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特開2024-67849空気入りタイヤおよびタイヤ成型用金型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067849
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】空気入りタイヤおよびタイヤ成型用金型
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20240510BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B60C11/12 A
B60C11/03 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178220
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】網本 光希
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC13
3D131BC15
3D131BC19
3D131BC20
3D131EB83V
3D131EB83W
3D131EB83X
3D131EB91V
3D131EB91W
3D131EB91X
3D131EB98V
3D131EB98W
3D131EB98X
3D131LA28
(57)【要約】
【課題】操縦安定性を向上させることができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】波型サイプ41が形成されたブロック30を含むトレッド20を有する空気入りタイヤ10であって、波型サイプ41は、ブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチPが大きくなると共に振幅Aが小さくなるように形成され、ピッチPは、ブロック30のタイヤ軸方向Wの中央を基準として端側に向かって大きくなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波型サイプが形成されたブロックを含むトレッドを有する空気入りタイヤであって、
前記波型サイプは、ブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチが大きくなると共に振幅が小さくなるように形成され、
前記ピッチは、前記ブロックのタイヤ軸方向の中央を基準として大きくなるように形成されている、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
波型サイプが形成されたブロックを含むトレッドを有する空気入りタイヤであって、
前記波型サイプは、ブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチが大きくなると共に振幅が小さくなるように形成され、
前記ピッチは、前記ブロックのタイヤ軸方向の一側を基準として大きくなるように形成されている、
空気入りタイヤ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気入りタイヤであって、
前記波型サイプは、前記底面側の厚さが前記ブロック表面側の厚さよりも大きくなるように形成されている、
空気入りタイヤ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の空気入りタイヤであって、
前記波型サイプは、屈曲部分とストレート部分とを含み、前記ストレート部分の厚さが前記屈曲部分の厚さよりも大きくなるように形成されている、
空気入りタイヤ。
【請求項5】
タイヤのトレッドのブロックにサイプを形成するためのサイプブレードを備えるタイヤ成型用金型であって、
前記サイプブレードは、タイヤ深さ方向から見て波型に形成され、
前記波型は、ブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチが大きくなると共に振幅が小さくなるように形成され、
前記ピッチは、タイヤ軸方向の中央を基準として大きくなるように形成されている、
タイヤ成型用金型。
【請求項6】
タイヤのトレッドのブロックにサイプを形成するためのサイプブレードを備えるタイヤ成型用金型であって、
前記サイプブレードは、タイヤ深さ方向から見て波型に形成され、
前記波型は、ブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチが大きくなると共に振幅が小さくなるように形成され、
前記ピッチは、タイヤ軸方向の一側を基準として大きくなるように形成されている、
タイヤ成型用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波型サイプが形成されたブロックを含むトレッドを有する空気入りタイヤ、および当該空気入りタイヤを成型するタイヤ成型用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、路面に接地する部分であるトレッドを有している。トレッドは、複数のブロックを含んでいる。各ブロックには、サイプが形成されている。サイプによれば、氷雪路においてエッジ効果および除水効果が得られる。空気入りタイヤのサイプは、タイヤ成型用金型が備えているサイプブレードを用いて成型される。
