実効係数が0.90の「営業」が選択され、基準用途における第1基準最大走行距離が150kmであり、第2基準最大走行距離が130kmである場合、「営業」の用途における第1基準最大走行距離を150×0.90=135kmと算出し、第2基準最大走行距離を130×0.90=117kmと算出する。
【0072】
[積載量を加味した最大走行距離]
また、自動車は、積載量によって最大走行可能距離が異なる。例えば、空荷(積載量0kg)である場合の最大走行可能距離は、積載量が重い(例えば200kg等)である場合の最大走行可能距離よりも大きい。走行距離特定部133は、積載量が0kgであるときの第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離に対し、積載量の影響を加味した第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定する。
【0073】
情報処理装置1は、積載量を加味した最大走行距離を特定するために、積載量に関連付けられた積載量係数を用いる。記憶部12は、積載量に関連付けて、基準積載量での最大走行距離を各積載量での最大走行距離に変換する係数を示す積載量係数を記憶する。本実施形態では、積載量係数は、基準積載量となる空荷(積載量0kg)でのエネルギー効率に対する、各積載量におけるエネルギー効率の比(悪化率)を示す値である。例えば、記憶部12は、積載量の範囲の分類に関連付けて、各分類に応じた積載量係数を記憶してもよい。あるいは、記憶部12は、積載量と積載量係数との関係を示す式を記憶してもよい。
【0074】
表示処理部134は、ユーザUが電気自動車を使用する際に想定される積載量を示す想定積載量情報を入力するための画面を情報端末2に表示させ、入力データ取得部132がユーザUによる想定積載量情報の入力又は選択を受け付ける。想定積載量情報は、重量の値であってもよいし、具体的な重量の値ではなく(所定の重量以上の)積載の有無や、積載量の範囲の分類(例えば、100kg以上か否かの2区分、100kg未満、100kgから250kg、250kg以上の3区分等)といった情報であってもよい。
【0075】
走行距離特定部133は、入力された想定積載量情報に基づいて、第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離から、想定積載量情報における第1最大走行距離及び第2最大走行距離を算出する。このようにして積載量を加味して求めた第1最大走行距離及び第2最大走行距離が、表示処理部134に表示されることとなる。
【0076】
入力データ取得部132が想定積載量情報として積載量の範囲の分類又は積載物の有無の選択を受け付ける場合、走行距離特定部133は、選択した内容に応じた所定の重量(例えば、「積載物無し」を選択した場合は積載量0kg、「積載物有り」を選択した場合は積載量100kg)が積載されるものとして扱うとよい。具体的には、入力データ取得部132が受け付けた積載量の範囲の分類又は積載物の有無に対応する積載量係数を、記憶部12を参照して特定し、当該積載量係数を第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離に乗じることにより第1最大走行距離及び第2最大走行距離を求めるとよい。
【0077】
入力データ取得部132が想定積載量情報として想定積載量の値を受け付ける場合であって、記憶部12が積載量の値と積載量係数との関係を示す式を記憶する場合には、走行距離特定部133は、入力された想定積載量を記憶部12が記憶する式に代入することにより想定積載量情報に対応する積載量係数求め、当該積載量係数を第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離に乗じることにより第1最大走行距離及び第2最大走行距離を求めるとよい。
【0078】
このように走行距離特定部133が最大走行距離を求める際に想定積載量を加味することにより、実際の使用する状況での最大走行距離をより高い精度で求めることができる。
【0079】
以上で説明した第1最大走行距離及び第2最大走行距離について、走行距離特定部133は、例えば
図2の領域R3に示すように、1ヵ月ごとに第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定する。走行距離特定部133は、複数の時期に関連付けて第1最大走行距離及び第2最大走行距離を表示処理部134に通知する。
【0080】
表示処理部134は、走行距離特定部133が特定した第1最大走行距離に対応する第1距離画像と第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に表示装置(例えば情報端末2)に表示させる。表示処理部134は、例えば、複数の時期それぞれに関連付けて第1距離画像及び第2距離画像を表示装置に表示させる。この場合の第1距離画像は、例えば
図2の領域R3に示す画像G1であり、第2距離画像は、例えば
図2の領域R3に示す画像G2である。表示処理部134は、第1距離画像及び第2距離画像のうち、ユーザUにより選択された一方のみを情報端末2に表示させてもよい。
【0081】
表示処理部134は、
図2の領域R4に示すように、入力データ取得部132が取得した位置データが示す基準位置(例えば「横浜」)から第1最大走行距離の位置を示す第1線画像G4と、基準位置から第2最大走行距離の位置を示す第2線画像G5と、基準位置を示す画像と、を地図画像に重ねて情報端末2に表示させてもよい。表示処理部134がこのような画像を情報端末2に表示させることで、ユーザUは、電気自動車の使用を開始してから所定の年数が経過した後に、基準位置を起点とする所望の用途に電気自動車を使用し続けられるかを判断しやすくなる。
【0082】
表示処理部134は、基準位置の地名を示す画像を第1態様で地図画像に重ねて表示させ、第1最大走行距離に対応する位置の地名を示す画像又は第2最大走行距離に対応する位置の地名を示す画像の少なくともいずれかを第1態様と異なる第2態様で地図画像に重ねて表示させてもよい。
【0083】
図2の領域R4に示す例の場合、基準位置である横浜の地名は、太線の枠に囲まれており、第1最大走行距離に対応する位置の熱海、相模原、桶川、守谷、長南は破線の枠に囲まれており、第2最大走行距離に対応する位置の小田原、八王子、川越、柏、市原は細い実線の枠に囲まれている。表示処理部134は、基準位置を起点として第1最大走行距離及び第2最大走行距離に相当する位置の複数の地名のうち、予めユーザUにより設定されている地名を示す画像を表示してもよい。表示処理部134が、このように第1最大走行距離に対応する位置の地名と第2最大走行距離に対応する位置の地名とを区別できるように表示することで、ユーザUは、電気自動車で走行可能な範囲を把握しやすくなる。
【0084】
なお、表示処理部134は、第1距離画像の色と第1最大走行距離に対応する地名の色とを同系の第1色にし、第2距離画像の色と第2最大走行距離に対応する地名の色とを同系の第2色にしてもよい。表示処理部134がこのように距離画像と地名とを情報端末2に表示させることで、ユーザUが、どの地点が第1最大走行距離に対応し、どの地点が第2最大走行距離に対応するかを把握しやすくなる。
【0085】
表示処理部134は、走行距離特定部133が基準位置における基準気温に対応する温度に関連付けられた性能データを参照することにより特定した、基準位置を起点とする第1最大走行距離及び第2最大走行距離を情報端末2に表示させてもよい。基準気温は、例えば基準位置における年間平均気温、年間最高気温又は年間最低気温である。表示処理部134が、このように基準位置における気温に基づいて特定された第1最大走行距離及び第2最大走行距離を情報端末2に表示させることで、いろいろな地域のユーザUが高い精度で第1最大走行距離及び第2最大走行距離を把握することができる。
【0086】
また、走行距離特定部133が、ユーザUにより入力された期間に対応する第2最大走行距離を特定する場合、表示処理部134は、入力データ取得部132が新たな期間データを取得するたびに、情報端末2に表示させる第2距離画像を変化させてもよい。表示処理部134がこのように動作することで、ユーザUは、電気自動車を使用する予定の期間を切り替えながら第2距離画像を確認することができるので、使用する予定の期間を決定したり、使用する予定の期間よりも長く電気自動車を使用した場合の状態を確認したりしやすくなる。
