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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067943
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H02K3/28 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178377
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤枝(白波瀬) 真人
(72)【発明者】
【氏名】山田 識由
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 唱
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603BB07
5H603BB12
5H603CA01
5H603CB01
5H603CB24
5H603CC03
5H603CC07
5H603CC17
5H603CD02
5H603CD21
5H603CE02
(57)【要約】
【課題】各相巻線に並列経路を採用した場合であっても、絶縁性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】ステータは、複数のスロットを有するステータコアと、ステータコアに巻かれた複数の相巻線とを備えてもよい。複数の相巻線のそれぞれは、互いに並列に接続された2m個の並列経路を有し、2m個の並列経路のそれぞれは、単位コイル間隔で平角のコイル素線が巻かれたコイルを単位コイルとして、巻き始めの単位コイルである1番コイルから、巻き終わりの単位コイルである2n番コイルまでが、ステータコアの周方向に配置された分布巻き構造を有してもよい。複数の相巻線のそれぞれにおいて、2m個の並列経路の少なくとも一つの一番コイルのコイル素線が存在する最大4m個のスロットのそれぞれは、2m個の並列経路の2n番コイルの少なくとも一つのコイル素線が存在する最大4m個のスロットのいずれとも相違してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
前記ステータコアに巻かれた複数の相巻線と、を備え、
前記ステータコアは、周方向に沿って配列された複数のスロットを有し、
前記複数の相巻線のそれぞれは、互いに並列に接続された2m個の並列経路を有し、
前記2m個の並列経路のそれぞれは、予め定められた単位コイル間隔で平角のコイル素線が巻かれたコイルを単位コイルとして、巻き始めの単位コイルである1番コイルから、巻き終わりの単位コイルである2n番コイルまでが、前記ステータコアの前記周方向に予め定められた配列で配置された分布巻き構造を有し、
前記複数の相巻線のそれぞれにおいて、前記2m個の並列経路の少なくとも一つの前記1番コイルの前記コイル素線が存在する最大4m個のスロットのそれぞれは、前記2m個の並列経路の前記2n番コイルの少なくとも一つの前記コイル素線が存在する最大4m個のスロットのいずれとも相違する、
ステータ。
【請求項2】
前記複数の相巻線のそれぞれにおいて、
前記2m個の並列経路の各々の前記1番コイルの前記コイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つは、前記2m個の並列経路のいずれかの前記1番コイルの前記コイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つと同じであり、
前記2m個の並列経路の各々のn番コイルの前記コイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つは、前記2m個の並列経路のいずれかのn番コイルの前記コイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つと同じであり、
一つの前記2m個の並列経路の各々のn+1番コイルの前記コイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つは、前記2m個の並列経路のいずれかのn+1番コイルの前記コイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つと同じであり、
前記2m個の並列経路の各々の前記2n番コイルの前記コイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つは、前記2m個の並列経路のいずれかの前記2n番コイルの前記コイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つと同じである、
