(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067865
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3287 20190101AFI20240510BHJP
G06F 1/3203 20190101ALI20240510BHJP
【FI】
G06F1/3287
G06F1/3203
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178244
(22)【出願日】2022-11-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 智士
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA02
5B011EA04
5B011EA05
5B011JA01
5B011LL11
5B011MB11
(57)【要約】
【課題】電源供給が再開されたときに無線通信回路を起動させる。
【解決手段】無線通信回路2は、無線通信を実行する。また、無線通信回路2は、無線通信回路2を起動するための制御信号が入力される制御端子2aを有する。主制御回路3は、制御端子5aから制御端子2aに対する制御信号の出力を制御して無線通信回路2の起動を制御する。電源制御回路4は、情報処理装置1の各部に対する電源電圧の供給を制御する。また、電源制御回路4は、制御端子2aに接続された制御端子4aを有する。そして、電源制御回路4は、情報処理装置1に対する電源電圧の供給が停止した状態から、電源電圧の供給が開始されると、主制御回路3を休止させた状態で起動し、制御端子4aから制御信号を出力して無線通信回路2を起動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置において、
無線通信を実行する無線通信回路であって、前記無線通信回路を起動するための制御信号が入力される第1の制御端子を有する前記無線通信回路と、
第2の制御端子から前記第1の制御端子に対する前記制御信号の出力を制御して前記無線通信回路の起動を制御する主制御回路と、
前記情報処理装置の各部に対する電源電圧の供給を制御する電源制御回路と、
を有し、
前記電源制御回路は、
前記第1の制御端子に接続された第3の制御端子を有し、
前記情報処理装置に対する前記電源電圧の供給が停止した状態から、前記電源電圧の供給が開始されると、前記主制御回路を休止させた状態で起動し、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記電源制御回路は、前記情報処理装置に対する前記電源電圧の供給が停止した状態から、前記電源電圧の供給が開始されて起動したとき、前記情報処理装置が、前記主制御回路が休止している状態でも前記無線通信回路を起動させておく特定の動作モードに設定されている場合に、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させる、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置に対する前記電源電圧の供給が停止した状態から、前記電源電圧の供給が開始され、前記主制御回路が休止した状態で前記電源制御回路が起動したとき、
前記情報処理装置が第1の動作モードに設定されている場合には、前記電源制御回路は、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させ、
前記情報処理装置が第2の動作モードに設定されている場合には、前記電源制御回路は、前記無線通信回路を休止状態のままにし、前記情報処理装置の起動操作が行われて前記主制御回路が起動すると、前記主制御回路は、前記第2の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させる、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電源制御回路は、前記主制御回路が稼働している状態から、前記情報処理装置のシャットダウン操作が行われたとき、前記主制御回路が休止した後に、前記第3の制御端子からの前記制御信号の出力を制御して前記無線通信回路をリセットし、稼働状態にする、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電源制御回路は、前記無線通信回路をリセットして稼働状態にした状態において、電源ボタンの長押し操作が行われると、前記第3の制御端子からの前記制御信号の出力を維持して前記無線通信回路を稼働状態のままにする、
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の制御端子からグランドまでの信号経路上に、前記信号経路を遮断する第1のスイッチおよび第2のスイッチが順に直列に接続され、
前記第2の制御端子は前記第1のスイッチの動作を制御する第4の制御端子に接続され、前記第4の制御端子からの出力信号により前記第1のスイッチを導通させることで前記第1の制御端子に前記制御信号を入力させ、
前記第3の制御端子は、前記第1の制御端子と前記第1のスイッチとの間に接続され、
前記電源制御回路は、
前記第2のスイッチの動作を制御する第5の制御端子を有し、
前記情報処理装置に対する前記電源電圧の供給が停止した状態から、前記電源電圧の供給が開始され、前記主制御回路を休止させた状態で起動したとき、前記第5の制御端子からの出力信号により前記第2のスイッチを導通させた状態で、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させる、
請求項1記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置を紛失した場合、その情報処理装置に記憶された情報の流出が大きな問題となる。このような情報流出を防止するために、遠隔操作によって情報処理装置のロックやデータ消去を可能にする技術がある。例えば、ロック命令が記述された電子メールなどのメッセージを無線通信により情報処理装置に送信することで、その情報処理装置の操作をロックする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の例のように、情報処理装置のロックやデータ消去を遠隔操作によって実行させるためには、その実行指示が無線通信によって情報処理装置に送信される。この場合、情報処理装置がシャットダウンされた状態でも、情報処理装置が備える無線通信回路を稼働させておくことが望ましい。
【0005】
ここで、情報処理装置に搭載される無線通信回路の中には、情報処理装置のCPU(Central Processing Unit)の制御によって無線通信回路の起動が制御されるものがある。一方、一般的に情報処理装置の中には、電源供給が停止し、その後に電源供給が再開された場合、CPUが起動せず、情報処理装置がシャットダウン状態のままになるものが多い。このような仕様の情報処理装置に対して、上記のようにCPUの制御によって起動が制御される無線通信回路が搭載された場合には、情報処理装置に対する電源供給が停止し、その後に電源供給が再開されたときに、CPUが起動しないので、CPUによって無線通信回路を起動させることができないという問題がある。
【0006】
また、このような問題は、遠隔操作によってロックやデータ消去が実行される場合に限らず、CPUが休止したシャットダウン状態でも無線通信回路を稼働させておく仕様の情報処理装置一般に生じ得る。
【0007】
1つの側面では、本発明は、電源供給が再開されたときに無線通信回路を起動させることが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの案では、無線通信回路、主制御回路および電源制御回路を有する情報処理装置が提供される。この情報処理装置において、無線通信回路は、無線通信を実行する。また、無線通信回路は、無線通信回路を起動するための制御信号が入力される第1の制御端子を有する。主制御回路は、第2の制御端子から第1の制御端子に対する制御信号の出力を制御して無線通信回路の起動を制御する。電源制御回路は、情報処理装置の各部に対する電源電圧の供給を制御する。また、電源制御回路は、第1の制御端子に接続された第3の制御端子を有する。そして、電源制御回路は、情報処理装置に対する電源電圧の供給が停止した状態から、電源電圧の供給が開始されると、主制御回路を休止させた状態で起動し、第3の制御端子から制御信号を出力して無線通信回路を起動させる。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面では、電源供給が再開されたときに無線通信回路を起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態に係る情報処理装置の構成例および処理例を示す図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図3】情報処理装置が備える処理機能の構成例を示す図である。