【0087】
表示処理部134は、ユーザUにより選択された用途と車種の組み合わせ、及び想定積載量情報に対応する第1距離画像及び第2距離画像を情報端末2に表示させてもよい。この場合、走行距離特定部133は、例えば車種に対応する性能データを参照して基準用途における第1最大走行距離及び第2最大走行距離を算出し、算出した第1最大走行距離及び第2最大走行距離を、選択された用途の実効係数により変換することにより、選択された用途と車種の組み合わせに対応する第1距離画像及び第2距離画像を算出する。
【0088】
図6は、車種、用途及び想定積載量情報がユーザUにより入力された後に第1距離画像及び第2距離画像が表示された画面の一例を示す図である。領域R3には、営業の用途で想定積載量100kgで電気自動車を使用する場合の第1基準日(現在)における第1最大走行距離が135kmであり、6年後の第2最大走行距離が117kmであることが表示されている。情報処理装置1がこのように構成されていることで、ユーザUは、自身の用途で使用可能な車種を適切に選択することが可能になる。
【0089】
[第1実施形態における情報処理装置1の処理の流れ]
図7は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、第1距離画像及び第2距離画像を情報端末2に表示させるためのアプリケーションソフトウェアが起動した時点から開始している。
【0090】
表示処理部134は、車種の選択を受け付ける画面を情報端末2に表示させ、走行距離特定部133は、入力データ取得部132を介して車種を取得する(S1)。走行距離特定部133は、選択された車種に対応する性能データが記憶部12に記憶されているか否かを判定する(S2)。走行距離特定部133は、性能データが記憶部12に記憶されていないと判定した場合(S2においてNO)、表示処理部134を介して、最大走行距離を表示できないことを示すエラー情報を情報端末2に表示させる(S3)。
【0091】
走行距離特定部133は、性能データが記憶部12に記憶されていると判定した場合(S2においてYES)、入力データ取得部132を介して用途を取得する(S4)。走行距離特定部133は、用途に対応する実効係数を特定する(S5)。続いて、走行距離特定部133は、入力データ取得部132を介して第1基準日と第2基準日との間の期間を取得する(S6)。走行距離特定部133は、性能データに基づいて、第1基準最大走行距離及び取得した期間に対応する第2基準最大走行距離を特定する。走行距離特定部133は、特定した第1最大走行距離及び第2最大走行距離を実効係数に基づいて変換することにより、ユーザUが選択した車種及び用途に対応する第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離を特定する(S7)。
【0092】
続いて、表示処理部134は、想定積載量情報の入力を受け付ける画面を情報端末2に表示させ、走行距離特定部133は、入力データ取得部132を介して想定積載量情報を取得する(S8)。走行距離特定部133は、入力された想定積載量情報に対応する積載量係数を特定する(S9)。続いて、走行距離特定部133は、ステップS7で特定した第1基準最大走行距離及び第2基準最大走行距離に、ステップS9で特定した積載量係数を乗じて、想定積載量が加味された第1最大走行距離及び第2最大走行距離を算出する(S10)。
【0093】
続いて、表示処理部134は、入力データ取得部132を介して基準位置を取得し(S11)、基準位置からの第1最大走行距離に対応する位置を示す第1距離画像及び第2最大走行距離に対応する第2距離画像を情報端末2に表示させる(S12)。情報処理装置1は、情報端末2において終了操作が行われたか否かを判定し(S13)、終了操作が行われるまでの間、S1からS12までの処理を繰り返す。なお、情報処理装置1が車種、用途、期間、基準位置を取得する順序は任意であり、これらを同時に取得してもよい。
【0094】
[第1実施形態における情報処理装置1による効果]
以上説明したように、走行距離特定部133は、記憶部12に記憶された性能データを参照することにより、第1基準日における電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離と、第2基準日における電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離と、を特定する。そして、表示処理部134は、第1最大走行距離に対応する第1距離画像と第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に情報端末2に表示させる。情報処理装置1がこのように構成されていることで、ユーザUは、電気自動車の使用を開始する時点における最大走行距離と、数年後における最大走行距離を容易に把握することができるので、この電気自動車を選択するかどうかを容易に判断することができる。また、走行距離特定部133が最大走行距離を求める際に想定積載量を加味して実際の使用する状況での最大走行距離を高い精度で求めるので、ユーザUは、電気自動車が自分の使用条件にあったものであるかをより正確に判断することができる。
【0095】
<第2実施形態>
以上の説明においては、ユーザUが使用する車種が予め決まっていたり、ユーザUが車種を選択したりするという場合が想定されていたが、電気自動車には多数の車種があるため、ユーザUが多数の車種から一つずつ車種を選択して第1最大走行距離及び第2最大走行距離を確認するには手間がかかり過ぎるという場合がある。そこで、情報処理装置1は、ユーザUから電気自動車の使用条件を取得し、取得した使用条件に合う電気自動車を選択し、選択した電気自動車をユーザUに提示してもよい。
【0096】
図8は、第2実施形態に係る情報処理装置1aの構成を示す図である。
図8に示す情報処理装置1aは、選択部135をさらに有するという点で
図3に示した情報処理装置1と異なる。また、情報処理装置1aにおける入力データ取得部132は、使用条件取得部としても機能する。
【0097】
入力データ取得部132は、電気自動車の使用を希望するユーザUから、必要走行距離及び想定積載量情報を含む電気自動車の使用条件を取得する。入力データ取得部132は取得した使用条件を選択部135に通知する。
【0098】
走行距離特定部133は、ユーザUが使用可能な複数の電気自動車の第1最大走行距離又は第2最大走行距離の少なくともいずれかを特定する。選択部135は、使用条件が示す必要走行距離及び想定積載量情報と、複数の電気自動車それぞれについての想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での第1最大走行距離又は第2最大走行距離の少なくともいずれかと、を比較することにより、複数の電気自動車のうちユーザUが使用可能な一以上の電気自動車を選択する。
【0099】
選択部135は、ユーザUが電気自動車を使用する期間を入力しない場合、必要走行距離と想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での第1最大走行距離とを比較し、必要走行距離よりも第1最大走行距離が大きい電気自動車を選択する。選択部135は、ユーザUが電気自動車を使用する期間を入力した場合、必要走行距離と、入力された期間に対応する第2基準日における想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での第2最大走行距離とを比較し、必要走行距離よりも第2最大走行距離が大きい電気自動車を選択する。なお、ユーザUが電気自動車を使用する期間を入力しない場合、選択部135は、必要走行距離よりも、所定の期間(例えば5年)が経過した後の第2最大走行距離が大きい電気自動車を選択してもよい。
【0100】
表示処理部134は、選択部135が選択した電気自動車を識別するための情報(例えば車両番号又は車種名)を、ユーザUに推奨する電気自動車として情報端末2に表示させる。表示処理部134は、電気自動車を識別するための情報とともに、第1距離画像及び第2距離画像を情報端末2に表示させてもよい。
【0101】
図9は、ユーザUが使用条件を入力するための画面の一例を示す図である。
