(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067842
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】アーム装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240510BHJP
F21V 21/30 20060101ALI20240510BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240510BHJP
【FI】
F21S2/00 365
F21V21/30 310
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178208
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】遠山 剛
(57)【要約】
【課題】長さの異なるアームを用意することなく設置状況に対応できるアーム装置および照明装置を提供する。
【解決手段】アーム装置12は、アーム90と、取付部材91と、連結部92と、を備える。アーム90は、照明装置本体11を支持する。取付部材91は、一の方向bの一方と他方との向きを代えて照明装置本体11に取付可能とする。連結部92は、取付部材91の一の方向bの中央よりもいずれか一側の位置に設けられ、アーム90を連結する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持物を支持するアームと;
一の方向の一方と他方との向きを代えて前記被支持物に取付可能とする取付部材と;
前記取付部材の前記一の方向の中央よりもいずれか一側の位置に設けられ、前記アームを連結する連結部と;
を備えることを特徴とするアーム装置。
【請求項2】
光照射方向へ向けて光を照射する被支持物である照明装置本体と;
前記光照射方向に沿った前記照明装置本体の側面に、前記光照射方向に交差する方向に沿って前記一の方向を向けた前記取付部材が取り付けられる請求項1記載のアーム装置と;
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記照明装置本体は、前記光照射方向と反対側に取手を有し、
前記取付部材は、前記取手から前記光照射方向へ向けた中心線を中心として、前記一の方向の一方と他方との向きを代えて前記照明装置本体に取付可能とする
ことを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記アームは、前記連結部に回動可能に連結され、
前記照明装置本体の前記側面の前記光照射方向に交差する方向の一方に、前記取付部材の前記一の方向の他方を向けて取り付けた第1の取付状態で、前記照明装置本体は、前記アームに対して前記光照射方向が交差する前記照明装置本体の姿勢から、前記照明装置本体の前記光照射方向に対して反対側が前記アームと重なる方向に向けて90度以上に回動せず、
前記照明装置本体の前記側面の前記光照射方向に交差する方向の一方に、前記取付部材の前記一の方向の一方を向けて取り付けた第2の取付状態で、前記照明装置本体は、前記アームに対して前記光照射方向が交差する前記照明装置本体の姿勢から、前記照明装置本体の前記光照射方向に対して反対側が前記アームと重なる方向に向けて90度以上に回動可能する
ことを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アーム装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスポットライトなど照明装置では、照明装置本体をその光照射方向を上下に調整可能に支持するアームが用いられている。
【0003】
