(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067906
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/77 20230101AFI20240510BHJP
【FI】
H04N5/3745
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178319
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】小木 純
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX03
5C024GX03
5C024GX15
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
5C024GY45
5C024HX17
5C024HX29
5C024HX32
(57)【要約】
【課題】高照度における入射光のフォトン数を高いSNRでカウントすることができる光検出装置を提供する。
【解決手段】本開示による光検出装置は、第1フォトダイオードと、光の入射によって生じる前記第1フォトダイオードの降伏で電圧が変化するセンスノードと、前記センスノードの電圧に基づいて前記第1フォトダイオードの降伏回数をカウントするカウンタと、前記カウンタのカウント値に応じて、該カウント値を1だけ増大させる前記降伏回数を制御するカウント制御部とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フォトダイオードと、
光の入射によって生じる前記第1フォトダイオードの降伏で電圧が変化するセンスノードと、
前記センスノードの電圧に基づいて前記第1フォトダイオードの降伏回数をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値に応じて、該カウント値を1だけ増大させる前記降伏回数を制御するカウント制御部とを備えている、光検出装置。
【請求項2】
前記カウント制御部は、前記センスノードと基準電圧源との間に直列に接続された第1キャパシタおよびスイッチを備えている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記スイッチは、前記カウント値が所定値未満の場合に非導通状態であり、前記カウント値が所定値以上の場合に導通状態となる、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記スイッチが非導通状態の場合に、前記カウンタは、前記第1フォトダイオードが降伏するごとに前記カウント値を1ずつ増大させ、
前記スイッチが導通状態の場合に、前記カウンタは、前記第1フォトダイオードがn回(nは2以上の整数)降伏するごとに前記カウント値を1ずつ増大させる、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
電圧源と前記センスノードとの間に設けられ、前記第1フォトダイオードの降伏によって制御される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタと前記センスノードとの間に設けられ、前記第1フォトダイオードの降伏によって前記第1トランジスタよりも遅延して制御される第2トランジスタと、
前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとの間のノードと基準電圧源との間に接続された第2キャパシタとをさらに備える、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記カウント制御部は、前記センスノードの容量と前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとの間のノードの容量との比によって、前記nの値を制御する、請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
複数の画素が配列された画素領域をさらに備え、
前記複数の画素のそれぞれが、前記第1フォトダイオード、前記カウンタおよび前記カウント制御部を備えている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記第1フォトダイオードは、1フォトンの入射によって1回アバランシェ降伏するSPAD(Single Photon Avalanche Diode)である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記カウント制御部は、前記第2キャパシタに対して並列に接続されている、請求項5に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記センスノードと基準電圧源との間に設けられた第2フォトダイオードをさらに備えている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記第1フォトダイオードの1回の露光期間において、前記センスノードを充電する周期が第1周期と該第1周期よりも長い第2周期とを含む、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記第1フォトダイオードの1回の露光期間において、前記センスノードを充電する周期が第1周期と該第1周期よりも長い第2周期とを含み、
前記第1周期において前記スイッチを導通状態とし、前記第2周期において前記スイッチを非導通状態とする、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記スイッチは、前記カウンタおよび前記カウント制御部の外部からの信号によって制御される、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項14】
順バイアス電圧に応じて降伏するときの入射フォトン数が変わる第1フォトダイオードと、
前記第1フォトダイオードに前記順バイアス電圧を印加する電源回路と、
光の入射によって生じる前記第1フォトダイオードの降伏で電圧が変化するセンスノードと、
前記第1フォトダイオードの降伏をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値に応じて前記電源回路からの前記順バイアス電圧を制御するカウント制御部とを備えている、光検出装置。
【請求項15】
前記カウント制御部は、前記カウント値が所定値未満の場合に前記順バイアス電圧を第1電圧とし、前記カウント値が所定値以上の場合に前記順バイアス電圧を前記第1電圧よりも小さな第2電圧にする、請求項14に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記順バイアス電圧が前記第1電圧の場合に、前記第1フォトダイオードは、1個のフォトンを入射するごとに降伏し、
前記順バイアス電圧が前記第2電圧の場合に、前記第1フォトダイオードは、n個(nは2以上の整数)のフォトンを入射するごとに降伏する、請求項15に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトンカウントセンサにおいて、入射光が高照度の場合に、画素の休止期間を設けて、フォトンのカウント数を削減する技術がある(特許文献1)。このような技術では、高照度の入射光のフォトンを間引いて検出し、統計的な処理によって実際のフォトン数を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-123846号公報
【特許文献2】国際出願公開第2022-018515号公報
【特許文献3】特開2018-157387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、入射光のフォトンを間引いて検出しているため、ダイナミックレンジは拡大されるものの、高照度におけるフォトン数が実際のフォトン数と異なる場合がある。この場合、SNR(Signal-Noise Ratio)が劣化してしまう。
【0005】
そこで、本開示は、高照度における入射光のフォトン数を高いSNRでカウントすることができる光検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面の光検出装置は、第1フォトダイオードと、光の入射によって生じる第1フォトダイオードの降伏で電圧が変化するセンスノードと、センスノードの電圧に基づいて第1フォトダイオードの降伏回数をカウントするカウンタと、カウンタのカウント値に応じて、該カウント値を1だけ増大させる降伏回数を制御するカウント制御部とを備えている。
【0007】
カウント制御部は、センスノードと基準電圧源との間に直列に接続された第1キャパシタおよびスイッチを備えている。
【0008】
スイッチは、カウント値が所定値未満の場合に非導通状態であり、カウント値が所定値以上の場合に導通状態となる。
【0009】
スイッチが非導通状態の場合に、カウンタは、第1フォトダイオードが降伏するごとにカウント値を1ずつ増大させ、スイッチが導通状態の場合に、カウンタは、第1フォトダイオードがn回(nは2以上の整数)降伏するごとにカウント値を1ずつ増大させる。
【0010】
光検出装置は、電圧源とセンスノードとの間に設けられ、フォトダイオードの降伏によって制御される第1トランジスタと、第1トランジスタとセンスノードとの間に設けられ、フォトダイオードの降伏によって第1トランジスタよりも遅延して制御される第2トランジスタと、第1トランジスタと第2トランジスタとの間のノードと基準電圧源との間に接続された第2キャパシタとをさらに備える。
【0011】
カウント制御部は、センスノードの容量と第1トランジスタと第2トランジスタとの間のノードの容量との比によって、nの値を制御する。
【0012】
複数の画素が配列された画素領域をさらに備え、複数の画素のそれぞれが、第1フォトダイオード、カウンタおよびカウント制御部を備えている。
【0013】
第1フォトダイオードは、1フォトンの入射によって1回アバランシェ降伏するSPAD(Single Photon Avalanche Diode)である。
【0014】
カウント制御部は、第2キャパシタに対して並列に接続されている。
【0015】
センスノードと基準電圧源との間に設けられた第2フォトダイオードをさらに備えている。
【0016】
第1フォトダイオードの1回の露光期間において、センスノードを充電する周期が第1周期と該第1周期よりも長い第2周期とを含む。
【0017】
第1フォトダイオードの1回の露光期間において、センスノードを充電する周期が第1周期と該第1周期よりも長い第2周期とを含み、第1周期においてスイッチを導通状態とし、第2周期においてスイッチを非導通状態とする。
【0018】
スイッチは、カウンタおよびカウント制御回路の外部からの信号によって制御される。
【0019】
本開示の他の側面の光検出装置は、順バイアス電圧に応じて降伏するときの入射フォトン数が変わる第1フォトダイオードと、第1フォトダイオードに順バイアス電圧を印加する電源回路と、光の入射によって生じる第1フォトダイオードの降伏で電圧が変化するセンスノードと、第1フォトダイオードの降伏をカウントするカウンタと、カウンタのカウント値に応じて電源回路からの順バイアス電圧を制御するカウント制御部とを備えている。
【0020】
カウント制御部は、カウント値が所定値未満の場合に順バイアス電圧を第1電圧とし、カウント値が所定値以上の場合に順バイアス電圧を第1電圧よりも小さな第2電圧にする。
【0021】
順バイアス電圧が第1電圧の場合に、第1フォトダイオードは、1個のフォトンを入射するごとに降伏し、順バイアス電圧が第2電圧の場合に、第1フォトダイオードは、n個(nは2以上の整数)のフォトンを入射するごとに降伏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る光検出装置の概略構成を示すブロック図。
【
図2】1つの画素の内部構成の一例を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図4】スイッチが導通状態になったときの光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図5】入射フォトン数とカウント値との関係を示すグラフ。
【
図6】1つの画素の内部構成の他の例の一部を示すブロック図。
【
図7】第2実施形態に係る画素の内部構成の一例を示すブロック図。
【
図8】第2実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図9】スイッチが導通状態になったときの光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図10】第3実施形態に係る画素の内部構成の一例を示すブロック図。
【
図11】第3実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図12】スイッチが導通状態になったときの光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図13】第4実施形態に係る画素の内部構成の一例を示すブロック図。
【
図14】第4実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図15】第4実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図16】第4実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図17】第4実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図18】第5実施形態に係る画素の内部構成の一例を示すブロック図。
【
図19】第5実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図20】第5実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図21】第5実施形態における充電周期を示す概念図。
【
図22】フォトン入射レートとカウント値との関係を示すグラフ。
【
図23】フォトン入射レートとSNRとの関係を示すグラフ。
【
図24】第6実施形態に係る画素の内部構成の一例を示すブロック図。
【
図25】第6実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図26】第6実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図27】第7実施形態に係る画素の内部構成の一例を示すブロック図。
【
図28】第7実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図29】第7実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図30】第7実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図31】第7実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図。