【
図4】遠隔ロック/ロック解除/データ消去の処理手順を示すシーケンス図の例である。
【
図5】WWANモジュールの起動制御に関する構成の第1の比較例を示す図である。
【
図6】WWANモジュールの起動制御に関する構成の第2の比較例を示す図である。
【
図7】シャットダウン/起動の際の電源制御シーケンスの比較例を示す図である。
【
図8】バッテリ断や電源ボタン長押しが発生した場合の制御の比較例を示す図である。
【
図9】第2の実施の形態におけるシャットダウン/起動の際の電源制御シーケンスを示す図である。
【
図10】
図9のような電源制御シーケンスを可能にするための回路構成例を示す図である。
【
図11】
図10の回路構成と等価な論理回路を示す第1の図である。
【
図12】
図10の回路構成と等価な論理回路を示す第2の図である。
【
図13】第2の実施の形態においてバッテリ断や電源ボタン長押しが発生した場合の制御例を示す図である。
【
図14】遠隔操作モードのアクティベーション処理の手順を示すフローチャートの例である。
【
図15】遠隔操作モードでのシャットダウン処理の手順を示すフローチャートの例である。
【
図16】電源状態S4またはS5からの起動処理の手順を示すフローチャートの例である。
【
図17】電源状態G3からの復帰処理の手順を示すフローチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
【0013】
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置の構成例および処理例を示す図である。
図1に示す情報処理装置1は、無線通信回路2、主制御回路3、電源制御回路4および信号出力回路5を有する。
【0014】
無線通信回路2は、無線通信を実行する。この無線通信回路2は、無線通信回路2を起動するための制御信号が入力される制御端子2aを有する。
【0015】
主制御回路3は、制御端子5aから制御端子2aに対する制御信号の出力を制御して、無線通信回路2の起動を制御する。
図1では例として、情報処理装置1は、制御端子5aを備えた信号出力回路5を有する。この場合、主制御回路3は、制御端子5aからの制御信号の出力を信号出力回路5に対して指示する。
【0016】
電源制御回路4は、情報処理装置1の各部に対する電源電圧の供給を制御する。この電源制御回路4は、制御端子2aに接続された制御端子4aを有しており、制御端子4aから制御端子2aに対して制御信号を出力できるようになっている。
【0017】
ここで、本実施の形態では、主制御回路3が休止したシャットダウン状態でも無線通信回路2を稼働させる仕様となっている。これにより、シャットダウン状態でも、無線通信回路2が所定の情報を無線通信によって受信することが可能となる。
【0018】
一方、上記のように、無線通信回路2の起動は、主制御回路3の制御の下で制御端子5aから出力される制御信号に基づいて行われる。この場合、情報処理装置1に対する電源電圧の供給が停止した状態から、電源電圧の供給が開始された場合に、無線通信回路2を起動させることができないという問題がある。これは、情報処理装置1に対する電源電圧の供給が停止した状態から、電源電圧の供給が開始された場合、主制御回路3を休止させた状態で電源制御回路4が起動するからである。この状態では、主制御回路3が休止しているので、主制御回路3の制御によって制御端子5aから制御信号を出力させることができず、その結果として無線通信回路2を起動させることができない。
【0019】
このような問題に対して、本実施の形態では、制御端子2aに接続された制御端子4aが電源制御回路4に設けられている。これにより、主制御回路3が休止した状態でも、電源制御回路4の制御によって無線通信回路2を起動させることが可能となる。
【0020】
すなわち、情報処理装置1に対する電源電圧の供給が停止した状態から、電源電圧の供給が開始されると、上記のように、主制御回路3を休止させた状態で電源制御回路4が起動する。すると、起動した電源制御回路4は、制御端子4aから制御端子2aに対して制御信号を出力して、無線通信回路2を起動させる。
【0021】
このように、本実施の形態の情報処理装置1は、情報処理装置1に対する電源供給が停止した後、電源供給が再開されたときに無線通信回路2を起動させることができる。これにより、シャットダウン状態でも無線通信回路2を確実に稼働させることが可能になる。
【0022】
〔第2の実施の形態〕
【0023】
次に、遠隔操作によるロック/データ消去が可能な情報処理装置について例示する。
【0024】
図2は、第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図2に示す情報処理装置10は、ノート型PC(Personal Computer)、タブレット端末などの可搬型のコンピュータである。
図2に示すように、情報処理装置10は、CPU11、RAM12、PCH(Platform Controller Hub)13、SSD(Solid State Drive)14、BIOS(Basic Input/Output System)メモリ15、WWAN(Wireless Wide Area Network)モジュール16およびEC(Embedded Controller)17を備える。
【0025】
CPU11は、情報処理装置10全体を統括的に制御するメインプロセッサである。なお、CPU11は、
図1に示した主制御回路3の一例である。
【0026】
RAM12は、情報処理装置10の主記憶装置として使用される。RAM12には、CPU11に実行させるOS(Operating System)プログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM12には、CPU11による処理に必要な各種データが格納される。
【0027】
PCH13は、CPU11と、SSD14、BIOSメモリ15、WWANモジュール16およびEC17との間のデータ入出力処理を制御する制御プロセッサである。なお、PCH13は、
図1に示した信号出力回路5の一例である。
【0028】
SSD14は、情報処理装置10の補助記憶装置として使用される。SSD14には、OSプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、補助記憶装置としては、HDD(Hard Disk Drive)などの他の種類の不揮発性記憶装置を使用することもできる。
【0029】
BIOSメモリ15は、BIOSプログラムを格納する不揮発性メモリである。
【0030】
WWANモジュール16は、WWANとの間で無線通信を行う無線通信モジュールであり、例えばプロセッサ16aおよびメモリ16bを備えている。本実施の形態において、WWANモジュール16は、USB(Universal Serial Bus)またはPCIe(Peripheral Component Interconnect-Express)によってPCH13に接続される。なお、WWANモジュール16は、
図1に示した無線通信回路2の一例である。
【0031】
EC17は、電源制御用のマイクロコントローラであり、例えばプロセッサ17aおよびメモリ17bを備えている。なお、EC17は、
図1に示した電源制御回路4の一例である。
【0032】
EC17は、図示しないバッテリや外部AC(Alternating Current)電源から情報処理装置10の各部に対する電力供給を制御する。例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)規格における電源状態S0(情報処理装置10の稼働状態)では、EC17はCPU11に電力が供給されるように制御し、CPU11を起動させる。また、ユーザによるシャットダウン操作が行われると、EC17は情報処理装置10を電源状態S4(ハイバネーション)またはS5(シャットダウン)に遷移させる。電源状態S4またはS5では、EC17はCPU11への電力供給を停止させ、CPU11を休止させる。なお、電源状態S4またはS5ではEC17は稼働しており、EC17は、情報処理装置10の起動操作(例えば電源ボタンの押下操作)に応じて情報処理装置10を電源状態S0に遷移させる。
【0033】
上記の情報処理装置10は、外部からの指示に応じて、情報処理装置10の動作をロックしたり、ロックを解除したり、SSD14のデータを消去する機能を備えている。具体的には、外部の端末装置(図示せず)から管理サーバ(図示せず)に対してロック、ロック解除またはデータ消去が指示されると、管理サーバから情報処理装置10に対して無線によりロック、ロック解除またはデータ消去の指示メッセージが送信される。この指示メッセージは、例えばSMS(Short Message Service)によって送信される。情報処理装置10において、この指示メッセージをWWANモジュール16が受信すると、BIOSメモリ15に格納された専用プログラムにしたがって、指示に応じたロック、ロック解除またはデータ消去が実行される。なお、例えば、データ消去を可能にするためにSSD14にはデータが暗号化して格納され、データ消去の際には暗号化のための暗号鍵が消去される。