請求項1に記載のステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、電動機のステータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の排出ガス規制に伴い、ガソリン・ディーゼル自動車から、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気自動車などの電動車両への移行が各国で推進されている。この中でも、特に排出量の少ない燃料電池自動車・電気自動車が注目されている。しかしながら、燃料電池自動車・電気自動車は、ハイブリッド自動車の様に、走行時の駆動力をエンジン出力と電動機出力で分担することができず、すべての走行条件において、電動機のみの出力で賄う事が求められる。
【0003】
この結果、ハイブリッド自動車の電動機に比して、燃料電池自動車や電気自動車の電動機には大きな出力が必要とされる。同時に、少ない水素量、少ない充電回数でより長い距離を走行することが要求され、より小型軽量かつ高効率であることが求められる。電動機で大きな出力を得るためには、1)高回転化、2)高トルク化(大径化又は大積厚化)の二つが考えられるが、自動車の走行速度に鑑みれば、2)高トルク化が妥当である。また、車両サイズによって必要なトルクが異なる事に鑑みれば、断面形状が同一となることで、電磁鋼板プレス品を共通部品として使用できる「大積厚化」が製造上のコスト低減として有効であり、一般によく採用されている。一方で大積厚化が進行すると、以下の2つの問題が生じ得る。
【0004】
第一に、電動機を回生させた際に生じる誘起電圧は、積厚に比例して大きくなり、バッテリの直流電圧を交流電圧に変換して電動機を駆動する、インバータの出力電圧限界を上回ると、制御ができなくなる。これを回避するための手段として、図11に示すようにインバータの出力電圧限界を上回らないように、電動機内のコイルを一部並列接続に変更することで、直列接続数を変化させる必要がある。
【0005】
第二に、インバータのスイッチング時に電動機のコイル間に生じる最大電圧が、インバータのスイッチングの瞬間に生じるサージ電圧と呼ばれる過渡的な電圧上昇がより顕著になる事によって、大積厚化とともに増大する傾向にある。増大したコイル間の最大電圧が、コイルに使用されている導線間の耐圧を上回ると、部分放電と呼ばれる微弱な放電現象が生じ、導線表面の絶縁皮膜層を損傷し、最終的にはコイル間の短絡事故を生じる可能性がある。これを回避するためには、導線間の耐圧を増すために、絶縁皮膜層の厚みを大きくする必要があるが、同一出力に対して、皮膜層の厚み分だけ電動機が大型化することで、小型軽量化との両立が難しくなる。
【0006】
例えば、特許文献1には、電動機のステータが記載されている。このステータは、ステータコアと、ステータコアに巻かれた複数の相巻線とを備える。ステータコアは周方向に沿って配列された複数のスロットを有し、複数の相巻線の各々は、予め定められた単位コイル間隔で平角のコイル素線が巻かれたコイルを単位コイルとして、巻き始めの単位コイルである1番コイルから、巻き終わりの単位コイルである2n番コイルまでが、前記ステータコアの周方向に予め定められた配列で配置された分布巻き構造を有している。1番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つは、2n番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つと相違している。これにより、電位差の大きいコイル同士の接触が防止され、絶縁性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-016195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したステータに、並列結線を採用した場合、以下の二つの問題が生じ得る。第1に、図12図13に示すように、1番コイル(U1-1、U2-1)と2n番コイル(U1-8、U2-8)コイルとが同一のスロットに存在することになり、絶縁性の向上効果を得ることができない。第2に、1番コイル(U2-1)から最終コイル(U2-8)からなる並列経路は、互いに1スロット間隔だけずらして配置されている。そのため、図14に示すように、回転子の磁極によって発生する各並列経路の起電力は、1スロット間隔だけ発生タイミングが異なり、この並列結線部同士の起電力の差によって、並列結線部の間に循環電流が発生するおそれがある。
【0009】
