(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067911
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】バリ除去装置
(51)【国際特許分類】
B08B 5/00 20060101AFI20240510BHJP
B28B 11/18 20060101ALI20240510BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20240510BHJP
B24B 29/00 20060101ALI20240510BHJP
B24B 29/04 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B08B5/00 Z
B28B11/18
B24B9/00 602E
B24B29/00 L
B24B29/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178327
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】飯島 秀一
(72)【発明者】
【氏名】米山 孝
【テーマコード(参考)】
3B116
3C049
3C158
4G055
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB13
3B116AB33
3B116BA02
3B116BA23
3B116BB21
3B116BB88
3B116BC08
3C049AA06
3C049AA13
3C049AA14
3C049AA18
3C049AB03
3C049CA03
3C049CB03
3C158AA06
3C158AA13
3C158AA18
3C158AB03
3C158CA03
3C158CB03
3C158DA03
4G055AB01
4G055AC08
4G055BA85
(57)【要約】
【課題】搬送装置及びロボット等の駆動装置を必要とせず、導入費用を低減することができるバリ除去装置を提供する。
【解決手段】筒状部品2の外周面12又は内周面13には、複数の凸部14,15が設けられる。バリ除去装置1は、筒状部品2を筒状部品2の中心軸周りに回転可能に保持する保持部5と、保持部5により保持された筒状部品2の複数の凸部14,15に気体を吹き付けるノズル6とを備える。ノズル6により筒状部品2の複数の凸部14,15に気体を吹き付けることにより筒状部品2を中心軸周りに回転させると共に、吹き付けた気体によりバリ16を除去する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面又は内周面に複数の凸部が設けられた筒状部品に付着した繊維状のバリを除去するためのバリ除去装置であって、
前記筒状部品を該筒状部品の中心軸周りに回転可能に保持する保持部と、
前記保持部により保持された前記筒状部品の前記複数の凸部に気体を吹き付けるノズルと、を備え、
前記ノズルにより前記複数の凸部に気体を吹き付けることにより前記筒状部品を前記中心軸周りに回転させると共に、吹き付けた気体により前記バリを除去する、
バリ除去装置。
【請求項2】
前記保持部により保持された前記筒状部品の軸方向端部に接触するように配置されるブラシを備える、請求項1に記載のバリ除去装置。
【請求項3】
作業者の一つの操作により第1位置から第2位置を経由して第3位置まで移動し、且つ、前記一つの操作の解除により前記第3位置から前記第1位置まで移動する操作部と、
前記操作部に連結された駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
前記一つの操作による前記操作部の前記第1位置から前記第2位置への移動によって前記筒状部品が前記保持部に供給され、
前記一つの操作による前記操作部の前記第2位置から前記第3位置への移動によって前記保持部による前記筒状部品の保持及び前記ノズルによる前記複数の凸部への気体の吹き付けが行なわれ、
前記一つの操作の解除による前記操作部の前記第3位置から前記第1位置への移動によって前記筒状部品が前記保持部から取り外されるように構成される、