図9における領域R5は、ユーザUが必要走行距離及び想定積載量情報を入力するための領域である。領域R6は、ユーザUが電気自動車の用途を入力するための領域である。領域R7は、ユーザUの拠点(すなわち基準位置)を入力するための領域である。ユーザUが、必要走行距離、用途、基準位置を入力した後に「検索」ボタンを押すことにより、選択部135は上述の選択処理を実行し、表示処理部134は選択結果を表示する。
【0102】
図10は、選択結果を表示する画面の一例を示す図である。
図10に示す画面は、
図2に示した画面と同等の内容を含んでいるが、領域R1に、選択部135が選択した電気自動車を識別するための情報が示されている。また、選択部135が複数の電気自動車を選択した場合、表示処理部134は領域R1に「他の車種」ボタンを表示し、ユーザUが「他の車種」ボタンを押すと、選択部135が選択した他の電気自動車に対応する第1距離画像及び第2距離画像を表示させる。
【0103】
また、領域R1には「再検索」ボタンが表示されており、ユーザUが「再検索」ボタンを押すと、表示処理部134は
図9に示す画面を再度表示する。ユーザUは、再度表示された画面において異なる条件を入力し、再度の検索を実行することができる。
【0104】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る情報処理装置1aは、使用条件が示す必要走行距離と、複数の電気自動車それぞれに対応する第1最大走行距離又は第2最大走行距離の少なくともいずれかと、を比較することにより、複数の電気自動車のうちユーザUが使用可能な一以上の電気自動車を選択する。情報処理装置1aがこのように構成されていることで、ユーザUが多数の電気自動車の第1最大走行距離又は第2最大走行距離を必要走行距離と比較することなく、ユーザUが最適な電気自動車を容易に使用することができる。
【0105】
<第3実施形態>
[電気自動車の使用条件と管理車両での積載量を導き出す]
以上の説明においては、ユーザUが電気自動車の使用条件を入力していたが、ユーザUが想定する電気自動車の使用条件と、ユーザUが管理する車両の使用の履歴によって導き出される電気自動車の使用条件とに乖離が生じる場合がある。この乖離の度合いが大きくなってしまうと、実際にはユーザUの使用条件を満たさない電気自動車が選択されてしまうリスクが高くなってしまう。そこで、第3実施形態に係る情報処理装置1bは、ユーザUが管理する車両の使用の履歴に基づいて、当該車両の使用時の積載量に関する情報及びユーザUに必要な走行距離を求め、求めた積載量を電気自動車における想定積載量とし、電気自動車が想定積載量を積載した状態で当該履歴に基づく走行をした場合における走行距離とを導き出し、導き出した走行距離に基づく情報をユーザUに提示してもよい。
【0106】
図11は、第3実施形態における情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、管理車両Vをさらに有する。管理車両Vは、ユーザUが管理する車両であり、例えばガソリン車、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)又は電気自動車である。本実施形態においては、管理車両Vがガソリン車であるとして説明する。管理車両Vは、情報処理装置1bと通信するための通信モジュールと、管理車両Vの位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)受信機とが備えられている。
【0107】
情報処理装置1bは、車両に関する情報を記憶している。車両に関する情報は、例えば、車両のメーカ又はメーカ以外の外部機関によって公開されている情報であり、少なくとも、性能値(電気自動車の電費を示す電費情報、及び電気自動車に搭載されているバッテリーの容量を示す情報)を含む。性能値は、カタログ情報(カタログ等に記載されている車両の性能・装備などの情報)によって示される車両の性能を示す値であり、例えば、車両のメーカ又はメーカ以外の外部機関によって公開されている情報である。
【0108】
また、情報処理装置1bは、電気自動車の用途ごとに当該電気自動車の用途に対応する予測パラメータを記憶している。予測パラメータは、電気自動車が所定の用途で走行した場合における電費を予測するためのパラメータである。予測パラメータは、ガソリン車が所定の用途で走行した場合における燃費を予測するためのパラメータであってもよい。予測パラメータは、例えば、1以下の正数によって表される数値である。
【0109】
以下において、情報処理システムSが走行距離に基づく情報をユーザUに提示する処理について説明する。まず、情報処理装置1bは、管理車両Vから走行データ及び管理車両Vの走行中の加速度及び/又はヨー・レートを記録したセンサデータを取得する(
図11の(1))。
【0110】
走行データは、GPS受信機を介して受信したGPS情報であって、所定の期間において管理車両Vが走行した位置履歴を示すデータであり、例えば、位置座標と、当該位置座標が測定された測定時刻とが関連付けられたデータである。所定の期間は、予め定められた期間であり、例えば、1週間、1か月、1年等である。
【0111】
なお、管理車両Vが通信モジュール及びGPS受信を有していない場合、情報処理装置1bは、管理車両Vに関連付けて管理されている情報から得られる地域情報などに基づいて走行データを生成してもよい。地域情報は、例えば、管理車両Vの運行の履歴(例えば、日ごとの走行距離を示す履歴)を管理する管理台帳のデータ、管理車両Vがメンテナンスされるときに管理車両Vの状態が記録されたメンテナンスデータ(例えば、メンテナンス時におけるオドメータが示す走行距離が記録されたデータ)、管理車両Vの利用者から管理車両Vを使用した履歴(例えば、走行したルートを示す履歴)をヒアリングしたヒアリングデータ等である。情報処理装置1bは、例えば、地域情報に含まれる1つのデータ又は複数のデータの組み合わせに基づいて、走行データを生成する。
【0112】
センサデータは、管理車両Vの走行中の加速度及び/又はヨー・レートを示すデータであり、例えば、管理車両Vの走行中における上下方向の加速度又はヨー・レートを所定のサンプリングレートで所定のデータポイント数だけ記録した時系列データである。管理車両Vが加速度及び/又はヨー・レートを検知するセンサ(例えば加速度センサ、ヨー・レートセンサ等)を有する場合には、当該センサの出力を記録したものをセンサデータとするとよい。また、管理車両Vが加速度及び/又はヨー・レートを検知するセンサを有する場合には、加速度及び/又はヨー・レートを検知するセンサを有する機器(例えば、スマートホン、携帯情報端末等)を、管理車両Vの所定位置に設置して、当該機器のセンサによって検知した加速度及び/又はヨー・レートを記録してセンサデータとするとよい。情報処理装置1bにおいて、センサデータから積載量を算出する手法については後述する。
【0113】
情報処理装置1bは、候補車両の電費情報と、管理車両Vの用途に対応する電気自動車の予測パラメータとに基づいて、想定電費を算出する(
図11の(2))。候補車両は、ユーザUに提示する候補の電気自動車である。想定電費は、候補車両が走行データによって示される位置履歴を走行した場合に想定される電費である。
【0114】
情報処理装置1bは、走行データに基づいて、候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出する(
図11の(3))。走行基準距離は、候補車両に要求される走行距離として基準となる走行距離である。
【0115】
情報処理装置1bは、算出した想定電費と、候補車両に搭載されているバッテリーの容量とに基づいて、最大充電時における基準積載量(例えば、空荷の状態;積載量0kg)での走行可能距離を算出する(
図11の(4))。情報処理装置1bは、さらに、センサデータに基づき管理車両Vの使用時における積載量を算出する(
図11の(5))。ここで算出される積載量は、候補の電気自動車でも同様に積載されると想定される想定積載量である。そして、情報処理装置1bは、算出した積載量に応じた積載量係数を基準最大での走行可能距離に乗じることで、管理車両Vの使用時と同様の積載量での候補車両の走行可能距離を算出する。そして、情報処理装置1bは、走行基準距離と走行可能距離とに基づく提示情報を情報端末2に表示させる(