【0003】
例えば、特許文献1には、ブロック表面側から底面側に向かって波型のピッチが大きくなるように形成される共に波型の振幅が小さくなるように形成された波型サイプが開示されている。また、特許文献2には、ブロック表面側から底面側に向かって波型の振幅が小さくなるように形成された波型サイプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3682918号公報
【特許文献2】欧州特許第3805019号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1および特許文献2に開示された空気入りタイヤでは、操縦安定性について改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、操縦安定性を向上させることができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。また、操縦安定性を向上させることができる空気入りタイヤを成型するタイヤ成型金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気入りタイヤは、波型サイプが形成されたブロックを含むトレッドを有する空気入りタイヤであって、波型サイプは、ブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチが大きくなると共に振幅が小さくなるように形成され、ピッチは、ブロックのタイヤ軸方向の中央を基準として大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気入りタイヤによれば、操縦安定性を向上させることができる。また、本発明のタイヤ成型金型によれば、操縦安定性を向上させることができる空気入りタイヤを成型することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の一例である空気入りタイヤのブロックを示す模式平面図である。
図2】実施形態1の波型サイプのブロック表面側と底面側とを示す模式図である。
図3】実施形態2の波型サイプのブロック表面側と底面側とを示す模式図である。
図4】実施形態の他の一例である波型サイプのブロック表面側と底面側とを示す模式図である。
図5】実施形態の他の一例である波型サイプのブロック表面側と底面側とを示す模式図である。
図6】実施形態の一例であるタイヤ成型用金型を示す模式図である。
図7】実施形態1のサイプブレードを示す斜視図である。
図8】実施形態2のサイプブレードを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。
【0011】
[空気入りタイヤ]
図1を用いて、実施形態の一例である空気入りタイヤ10について説明する。
【0012】
図1に示すように、空気入りタイヤ10は、ブロック30を含むトレッド20を有している。また、ブロック30には、波型サイプ41が形成されている。空気入りタイヤ10によれば、詳細は後述するが、操縦安定性能を向上させることができる。
【0013】
以下では、タイヤ軸方向W、タイヤ周方向Sおよびタイヤ深さ方向Dに従って、各部材について説明する。また、タイヤ軸方向Wでは、赤道CLを用いて説明する場合もある。さらに、タイヤ深さ方向Dでは、タイヤ深さにおいてブロック表面側および底面側を用いて説明する場合がある。
【0014】
トレッド20は、空気入りタイヤ10において路面に接地する部分である。トレッド20は、主溝21と副溝22とによって区切られる複数のブロック30を有している。ブロック30は、それぞれ平面視にて赤道CLに向かうに従ってタイヤ軸方向Wの長さが小さくなる矩形状に形成され、トレッド20において整列して形成されている。ただし、本発明のブロック30は、本実施形態の矩形状に限定されることはない。本発明のブロック30は、主溝21と副溝22とで区切られていれば、ひし形でもよく、平行四辺形でもよく、特に形状が限定されることはない。
【0015】
主溝21は、タイヤ周方向Sに沿って延びる溝である。主溝21は、タイヤ周方向Sに沿って直線状に形成されている。副溝22は、タイヤ軸方向Wに沿って延びる溝である。副溝22は、タイヤ軸方向Wに沿って直線状に形成されている。ただし、本発明の主溝21または副溝22は、本実施形態の主溝21または副溝22の形状に限定されることはない。本発明では、主溝21がタイヤ周方向Sに対して傾斜して形成されていてもよく、副溝22がタイヤ軸方向Wに対して傾斜して形成されていてもよい。
【0016】
[実施形態1の波型サイプ]
図2を用いて、実施形態1の波型サイプ41について説明する。
【0017】
図2に示すように、ブロック30には、波型サイプ41が形成されている。波型サイプ41は、ブロック30のタイヤ周方向Sにおいて等間隔に例えば3本形成されている。波型サイプ41の溝の深さは、ブロック30のタイヤ深さ方向Dの長さの60~80%であることが好ましい。
【0018】
