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特開2024-67905フロントシールドの色味変更方法及びフロントシールドの色味変更装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067905
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】フロントシールドの色味変更方法及びフロントシールドの色味変更装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240510BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240510BHJP
   B60J 3/04 20060101ALI20240510BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20240510BHJP
   B60R 1/24 20220101ALI20240510BHJP
   B60R 1/25 20220101ALI20240510BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240510BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20240510BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20240510BHJP
   G02B 27/01 20060101ALN20240510BHJP
   H04N 7/18 20060101ALN20240510BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/16 D
G08G1/09 H
B60J3/04
B60J1/00 G
B60R1/24
B60R1/25
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
G09G5/02 B
G09G5/37 320
G02B27/01
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178318
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中西 淳
(72)【発明者】
【氏名】岡本 幸代
(72)【発明者】
【氏名】三由 雄太郎
【テーマコード(参考)】
2H199
5C054
5C182
5H181
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA43
5C054CA04
5C054CC02
5C054FA00
5C054FC12
5C054HA30
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB26
5C182AB31
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA25
5C182BA26
5C182BA29
5C182BA35
5C182BA45
5C182BA56
5C182BB02
5C182BB13
5C182CA11
5C182CA32
5C182CB44
5C182CB47
5C182DA64
5C182DA65
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181EE12
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】車両のフロントシールドにおいて、車両の周辺で発生しているシーンを反映した表示を車両の乗員に提供する。
【解決手段】フロントシールドの色味変更方法は、車両300の周辺情報を取得し、周辺情報に基づいて、車両300のフロントシールド310の色味を変更する範囲を算出する。周辺情報に基づいて、車両300の周辺に存在する交通情報の表示部400を判定し、車両300の乗員の目の位置をアイポイントとして検出する。表示部400の判定結果とアイポイントの検出結果とに基づいて、フロントシールド310の色味を変更する範囲のうち、アイポイントから表示部400への乗員の視線上に位置する部分を、除外部分350として算出する。フロントシールド310の色味を変更する範囲のうち、除外部分350を除く対象部分320の色味を変更する。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺情報を取得し、
前記周辺情報に基づいて、前記車両のフロントシールドの色味を変更する範囲を算出し、
前記周辺情報に基づいて、前記車両の周辺に存在する交通情報の表示部を判定し、
前記車両の乗員の目の位置をアイポイントとして検出し、
前記表示部の判定結果と前記アイポイントの検出結果とに基づいて、前記フロントシールドの前記範囲のうち、前記アイポイントから前記表示部への前記乗員の視線上に位置する部分を、除外部分として算出し、
前記フロントシールドの前記範囲のうち、前記除外部分を除く対象部分の色味を変更する、
フロントシールドの色味変更方法。
【請求項2】
前記対象部分のうち前記除外部分の外縁部の色味を、前記表示部の表示内容に対応する色味に変更する請求項1に記載のフロントシールドの色味変更方法。
【請求項3】