請求項1又は2に記載のバリ除去装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記操作部の前記第2位置から前記第3位置への移動によって前記保持部に対して回転トルクを付与するトルク付与機構を有する、
請求項3に記載のバリ除去装置。
【請求項5】
前記保持部が配置されるバリ除去ステージと、
前記筒状部品を前記バリ除去ステージから払い出すための払い出しプレートと、を備える、
請求項1又は2に記載のバリ除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリ除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、セラミックスの成形打抜プレス加工におけるバリ(打抜の屑及び粉等)の除去のための装置が開示されている。このバリ除去装置においては、プレス機上にセットされた金型の下面に付着した屑を除去するために、ロボットを設置し、そのロボットのアームにブラシを取り付け、そのブラシの下に受皿を設ける。金型の出口側にシュートの中程に下からエアブローをするノズルを設ける。回転ドラムの中を中空とし、回転ドラムの周部全体に孔を無数に設ける。回転ドラムの両側の中心にベアリングを設け、そのベアリングに主軸を嵌め込み、吸引孔を設け、回転ドラムを回転自在とする。回転ドラムの外周に多孔質のシート材を装着する。回転ドラムのそれぞれの途中にブラシを設ける。回転ドラムの上に排出シュートを設け、その排出シュートの下に製品の収納マガジンを設置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のバリ除去装置は、搬送装置及びロボット等の駆動装置(アクチュエーター)を必要としており、バリ除去装置の導入費用が高額となってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、搬送装置及びロボット等の駆動装置を必要とせず、導入費用を低減することができるバリ除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わるバリ除去装置は、筒状部品をその中心軸周りに回転可能に保持する保持部と、保持部により保持された筒状部品の外周面又は内周面に設けられた複数の凸部に気体を吹き付けるノズルとを備える。ノズルにより筒状部品の複数の凸部に気体を吹き付けることにより筒状部品を中心軸周りに回転させると共に、吹き付けた気体によりバリを除去する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送装置及びロボット等の駆動装置を必要とせず、導入費用を低減することができるバリ除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係わるバリ除去装置の構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係わるバリ除去装置の構成を示す側面図である。
【
図3】
図3は、操作ペダルが踏み込まれた状態を示すバリ除去装置の側面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係わるバリ除去装置の構成を示す平面図である。
【
図7】
図7は、投入シュートによる筒状部品の投入に関する説明図である。
【
図8】
図8は、投入シュートによる筒状部品の投入に関する説明図である。
【
図9】
図9は、投入シュートによる筒状部品の投入に関する説明図である。
【
図12】
図12は、
図10のA-A線による断面に相当し、保持部により筒状部品が保持された状態を示す断面図である。
【
図13】
図13は、筒状部品のバリ除去に関する説明図である。
【
図14】
図14は、筒状部品のバリ除去に関する説明図である。
【
図15】
図15は、ブラシの配置の一形態を示す概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
[バリ除去装置1の構成]
図1から
図15を参照して、本実施形態に係わるバリ除去装置1の構成を説明する。なお、本明細書においては、後述する操作ペダル53を踏み込む作業者から見たバリ除去装置1を当該バリ除去装置1の正面とする。
【0011】
図1から