ただし、本発明の波型サイプ41は、本実施形態のタイヤ周方向Sにおいて等間隔に3本形成された波型サイプ41に限定されることはない。本発明の波型サイプ41は、ブロック30に3~5本形成されていてもよい。また、本発明の波型サイプ41は、タイヤ軸方向Wに対し傾斜して形成されていてもよい。さらに、本発明の波型サイプ41は、ブロック30のタイヤ軸方向Wの端側を貫通するオープンサイプであってもよく、ブロック30のタイヤ軸方向Wの端側を貫通しないクローズサイプであってもよい。
【0019】
波型サイプ41によれば、ブロック30を軟らかくして路面への接触面を増加させて路面との摩擦力を向上させている。また、波型サイプ41によれば、氷雪路においてエッジ効果および除水効果が得られる。エッジ効果とは、氷雪路においてブロック30または波型サイプ41の角部分で路面を引っ掻きグリップ力を増加させることができる効果である。除水効果とは、氷雪路において波型サイプ41の空隙に水を取り込むことができる効果である。
【0020】
波型サイプ41は、タイヤ深さ方向Dからみてブロック表面側から底面側まで波型に形成されている。波型サイプ41は、一般的なストレートサイプと比較して、上述したエッジ効果をさらに向上させることができる。本実施形態の波型は、タイヤ深さ方向Dからみて正弦波に近い波状に形成されている。ただし、本発明の波型は、正弦波に近い波状に限定されない。本発明の波型は、ジグザグ状の波型、ジグザグ状に近い波型、直線と曲線とを交互に組み合わせた波型、矩形波型等であってもよい。
【0021】
波型サイプ41は、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチPが大きくなるように形成されている。ここで、ピッチPとは、波型の波長であって、例えば波型サイプ41においてタイヤ周方向Sの一側に最も膨出する部分から隣接するタイヤ周方向Sの一側に最も膨出する部分までのタイヤ軸方向Wの長さである。
【0022】
ピッチPは、ブロック30のタイヤ軸方向Wの中央を基準として大きくなるように形成されている。換言すれば、ピッチPは、ブロック30のタイヤ軸方向Wの中央を基準として、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って大きくなるように形成されている。
【0023】
また、波型サイプ41は、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って振幅Aが小さくなるように形成されている。ここで、振幅Aとは、波型の振幅であって、例えば波型サイプ41においてタイヤ周方向Sの一側に最も膨出する部分から隣接するタイヤ周方向Sの他側に最も膨出する部分までのタイヤ周方向Sの長さである。
【0024】
振幅Aは、基準線RLを基準として小さくなるように形成されている。ここで、基準線RLとは、波型サイプ41の厚み(タイヤ周方向Sの長さ)の中心に波型サイプ41の形成方向に沿った線である。換言すれば、振幅Aは、基準線RLを基準として、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って小さくなるように形成されている。
【0025】
波型サイプ41を上述した構成とすることによって、ブロック30のタイヤ軸方向Wの端側のブロック剛性を向上させることができる。その結果、空気入りタイヤ10の操縦安定性を向上させることができる。
【0026】
より詳細には、波型サイプ41を上述した構成とすることによって、ブロック30の端側では、波型による凹凸がブロック表面側から底面側に向かうに従ってタイヤ軸方向Wの端側に拡がる斜め方向に形成される。そのため、ブロック30の端側では、タイヤ周方向Sからの荷重に対し、小ブロック(ブロック30の波型サイプ41で区切られた部分)同士の締結力が増加して、小ブロックの倒れ込みが防止され、ブロック剛性を向上させることができる。
【0027】
このようにして、一般的にブロック30の端側では、中央よりもブロック剛性が低下するものの、波型サイプ41を上述した構成とすることによって、ブロック30の端側のブロック剛性を向上させることができる。その結果、空気入りタイヤ10の操縦安定性を向上させることができる。
【0028】
[実施形態2の波型サイプ]
図3を用いて、実施形態2の波型サイプ42について説明する。
【0029】
図3に示すように、波型サイプ42は、タイヤ深さ方向Dからみてブロック表面側から底面側まで波型に形成されている。以下では、波型サイプ42について上述した波型サイプ41と異なる構成についてのみ説明し、波型サイプ41と同様の構成については説明を省略する。
【0030】
波型サイプ42は、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチPが大きくなるように形成されている。ピッチPは、ブロック30のタイヤ軸方向Wの一側を基準として大きくなるように形成されている。換言すれば、ピッチPは、ブロック30のタイヤ軸方向Wの一側を基準として、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って大きくなるように形成されている。また、ブロック30のタイヤ軸方向Wの一側とは、タイヤ軸方向Wの赤道CL側であることが好ましい。
【0031】