前記表示部が交通信号機を含んでいる場合、前記外縁部の色味を、前記交通信号機の点灯色に対応する色味に変更する処理を実行する請求項2に記載のフロントシールドの色味変更方法。
【請求項4】
前記対象部分の色味を、前記周辺情報に対応する予め定められた色味に変更する請求項1に記載のフロントシールドの色味変更方法。
【請求項5】
前記表示部が交通信号機を含んでいる場合、前記対象部分の色味を、前記交通信号機の点灯色に対応する色味に変更する請求項4に記載のフロントシールドの色味変更方法。
【請求項6】
前記車両の周辺の画像を撮影する車外カメラ、前記車両の周辺の物体を検出するセンサ及びソナーのうち少なくとも一方、車車間通信により前記車両と通信する他の車両、電気通信回線を介して前記車両と通信する通信相手のうち、1又は2以上の要素から、前記周辺情報を取得する請求項1に記載のフロントシールドの色味変更方法。
【請求項7】
前記車両において前記乗員の操作により設定された内容に基づいて、前記対象部分の色味を変更する請求項1に記載のフロントシールドの色味変更方法。
【請求項8】
前記車両の情報表示装置に表示した色情報の設定画面上で、前記乗員の操作により設定された色情報に対応する色味に、前記対象部分の色味を変更する請求項7に記載のフロントシールドの色味変更方法。
【請求項9】
前記周辺情報は、前記車両の前記フロントシールドに隣接するフロントピラーによって前記アイポイントから死角となる前記乗員の視野の補助カメラにより撮影した死角画像を含んでおり、前記対象部分の色味の変更により、前記対象部分の少なくとも一部に前記死角画像を表示する請求項1に記載のフロントシールドの色味変更方法。
【請求項10】
前記死角画像の範囲を、前記車両において前記乗員の操作により指定された方向に移動させる請求項9に記載のフロントシールドの色味変更方法。
【請求項11】
車両の周辺情報を取得する周辺情報取得部と、
前記周辺情報に基づいて、前記車両のフロントシールドの色味を変更する範囲を算出する変更範囲算出部と、
前記周辺情報に基づいて、前記車両の周辺に存在する交通情報の表示部を判定する表示部判定部と、
前記車両の乗員の目の位置をアイポイントとして検出するアイポイント検出部と、
前記表示部の判定結果と前記アイポイントの検出結果とに基づいて、前記フロントシールドの前記範囲のうち、前記アイポイントから前記表示部への前記乗員の視線上に位置する部分を、除外部分として算出する除外部分算出部と、
前記フロントシールドの前記範囲のうち、前記除外部分を除く対象部分の色味を変更する色味変更部と、
フロントシールドの色味変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントシールドの色味変更方法及びフロントシールドの色味変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車室の天井に対して垂直又は傾斜した使用状態の液晶サンバイザーに、光源の位置と運転者の目の位置とを結ぶ直線との交点を含む位置及び大きさの遮光部を、スイッチの操作により設定した濃度で形成する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6963207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液晶サンバイザーに形成される遮光部は、単に、光源の光を遮る防眩機能を発揮するものに過ぎず、光源以外の、車両の周辺で発生しているシーンは、遮光部の形成において何ら反映されていない。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、車両のフロントシールドにおいて、車両の周辺で発生しているシーンを反映した表示を車両の乗員に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一つの態様に係るフロントシールドの色味変更方法では、車両の周辺情報を取得し、周辺情報に基づいて、車両のフロントシールドの色味を変更する範囲を算出する。周辺情報に基づいて、車両の周辺に存在する交通情報の表示部を判定し、車両の乗員の目の位置をアイポイントとして検出する。表示部の判定結果とアイポイントの検出結果とに基づいて、フロントシールドの色味を変更する範囲のうち、アイポイントから表示部への乗員の視線上に位置する部分を、除外部分として算出する。フロントシールドの色味を変更する範囲のうち、除外部分を除く対象部分の色味を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両のフロントシールドにおいて、車両の周辺で発生しているシーンを反映した表示を車両の乗員に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る色味変更方法が適用されるフロントシールドの色味変更装置の構成を示す図である。
図2図2は、図1の色味変更装置が行うフロントシールドの色味変更処理における手順の一例を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、図1の周辺環境判定部が車内に日差しが入りやすくなるシーンであると判定した場合の対象部分の例を示す図である。
図3B図3Bは、図1の周辺環境判定部が車内に日差しが入りにくくなるシーンであると判定した場合の対象部分の例を示す図である。
図3C図3Cは、図1の周辺環境判定部が、対向車のヘッドライトの光が車内に入りやすくなる日没後のシーンであると判定した場合の対象部分の例を示す図である。