このような照明装置では、設置場所での設置状況が異なり、設置状況に応じてアームの長さを変更する場合ある。この場合、設置状況に応じた長さの異なるアームを用意しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、長さの異なるアームを用意することなく設置状況に対応できるアーム装置および照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のアーム装置は、アームと、取付部材と、連結部と、を備える。アームは、被支持物を支持する。取付部材は、一の方向の一方と他方との向きを代えて被支持物に取付可能とする。連結部は、取付部材の一の方向の中央よりもいずれか一側の位置に設けられ、アームを連結する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態のアーム装置によれば、長さの異なるアームを用意することなく設置状況に対応することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態を示す照明装置であり、(a)はアーム装置の取付部材が第1の取付状態の側面図、(b)はアーム装置の取付部材が第2の取付状態の側面図である。
【
図5】同上照明装置の上面部を外した平面図である。
【
図6】同上照明装置の光照射方向を下方へ向けた側面視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし
図6に照明装置10を示す。照明装置10は、例えば舞台やスタジオなどで使用される光を被照射面へ向けて照射するスポットライトである。この照明装置10は、例えば鉛直方向、もしくは鉛直方向に対して±45°以下の方向へ向けて光を照射する設置場所での使用にも対応している。
【0011】
照明装置10は、光を光照射方向aへ向けて照射する照明装置本体11と、この照明装置本体11を舞台やスタジオの天井側に設置されるバトンなどを含む架設部材に吊り下げ支持するためのアーム装置12と、を備えている。
【0012】
照明装置本体11は、筐体15と、光を光照射方向aへ向けて照射する光源ユニット16と、この光源ユニット16を光照射方向aである前方向、および光照射方向aとは反対方向の後方向に移動させる移動機構17、光源ユニット16からの光を投影する投影レンズ18と、光源ユニット16に点灯電力を供給する電源部19と、を備えている。以下では、光照射方向aに向かう方向を前方向や前方と表現し、光照射方向aとは反対に向かう方向を後方向や後方と表現する。
【0013】
筐体15は、光照射方向aに沿った前後方向に長尺な直方体形状に形成されている。筐体15は、光を照射する光照射方向aへ向けた前面部21と、光照射方向aとは反対側の後面部22と、前面部21と後面部22との間の周囲の上面部23、左右方向である幅方向の両側の側面部24、および下面部25と、を備えている。
【0014】
筐体15の前面部21には、光が通過する円形の照射開口26が形成され、この照射開口26を囲むように円筒状の筒部27が前方向に突出され、この筒部27の前端側にカラーフィルタなどのフィルタが着脱可能に装着されるフィルタ装着部28が取り付けられている。
【0015】
筐体15の後面部22には、上面部23と下面部25との間である上下の中間位置に対応して取手29が取り付けられている。取手29は、略コの字形に形成され、後面部22の幅方向に沿って取り付けられている。また、後面部22には、商用交流電源などの外部電力の電力供給を受けるための電源コード30、他の照明装置10などに外部電力を送るための送りコンセント31、調光信号の入出力用のコネクタ32,33、設定を行うための操作パネル34、移動機構17の操作部(ハンドル75)などが配設されている。
【0016】
筐体15の両側の側面部24の前端寄りの位置には、アーム装置12が取り付けられている。
【0017】
筐体15の下面部25には、その下面部25の前端側から後方向に離間し、かつ下面部25の後端側から前方向に離間した位置に電源部19が配設されている。電源部19は、例えば、下面部25の前後方向の中間位置に配設されている。
【0018】
このように構成された筐体15には、熱を発生する光源ユニット16が収容される筐体15内の温度上昇を抑制するために、筐体15の内外に空気が流通するように通気口が複数個所に設けられている。筐体15の内外に流通する空気の流れによって、筐体15内で発生した熱を筐体15外に排出することで、筐体15内の温度上昇を抑制する。
【0019】
筐体15の下面部25には、その下面部25の前端側から電源部19の前端側との間に第1の通気口36が設けられている。第1の通気口36は、
図4に示す側面視で前後方向の長さL1の領域に形成されているとともに、
図5に示す平面視で筐体15の幅方向の中央の領域に形成されている。長さL1は、電源部19の前端から、前面部21までの最短距離(電源部19から前面部21へ伸ばした垂線の長さ)以下の長さである。
【0020】
筐体15の上面部23には、第1の通気口36よりも後方向となる位置に第2の通気口37が設けられている。そのため、