図4に示すように、バリ除去装置1は、ドラム部品(筒状部品2)と、本体フレーム3と、投入シュート4と、クランプ機構(保持部5)と、ノズル6と、ブラシ7と、操作部8と、リンク機構(駆動機構9)と、払い出しシュート10とを備える。
【0012】
図5及び
図6に示される筒状部品2は、バリ除去装置1におけるワーク(対象物)を構成するものであり、例えば、車両のクラッチの一部品(クラッチのケース)である。この筒状部品2は、平板からプレス成形により加工されたものであり、この筒状部品2の軸方向端部11に、繊維状のバリ16が静電気等により付着し得る(
図6参照)。また、筒状部品2の外周面12及び内周面13には、筒状部品2の周方向に間隔を置いて複数の凸部14,15が設けられている。
【0013】
ある実施形態では、筒状部品2は、車両のクラッチの一部品(クラッチのケース)以外のものであってもよい。また、別の実施形態では、筒状部品2の外周面12及び内周面13のいずれか一方にのみ、前述の複数の凸部14,15が設けられていてもよい。
【0014】
本体フレーム3は、複数の柱部21と、天板部22と、複数の梁部23,24と、棚部25とを有して構成される。平面視において四角形の各角部にはそれぞれ、柱部21が配置されており、これら柱部21の上端部に、天板部22が架け渡されている。また、柱部21の高さ方向(上下方向)の途中の部分には、上側の梁部23、下側の梁部24が取り付けられている。上側の梁部23には、棚部25が架け渡されており、この棚部25(又は上側の梁部23)と下側の梁部24との間には、側面視で略L字状に形成され、操作ペダル53等が支持される支持部26が接続されている。さらに、天板部22には、後述するクランプロッド42が挿通される貫通孔22hが形成されており、棚部25には、後述するパイプ61が挿通される貫通孔25hが形成されている。
【0015】
投入シュート4は、基部31と、底板部32と、一対の側板部33,33とを有して構成される。基部31は、本体フレーム3の天板部22の上に配置され、この基部31の上部に、底板部32及び一対の側板部33,33が配置されている。底板部32は、例えば、エンボス鋼板から形成されており、底板部32と一対の側板部33,33とにより略U字状の投入路が形成される。また、底板部32には、後述するストッパー38が挿通される貫通孔32hが形成されている(
図7から
図9参照)。
【0016】
保持部5は、筒状部品2を筒状部品2の内周面13側からクランプするクランプ部41を有して構成される(
図10から
図12参照)。このクランプ部41は、クランプロッド42と、フランジ43と、複数のリンク44と、筒状部材45とを有して構成される。フランジ43は、クランプロッド42の上端部に装着されており、このクランプロッド42は、本体フレーム3の天板部22の貫通孔22hを貫通して下方に延在しており、さらにパイプ61に挿通されている。
【0017】
クランプロッド42の下端部はパイプ61の下端部から突出されて、後述するギヤボックス72の出力側シャフト74に接続される。筒状部材45の上端部には、筒状部材45の径方向外側に延出する延出部46が複数設けられており、延出部46にはそれぞれ、リンク44が回動可能に支持されている(
図10から
図12参照)。このリンク44の一端部は、フランジ43に当接しており、リンク44の他端部には、クランプ部41によるクランプ時に筒状部品2の内周面13に当接するパッド47が装着されている。また、筒状部材45の下端部は、本体フレーム3の天板部22にベアリング48を介して取り付けられており、ベアリング48とフランジ43との間には、フランジ43を上方に向けて付勢するスプリング77が配置されている。
【0018】
クランプロッド42に回転が付与されると、フランジ43、リンク44及び筒状部材45がクランプロッド42と共に回転する。また、クランプロッド42が押し下げられると、フランジ43によってリンク44が回動して、リンク44の先端のパッド47によって筒状部品2がクランプされる。
【0019】
さらに、クランプロッド42における本体フレーム3の天板部22とパイプ61との間に位置する部分には、ナット等により構成される大径部49が設けられている。
【0020】
ノズル6は、保持部5により保持された筒状部品2の外周面12に設けられた複数の凸部14に気体としての空気を吹き付ける。本実施形態では、ノズル6は、その先端部が筒状部品2の外周面12及び軸方向端部11に対向するように配置される(