【
図32】第8実施形態に係る画素の内部構成の一例を示すブロック図。
【
図33】第9実施形態に係る画素の内部構成例の一部分を示すブロック図。
【
図34A】光検出装置のチップ積層構成の一例を示す概略図。
【
図34B】光検出装置のチップ積層構成の一例を示す概略図。
【
図35】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図。
【
図36】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光検出装置の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
本実施形態による光検出装置100は、画素領域10と、垂直選択回路30と、信号処理回路40と、水平選択回路50と、出力回路60と、制御回路70と、を備える。
【0026】
画素領域10には、行方向および列方向にマトリクス状に二次元的に配列された複数の画素Pが設けられている。
図1には、第0行から第5行までの6行と、第0列から第5列までの6列に配された36個の画素Pを、行番号及び列番号を示す符号とともに示している。例えば、第1行、第4列に配された画素Pには、P14の符号を付している。
【0027】
なお、画素領域10を構成する画素アレイの行数及び列数は、特に限定されるものではない。また、画素領域10には、必ずしも画素Pが2次元状に配置されている必要はない。例えば、画素領域10は1つの画素Pにより構成されていてもよいし、画素領域10に画素Pが行方向又は列方向に1次元状に配されていてもよい。さらに、画素Pは、3次元的に立体配置されてもよい。画素領域10は、画素Pが形成された複数の基板を積層した積層体として構成されてもよい。
【0028】
画素領域10の画素アレイの各行には、X方向に延在する制御線PVSELが設けられている。制御線PVSELは、X方向に並ぶ複数の画素Pのそれぞれに接続され、これら画素Pに共通の信号線をなしている。制御線PVSELの延在するX方向は、行方向或いは水平方向と表記することがある。なお、
図1には、制御線PVSELを、行番号を示す符号とともに表している。例えば、第1行の制御線には、PVSEL[1]の符号を付している。
【0029】
各行の制御線PVSELは、垂直選択回路30に接続されている。垂直選択回路30は、画素P内の信号生成回路(図示せず)を駆動するための制御信号を、制御線PVSELを介して画素Pに供給する回路部である。垂直選択回路30は、画素Pが有するカウンタがカウントを積算する期間の開始、終了を制御する。
【0030】
画素領域10の画素アレイの各列には、X方向と交差する(例えば、直交する)Y方向に延在する出力線POUTが設けられている。出力線POUTは、Y方向に並ぶ複数の画素Pのそれぞれに接続され、これら画素Pに共通の信号線をなしている。出力線POUTの延在するY方向は、列方向或いは垂直方向と表記することがある。なお、
図1には、出力線POUTを、列番号を示す符号とともに表している。例えば、第4列の出力線には、POUT4の符号を付している。出力線POUTの各々は、nビットのデジタル信号を出力するためのn本の信号線を備えている。
【0031】
出力線POUTは、信号処理回路40に接続されている。信号処理回路40は、画素領域10の画素アレイの各列に対応してそれぞれ設けられており、対応する列の出力線POUTに接続されている。信号処理回路40は、対応する列の出力線POUTを介して画素Pから出力される信号を保持する機能を備える。画素Pから出力される信号は、出力線POUTのn本の信号線を介して入力されるnビットの信号であるため、信号処理回路40の各々は各ビットの信号を保持するため少なくともn個の保持部を有する。
【0032】
水平選択回路50は、信号処理回路40から信号を読み出すための制御信号を信号処理回路40に供給する回路部である。水平選択回路50は、各列の信号処理回路40に、制御線PHSELを介して制御信号を供給する。水平選択回路50から制御信号を受信した信号処理回路40は、保持部に保持している信号を、水平出力線HSIGを介して出力回路60へと出力する。なお、
図1には、制御線PHSELを、列番号を示す符号とともに表している。例えば、第4列の制御線には、PHSEL[4]の符号を付している。水平出力線HSIGは、nビットのデジタル信号を出力するためのn本の信号線を備えている。
【0033】
出力回路60は、水平出力線HSIGを介して供給された信号を、出力信号SOUTとして光検出装置100の外部へ出力するための回路部である。制御回路70は、垂直選択回路30、信号処理回路40、水平選択回路50、出力回路60の動作やそのタイミングを制御する制御信号を供給するための回路部である。なお、垂直選択回路30、信号処理回路40、水平選択回路50、出力回路60の動作やそのタイミングを制御する制御信号の少なくとも一部は、光検出装置100の外部から供給してもよい。
【0034】
図2は、1つの画素Pの内部構成の一例を示すブロック図である。各画素Pは、アバランシェ増倍型のフォトダイオードPDと、画素制御回路12と、カウント制御回路14と、カウンタ回路16とを備える。
【0035】
フォトダイオードPDのアノードは、基準電圧源に接続されている。基準電圧源は、例えば、グランドまたは負の電圧源である。フォトダイオードPDのカソードは、画素制御回路12のトランジスタTrchのソースに接続されている。フォトダイオードPDは、アノードとカソードとの間に印加される逆バイアス電圧がブレイクダウン電圧以上であるとき、フォトン(光子)の入射を受けてアバランシェ降伏し、増倍されたアバランシェ電流を発生する。フォトダイオードPDにアバランシェ電流が流れることにより、フォトダイオードPDのカソード電圧が変化する。カソード電圧の変化によって、画素制御回路12は、インバータINV5の出力信号を変化させ、カウンタ回路16へ光検出パルスPLSを出力する。フォトダイオードPDは、例えば、1フォトンの入射によって1回アバランシェ降伏するSPAD(Single Photon Avalanche Diode)である。
【0036】
画素制御回路12は、トランジスタTrch、Ts、Ta、Trstと、インバータINV1~INV5と、キャパシタCPs、CPaと、カウント制御回路14とを備えている。
【0037】
トランジスタTrchは、高レベル電圧源VDDHとフォトダイオードPDのカソードとの間に接続されている。トランジスタTrchのドレインは電圧源VDDHに接続され、そのソースはフォトダイオードPDのカソードおよびインバータINV1の入力に接続されている。トランジスタTrchのゲートは、制御線PVSELの1つに接続されており、垂直選択回路30からの制御信号Vqを受ける。
【0038】
トランジスタTrchは、導通状態になることによって、フォトダイオードPDのカソードを電圧源VDDHで充電する。これにより、フォトダイオードPDには、逆バイアスの電圧が印加される。トランジスタTrchが非導通状態になると、フォトダイオードPDは逆バイアス電圧が印加された状態で保持され、フォトンの入射を待機する。このとき、フォトダイオードPDのカソード電圧はVKとする。このように、トランジスタTrchは、フォトダイオードPDの充電および再充電のために用いられる。トランジスタTrchは、例えば、n型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)でよい。
【0039】
インバータINV1~INV3は、フォトダイオードPDのカソードとトランジスタTaのゲートとの間に直列に接続されている。また、インバータINV1の出力は、トランジスタTsのゲートに接続されている。インバータINV1~INV3は、バッファおよび遅延回路として機能する。
【0040】
トランジスタTsは、電圧源VDDLとセンスノードSNとの間に接続されている。電圧源VDDLは、電圧源VDDHよりも低いが、基準電圧源よりも高い電圧源である。トランジスタTsのドレインは電圧源VDDLに接続され、そのソースはトランジスタTaのドレインおよびキャパシタCPsの一端に接続されている。トランジスタTsのゲートは、インバータINV1の出力に接続されており、電圧VKの反転電圧VSを受ける。トランジスタTsは、フォトダイオードPDのアバランシェ降伏によって導通状態に制御される。
【0041】
トランジスタTsは、フォトダイオードPDのカソード電圧が充電されている場合に非導通状態となっており、電圧源VDDLからキャパシタCPsの一端を電気的に切断している。フォトダイオードPDがアバランシェ降伏してカソード電圧VKが低下すると、トランジスタTsが導通状態となり、キャパシタCPsが電圧源VDDLによって充電される。キャパシタCPsの電圧はVcsとする。トランジスタTsは、例えば、n型MOSFETでよい。
【0042】
トランジスタTaは、トランジスタTsとセンスノードSNとの間に接続されている。トランジスタTaのドレインは、トランジスタTsのソースおよびキャパシタCPsの一端に接続され、そのソースはセンスノードSNに接続されている。トランジスタTaのゲートは、インバータINV3の出力に接続されており、電圧VKの反転電圧VAを受ける。電圧VS、VAは、同一論理の信号(同一レベルの電圧)である。しかし、電圧VAは、インバータINV2、INV3を通過するため、トランジスタTsのゲートに入力される電圧VSよりも遅延してトランジスタTaのゲートに入力される。従って、トランジスタTaは、フォトダイオードPDのアバランシェ降伏によって、トランジスタTsよりも遅れて導通状態になる。
【0043】
トランジスタTaは、フォトダイオードPDのカソード電圧VKが充電されている場合に非導通状態となっており、キャパシタCPsの一端とセンスノードSNとの間を電気的に切断している。フォトダイオードPDがフォトンを受けアバランシェ降伏してカソード電圧VKが低下すると、トランジスタTsが一旦導通状態になる。これにより、キャパシタCPsが電圧源VDDLによって充電される。電圧VKがフォトダイオードPDのクエンチングによって再充電されると、トランジスタTsが非導通状態に戻る。トランジスタTsが非導通状態に戻った後、トランジスタTaが導通状態となる。これにより、センスノードSNがキャパシタCPsによって充電される。トランジスタTaは、例えば、n型MOSFETでよい。
【0044】
トランジスタTrstは、センスノードSNと基準電圧源(例えば、グランド)との間に接続されている。トランジスタTrstのドレインは、センスノードSNに接続され、そのソースは基準電圧源に接続されている。トランジスタTrstのゲートは、インバータINV5の出力(即ち、画素制御回路12の出力)に接続されており、光検出パルスPLSを受ける。
【0045】
トランジスタTrstは、光検出パルスPLSが出力されていないときに非導通状態となっており、光検出パルスPLSがカウンタ回路16へ出力されるごとに導通状態になる。トランジスタTrstが導通状態になることによって、センスノードSNの電圧Vsnを基準電圧(例えば、接地電圧)にリセットする。ただし、光検出パルスPLSは、センスノードSNの変化に対してインバータINV4およびINV5を介して遅延して出力される。従って、センスノードSNの電圧Vsnが充分に変化した後に、トランジスタTrstは、センスノードSNの電圧Vsnをリセットすることができる。トランジスタTrstは、例えば、n型MOSFETでよい。
【0046】
キャパシタCPsは、トランジスタTsとトランジスタTaとの間のノードと基準電圧源(例えば、グランド)との間に接続された固定容量である。キャパシタCPsは、トランジスタTsとトランジスタTaとの間のノードの寄生容量を含む。キャパシタCPsは、トランジスタTsが導通状態のときに電圧源VDDLによって充電される。また、キャパシタCPsは、トランジスタTaが導通状態になると、センスノードSNを充電する。キャパシタCPsの容量Csは、所定値に設定されている。
【0047】
キャパシタCPaは、センスノードSNと基準電圧源との間に接続された固定容量である。キャパシタCPaは、センスノードSNの寄生容量を含む。キャパシタCPaは、トランジスタTaが導通状態のときにキャパシタCPsによって充電される。一方、キャパシタCPaは、トランジスタTrstが導通状態のときに放電されリセットされる。キャパシタCPaの容量Caも、所定値に設定されている。
【0048】
カウント制御回路14は、センスノードSNと基準電圧源(例えば、グランド)との間に直列に接続されたキャパシタCPvおよびスイッチSW1を備えている。スイッチSW1は、センスノードSNとキャパシタCPvの一端との間に接続されている。スイッチSW1は、カウンタ回路16によって制御されるトランジスタでよい。キャパシタCPvは、スイッチSW1と基準電圧源との間に接続された固定容量である。キャパシタCPvの容量Cvは、所定値に設定されている。
【0049】
スイッチSW1は、カウンタ回路16の所定ビットからの制御信号によって制御される。例えば、スイッチは、カウント値が所定値未満の場合に非導通状態であり、カウント値が所定値以上の場合に導通状態となる。カウント値が所定値未満であり、スイッチSW1が非導通状態の場合、センスノードSNの容量はCaである。このとき、フォトダイオードPDが1回アバランシェ降伏する(1フォトンを検出する)度に、1つの光検出パルスPLSが出力される。
【0050】
一方、カウンタ回路16のカウント数が所定値に達して、それに対応する所定ビットが反転したときに、スイッチSW1が導通状態になる。これにより、キャパシタCPvがキャパシタCPaに対して並列に接続され、センスノードSNの容量がCaからCa+Cvに増大する。その結果、フォトダイオードPDが複数回アバランシェ降伏する(複数のフォトンを検出する)度に、1つの光検出パルスPLSが出力されるようになる。
【0051】
このように、カウント制御回路14は、カウンタ回路16のカウント値に応じて、センスノードSNの容量を変更し、カウント値を1だけ増大させるために必要なフォトダイオードPDの降伏回数を制御する。
【0052】
カウンタ回路16は、インバータINV5の出力(画素制御回路12の出力)に接続されている。カウンタ回路16は、センスノードSNの電圧Vsnに基づいて、光検出パルスPLSをカウントする。即ち、カウンタ回路16は、フォトダイオードPDの降伏回数をカウントする。カウンタ回路16は、例えば、光検出パルスPLSの立上りを積算するレジスタ回路でよい。カウント値が所定値未満の場合、カウンタ回路16は、スイッチSW1を非導通状態にしてフォトダイオードPDが1フォトンを検出する度にカウント値を1だけ上げる。カウント値が所定値に達して、カウンタ回路16の所定ビットが反転したときに、カウンタ回路16は、スイッチSW1の制御信号を反転させて、スイッチSW1を導通状態にする。これにより、上述の通り、カウンタ回路16は、フォトダイオードPDが複数のフォトンを検出する度にカウント値を1だけ上げる。
【0053】
次に、第1実施形態に係る光検出装置の動作を説明する。
【0054】
図3は、第1実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図3では、スイッチSW1が非導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的小さいCaである。この動作は、低照度の光を検出する低照度モードに適した動作である。