図4に示すような光照射方向aが水平方向となるように筐体15を配置した場合、第1の通気口36と、第2の通気口37と、は上面視で重ならない。第2の通気口37は、
図4に示す側面視で前後方向の長さL2の領域に形成されているとともに、
図2に示す平面視で幅方向の中央の領域に形成されている。
【0021】
筐体15の下面部25には、その下面部25の後端側から電源部19の後端側との間に第3の通気口38が設けられている。第3の通気口38は、第2の通気口37に対向する領域内に形成されている。つまり、第2の通気口37と、第3の通気口38と、は上面視で少なくとも一部が重なっている。
【0022】
筐体15の下面部25には、電源部19が配設される領域内であって、電源部19の後端側から電源部19の前後方向の中間位置までの領域に第4の通気口39が設けられている。第4の通気口39は、筐体15内と電源部19内とを連通する。第4の通気口39は、第3の通気口38と接続するように(一体に)設けられていてもよい。
【0023】
筐体15の後面部22には、第5の通気口40が設けられている。第5の通気口40は、筐体15を後方(照明装置10が
図3のように見える方向)から見たときに、取手29と重ならないように設けられてもよいし、取手29と重なるように設けられてもよい。
【0024】
第1、第2、第3および第5の通気口36,37,38,40は、空気が流通し、指や物が入らないように筐体15を形成する板材にメッシュ構造に設けられていたり、通気口領域が全体的に開口されていてメッシュ構造の別の通気部材で覆われたりする。筐体15と電源部19とを連通する第4の通気口39は、その領域が全体的に開口されている。
【0025】
筐体15内には、第1の通気口36からの筐体15外への光漏れを防止するために、第1の通気口36に対向して遮光板42が配置されている。遮光板42は、下面部25の上面側に複数のスペーサ43を介して取り付けられ、第1の通気口36の上方を覆うように第1の通気口36に対向して配置されるとともに、第1の通気口36を通じて空気が流通するように下面部25との間に隙間を空けて配置されている。
【0026】
筐体15内には、第2の通気口37からの筐体15外への光漏れを防止するために、第2の通気口37に対向して遮光板44が配置されている。遮光板44は、複数の遮光片が斜めに切り起され、これら遮光片が切り起された複数の開口を通じて空気が流通するように構成されており、上面部23の下面側に複数のスペーサ45を介して取り付けられ、第2の通気口37の下方を覆うように第2の通気口37に対向して配置されるとともに、第2の通気口37を通じて空気が流通するように上面部23との間に隙間を空けて配置されている。なお、遮光板44は、スペーサ45を介さずに第2の通気口37に直接取り付けられてもよい。
【0027】
筐体15内には、第3の通気口38および第4の通気口39からの筐体15外への光漏れを防止するために、第3の通気口38および第4の通気口39に対向して遮光板46が配置されている。第4の通気口39については、直接筐体15の外部へ開口していないが、後述する側面通気口84を介して筐体15外へ光漏れする可能性があるため、遮光板46を備えていることが好ましい。遮光板46は、複数の遮光片が斜めに切り起され、これら遮光片が切り起された複数の開口を通じて空気が流通するように構成されており、下面部25の上面側に複数のスペーサ47を介して取り付けられ、第3の通気口38および第4の通気口39の上方を覆うように第3の通気口38および第4の通気口39に対向して配置されるとともに、第3の通気口38および第4の通気口39を通じて空気が流通するように下面部25との間に隙間を空けて配置されている。なお、遮光板46は、スペーサ47を介さずに第3の通気口38、第4の通気口39に直接取り付けられてもよい。
【0028】
第5の通気口40は、光照射方向aと反対側の後面部22にあって、光源ユニット16で遮光されるため、遮光部材は設けられないが、必要に応じて遮光部材を設けてもよい。
【0029】
また、光源ユニット16は、光源51と、この光源51が配置される放熱器52と、第1の遮光部材53および第2の遮光部材54と、を備えている。
【0030】