図13及び
図14参照)。ノズル6により複数の凸部14に空気を吹き付けることにより筒状部品2を筒状部品2の中心軸周りに回転させると共に、吹き付けた空気によりバリ16を除去する。このノズル6の先端部は、上下方向に広い吹き付け範囲を持つワイド噴射タイプのものである。
【0021】
ある実施形態では、空気を吹き付けるノズル6を筒状部品2の内周面13側に配置してもよく、ノズル6を筒状部品2の外周面12側と内周面13側との両方に配置してもよい。また、別の実施形態では、ノズル6が筒状部品2に対して吹き付ける気体は、空気以外のものであってもよい。また、更に別の実施形態では、バリ16を適切に除去できたか否かを確認することを目的として、筒状部品2の軸方向端部11を撮像するカメラ等の撮像部を設けてもよい。
【0022】
また、ノズル6からの空気の吹き出しのオンとオフとを切り替えるためのスイッチ51が、後述する枠体62の下方に位置させて本体フレーム3の棚部25の上に配置されている。このため、枠体62の下降時に、枠体62によってスイッチ51がオンとされて、ノズル6から筒状部品2に向けて空気が吹き出される。
【0023】
ブラシ7は、保持部5により保持された筒状部品2の軸方向端部11に接触するように配置される(
図13及び
図14参照)。このブラシ7は、所謂チャンネルブラシと称されるものであり、ブラシ部分が例えば真鍮等の金属材料により構成される。また、ブラシ7は、本体フレーム3の天板部22の上に配置された支柱(図示せず)によって支持されている。図示例では、ブラシ7は、そのブラシ部分が下方から筒状部品2の軸方向端部11に接触するように、筒状部品2の軸方向端部11の下方に配置されている(
図13及び
図14参照)。
【0024】
さらに、本体フレーム3の天板部22の上には、ノズル6による空気の吹き付け及びブラシ7によって除去されたバリ16が飛散することを抑制するために、マグネット52が配置されている(
図13及び
図14参照)。
【0025】
ある実施形態では、ブラシ7は、そのブラシ部分が側方から筒状部品2の軸方向端部11に接触するように、筒状部品2の軸方向端部11の側方に配置されていてもよい(
図15参照)。このブラシ7は、例えば、その柄の部分にリンク機構(図示せず)が接続されて、このリンク機構によりバリ除去ステージ81の下降に伴い筒状部品2に対して近接するように構成されている。さらに、所謂ホイールブラシと称されるブラシ17が、そのブラシ部分が下方から筒状部品2の軸方向端部11に接触するように、筒状部品2の軸方向端部11の下方に配置されていてもよい(
図15参照)。このブラシ17は、例えば、スプリング(図示せず)によって上方に向けて付勢されている。なお、
図15においては、ノズル6及びマグネット52等は図示省略されている。
【0026】
操作部8は、作業者の踏み込みにより操作される操作ペダル53を有して構成されている。操作ペダル53の基端部53aは、本体フレーム3の支持部26に対して上下方向に揺動可能に装着され、操作ペダル53の先端部53bには、作業者により踏み込まれる踏み込み部分54が形成されている。さらに、操作ペダル53の基端部53aと先端部53bとの間の部分には、パイプ61に装着された軸部55がスライド可能に挿通される長孔56が形成されている。
【0027】
パイプ61は、本体フレーム3の棚部25の貫通孔25hを貫通して上下方向に延在しており、このパイプ61の上端部には、側面視において略四角形状の枠体62が取り付けられている。枠体62と本体フレーム3の天板部22との間、枠体62と本体フレーム3の棚部25との間にはそれぞれ、スプリング63,64が配置されており、これらスプリング63,64によってパイプ61及び操作ペダル53が上方に向けて付勢されている。さらに、本体フレーム3の支持部26には、上下方向に移動するパイプ61の下端部に接するように配置されるローラー65も配置されている。作業者によって操作ペダル53が踏み込まれると、パイプ61及び当該パイプ61の上端部に取り付けられた枠体62が、スプリング63,64の付勢力に抗して下降される。
【0028】
また、枠体62に設けられたタブ66には、ロッド67の下端部が固定され、このロッド67の上端部は、後述するバリ除去ステージ81に設けられたタブ85に固定されている。このため、作業者によって操作ペダル53が踏み込まれると、パイプ61及び枠体62と共に、バリ除去ステージ81が下降される。