図11の(6))。
【0116】
このようにすることで、情報処理システムSは、ユーザUの電気自動車の用途において必要となる性能を示す情報と、ユーザが実際に電気自動車を使用した場合における性能に近い情報とを提供することができる。これにより、ユーザUは、提示された候補車両がユーザUの電気自動車の用途において必要な性能を満たすか否かを容易に把握することができる。その結果、情報処理システムSは、ユーザUの電気自動車の用途において必要な性能を満たさない電気自動車が選択されてしまうリスクを低減することができる。
【0117】
[第3実施形態における情報処理装置1bの構成]
図12は、第3実施形態に係る情報処理装置1bの構成を示す図である。情報処理装置1bは、走行データ取得部136、センサデータ取得部137、及び積載量推定部138をさらに有するという点で
図3に示した情報処理装置1bと異なる。また、走行距離特定部133は、第1算出部、第2算出部及び第4算出部としても機能する。また、積載量推定部138は、第3算出部として機能する。
【0118】
記憶部12は、車両に関する情報を記憶している。車両に関する情報は、例えば、電気自動車の性能値(電費情報及びバッテリーの容量)を含む。記憶部12は、所定の測定方法ごとに、当該測定方法で測定された電費情報を記憶してもよい。所定の測定方法は、例えば、WLTC(Worldwide harmonized Light Vehicle Test Cycles)モード、JC08モード等である。また、記憶部12は、管理車両Vに関する情報を記憶している。管理車両Vに関する情報は、例えば、通信部11が管理車両Vと通信するための情報、管理車両Vの用途等である。
【0119】
また、記憶部12は、候補車両に関する候補車両情報を記憶している。候補車両は、ユーザに提示する候補の電気自動車である。候補車両は、新車を含んでもよいし、中古車を含んでもよい。候補車両情報は、例えば、車種、年式、電池の容量、候補車両の状態(例えば、走行距離、傷の有無、修復歴等)及び候補車両の価格等を含む。候補車両情報は、処理基準データであってもよい。
【0120】
また、記憶部12は、予測パラメータを管理するパラメータ管理データベースを記憶している。
図13は、パラメータ管理データベースの構成の一例を示す図である。
図13に示すように、パラメータ管理データベースは、車種と、用途と、予測パラメータとを関連付けて記憶している。
【0121】
パラメータ管理データベースは、
図13に示す例に限らず、様々な情報に対応する予測パラメータを記憶してもよい。例えば、パラメータ管理データベースは、所定の測定方法ごとに、当該測定方法に対応する予測パラメータを記憶してもよい。
【0122】
記憶部12は、センサデータから積載量を算出する際に用いる情報を記憶する。センサデータから積載量を算出する際に用いる情報は、例えば、管理車両Vの車重、車重割合(車両の前後の重量配分)、バネレート、管理車両Vが基準積載量のときの固有振動数、固有振動数の変化と積載量との関係を示す情報等とするとよい。なお、センサデータから積載量を算出する際に用いる情報は、車両に関する情報と共通のものが含まれてもよい。
【0123】
図12に戻り、走行データ取得部136は、所定の期間において管理車両Vが走行した位置履歴を示す走行データを取得する。走行データ取得部136は、管理車両Vから走行データを取得してもよいし、管理車両Vの走行データを記憶している不図示の外部装置から当該走行データを取得してもよい。
【0124】
走行距離特定部133は、候補車両が位置履歴を走行した場合に想定される想定電費を算出する第1算出部として機能する。候補車両は、複数の候補車両の中からランダムで選択された車両であってもよいし、複数の候補車両のうちの所定の条件を満たす車両であってもよい。所定の条件は、例えば、候補車両が管理車両Vの車種と同じ車種であること等である。具体的には、走行距離特定部133は、候補車両の電費情報と、管理車両Vの用途に対応する電気自動車の予測パラメータとに基づいて、候補車両が位置履歴を走行した場合に想定される想定電費を算出する。走行距離特定部133は、以下の第1のステップから第2のステップまでの処理を実行することにより、想定電費を算出する。
【0125】
第1に、走行距離特定部133は、走行データに基づいて、管理車両Vの用途を特定する特定部として機能する。例えば、車両の用途には、当該用途で車両が使用された場合に想定される複数の場所(例えば、市街地、郊外、高速道路等)それぞれを走行する想定走行割合が定められている。
【0126】
この場合において、まず、走行距離特定部133は、走行データに基づいて、複数の場所それぞれを管理車両Vが走行した走行割合を算出する。そして、走行距離特定部133は、複数の車両の用途の中から、算出した走行割合に相対的に近似する想定走行割合(例えば、走行割合に最も近い想定走行割合)に対応する車両の用途を特定する。なお、走行距離特定部133は、これに限らず、複数の車両の用途の中から、算出した走行割合に一致する想定走行割合の数が相対的に多い(例えば、走行割合に一致する想定走行割合の数が最も多い、又は走行割合によって示される数値から所定の閾値までの範囲に含まれる想定走行割合の数が最も多い等)車両の用途を特定してもよい。なお、走行距離特定部133は、ユーザが指定した用途を示す情報を取得することにより、管理車両Vの用途を特定してもよい。
【0127】
第2に、走行距離特定部133は、候補車両の電費情報と、特定した管理車両Vの用途に対応する電気自動車の予測パラメータとに基づいて、想定電費を算出する。走行距離特定部133は、例えば、候補車両の電費情報によって示される数値と、管理車両Vの用途に等しい電気自動車の用途に関連付けてパラメータ管理データベースに記憶されている予測パラメータによって示される数値とを乗算することにより、想定電費を算出する。
【0128】
例えば、記憶部12において、候補車両に対応するWLTCモードで測定された電費情報が記憶されている場合、走行距離特定部133は、WLTCモードで測定された電費情報と、WLTCモードに対応する予測パラメータとに基づいて、想定電費を算出する。走行距離特定部133は、例えば、記憶部12において、候補車両に対応するWLTCモードで測定された電費情報が記憶されておらず、JC08モードで測定された電費情報が記憶されている場合、JC08モードで測定された電費情報と、JC08モードに対応する予測パラメータとに基づいて、想定電費を算出する。
【0129】
ここで、想定電費は、電気自動車の車種によって異なる。そこで、走行距離特定部133は、さらに電気自動車の車種に対応する予測パラメータに基づいて、エネルギーの消費率を算出してもよい。
【0130】
具体的には、まず、走行データ取得部136は、管理車両Vの車種を示す情報をさらに取得する。走行データ取得部136は、例えば、管理車両Vに対応するカタログ情報を参照し、管理車両Vの車種を示す情報を取得する。走行データ取得部136は、管理車両Vの車種を示す情報を、情報端末2、車検証データ、ユーザが管理する車両管理データ等から取得してもよい。
【0131】
走行距離特定部133は、複数の候補車両の中から、管理車両Vの車種と同じ車種又は類似する車種の候補車両を選択する。なお、同じ車種とは同一車種の電気自動車を候補としても良く、類似する車種として、車両の高さ、車幅、長さ、車型(ボディ形状)などを類似としても良い。そして、走行距離特定部133は、選択した候補車両の電費情報と、選択した候補車両の車種及び特定した管理車両Vの用途に等しい電気自動車の用途に関連付けてパラメータ管理データベースに記憶されている予測パラメータとに基づいて、想定電費を算出する。このようにすることで、情報処理装置1bは、想定電費を算出する精度を向上させることができる。
【0132】
想定電費は、エアコンの使用有無によって異なる。そこで、走行距離特定部133は、エアコンの使用有無それぞれに対応する想定電費を算出してもよい。具体的には、走行距離特定部133は、エアコンの使用有りに対応する予測パラメータに基づいて、エアコンが使用された場合における想定電費を算出し、エアコンの使用無しに対応する予測パラメータに基づいて、エアコンが使用されなかった場合における想定電費を算出する。
【0133】
