(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067871
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】バックルカバー及びバックル装置
(51)【国際特許分類】
B60R 22/18 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B60R22/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178258
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】市田 善之
(72)【発明者】
【氏名】原田 進
(72)【発明者】
【氏名】森崎 研太
(72)【発明者】
【氏名】中原 広流
(72)【発明者】
【氏名】湯木 翔太
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018BA12
3D018CA07
3D018CB06
(57)【要約】
【課題】バックルを覆うと共に、バックルに対する位置を固定できるバックルカバー及びバックル装置を提供する。
【解決手段】バックルカバー1は、シートベルト装置のバックル本体2の少なくとも下部を覆う不織布成形体である。このバックルカバー1は、バックル本体2の外周面を覆う周壁部10と、周壁部10の下端に連なり、バックル本体2の底面を覆う底面部12と、を備える。底面部12には、バックル本体2の下部から延出するブラケット3が挿通可能な開口部13が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルト装置のバックル本体の少なくとも下部を覆う不織布成形体であるバックルカバーであって、
前記バックル本体の外周面を覆う周壁部と、
前記周壁部の下端に連なり、前記バックル本体の底面を覆う底面部と、
を備え、
前記底面部には、前記バックル本体の下部から延出するブラケットが挿通可能な開口部が形成されている、バックルカバー。
【請求項2】
前記開口部の辺縁から下方に延出する延出片をさらに備える、請求項1に記載のバックルカバー。
【請求項3】
前記延出片には、前記延出片と前記ブラケットとを固定する固定部材を挿通させる挿通孔が形成されている、請求項2に記載のバックルカバー。
【請求項4】
シートベルト装置のバックル本体と、
前記バックル本体に装着された請求項1乃至3のいずれかに記載のバックルカバーと、
を備えるバックル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体に設けられるシートベルト装置のバックルをカバーするバックルカバー及びバックル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に設置されるシートベルト装置は、乗員拘束用のウェビングが掛通されたタングを、シート側方に設けられたバックルにラッチするよう構成されている。近年、デザイン要求により、センターコンソールやシートサイドカバー等とバックルとの間に十分な間隔が確保されていない車両が多い。この場合、悪路走行時にバックルが振れて周辺部品に接触・干渉し、異音が発生し得るという問題があった。
【0003】
引用文献1には、伸縮自在の素材をスリーブ状に織り、内周面にゴムで構成された高摩擦部材を設けたバックルカバーでバックルを覆うことで、センターコンソールとの干渉を防ぐことが記載されている。しかし、引用文献1のバックルカバーは、バックルの材質によっては内周面との摩擦力が十分なものにならず、また、バックルカバー自体が伸縮するものであるため、人の手が触れた場合などにずれたりめくれたりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バックルを覆うと共に、バックルに対する位置を固定できるバックルカバー及びバックル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバックルカバーは、シートベルト装置のバックル本体の少なくとも下部を覆う不織布成形体であって、前記バックル本体の外周面を覆う周壁部と、前記周壁部の下端に連なり、前記バックル本体の底面を覆う底面部と、を備え、前記底面部には、前記バックル本体の下部から延出するブラケットが挿通可能な開口部が形成されているものである。
【0007】
本発明の一態様では、前記開口部の辺縁から下方に延出する延出片をさらに備える。
【0008】
本発明の一態様では、前記延出片には、前記延出片と前記ブラケットとを固定する固定部材を挿通させる挿通孔が形成されている。
【0009】
本発明のバックル装置は、シートベルト装置のバックル本体と、前記バックル本体に装着された上記バックルカバーと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバックルカバーは、バックルを覆って異音の発生を抑制すると共に、バックルに対する位置を固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るバックルカバーの斜視図である。