本明細書は、以上のような課題に鑑みて、高出力の電気自動車用の電動機において、高積厚かつ並列結線条件においても、コイル間の最大電圧の増加を抑制し、小型軽量かつ絶縁信頼性の高い電動機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書が開示する技術は、ステータに具現化される。第1の態様では、ステータは、ステータコアと、ステータコアに巻かれた複数の相巻線と、を備えてもよい。ステータコアは、周方向に沿って配列された複数のスロットを有してもよい。複数の相巻線のそれぞれは、互いに並列に接続された2m個の並列経路を有してもよく、2m個の並列経路のそれぞれは、予め定められた単位コイル間隔で平角のコイル素線が巻かれたコイルを単位コイルとして、巻き始めの単位コイルである1番コイルから、巻き終わりの単位コイルである2n番コイルまでが、ステータコアの周方向に予め定められた配列で配置された分布巻き構造を有してもよい。複数の相巻線のそれぞれにおいて、2m個の並列経路の少なくとも一つの一番コイルのコイル素線が存在する最大4m個のスロットのそれぞれは、2m個の並列経路の2n番コイルの少なくとも一つのコイル素線が存在する最大4m個のスロットのいずれとも相違してもよい。
【0011】
上記した構成では、最も電位差の大きい1番コイルと2n番コイルが同一のスロット内に位置することがない。これにより、各相巻線に並列経路を採用した場合であっても、絶縁性が向上される。
【0012】
第2の態様では、上記した第1の態様において、複数の相巻線のそれぞれでは、2m個の並列経路の各々の1番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つは、2m個の並列経路のいずれかの1番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つと同じであってもよい。さらに、2m個の並列経路の各々のn番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つは、2m個の並列経路のいずれかのn番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つと同じであってもよい。さらに、一つの2m個の並列経路の各々のn+1番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つは、2m個の並列経路のいずれかのn+1番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つと同じであってもよい。さらに、2m個の並列経路の各々の2n番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つは、2m個の並列経路のいずれかの2n番コイルのコイル素線が存在する二つのスロットのうちの一つと同じであってもよい。この構成によれば、各相巻線において、2m個の1番コイル同士と、2m個の2n番コイル同士と、が同じスロットに収容され、電位差を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1のステータの構成を示す。
図2】実施例1のコイル素線同士の結線の構成を示す。
図3】実施例2のステータの構成を示す。
図4】実施例2のコイル素線同士の結線の構成を示す。
図5】実施例3のステータの構成を示す。
図6】実施例3のコイル素線同士の結線の構成を示す。
図7】実施例4のステータの構成を示す。
図8】実施例4のコイル素線同士の結線の構成を示す。
図9】実施例5のステータの構成を示す。
図10】実施例5のコイル素線同士の結線の構成を示す。
図11】従来技術について説明する図。
図12】特許文献1に記載のステータに並列接続を採用した構成を示す。
図13図12の実施形態のコイル素線同士の結線の構成を示す。
図14図12の実施形態の各並列経路における起電力を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)図1図2を参照して実施例1のステータ10を説明する。図1に示すように、ステータ10は、ステータコア12と、ステータコア12に巻かれた複数の相巻線14、16、18とを備える。ステータ10は、例えば車両用の三相電動機に用いられ、複数の相巻線14、16、18は、U相巻線14、V相巻線16、及びW相巻線18といった三相巻線を含む。図2に示すように、ステータコア12は、複数(本実施例では48個)のスロット12sを有する。複数のスロット12sは、ステータコア12の周方向に沿って配列されている。複数のスロット12sは、ステータコア12の径方向に沿って延びている。
【0015】
次いで、U相巻線14の構成の詳細について説明する。なお、V相巻線16及びW相巻線18は、U相巻線14と同様に構成されることができるため、V相巻線16及びW相巻線18に関しての、詳細な説明は省略する。
【0016】