想定電費は、月ごとに変動し得る。例えば、夏季においては冷房が使用され、冬季においては暖房が使用されるため、冷暖房が使用されない時期(例えば春季や秋季等)よりも想定電費が悪化し得る。そこで、走行距離特定部133は、月ごとに異なる予測パラメータに基づいて、エネルギーの消費率を算出してもよい。例えば、パラメータ管理データベースには、さらに月ごとに予測パラメータが関連付けて記憶されており、走行距離特定部133は、月ごとに、当該月にさらに関連付けてパラメータ管理データベースに記憶されている予測パラメータに基づいて、想定電費を算出する。
【0134】
走行距離特定部133は、候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出する第2算出部として機能する。具体的には、走行距離特定部133は、走行データに基づいて、候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出する。例えば、記憶部12には、車両の用途ごとに当該用途に対応する走行基準距離が記憶されており、走行距離特定部133は、記憶部12に記憶されている走行基準距離の中から、走行データに基づいて特定した管理車両Vの用途に対応する走行基準距離を特定することにより、走行基準距離を算出する。
【0135】
走行距離特定部133は、走行データの位置履歴によって特定される所定の期間(例えば1日)あたりの走行距離の統計値を、走行基準距離として算出してもよい。統計値は、例えば、平均値、最頻値、又は中央値等である。走行距離特定部133は、走行データの位置履歴によって特定される所定の期間あたりの走行距離の最大値を、走行基準距離として算出してもよい。
【0136】
本実施形態の走行距離特定部133は、積載量を加味して走行可能距離を算出する。情報処理装置1bは、管理車両Vの使用時の積載量を算出するべく、センサデータ取得部137と積載量推定部138を備える。
【0137】
センサデータ取得部137は、管理車両Vの使用時の積載量を算出するためのデータとして、管理車両Vのセンサデータを取得する。管理車両Vでは、所定の時間間隔(例えば1分間隔で)で、定期的にセンサデータを記録しておくようにするとよい。センサデータ取得部137は、管理車両Vからセンサデータを取得してもよいし、管理車両Vのセンサデータを記憶している不図示の外部装置からセンサデータを取得してもよい。
【0138】
積載量推定部138は、センサデータ取得部137が取得したセンサデータに基づいて管理車両Vの想定積載量情報を求める第3算出部として機能する。積載量推定部138が求める想定積載量情報は、重量の値てあってもよいし、具体的な重量の値ではなく(所定の重量以上の)積載の有無や、積載量の範囲の分類(例えば、100kg以上か否かの2区分、100kg未満、100kgから250kg、250kg以上の3区分等)といった情報であってもよい。
【0139】
積載量推定部138が想定積載量情報を求める手法は任意である。例えば、積載量推定部138は、センサデータが上下方向の加速度である場合にはセンサデータを2回積分して上下方向の変位量の時間変化とし、センサデータがヨー・レートである場合にはさらにセンサデータを1回積分してヨー角の時間変化とする。そして、変位量又はヨー角の時間変化のデータを高速フーリエ変換(fast Fourier transform;FFT)する等により周波数解析し、当該データの周波数スペクトルを得る。そして、得られた周波数スペクトルから、車両の固有振動数に対応するピークを特定し、この固有振動数の周波数の、予め記憶部12に記憶された基準積載量(例えば空荷の状態;積載量0kg)での固有振動数の周波数からの変化量に基づいて、積載量(重量値)を算出し、この算出された積載量を想定積載量情報するとよい。
【0140】
一般に、他の条件が共通であれば、積載量が増加するほど固有振動数は減少する。したがって、基準積載量を積載量0kg(つまり空荷)の状態とすれば、空荷の状態での固有振動数からの減少量に基づいて積載量を求めることができる。固有振動数の変化(減少量)と積載量との関係は、車両の重量、車重割合、バネレート等をパラメータとする関係式としてもよいし、実験的に特定した関係としてもよい。記憶部12は、この関係を、数式、対応表といった任意の形式で固有振動数の変化(減少量)と積載量との関係を予め記憶する。また、記憶部12は、管理車両Vが基準積載量のときの固有振動数も予め記憶する。積載量推定部138は、基準積載量での固有振動数の周波数からの変化量を、記憶部12に記憶された固有振動数の変化と積載量との関係に当てはめ、積載量を特定することができる。
【0141】
積載量推定部138が想定積載量を求める他の手法としては、例えば、センサデータ取得部137がセンサデータとして走行時の進行速度と上下方向の加速度とが関連付けられたデータを取得し、積載量推定部138が、走行時の進行速度から求めた加速度が所定の値のときの上下方向の加速度の微分値に基づいて積載の有無や積載量を特定してもよい。より具体的には、積載量推定部138は、加速度が所定の値のときの上下方向の加速度の微分値が、増速時に所定の閾値以上であり、かつ減速時に所定の閾値以下である場合に、想定積載量として、所定の重量以上の積載量が有ることを特定するとよい。
【0142】
なお、管理車両Vの積載量は一定ではないため、算出した積載量と当該積載量であった時間を踏まえた積載量の平均値に基づき想定積載量情報を求めるとよい。
【0143】
走行距離特定部133は、想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での最大充電時における走行可能距離を算出する第4算出部として機能する。具体的には、走行距離特定部133は、算出した想定電費と、候補車両に対応するバッテリー容量と、積載量推定部138が求めた想定積載量情報とに基づいて、最大充電時における走行可能距離を算出する。走行距離特定部133は、例えば、算出した想定電費と、候補車両に対応するバッテリー容量とを乗算することにより、基準積載量での最大充電時における走行可能距離を算出し、想定積載量情報に応じた積載量係数を乗算することにより想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での最大充電時における走行可能距離を算出する。
【0144】
電気自動者の走行可能距離は、電気自動車に搭載されている電池の劣化度合いによって異なる。そこで、走行距離特定部133は、算出した候補車両の想定電費と、当該候補車両に搭載された電池の劣化度合いとに基づいて、候補車両の最大充電時における走行可能距離を算出してもよい。
【0145】
電気自動車に搭載された電池の劣化度合いは、例えば、基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能によって示される。具体的には、走行距離特定部133は、算出した候補車両の想定電費と、基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能に関連付けられた性能データとに基づいて、候補車両の最大充電時における走行可能距離を算出する。このようにすることで、情報処理装置1bは、候補車両の電池の状態に応じた走行可能距離を算出することができる。
【0146】
なお、走行距離特定部133は、性能データを参照することによって特定した第1最大走行距離及び第2最大走行距離のうちのいずれかを、候補車両の最大充電時における走行可能距離として算出してもよいが、第2最大走行距離を候補車両の最大充電時における走行可能距離として算出することが望ましい。このようにすることで、情報処理装置1bは、ユーザUが候補車両を使用中に電池の劣化によって後発的に走行可能距離が走行基準距離を下回る事態の発生を低減することができる。
【0147】
表示処理部134は、走行距離特定部133が算出した走行基準距離と走行可能距離とに基づく提示情報を、情報端末2に表示させる。表示処理部134は、候補車両に関する情報とともに、走行基準距離と走行可能距離とを比較可能な態様で情報端末2に表示させてもよいし、走行基準距離と走行可能距離との差分値を情報端末2に表示させてもよいし、候補車両がユーザに必要な走行距離(走行基準距離)を走行できるか否かを示す情報を情報端末2に表示させてもよい。
【0148】