図4A図4Aは、対象部分のうち、除外部分の外縁部の色味を交通信号機の点灯色(青)に対応する同じ色味に変更した例を示す図である。
図4B図4Bは、対象部分のうち、除外部分の外縁部の色味を交通信号機の点灯色(赤)に対応する同じ色味に変更した例を示す図である。
図5A図5Aは、対象部分のうち上縁部の色味を交通信号機の点灯色(青)に対応する同じ色味に変更した例を示す図である。
図5B図5Bは、対象部分のうち上縁部の色味を交通信号機の点灯色(赤)に対応する同じ色味に変更した例を示す図である。
図6図6は、図1の周辺環境判定部が、車両のフロントピラーによってアイポイントから死角となる乗員の視野に歩行者が存在するシーンであると判定した場合の対象部分の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るフロントシールドの色味変更装置の構成を説明する。
【0011】
本実施形態に係る色味変更装置100は、サンバイザ装置200が出力する画像の色味を変更して、本実施形態に係る色味変更方法を実施することができる。サンバイザ装置200は、例えば、車両のフロントシールドにおける室内側の表面上に配置した透過ディスプレイであってもよい。車両の乗員は、透過ディスプレイに表示された画像を、フロントシールドを通して見える車外の風景に重ねて視認することができる。
【0012】
フロントシールドは、フロントガラス、フロントウィンド、ウィンドシールド、ウィンドスクリーン等と呼ばれることもある。透過ディスプレイは、例えば、液晶パネル、有機EL(Electroluminescent)ディスプレイ、無機ELディスプレイを用いて構成することができる。サンバイザ装置200は、透過ディスプレイに画像を表示しない不使用時に、フロントシールドを通した視界と重ならない位置に移動させ、透過ディスプレイに画像を表示する使用時にだけ、フロントシールドの表面上に配置するものであってもよい。
【0013】
サンバイザ装置200は、例えば、車両のフロントシールドと協働してヘッドアップディスプレイを構成する投影用のディスプレイであってもよい。サンバイザ装置200は、ヘッドアップディスプレイにおいて表示する画像をフロントシールドに投影する。
【0014】
車両の乗員は、サンバイザ装置200が出力した画像をフロントシールド上で視認することができる。
【0015】
色味変更装置100は、例えば、汎用のマイクロコントローラを有している。マイクロコントローラは、CPU(Central Processing Unit )及びメモリを備える。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。
【0016】
マイクロコントローラは、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。複数の情報処理回路は、色味変更装置100の後述する各部101~113を構成するのに用いることができる。
【0017】
本実施形態では、マイクロコントローラに構築される複数の情報処理回路をソフトウェアによって実現する例を示す。もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。専用のハードウェアは、各部101~113の機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC;Application Specific Integrated Circuit )、従来型の回路部品のような装置を含む。
【0018】
色味変更装置100のマイクロコントローラは、仮想的に構築する複数の情報処理回路により、周辺情報取得部101、周辺環境判定部103、色味変更判定部105及び色味変更位置判定部107を構成することができる。色味変更装置100のマイクロコントローラは、複数の情報処理回路により、アイポイント検出部109、色味情報生成部111及び制御部113をさらに構成することができる。
【0019】
周辺情報取得部101は、車両の周辺の情報を周辺情報として取得する。周辺情報取得部101は、センサ部115、交通装置認識部117及び天気情報取得部119を有している。
【0020】
センサ部115は、周辺情報を収集するセンサ類が出力した信号を取得する。センサ類は、車両に搭載されたデバイスであり、例えば、補助カメラとしての車外カメラ、センサ及びソナー(Sonar )のうち少なくとも一方、ITS(Intelligent Transport Systems :高度道路交通システム)を利用した通信設備等を含んでいる。
【0021】
車外カメラは、車両の周辺の画像を撮影する。車外カメラの撮影画像は、例えば、車両の乗員が車内から見る視界の画像を含んでいる。車外カメラの撮影画像は、車両がいる場所の天候を判定するのに用いることができる。車両がいる場所の天候は、例えば、車両がいる場所における日照の有無、車両がいる場所から見た地平線に対する太陽の高さ等を含むものとすることができる。
【0022】
センサ及びソナーは、車両の周辺の物体を検出する。センサは、電波を用いて対象物までの距離を測定するレーダー(Rader )、レーザ光を用いて対象物までの距離を測定するライダー(LiDAR )を含んでいてもよい。ソナーは、超音波を用いて対象物までの距離を測定する。センサ及びソナーのうち少なくとも一方の出力は、車両の周辺に存在する障害物を検出するのに用いることができる。
【0023】