光源51は、例えばCOB(Chip On Board)方式の光源モジュールが用いられる。この光源モジュールは、基板の一面に複数の半導体発光素子であるLEDが実装されて例えば2系統の配線経路で電気的に接続され、基板の一面に複数のLEDを囲むように円環状に設けられている土手である囲み枠の内側に蛍光体を含有した封止樹脂が充填され、この封止樹脂の表面に円形状の発光面が形成されている。例えば、LEDからの青色の光により黄色の蛍光体が励起されて黄色の光を放射され、これら光が混色されて白色光が発光面から放射される。
【0031】
なお、光源51は、例えばSMD(Surface Mount Device)パッケージタイプや、CSP(Chip Scale Package)タイプの半導体発光素子を複数用いて基板に実装した光源モジュールでもよい。
【0032】
放熱器52は、金属製のベース部56と、このベース部56の後面側に接触して並設された複数の金属製の放熱板57と、ベース部56から複数の放熱板57に熱伝達するための図示しない複数のヒートパイプと、を備えている。なお、放熱器52は、ヒートパイプを備えない構成であってもよい。
【0033】
ベース部56の前面側に、光源51の基板が直接もしくは間接的に面接触されて熱的に接続されるように取り付けられている。ここでの間接的とは、光源51の基板とベース56との間に放熱シートや放熱グリスが介在することをいう。
【0034】
放熱板57は、筐体15の幅方向に複数並設され、複数の放熱板57間に空気が流通する間隙が形成されている。
【0035】
第1の遮光部材53は、円板状の遮光板部59と、この遮光板部59の中央に設けられた円筒状の光ガイド部60と、を備えている。遮光板部59は、ベース部56の前面側に複数のスペーサ61を介して取り付けられている。光ガイド部60は、遮光板部59の後面側から光源51へ向けて円筒状に突出され、後端側の開口が光源51の発光面の直径と対応され、この後端側から前端側の開口に向けて拡開するように設けられている。第1の遮光部材53の表面全体は、光の反射を抑制するためにつや消しの黒色に形成されている。
【0036】
第2の遮光部材54は、ベース部56の前面側に取り付けられる円環状の取付部62と、この取付部62の周辺部から光源51および第1の遮光部材53の周囲を覆う円筒状の光源覆い部63と、この光源覆い部63の前端側から外径方向に延設される円環状覆い部64と、この円環状覆い部64の周辺部から前方向に突出する円筒状覆い部65と、を備えている。第2の遮光部材54の表面全体は、光の反射を抑制するためにつや消しの黒色に形成されている。
【0037】
また、移動機構17は、筐体15内の下側で幅方向の両側に、軸方向が光照射方向aと平行となるように配置される一対の軸71,72を備えている。一方の軸71は周面に送り溝が螺旋状に設けられた摺動送り軸であり、他方の軸72は摺動軸である。軸71,72は、前端側の軸受部材73と、後端側の軸受部材74とにより、筐体15に支持されている。一方の軸71は、軸受部材73,74に回動可能に支持され、後端部が後面部22から突出され、この後端部に軸71を回動操作するハンドル75が取り付けられている。
【0038】
前端側の軸受部材73は、筐体15の下面部25の上面側で、第1の通気口36よりも後方向の位置に取り付けられている。この軸受部材73は、第1の通気口36の幅方向の両側に配置される側面遮光板76を介して下面部25に取り付けられている。両側の側面遮光板76は、第1の通気口36の上方に配置される遮光板42の幅方向両端側に間隔を空けて配置されている。
【0039】
軸71,72には、摺動部材77が軸方向に摺動可能に係合されている。摺動部材77は、光源ユニット16の放熱器52を支持し、光源ユニット16を前後方向に移動可能に支持する。
【0040】
一方の軸71に係合する摺動部材77には、軸71の送り溝に係合する送り部材78が取り付けられている。送り部材78は、例えば、摺動部材77に螺着されるねじの先端に軸71の送り溝に係合するピンが突設されている。ハンドル75の操作によって軸71が回動することにより、軸の送り溝の縁部で送り部材78が軸方向に押されて摺動部材77とともに光源ユニット16が前方向もしくは後方向に移動する。
【0041】
移動機構17により光源ユニット16を前方向もしくは後方向に移動させることにより、投影レンズ18を介して被照射面に照射する光の範囲を調整することができる。
【0042】
例えば、長さL2は、光源ユニット16を最も後方向に移動させた際(
図4において、実線で示す光源ユニット16の位置)の、筐体15の後面部22から、光源ユニット16の最も前方側(円筒状覆い部65の前方側先端)までの距離よりも長い。そして、長さL2は、光源ユニット16を最も前方向に移動させた際(