U相巻線14は、互いに並列に接続された例えば2個の並列経路U1、U2を有する。但し、U相巻線14に含まれる並列経路の数は、2個に限定されず、偶数(2m)個の並列経路を有していればよい。U相巻線14の2個の並列経路U1、U2は、第1並列経路U1及び第2並列経路U2を含む。U相巻線14の各並列経路U1、U2は、分布巻き構造を有する。U相巻線14の各並列経路U1、U2は、例えば8個の単位コイルを有する。但し、各並列経路U1、U2の単位コイル数は、8個に限定されず、偶数(2n)個であればよい。また、U相巻線14の各並列経路U1、U2は、予め定められた単位コイル間隔で平角のコイル素線が巻回されている。各並列経路U1、U2は、例えば6スロット間隔でコイル線が巻回されている。
【0017】
U相巻線14の第1並列経路U1は、巻き初めの単位コイルである1番コイル(U1-1)から始まり、2番コイル(U1-2)、3番コイル(U1-3)、・・・と順に続き、巻き終わりの単位コイルである8番コイル(U1-8)までが、例えば時計回りに順に配列されている。U相巻線14の第2並列経路U2も同様に、巻き初めの単位コイルである1番コイル(U2-1)から始まり、2番コイル(U2-2)、3番コイル(U2-3)、・・・と続き、巻き終わりの単位コイルである8番コイル(U2-8)までが、例えば時計回りに順に配列されている。但し、U相巻線14の各並列経路U1、U2における8個の単位コイルは、時計回りの順番に限定されず、ステータコア12の周方向に予め限定された配列で配置されていればよい。
【0018】
図1図2から理解されるように、U相巻線14において、第1並列経路U1の1番コイル(U1-1)のコイル素線が存在する2個のスロット12s(5番と47番のスロット)は、第1並列経路U1の8番コイル(U1-8)のコイル素線が存在する2個のスロット12s(6番及び12番のスロット)と、第2並列経路U2の8番コイル(U2-8)コイル素線が存在する2個のスロット12s(6番と48番のスロット)とのいずれとも相違する。さらに、U相巻線14において、第2並列経路U2の1番コイル(U2-1)のコイル素線が存在する2個のスロット12s(5番と11番のスロット)も、第1並列経路U1の8番コイル(U1-8)のコイル素線が存在する2個のスロット12s(6番及び12番のスロット)と、第2並列経路U2の8番コイル(U2-8)コイル素線が存在する2個のスロット12s(6番と48番のスロット)とのいずれとも相違する。
【0019】
上記した構成では、U相巻線14の各並列経路U1、U2における最も電位差の大きい1番コイル(U1-1、U2-1)と8番コイル(U1-8、U2-8)とが同一のスロット12s内に位置することがない。同じことが、U相巻線14と同様の構成を有するV相巻線16及びW相巻線18についても言うことができる。これにより、各相巻線14、16、18に並列経路を採用した場合であっても、絶縁性が向上される。
【0020】
また、実施例1におけるステータ10では、U相巻線14において、第1並列経路U1の1番コイル(U1-1)のコイル素線が存在する二つのスロット12sのうちの一つは、第2並列経路U2の1番コイル(U2-1)のコイル素線が存在する二つのスロット12sのうちの一つと同じである。また、U相巻線14において、第1並列経路U1の8番コイル(U1-8)のコイル素線が存在する二つのスロット12sのうちの一つは、第2並列経路U2の8番コイル(U2-8)のコイル素線が存在する二つのスロット12sのうちの一つと同じである。さらに、U相巻線14において、第1並列経路U1の4番コイル(U1-4)のコイル素線が存在する二つのスロット12sのうちの一つは、第2並列経路U2の4番コイル(U2-4)のコイル素線が存在する二つのスロット12sのうちの一つと同じである。さらに、U相巻線14において、第1並列経路U1の5番コイル(U1-5)のコイル素線が存在する二つのスロット12sのうちの一つは、第2並列経路U2の5番コイル(U2-5)のコイル素線が存在する二つのスロット12sのうちの一つと同じである。同じことが、U相巻線14と同様の構成を有するV相巻線16及びW相巻線18についても言うことができる。これにより、各相巻線14、16、18において、2個の1番コイル同士(U1-1、U2-1)と、2個の8番コイル同士(U1-8、U2-8)と、が同じスロット12sに収容され、電位差を最小化することができる。
【0021】
(実施例2)図3図4を参照して、実施例2のステータ110について説明する。図3図4に示されるように、実施例2のステータ110は、実施例1のステータ10に対し、U相巻線14の各並列経路U1、U2における8個の単位コイルの配列が異なる。しかしながら、実施例2の配列であっても、ステータ110は、U相巻線14の各並列経路U1、U2における最も電位差の大きい1番コイル(U1-1、U2-1)と8番コイル(U1-8、U2-8)とが同一のスロット12s内に位置することがないように構成されている。これにより、各相巻線14、16、18に並列経路を採用した場合であっても、絶縁性が向上される。なお、単位コイルの配列以外に関しては、実施例2のステータ110は、実施例1のステータ10と同様に構成することができる。