【0034】
以下、遠隔操作による情報処理装置10のロック動作を「遠隔ロック」と記載し、遠隔操作による情報処理装置10のロック解除動作を「遠隔ロック解除」と記載し、遠隔操作によるデータ消去動作を「遠隔データ消去」と記載する場合がある。また、これらを区別せずに表現する際には「遠隔ロック/ロック解除/データ消去」と記載する場合がある。
【0035】
図3は、情報処理装置が備える処理機能の構成例を示す図である。
図3に示すように、情報処理装置10は、BIOS110、電源制御部120、通信制御部130および記憶部115,125,135を備える。
【0036】
BIOS110の処理は、BIOSメモリ15に格納されたBIOSプログラムをCPU11が実行することで実現される。記憶部115は、BIOS110(すなわちCPU11)からアクセス可能な記憶領域である。例えば、記憶部115は、BIOSメモリ15に確保される記憶領域である。
【0037】
記憶部115には、モジュール情報116と動作モード情報117が記憶される。モジュール情報116は、情報処理装置10に搭載されたWWANモジュール16の情報を示す。具体的には、モジュール情報116は、WWANモジュール16がUSBとPCIeのどちらで接続されているかを示す情報、WWANモジュール16が遠隔操作モードに対応しているかを示す情報、電源制御シーケンスに関する情報などを含む。動作モード情報117は、遠隔ロック/ロック解除/データ消去に関する動作モードを示す。この動作モードは、遠隔ロック/ロック解除/データ消去機能が有効な「遠隔操作モード」と、遠隔ロック/ロック解除/データ消去機能が無効な「通常モード」のいずれかを示す。
【0038】
BIOS110は、情報処理装置10の起動時におけるハードウェアの初期化やOSの起動指示などを実行する。BIOS110は、モジュール起動処理部111とロック/データ消去処理部112を備える。
【0039】
モジュール起動処理部111は、WWANモジュール16の起動処理や終了処理を、モジュール情報116および動作モード情報117に応じたシーケンスにしたがって実行する。ロック/データ消去処理部112は、遠隔ロックや遠隔ロック解除、遠隔データ消去の処理を実行する。
【0040】
電源制御部120の処理は、EC17によって実現される。例えば、電源制御部120の処理は、EC17のプロセッサ17aが所定のプログラムを実行することで実現される。記憶部125は、電源制御部120(すなわちEC17)からアクセス可能な記憶領域である。例えば、記憶部125は、EC17のメモリ17bに確保される記憶領域である。
【0041】
記憶部125には、モジュール情報126および動作モード情報127が記憶される。モジュール情報126は、モジュール情報116と同様に、情報処理装置10に搭載されたWWANモジュール16の情報を示す。動作モード情報127は、動作モード情報117と同様に、遠隔ロック/ロック解除/データ消去に関する動作モードを示す。
【0042】
電源制御部120は、情報処理装置10の電源オン/オフを操作するための電源スイッチ(図示せず)の操作や、バッテリおよび外部AC電源からの電力供給状態に応じて、情報処理装置10の状態を制御する。電源制御部120は、モジュール起動処理部121とメッセージ受信処理部122を備える。
【0043】
モジュール起動処理部121は、WWANモジュール16の起動処理や終了処理を、モジュール情報126および動作モード情報127に応じたシーケンスにしたがって実行する。メッセージ受信処理部122は、管理サーバから遠隔ロック/ロック解除/データ消去の実行指示メッセージを受信したことがWWANモジュール16から通知されると、その旨をBIOS110に通知する。BIOS110(すなわちCPU11)が起動していない場合、メッセージ受信処理部122は、BIOS110を起動する。このような動作を契機として、BIOS110のロック/データ消去処理部112による遠隔ロック/ロック解除/データ消去の処理が開始される。
【0044】
通信制御部130の処理は、WWANモジュール16によって実現される。記憶部135は、通信制御部130およびBIOS110からアクセス可能な記憶領域である。例えば、記憶部135は、WWANモジュール16のメモリ16bに確保される記憶領域である。
【0045】
記憶部135には、遠隔指示情報136が記憶される。遠隔指示情報136は、管理サーバから受信した遠隔ロック/ロック解除/データ消去の実行指示メッセージの内容を示す。通信制御部130は、無線通信を制御する。また、通信制御部130は、上記の実行指示メッセージを管理サーバから受信すると、受信した実行指示メッセージの内容を遠隔指示情報136に設定し、実行指示メッセージを受信したことを電源制御部120に通知する。前述のように、この通知は電源制御部120のメッセージ受信処理部122からBIOS110に受け渡される。BIOS110が起動していない場合、BIOS110が起動される。BIOS110のロック/データ消去処理部112は、遠隔指示情報136を読み込み、指示された処理を実行する。
【0046】
ところで、上記のように、遠隔ロック/ロック解除/データ消去の実行は、管理サーバから無線送信された指示メッセージをWWANモジュール16が受信することで開始される。指示メッセージは、情報処理装置10がシャットダウンの状態でも管理サーバから送信される可能性がある。このため、電源制御部120のモジュール起動処理部121は、情報処理装置10がシャットダウンの状態でも、指示メッセージを受信できるようにWWANモジュール16を稼働状態のままにするように制御する。
【0047】
図4は、遠隔ロック/ロック解除/データ消去の処理手順を示すシーケンス図の例である。
図4の初期状態では、情報処理装置10は電源状態S4(ハイバネーション)または電源状態S5(シャットダウン)であるとする。電源状態S4,S5では、CPU11の動作は停止しているがEC17は稼働状態であり、遠隔ロック/ロック解除/データ消去が有効な状態ではさらにWWANモジュール16も稼働状態となっている。
【0048】
ユーザが操作する端末装置(図示せず)から管理サーバ20に対して、遠隔ロック、遠隔ロック解除または遠隔データ消去の実行要求が送信される。管理サーバ20は、この実行要求を受信すると(ステップST11)、要求された処理の実行を指示する指示メッセージを情報処理装置10に無線送信する(ステップST12)。この指示メッセージは、SMSメッセージとして送信される。
【0049】
情報処理装置10において、通信制御部130(WWANモジュール16)は、指示メッセージを受信すると、指示メッセージの内容を遠隔指示情報136として記憶部135に設定する(ステップST13)。遠隔指示情報136には、遠隔ロック、遠隔ロック解除、遠隔データ消去のうちのどの動作の実行が指示されたかを示す情報が記述される。そして、通信制御部130は、指示メッセージを受信したことを電源制御部120(EC17)に通知する(ステップST14)。電源制御部120のメッセージ受信処理部122は、情報処理装置10を電源状態S0(稼働状態)に遷移させる。これにより、CPU11が起動してBIOSプログラムを実行することでBIOS110が起動する(ステップST15)。
【0050】
BIOS110のロック/データ消去処理部112は、記憶部135の遠隔指示情報136を参照する。遠隔ロック、遠隔ロック解除または遠隔データ消去の実行が指示されていた場合、ロック/データ消去処理部112は、指示された処理を実行する(ステップST16)。指示された処理が完了すると、ロック/データ消去処理部112は、処理結果を通信制御部130に通知する(ステップST17)。処理が正常に完了した場合、その旨が処理結果として通知される。通信制御部130は、通知された処理結果を管理サーバ20に対して無線により返信する(ステップST18)。
【0051】
以上の手順により、CPU11が休止し、BIOS110が起動していない状態でも、情報処理装置10は、管理サーバ20からの指示メッセージをWWANモジュール16によって受信し、指示メッセージに基づいて遠隔ロック/ロック解除/データ消去を実行することができる。なお、BIOS110が起動している状態で指示メッセージが送信された場合には、例えば、ステップST13で指示メッセージの内容が遠隔指示情報136として設定された後、指示メッセージの受信がEC17を介してBIOS110に通知される。BIOS110のロック/データ消去処理部112がこの通知に応じてステップST16の処理を実行し、以後、ステップST17,ST18の処理が実行される。
【0052】
次に、WWANモジュールの起動制御について説明する。
図5は、WWANモジュールの起動制御に関する構成の第1の比較例を示す図である。