【0055】
まず、t1以前のフォトン待機中において、制御信号Vqは高レベル電圧に設定され、トランジスタTrchが導通状態となっている。これにより、フォトダイオードPDのカソードが高レベル電圧源VDDHによって充電され、カソード電圧VKが上昇する。フォトダイオードPDには逆バイアス電圧が印加される。このような状態で、フォトダイオードPDはフォトンの入射を待機する。
【0056】
t1において、フォトダイオードPDにフォトンが入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VKが低下する。
【0057】
t2において、カソード電圧VKが閾値Vt1を下回ると、電圧Vsが立ち上がる。これにより、トランジスタTsが導通状態になり、キャパシタCPsがトランジスタTsを介して電圧源VDDLによって充電される。電圧Vcsは、ほぼ電圧源VDDLの電圧に等しくなる。
【0058】
トランジスタTrchは導通状態を維持しているので、フォトダイオードPDがクエンチによって降伏前の元の状態に戻ると、カソード電圧VKはまだ上昇する。
【0059】
t3において、カソード電圧VKが閾値Vt1を超えると、トランジスタTsのゲート電圧VSは立ち下がる。これにより、トランジスタTsが非導通状態になり、キャパシタCPsが充電状態まま電圧源VDDLから切断される。
【0060】
電圧Vsが立ち下がった後、インバータINV2、INV3の遅延回路によって、電圧VAが電圧VSに対して遅延して立ち上がる。ゲート電圧VSが立ち下がった後、t4において、ゲート電圧VAが立ち上がる。これにより、トランジスタTaが導通状態となり、キャパシタCPsとキャパシタCPaとがセンスノードSNと基準電圧源との間に並列接続される。キャパシタCPsに蓄積されていた電荷の一部がキャパシタCPaに移動し、センスノードSNの電圧VsnとキャパシタCPsの電圧Vcsは、ほぼ等しくなる。このとき、電圧Vcs、Vsnは、ともに式1を満たす。
Vcs=Vsn=VDDL×(Cs/(Cs+Ca)) (式1)
【0061】
センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt2を超えると、t5において、光検出パルスPLSが立ち上がる。電圧Vsnが閾値Vt2を超えた後、インバータINV4、INV5の遅延回路によって、光検出パルスPLSが遅延して立ち上がる。
【0062】
カウンタ回路16は、光検出パルスPLSの立上りをカウントする。
【0063】
光検出パルスPLSの立上りは、トランジスタTrstのゲートへフィードバックされる。これにより、t6において、トランジスタTrstが導通状態となり、センスノードSNの電圧Vsnが基準電圧源にリセットされる。さらに、センスノードSNの電圧Vsnが基準電圧源にリセットされると、t7において、光検出パルスPLSが立下がる。
【0064】
その後、フォトンがフォトダイオードPDに入射するごとに、t1~t7が繰り返される。
【0065】
ここで、
図3では、スイッチSW1が非導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的小さいCaである。よって、t4~t5において、トランジスタTaが導通状態となったとき、電圧Vcsは、キャパシタCPsとキャパシタCPaとで容量分割される。センスノードSNの電圧Vsnは、キャパシタCPsの容量(トランジスタTsとトランジスタTaとの間のノードの容量)とキャパシタCPaの容量(センスノードSNの容量)との比Cs/(Cs+Ca)によって決まり、式1のように表される。容量Caが小さい場合、センスノードSNの電圧Vsnは大きくなる。このときのセンスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt2を超えるように、キャパシタCPaの容量Caを設定すれば、光検出パルスPLSは、フォトダイオードPDのアバランシェ降伏ごとに生成される。これにより、カウンタ回路16は、1つのフォトンがフォトダイオードPDに入射するごとにカウントすることができる。即ち、カウンタ回路16は、フォトダイオードPDに入射するフォトン数を計数することができる。
【0066】
フォトンのカウント数が所定値に達すると、カウンタ回路16の所定ビットが反転する。このとき、カウンタ回路16は、スイッチSW1の制御信号を反転させてスイッチSW1を導通状態にする。
【0067】
図4は、スイッチSW1が導通状態になったときの光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図4では、スイッチSW1が導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的大きい(Ca+Cv)である。この動作は、高照度の光を検出する高照度モードに適した動作である。
【0068】
フォトン待機中において、制御信号Vqは高レベル電圧に設定され、トランジスタTrchが導通状態となっている。フォトダイオードPDのカソード電圧VKが高レベル電圧源VDDHによって充電されている。フォトダイオードPDには逆バイアス電圧が印加される。このような状態で、フォトダイオードPDはフォトンの入射を待機する。
【0069】
t11において、フォトダイオードPDにフォトンが入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VKが低下する。
【0070】
t12において、カソード電圧VKが閾値Vt1を下回ると、電圧VSが立ち上がる。これにより、トランジスタTsが導通状態になり、キャパシタCPsがトランジスタTsを介して電圧源VDDLによって充電される。電圧Vcsは、ほぼ電圧源VDDLの電圧に等しくなる。
【0071】
トランジスタTrchは導通状態を維持しているので、フォトダイオードPDがクエンチによって降伏前の元の状態に戻ると、カソード電圧VKはまた上昇する。
【0072】
t13において、カソード電圧VKが閾値Vt1を超えると、トランジスタTsのゲート電圧VSは立ち下がる。これにより、トランジスタTsが非導通状態になり、キャパシタCPsが充電状態まま電圧源VDDLから切断される。
【0073】
電圧VSが立ち下がった後、インバータINV2、INV3の遅延回路によって、電圧VAが電圧VSに対して遅延して立ち上がる。ゲート電圧VSが立ち下がった後、t14において、ゲート電圧VAが立ち上がる。これにより、トランジスタTaが導通状態となり、キャパシタCPs、CPaおよびCPvがセンスノードSNと基準電圧源との間に並列接続される。キャパシタCPsに蓄積されていた電荷の一部がキャパシタCPaおよびCPvに移動し、センスノードSNの電圧VsnとキャパシタCPsの一端の電圧Vcsは、ほぼ等しくなる。このとき、電圧Vcs、Vsnは、ともに式2を満たす。
Vcs=Vsn=VDDL×(Cs/(Cs+Ca+Cv)) (式2)
【0074】
ここで、スイッチSW1が導通状態であるので、センスノードSNの容量がCaから(Ca+Cv)へ増大している。よって、t14~t15において、電圧Vcsは、キャパシタCPsとキャパシタCPa、CPvとで容量分割される。これにより、センスノードSNの電圧Vsnは、キャパシタCPsの容量(トランジスタTsとトランジスタTaとの間のノードの容量)とキャパシタCPaおよびCPvの容量(センスノードSNの容量)との比Cs/(Cs+Ca+Cv)によって決まり、式2のように表される。容量(Ca+Cv)は、容量Caよりも大きいので、センスノードSNの電圧Vsnは、スイッチSW1が非導通状態のときと比べて小さくなる。このときのセンスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt2を超えないように、キャパシタCPa、CPvの容量Ca、Cvを設定すれば、光検出パルスPLSは、1回目のフォトダイオードPDのアバランシェ降伏では生成されない。即ち、カウンタ回路16は、1個のフォトンがフォトダイオードPDに入射してもカウントしない。
【0075】
光検出パルスPLSが生成されないので、トランジスタTrstは非導通状態のままとなり、センスノードSNの電圧Vsnはリセットされない。
【0076】
t15においてゲート電圧VAが立ち下がった後、t16において、2つ目のフォトンがフォトダイオードPDに入射すると、t11の動作と同様に、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VKが再度低下する。
【0077】
t17~t18の動作は、それぞれt12~t13の動作と同じである。
【0078】
t18において、電圧VSが立ち下がった後、インバータINV2、INV3の遅延回路によって、電圧VAが電圧VSに対して遅延して立ち上がる。ゲート電圧VSが立ち下がった後、t19において、ゲート電圧VAが立ち上がる。これにより、トランジスタTaが導通状態となり、キャパシタCPs、CPaおよびCPvが電気的に並列接続される。キャパシタCPsに蓄積されていた電荷の一部がキャパシタCPaおよびCPvにさらに移動し、センスノードSNの電圧VsnとキャパシタCPsの電圧Vcsは、平均化され、ほぼ等しくなる。このとき、電圧Vcs、Vsnは、ともに式3を満たす。
Vcs=Vsn=VDDL×(Cs×(Cs+2Ca+2Cv)/(Cs+Ca+Cv)2) (式3)
【0079】
ここで、1つ目のフォトンの入射時には、光検出パルスPLSは生成されていないので、センスノードSNはリセットされていない。従って、センスノードSNの電圧Vsnは、VDDL×(Cs/(Cs+Ca+Cv))に充電された状態を維持している。さらに、2個目のフォトンの入射時に、センスノードSNがさらに充電されて、センスノードSNの電圧Vsnは、VDDL×(Cs×(Cs+2Ca+2Cv)/(Cs+Ca+Cv)2)になる。このときのセンスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt2を超えるように、キャパシタCPa、CPvの容量Ca、Cvを設定すれば、光検出パルスPLSは、フォトダイオードPDの2回目のアバランシェ降伏によって生成される。これにより、カウンタ回路16は、2つのフォトンがフォトダイオードPDに入射するごとに、1カウントすることができる。
【0080】
カウンタ回路16が1フォトンの検出に対して1カウントするためには、式4を満たすようにCs、Caを設定する。カウンタ回路16が2フォトンの検出に対して1カウントするためには、式5および式6を満たすようにCs、Ca、Cvを設定する。尚、Vthは、インバータINV4の閾値電圧である。
Ca<Cs(VDDL-Vth)/Vth (式4)
Ca+Cv>Cs(VDDL-Vth)/Vth (式5)
VDDL×Cs(Cs+2Ca+sCv)>Vth(Cs+Ca+Cv)2 (式6)
【0081】
t20において、光検出パルスPLSが立上ると、カウンタ回路16がカウント値を1だけ増大させるとともに、トランジスタTrstへの制御信号を立ち上げる。これにより、t21において、トランジスタTrstが導通状態となり、センスノードSNの電圧Vsnが基準電圧源にリセットされる。さらに、センスノードSNの電圧Vsnが基準電圧源によってリセットされると、t22において、光検出パルスPLSが立下がる。
【0082】
その後、2つのフォトンがフォトダイオードPDに入射するごとに、t11~t22が繰り返される。
【0083】
このように、本実施形態による光検出装置100は、カウンタ回路16のカウント値に応じて、フォトダイオードPDの降伏回数に対するカウント値の上昇を制御することができる。
【0084】
例えば、
図5は、入射フォトン数とカウント値との関係を示すグラフである。横軸は、フォトダイオードPDへ入射するフォトン数を示す。縦軸は、カウンタ回路16のカウント値を示す。
【0085】
カウンタ回路16のカウント値が所定値M未満の場合(低照度の光の場合)に、カウント制御回路14のスイッチSW1は、非導通状態となっており、キャパシタCPvをセンスノードSNから電気的に切断している。よって、センスノードSNの容量がCaと比較的小さく、センスノードSNの電圧Vsnは、キャパシタCPsからの電荷によって大きく上昇する。これにより、画素制御回路12は、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏するごとに光検出パルスPLSを出力する。カウンタ回路16は、フォトダイオードPDが1フォトンを検出するごとにカウント値を1ずつ増大させる。
【0086】
一方、カウンタ回路16のカウント値が所定値M以上の場合(高照度の光の場合)に、カウント制御回路14のスイッチSW1は、導通状態となり、キャパシタCPvをセンスノードSNに電気的に接続する。よって、センスノードSNの容量がCaから(Ca+Cv)へと増大し、センスノードSNの電圧Vsnは、キャパシタCPsからの電荷によって上昇幅が小さくなる。これにより、画素制御回路12は、フォトダイオードPDが複数回アバランシェ降伏するごとに光検出パルスPLSを出力する。カウンタ回路16は、フォトダイオードPDが複数のフォトンを検出するごとにカウント値を1ずつ増大させる。
【0087】
尚、スイッチSW1が導通状態の場合、カウンタ回路16は、フォトダイオードPDが2個のフォトンを検出するごとにカウント値を1ずつ増大させる。キャパシタCPvの容量Cvを変更することによって、カウンタ回路16は、フォトダイオードPDがn回(nは2以上の整数)降伏するごと(n個のフォトンを検出するごと)にカウント値を1ずつ増大させることができる。
【0088】
以上のように、本実施形態によれば、フォトダイオードPDが入射フォトンを全て検出しつつも、センスノードSNの容量を制御することによって、光検出パルスPLSの生成頻度を制限し、カウンタ回路16のカウント値を削減することができる。
【0089】
例えば、低照度の光が入射したときには、カウンタ回路16は、1フォトンに対してカウント値を上げる。これにより、光検出装置100は、低照度の光に対して高いSNRで検出することができる。
【0090】
高照度の光が入射したときには、カウンタ回路16は、カウント値が所定値Mまでは1フォトンに対してカウント値を上げ、カウント値が所定値Mを超えたときにnフォトンに対してカウント値を上げる。これにより、高照度の光であっても、カウンタ回路16のカウント値(ビット数)の増加が抑制され、カウント値の上限まで達し難くなる。これにより、カウンタ回路16のカウント値をさらに削減することができる。従って、カウンタ回路16は、高照度の光に対して飽和し難くなり、より高い照度の光のフォトン数をカウントすることができる。
【0091】
また、高照度の光であっても、フォトダイオードPDは全てのフォトンを間引くことなく検出しており、カウンタ回路16のカウント値を参照すれば、フォトン数を正確に算出するこができる。即ち、高照度の光が入射しても、カウンタ回路16は、SNRを劣化させることなくフォトンをカウントすることができる。よって、本実施形態による光検出装置100は、SNRを劣化させることなくダイナミックレンジを広げることができる。
【0092】
また、高照度の光であっても、カウント値がその上限に達する頻度が少なくなり、カウンタ回路16の読出し回数も削減できる。また、高照度の光において、カウンタ回路16のカウント値や光検出パルスPLSの生成が削減される。これにより、光検出装置100の消費電力を低減させることができる。