ITSを利用した通信設備は、車車間通信によって他の車両から情報を受信し、あるいは、路車間通信により路側機から情報を受信する。
【0024】
車車間通信では、通信設備を搭載した自車両と周辺に存在する他の車両との間で、互いの車両の情報が送受される。車両の情報は、車両の位置及び走行速度のうち少なくとも一方を含む。他の車両の位置又は走行速度により、例えば、他の車両である救急車等の緊急車両が自車両に接近するのを認識することができる。他の車両の位置及び走行速度は、自車両に対する相対的な位置及び走行速度であってもよい。
【0025】
路車間通信では、路側機から自車両に交通情報が送信される。交通情報は、自車両の周辺の道路の情報を含んでいてもよい。道路の情報は、例えば、交差点、カーブ、車線数等、道路の形状の情報を含む。道路の情報は、例えば、交差点の右折時に右折先の道路の対向車線にいる他の車両、横断歩道上の歩行者等の情報を含んでいてもよい。
【0026】
交通装置認識部117は、センサ部115が取得した車外カメラの撮影画像中に存在する交通装置を、交通情報の表示部として認識する。交通装置は、交通信号機を含んでいる。交通信号機は、例えば、青、黄、赤の3つの点灯色で信号を表示する。交通装置は、交通信号機の他、例えば、道路標識、文字等の可変情報を表示する道路情報板等を含んでいてもよい。交通装置認識部117は、例えば、車外カメラの撮影画像中に存在する交通装置を認識する。
【0027】
交通装置が交通信号機である場合、交通装置認識部117は、車外カメラの撮影画像中に存在する交通信号機を認識し、かつ、交通信号機の点灯色を識別する。交通装置認識部117は、撮影画像中に存在する交通信号機の信号の点灯色を、路車間通信によって取得した情報から特定してもよい。
【0028】
天気情報取得部119は、電気通信回線を介して車両と通信する通信相手から通信設備が受信してセンサ部115が取得した情報から、車両がいる場所の気象情報を取得する。通信相手は、例えば、電気通信回線を介して接続されたインターネット上の、車両がいる場所を含む地域の気象情報を提供するサイトの運営者が運用するサーバであってもよい。
【0029】
周辺情報取得部101は、センサ部115、交通装置認識部117及び天気情報取得部119のうち1又は2以上の要素から、車両の周辺情報に当たる信号、認識結果、情報等を取得することができる。
【0030】
周辺環境判定部103は、周辺情報取得部101が取得した周辺情報に基づいて、車両の周辺環境を判定する。周辺環境判定部103は、車両の周辺環境として、車両がいる場所のシーン(scene )がどんなシーンであるかを判定してもよい。
【0031】
周辺環境判定部103が判定するシーンは、時間帯に対応した天気の状態で分類したシーンであってもよい。晴天日の朝又は夕方に対応する、太陽の位置が低く車内に日差しが入りやすくなるシーン、晴天日の日中に対応する、太陽の位置が高く車内に日差しが入りにくくなるシーンは、時間帯に対応した天気の状態で分類したシーンの一例となり得る。日没後の夜間に対応する、対向車のヘッドライトの光が車内に入りやすくなるシーンも、時間帯に対応した天気の状態で分類したシーンの一例となり得る。
【0032】
周辺環境判定部103は、センサ部115の、ITSによる通信で得た情報、車外カメラの撮影画像、又は、天気情報取得部119が取得した気象情報等に基づいて、車両がいる場所のシーンを判定することができる。例えば、周辺環境判定部103は、車両がいる場所のシーンを、太陽又はヘッドライトが映った室外カメラの撮影画像に基づいて判定してもよく、当日の気象情報と現在時刻とに基づいて判定してもよい。
【0033】
周辺環境判定部103が判定するシーンは、時間帯に対応した天気の状態に加えて、交通装置の有無で分類したシーンであってもよい。例えば、周辺環境判定部103は、車両がいる場所のシーンの判定に用いた車外カメラの撮影画像中に、交通装置が存在することを交通装置認識部117が認識したか否かによって、交通装置が存在するシーンであるか否かを判定することができる。
【0034】
車外カメラの撮影画像中に交通信号機が存在する場合、周辺環境判定部103は、交通信号機の位置及び信号の点灯色を撮影画像から特定して、位置及び点灯色を特定した交通信号機が存在するシーンであると判定してもよい。周辺環境判定部103は、周辺情報に基づいて車両の周辺に存在する交通情報の表示部を判定する表示部判定部として機能することができる。
【0035】
色味変更判定部105は、サンバイザ装置200が出力して車両の乗員がフロントシールド上で視認する画像に色味を付けるか否かを、周辺環境判定部103が判定した車両の周辺環境に基づいて判定する。色味変更判定部105は、周辺環境判定部103が判定した車両の周辺環境に基づいて、乗員がフロントシールド上で視認する画像の色味を変更するか否かも判定する。
【0036】
色味変更位置判定部107は、色味変更判定部105が色味を付けると判定した、あるいは、色味を変更すると判定した、車両の乗員がフロントシールド上で視認する画像について、色味を付ける範囲又は色味を変更する範囲を算出する。色味変更位置判定部107は、周辺環境に基づいて、車両のフロントシールドの色味を変更する範囲を算出する変更範囲算出部として機能することができる。
【0037】
アイポイント検出部109は、例えば、車内カメラが撮影する車内の画像から、車両の乗員の目を抽出し、抽出した目の画像における位置に基づいて、車両における乗員の目の位置をアイポイントとして検出する。
【0038】