また、波型サイプ42は、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って振幅Aが小さくなるように形成されている。振幅Aは、基準線RLを基準として小さくなるように形成されている。換言すれば、振幅Aは、基準線RLを基準として、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って小さくなるように形成されている。
【0032】
波型サイプ42を上述した構成とすることによって、ブロック30のタイヤ軸方向Wの他側のブロック剛性を向上させることができる。その結果、空気入りタイヤ10の操縦安定性を向上させることができる。
【0033】
より詳細には、波型サイプ42を上述した構成とすることによって、ブロック30のタイヤ軸方向Wの他側では、波型による凹凸がブロック表面側から底面側に向かうに従ってタイヤ軸方向Wの他側に拡がる斜め方向に形成される。そのため、ブロック30のタイヤ軸方向Wの他側では、タイヤ周方向Sからの荷重に対し、小ブロック同士の締結力が増加して、小ブロックの倒れ込みが防止されて、ブロック剛性を向上させることができる。
【0034】
特に、ブロック30のタイヤ軸方向Wの一側をタイヤ軸方向Wの赤道側としたことによって、ブロック30のタイヤ軸方向Wのショルダ側のブロック剛性を向上させることができる。これにより、コーナリング時のショルダ側へのブロック倒れ込みが抑制されるため、空気入りタイヤ10のコーナリング力を向上させることができる。
【0035】
[別実施形態]
図4および図5を用いて、実施形態の他の一例について説明する。
【0036】
図4に示すように、上述した実施形態1の波型サイプ41において、波型サイプ41の底面側の厚さ(タイヤ周方向Sの長さ)が波型サイプ41のブロック表面側の厚さよりも大きくなるように形成されていてもよい。また、波型サイプ41の厚さは、ブロック表面側から底面側に向かって連続的に大きくなるように形成されていてもよい。
【0037】
ここで、一般的に、ブロック30は、摩耗することによって動きが鈍くなるため、ブロック剛性が必要以上に高くなる。そこで、波型サイプ41を底面側の厚さがブロック表面側の厚さよりも大きくなるように形成することによって、ブロック剛性が必要以上に高くなることを抑制することができる。
【0038】
また、上述した実施形態1の波型サイプ41では、ブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチPが大きくなると共に振幅Aが小さくなるように形成されるため、摩耗することによってエッジ長さが短くなり、エッジ効果が低下する。そこで、波型サイプ41を底面側の厚さが波ブロック表面側の厚さよりも大きくなるように形成することによって、摩耗後の除水効果を向上させて、ウエット性能の低下を抑制している。
【0039】
なお、上述した実施形態2の波型サイプ42において、波型サイプ42の底面側の厚さが波型サイプ42のブロック表面側の厚さよりも大きくなるように形成されていてもよい。
【0040】
図5に示すように、上述した実施形態1の波型サイプ41において、波型サイプ41は、さらに屈曲部分41Aとストレート部分41Bとを含んで形成されてもよい。また、波型サイプ41は、ストレート部分41Bの厚さが屈曲部分41Aの厚さよりも大きくなるように形成されてもよい。
【0041】
波型サイプ41を上述した構成とすることによって、波型サイプ41が閉じる際に屈曲部分41Aがストレート部分41Bよりも先に密着し、ストレート部分41Bには隙間が生じる。これにより、エッジ効果および除水効果を向上させることができる。特に、上述した実施形態1の波型サイプ41では、ブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチPが大きくなると共に振幅Aが小さくなるように形成されるため、摩耗することによってエッジ長さが短くなり、エッジ効果が低下する。そこで、波型サイプ41を上述した構成とすることによって、摩耗後の除水効果を向上させて、ウエット性能の低下を抑制している。
【0042】
なお、上述した実施形態2の波型サイプ42において、波型サイプ42は、さらに屈曲部分とストレート部分とを含んで形成されてもよい。また、波型サイプ42は、ストレート部分の厚さが屈曲部分の厚さよりも大きくなるように形成されてもよい。
【0043】
[タイヤ成型用金型]
図6を用いて、実施形態の一例である金型50について説明する。
【0044】
タイヤ成型用金型としての金型50は、上述した空気入りタイヤ10を成型する金型である。空気入りタイヤ10は、上述したように波型サイプ41が形成されたブロック30を含むトレッド20と、側面を形成するサイドウォール(図示なし)とを有している。金型50によれば、操縦安定性能を向上させることができる空気入りタイヤ10を成型することができる。
【0045】
以下では、金型50によって成型される上述した空気入りタイヤ10のタイヤ軸方向W、タイヤ周方向Sおよびタイヤ深さ方向Dに従って、各部材について説明する。
【0046】
金型50は、空気入りタイヤ10のトレッド20の表面を成型するトレッド金型51と、サイドウォールの表面を成型する一対のサイド金型52とを有している。
【0047】