【0093】
カウント制御回路14は、各画素Pに対応して設けられている。従って、カウント制御回路14は、画素Pごとに低照度モードと高照度モードとのいずれかに感度を切り替えることができる。
【0094】
カウンタ回路16のレジスタ回路のビット数の削減は、各画素Pのレイアウト面積の削減にもつながる。
【0095】
また、カウント制御回路14は、光検出装置100の外部から制御されてもよい。この場合、画素Pごとの切り替えは難しいが、画素領域10全体の切り替えは可能である。
【0096】
(変形例)
図6は、1つの画素Pの内部構成の他の例の一部を示すブロック図である。第1実施形態では、カウント制御回路14は、キャパシタCPvによってセンスノードSNの容量を変更している。しかし、本変形例のように、カウント制御回路14は、キャパシタCPsに並列に接続され、トランジスタTsとトランジスタTaとの間のノードの容量を可変にしてもよい。この場合、低照度モードでは、カウント制御回路14は、スイッチSW1を導通状態にして、キャパシタCPvをキャパシタCPsに電気的に並列に接続し、トランジスタTsとトランジスタTaとの間のノードの容量を増大させる。高照度モードでは、カウント制御回路14は、スイッチSW1を非導通状態にして、キャパシタCPvをキャパシタCPsから電気的に切断し、トランジスタTsとトランジスタTaとの間のノードの容量を低下させる。スイッチSW1は、上記実施形態と同様に、カウンタ回路16からの制御信号によって制御すればよい。尚、スイッチSW1の制御信号は第1実施形態のそれと逆論理にする。これにより、上記実施形態と同様に、光検出装置100は、カウンタ回路16のカウント値に応じて、フォトダイオードPDの降伏回数に対するカウント値の上昇を制御することができる。
【0097】
本変形例の他の構成および動作は、第1実施形態と同じでよい。これにより、本変形例は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る画素Pの内部構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態では、センスノードSNは、抵抗素子RKを介してフォトダイオードPDのカソードに接続されている。センスノードSNは、トランジスタTrchを介して電圧源VDDHに接続されている。これにより、センスノードSNの電圧Vsnは、電圧源VDDLとは関係なく、電圧源VDDHおよび抵抗素子RK等によって決定される。
【0099】
第2実施形態では、画素Pは、フォトダイオードPDと、トランジスタTrchと、抵抗素子RKと、キャパシタCPa、CK1と、カウント制御回路14と、カウンタ回路16と、インバータINV6、INV7とを備える。フォトダイオードPD、キャパシタCPa、カウント制御回路14およびカウンタ回路16は、第1実施形態と同じである。
【0100】
トランジスタTrchは、電圧源VDDHと抵抗素子RKとの間に接続されている。トランジスタTrchのゲートは、インバータINV7の出力に接続されている。トランジスタTrchは、光検出パルスPLSの反転信号を受けて制御される。トランジスタTrchは、例えば、p型MOSFETで構成されている。
【0101】
抵抗素子RKは、トランジスタTrchのドレインとフォトダイオードPDのカソードとの間に接続されている。
【0102】
キャパシタCPk1は、フォトダイオードPDのカソードと基準電圧源(例えば、グランド)との間に接続されている。
【0103】
インバータINV6は、センスノードSNとカウンタ回路16との間に接続されている。インバータINV7は、インバータINV6の出力とトランジスタTrchのゲートとの間に接続されている。
【0104】
次に、第2実施形態に係る光検出装置の動作を説明する。
【0105】
図8は、第2実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図8では、スイッチSW1が非導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的小さいCaである。
図8は、低照度モードの動作を示す。
【0106】
まず、キャパシタCPk1、Caが高レベル電圧源VDDHによって充電された後、トランジスタTrchは、非導通状態となっている。光検出パルスPLSは低レベル電圧になっているので、制御信号XRCGは高レベル電圧に設定される。カソード電圧VK1およびセンスノードSNの電圧Vsnは、高レベル電圧に維持されている。これにより、フォトダイオードPDには逆バイアス電圧が印加される。このような状態で、フォトダイオードPDはフォトンの入射を待機する。
【0107】
t1において、フォトダイオードPDにフォトンが入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。このとき、センスノードSNは、抵抗素子RKを介してフォトダイオードPDのカソードに接続されている。従って、抵抗素子RKが充分に大きい場合、電圧Vsnは、カソード電圧VK1よりも遅延して低下する。フォトダイオードPDの増倍が停止した後に、電荷がフォトダイオードPDのカソードとセンスノードSNとの間で分配され、電圧Vsnが低下する。このとき、電圧Vsnは、式7に示すように、キャパシタCPk1の容量CK1(フォトダイオードPDのカソードの容量)とキャパシタCPaの容量Ca(センスノードSNの容量)との比で決定される。
Vsn=ΔVK1×(CK1/(CK1+Ca)) (式7)
尚、ΔVK1は、フォトダイオードPDの降伏前後のカソード電圧VKの変化量である。
【0108】
t2において、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回ると、インバータINV6によって、光検出パルスPLSが立ち上がる。
【0109】
カウンタ回路16は、光検出パルスPLSの立上りをカウントする。
【0110】
光検出パルスPLSの立上りは、インバータINV7を介してトランジスタTrchのゲートへフィードバックされる。このとき、光検出パルスPLSの立上りは、インバータINV7により遅延されてトランジスタTrchのゲートへフィードバックされる。これにより、t3において、トランジスタTrchが導通状態となり、カソード電圧VKおよびセンスノードSNの電圧Vsnを電圧源VDDHで再充電する。このとき、t4において、センスノードSNの電圧Vsnが閾値を超えると、光検出パルスPLSが立下がる。光検出パルスPLSの立下がりは、インバータINV7により遅延されてトランジスタTrchのゲートへ制御信号XRCGとしてフィードバックされる。これにより、t5において、トランジスタTrchが非導通状態となり、カソード電圧VKおよびセンスノードSNの電圧Vsnが再充電された状態で電圧源VDDHから分離される。
【0111】
その後、フォトンがフォトダイオードPDに入射するごとに、t1~t5が繰り返される。
【0112】
ここで、
図8では、スイッチSW1が非導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的小さいCaである。よって、t2~t3において、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏したとき、電圧VK1、Vsnは、キャパシタCPk1とキャパシタCPaとで容量分割される。センスノードSNの電圧Vsnは、キャパシタCPk1の容量(フォトダイオードPDの容量)とキャパシタCPaの容量(センスノードSNの容量)との比Cs/(Cs+Ca)によって決まり、式7のように表される。容量Caが小さい場合、センスノードSNの電圧Vsnは大きく変化する。このときのセンスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を超えるように、キャパシタCPaの容量Caを設定すれば、光検出パルスPLSは、フォトダイオードPDのアバランシェ降伏ごとに生成される。これにより、カウンタ回路16は、1つのフォトンがフォトダイオードPDに入射するごとにカウントすることができる。即ち、カウンタ回路16は、フォトダイオードPDに入射するフォトン数をカウントすることができる。
【0113】
フォトンのカウント値が所定値に達すると、カウンタ回路16の所定ビットが反転する。このとき、カウンタ回路16は、スイッチSW1の制御信号を反転させてスイッチSW1を導通状態にする。
【0114】
図9は、スイッチSW1が導通状態になったときの光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図9では、スイッチSW1が導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的大きい(Ca+Cv)である。
図9は、高照度モードの動作を示す。
【0115】
t11以前に、キャパシタCPk1、CaおよびCvが高レベル電圧源VDDHによって充電された後、トランジスタTrchは、非導通状態となっている。これにより、フォトダイオードPDには逆バイアス電圧が印加される。このような状態で、フォトダイオードPDはフォトンの入射を待機する。
【0116】
t11において、フォトダイオードPDにフォトンが入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。
【0117】
カソード電圧VK1の低下は、抵抗素子RKによって遅延してセンスノードSNの電圧Vsnに現れる。よって、カソード電圧VK1の低下に伴い、t12において、電圧Vsnも低下する。
【0118】
また、キャパシタCPa、CPvとキャパシタCPk1との間で電荷の一部が移動し、電圧VK1とセンスノードSNの電圧Vsnはほぼ等しくなる。このとき、電圧VK1、Vsnは、ともに式8を満たす。
VK1=Vsn=ΔVK1×(CK1/(CK1+Ca+Cv)) (式8)
【0119】
ここで、スイッチSW1が導通状態であると、センスノードSNの容量がCaから(Ca+Cv)へ増大する。よって、t11~t12において、電圧VK1がキャパシタCPk1とキャパシタCPa、CPvで容量分割される。これにより、センスノードSNの電圧Vsnは、キャパシタCPk1の容量(フォトダイオードPDの容量)とキャパシタCPaおよびCPvの容量(センスノードSNの容量)との比CK1/(CK1+Ca+Cv)によって決まり、式8のように表される。容量(Ca+Cv)は、容量Caよりも大きいので、センスノードSNの電圧Vsnは、スイッチSW1が非導通状態のときと比べて小さくなる。このときのセンスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回らないように、キャパシタCPa、CPvの容量Ca、Cvを設定すれば、光検出パルスPLSは、1回目のフォトダイオードPDのアバランシェ降伏では生成されない。即ち、カウンタ回路16は、1個のフォトンがフォトダイオードPDに入射してもカウントしない。
【0120】
光検出パルスPLSが生成されないので、トランジスタTrstは非導通状態のままとなり、センスノードSNの電圧Vsnはリセットされない。
【0121】
フォトダイオードPDのクエンチング後、t13において、フォトンが再度フォトダイオードPDに入射すると、t11の動作と同様に、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VKが再度低下する。
【0122】
カソード電圧VK1の低下は、抵抗素子RKによって遅延してセンスノードSNの電圧Vsnに現れる。よって、カソード電圧VK1の低下に伴い、t14において、電圧Vsnも低下する。
【0123】
また、キャパシタCPa、CPvとキャパシタCPk1との間で電荷の一部が移動し、電圧VK1とセンスノードSNの電圧Vsnは、ほぼ等しくなる。このとき、電圧VK1、Vsnは、ともに式8を満たす。
【0124】
t13~t14において、キャパシタCPa、CPvとキャパシタCPk1との間で電荷の一部が移動し、センスノードSNの電圧VsnとキャパシタCPk1の一端の電圧VK1は、平均化され、ほぼ等しくなる。このとき、電圧VK1、Vsnは、ともに式9を満たす。
VK1=Vsn=ΔVK1×(CK1×(CK1+2Ca+2Cv)/(CK1+Ca+Cv)2) (式9)
【0125】
ここで、1回目のフォトンの入射時には、光検出パルスPLSは生成されていないので、センスノードSNはリセットされていない。従って、センスノードSNの電圧Vsnは、ΔVK1×(CK1/(CK1+Ca+Cv))に充電された状態を維持している。さらに、2回目のフォトンの入射時に、センスノードSNがさらに充電されて、センスノードSNの電圧Vsnは、ΔVK1×(CK1×(CK1+2Ca+2Cv)/(CK1+Ca+Cv)2)になる。このときのセンスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回るように、キャパシタCPa、CPvの容量Ca、Cvを設定すれば、光検出パルスPLSは、フォトダイオードPDが2回アバランシェ降伏するごとに生成される。これにより、カウンタ回路16は、2つのフォトンがフォトダイオードPDに入射するごとに、1カウントすることができる。
【0126】
t14において、光検出パルスPLSが立上ると、カウンタ回路16がカウントを1だけ増加させるとともに、光検出パルスPLSがトランジスタTrchのゲートへフィードバックされる。これにより、t15において、トランジスタTrchが導通状態となり、電圧VK1および電圧Vsnを電圧源VDDHに再充電する。
【0127】
t16において、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を超えると、光検出パルスPLSが立下がる。t17において、トランジスタTrchが非導通状態に戻る。これにより、カソード電圧VKおよびセンスノードSNの電圧Vsnが再充電された状態で電圧源VDDHから分離される。
【0128】
その後、2つのフォトンがフォトダイオードPDに入射するごとに、t11~t17が繰り返される。
【0129】
このように、第2実施形態によれば、フォトダイオードPDが入射フォトンを全て検出しつつも、センスノードSNの容量を制御することによって、光検出パルスPLSの生成頻度を制限し、カウンタ回路16のカウント値を削減することができる。よって、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0130】
第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、キャパシタCPvの容量Cvを変更することによって、カウンタ回路16は、フォトダイオードPDがn回降伏するごと(n個のフォトンを検出するごと)にカウント値を1ずつ増大させることができる。これにより、カウンタ回路16のカウント値を削減することができる。
【0131】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る画素Pの内部構成の一例を示すブロック図である。第3実施形態では、抵抗素子RKに代わって、トランジスタTclipがトランジスタTrchのソースとフォトダイオードPDのカソードとの間に接続されている。トランジスタTclipは、垂直選択回路30からの制御信号CLIPによって導通状態または非導通状態に制御される。トランジスタTclipは、例えば、p型MOSFETで構成されている。