【0029】
駆動機構9は、作業者の一つの操作による操作部8の第1位置(
図2参照)から第2位置への移動によって筒状部品2が保持部に供給されるように構成される。また、駆動機構9は、作業者の一つの操作による操作部8の第2位置から第3位置(
図3参照)への移動によって保持部5による筒状部品2の保持及びノズル6による複数の凸部14への気体の吹き付けが行なわれるように構成される。さらに、駆動機構9は、作業者の一つの操作の解除による操作部8の第3位置から第1位置への移動によって筒状部品2が保持部5から取り外されるように構成される。
【0030】
また、駆動機構9は、操作部8の第2位置から第3位置への移動によって保持部5に対して回転トルクを付与するトルク付与機構71を有する。
【0031】
トルク付与機構71は、L字型アダプターとも称されるギヤボックス72を有している。このギヤボックス72の入力側シャフト73には、ラックアンドピニオン機構35のピニオン36が装着されており、ギヤボックス72の出力側シャフト74に、前述のクランプロッド42が接続されている。クランプロッド42の上下方向移動がギヤボックス72の出力側シャフト74に伝達されないようにするために、本実施形態では、例えば、クランプロッド42と出力側シャフト74との接続部75はスプライン接続により接続される。
【0032】
ある実施形態では、クランプロッド42と出力側シャフト74との接続部75が、クラッチ等を介して接続されていてもよい。また、別の実施形態では、ギヤボックス72の内部に、入力側シャフト73から出力側シャフト74へと一方向の回転のみを伝達するラチェット機構又はワンウェイクラッチ機構等が配置されていてもよい。
【0033】
また、ギヤボックス72の入力側シャフト73は、本体フレーム3の下側の梁部24に取り付けられた略クランク形状のブラケット76によって支持されている。また、ラックアンドピニオン機構35のラック37は、パイプ61に取り付けられたステー68の下端に配置されており、このステー68は、本体フレーム3の支持部26に配置されたガイド69に沿って上下方向に移動される。作業者によって操作ペダル53が踏み込まれると、パイプ61及び枠体62と共に、ステー68及びラック37が下降され、この下降するラック37がピニオン36を回転させる。このラックアンドピニオン機構35のピニオン36の回転により、ギヤボックス72の入力側シャフト73及び出力側シャフト74を経て、クランプロッド42に初動の回転が付与される。
【0034】
さらに、本体フレーム3の天板部22の上には、保持部5が配置されるバリ除去ステージ81と、筒状部品2をバリ除去ステージ81から払い出すための払い出しプレート82とが設けられている。この払い出しプレート82は、払い出しシュート10側の端部を回動支点としてバリ除去ステージ81に対して傾動可能に取り付けられている。
【0035】
バリ除去ステージ81及び払い出しプレート82にはそれぞれ、内方に保持部5のクランプ部41を配置するために開口部81a,82aが形成されている。また、払い出しプレート82の開口部82aの周縁部には、本体フレーム3の天板部22の上に配置される出口側ストッパー27が挿通される切欠部82bが形成されている。
【0036】
払い出しプレート82は、一対の側壁部83,83と、入口側ストッパー84とを有している。つまり、投入シュート4側に配置される入口側ストッパー84は、払い出しプレート82の上に配置され、その一方、払い出しシュート10側に配置される板状の出口側ストッパー27が、本体フレーム3の天板部22の上に配置されている。
【0037】
さらに、バリ除去ステージ81の側部には、一対のタブ85,85が設けられており、これらタブ85,85にはそれぞれ、枠体62から延在するロッド67の上端部が固定されている。このため、作業者によって操作ペダル53が踏み込まれると、パイプ61及び枠体62と共に、バリ除去ステージ81が下降される。
【0038】
バリ除去ステージ81と本体フレーム3の天板部22との間には、リンク86が配置されている(
図7から