表示処理部134は、エアコンが使用された場合の走行可能距離とエアコンが使用されない場合の走行可能距離とを情報端末2に表示させてもよい。表示処理部134は、月ごとに走行可能距離を情報端末2に表示させてもよい。表示処理部134は、想定電費をさらに情報端末2に表示させてもよい。
【0149】
表示処理部134は、複数の候補車両のうち、ユーザUの使用条件を満たす候補車両を、ユーザUに提示してもよい。具体的には、まず、走行距離特定部133は、複数の候補車両それぞれの電費情報と、複数の候補車両それぞれに対応するバッテリー容量とに基づいて、複数の候補車両それぞれについて、想定積載量を積載した状態での最大充電時における走行可能距離を算出する。そして、表示処理部134は、複数の候補車両のうち、想定積載量を積載した状態での走行可能距離が走行基準距離以上である候補車両を、提示情報として表示させる。このようにすることで、情報処理装置1bは、ユーザUの使用条件を満たす候補車両をユーザUに提示することができる。
【0150】
表示処理部134は、複数の候補車両のうち、想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での走行可能距離が走行基準距離以上であること以外の条件をさらに満たす候補車両を、情報端末2に提示してもよい。例えば、まず、走行距離特定部133は、管理車両Vのカタログ情報に含まれる燃費と、管理車両Vの用途に対応する予測パラメータとに基づいて、管理車両Vが走行データによって示される位置履歴を走行した場合に想定される想定燃費を算出する。走行距離特定部133は、燃費電費変換データを参照し、算出した想定燃費から電気自動車の変換電費に変換する。燃費電費変換データは、燃費ごとに当該燃費と電費とが関連付けられているデータである。走行距離特定部133は、この変換電費に管理車両Vの想定積載量情報に応じた積載量係数を乗算することで、積載量を加味した変換電費を求める。そして、走行距離特定部133は、複数の候補車両についても管理車両Vと同じ想定積載量情報に対応する重量を積載したときの想定電費を、基準積載量(例えば空荷の状態)での電費に想定積載量情報に応じた積載量係数を乗算することにより、算出する。そして、走行距離特定部133は、複数の候補車両のうち、想定積載量情報に対応する重量を積載したときの想定電費が変換電費以上である候補車両を情報端末2に提示する。
【0151】
また、走行距離特定部133は、変換電費と走行基準距離とに基づいて、走行基準距離を走行するために必要なバッテリー容量を算出し、複数の候補車両のうち、候補車両に搭載されているバッテリー容量が、算出したバッテリー容量以上である候補車両を、情報端末2に提示する。このようにすることで、情報処理装置1bは、走行可能距離が走行基準距離以下となる候補車両を提示してしまう事態の発生を低減することができる。
【0152】
情報処理装置1bは、各候補車両の電費を算出する前に、複数の電気自動車のうち、管理車両Vの仕様に近い候補車両を選択してもよい。管理車両Vの仕様は、例えば、ボディタイプ(トラック、バン、乗用車等)、車体色、最大乗車人数、最大積載量、車高等である。具体的には、選択部135は、複数の電気自動車の中から、管理車両の少なくとも一部の仕様を満たす電気自動車を、候補車両として選択する。選択部135は、例えば、管理車両V及び複数の電気自動車のカタログ情報を参照し、複数の電気自動車の中から、管理車両Vの仕様と一致する数が所定の閾値以上である電気自動車を、候補車両として選択する。その後、走行距離特定部133は、選択部135が選択した候補車両の走行可能距離を算出する。このようにすることで、情報処理装置1bは、管理車両Vの仕様に近い候補車両の中から候補車両を提示することができる。
【0153】
表示処理部134は、記憶部12に記憶されている候補車両に対応する候補車両情報を、提示情報として表示させる。このようにすることで、情報処理装置1bは、管理車両Vから候補車両に乗り換えるか否かをユーザUに検討させるための情報を提供することができる。
【0154】
表示処理部134は、管理車両V及び候補車両のランニングコストに関する情報を提示情報としてユーザUに提示してもよい。具体的には、表示処理部134は、管理車両Vが消費するエネルギーに基づく第1ランニングコストと、候補車両が消費する電力に基づく第2ランニングコストとを比較した比較結果を、提示情報として情報端末2に表示させる。
【0155】
表示処理部134は、例えば、所定の期間における管理車両Vのガソリンの費用と候補車両の充電の費用との差額を情報端末2に表示させる。このようにすることで、情報処理装置1bは、管理車両Vから候補車両に乗り換えた場合、どのくらいランニングコストが変わるかを認識させることができる。
【0156】
表示処理部134は、管理車両V及び候補車両のCO2に関する情報を情報端末2に提示してもよい。具体的には、表示処理部134は、管理車両Vが消費するエネルギーを生産することに応じて発生するCO2と、候補車両が消費する電力を生産することに応じて発生するCO2とを比較した比較結果を、提示情報として表示させる。
【0157】
例えば、記憶部12には、1リットルのガソリンを生産した場合に発生するCO2の量と、1kWhの電力を生産した場合に発生するCO2の量とが記憶されている。この場合において、表示処理部134は、所定の期間において管理車両Vが消費するガソリンの量と記憶部12に記憶されているガソリンに対応するCO2の量とに基づいて算出された第1CO2排出量と、所定の期間において候補車両が消費する電力の量と記憶部12に記憶されている電力に対応するCO2の量とに基づいて算出された第2CO2排出量との比較結果を情報端末2に表示させる。このようにすることで、情報処理装置1bは、管理車両Vから候補車両に乗り換えた場合に、どのくらい環境に貢献できるかを認識させることができる。
【0158】
図14は、提示情報を表示する画面の一例を示す図である。
図14に示す画面には、1つの候補車両に関する情報が表示されている。ユーザに提示する複数の候補車両が存在する場合、複数の候補車両それぞれに関する情報が表示されてもよい。
【0159】
図14の左上の領域R8には、候補車両に対応する候補車両情報が表示されている。領域R8の右隣の領域R9には、エアコンのON/OFFに応じた電費と走行可能距離とが表示されている。
図14の右上の領域R10には、管理車両Vから候補車両に乗り換えた場合のランニングコストの削減費用と、管理車両Vから候補車両に乗り換えた場合のCO
2削減量とが表示されている。提示情報を表示する画面には、ランニングコストやCO
2削減量を求める際に用いた想定積載量を表示することが好ましい。また、
図14の下の領域R11には、管理車両V及び候補車両それぞれの月あたりのランニングコストが表示されている。このように、情報処理装置1bは、候補車両に関する情報を提示するとともに、管理車両Vと候補車両とを比較した結果を提示することにより、管理車両Vから候補車両に乗り換えた場合のメリットをユーザUに容易に把握させることができる。
【0160】
[第3実施形態における情報処理装置1bの処理の流れ]
図15は、第3実施形態における情報処理装置1bにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図15に示すフローチャートは、走行データ取得部136が、管理車両Vの走行データを取得したことを契機として開始する(S21)。
【0161】
走行距離特定部133は、走行データ取得部136が取得した走行データに基づいて、管理車両Vの用途を特定する(S22)。走行距離特定部133は、候補車両の電費情報と、特定した管理車両Vの用途に等しい電気自動車の用途に対応する予測パラメータとに基づいて、想定電費を算出する(S23)。
【0162】
また、センサデータ取得部137は、管理車両Vについて記録されたセンサデータを取得する(S24)。そして、積載量推定部138は、センサデータ取得部137が取得した加速度又はヨー・レートのデータに基づいて管理車両Vの想定積載量情報を求める(S25)。
【0163】