【0132】
第2実施形態では、抵抗素子RKが光検出パルスPLSの生成タイミングを決定しているが、第3実施形態では、制御信号CLIPが光検出パルスPLSの生成タイミングを決定している。制御信号CLIPは、周期的にハイ/ロウを繰り返してもよい。第3実施形態のその他の構成は、第2実施形態の構成と同様でよい。
【0133】
次に、第3実施形態に係る光検出装置の動作を説明する。
【0134】
図11は、第3実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図11では、スイッチSW1が非導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的小さいCaである。
図11は、低照度モードの動作を示す。
【0135】
t1までの動作は、第2実施形態と同様である。このような状態で、フォトダイオードPDはフォトンの入射を待機する。尚、トランジスタTclipは、フォトダイオードPDに逆バイアス電圧が印加された状態で非導通状態となっている。
【0136】
t1において、フォトダイオードPDにフォトンが入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。このとき、トランジスタTclipは、非導通状態となっているので、センスノードSNの電圧Vsnは低下しない。
【0137】
t2において、信号CLIPが立ち下がると、トランジスタTclipが導通状態になる。これにより、センスノードSNの電圧Vsnがカソード電圧VK1に接続されて低下する。
【0138】
t3において、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回ると、インバータINV6によって、光検出パルスPLSが立ち上がる。
【0139】
このように、電圧Vsnの立ち下がりのタイミングと光検出パルスPLSの立上りタイミングは、信号CLIPの立下りのタイミングによって制御され得る。キャパシタCPk1の電荷はフォトダイオードPDのカソードとセンスノードSNとの間で分配され、電圧Vsnが低下し、電圧VK1は上昇する。このとき、電圧Vsnは、式7に示すように、キャパシタCPk1の容量CK1(フォトダイオードPDのカソードの容量)とキャパシタCPaの容量Ca(センスノードSNの容量)との比で決定される。
【0140】
カウンタ回路16は、光検出パルスPLSの立上りをカウントする。
【0141】
光検出パルスPLSの立上りは、インバータINV7を介して遅延してトランジスタTrchのゲートへフィードバックされる。これにより、t4において、トランジスタTrchが導通状態となり、カソード電圧VKおよびセンスノードSNの電圧Vsnを電圧源VDDHに再充電する。t5において、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を超えると、光検出パルスPLSが立下がる。光検出パルスPLSの立下がりは、インバータINV7により遅延されてトランジスタTrchのゲートへフィードバックされる。これにより、t6において、トランジスタTrchが非導通状態に戻り、カソード電圧VKおよびセンスノードSNが再充電された状態で電圧源VDDHから分離される。
【0142】
カソード電圧VKおよびセンスノードSNの再充電後、t7において、制御信号CLIPが立上り、トランジスタTclipが非導通状態になる。これにより、t1以前の状態に戻る。
【0143】
その後、フォトンがフォトダイオードPDに入射するごとに、t1~t7が繰り返される。制御信号CLIPは、周期的にハイ/ロウを繰り返してもよい。
【0144】
第3実施形態では、制御信号CLIPが光検出パルスPLSの生成タイミングを決定している。第3実施形態のその他の動作は、第2実施形態の動作と同様でよい。これにより、カウンタ回路16は、1つのフォトンがフォトダイオードPDに入射するごとにカウントすることができる。
【0145】
フォトンのカウント数が所定値に達すると、カウンタ回路16の所定ビットが反転する。このとき、カウンタ回路16は、制御信号を反転させてスイッチSW1を導通状態にする。
【0146】
図12は、スイッチSW1が導通状態になったときの光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図12では、スイッチSW1が導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的大きい(Ca+Cv)である。
図12は、高照度モードの動作を示す。
【0147】
t11までの動作は、第2実施形態と同様である。このような状態で、フォトダイオードPDはフォトンの入射を待機する。尚、トランジスタTclipは、フォトダイオードPDに逆バイアス電圧が印加された状態で非導通状態となっている。
【0148】
t11において、フォトダイオードPDにフォトンが入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。このとき、トランジスタTclipは、非導通状態となっているので、センスノードSNの電圧Vsnは低下しない。
【0149】
t12において、信号CLIPが立ち下がると、トランジスタTclipが導通状態になる。これにより、センスノードSNの電圧Vsnがカソード電圧VK1に接続されて低下する。t13において、キャパシタCPk1に蓄積されていた電荷の一部がキャパシタCPaおよびCPvに移動し、電圧VK1とセンスノードSNの電圧Vsnは、ほぼ等しくなる。このとき、電圧VK1、Vsnは、ともに式8を満たす。
【0150】
ここで、スイッチSW1が導通状態であるので、第2実施形態と同様に、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回らないように、キャパシタCPa、CPvの容量Ca、Cvを設定すれば、光検出パルスPLSは、1回目のフォトダイオードPDのアバランシェ降伏では生成されない。即ち、カウンタ回路16は、1個のフォトンがフォトダイオードPDに入射してもカウントしない。
【0151】
光検出パルスPLSが生成されないので、トランジスタTrchは非導通状態のままとなり、キャパシタCPk1の電圧CK1およびセンスノードSNの電圧Vsnはリセットされない。
【0152】
次に、t14において、制御信号CLIPを立ち上げてトランジスタTclipを非導通状態にする。
【0153】
次に、t15において、2つ目のフォトンがフォトダイオードPDに入射すると、t11の動作と同様に、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が再度低下する。
【0154】
t16において、信号CLIPが立ち下がると、トランジスタTclipが導通状態になる。これにより、センスノードSNの電圧Vsnがカソード電圧VK1に接続されて低下する。キャパシタCPk1に蓄積されていた電荷の一部がキャパシタCPaおよびCPvに移動し、電圧VK1とセンスノードSNの電圧Vsnは、ほぼ等しくなる。このとき、電圧VK1、Vsnは、ともに式9を満たす。
【0155】
ここで、1回目のフォトンの入射時には、光検出パルスPLSは生成されていないので、センスノードSNはリセットされていない。従って、センスノードSNの電圧Vsnは、ΔVK1×(CK1/(CK1+Ca+Cv))に充電された状態を維持している。さらに、2回目のフォトンの入射時に、センスノードSNがさらに充電されて、センスノードSNの電圧Vsnは、ΔVK1×(CK1×(CK1+2Ca+2Cv)/(CK1+Ca+Cv)2)になる。このときのセンスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回るように、キャパシタCPa、CPvの容量Ca、Cvを設定すれば、光検出パルスPLSは、フォトダイオードPDが2回アバランシェ降伏するごとに生成される。これにより、カウンタ回路16は、2つのフォトンがフォトダイオードPDに入射するごとに、1カウントすることができる。
【0156】
t17において、光検出パルスPLSが立上ると、カウンタ回路16がカウントを1上げるとともに、光検出パルスPLSがトランジスタTrchのゲートへフィードバックされる。これにより、t18において、信号XRCGが立下ってトランジスタTrchが導通状態となり、電圧VK1および電圧Vsnを電圧源VDDHに再充電する。センスノードSNの電圧Vsnが電圧源VDDHに再充電されると、t19において、光検出パルスPLSが立下がり、t20において、信号XRCGが立上ってトランジスタTrchが非導通状態に戻る。
【0157】
その後、2つのフォトンがフォトダイオードPDに入射するごとに、t11~t21が繰り返される。
【0158】
このように、第3実施形態によれば、フォトダイオードPDが入射フォトンを全て検出しつつも、センスノードSNの容量を制御することによって、光検出パルスPLSの生成頻度を制限し、カウンタ回路16のカウント値を削減することができる。よって、第3実施形態は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0159】
第3実施形態でも、第2実施形態と同様に、キャパシタCPvの容量Cvを変更することによって、カウンタ回路16は、フォトダイオードPDがn回降伏するごと(n個のフォトンを検出するごと)にカウント値を1ずつ増大させることができる。これにより、カウンタ回路16のカウント値をさらに削減することができる。
【0160】
第3実施形態では、抵抗素子RKに代えてトランジスタTclipが用いられている。従って、トランジスタTclipのオン抵抗を低下させることによって、キャパシタCPk1、Ca、Cvの再充電時間を短縮することができる。
【0161】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態に係る画素Pの内部構成の一例を示すブロック図である。第4実施形態では、複数のフォトダイオードPD1、PD2、複数のキャパシタCPk1、CPk2、複数のトランジスタTclip1、Tclip2が共通のセンスノードSNと基準電圧源との間に並列に接続されている。フォトダイオードPD2およびトランジスタTclip2は、複数のフォトダイオードPD1、PD2、複数のキャパシタCPk1、CPk2、および、複数のトランジスタTclip1、Tclip2の構成は、それぞれ第3実施形態のフォトダイオードPD、キャパシタCPk1およびトランジスタTclipの構成と同じでよい。これにより、第4実施形態では、1つのカウンタ回路16が複数のフォトダイオードPD1、PD2に入射するフォトンをカウントする。第4実施形態のその他の構成は、第3実施形態の構成と同様でよい。
【0162】
次に、第4実施形態に係る光検出装置の動作を説明する。
【0163】
図14および
図15は、第4実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図14および
図15では、スイッチSW1が非導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的小さいCaである。
図14および
図15は、低照度モードの動作を示す。
図14は、片方のフォトダイオードPD1がフォトンを検出しているときの動作を示す。
図15は、両方のフォトダイオードPD1、PD2がフォトンを検出しているときの動作を示す。
【0164】
図14および
図15のt1、t1aまでの動作は、基本的に第2実施形態と同様である。このとき、キャパシタCPk1、CPk2、Caは、充電された状態となっている。このような状態で、フォトダイオードPD1、PD2はフォトンの入射を待機する。尚、トランジスタTclip1、Tclip2は、フォトダイオードPD1、PD2に逆バイアス電圧が印加された状態で非導通状態となっている。
【0165】
(PD1のみにフォトン入射)
図14に示すように、t1において、フォトダイオードPD1にフォトンが入射すると、フォトダイオードPD1がアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。このとき、トランジスタTclip1は、非導通状態となっているので、センスノードSNの電圧Vsnは低下しない。また、フォトダイオードPD2には、フォトンが入射していないので、フォトダイオードPD2のカソード電圧VK2は低下しない。
【0166】
t2において、制御信号CLIP1、CLIP2が立ち下がると、トランジスタTclip1、Tclip2が導通状態になる。これにより、センスノードSNの電圧Vsnがカソード電圧VK1に接続されて低下する。
【0167】
t3において、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回ると、インバータINV6によって、光検出パルスPLSが立ち上がる。
【0168】
このように、電圧Vsnの立ち下がりのタイミングと光検出パルスPLSの立上りタイミングは、制御信号CLIP1、CLIP2の立下りのタイミングによって制御され得る。キャパシタCPk1の電荷はフォトダイオードPD1のカソードとセンスノードSNとの間で分配され、電圧Vsnが低下し、電圧VK1は上昇する。このとき、電圧Vsn、VK1、VK2はほぼ等しくなる。電圧Vsnは、キャパシタCPk1、CPk2の容量CK1、CK2(フォトダイオードPD1、PD2のカソードの容量)とキャパシタCPaの容量Ca(センスノードSNの容量)との比(CK1/(CK1+CK2+Ca))で決定される。
【0169】
カウンタ回路16は、光検出パルスPLSの立上りをカウントする。
【0170】
その後のt4~t7の再充電の動作は、第3実施形態と同じでよい。
【0171】
キャパシタCPk1、CPk2およびセンスノードSNの再充電後、t7において、制御信号CLIP1、CLIP2が立上り、トランジスタTclip1、Tclip2が非導通状態になる。これにより、t1以前の状態に戻る。制御信号CLIP1、CLIP2は、同期しており周期的にハイ/ロウを繰り返す。
【0172】
尚、フォトダイオードPD2のみにフォトンが入射する場合の光検出装置100の動作は、
図14を参照して容易に理解できるので、その説明を省略する。
【0173】
(PD1およびPD2の両方にフォトン入射)
図15に示すように、t1a、t1bにおいて、フォトダイオードPD1、PD2の両方にフォトンが入射すると、フォトダイオードPD1、PD2がアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1、VK2がともに低下する。このとき、トランジスタTclip1、Tclip2は、非導通状態となっているので、センスノードSNの電圧Vsnは低下しない。
【0174】
t2において、制御信号CLIP1、CLIP2が立ち下がると、トランジスタTclip1、Tclip2が導通状態になる。これにより、センスノードSNがキャパシタCPk1、CPk2に接続され、電圧Vsnがカソード電圧VK1、VK2によって低下する。
【0175】
t3において、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回ると、インバータINV6によって、光検出パルスPLSが立ち上がる。
【0176】