色味変更位置判定部107は、交通装置認識部117が交通装置を認識した場合に、フロントシールドの色味を変更する範囲のうち、交通装置に対する乗員の視線と重なる部分を、色味の変更対象から除外する。フロントシールドの色味を変更する範囲は、フロントシールドに色味を付ける範囲を含んでもよく、色味の変更対象は色味を付ける対象を含んでもよい。交通装置に対する乗員の視線と重なる部分を色味の変更対象から除外することで、交通装置の視認性がフロントシールドの色味によって低下することが抑制される。色味変更位置判定部107は、除外部分算出部として機能することができる。
【0039】
除外部分算出部は、フロントシールドの色味を変更する範囲又はフロントシールドに色味を付ける範囲のうち、乗員のアイポイントから交通装置への視線上に位置する部分を、除外部分として算出する。除外部分算出部は、交通装置認識部117による交通情報の表示部の判定結果と、アイポイント検出部109によるアイポイントの検出結果とに基づいて、除外部分を算出することができる。
【0040】
色味情報生成部111は、車両のフロントシールドの色味を変更する部分について、変更後の色味の情報を生成する。色味を付けていないフロントシールドに新しく色味を付ける場合は、色味情報生成部111は、フロントシールドに付ける色味の情報を生成する。
【0041】
制御部113は、フロントシールドの色味を変更する範囲又は色味を付ける範囲のうち、除外部分を除く対象部分について、フロントシールドの色味を変更し、又は、フロントシールドに色味を付ける。色味情報生成部111及び制御部113は、色味変更部として機能することができる。
【0042】
次に、色味変更装置100が行うフロントシールドの色味変更処理における手順の一例を、図2のフローチャートを参照して説明する。色味変更装置100のマイクロコントローラは、図2のフローチャートの手順による処理を、所定の制御周期の度に繰り返して行う。
【0043】
まず、ステップS101において、図1の周辺情報取得部101が、センサ部115、交通装置認識部117及び天気情報取得部119を用いて、車両の周辺情報を取得する。次に、ステップS102において、周辺情報取得部101が取得した周辺情報に基づいて、周辺環境判定部103が、車両の周辺環境を判定する。
【0044】
例えば、日照があり、地平線に対する太陽の位置が低い場合、周辺環境判定部103は、車両の周辺環境が、晴天日の朝又は夕方に対応する、太陽の位置が低く車内に日差しが入りやすくなるシーンであると判定する。日照があり、地平線に対する太陽の位置が高い場合、周辺環境判定部103は、車両の周辺環境が、晴天日の日中に対応する、太陽の位置が高く車内に日差しが入りにくくなるシーンであると判定する。日照がなく車両の周辺が暗い場合、周辺環境判定部103は、車両の周辺環境が、日没後の夜間に対応する、対向車のヘッドライトの光が車内に入りやすくなるシーンであると判定する。
【0045】
周辺環境判定部103は、交通装置認識部117が認識した車外カメラの撮影画像内の、フロントシールドを通した乗員の視界内に対応する部分に、交通装置が存在する場合、車両の周辺環境が、視界内に交通装置が存在するシーンであると判定する。
【0046】
次に、ステップS103に進み、色味変更判定部105が、周辺環境判定部103が判定した車両の周辺環境に基づいて、車両の乗員がフロントシールド上で視認する画像の色味を変更する、又は、画像に色味を付ける必要があるか否かを判定する。色味変更判定部105は、周辺環境判定部103が前回及び今回の各制御周期に判定したシーンの間に、画像の色味を変える必要、又は、画像に色味を付ける必要が生じるような変化があるか否かに基づいて、ステップS103の判定を行うことができる。
【0047】
乗員がフロントシールド上で視認する画像の色味を変更する、又は、画像に色味を付ける必要がない場合は(ステップS103でNO)、一連の処理を終了する。乗員がフロントシールド上で視認する画像の色味を変更する、又は、画像に色味を付ける必要がある場合は(ステップS103でYES)、ステップS105に進み、色味変更位置判定部107が、色味を変更する、又は、色味を付ける範囲を算出する。
【0048】
ステップS107に進み、周辺環境判定部103が、ステップS105で算出した範囲内のフロントシールドを通した乗員の視界内に、乗員がフロントシールド上で視認する画像の色味に関連する交通装置が存在するか否かを判定する。
【0049】
例えば、交通信号機は、乗員がフロントシールド上で視認する画像の色味に関連する交通装置に該当するものの1つである。乗員がフロントシールドを通して視認する交通信号機は、乗員がフロントシールド上で視認する画像に色味が付いていても、視認しやすいことが好ましい。視認しやすさについて交通信号機と同様の事情を有する交通装置も、乗員がフロントシールド上で視認する画像の色味に関連する交通装置に該当するものとすることができる。
【0050】
周辺環境判定部103は、ステップS107の判定を、例えば、2段階に分けて行うことができる。1段階目では、車両の周辺環境として判定したシーンが、フロントシールド上の色味を付けた画像を通して乗員が視認する位置の、1又は2以上の交通装置を含んでいるか否かを判定する。上記位置の交通装置を含む場合は、2段階目において、その交通装置が、フロントシールド上で視認される画像の色味によって、視認しやすさが損なわれるか否かを判定する。画像の色味によって交通装置の視認しやすさが損なわれる場合、ステップS107の判定は、画像の色味に関連する交通装置が存在するという判定結果となる。