図5では、USB接続のWWANモジュール16-1について例示する。この場合、WWANモジュール16-1には、3Vの電源電圧が供給されるVCC端子と、WWANモジュール16-1の起動制御のためのFCPO端子が設けられる。
【0053】
FCPO端子に対する制御信号は、EC17-1に設けられたGPIO_a端子から出力される。GPIO_a端子からFCPO端子への信号線は3V電源に接続されており、EC17-1は、GPIO_a端子の出力をハイにすることでWWANモジュール16-1を起動させ、GPIO_a端子の出力をローにすることでWWANモジュール16-1を休止させることができる。また、EC17-1は、GPIO_a端子の出力をハイからローにし、ハイに戻すことでWWANモジュール16-1をリセットすることができる。
【0054】
これに対して、本実施の形態で用いられるWWANモジュール16には、USB接続のWWANモジュールとPCIe接続のWWANモジュールのどちらかが搭載される。この場合のWWANモジュール16の起動制御に関する構成の比較例を次の
図6に示す。
【0055】
図6は、WWANモジュールの起動制御に関する構成の第2の比較例を示す図である。
図6に示すように、WWANモジュール16には、VCC端子、FCPO端子、RESET端子およびPERST端子が設けられる。
【0056】
WWANモジュール16がUSBで接続されている場合、
図5と同様にWWANモジュール16の起動制御はFCPO端子だけを用いて行われる。一方、WWANモジュール16がPCIeで接続されている場合、WWANモジュール16の起動制御のために、FCPO端子、RESET端子、PERST端子に対してそれぞれPCH13のGPIO_1端子、GPIO_2端子、GPIO_3端子から制御信号が入力される仕様になっている。
【0057】
図6の例では、EC17-1のGPIO_a端子は、ダイオード(ショットキーバリアダイオード)151を介してWWANモジュール16のFCPO端子と接続されている。FET(Field Effect Transistor)152は、ダイオード151とFCPO端子との間とグランド(GND)との導通/遮断を制御するNチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)である。FET152のゲート端子はPCH13のGPIO_1端子と接続されている。GPIO_1端子からFET152への信号線は3V電源に接続されているので、GPIO_1端子の出力がハイのときFET152が導通状態となってFCPO端子の入力がローになり、GPIO_1端子の出力がローのときFET152が遮断状態となってFCPO端子の入力がハイになる。
【0058】
FET153は、WWANモジュール16のRESET端子とグランドとの導通/遮断を制御するNチャネルMOSFETである。FET153のゲート端子はPCH13のGPIO_2端子と接続されている。GPIO_2端子からFET153への信号線は3V電源に接続されているので、GPIO_2端子の出力がハイのときFET153が導通状態となってRESET端子の入力がローになり、GPIO_2端子の出力がローのときFET153が遮断状態となってRESET端子の入力がハイになる。
【0059】
FET154は、WWANモジュール16のPERST端子とグランドとの導通/遮断を制御するNチャネルMOSFETである。FET154のゲート端子はPCH13のGPIO_3端子と接続されている。GPIO_3端子からFET154への信号線は3V電源に接続されているので、GPIO_3端子の出力がハイのときFET154が導通状態となってPERST端子の入力がローになり、GPIO_3端子の出力がローのときFET154が遮断状態となってPERST端子の入力がハイになる。
【0060】
上記構成において、EC17-1はCPU11が休止する電源状態S4,S5でも稼働しているので、CPU11が稼働しているか否かに関係なくGPIO_a端子を用いた制御が可能となっている。一方、PCH13のGPIO_1端子~GPIO_3端子を用いた制御はBIOS110によって行われるので、CPU11が稼働している状態でのみGPIO_1端子~GPIO_3端子を用いた制御が可能となる。
【0061】
図7は、シャットダウン/起動の際の電源制御シーケンスの比較例を示す図である。
【0062】
情報処理装置10では、搭載されているWWANモジュール16がUSB接続とPCIe接続のどちらか、および、遠隔操作モードに設定されているか否かに応じて、電源オンや電源オフの際の電源制御シーケンスが可変される。BIOS110は、情報処理装置10の起動時などに、WWANモジュール16が備える所定のピンの状態などに基づいて、搭載されているWWANモジュール16がUSB接続かPCIe接続かを判別可能であり、この判別結果をモジュール情報116として保持する。このため、BIOS110は、保持しているモジュール情報116と動作モード情報117とに応じて、実行すべき電源制御シーケンスを判別できる。また、BIOS110によって判別されたWWANモジュール16の接続状態は遠隔操作モードのアクティベーション処理時にEC17-1に通知され、モジュール情報126として保持される。このため、遠隔操作モードではEC17-1も、保持しているモジュール情報126と動作モード情報127とに応じて、実行すべき電源制御シーケンスを判別できる。
【0063】
以下の説明では、ユーザによるシャットダウン操作に応じて情報処理装置10は電源状態S0から電源状態S4またはS5に遷移し、その状態からユーザによる起動操作に応じて情報処理装置10は電源状態S0に遷移するものとする。
図7では、
図6の構成を用いた場合において、シャットダウン操作によって電源状態S0から電源状態S4またはS5に遷移する際と、その後の起動操作によって電源状態S0に遷移する際の電源制御シーケンスを例示している。
【0064】
WWANモジュール16がUSB接続とPCIe接続のいずれの場合でも、動作モードが通常モードであれば、BIOS110によってWWANモジュール16の終了および起動の動作が制御される。
【0065】
例えばUSB接続の場合、シャットダウン操作が行われると、BIOS110のモジュール起動処理部111は、電源状態S4またはS5に遷移する前にPCH13のGPIO_1端子の出力をハイにする。これによりFCPO端子の入力がローになり、WWANモジュール16が休止状態になる。また、起動操作が行われると、CPU11への電源供給の開始に伴ってBIOS110が起動し、モジュール起動処理部111はGPIO_1端子の出力をローにする。これによりFCPO端子の入力がハイになり、WWANモジュール16が起動する。
【0066】
また、PCIe接続の場合、シャットダウン操作が行われると、モジュール起動処理部111は、電源状態S4またはS5に遷移する前にPCH13のGPIO_1,3端子の出力をハイにする。これによりFCPO端子およびPERST端子の入力がローになり、WWANモジュール16が休止状態になる。その後、起動操作が行われると、CPU11への電源供給の開始に伴ってBIOS110が起動し、モジュール起動処理部111はGPIO_1,3端子の出力をローにする。これによりFCPO端子およびPERST端子の入力がハイになり、WWANモジュール16が起動する。
【0067】
なお、
図7の例では、RESET端子の入力は起動、終了の制御に用いられないものとする。このため、電源状態S4またはS5の期間におけるRESET端子の信号線に対するプルアップ電圧の有無に応じて、RESET端子の入力が変化している。
【0068】
一方、動作モードが遠隔操作モードの場合、電源状態S4またはS5でもWWANモジュール16を起動させておく必要がある。さらに、WWANモジュール16はシャットダウン動作の際にリセットしないと動作異常になることがある。このため、WWANモジュール16の動作を安定化するためにWWANモジュール16のリセットが行われる。
【0069】
USB接続の場合には、EC17-1によってWWANモジュール16のリセット動作が制御される。例えば、シャットダウン操作が行われると、電源制御部120のモジュール起動処理部121は、CPU11が休止して電源状態がS4またはS5に遷移した後、GPIO_a端子の出力をローにし、WWANモジュール16のリセット規定に準じてハイに戻す。これによりFCPO端子の入力がロー、ハイと変化し、WWANモジュール16がリセットされる。その後、WWANモジュール16は起動状態のまま維持される。
【0070】
これに対して、PCIe接続の場合には、PCH13からのFCPO端子およびPERST端子の制御によってリセットされる仕様のため、BIOS110によってWWANモジュール16のリセット動作が制御される。例えば、シャットダウン操作が行われると、BIOS110のモジュール起動処理部111は、電源状態S4またはS5に遷移する前にPCH13のGPIO_1,3端子の出力をハイにし、WWANモジュール16のリセット規定に準じてローに戻す。これによりFCPO端子およびPERST端子の入力がロー、ハイと変化し、WWANモジュール16がリセットされる。その後、電源状態がS4またはS5に遷移しても、WWANモジュール16は起動状態のまま維持される。