図4において、一部は省略しているが点線で示す光源ユニット16の位置)の、筐体15の後面部22から、光源ユニット16の最も前方側(円筒状覆い部65の前方側先端)までの距離よりも短い。また、長さL2は、光源ユニット16を最も前方向に移動させた際の、筐体15の後面部22から、放熱器52の前方側先端までの距離よりも短くなるように構成されていてもよい。
【0043】
また、例えば、光源ユニット16を最も前方向に移動させた際に、光源ユニット16と、第1の通気口36と、は上面視で重ならないように構成されていてもよい。このように構成することで、光源ユニット16(特に、円筒状覆い部65)で、第1の通気口36から他の通気口へ向かう空気の流れを阻害してしまうことを抑制することが可能となる。つまり、光源ユニット16の位置に関わらず、筐体15内の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0044】
また、投影レンズ18は、筐体15の筒部27内に配設され、光源51の発光面を被照射面に投影する。投影レンズ18は、光源51から照射される光を光学制御する光学部材の一例である。例えば、投影レンズ18に換えて、凸レンズ、フレネルレンズ、液晶レンズ、拡散版などを用いてもよい。
【0045】
また、電源部19は、筐体15の下面部25の前端側から後方向に離間し、かつ下面部25の後端側から前方向に離間した下面部25の中間位置に配設されている。
【0046】
電源部19は、筐体15の下面部25に取り付けられる電源ボックス81と、この電源ボックス81内に配置される電源基板82と、を備えている。
【0047】
電源ボックス81は、上面側が開口され、上面側の少なくとも一部は筐体15の下面部25の第4の通気口39に連通されている。電源ボックス81内は、第4の通気口39に連通する電源ボックス81の後側上部の領域が仕切板83によって区画されている。仕切板83で仕切られた領域の幅方向の両側面側に側面通気口84が形成されているとともに、後面側に後面通気口85が形成され、これら側面通気口84および後面通気口85が筐体15の第4の通気口39に連通されている。側面通気口84および後面通気口85は、空気が流通し、指や物が入らないように電源ボックス81を形成する板材にメッシュ構造に設けられていたり、通気口領域が全体的に開口されていてメッシュ構造の別の通気部材で覆われたりする。
【0048】
電源基板82は、光源51の2系統の配線経路に対応して2つ用いられ、電源ボックス81内に前後方向に並んで配置されている。電源基板82は、電源コード30を通じて入力される外部電力を所定の点灯電力に変換して光源51に供給し、光源51を点灯させる。
【0049】
また、
図1ないし
図3に示すように、アーム装置12は、被支持物である照明装置本体11を支持するアーム90と、照明装置本体11の筐体15の両側の側面部24に取り付けられる取付部材91と、この取付部材91にアーム90を回動可能に連結する連結部92と、固定機構93と、を備えている。
【0050】
アーム90は、金属製のパイプによって形成され、支持部95と、この支持部95の両端から折曲された両側のアーム部96と、を備えている。支持部95には、設置場所の架設部材に吊り下げるための吊下げ金具97が取り付けられている。アーム部96の先端側には、連結部92に連結される平板状の連結板部98が設けられている。
【0051】
取付部材91は、長方形の板で構成され、少なくとも2辺が光照射方向aと平行になるように取り付けられる。言い換えると、取付部材91の少なくとも2辺が光照射方向aと垂直となる一の方向bに沿うように取り付けられる。長手方向を一の方向bとし、筐体15の両側の側面部24の前端寄りの位置に、光照射方向aに交差する方向に沿って一の方向bを向けて取り付けられている。取付部材91は、取付部である取付孔が複数設けられ、これら取付孔を挿通するねじ99で筐体15の側面部24に取り付けられる。
【0052】
そして、取付部材91は、筐体15の中心線c(取手29から光照射方向aへ向けた線)を中心として、向きを代えて照明装置本体11に取付可能とする。なお、中心線cは、照明装置本体11の光照射方向aの中心線である。
【0053】
具体的には、取付部材91は、