【0022】
(実施例3)図5図6を参照して、実施例3のステータ210について説明する。図5図6に示されるように、実施例3のステータ210は、実施例1のステータ10及び実施例2のステータ110に対し、U相巻線14の各並列経路U1、U2における8個の単位コイルの配列が異なる。しかしながら、実施例3の配列であっても、ステータ210は、U相巻線14の各並列経路U1、U2における最も電位差の大きい1番コイル(U1-1、U2-1)と8番コイル(U1-8、U2-8)とが同一のスロット12s内に位置することがないように構成されている。これにより、各相巻線14、16、18に並列経路を採用した場合であっても、絶縁性が向上される。なお、単位コイルの配列以外に関しては、実施例3のステータ210は、実施例1のステータ10と同様に構成することができる。
【0023】
(実施例4)図7図8を参照して実施例4のステータ310について説明する。図7図8に示されるように、実施例4のステータ310は、実施例1のステータ10に対し、U相巻線14の各並列経路U1、U2における8個の単位コイルの配列が異なる。なお、単位コイルの配列以外に関しては、実施例4のステータ310は、実施例1のステータ10と同様に構成することができる。
【0024】
実施例4の配列であっても、ステータ310は、U相巻線14の各並列経路U1、U2における最も電位差の大きい1番コイル(U1-1、U2-1)と8番コイル(U1-8、U2-8)とが同一のスロット12s内に位置することがないように構成されている。これにより、各相巻線14、16、18に並列経路を採用した場合であっても、絶縁性が向上される。
【0025】
さらに、実施例4の配列は、各相巻線14、16、18において、2個の1番コイル同士(U1-1、U2-1)と、2個の8番コイル同士(U1―8、U2-8)とが同じスロット12sに収容される。この場合、各相巻線14、16、18において、2個の4番コイル同士と、2個の5番コイル同士とにおいても、同じスロット12sに収容される。上記した構成によると、電位差は最小化される。
【0026】
上述した実施例1、2、3、4におけるステータ10、110、210、310では、各相巻線14、16、18の並列経路の数が2個の場合の実施形態を説明したが、以下に、並列経路の数が異なる場合の実施形態について示す。
【0027】
(実施例5)図9、10を参照して、実施例5のステータ410について説明する。図9、10に示すように、実施例5のステータ410は、各相巻線14、16、18が、実施例1から4とは異なり、4個の並列経路U1、U2、U3、U4を有する。加えて、ステータ410は、各並列経路U1、U2、U3、U4が、4個の単位コイルを有し、この点に関しても、実施例5のステータ410は、実施例1、2、3、4のステータ10、110、210、310とは異なっている。なお、他の構成に関しては、実施例5のステータ410は、実施例1のステータ10と同様に構成することができる。
【0028】
実施例5のステータ410であっても、U相巻線14の各並列経路U1、U2、U3、U4における最も電位差の大きい1番コイル(U1-1、U2-1、U3―1、U4―1)と4番コイル(U1-4、U2-4、U3―4、U4-4)とが同一のスロット12s内に位置することがないように構成されている。これにより、各相巻線14、16、18に並列経路を採用した場合であっても、絶縁性が向上される。
【0029】
さらに、実施例5のステータ410は、U相巻線14の第1並列経路U1、第2並列経路U2、第3並列経路U3、第4並列経路U4の4個の並列経路U1、U2、U3、U4に関して、次の構成を満たす。第1並列経路U1及び第2並列経路U2について、第1コイル同士(U1-1、U2-1)と、第4コイル同士(U1-4、U2-4)とが同じスロット12sに収容されている。第3並列経路U3及び第4並列経路U4について、第1コイル同士(U3-1、U4-1)と、第4コイル同士(U3-4、U4-4)とが同じスロット12sに収容されている。この場合、第1並列経路U1及び第3並列経路U3について、第2コイル同士(U1-2、U3-2)と、第3コイル同士(U1-3、U3―3)とが同じスロット12sに収容されており、第2並列経路U2及び第4並列経路U4について、第2コイル同士(U2-2、U4-2)と、第4コイル同士(U2-3、U4-3)とが同じスロット12sに収容されている。上記した構成によると、電位差は最小化される。
【符号の説明】
【0030】
10、110、210、310、410:ステータ、12:ステータコア、12s:ステータコア、14:U相巻線、16:V相巻線、18:W相巻線、U1、U2:並列経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
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