【0071】
ところが、上記のようなPCIe接続の場合の電源制御シーケンスでは、電源状態S4またはS5に遷移する前にCPU11の制御によってWWANモジュール16のリセットが行われる。このため、シャットダウン操作からCPU11による終了処理が完了するまでの時間が長くなるという問題がある。なお、電源制御のための回路構成によっては、シャットダウン時でなく、起動操作に応じて、電源状態がS0に遷移してからWWANモジュール16をリセットする方法も考えられる。しかし、この場合でも、起動操作からCPU11による起動処理が完了するまでの時間が長くなるという問題が生じる。
【0072】
また、次の
図8に示すように、電源状態S4またはS5の期間においてバッテリ残量の枯渇(バッテリ断)や電源ボタンの長押しが発生した場合に、WWANモジュール16を起動させることができないという問題もある。
【0073】
図8は、バッテリ断や電源ボタン長押しが発生した場合の制御の比較例を示す図である。
【0074】
図8に示すケースC1は、BIOS110の制御によりWWANモジュール16がリセットされ、情報処理装置10が電源状態S4またはS5に遷移した後に、バッテリ断が発生したケースを示す。この場合、メカニカルオフ状態を示す電源状態G3となり、WWANモジュール16およびEC17-1の動作が停止する。このとき、WWANモジュール16のFCPO端子、RESET端子およびPERST端子の入力はいずれもローに落ちる。その後、AC電圧の供給が開始されると、EC17-1が起動し、情報処理装置10は電源状態S5に遷移する。しかし、CPU11が休止状態のままなのでPCH13のGPIO_1~3端子の出力制御が行われず、FCPO端子、RESET端子およびPERST端子の入力がいずれもローのままとなり、WWANモジュール16を起動させることができない。
【0075】
また、
図8に示すケースC2は、BIOS110の制御によりWWANモジュール16がリセットされ、情報処理装置10が電源状態S4またはS5に遷移した後に、電源ボタンが長押しされたケースを示す。この場合、電源状態S5が維持されてEC17-1は稼働状態のままとなる。しかし、PCH13がリセットされてしまい、これに伴ってFCPO端子、RESET端子およびPERST端子の入力がいずれもローになってしまうので、このケースでもWWANモジュール16を起動させることができない。
【0076】
このように、電源状態S4またはS5の期間においてバッテリ断や電源ボタンの長押しが発生すると、WWANモジュール16を起動させることができず、管理サーバからの遠隔ロック/ロック解除/データ消去の指示を受け付けることができなくなるという問題がある。
【0077】
そこで、次の
図9に示すように、本実施の形態の情報処理装置10では、PCIe接続の場合でもEC17によってWWANモジュール16のリセット制御が行われるようにする。
【0078】
図9は、第2の実施の形態におけるシャットダウン/起動の際の電源制御シーケンスを示す図である。本実施の形態の情報処置装置10において、WWANモジュール16がPCIe接続であり、かつ動作モードが遠隔操作モードである状態でシャットダウン操作/起動操作が行われると、
図9に示すようなリセット制御が行われる。すなわち、シャットダウン操作が行われると、EC17の制御により、電源状態S0から電源状態S4またはS5に遷移した後、WWANモジュール16のFCPO端子およびPERST端子の各入力をローにし、WWANモジュール16のリセット規定に準じてハイに戻す制御が行われる。
【0079】
これにより、シャットダウン操作からCPU11による終了処理が完了するまでの時間、あるいは起動操作からCPU11による起動処理が完了するまでの時間を短縮することができる。また、EC17の制御によりFCPO端子およびPERST端子の各入力が制御されることで、電源状態S4またはS5の期間にバッテリ断が発生した場合でも、AC電圧の供給が開始されたときにWWANモジュール16を起動させることができる。さらに、電源状態S4またはS5の期間に電源ボタンの長押しが発生した場合でも、WWANモジュール16を起動したままにしておくことができる。
【0080】
図10は、
図9のような電源制御シーケンスを可能にするための回路構成例を示す図である。この
図10では、
図6と同様の構成要素には同じ符号を付して示している。
【0081】
図10に示すように、EC17には、GPIO_a端子に加えてGPIO_b端子~GPIO_e端子が設けられる。これらのGPIO_a端子~GPIO_e端子の出力は、CPU11の動作状態に関係なく、EC17によって制御される。
【0082】
GPIO_b端子は、FET155のゲート端子と接続されている。FET155は、FET152のソース端子とグランドとの導通/遮断を制御するNチャネルMOSFETである。GPIO_b端子からFET155への信号線は3V電源に接続されているので、GPIO_b端子の出力がハイのときFET155が導通状態となり、GPIO_b端子の出力がローのときFET155が遮断状態となる。
【0083】
GPIO_e端子は、FET156のゲート端子と接続されている。FET156は、FET153のソース端子とグランドとの導通/遮断を制御するNチャネルMOSFETである。GPIO_e端子からFET156への信号線は3V電源に接続されているので、GPIO_e端子の出力がハイのときFET156が導通状態となり、GPIO_e端子の出力がローのときFET156が遮断状態となる。
【0084】
GPIO_d端子は、FET157のゲート端子と接続されている。FET157は、FET154のソース端子とグランドとの導通/遮断を制御するNチャネルMOSFETである。GPIO_d端子からFET157への信号線は3V電源に接続されているので、GPIO_d端子の出力がハイのときFET157が導通状態となり、GPIO_d端子の出力がローのときFET157が遮断状態となる。
【0085】
以上のGPIO_b端子、GPIO_e端子およびGPIO_d端子は、PCH13がリセットされてFET152~154が導通状態になった場合でも、FCPO端子、RESET端子およびPERST端子の入力がグランドに落ちたままになることを防ぎ、FCPO端子、RESET端子およびPERST端子の入力をEC17から制御できるようにするために使用される。
【0086】
GPIO_c端子は、FET154とPERET端子との間の信号線に対して、ダイオード(ショットキーバリアダイオード)158を介して接続されている。GPIO_c端子の出力は、EC17からPERST端子の入力を制御するために使用される。
【0087】
図11は、
図10の回路構成と等価な論理回路を示す第1の図である。
図11(A)は論理回路の構成例を示し、
図11(B)はその論理回路の真理値表を示す。
【0088】
図11(A)は、GPIO_a端子、GPIO_b端子およびGPIO_1端子の出力とFCPO端子の入力との関係を示す論理回路の構成例である。この論理回路は、AND(論理積)ゲート161とスリー・ステート・バッファ162を含む。ANDゲート161にはGPIO_b端子とGPIO_1端子からの信号が入力され、ANDゲート161の出力は制御信号としてスリー・ステート・バッファ162に入力される。スリー・ステート・バッファ162は、信号値「0」(グランド)を入力とし、制御信号=1のときに出力値Xを入力と同値とし、制御信号=0のときに出力値Xをハイ・インピーダンスとして入力と出力を切り離す。スリー・ステート・バッファ162の出力は、GPIO_a端子からFCPO端子への信号線に接続されている。
【0089】
この論理回路によれば、EC17のGPIO_b端子の出力が「1」(ハイ)のとき、PCH13のGPIO_1端子からのFCPO端子の入力の制御が可能となる。すなわち、この状態ではBIOS110によるFCPO端子の入力の制御が可能となる。一方、GPIO_b端子の出力が「0」(ロー)のとき、EC17のGPIO_a端子からのFCPO端子の入力の制御が可能となる。
図11(B)の真理値表によれば、GPIO_b端子の出力が「0」のとき、PCH13のGPIO_1端子の出力に関係なく、GPIO_a端子の出力に応じてFCPO端子の入力が変化していることがわかる。
【0090】
図12は、
図10の回路構成と等価な論理回路を示す第2の図である。
図12(A)は論理回路の構成例を示し、
図12(B)はその論理回路の真理値表を示す。
【0091】