【0051】
画像の色味に関連する交通装置が存在しない場合は(ステップS107でNO)、後述するステップS115に処理を移行する。画像の色味に関連する交通装置が存在する場合(ステップS107でYES)、色味変更装置100のマイクロコントローラは、後述するステップS109~ステップS113の各処理を行う。ステップS109~ステップS113の各処理は、画像に色味を付ける範囲から、交通装置に向けた視線と重なる部分を除外するための処理である。
【0052】
ステップS109では、アイポイント検出部109が、車両の乗員の目の位置をアイポイントとして検出する。
【0053】
ステップS111では、色味変更位置判定部107が「くり抜き位置」を算出する。「くり抜き位置」とは、ステップS105で算出されたフロントシールド上の画像の色味を変更する、又は、画像に色味を付ける範囲のうち、ステップS107で存在すると判定された交通装置に向けた視線上に位置する除外部分のことである。色味変更位置判定部107が算出する「くり抜き位置」は、ステップS109で検出したアイポイントに対応した位置となる。
【0054】
ステップS113では、色味情報生成部111が「くり抜き」を実行する。「くり抜き」とは、ステップS105で算出されたフロントシールド上の画像の色味を変更する、又は、画像に色味を付ける範囲から、ステップS111で算出された「くり抜き位置」を除外する処理である。「くり抜き」の実行後は、ステップS115に処理を移行する。
【0055】
ステップS115では、色味情報生成部111が色味情報を作成する。色味情報とは、フロントシールド上の画像における、ステップS113で「くり抜き」された後の対象部分に対する、変更によって付ける色味、又は、新たに付ける色味を示す情報である。色味情報生成部111が作成する色味情報は、乗員がフロントシールドの対象部分上で視認する画像を、ステップS101で取得された周辺情報から判定した車両の周辺環境の内容に合わせた色味に変更又は色味付けする内容となる。
【0056】
ステップS117では、制御部113が、ステップS115で作成された色味情報を用いて、ステップS113で「くり抜き」された後の対象部分に対する色味の変更又は色味付けを行う。その後、一連の処理を終了する。
【0057】
本実施形態では、周辺環境判定部103が、例えば、図3A図3Cに示す車両300の周辺環境を判定すると、車両300のフロントシールド310の上部に対象部分320が設けられる。
【0058】
対象部分320は、周辺環境判定部103が判定したシーンに基づいて、色味変更位置判定部107が算出した、フロントシールド310上で乗員に視認される画像の色味を変更する、又は、画像に色味を付ける範囲である。対象部分320の範囲及び位置の少なくとも一方は、周辺環境判定部103が判定するシーンによって変更されてもよい。
【0059】
図3Aは、周辺環境判定部103が、車両300の周辺環境を、地平線Hからの太陽Sの位置が低く車内に日差しが入りやすくなるシーンであると判定した場合の、対象部分320の例を示している。
【0060】
図3Bは、周辺環境判定部103が、車両300の周辺環境を、地平線Hからの太陽Sの位置が高く車内に日差しが入りにくくなるシーンであると判定した場合の、対象部分320の例を示している。図3Bでは、車両300の天井に隠れてフロントシールド310越しに見えない太陽Sの図示を省略している。
【0061】
図3Cは、周辺環境判定部103が、車両300の周辺環境を、対向車OCがヘッドライトを点灯し、ヘッドライトの光が車内に入りやすくなる日没後のシーンであると判定した場合の、対象部分320の例を示している。
【0062】
図3A図3Cは、車両300の乗員が不図示のアイポイントから見る車内及び車外の視界を示している。図3A図3Cでは、車外の視界を、フロントシールド310を通して乗員が見る視界のみ示している。
【0063】
図3A図3Cでは、周辺環境判定部103が車両300の周辺環境として判定したシーンが、フロントシールド310上の色味を付けた画像を通して乗員が視認する交通装置が存在しないシーンである場合の例を示している。この場合、フロントシールド310上の画像の色味を変更する、又は、画像に色味を付ける範囲に対する「くり抜き」は実行されない。
【0064】
車内に日差しが入りやすい図3Aのシーンでは、図1のサンバイザ装置200が出力し、対象部分320において車両300の乗員が視認する画像の色味が、例えば、ブラック、グレー等、光透過率が比較的低い色味とされる。対象部分320の色味を、光透過率が比較的低い色味とすれば、車内に入る日差しを対象部分320において遮光するだけでなく、強い日差しが車内に入ることへの乗員の注意を、対象部分320の色味によって喚起することができる。
【0065】
車内に日差しが入りにくい図3Bのシーンでは、図1のサンバイザ装置200が出力し、対象部分320において車両300の乗員が視認する画像の色味が、例えば、ブルー、グリーン等、光透過率が比較的高い色味とされる。対象部分320の色味を、光透過率が比較的高い色味とすれば、対象部分320における車外の見通しを確保しやすくし、また、車内に入る日差しが強くないことを対象部分320の色味で乗員に認識させて、乗員に安心感を与えることができる。
【0066】