図1(a)に示すように、光照射方向aと平行となる2辺において、一方の辺である第1の縁部91aを筐体15の上面部23側、他方の辺である第2の縁部91bを下面部25側とした向きで取り付けられた状態を第1の取付状態とし、また、
図1(b)に示すように、第1の縁部91aを筐体15の下面部25側、第2の縁部91bを上面部23側とした向きで取り付けられた状態を第2の取付状態とする。
【0054】
連結部92は、取付部材91の中央よりも一の方向bのいずれか一側へオフセットした位置に設けられている。
図1(a)、(b)においては、連結部92は、取付部材91の中央よりも第2の縁部91b側にオフセットした位置に設けられている。連結部92は、アーム90の連結板部98が回動可能に連結される。
【0055】
固定機構93は、アーム90の一側の連結板部98を筐体15の一側の連結部92に回動可能に支持するとともに任意の回動位置で固定可能とする。固定機構93は、固定ハンドル100を有し、この固定ハンドル100を緩めた状態で、アーム90に対する照明装置本体11の光照射方向Aの角度調整が可能とし、固定ハンドル100を締め付け方向に回動操作することにより、アーム90に対して照明装置本体11を角度調整した位置で固定する。
【0056】
アーム90の他側の連結板部98は、筐体15の他側の連結部92にボルトを用いた連結機構によって回動可能に連結される。
【0057】
そして、照明装置10を設置する際、設置場所においては、照明装置10を吊り下げる架設部材とこの架設部材の下方に存在する下方障害物などとの距離の制約の有無や、光を照射する角度などによって設置状況が異なる。このような設置状況に対しては、アーム装置12の取付部材91の第1の取付状態と第2の取付状態とを切り換えて対応することで容易に対応できる。
【0058】
図1(a)に示すように、取付部材91の第1の縁部91aを筐体15の上面部23側、第2の縁部91bを下面部25側とした向きであって、連結部92が中心線cよりも下面部25側に配置された取付部材91の第1の取付状態では、アーム90に対する照明装置本体11の回動支点と照明装置本体11の下部前端側(フィルタ装着部28の下部前端側など)との距離が第2の取付状態よりも短くなる。そのため、照明装置本体11の光照射方向aが例えば鉛直角45度以下となる下方へ向けて傾斜するように角度調整した場合でも、照明装置本体11の下部前端側が設置場所の下方障害物と干渉せずに設置することができる。
【0059】
一方で、第1の取付状態では、アーム90の支持部95側と照明装置本体11の上面部23との距離が短くなるため、アーム90に対する照明装置本体11の角度調整が可能な回動範囲が狭くなる。
【0060】
また、
図1(b)に示すように、取付部材91の第1の縁部91aを筐体15の下面部25側、第2の縁部91bを上面部23側とした向きであって、連結部92が中心線cよりも上面部23側に配置された取付部材91の第2の取付状態では、アーム90の支持部95側と照明装置本体11の上面部23との距離が長くなるため、アーム90に対する照明装置本体11の角度調整が可能な回動範囲が広くなる。
【0061】
一方で、第2の取付状態では、アーム90に対する照明装置本体11の回動支点と照明装置本体11の下部前端側(フィルタ装着部28の下部前端側)との距離が第1の取付状態よりも長くなる。そのため、光照射方向aを例えば鉛直角45度以下となる下方へ向けて傾斜するように角度調整した場合、第1の取付状態に比べて、下方への突出量は多くなる。
【0062】
このように、アーム装置12では、取付部材91の中央よりも一の方向bのいずれか一側にアーム90を連結する連結部92が設けられ、この取付部材91が一の方向bの一方と他方との向きを代えて照明装置本体11に取り付けられるため、設置場所での設置状況に応じて、取付部材91の一の方向bの一方と他方との向きを代えることで、第1の取付状態と第2の取付状態とを任意に選択することにより、異なる照明装置や、長さの異なるアーム90を用意することなく、設置状況に柔軟に対応できる。
【0063】
さらに、取付部材91は、筐体15の取手29から光照射方向aへ向けた中心線cを中心として、一の方向bの一方と他方との向きを代えて照明装置本体11に取付可能とするため、第1の取付状態と第2の取付状態のいずれにあっても、取手29を持って設置したり角度を調整する操作が行いやすく、作業性がよい。
【0064】
また、
