(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067930
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】窓装置と、それを使用する戸
(51)【国際特許分類】
E06B 7/28 20060101AFI20240510BHJP
E06B 3/70 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
E06B7/28 F
E06B3/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178355
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000184621
【氏名又は名称】小松ウオール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(74)【代理人】
【識別番号】100176359
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 光代
(72)【発明者】
【氏名】太田 梢
(72)【発明者】
【氏名】篠田 善男
(72)【発明者】
【氏名】若林 恵里佳
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA10
2E016KA02
2E016LA01
2E016LC01
2E016MA11
2E016NA02
2E016PA03
2E016QA07
(57)【要約】
【課題】コストパフォーマンスを高め、導入の動機付けを向上させる。
【解決手段】長方形の窓枠11と、窓枠11の見込方向の中心Cより後面側に装着する透光性の板材12とを備え、上下の溝11d、11eを介して板材12の前面側に補助パネルPをけんどん式に着脱自在に装着可能にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の窓枠と、該窓枠の見込方向の中心より後面側に装着する透光性の板材とを備えてなり、前記窓枠は、下向き、上向きの相対向する上下の溝を介して、前記板材の前面側に補助パネルをけんどん式に着脱自在に装着可能であることを特徴とする窓装置。
【請求項2】
前記補助パネルは、ピンナップ機能、マーカ機能、マグネット機能、吸音機能の少なくとも1以上の機能を保有することを特徴とする請求項1記載の窓装置。
【請求項3】
前記補助パネルは、前記窓枠の前面側から着脱操作するための操作手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の窓装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の窓装置を戸本体に組み込むことを特徴とする戸。
【請求項5】
請求項3記載の窓装置を戸本体に組み込むことを特徴とする戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、補助パネルを着脱自在に装着可能な窓装置と、それを使用する戸に関する。
【背景技術】
【0002】
居室の入口扉などの表面に任意の掲示物を掲示するために、扉体の表面に透明蓋付きの凹部を形成し、凹部の奥面を利用して掲示物を掲示することが知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
凹部の奥面には、コルクボードなどのベース板を設け、画鋲を介して写真などの掲示物を固定して掲示することができる。また、ベース板は、適切な縁材により周縁部を押圧して固定するものとし、透明蓋は、ヒンジを介して縁材に開閉自在に装着され、マグネットを介して閉鎖状態にロックすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、凹部の奥面のベース板上の掲示物を必要に応じて取り替えることができるだけで、それ以上の機能を実現することができないため、コストパフォーマンスがよいとはいえず、導入の動機付けが高くないという問題があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、切窓用の窓枠に補助パネルを着脱自在に組み合わせることによって、切窓本来の採光機能に加えて、各種の有益な機能を併せ実現することができ、コストパフォーマンスを高め、導入の動機付けを大きく向上させることができる窓装置と、それを使用する戸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための請求項1の発明の構成は、長方形の窓枠と、窓枠の見込方向の中心より後面側に装着する透光性の板材とを備えてなり、窓枠は、下向き、上向きの相対向する上下の溝を介して、板材の前面側に補助パネルをけんどん式に着脱自在に装着可能であることをその要旨とする。
【0008】
なお、補助パネルは、ピンナップ機能、マーカ機能、マグネット機能、吸音機能の少なくとも1以上の機能を保有することができ、窓枠の前面側から着脱操作するための操作手段を備えることができる。
【0009】
請求項4、5の発明は、それぞれ請求項1、2の発明、請求項3の発明に係る窓装置を戸本体に組み込むことをその要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
かかる請求項1の発明の構成によるときは、透光性の板材は、窓枠とともに切窓としての採光機能を実現することができる。一方、窓枠の上下に形成する下向き、上向きの溝を利用してけんどん式に着脱自在に装着する補助パネルは、それ自体の構成により、画鋲により掲示物を掲示するピンナップ機能、水性マーカまたは油性マーカによる筆記・消去が可能なマーカ機能、磁石片による掲示物の固定が可能なマグネット機能、吸音材を組み込むことによる吸音機能などの任意の1以上の機能を保有させることができ、窓枠に装着する補助パネルを交換して取り替えることにより、多様な機能を容易に実現してコストパフォーマンスを高め、採用・導入の動機付けを最大限に向上させることができる。
【0011】
なお、透光性の板材は、普通ガラス板、フロストガラス板、型板ガラス板、すりガラス板、網入りガラス板などのガラス板の他、各種の透光性の合成樹脂板の単板または複合板であって、適度の透光性がある限り、無色または有色の透明または不透明の板材が使用可能である。また、補助パネルは、窓枠から取り外すと、それ自体の機能に応じて単独の掲示板や白板、吸音パネルなどとして使用可能である。
【0012】