このように、電圧Vsnの立ち下がりのタイミングと光検出パルスPLSの立上りタイミングは、制御信号CLIP1、CLIP2の立下りのタイミングによって制御され得る。キャパシタCPk1、CPk2の電荷はセンスノードSNとの間で分配され、電圧Vsnが低下し、電圧VK1、VK2は上昇する。このとき、電圧Vsn、VK1、VK2はほぼ等しくなる。電圧Vsnは、キャパシタCPk1、CPk2の容量CK1、CK2(フォトダイオードPD1、PD2のカソードの容量)とキャパシタCPaの容量Ca(センスノードSNの容量)との比(CK1+CK2/(CK1+CK2+Ca))で決定される。
【0177】
カウンタ回路16は、光検出パルスPLSの立上りをカウントする。
【0178】
その後のt4~t7の再充電の動作は、第3実施形態と同じでよい。
【0179】
キャパシタCPk1、CPk2およびセンスノードSNの再充電後、t7において、制御信号CLIP1、CLIP2が立上り、トランジスタTclip1、Tclip2が非導通状態になる。これにより、t1以前の状態に戻る。制御信号CLIP1、CLIP2は、同期しており周期的にハイ/ロウを繰り返す。
【0180】
このように、低照度モードでは、2つのフォトダイオードPD1、PD2の少なくとも一方がフォトンを検出した場合に、光検出パルスPLSが生成され、カウンタ回路16は、光検出パルスPLSをカウントする。
【0181】
図16および
図17は、第4実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図16および
図17では、スイッチSW1が導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的大きく、(Ca+Cv)である。
図16および
図17は、高照度モードの動作を示す。
図16は、片方のフォトダイオードPD1がフォトンを検出しているときの動作を示す。
図17は、両方のフォトダイオードPD1、PD2がフォトンを検出しているときの動作を示す。
【0182】
図16および
図17のt11、t11aまでの動作は、基本的に第2実施形態と同様である。このとき、キャパシタCPk1、CPk2、Caは、充電された状態となっている。このような状態で、フォトダイオードPD1、PD2はフォトンの入射を待機する。尚、トランジスタTclip1、Tclip2は、フォトダイオードPD1、PD2に逆バイアス電圧が印加された状態で非導通状態となっている。
【0183】
(PD1のみにフォトン入射)
図16に示すように、t11において、フォトダイオードPD1にフォトンが入射すると、フォトダイオードPD1がアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。このとき、トランジスタTclip1は、非導通状態となっているので、センスノードSNの電圧Vsnは低下しない。また、フォトダイオードPD2には、フォトンが入射していないので、フォトダイオードPD2のカソード電圧VK2は低下しない。
【0184】
t12において、制御信号CLIP1、CLIP2が立ち下がると、トランジスタTclip1、Tclip2が導通状態になる。これにより、センスノードSNの電圧Vsnがカソード電圧VK1に接続されて低下する。t13において、キャパシタCPk1に蓄積されていた電荷の一部がキャパシタCPa、CPvおよびCPk2に移動し、電圧VK1、VK2とセンスノードSNの電圧Vsnは、ほぼ等しくなる。
【0185】
ここで、スイッチSW1が導通状態であるので、第2実施形態と同様に、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回らないように、キャパシタCPa、CPvの容量Ca、Cvを設定すれば、光検出パルスPLSは、1回目のフォトダイオードPDのアバランシェ降伏では生成されない。即ち、カウンタ回路16は、1個のフォトンがフォトダイオードPDに入射してもカウントしない。
【0186】
光検出パルスPLSが生成されないので、トランジスタTrchは非導通状態のままとなり、キャパシタCPk1の電圧CK1およびセンスノードSNの電圧Vsnはリセットされない。
【0187】
次に、t14において、制御信号CLIPを立ち上げてトランジスタTclipを非導通状態にする。これにより、光検出装置100は、t11以前の状態に戻る。制御信号CLIP1、CLIP2は、同期しており周期的にハイ/ロウを繰り返す。
【0188】
(PD1およびPD2の両方にフォトン入射)
図17に示すように、t11a、t11bにおいて、フォトダイオードPD1、PD2の両方にフォトンが入射すると、フォトダイオードPD1、PD2がアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1、VK2がともに低下する。このとき、トランジスタTclip1、Tclip2は、非導通状態となっているので、センスノードSNの電圧Vsnは低下しない。
【0189】
t12において、制御信号CLIP1、CLIP2が立ち下がると、トランジスタTclip1、Tclip2が導通状態になる。これにより、センスノードSNがキャパシタCPk1、CPk2に接続され、電圧Vsnがカソード電圧VK1、VK2によって低下する。
【0190】
t13において、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回ると、インバータINV6によって、光検出パルスPLSが立ち上がる。
【0191】
このように、電圧Vsnの立ち下がりのタイミングと光検出パルスPLSの立上りタイミングは、制御信号CLIP1、CLIP2の立下りのタイミングによって制御され得る。キャパシタCPk1、CPk2の電荷はセンスノードSNとの間で分配され、電圧Vsnが低下し、電圧VK1、VK2は上昇する。このとき、電圧Vsn、VK1、VK2はほぼ等しくなる。電圧Vsnは、キャパシタCPk1、CPk2の容量CK1、CK2(フォトダイオードPD1、PD2のカソードの容量)とキャパシタCPaの容量Ca(センスノードSNの容量)との比(CK1+CK2/(CK1+CK2+Ca))で決定される。
【0192】
カウンタ回路16は、光検出パルスPLSの立上りをカウントする。
【0193】
その後のt14~t17の再充電の動作は、
図15のt4~t7の動作と同じでよい。
【0194】
キャパシタCPk1、CPk2およびセンスノードSNの再充電後、t17において、制御信号CLIP1、CLIP2が立上り、トランジスタTclip1、Tclip2が非導通状態になる。これにより、t11以前の状態に戻る。制御信号CLIP1、CLIP2は、同期しており周期的にハイ/ロウを繰り返す。
【0195】
このように、高照度モードでは、2つのフォトダイオードPD1、PD2の一方のみがフォトンを検出しても、光検出パルスPLSが生成されず、カウンタ回路16は、カウント値を上げない。一方、2つのフォトダイオードPD1、PD2の両方がフォトンを検出したときに、光検出パルスPLSが生成され、カウンタ回路16は、光検出パルスPLSをカウントする。
【0196】
このように、第4実施形態は、2つのフォトダイオードPD1、PD2の両方がフォトンを検出したときに、カウンタ回路16はカウント値を1増大させるので、カウンタ回路16のカウント値を削減することができる。即ち、フォトダイオードPD1、PD2は計2つのフォトンを検出したときに、カウンタ回路16はカウント値を1だけ増加させる。これにより、第4実施形態は、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0197】
1つのカウンタ回路16(1つのセンスノードSN)に並列に接続するフォトダイオードPDの個数をnとすると、カウンタ回路16は、高照度モードにおいて、n個のフォトダイオードPDが降伏するごと(n個のフォトンを検出するごと)にカウント値を1ずつ増大させることができる。これにより、カウンタ回路16のカウント値をさらに削減することができる。
【0198】
カウンタ回路16が2つフォトダイオードPD1、PD2のいずれかを用いて1フォトンの検出に対して1カウントするためには、式10および式11を満たすようにCa、Ck1、Ck2を設定する。カウンタ回路16が2つフォトダイオードPD1、PD2の両方が1フォトンずつ検出したときに1カウントするためには、式12~式14を満たすようにCa、Ck1、Ck2を設定する。尚、Vthは、インバータINV6の閾値電圧である。ΔVK1は、フォトダイオードPD1の降伏前後のカソード電圧VK1の変化量である。ΔVK2は、フォトダイオードPD2の降伏前後のカソード電圧VK2の変化量である。
Ca<Ck1(ΔVk1―Vth)/Vth (式10)
Ca<Ck2(ΔVk2―Vth)/Vth (式11)
Ca+Cv>Ck1(ΔVk1―Vth)/Vth (式12)
Ca+Cv>Ck2(ΔVk2―Vth)/Vth (式13)
Ca+Cv<Ck1(ΔVk1―Vth)/Vth+Ck2(ΔVk2―Vth)/Vth (式14)
【0199】
第4実施形態のその他の構成は、第3実施形態と同様でよい。よって、第4実施形態は、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0200】
(第5実施形態)
図18は、第5実施形態に係る画素Pの内部構成の一例を示すブロック図である。第5実施形態では、トランジスタTrchおよびスイッチSW1が画素Pの外部の垂直選択回路30または制御回路70によって制御されている。よって、低照度モードと高照度モードとの切り替え、および、キャパシタCPk1、Ca(およびCv)の充電のタイミングは、外部からの制御信号XRCGおよびXSWによって制御される。第5実施形態のその他の構成は、第2実施形態の構成と同様でよい。
【0201】
第5実施形態では、光検出パルスPLSに依らず、キャパシタCPk1、Ca(およびCv)の充電のタイミングを任意に設定可能である。即ち、キャパシタCPk1、Ca(およびCv)の充電周期を任意に設定可能である。光検出装置100は、任意に設定されたキャパシタCPk1、Caの充電周期の間に、所定数n個のフォトンがフォトダイオードPDに入射したことを検出することができる。
【0202】
例えば、低照度モードでは、上記充電周期を長く設定することにより感度を高め、高照度モードでは、上記充電周期を短く設定し飽和を抑制する。さらに、所定数n個のフォトンがフォトダイオードPDに入射したときに、カウンタ回路16がカウント値を1だけ増大させることができる。これにより、光検出装置100は、カウント値の上昇を抑制しつつ、ダイナミックレンジを広げ、かつ、SNRを向上させることができる。第5実施形態のその他の動作は、第2実施形態と同様でよい。
【0203】
図19は、第5実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図19では、スイッチSW1が非導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的小さいCaである。
図19は、低照度モードの動作を示す。
【0204】
第5実施形態では、垂直選択回路30が制御信号XRCGを周期CLKで立ち下げ、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、Caを周期CLKで充電する。
【0205】
キャパシタCPk1、Caの充電と次の充電との間のt1において、フォトンがフォトダイオードPDに入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1およびセンスノードSNの電圧Vsnが低下する。このとき、t1~t5の画素Pの動作は、第2実施形態のそれと同じでよい。ただし、光検出パルスPLSは、トランジスタTrchのゲートへはフィードバックされない。
【0206】
これにより、カウンタ回路16は、周期CLKの期間内に、1つのフォトンがフォトダイオードPDに入射すると、カウント値を1だけ増大させる。即ち、カウンタ回路16は、周期CLKごとに、フォトダイオードPDに入射するフォトン検出することができる。
【0207】
図20は、第5実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図20では、スイッチSW1が導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的大きく、(Ca+Cv)である。
図20は、高照度モードの動作において、1つのフォトンがフォトダイオードPDに入射した場合を示す。
【0208】
t11~t12の画素Pの動作は、第2実施形態のそれと同じでよい。t11において、フォトダイオードPDにフォトンが入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。しかし、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回らないので、光検出パルスPLSが生成されない。よって、カウンタ回路16は、1個のフォトンがフォトダイオードPDに入射してもカウントしない。
【0209】
2つ目のフォトンが入射しない場合、t15~t17において、次の充電動作で制御信号XRCGが立下り、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、Caを再充電する。これにより、t11の状態にリセットされる。
【0210】
高照度モードにおいて、周期CLKの期間内に2つのフォトンが入射した場合、第5実施形態の動作は、
図9に示す第2実施形態の動作と同じでよい。よって、第5実施形態は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第5実施形態では、低照度モードでは、充電周期CLKを長く設定することにより感度を高め、高照度モードでは、充電周期CLKを短く設定し飽和を抑制することができる。これにより、光検出装置100は、カウント値の上昇を抑制しつつ、ダイナミックレンジを広げ、かつ、SNRを向上させることができる。
【0211】
図21は、第5実施形態における充電周期CLK1、CLK2を示す概念図である。第5実施形態において、フォトダイオードPDの1回の露光期間に、複数の充電周期CLK1、CLK2が含まれていてもよい。例えば、充電周期CLK1は、充電周期CLK2よりも短周期であり、複数のフォトンを検出したときにカウント値を増加させる高照度モードに適している。一方、充電周期CLK2は、充電周期CLK1よりも長周期であり、1フォトンを検出したときにカウント値を増加させる低照度モードに適している。これにより、光検出装置100は、カウント値の上昇を抑制しつつ、ダイナミックレンジを広げ、かつ、SNRを向上させることができる。
【0212】
図22は、フォトン入射レートとカウント値との関係を示すグラフである。充電周期CLK1は、高照度モードにおいて用いられ、複数のフォトンを検出したときにカウント値を増加させる。また、高照度モードでは、スイッチSW1が導通状態となっている。充電周期CLK2は、低照度モードにおいて用いられ、1フォトンを検出したときにカウント値を増加させる。また、低照度モードでは、スイッチSW1が導通状態となっている。従って、フォトン入射レートが小さいときには、充電周期CLK2が用いられ、フォトン入射レートが大きくなると、充電周期CLK1が用いられる。
【0213】
総カウント値TTLは、充電周期CLK1のカウント値と充電周期CLK2のカウント値との和である。