図12(A)は、GPIO_c端子、GPIO_d端子およびGPIO_3端子の出力とPERST端子の入力との関係を示す論理回路の構成例である。この論理回路は、ANDゲート163とスリー・ステート・バッファ164を含む。ANDゲート163にはGPIO_d端子とGPIO_3端子からの信号が入力され、ANDゲート163の出力は制御信号としてスリー・ステート・バッファ164に入力される。スリー・ステート・バッファ164は、信号値「0」(グランド)を入力とし、制御信号=1のときに出力値Xを入力と同値とし、制御信号=0のときに出力値Xをハイ・インピーダンスとして入力と出力を切り離す。スリー・ステート・バッファ164の出力は、GPIO_c端子からPERST端子への信号線に接続されている。
【0092】
この論理回路によれば、EC17のGPIO_d端子の出力が「1」(ハイ)のとき、PCH13のGPIO_3端子からのPERST端子の入力の制御が可能となる。すなわち、この状態ではBIOS110によるPERST端子の入力の制御が可能となる。一方、GPIO_d端子の出力が「0」(ロー)のとき、EC17のGPIO_c端子からのPERST端子の入力の制御が可能となる。
図12(B)の真理値表によれば、GPIO_d端子の出力が「0」のとき、PCH13のGPIO_3端子の出力に関係なく、GPIO_c端子の出力に応じてPERST端子の入力が変化していることがわかる。
【0093】
なお、GPIO_e端子、GPIO_2端子およびRESET端子については、以下のような関係となる。EC17のGPIO_e端子の出力がハイのとき、FET155が導通状態となることで、PCH13のGPIO_2端子からのRESET端子の入力の制御が可能となる。すなわち、この状態ではBIOS110によるRESET端子の入力の制御が可能となる。一方、GPIO_e端子の出力がローのとき、FET155が遮断状態となることで、GPIO_2端子の出力に関係なく、RESET端子の入力が電源電圧によりプルアップされた状態となる。
【0094】
以上のように、EC17のGPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力をローにすることで、BIOS110によるWWANモジュール16のリセット制御を無効化し、EC17によってWWANモジュール16のリセット動作を制御できるようになる。したがって、WWANモジュール16がPCIe接続であり、かつ動作モードが遠隔操作モードである状態でシャットダウン操作が行われた場合には、EC17によってGPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力をローにすることで、EC17によるGPIO_a端子およびGPIO_c端子の制御により、
図9に示したタイミングでWWANモジュール16をリセットさせることができるようになる。
【0095】
なお、以上の
図9~
図12の例では、リセットの際にRESET端子の制御が不要な構成となっている。しかし、リセットの際にRESET端子の制御も必要な構成の場合には、FET153とRESET端子との間の信号線に接続する制御端子をEC17に追加し、リセット制御の際にはGPIO_eの出力をローにした状態で当該制御端子からの信号によってRESET端子の入力を制御するように変形されればよい。
【0096】
図13は、第2の実施の形態においてバッテリ断や電源ボタン長押しが発生した場合の制御例を示す図である。本実施の形態では、WWANモジュール16がPCIe接続であり、かつ動作モードが遠隔操作モードである状態で休止状態またはシャットダウンへの操作が行われると、BIOS110によるWWANモジュール16のリセット動作はスキップされ、CPU11が休止して電源状態S4またはS5に遷移する。すると、EC17は、GPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力をローにして、EC17によるリセット制御が可能な状態にする。そして、EC17は、GPIO_c端子の出力をローにし、GPIO_a端子の出力をローにし、さらにGPIO_a端子の出力をハイにし、GPIO_c端子の出力をハイにする。これにより、WWANモジュール16のFCPO端子およびPERST端子の各入力がローになった後ハイになり、WWANモジュール16がリセットされる。そして、WWANモジュール16は稼働状態を維持する。
【0097】
図13に示すケースC11は、このようにWWANモジュール16がリセットされた後の状態において、バッテリ断が発生したケースを示す。この場合、
図8のケースC1と同様に、メカニカルオフ状態を示す電源状態G3となり、WWANモジュール16およびEC17の動作が停止する。このとき、WWANモジュール16のFCPO端子、RESET端子およびPERST端子の入力はいずれもローに落ちる。
【0098】
その後、AC電圧の供給が開始されると、情報処理装置10は電源状態S5に遷移する。このとき、EC17は起動するがCPU11は休止状態のままである。起動したEC17は、モジュール情報126および動作モード情報127から、WWANモジュール16がPCIe接続で、かつ遠隔動作モードであると認識し、WWANモジュール16を起動させる。すなわち、EC17は、GPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力をローにし、さらにGPIO_a端子およびGPIO_c端子の出力をハイにする。GPIO_a端子およびGPIO_c端子の初期値は0(ロー)とする。これにより、電源状態S5でもWWANモジュール16を起動させ、遠隔ロック/ロック解除/データ消去の指示メッセージを受信可能な状態にすることができる。
【0099】
また、
図13に示すケースC12は、上記のようにWWANモジュール16がリセットされた後の状態において、電源ボタンが長押しされたケースを示す。この場合、電源状態S5が維持されてEC17は稼働状態のままとなる。一方、PCH13はリセットされる。このとき、EC17は、GPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力をローのまま維持し、GPIO_a端子およびGPIO_c端子の出力をハイのまま維持する。これにより、WWANモジュール16の起動状態を維持し、遠隔ロック/ロック解除/データ消去の指示メッセージを受信可能な状態のままにすることができる。
【0100】
以上のように、本実施の形態では、WWANモジュール16がPCIe接続であり、かつ動作モードが遠隔操作モードである場合には、休止状態またはシャットダウンへの操作が行われた際に、電源状態S4またはS5に遷移してからEC17の制御によってWWANモジュール16をリセットするようにした。これにより、休止状態またはシャットダウンへの操作からCPU11による終了処理が完了するまでの時間、あるいは起動操作からCPU11による起動処理が完了するまでの時間を短縮することができる。また、電源状態S4またはS5の期間にバッテリ断が発生した場合でも、AC電圧の供給が開始されたときに、CPU11が休止している状態のまま、WWANモジュール16を起動させることができ、遠隔ロック/ロック解除/データ消去の指示メッセージの受信を再開できる。さらに、電源状態S4またはS5の期間に電源ボタンの長押しが発生した場合でも、WWANモジュール16を起動したままにしておくことができ、遠隔ロック/ロック解除/データ消去の指示メッセージの受信を継続できる。
【0101】
次に、情報処理装置10における処理について、フローチャートを用いて説明する。
【0102】
図14は、遠隔操作モードのアクティベーション処理の手順を示すフローチャートの例である。
図14の初期状態では、動作モードが通常モード(遠隔ロック/ロック解除/データ消去が無効の状態)であるとする。
【0103】
[ステップST21]BIOS110のロック/データ消去処理部112は、BIOS110の起動時に遠隔ロック/ロック解除/データ消去のアクティベーション指示を受け付けたかを判定する。アクティベーション指示を受け付けたと判定した場合、処理がステップST22に進められる。
【0104】
[ステップST22]ロック/データ消去処理部112は、動作モード情報117に遠隔操作モードを設定する。そして、ロック/データ消去処理部112は、モジュール情報116からWWANモジュール16の情報を取得し、遠隔操作モードに設定されたこととともにEC17に通知する。なお、モジュール情報116には、情報処理装置10の起動処理の際に、接続されているWWANモジュール16の情報が設定される(後述する
図16のステップST43に対応)。
【0105】
EC17において、電源制御部120のモジュール起動処理部121は、受信したWWANモジュール16の情報をモジュール情報126に設定する。この情報には、接続されているWWANモジュール16がUSB接続か、PCIe接続かを示す情報が含まれる。また、モジュール起動処理部121は、動作モード情報127に遠隔操作モードを設定する。
【0106】
図15は、遠隔操作モードでのシャットダウン処理の手順を示すフローチャートの例である。
図15の初期状態では、情報処理装置10が電源状態S0であり、動作モードが遠隔操作モードに設定されているとする。このとき、EC17のGPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力がハイであり、BIOS110によるWWANモジュール16のリセット制御が可能な状態になっている。