対向車OCのヘッドライトの光が車内に入りやすい図3Cのシーンでは、図1のサンバイザ装置200が出力し、対象部分320において車両300の乗員が視認する画像の色味が、例えば、ブラウン等、中間的な光透過率の色味とされる。対象部分320の色味を、中間的な光透過率の色味とすれば、車内に入る対向車OCのヘッドライトの光を対象部分320において遮光するだけでなく、対象部分320における車外の見通しの大幅な低下を抑制し、乗員に安心感を与えることができる。
【0067】
各シーンに対応して変更する対象部分320の色味は、車両300において乗員の操作により設定された内容に基づいて、設定することができる。色味の設定は、例えば、図3A図3Cに示す車両300のセンターコンソールの情報表示装置330のタッチパネルに表示させた色情報の設定画面340上で、乗員の操作により設定することができる。
【0068】
タッチパネルは、例えば、情報表示装置330のとしてのカーナビゲーション装置、ディスプレイオーディオ装置等にユーザインタフェースとして設けられたものを利用することができる。タッチパネルは、乗員による情報の入力操作を受け付け、あるいは、乗員に対する情報の出力を行う。タッチパネルは、液晶パネルのような表示部と位置入力装置とを組み合わせて構成することができる。位置入力装置には、例えば、タッチパッドを用いることができる。タッチパッドは、タッチスクリーン、タッチ画面、又は接触画面等と呼称される場合もある。
【0069】
色情報の設定画面340は、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の各値を個別に入力する従来公知のユーザインタフェース画面とすることができる。
【0070】
対象部分320の色味は、対象部分320の全体に亘って均一の色、濃度であってもよく、例えば、グラデーションのように、色及び濃度の少なくとも一方が対象部分320の中で連続的又は段階的に変化するものであってもよい。
【0071】
図1の周辺環境判定部103が車両300の周辺環境として判定したシーンが、フロントシールド310上の色味を付けた画像を通して乗員が視認する交通装置の表示部が存在するシーンである場合は、「くり抜き」が行われる。
【0072】
図4A図4B図5A図5Bは、車内のアイポイントから車外の交通信号機400に向けた乗員の視線がフロントシールド310の上部と重なる場合の、フロントシールド310の上部に設けられる対象部分320の一例を示している。
【0073】
図4A図4B図5A図5Bの例では、フロントシールド310の上部に、「くり抜き」によって除外部分350が設けられている。除外部分350は、交通信号機400に向けた乗員の視線が通過する部分である。除外部分350は、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって色味を変更する対象から除外される部分である。
【0074】
図4A図4Bの例では、フロントシールド310の上部のうち除外部分350を除く部分に、対象部分320が設けられている。対象部分320のうち、除外部分350の外縁部360を除く部分の色味は、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、車内に日差しが入りにくくなる日中のシーンに対応する色味に変更する。
【0075】
対象部分320のうち、除外部分350の外縁部360を除く部分の色味は、朝又は夕方のシーンに対応する色味、又は、夜間のシーンに対応する色味に変更してもよい。対象部分320のうち外縁部360の色味は、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、交通信号機400の点灯色に対応する同じ色味に変更する。
【0076】
図4Aは、交通信号機400の点灯色が「青」である場合、図4Bは、交通信号機400の点灯色が「赤」である場合をそれぞれ示している。図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、乗員は、図4Aの外縁部360において「青」の色味の画像を視認し、図4Bの外縁部360において「赤」の色味の画像を視認する。
【0077】
図5A図5Bの例では、フロントシールド310の上部のうち除外部分350を除く部分に、対象部分320が設けられている。対象部分320のうち、フロントシールド310の上縁部370を除く部分の色味は、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、車内に日差しが入りにくくなる日中のシーンに対応する色味に変更する。対象部分320のうち上縁部370の色味は、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、交通信号機400の点灯色と同じ色味に変更する。
【0078】
図5Aは、交通信号機400の点灯色が「青」である場合、図5Bは、交通信号機400の点灯色が「赤」である場合をそれぞれ示している。図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、乗員は、図5Aの上縁部370において「青」の色味の画像を視認し、図5Bの上縁部370において「赤」の色味の画像を視認する。
【0079】
図4A及び図4Bの外縁部360と図5A及び図5Bの上縁部370との色味は、車外カメラの撮影画像から交通装置認識部117が認識する交通信号機400の点灯色が変わると、色味情報生成部111が生成する情報の更新によって変更される。
【0080】