トレッド金型51は、トレッド成形面53を有する本体54と、トレッド成形面53から突出している突起55と、トレッド成形面53から突出して突起55同士の間に設けられるサイプブレード61とを有している。
【0048】
本体54は、金属材料によって構成され、例えばアルミニウム合金から構成されている。アルミニウム合金として、例えばAC4系、AC7系等が好適に用いられる。突起55は、空気入りタイヤ10に主溝21を成型する部分である。突起55は、本体54を構成する金属材料と同じ材料である。
【0049】
[実施形態1のサイプブレード]
図7を用いて、実施形態1のサイプブレード61について説明する。
【0050】
サイプブレード61は、上述した空気入りタイヤ10の波型サイプ41を成型する。サイプブレード61は、突起55同士の間においてトレッド成形面53からタイヤ深さ方向Dに突出している。サイプブレード61は、平板状であって金属材料から構成され、例えばステンレス鋼から構成されてもよい。ステンレス鋼として、例えばSUS303、SUS304、SUS630、SUS631等が好適に用いられる。また、3次元造型機を用いる場合、SUS304L、SUS630相当材の17-4PH等が好適に用いられる。
【0051】
サイプブレード61の一般的な加工方法については、プレス成型機を用いて形状を形成する。本実施形態のサイプブレード61のように厚み方向に形状変化がある場合の加工方法は、機械加工を用い切削加工による形状を形成する。また、3次元造型機を用いることで、機械加工では難しい複雑な形状を形成してもよい。
【0052】
図7に示すように、サイプブレード61は、タイヤ深さ方向Dからみてブロック表面側から底面側まで波型に形成されている。本実施形態の波型は、タイヤ深さ方向Dからみて正弦波に近い波状に形成されている。ただし、本発明の波型は、正弦波に近い波状に限定されない。本発明の波型は、ジグザグ状の波型、ジグザグ状に近い波型、直線と曲線とを交互に組み合わせた波型、矩形波型等であってもよい。
【0053】
サイプブレード61は、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチPが大きくなるように形成されている。ここで、ピッチPとは、波型の波長であって、例えばサイプブレード61においてタイヤ周方向Sの一側に最も膨出する部分から隣接するタイヤ周方向Sの一側に最も膨出する部分までのタイヤ軸方向Wの長さである。
【0054】
ピッチPは、サイプブレード61のタイヤ軸方向Wの中央を基準として大きくなるように形成されている。換言すれば、ピッチPは、サイプブレード61のタイヤ軸方向Wの中央を基準として、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って大きくなるように形成されている。
【0055】
また、サイプブレード61は、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って振幅Aが小さくなるように形成されている。ここで、振幅Aとは、波型の振幅であって、例えばサイプブレード61においてタイヤ周方向Sの一側に最も膨出する部分から隣接するタイヤ周方向Sの他側に最も膨出する部分までのタイヤ周方向Sの長さである。
【0056】
[実施形態2のサイプブレード]
図8を用いて、実施形態2のサイプブレード62について説明する。
【0057】
図8に示すように、サイプブレード62は、タイヤ深さ方向Dからみてブロック表面側から底面側まで波型に形成されている。サイプブレード62は、上述した空気入りタイヤ10の波型サイプ42を成型する。以下では、サイプブレード62について上述したサイプブレード61と異なる構成についてのみ説明し、サイプブレード61と同様の構成については説明を省略する。
【0058】
サイプブレード62は、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従ってピッチPが大きくなるように形成されている。ピッチPは、サイプブレード62のタイヤ軸方向Wの一側を基準として大きくなるように形成されている。換言すれば、ピッチPは、サイプブレード62のタイヤ軸方向Wの一側を基準として、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って大きくなるように形成されている。また、ブロック30のタイヤ軸方向Wの一側とは、タイヤ軸方向Wの赤道CL側であることが好ましい。
【0059】
また、サイプブレード62は、タイヤ深さ方向Dに沿ってブロック表面側から底面側に向かうに従って振幅Aが小さくなるように形成されている。
【0060】
なお、本発明は上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
10 空気入りタイヤ、20 トレッド、21 主溝、22 副溝、30 ブロック、41 波型サイプ、41A 屈曲部分、41B ストレート部分、42 波型サイプ、50 金型、51 トレッド金型、52 サイド金型、53 トレッド成形面、54 本体、55 突起、61 サイプブレード、41A 屈曲部分、41B ストレート部分、61 サイプブレード、62 サイプブレード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8