【
図2】バックルカバーを下方向から見た斜視図である。
【
図4】バックルカバーをバックル本体に装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0013】
図1~
図4に示すように、本発明の実施形態に係るバックルカバー1は、シートベルト装置のバックル本体2の少なくとも下部を覆う略角筒状のものであり、周壁部10と、周壁部10の下端に連なる底面部12とを備える。バックル本体2に装着されたバックルカバー1は、
図1の上下方向が、車両に搭載された状態の上下方向となる。以下、バックルカバー1の上下方向は、車両に搭載された状態での上下方向とする。
【0014】
バックルカバー1のサイズ・形状は、バックル本体2の外形に合わせたものとなっている。バックルカバー1は、不織布を成形機で加熱・加圧して作製される不織布成形体であり、硬質で保形性を有する。不織布の材料は、例えば、パルプ、コットン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等である。バックルカバー1の厚みは、例えば0.3~5.0mm程度である。
【0015】
バックルカバー1の上部は開口部11となっている。周壁部10は、対向する1対の側面10a,10a、及び対向する一対の側面10b,10bを有する。側面10bは、一対の側面10a,10aの辺縁部同士を連結する。側面10aは、側面10bよりも幅広であり、周壁部10の水平方向の断面は略長方形状となる。
【0016】
底面部12には、略長方形状の開口部13(底面開口部)が形成されている。開口部13は、底面部12の中心よりも側面10a寄りに形成されている。開口部13の長手方向の辺は側面10aと略平行であり、短手方向の辺は側面10bと略平行になっている。開口部13の長手方向の幅は、側面10aの幅の50~90%程度である。開口部13の短手方向の幅は、側面10bの幅の10~80%程度である。
【0017】
開口部13の長手方向の辺(側面10a側の辺)の中央部から下方に向って延出片14が延出している。延出片14には固定孔15(挿通孔)が形成されている。延出片14のサイズは特に限定されないが、例えば、延出片14の幅は開口部13の長手方向の幅の20~50%程度である。また、延出片14の上下方向の長さは、10~30mm程度である。
【0018】
次に、バックルカバー1をバックル本体2に装着する方法について説明する。
【0019】
図4に示すように、バックル本体2の下部からブラケット3が延出している。ブラケット3の下端部をバックルカバー1の開口部11、開口部13に順に通し、バックルカバー1の底面部12にバックル本体2の底面が接触するようにバックルカバー1内にバックル本体2を押し込む。
図4に示す例では、バックル本体2の下半部がバックルカバー1内に収容される。バックル本体2の外周面・底面が、それぞれバックルカバー1の周壁部10・底面部12に覆われる。上述したように、バックルカバー1のサイズ・形状は、バックル本体2の外形に合わせたものであり、バックルカバー1の内周面とバックル本体2との間に隙間はほとんど無い。
【0020】
バックルカバー1の高さ(上下方向の長さ)は、バックル本体2の高さの20~60%程度が好ましい。
【0021】
ブラケット3には固定孔(図示略)が設けられており、この固定孔と延出片14の固定孔15との位置を合わせ、リベット(図示略)等の固定部材4を、位置合わせした孔に挿通させて固定する。
【0022】
バックル本体2にバックルカバー1が装着(固定)されたバックル装置は、ブラケット3の下端部を自動車等の車両の車体メンバ(図示略)に連結することで、車両に搭載される。バックル本体2の上部には、乗員拘束用のウェビングが掛通されたタングの挿入スペースが設けられている。
【0023】
バックル本体2をバックルカバー1で覆っているため、バックル本体2がセンターコンソールやシートサイドトリム等と干渉することによる異音の発生を抑制できる。また、バックルカバー1は不織布成形で作製された硬質のものであり、固定部材4で延出片14とブラケット3とを固定することで、バックル本体2に対する位置ずれを抑制できる。
【0024】
延出片14及びブラケット3の周囲にビニールテープを巻き付けることで、バックル本体2に対しバックルカバー1を固定してもよい。この場合、延出片14に固定孔15を形成しなくてもよい。
【0025】
また、バックルカバー1の内周面に両面テープを貼り付けたり、接着剤を塗布したりして、バックルカバー1とバックル本体2とを固定してもよい。この場合、延出片14を省略してもよい。
【0026】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の構成とされてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 バックルカバー
2 バックル本体
3 ブラケット
4 固定部材