図4A図4B図5A図5Bの例では、交通信号機400の視線と重なる除外部分350を、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって色味を変更する対象から除外する。除外部分350を色味の変更対象から除外することで、フロントシールド310の対象部分320を通して交通信号機400を視認する場合でも、交通信号機400の点灯色を視認しやすくし、乗員に安心感を与えることができる。
【0081】
図4A図4Bの例では、除外部分350の外縁部360の色味を、図5A図5Bの例では、フロントシールド310の上縁部370の色味を、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、交通信号機400の点灯色に変更する。外縁部360又は上縁部370の色味を交通信号機400の点灯色に変更することで、外縁部360又は上縁部370の色味によって、交通信号機400の点灯色を視認しやすくし、乗員に安心感を与えることができる。
【0082】
車内のアイポイントからの乗員の視線がフロントシールド310の上部と重なるのが、交通信号機400を含まないそれ以外の交通情報の表示部である場合は、外縁部360又は上縁部370の色味を、交通情報の表示部の表示内容に対応する色味に変更する。この変更により、交通情報の表示部の表示内容を、外縁部360又は上縁部370の色味によって認識しやすくし、乗員に安心感を与えることができる。
【0083】
フロントシールド310の上部と重なる乗員の視線が、交通情報の表示部に向けたものでない場合は、外縁部360又は上縁部370の色味を、周辺情報取得部101が取得した周辺情報に対応する予め定められた色味に変更させる。この変更により、外縁部360又は上縁部370の色味によって、交通情報の表示部を視認しやすくし、乗員に安心感を与えることができる。
【0084】
図6では、図1の周辺環境判定部103が車両300の周辺環境として判定したシーンが、車両300のフロントピラー380によってアイポイントから死角となる乗員の視野に歩行者500が存在するシーンである場合の例を示している。フロントピラー380は、フロントシールド310に隣接している。図6では、フロントシールド310の右側に隣接するフロントピラー380を示している。
【0085】
図6に示す例では、右側のフロントピラー380により死角となる視野を撮影した死角画像390を、サンバイザ装置200が出力する画像によって、対象部分320のうち右側のフロントピラー380に近い一部の部分に表示させている。左側のフロントピラー380により死角となる視野を撮影した死角画像390を、サンバイザ装置200が出力する画像によって、例えば、対象部分320のうち左側のフロントピラー380に近い一部の部分に表示させてもよい。
【0086】
死角画像390には、例えば、センサ部115の補助カメラとしての車外カメラで撮影した映像を用いてもよい。死角画像390は、対象部分320のうちフロントピラー380から離れた部分に表示させてもよい。
【0087】
図6の例では、フロントシールド310の上部のうち死角画像390の表示部分を除く部分に、対象部分320が設けられている。対象部分320のうち、死角画像390を除く部分の色味は、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、車内に日差しが入りにくくなる日中のシーンに対応する色味に変更する。
【0088】
対象部分320のうち、死角画像390を除く部分の色味は、朝又は夕方のシーンに対応する色味、又は、夜間のシーンに対応する色味に変更してもよい。対象部分320の死角画像390を表示する部分の色味は、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、死角画像390に対応する色味に変更する。
【0089】
図6の例では、フロントピラー380により死角となる視野を撮影した死角画像390を、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、フロントシールド310の対象部分320の一部に表示する。死角画像390を対象部分320に表示することで、フロントピラー380により視野に死角が発生する場合でも、死角の空間にいる歩行者500等を認識しやすくし、乗員に安心感を与えることができる。
【0090】
なお、図1のサンバイザ装置200が出力する画像によって、対象部分320の一部に表示される死角画像390の範囲を、例えば、車内のスイッチ395を乗員が操作することで、操作により指定された方向に移動させることができるようにしてもよい。死角画像390を対象部分320に表示するのは、例えば、不図示の方向指示器の操作中に限るようにしてもよい。
【0091】
上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0092】
100 色味変更装置
101 周辺情報取得部
103 周辺環境判定部(表示部判定部)
107 色味変更位置判定部(変更範囲算出部、除外部分算出部)
109 アイポイント検出部
111 色味情報生成部(色味変更部)
113 制御部(色味変更部)
115 センサ部(補助カメラ、センサ及びソナー)
300 車両
310 フロントシールド
320 対象部分
340 設定画面
350 除外部分
360 外縁部
380 フロントピラー
390 死角画像
395 スイッチ
400 交通信号機(交通情報の表示部)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6