図6に示すように、照明装置本体11の光照射方向aが例えば鉛直角45度以下となる下方へ向けて傾斜するように角度調整して使用する場合、光源51の点灯により、光源51が熱を発生するとともにこの熱が放熱器52や遮光部材53,54などを含む光源ユニット16に伝達され、この光源ユニット16の周囲の空気が温められ、筐体15内で下方から上方へ向けた空気の対流が発生する。
【0065】
この筐体15内での空気の対流により、筐体15外の空気が筐体15の下部側に位置する第1の通気口36から筐体15内に取り込まれ、この取り込まれた空気が筐体15内の光源ユニット16の周囲を通過して筐体15の上部側に位置する第2の通気口37から筐体15外に排気される。そのため、
図6に点線で示すように、筐体15内に第1の通気口36から第2の通気口37に至る通風路が形成され、筐体15内の熱が放熱される。そのため、鉛直方向に対して45度の角度で筐体15を傾斜した際に、上面視において、第1の通気口36と、第2の通気口37と、は少なくとも一部が重なることが望ましい。
【0066】
さらに、第1の通気口36からも筐体15内に空気が取り込まれ、後面部22の第5の通気口40から筐体15外に排気される。また、筐体15の第3の通気口38や、電源部19の両側の側面通気口84を通じて第4の通気口39からも、筐体15内に空気が取り込まれ、第2の通気口37や第5の通気口40から排気される。
【0067】
仮に、筐体15に第1の通気口36が設けられていなかった場合には、第3の通気口38および第4の通気口39のみからしか筐体15内に空気が取り込まれないため、筐体15内の熱が効率よく放熱されない。
【0068】
また、照明装置本体11の光照射方向aが例えば鉛直角45度以上となる水平に近い傾斜姿勢とした場合でも、下面側の第1の通気口36から筐体15内の空気が取り込まれ、上面側の第2の通気口37から排気される通風路が形成されるため、筐体15内の熱が放熱される。
【0069】
このように、照明装置10では、筐体15の下面部25の前端側から後方向に離間した位置に電源部19が配設され、筐体15の下面部25の前端側から電源部19の前端側との間に第1の通気口36が設けられるため、光照射方向aを下方へ向けて使用する場合、筐体15の下部側に位置することになる第1の通気口36から筐体15内に空気を取り入れることができ、その空気の流れによって筐体15内の熱を筐体15の外に排出することができ、筐体15内の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0070】
筐体15の上面部23には、第1の通気口36よりも後方向となる位置に第2の通気口37が設けられるため、第1の通気口36から取り込まれた空気を筐体15内の対角に位置する第2の通気口37から排気する通風路を筐体15内に形成することができ、筐体15内の光源ユニット16の熱を効率よく放熱でき、筐体15内の温度上昇を抑制することができる。しかも、光源ユニット16が最も後方向に移動した状態で、光源51と第2の通気口37とが光照射方向aに交差する方向に重なる位置に配置されることにより、発熱源である光源51が上述の通風路中に配置され、光源51の熱を効率よく放熱でき、筐体15内の温度上昇を抑制することができる。
【0071】
軸71,72に沿って光源ユニット16を前後方向に移動させる移動機構17を備えているが、軸71,72の前端側を軸受する軸受部材73が第1の通気口36よりも後方向の位置に配設されるため、軸受部材73で第1の通気口36を塞いだり空気の流れを妨げるのを防止できる。
【0072】
なお、アーム装置12において、取付部材91の第1の取付状態では、照明装置本体11は、アーム90に対して光照射方向aが交差する照明装置本体の姿勢から、照明装置本体11の光照射方向aに対して反対側がアーム90と重なる方向に向けて90度以上に回動せず、照明装置本体11がアーム90に当接するが、取付部材91の第2の取付状態では、照明装置本体11は、アーム90に対して光照射方向aが交差する照明装置本体11の姿勢から、照明装置本体11の光照射方向aに対して反対側がアームと重なる方向に向けて90度以上に回動可能できるように構成してもよい。この場合、照明装置本体11の光照射方向aを真下に向けるのにも対応できる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10 照明装置
11 被支持物である照明装置本体
12 アーム装置
29 取手
90 アーム
91 取付部材
92 連結部
a 光照射方向
b 一の方向
c 中心線