走行距離特定部133は、走行データに基づいて、候補車両に要求される走行距離として基準となる走行基準距離を算出する(S26)。走行距離特定部133は、算出した想定電費と、候補車両に対応するバッテリー容量とに基づいて、基準積載量での最大充電時における走行可能距離を算出する(S27)。走行距離特定部133は、基準積載量での走行可能距離に、積載量推定部138が求めた想定積載量情報に応じた積載量係数を乗算ずることにより、想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での最大充電時における走行可能距離を算出する(S28)そして、表示処理部134は、走行距離特定部133が求めた想定積載量情報に対応する重量を積載した状態での走行基準距離と走行可能距離とに基づく提示情報を、情報端末2に表示させる(S29)。
【0164】
[第3実施形態における情報処理装置1bによる効果]
以上説明したとおり、情報処理装置1bは、候補車両の電費情報と、管理車両Vの用途に対応する電気自動車の予測パラメータとに基づいて想定電費を算出し、算出した走行基準距離と候補車両のバッテリー容量とに基づいて算出した走行可能距離と、管理車両Vの使用時におけるセンサデータから求めた想定積載量情報と、走行データに基づいて算出した走行基準距離とに基づく提示情報を情報端末2に表示させる。このようにすることで、情報処理装置1bは、ユーザUの電気自動車の用途において必要となる性能を示す情報と、ユーザが実際に電気自動車を使用した場合における性能に近い情報とを提供することができる。これにより、ユーザUは、提示された候補車両がユーザUの電気自動車の用途において必要な性能を満たすか否かを容易に把握することができる。その結果、情報処理装置1bは、ユーザUの電気自動車の用途において必要な性能を満たさない電気自動車が選択されてしまうリスクを低減することができる。
【0165】
<第4実施形態>
上記の第1実施形態から第3実施形態で説明された情報処理システムSは、ガソリン車等から電気自動車への乗り換えを検討しているユーザに対し、乗り換え前のガソリン車等と同様の使用条件で使用できる乗り換えの候補の電気自動車を選択しやすくするものであった。これに対し、第4実施形態における情報処理システムSは、使用中の電気自動車における走行可能距離や電費を提示するものである。
【0166】
図16に示すように、第4実施形態における情報処理システムSは、電気自動車4と、センサ3と、情報処理装置1cとを備える。電気自動車4はユーザUが使用している電気自動車であり、情報処理装置1cから提供される走行可能距離や電費に関する情報をユーザに提示する。
図17は、情報処理システムSの構成をより詳細に示す図である。この機能を実現すべく、電気自動車4は、
図17に示すように、通信部41、バッテリー管理部42、出力部43、及びナビゲーションシステム44を備える。なお、電気自動車4の構成については、情報処理装置1c及びセンサ3と協働して情報処理システムSを構成するための構成のみが示され、電気自動車が一般的に備えるバッテリ、モータ等の構成については
図17では省略されている。
【0167】
通信部41は、情報処理装置1cを含む外部機器との間でデータを送受信するための通信インターフェースを含む。バッテリー管理部42は、電気自動車4が備えるバッテリーの充電状態等を管理する。本実施形態において、バッテリー管理部42は、通信部41を介して現在の電池の充電量を情報処理装置1cに提供する。出力部43は、情報処理装置1cから提供される情報をユーザUに提示するのディスプレイ、スピーカー等の出力手段である。出力部43は、ナビゲーションシステム44その他の車載機器(例えばカーオーディオ等)の出力手段として共用されもてよい。ナビゲーションシステム44は、設定された目的地までの経路や距離に関する情報を提示する等の一般的なナビゲーションシステムの機能を提供するとともに、設定された設定された目的地までの距離に関する情報を情報処理装置1cに提供する。
【0168】
センサ3は、電気自動車4の走行中の加速度及び/又はヨー・レートを所定のサンプリングレートで所定のデータポイント数だけ記録したセンサデータを出力する。センサ3は、所定の時間間隔(例えば1分間隔で)で、定期的にセンサデータを記録するとよい。センサ3は、電気自動車4に内蔵されてもよいし、電気自動車4とは別体の機器に設けられてもよい。センサ3が、電気自動車4に内蔵される場合、センサ3が記録したセンサデータは電気自動車4の通信部41を介して情報処理装置1cに提供される。センサ3が電気自動車4とは別体の機器に設けられる場合、例えば、センサ3は、スマートフォン等の情報端末(不図示)が備えるセンサであってもよく、情報端末が備える通信手段を介して情報処理装置1cにセンサデータを提供するとよい。センサ3が電気自動車4とは別体の機器に設けられる場合、情報処理装置1cは、センサ3を備える機器設置するべき電気自動車4の所定の位置(例えば重心位置)をユーザに案内にするとよい。あるいは、センサ3を備える機器を設置した電気自動車4内における位置をユーザに選択させてもよい。
【0169】
本実施形態において、情報処理装置1cは電気自動車4内に配置される。情報処理装置1cは、当該情報処理装置1cが配置されている電気自動車4についての走行可能距離、電費等を算出し、これらに基づく提示情報を生成する。情報処理装置1cは、有線または無線の通信手段を介してセンサ3が出力するセンサデータを取得できるように構成される。センサ3が、スマートフォン等の情報端末に設けられる場合には、情報処理装置1cは当該情報端末との無線通信を介してセンサデータを取得するとよい。
【0170】
情報処理装置1cは、通信部11cと、記憶部12cと、制御部13cと、を有する。制御部13cは、基準データ取得部131cと、現在データ取得部132cと、走行距離特定部133cと、積載量推定部138cと、提示情報生成部136cと、を有する。
【0171】
通信部11cは、ネットワークを介して電気自動車4、センサ3、ユーザUが保有する情報端末等との間でデータを送受信するための通信インターフェースを含む。通信部11cは、電気自動車4やセンサ3から受信したデータを、基準データ取得部131c、現在データ取得部132c、走行距離特定部133c、又は積載量推定部138cに入力する。また、通信部11は、提示情報生成部136cが生成したデータを、電気自動車4やユーザが保有する情報端末へと送信する。
【0172】
記憶部12cは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を含む。記憶部12cは、制御部13cが実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12cは、基準データを記憶する。基準データは、例えば基準日(例えば製造日)からの経過時間又は基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、所定の基準積載量(例えば空荷)での電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示すデータとするとよい。あるいは、基準データは、例えば基準日(例えば製造日)からの経過時間又は基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、電池の容量及び基準積載量での電気自動車4の電費情報の関係を示すデータとしてもよい。また、基準データは、少なくとも基準日(例えば製造日)における電池の性能を示すデータと、基準積載量での電気自動車4の電費情報を含むとよい。第1実施形態において説明した処理基準データと同様、基準データは、電池の性能との相関性がある任意のデータを含んむとよい。基準データは、センサデータから積載量を算出する際に用いる情報を含むとよい。このセンサデータから積載量を算出する際に用いる情報は、例えば、管理車両Vの車重、車重割合(車両の前後の重量配分)、バネレート、管理車両Vが基準積載量のときの固有振動数、固有振動数の変化と積載量との関係を示す情報等である。さらに、記憶部12cは、基準積載量での最大走行距離を各積載量での最大走行距離に変換する係数を示す積載量係数を記憶する。積載量係数の詳細は第1実施形態に関連して説明したものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0173】
続いて制御部13cの各部の構成及び動作を説明する。
基準データ取得部131cは、記憶部12cから基準データを取得する。現在データ取得部132cは、電気自動車4やセンサ3から現在の諸データを取得する。現在データ取得部132cは、例えば、バッテリー管理部42が管理する現在の電池の充電量(バッテリー残量)、ナビゲーションシステム44に設定されている目的地までの距離、センサ3が出力するセンサデータ等を取得する。