【0107】
[ステップST31]BIOS110のモジュール起動処理部111は、例えば一定時間間隔で、ユーザによるシャットダウン操作を情報処理装置10が受け付けたかを判定する。シャットダウン操作を受け付けたと判定した場合、処理がステップST32に進められる。
【0108】
[ステップST32]BIOS110は、シャットダウン処理を実行する。このとき、モジュール起動処理部111は、動作モード情報117から遠隔操作モードに設定されていることを認識し、WWANモジュール16のリセット制御をスキップし、GPIO_1端子~GPIO_3端子の出力をローのままにする。
【0109】
なお、通常モードに設定されている場合、モジュール起動処理部111はWWANモジュール16を休止させる。WWANモジュール16がUSB接続の場合、モジュール起動処理部111はGPIO_1端子の出力をハイにしてWWANモジュール16を休止させる。WWANモジュール16がPCIe接続の場合、モジュール起動処理部111はGPIO_1端子およびGPIO_3端子の出力をハイにしてWWANモジュール16を休止させる。
【0110】
[ステップST33]情報処理装置10が電源状態S4またはS5に遷移すると、電源制御部120のモジュール起動処理部121は、GPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力をローにして、EC17によるリセット制御が可能な状態にする。
【0111】
[ステップST34]モジュール起動処理部121は、モジュール情報126を参照してWWANモジュール16の情報を確認する。WWANモジュール16がPCIe接続の場合、処理がステップST35に進められ、WWANモジュール16がUSB接続の場合、処理がステップST36に進められる。
【0112】
[ステップST35]モジュール起動処理部121は、GPIO_c端子の出力をローにし、GPIO_a端子の出力をローにし、さらにGPIO_a端子の出力をハイにし、GPIO_c端子の出力をハイにする。これにより、WWANモジュール16がリセットされる。その後、WWANモジュール16は稼働状態を維持する。
【0113】
[ステップST36]モジュール起動処理部121は、GPIO_a端子の出力をローにし、さらにGPIO_a端子の出力をハイにする。これにより、WWANモジュール16がリセットされる。その後、WWANモジュール16は稼働状態を維持する。
【0114】
図16は、電源状態S4またはS5からの起動処理の手順を示すフローチャートの例である。
図16の初期状態では、情報処理装置10は電源状態S4またはS5となっており、動作モードが遠隔操作モードに設定されている。また、GPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力がローとされて、EC17によるリセット制御が可能な状態になっており、GPIO_a端子およびGPIO_c端子の出力がハイとされて、WWANモジュール16が起動状態になっている。
【0115】
[ステップST41]電源制御部120は、例えば一定時間間隔で、ユーザによる起動操作(例えば電源スイッチの押下操作)を情報処理装置10が受け付けたかを判定する。起動操作を受け付けたと判定した場合、処理がステップST42に進められる。
【0116】
[ステップST42]電源制御部120は、情報処理装置10を電源状態S0に遷移させる。これによりCPU11が起動し、BIOS110が起動する。
【0117】
[ステップST43]BIOS110のモジュール起動処理部111は、情報処理装置10に搭載されているWWANモジュール16の情報(USB接続か、PCIe接続か)を認識し、その情報をモジュール情報116に設定する。ここでは、PCIe接続であることが認識されたとする。また、モジュール起動処理部111は、動作モード情報117を参照して動作モードを確認する。ここでは、動作モードが遠隔操作モードであることが認識されたとする。
【0118】
[ステップST44]モジュール起動処理部111は、WWANモジュール16がPCIe接続であり、かつ動作モードが遠隔操作モードであると認識した場合、GPIO_1端子~GPIO_3端子をローにする。このとき、GPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力がローであり、GPIO_a端子およびGPIO_c端子の出力がハイであるので、WWANモジュール16はEC17の制御の下で起動状態のまま維持される。ステップST44の処理は、次のステップST45が実行されたときにWWANモジュール16を起動したままにするために実行される。
【0119】
[ステップST45]電源制御部120のモジュール起動処理部121は、電源状態S0に遷移してから所定時間が経過すると、GPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力をハイに変更して、WWANモジュール16のリセット制御をBIOS110が実行可能な状態に変更する。なお、この「所定時間」は、ステップST44の実行が完了した後にステップST45が実行されるように設定される。
【0120】
図17は、電源状態G3からの復帰処理の手順を示すフローチャートの例である。
図17の初期状態では、バッテリ断により情報処理装置10が電源状態G3に遷移しているとする。
【0121】
[ステップST51]情報処理装置10に対するAC電圧の供給が開始されると、EC17が起動する。このとき、CPU11は休止状態のままである。
【0122】
[ステップST52]電源制御部120のモジュール起動処理部121は、モジュール情報126を参照し、接続されているWWANモジュール16がPCIe接続であることを認識する。また、モジュール起動処理部121は、動作モード情報127を参照し、遠隔操作モードに設定されていることを認識する。
【0123】
[ステップST53]動作モードが遠隔操作モードに設定されていることから、モジュール起動処理部121は、情報処理装置10を電源状態S5に遷移させる。これにより、WWANモジュール16のVCC端子に対する電源供給が開始される。
【0124】
[ステップST54]モジュール起動処理部121は、GPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力をローにし、さらにGPIO_a端子およびGPIO_c端子の出力をハイにして、WWANモジュール16を起動させる。これにより、CPU11が休止した状態でありながら、WWANモジュール16が遠隔ロック/ロック解除/データ消去の指示メッセージを受信可能な状態になる。
【0125】
なお、ステップST52でWWANモジュール16がUSB接続と認識された場合、ステップST54では、GPIO_b端子の出力がローにされ、GPIO_a端子の出力がハイにされる。
【0126】
また、ステップST52で動作モードが通常モードと認識された場合、モジュール起動処理部121は、WWANモジュール16を起動させない。このとき、モジュール起動処理部121は、PCIe接続であればGPIO_b端子、GPIO_d端子およびGPIO_e端子の出力をハイにし、USB接続であればGPIO_b端子の出力をハイにして、BIOS110によってWWANモジュール16の起動/終了やリセットが制御される状態にする。そして、ユーザによる起動操作に応じて電源状態S0に遷移すると、BIOS110のモジュール起動処理部111は、PCIe接続であればGPIO_1端子およびGPIO_3端子の出力をローにし、USB接続であればGPIO_1端子の出力をローにして、WWANモジュール16を起動させる。
【0127】
なお、上記の各実施の形態に示した装置(例えば、情報処理装置1,10)の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、各装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供され、そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc:BD、登録商標)などがある。
【0128】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CDなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0129】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムまたはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【符号の説明】
【0130】
1 情報処理装置
2 無線通信回路
3 主制御回路
4 電源制御回路
5 信号出力回路
2a,4a,5a 制御端子