【0214】
低照度モードでは、カウンタ回路16は、充電周期CLK2が適用され、かつ、スイッチSW1が非導通状態であるので、1つのフォトンごとにカウント値を増加させる。従って、低照度モードにおけるSNRを高くすることができる。一方、高照度モードでは、カウンタ回路16は、充電周期CLK1が適用され、かつ、スイッチSW1が導通状態であるので、複数のフォトンごとにカウント値を増加させる。従って、総カウント値TTLを低く抑えることができる。これは、高照度モードでのカウント値の飽和を抑制しダイナミックレンジの増大につながる。
【0215】
図23は、フォトン入射レートとSNRとの関係を示すグラフである。尚、SNRは、N/N
1/2に比例する。Nは、フォトダイオードPDで検出されたフォトン数である。
【0216】
低照度モードにおいて、カウンタ回路16は、1フォトンごとにカウント値を増加させる。高照度モードにおいて、カウンタ回路16は、複数のフォトンごとにカウント値を増加させる。これにより、カウンタ回路16は、複数のフォトンごとにカウント値を増加させることによって、多くのフォトンを正確にカウントすることができる。従って、SNRは、高照度モードであっても高く維持することができる。
【0217】
(第6実施形態)
図24は、第6実施形態に係る画素Pの内部構成の一例を示すブロック図である。第6実施形態では、トランジスタTrchおよびスイッチSW1が画素Pの外部の垂直選択回路30または制御回路70によって制御されている。よって、低照度モードと高照度モードとの切り替え、および、キャパシタCPk1、Ca(およびCv)の充電のタイミングは、カウンタ回路16およびカウント制御回路14の外部からの制御信号XRCGおよびXSWによって制御される。第6実施形態のその他の構成は、第3実施形態の構成と同様でよい。即ち、第6実施形態は、第3実施形態と第5実施形態との組み合わせである。従って、第6実施形態は、第3および第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0218】
図25は、第6実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図25では、スイッチSW1が非導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的小さいCaである。
図25は、低照度モードの動作を示す。
【0219】
第6実施形態では、垂直選択回路30が制御信号XRCGを周期CLKで立ち下げ、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、Caを充電する。
【0220】
キャパシタCPk1、Caの充電と次の充電との間のt1において、フォトンがフォトダイオードPDに入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。このとき、制御信号CLIPが立上っているので、トランジスタTclipは非導通状態であり、センスノードSNの電圧Vsnは充電状態で維持されている。
【0221】
信号CLIPが立ち下がった後、t2~t7の画素Pの動作は、第3実施形態のそれと同じでよい。ただし、光検出パルスPLSは、トランジスタTrchのゲートへはフィードバックされない。t4において、制御信号XRCGが周期的に立ち下がると、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、Caが再充電される。
【0222】
これにより、カウンタ回路16は、周期CLKの期間内に、1つのフォトンがフォトダイオードPDに入射すると、カウント値を1だけ増大させる。即ち、カウンタ回路16は、周期CLKごとに、フォトダイオードPDに入射するフォトンを検出することができる。
【0223】
図26は、第6実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図26では、スイッチSW1が導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的大きい(Ca+Cv)である。
図26は、高照度モードの動作において、1つのフォトンがフォトダイオードPDに入射した場合を示す。
【0224】
t11~t14の画素Pの動作は、第3実施形態のそれと同じでよい。t11において、フォトダイオードPDにフォトンが入射すると、フォトダイオードPDがアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。しかし、制御信号CLIPが立下がって、トランジスタTclipが導通状態になっても、センスノードSNの電圧Vsnが閾値Vt12を下回らないので、光検出パルスPLSが生成されない。よって、カウンタ回路16は、1個のフォトンがフォトダイオードPDに入射してもカウントしない。
【0225】
2つ目のフォトンが入射しない場合、t16において、制御信号CLIPが立ち下がるが、電圧Vsnはほぼ変わらない。t18~t20において、次の充電動作で制御信号XRCGが立下り、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、Ca、Cvを再充電する。t12において、制御信号CLIPを立ち上げる。これにより、t11の状態にリセットされる。
【0226】
高照度モードにおいて、周期CLKの期間内に2つのフォトンが入射した場合、第6実施形態の動作は、
図12に示す第3実施形態の動作と同じでよい。よって、第6実施形態は、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第6実施形態では、低照度モードでは、充電周期CLKを長く設定することにより感度を高め、高照度モードでは、充電周期CLKを短く設定し飽和を抑制することができる。これにより、光検出装置100は、カウント値の上昇を抑制しつつ、ダイナミックレンジを広げ、かつ、SNRを向上させることができる。
【0227】
(第7実施形態)
図27は、第7実施形態に係る画素Pの内部構成の一例を示すブロック図である。第7実施形態では、トランジスタTrchおよびスイッチSW1が画素Pの外部の垂直選択回路30または制御回路70によって制御されている。よって、低照度モードと高照度モードとの切り替え、および、キャパシタCPk1、Ca(およびCv)の充電のタイミングは、外部からの制御信号XRCGおよびXSWによって制御される。第7実施形態のその他の構成は、第4実施形態の構成と同様でよい。即ち、第7実施形態は、第4実施形態と第5実施形態との組み合わせである。従って、第7実施形態は、第4および第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0228】
図28および
図29は、第7実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図28および
図29では、スイッチSW1が非導通状態であり、センスノードSNの容量が比較的小さいCaである。
図28および
図29は、低照度モードの動作を示す。
図28は、片方のフォトダイオードPD1がフォトンを検出しているときの動作を示す。
図29は、両方のフォトダイオードPD1、PD2がフォトンを検出しているときの動作を示す。
【0229】
図28および
図29のt1、t1aまでの動作は、基本的に第2実施形態と同様である。このとき、キャパシタCPk1、CPk2、Caは、充電された状態となっている。このような状態で、フォトダイオードPD1、PD2はフォトンの入射を待機する。尚、トランジスタTclip1、Tclip2は、フォトダイオードPD1、PD2に逆バイアス電圧が印加された状態で非導通状態となっている。
【0230】
(PD1のみにフォトン入射)
図28に示すように、第7実施形態では、垂直選択回路30が制御信号XRCGを周期CLKで立ち下げて、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、CPk2、Caを充電する。
【0231】
キャパシタCPk1、CPk2、Caの充電と次の充電との間のt1において、フォトンがフォトダイオードPD1に入射すると、フォトダイオードPD1がアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。このとき、制御信号CLIP1が立上っているので、トランジスタTclip1は非導通状態であり、センスノードSNの電圧Vsnは充電状態で維持されている。
【0232】
信号CLIP1、CLIP2が立ち下がった後、t2~t7の画素Pの動作は、第4実施形態のそれと同じでよい。ただし、光検出パルスPLSは、トランジスタTrchのゲートへはフィードバックされない。t4において、制御信号XRCGが周期的に立ち下がると、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、CPk2、Caが再充電される。
【0233】
これにより、カウンタ回路16は、周期CLKの期間内に、1つのフォトンがフォトダイオードPD1に入射すると、カウント値を1だけ増大させる。即ち、カウンタ回路16は、周期CLKごとに、フォトダイオードPDに入射するフォトン検出することができる。
【0234】
尚、フォトダイオードPD2のみにフォトンが入射する場合の光検出装置100の動作は、
図14を参照して容易に理解できるので、その説明を省略する。
【0235】
(PD1およびPD2の両方にフォトン入射)
図29に示すように、t1a、t1bにおいて、フォトダイオードPD1、PD2の両方にフォトンが入射すると、フォトダイオードPD1、PD2がアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1、VK2がともに低下する。このとき、トランジスタTclip1、Tclip2は、非導通状態となっているので、センスノードSNの電圧Vsnは低下しない。
【0236】
信号CLIP1、CLIP2が立ち下がった後、t2~t7の画素Pの動作は、第4実施形態のそれと同じでよい。ただし、光検出パルスPLSは、トランジスタTrchのゲートへはフィードバックされない。t4において、制御信号XRCGが周期的に立ち下がると、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、CPk2、Caが再充電される。
【0237】
これにより、カウンタ回路16は、周期CLKの期間内に、フォトンがフォトダイオードPD1、PD2のそれぞれに入射すると、カウント値を1だけ増大させる。即ち、カウンタ回路16は、周期CLKごとに、フォトダイオードPD1、PD2に入射する2つのフォトンを検出することができる。
【0238】
図30および
図31は、第7実施形態に係る光検出装置の動作例を示すタイミング図である。
図30および
図31では、スイッチSW1が導通状態であり、センスノードSNの容量が(Ca+Cv)と比較的大きい。
図30および
図31は、高照度モードの動作を示す。
図30は、片方のフォトダイオードPD1がフォトンを検出しているときの動作を示す。
図31は、両方のフォトダイオードPD1、PD2がフォトンを検出しているときの動作を示す。
【0239】
図30および
図31のt11までの動作は、基本的に第2実施形態と同様である。このとき、キャパシタCPk1、CPk2、Caは、充電された状態となっている。このような状態で、フォトダイオードPD1、PD2はフォトンの入射を待機する。尚、トランジスタTclip1、Tclip2は、フォトダイオードPD1、PD2に逆バイアス電圧が印加された状態で非導通状態となっている。
【0240】
(PD1のみにフォトン入射)
図30に示すように、第7実施形態では、垂直選択回路30が制御信号XRCGを周期CLKで立ち下げて、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、CPk2、Ca、Cvを充電する。
【0241】
キャパシタCPk1、CPk2、Ca、Cvの充電と次の充電との間のt11において、フォトンがフォトダイオードPD1に入射すると、フォトダイオードPD1がアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1が低下する。このとき、制御信号CLIP1が立上っているので、トランジスタTclip1は非導通状態であり、センスノードSNの電圧Vsnは充電状態で維持されている。
【0242】
信号CLIP1、CLIP2が立ち下がった後、t12~t14の画素Pの動作は、第4実施形態のそれと同じでよい。即ち、スイッチSW1が導通状態であるので、第4実施形態と同様に、センスノードSNの電圧Vsnは閾値Vt12を下回らない。よって、カウンタ回路16は、1個のフォトンがフォトダイオードPDに入射してもカウントしない。
【0243】
ただし、光検出パルスPLSは、トランジスタTrchのゲートへはフィードバックされない。t14において、制御信号XRCGが周期的に立ち下がると、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、CPk2、Ca、Cvが再充電される。これにより、光検出装置100は、t11以前の状態に戻る。
【0244】
(PD1およびPD2の両方にフォトン入射)
図31に示すように、t11a、t11bにおいて、フォトダイオードPD1、PD2の両方にフォトンが入射すると、フォトダイオードPD1、PD2がアバランシェ降伏し、カソード電圧VK1、VK2がともに低下する。このとき、トランジスタTclip1、Tclip2は、非導通状態となっているので、センスノードSNの電圧Vsnは低下しない。
【0245】
信号CLIP1、CLIP2が立ち下がった後、t12~t17の画素Pの動作は、第4実施形態のそれと同じでよい。ただし、光検出パルスPLSは、トランジスタTrchのゲートへはフィードバックされない。t14において、制御信号XRCGが周期的に立ち下がると、トランジスタTrchを介してキャパシタCPk1、CPk2、Ca、Cvが再充電される。
【0246】
これにより、カウンタ回路16は、周期CLKの期間内に、フォトンがフォトダイオードPD1、PD2のそれぞれに入射すると、カウント値を1だけ増大させる。即ち、カウンタ回路16は、周期CLKごとに、フォトダイオードPD1、PD2に入射する2つのフォトンを検出することができる。
【0247】
高照度モードにおいて、周期CLKの期間内に2つのフォトンが入射した場合、第7実施形態の動作は、
図15または
図17に示す第4実施形態の動作と同じでよい。よって、第7実施形態は、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第7実施形態では、低照度モードでは、充電周期CLKを長く設定することにより感度を高め、高照度モードでは、充電周期CLKを短く設定し飽和を抑制することができる。これにより、光検出装置100は、カウント値の上昇を抑制しつつ、ダイナミックレンジを広げ、かつ、SNRを向上させることができる。
【0248】
(第8実施形態)
図32は、第8実施形態に係る画素Pの内部構成の一例を示すブロック図である。第8実施形態では、フォトダイオードPDが、DPD(Dynamic Photo Diode)である。DPDは、順バイアス電圧に応じて降伏するときの入射フォトン数が変化する。フォトダイオードPDのアノードは、センスノードSNに接続されている。フォトダイオードPDのカソードは、基準電圧源(例えば、グランド)に接続されている。