【0174】
積載量推定部138cは、センサ3が出力するセンサデータに基づいて、電気自動車4の積載量に対応する積載量情報を求める。具体的には、積載量推定部138cは、第3実施形態の情報処理装置1bにおける積載量推定部138がセンサデータに基づいて管理車両Vの想定積載量情報を求めたのと同様の手法により、電気自動車4の積載量情報を求めるとよい。積載量情報は、想定積載量情報と同様に、重量の値であってもよいし、具体的な重量の値ではなく(所定の重量以上の)積載の有無や、積載量の範囲の分類(例えば、100kg以上か否かの2区分、100kg未満、100kgから250kg、250kg以上の3区分等)といった情報であってもよい。
【0175】
走行距離特定部133cは、基準データ取得部131cが取得した基準データと、現在データ取得部132cが取得した現在の電池の充電量とに基づいて、基準積載量(積載量0kg)かつ現在の現在の電池の充電量での電気自動車4の走行可能距離である基準走行可能距離を特定する。具体的には、走行距離特定部133cは、現在の電池の充電量と、基準データから得られる電気自動車4の基準積載量での電費とに基づき、電気自動車4の基準走行可能距離を特定する。そして、走行距離特定部133cは、記憶部12cに記憶された積載量係数を参照し、積載量推定部138cが求めた積載量情報に対応する積載量係数を取得する。そして、この積載量係数を、基準走行可能距離に乗算することで、積載量を加味した走行可能距離を算出する。
【0176】
走行距離特定部133cは、現在データ取得部132cが取得する各データが更新される都度、走行可能距離を算出するとよい。あるいは、走行距離特定部133cは、所定の時間間隔で、定期的に走行可能距離を算出してもよい。あるいは、走行距離特定部133cは、積載量推定部138cが算出する積載量に所定の閾値以上の変化があったときに、走行可能距離を算出してもよい。
【0177】
提示情報生成部136cは、例えば、走行距離特定部133cが求めた積載量情報を加味した走行可能距離に基づく提示情報を生成し、当該定時情報をユーザUに提示するための処理を行うとよい。具体的には、提示情報生成部136cは、積載量を加味した走行可能距離が所定の距離以下となった場合に、電気自動車4の出力部43やユーザUの持つ情報端末に、音声や画像により警告の通知を出力させるとよい。ここで、所定の距離は、例えば、予め定められた距離、ナビゲーションシステムに設定された目的地までの距離、最も近い充電ステーションまでの距離、あるいはこれら距離に所定の余裕を見込むための係数をかけた距離等とするとよい。このようにすれば、バッテリー切れによって目的地や充電ステーションに到達できない状況を避けるべくユーザUに注意喚起をすることが可能となる。
【0178】
提示情報生成部136cは、積載量推定部138cが算出する積載量に、所定の閾値以上の変化があったときに、最新の積載量を加味した走行可能距離や電費を踏まえた提示情報を生成し、電気自動車4の出力部43やユーザUの持つ情報端末に出力させるとよい。このようにすれば、積載量の変化によって走行可能距離に大きな変化が生じた場合に、ユーザUに注意喚起をすることが可能となる。
【0179】
[第4実施形態における情報処理装置1cの処理の流れ]
図18は、第4実施形態における情報処理装置1cにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図18に示すフローチャートは、情報処理装置1cに対し、積載量を加味した提示情報を出力する重量検出モードが設定されたことを契機として開始する(S31)。
【0180】
基準データ取得部131cは、記憶部12cから基準データを取得する(S32)。続いて、センサ3を電気自動車4に設置する(S33)。このとき、情報処理装置1cは、センサ3を設置する位置をユーザに案内にするとよい。あるいは、ユーザがセンサ3を設置した電気自動車4内における位置をユーザに選択させてもよい。なお、センサ3として電気自動車4に内蔵されたセンサを用いる場合や既にセンサ3を備える機器が所定位置に設置済みである場合には、ステップS33を省略してもよい。
【0181】
続いて、電気自動車4を走行させた状態で、現在データ取得部132cは、電気自動車4やセンサ3から、現在の電池の充電量やセンサデータを含むデータを取得する(S34)。そして、積載量推定部138cは、取得したデータに含まれるセンサデータに基づいて、電気自動車4の積載量に対応する積載量情報を求める(S35)。
【0182】
走行距離特定部133は、基準データ、現在の電池の充電量、積載量情報等に基づいて、現在の電池の充電量、且つ、積載量情報に対応する積載量での走行可能距離を算出する(S36)。そして、提示情報生成部136cは、走行距離特定部133が求めた走行可能距離に基づく提示情報を生成して、情報端末や電気自動車4に出力して(S37)、一連の処理が終了される。提示情報を受け取った情報端末や電気自動車4においては、画像、音声、振動その他任意の手法により、提示情報が提示されることとなる。なお、重量検出モードが設定されたい以後、任意の周期やタイミングで、ステップS32~S37の処理を繰り返し実行してもよい。
【0183】
[第4実施形態における情報処理装置1cによる効果]
以上で説明した第4実施形態の情報処理装置1cによれば、走行中の電気自動車4に設置されたセンサ3からセンサデータを取得し、リアルタイムで電気自動車4の積載量を求め、求めた積載量を加味した電費や走行可能距離を求めることができ、これらに基づいた提示情報をユーザUに提供することができる。
【0184】
<実施形態の変形>
上記の各実施形態では、基準積載量での走行可能距離を特定し、これに積載量係数を乗算することで積載量を加味した走行可能距離を算出したが、走行可能距離を算出する手順や手法はこれに限定されない。例えば、基準積載量での走行可能距離を算出せずに、基準積載量での電費に積載量係数を乗算して積載量を加味した電費を求め、積載量を加味した電費に最大充電量(電池容量)や現在の電池の充電量(バッテリー残量)を乗算することにより、積載量を加味した走行可能距離を算出してもよい。
【0185】
上記の第4実施形態では、情報処理装置1cが電気自動車4内に配置される場合を例に説明したが、情報処理装置1cは、電気自動車4の外部に配置されてもよい。情報処理装置1cが電気自動車4の外部に配置される場合、1台の情報処理装置1cにより複数の電気自動車4について走行可能距離や電費に関する情報を算出して出力し、複数の電気自動車のそれぞれに対して提示情報を提供してもよい。この場合、情報処理装置1cの記憶部12cは複数の電気自動車の個体や車種に関連付けて、処理基準データ、積載量係数等を記憶するよく、走行距離特定部133cは、対象とする電気自動車4に対応するデータを用いて走行可能距離や電費を算出するとよい。
【0186】
第4実施形態で説明した情報処理装置1cにおいて、積載量を加味した電費を算出してもよい。積載量を加味した電費は、基準データから得られる電気自動車4の基準積載量での電費に、積載量推定部138cが求めた積載量情報に対応する積載量係数を乗算することにより求めることができる。情報処理装置1cは、このようにして求めた積載量を加味した電費が、所定の値(例えば、電気自動車4の導入時に想定した電費)を下回った場合に、電費の低下を知らせる提示情報を生成し、電気自動車4の出力部23、電気自動車4のユーザや管理者が使用する情報端末等に送信して当該提示情報を出力させるとよい。
【0187】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施形態も、本発明の実施形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施形態の効果は、もとの実施形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0188】
1 情報処理装置
2 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 基準データ取得部
132 入力データ取得部
133 走行距離特定部
134 表示処理部
135 選択部
136 走行データ取得部