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置において、
無線通信を実行する無線通信回路であって、前記無線通信回路を起動するための制御信号が入力される第1の制御端子を有する前記無線通信回路と、
前記第1の制御端子に接続された第2の制御端子と、
前記第2の制御端子から前記第1の制御端子に対する前記制御信号の出力を制御して前記無線通信回路の起動を制御する主制御回路と、
バッテリと、
前記バッテリおよび外部電源から供給された電源電圧の、前記情報処理装置の各部に対する供給を制御する電源制御回路と、
を有し、
前記電源制御回路は、
前記第1の制御端子に接続された第3の制御端子を有し、
前記バッテリおよび前記外部電源からの電源電圧の供給が停止した状態から、前記外部電源からの電源電圧の供給が開始されると、前記主制御回路を休止させた状態で起動し、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して、前記主制御回路を休止させた状態のまま前記無線通信回路を起動させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記電源制御回路は、前記バッテリおよび前記外部電源からの電源電圧の供給が停止した状態から、前記外部電源からの電源電圧の供給が開始されて起動したとき、前記情報処理装置が、前記主制御回路が休止している状態でも前記無線通信回路を起動させておく特定の動作モードに設定されている場合に、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させる、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記バッテリおよび前記外部電源からの電源電圧の供給が停止した状態から、前記外部電源からの電源電圧の供給が開始され、前記主制御回路が休止した状態で前記電源制御回路が起動したとき、
前記情報処理装置が第1の動作モードに設定されている場合には、前記電源制御回路は、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させ、
前記情報処理装置が第2の動作モードに設定されている場合には、前記電源制御回路は、前記無線通信回路を休止状態のままにし、前記情報処理装置の起動操作が行われて前記主制御回路が起動すると、前記主制御回路は、前記第2の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させる、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電源制御回路は、前記主制御回路が稼働している状態から、前記情報処理装置のシャットダウン操作が行われたとき、前記主制御回路が休止した後に、前記第3の制御端子からの前記制御信号の出力を制御して前記無線通信回路をリセットし、稼働状態にする、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電源制御回路は、前記無線通信回路をリセットして稼働状態にした状態において、電源ボタンの長押し操作が行われると、前記第3の制御端子からの前記制御信号の出力を維持して前記無線通信回路を稼働状態のままにする、
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の制御端子からグランドまでの信号経路上に、前記信号経路を遮断する第1のスイッチおよび第2のスイッチが順に直列に接続され、
前記情報処理装置は、前記第1のスイッチの動作を制御する第4の制御端子を有し、
前記第2の制御端子は前記第4の制御端子に接続され、前記第4の制御端子からの出力信号により前記第1のスイッチを導通させることで前記第1の制御端子に前記制御信号を入力させ、
前記第3の制御端子は、前記第1の制御端子と前記第1のスイッチとの間に接続され、
前記電源制御回路は、
前記第2のスイッチの動作を制御する第5の制御端子を有し、
前記情報処理装置に対する前記電源電圧の供給が停止した状態から、前記電源電圧の供給が開始され、前記主制御回路を休止させた状態で起動したとき、前記第5の制御端子からの出力信号により前記第2のスイッチを導通させた状態で、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させる、
請求項1記載の情報処理装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置において、
無線通信を実行する無線通信回路であって、前記無線通信回路を起動するための制御信号が入力される第1の制御端子を有する前記無線通信回路と、
前記第1の制御端子に対して前記制御信号を出力する第2の制御端子を有する信号出力回路と、
前記信号出力回路による前記第2の制御端子から前記第1の制御端子への前記制御信号の出力を制御して前記無線通信回路の起動を制御する主制御回路と、
バッテリと、
前記バッテリおよび外部電源から供給された電源電圧の、前記情報処理装置の各部に対する供給を制御する電源制御回路と、
を有し、
前記電源制御回路は、
前記第1の制御端子に接続された第3の制御端子を有し、
前記バッテリおよび前記外部電源からの電源電圧の供給が停止した状態から、前記外部電源からの電源電圧の供給が開始されると、前記主制御回路を休止させた状態で起動し、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して、前記主制御回路を休止させた状態のまま前記無線通信回路を起動させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記電源制御回路は、前記バッテリおよび前記外部電源からの電源電圧の供給が停止した状態から、前記外部電源からの電源電圧の供給が開始されて起動したとき、前記情報処理装置が、前記主制御回路が休止している状態でも前記無線通信回路を起動させておく特定の動作モードに設定されている場合に、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させる、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記バッテリおよび前記外部電源からの電源電圧の供給が停止した状態から、前記外部電源からの電源電圧の供給が開始され、前記主制御回路が休止した状態で前記電源制御回路が起動したとき、
前記情報処理装置が第1の動作モードに設定されている場合には、前記電源制御回路は、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させ、
前記情報処理装置が第2の動作モードに設定されている場合には、前記電源制御回路は、前記無線通信回路を休止状態のままにし、前記情報処理装置の起動操作が行われて前記主制御回路が起動すると、前記主制御回路は、前記信号出力回路に前記第2の制御端子から前記制御信号を出力させて前記無線通信回路を起動させる、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電源制御回路は、前記主制御回路が稼働している状態から、前記情報処理装置のシャットダウン操作が行われたとき、前記主制御回路が休止した後に、前記第3の制御端子からの前記制御信号の出力を制御して前記無線通信回路をリセットし、稼働状態にする、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電源制御回路は、前記無線通信回路をリセットして稼働状態にした状態において、電源ボタンの長押し操作が行われると、前記第3の制御端子からの前記制御信号の出力を維持して前記無線通信回路を稼働状態のままにする、
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の制御端子からグランドまでの信号経路上に、前記信号経路を遮断する第1のスイッチおよび第2のスイッチが順に直列に接続され、前記第1のスイッチが前記信号出力回路に対応し、前記第1のスイッチにおける前記第1の制御端子側の端子が前記第2の制御端子に対応し、
前記情報処理装置は、前記第1のスイッチの動作を制御する第4の制御端子を備え、前記第4の制御端子からの出力信号により前記第1のスイッチを遮断状態にして前記第2の制御端子の電位をハイレベルにすることで前記第1の制御端子に前記制御信号を入力させる動作制御回路をさらに有し、
前記第3の制御端子は、前記第1の制御端子と前記第1のスイッチとの間に接続され、
前記電源制御回路は、
前記第2のスイッチの動作を制御する第5の制御端子を有し、
前記情報処理装置に対する前記電源電圧の供給が停止した状態から、前記電源電圧の供給が開始され、前記主制御回路を休止させた状態で起動したとき、前記第5の制御端子からの出力信号により前記第2のスイッチを導通させた状態で、前記第3の制御端子から前記制御信号を出力して前記無線通信回路を起動させる、
請求項1記載の情報処理装置。