【0249】
電源回路114がフォトダイオードPDに順バイアス電圧を印加する。電源回路114は、電圧源VDDHと抵抗素子RKとの間に接続されている。電源回路114は、カウント制御回路14からのフィードバック信号を受けて、フォトダイオードPDに印加される順バイアス電圧を変更することができる。
【0250】
第8実施形態では、カウント制御回路14は、カウンタ回路16と電源回路114との間に接続される配線でよい。カウント制御回路14は、カウンタ回路16の所定ビットが反転したときに、電源回路114へフィードバックされる制御信号を反転させて、電源回路114の電圧を変更することができる。例えば、カウント制御部14は、カウント値が所定値未満の場合に制御信号を立ち下げたまま順バイアス電圧を第1電圧にする。カウント値が所定値以上になった場合に、カウント制御部14は、制御信号を立ち上げて、順バイアス電圧を第1電圧よりも小さな第2電圧にする。
【0251】
抵抗素子RKは、カウント制御回路14とフォトダイオードPDのアノード(センスノードSN)との間に接続されている。これにより、センスノードSNの電圧Vsnは、光の入射によって生じるフォトダイオードPDの降伏で変化する。カウンタ回路16は、フォトダイオードPDの降伏によって生成される光検出パルスPLSをカウントする。カウント制御部14は、カウンタ回路16のカウント値に応じて電源回路からの順バイアス電圧を制御する。
【0252】
第8実施形態では、キャパシタCPvおよびスイッチSW1は設けられていない。カウンタ回路16からフィードバックされる制御信号は、電源回路114に印加されている。カウンタ回路16のカウント値が所定値未満の場合、カウント制御回路14は、フォトダイオードPDのアノードに印加される電源回路114の電圧を比較的高くして、順バイアス電圧を比較的大きくする。これにより、フォトダイオードPDは、1つのフォトンを入射するごとに降伏し、インバータINV6は光検出パルスPLSを生成する。この場合、カウンタ回路16は、1フォトンの検出ごとにカウント値を1だけ増大させる。
【0253】
カウンタ回路16のカウント値が所定値を超えた場合、カウント制御回路14は、フォトダイオードPDのアノードに印加される電源回路114の電圧を比較的低くして、順バイアス電圧を比較的小さくする。これにより、フォトダイオードPDは、n個(nは2以上の整数)のフォトンを入射するごとに降伏し、インバータINV6は光検出パルスPLSを生成する。この場合、カウンタ回路16は、フォトダイオードPDの降伏ごとにカウント値を増大させるが、実質的に、n個のフォトンの検出ごとにカウント値を1だけ増大させる。
【0254】
このように、フォトダイオードPDにDPDを用い、カウント制御回路14および電源回路114を用いることによって、低照度モードと高照度モードとにおいて、カウント値を増大させるフォトン数を切り替えることができる。よって、第8実施形態は、他の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0255】
また、第8実施形態によれば、高照度モードにおいて、フォトダイオードPDの降伏の回数および光検出パルスPLSの生成回数が低下する。従って、消費電力を削減することができる。
【0256】
(第9実施形態)
図33は、第9実施形態に係る画素Pの内部構成例の一部分を示すブロック図である。第9実施形態では、フォトダイオードPDとトランジスタTrchとの位置関係が第3実施形態と逆になっている。即ち、フォトダイオードPDのアノードが電圧源VDDHに接続され、フォトダイオードPDのカソードがトランジスタTclipのドレインに接続されている。キャパシタCPk1は、フォトダイオードPDに並列に接続されている。従って、キャパシタCPk1の一端は、電圧源VDDHに接続され、他端がトランジスタTclipのドレインに接続されている。
【0257】
トランジスタTclipのソースは、センスノードSNおよびトランジスタTrchのドレインに接続されている。トランジスタTclipは、例えば、n型MOSFETで構成されている。
【0258】
トランジスタTrchのドレインは、センスノードSNおよびトランジスタTclipのソースに接続されている。トランジスタTrchのドレインは、基準電圧源(例えば、グランド)に接続されている。トランジスタTrchは、例えば、n型MOSFETで構成されている。
【0259】
第9実施形態の他の構成は、第3実施形態と同じでよい。トランジスタTclip、Trchの導電型が第3実施形態のそれらの逆導電型である。従って、トランジスタTclip、Trchの制御信号CLIP、XRCGは、第3実施形態のそれらと逆論理になっている。
【0260】
第9実施形態の構成であっても、第3実施形態と同様に動作し、第3実施形態と同じ効果を得ることができる。トランジスタTclipに代えて抵抗素子RKをセンスノードSNとフォトダイオードPDとの間に設けてもよい。第9実施形態は、他の実施形態に適用することもできる。
【0261】
(チップ積層)
図34Aおよび
図34Bは、光検出装置100のチップ積層構成の一例を示す概略図である。半導体チップ112は、例えば、上側基板112aと、下側基板112bとの積層チップである。例えば、上側基板112aには、画素Pが2次元配列された画素領域10と、画素Pの制御を行う制御回路122が設けられている。制御回路122は、垂直選択回路30と、信号処理回路40と、水平選択回路50と、出力回路60と、制御回路70との全てまたはその一部を含む。下側基板112bには、画素から出力された画素信号を処理する信号処理回路などのロジック回路123が設けられている。あるいはまた、
図34Bに示すように、上側基板112aには、画素領域10のみが設けられ、下側基板112bには、制御回路122とロジック回路123が設けられていてもよい。
【0262】
このように、半導体チップ112は、制御回路122及びロジック回路123の一方または両方を、画素領域10の上側基板112aとは別の下側基板112bに設けてもよい。これにより、1枚の基板に、画素領域10、制御回路122、およびロジック回路123を平面方向に配置した場合と比較して、チップサイズを小さくすることができる。
【0263】
さらに、画素領域10は、複数の半導体チップに分けて形成し、それらを積層して構成してもよい。この場合、さらにチップサイズを小さくすることができる。
【0264】
上側基板112aと下側基板112bは、互いに貫通電極で接続されていてもよく、あるいは、配線同士をCu-Cu接合で接続してもよい。
【0265】
(移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0266】
図35は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0267】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図35に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0268】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0269】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0270】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0271】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0272】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0273】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0274】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0275】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0276】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図35の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0277】
図36は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0278】
図36では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0279】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0280】
なお、
図36には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0281】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0282】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0283】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0284】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0285】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。
【0286】
なお、本技術は、以下のような構成をとることができる。
(1)
第1フォトダイオードと、
光の入射によって生じる前記第1フォトダイオードの降伏で電圧が変化するセンスノードと、
前記センスノードの電圧に基づいて前記第1フォトダイオードの降伏回数をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値に応じて、該カウント値を1だけ増大させる前記降伏回数を制御するカウント制御部とを備えている、光検出装置。
(2)
前記カウント制御部は、前記センスノードと基準電圧源との間に直列に接続された第1キャパシタおよびスイッチを備えている、(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記スイッチは、前記カウント値が所定値未満の場合に非導通状態であり、前記カウント値が所定値以上の場合に導通状態となる、(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記スイッチが非導通状態の場合に、前記カウンタは、前記第1フォトダイオードが降伏するごとに前記カウント値を1ずつ増大させ、
前記スイッチが導通状態の場合に、前記カウンタは、前記第1フォトダイオードがn回(nは2以上の整数)降伏するごとに前記カウント値を1ずつ増大させる、(3)に記載の光検出装置。
(5)
電圧源と前記センスノードとの間に設けられ、前記フォトダイオードの降伏によって制御される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタと前記センスノードとの間に設けられ、前記フォトダイオードの降伏によって前記第1トランジスタよりも遅延して制御される第2トランジスタと、
前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとの間のノードと基準電圧源との間に接続された第2キャパシタとをさらに備える、(1)から(4)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(6)
前記カウント制御部は、前記センスノードの容量と前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとの間のノードの容量との比によって、前記nの値を制御する、(5)に記載の光検出装置。
(7)
複数の画素が配列された画素領域をさらに備え、
前記複数の画素のそれぞれが、前記第1フォトダイオード、前記カウンタおよび前記カウント制御部を備えている、(1)から(6)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(8)
前記第1フォトダイオードは、1フォトンの入射によって1回アバランシェ降伏するSPAD(Single Photon Avalanche Diode)である、(1)から(7)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(9)
前記カウント制御部は、前記第2キャパシタに対して並列に接続されている、(5)に記載の光検出装置。
(10)
前記センスノードと基準電圧源との間に設けられた第2フォトダイオードをさらに備えている、(1)から(9)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(11)
前記第1フォトダイオードの1回の露光期間において、前記センスノードを充電する周期が第1周期と該第1周期よりも長い第2周期とを含む、(1)に記載の光検出装置。
(12)
前記第1フォトダイオードの1回の露光期間において、前記センスノードを充電する周期が第1周期と該第1周期よりも長い第2周期とを含み、
前記第1周期において前記スイッチを導通状態とし、前記第2周期において前記スイッチを非導通状態とする、(3)から(5)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(13)
前記スイッチは、前記カウンタおよび前記カウント制御回路の外部からの信号によって制御される、(2)に記載の光検出装置。
(14)
順バイアス電圧に応じて降伏するときの入射フォトン数が変わる第1フォトダイオードと、
前記第1フォトダイオードに前記順バイアス電圧を印加する電源回路と、
光の入射によって生じる前記第1フォトダイオードの降伏で電圧が変化するセンスノードと、
前記第1フォトダイオードの降伏をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値に応じて前記電源回路からの前記順バイアス電圧を制御するカウント制御部とを備えている、光検出装置。
(15)
前記カウント制御部は、前記カウント値が所定値未満の場合に前記順バイアス電圧を第1電圧とし、前記カウント値が所定値以上の場合に前記順バイアス電圧を前記第1電圧よりも小さな第2電圧にする、(14)に記載の光検出装置。
(16)
前記順バイアス電圧が前記第1電圧の場合に、前記第1フォトダイオードは、1個のフォトンを入射するごとに降伏し、
前記順バイアス電圧が前記第2電圧の場合に、前記第1フォトダイオードは、n個(nは2以上の整数)のフォトンを入射するごとに降伏する、(15)に記載の光検出装置。
【0287】
尚、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0288】
P 画素、PD フォトダイオード、12 画素制御回路、14 カウント制御回路、16カウンタ、Trch,Ts,Ta,Trst トランジスタ、INV1~INV7 インバータ、CPs,CPa,CPv,CPk1,CPk2 キャパシタ