図9参照)。このリンク86は、投入シュート4の基部31に取り付けられたガイド34に沿って上下方向に移動するようになっている。また、リンク86は、投入シュート4の基部31に装着されたスプリング87によって上方に向けて付勢されており、このリンク86の上方への移動は、投入シュート4の基部31に設けられたストッパー89によって規制されている。さらに、リンク86の一端部は、下降したバリ除去ステージ81と当接し、リンク86の他端部には、上端部にストッパー38が装着されたロッド39が取り付けられている。
【0039】
このため、作業者によって操作ペダル53が踏み込まれて、バリ除去ステージ81が下降され、このバリ除去ステージ81によってリンク86が押し下げられて、ロッド39及びストッパー38が下降される。ロッド39及びストッパー38が下降されて、ストッパー38が投入シュート4の底板部32の貫通孔32hから引き抜かれると、底板部32の上にある筒状部品2が底板部32の上を滑り、前述のバリ除去ステージ81へと投入される。
【0040】
枠体62の上部と下部との間の空間には、側面視において逆U字状の中間部材91が配置されており、この中間部材91は、本体フレーム3の天板部22の下面に取り付けられたガイド28に沿って上下方向に移動するようになっている。また、中間部材91は、払い出しプレート82側のリンク86と同様に、図示しないスプリングによって上方に向けて付勢されており、この中間部材91の上方への移動は、図示しないストッパーによって規制されている。
【0041】
このため、作業者によって操作ペダル53が踏み込まれて、パイプ61及び枠体62が下降されると、枠体62が中間部材91を押し下げ、この中間部材91がクランプロッド42の大径部49を押し下げる。そして、前述のように、クランプロッド42が押し下げられると、フランジ43によってリンク44が回動して、リンク44の先端のパッド47によって筒状部品2がクランプされる(
図12参照)。
【0042】
払い出しプレート82は、バリ除去ステージ81に対して傾動可能に取り付けられている。バリ除去ステージ81が下降した状態から上昇すると、払い出しプレート82の払い出しシュート10側の端部が、本体フレーム3の天板部22の上に配置したストッパー29に当接して、払い出しプレート82がバリ除去ステージ81に対して傾いた状態となる。このような状態になると、筒状部品2が払い出しプレート82によってバリ除去ステージ81から払い出される(
図7参照)。
【0043】
[バリ除去装置1の動作]
図7から
図14を参照して、
図1のバリ除去装置1の動作の一例を説明する。
【0044】
(1)操作ペダル53の1段階目の操作:作業者の一つの操作による操作部8の第1位置から第2位置への移動によって筒状部品2が保持部5に供給される。つまり、操作ペダル53による1段階目の操作によって、
図7から
図9に示されるように、投入シュート4にある筒状部品2が保持部5及びバリ除去ステージ81に対して供給される。
【0045】
(2)操作ペダル53の2段階目の操作:作業者の一つの操作による操作部8の第2位置から第3位置への移動によって保持部5による筒状部品2の保持及びノズル6による複数の凸部14への気体の吹き付けが行なわれる。つまり、操作ペダル53による2段階目の操作によって、
図11から
図12に示されるように、筒状部品2のクランプ部41によるクランプが行なわれ、また、
図13から
図14に示されるように、筒状部品2へのノズル6による空気の吹き付けが行なわれる。また、作業者の一つの操作による操作部8の第2位置から第3位置への移動によってトルク付与機構71による保持部5に対する回転トルクの付与(初動の回転力の付与)も行われる。
【0046】
(3)操作ペダル53への操作の解除:作業者の一つの操作の解除による操作部8の第3位置から第1位置への移動によって筒状部品2が保持部5から取り外される。つまり、操作ペダル53への操作の解除によって、筒状部品2のクランプ部41によるクランプが解除され、バリ除去ステージ81が上昇し、筒状部品2がバリ除去ステージ81から払い出しシュート10へと払い出される。
【0047】
(4)製品チェック:払い出しシュート10により払い出された筒状部品2を作業者が目視によりチェックする。そして、目視によるチェックが済んだ筒状部品2が作業者により製品パレットに適宜に積みつけられる。
【0048】