補助パネルは、窓枠の前面側から着脱操作するために、任意の操作手段を設けることができる。たとえば、補助パネルの左右両側端縁に手掛け用の凹部を対称形に設けてもよく、補助パネルの任意の位置に指掛け用の小孔や凹部を形成してもよく、補助パネルの表面上に1~2個程度の適宜な摘みや把手などを付設してもよい。なお、窓枠に装着された補助パネルは、操作手段を含むそれ自体の一部または全部が窓枠の前面側に突出しないものとする。また、操作手段は、補助パネルを窓枠から取り外して単独使用する場合に支障ない形態を採用することが好ましい。
【0013】
請求項4、5の発明の構成によるときは、それぞれ請求項1、2の発明、請求項3の発明の効果をそのまま実現することができる。ただし、戸は、引戸、吊戸、折戸などの他、任意の形式のヒンジを介して開閉するドアを含むものとし、戸本体は、たとえばフラッシュ戸形式、鉄扉形式、木質の板戸形式などの任意の形式が使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0016】
戸は、窓装置10を戸本体20に組み込んでなる(
図1)。なお、以下の説明において、
図1の手前側を前、奥側を後というものとする。
【0017】
戸は、図示しない戸車を介し、上下のガイドレールR1 、R2 に沿って往復走行することにより、図示しない建築物や間仕切りなどの開口部を開閉することができる。戸の戸先側には、引手20aが付設され、戸先側、戸尻側の側端縁には、それぞれ縁材20bを介してクッション性のシール材が付設されている。
【0018】
戸本体20は、ペーパハニカムの芯材21の両面にそれぞれ表面材22を付設して、フラッシュ戸形式に形成されている(
図2、
図3)。なお、戸本体20は、フラッシュ戸形式以外の形式であってもよい。
【0019】
窓装置10は、長方形の窓枠11に透光性の板材12を装着して構成されている。板材12は、窓枠11の見込方向の中心Cより後面側に装着されており、クッション性の支持材12a、12aを介して下端を支持するとともに、シール材12b、緩衝テープ12cを介して四周が窓枠11に固定されている。また、板材12の左右の側端縁は、窓枠11側に固定するクッション材12d、12dにより保護されている。クッション材12dは、支持材12aと同一部材でもよい。
【0020】
窓枠11は、四周の短いタッピングねじ11c、11c…を介して連結する前枠11a、後枠11bを組み合わせて構成されている。前枠11aの上下には、それぞれ下向き、上向きの溝11d、11eが形成されており、下の溝11eの前壁11e1 は、上の溝11dの前壁11d1 より低く、下の溝11eは、上の溝11dより実質的に浅く形成されている。
【0021】
窓枠11を戸本体20に装着するときは、下の溝11e、前壁11e1 を形成する補助部材11fを前枠11aから取り外した状態で、まず、前枠11aを戸本体20の前面側から戸本体20の切窓用の開口部に嵌め込む。つづいて、戸本体20の後面側から後枠11bを前枠11aの後部に嵌め込み、前枠11a、後枠11bの全周の外フランジ11g、11hにより戸本体20を挟み込みながら、タッピングねじ11c、11c…を介して後枠11bを前枠11aに連結すると同時に両者を戸本体20に装着する。その後、支持材12a、12a、緩衝テープ12c、クッション材12dなどを介して板材12を所定位置に位置決めする。なお、支持材12a、クッション材12dは、それぞれ
図2、
図3の紙面に垂直方向に、タッピングねじ11cの頭部を避けながら断続的に配置するものとする。
【0022】
次に、前枠11aの補助部材11fを、溝11e内の止めねじ11f1 を介して固定する。ただし、
図2において、止めねじ11f1 は、複数本の1本のみが図示されている。その後、シール材12b、12b…を介して板材12の四周を固定すればよい。なお、戸本体20の開口部の周囲には、
図2、
図3に拘らず、窓枠11用の木質の取付枠が必要に応じて内装されているものとする。
【0023】
戸本体20に装着された窓枠11には、上下の溝11d、11eを介して補助パネルPを板材12の前面側に着脱自在に装着することができる。ただし、
図1の窓装置10は、補助パネルPが未装着の状態を図示している。
【0024】
補助パネルPは、窓枠11の内寸に適合するサイズであって(
図4)、左右の幅は、窓枠11の内幅よりやや小さく、高さは、上端部、下端部がそれぞれ上下の溝11d、11eに収納され、前壁11d1 、11e1 に係合して外れ止めされている(
図2、
図4)。なお、補助パネルPの左右の側端縁には、手掛け用の凹部P1 、P1 が着脱の際の操作手段として形成されている。
【0025】
補助パネルPは、窓枠11の上下の溝11d、11eに対し、左右の凹部P1 、P1 に手指を掛けて窓枠11の前面側からけんどん式に装着することができる(
図5)。
【0026】
補助パネルPの装着手順としては、まず、窓枠11の前面側から補助パネルPの上端を上の溝11d内に斜めに突き上げて挿入し(
図5の矢印K1 方向)、そのまま補助パネルPが窓枠11と平行になるように下部を窓枠11側に揺動させ(同図の矢印K2 方向)、全体を窓枠11と平行に移動させて下の溝11eの底部に下端を着地させればよい(同図の矢印K3 方向)。また、補助パネルPは、矢印K3 、K2 、K1 の順に逆方向に操作することにより、窓枠11から簡単に取り外すことができる。
【0027】
窓装置10は、補助パネルPを装着しないときは、透光性の板材12を介し、切窓としての採光機能を実現する。補助パネルPを装着すれば、補助パネルPが保有する機能に応じて、ピンナップ機能、マーカ機能、マグネット機能、吸音機能などの1または2以上の機能を実現することができる。また、補助パネルPは、窓枠11から取り外して単独で、保有する各機能を有効利用することもできる。
【0028】
なお、補助パネルPは、所定の機能を片面側でのみ発揮する片面形でもよく、各面で同一または異なる機能を発揮する両面形でもよい。たとえば、一面をマーカ機能用のホワイトボードにするとともに、他面を画鋲により掲示物を掲示するピンナップ機能用にしてもよく、両面ともにピンナップ機能用としてもよく、あるいは、一面をホワイトボードとし、他面を格別な機能がない単なるダミーの裏面としてもよい。さらに、補助パネルPは、その機能の一部または全部を内部に組み込んでもよく、1~2以上の任意の機能を任意に組み合わせて保有することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明は、一般の建築物の他、学校や事務所、病院、福祉施設などの室内空間を仕切る壁面や間仕切りなどに組み込む用途に対し、殊に好適に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
P…補助パネル
C…中心
11…窓枠
11d、11e…溝
12…板材
20…戸本体
特許出願人 小松ウオール工業株式会社