以上要するに、本実施形態に係わるバリ除去装置1は、動力源は人力(作業員の力)を活用し、駆動力の伝達はリンク機構及び歯車によって一連の動作を生じさせて、自動回転によってバリ16の除去を行う装置である。
【0049】
[作用効果等]
以下に、本実施形態に係わる作用効果を説明する。
【0050】
(1)バリ除去装置1は、外周面12又は内周面13に複数の凸部14,15が設けられた筒状部品2に付着した繊維状のバリ16を除去するための装置である。バリ除去装置1は、筒状部品2を筒状部品2の中心軸周りに回転可能に保持する保持部5と、保持部5により保持された筒状部品2の複数の凸部14,15に気体を吹き付けるノズル6とを備える。ノズル6により複数の凸部14,15に気体を吹き付けることにより筒状部品2を筒状部品2の中心軸周りに回転させると共に、吹き付けた気体によりバリ16を除去する。
【0051】
本実施形態に係わるバリ除去装置1によれば、従来のような搬送装置及びロボット等の駆動装置(アクチュエーター)を必要とせず、気体の吹き付けによって、筒状部品2(ドラム部品)の外周全体にわたってバリ16の除去(バリ取り)を行うことができる。このため、搬送装置及びロボット等の駆動装置を必要とせず、導入費用を低減することができるバリ除去装置1を提供することが可能になる。
【0052】
(2)バリ除去装置1は、保持部5により保持された筒状部品2の軸方向端部11に接触するように配置されるブラシ7を備える。
【0053】
本実施形態に係わるバリ除去装置1によれば、空気の吹き付けによるバリ16の除去を行うと共に、ブラシ7によるバリ16の除去も行うことができる。このため、筒状部品2の軸方向端部11に付着し得るバリ16をより効率よく除去することが可能になる。
【0054】
(3)バリ除去装置1は、作業者の一つの操作により第1位置から第2位置を経由して第3位置まで移動し、且つ、作業者の一つの操作の解除により第3位置から第1位置まで移動する操作部8と、操作部8に連結された駆動機構9とを備える。駆動機構9は、作業者の一つの操作による操作部8の第1位置から第2位置への移動によって筒状部品2が保持部に供給されるように構成される。また、駆動機構9は、作業者の一つの操作による操作部8の第2位置から第3位置への移動によって保持部5による筒状部品2の保持及びノズル6による複数の凸部14,15への気体の吹き付けが行なわれるように構成される。さらに、駆動機構9は、作業者の一つの操作の解除による操作部8の第3位置から第1位置への移動によって筒状部品2が保持部5から取り外されるように構成される。
【0055】
本実施形態に係わるバリ除去装置1によれば、作業者による操作部8(操作ペダル53)の一連の操作により、ワーク(筒状部品2)の供給(投入)、バリ16の除去、並びに筒状部品2の取り外し(払い出し)を行うことができる。このため、作業者のバリ16の除去に関する作業工数を低減することが可能になる。
【0056】
(4)駆動機構9は、操作部8の第2位置から第3位置への移動によって保持部5に対して回転トルクを付与するトルク付与機構71を有する。
【0057】
本実施形態に係わるバリ除去装置1によれば、空気の吹き付けのみによって筒状部品2を回転させる場合と比較して、ノズル6からの気体の供給圧力又は供給量を低減することができる。このため、導入費用のみならず運用費用も低減することができるバリ除去装置1を提供することが可能になる。
【0058】
(5)バリ除去装置1は、保持部5が配置されるバリ除去ステージと、筒状部品2をバリ除去ステージ81から払い出すための払い出しプレート82とを備える。
【0059】
本実施形態に係わるバリ除去装置1によれば、払い出しプレート82の動作によって、バリ除去ステージ81からの筒状部品2の払い出しを簡単に行うことができる。このため、作業者のバリの除去に関する作業工数を低減することが可能になる。
【0060】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0061】
1 バリ除去装置
2 筒状部品(ドラム部品)
5 保持部(クランプ機構)
6 ノズル
7 ブラシ(チャンネルブラシ)
8 操作部
9 駆動機構(リンク機構)
11 軸方向端部
12 外周面
13 内周面
14 凸部(外周面側)
15 凸部(内周面側)
16 バリ
17 ブラシ(ホイールブラシ)
71 トルク付与機構
81 バリ除去ステージ
82 払い出しプレート