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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067959
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/588 20210101AFI20240510BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/569 20210101ALN20240510BHJP
【FI】
H01M50/588 101
H01M50/298
H01M50/507
H01M50/209
H01M50/342 101
H01M50/591
H01M50/204 401D
H01M50/569
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178408
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】316014102
【氏名又は名称】株式会社ブルーエナジー
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】歳岡 芳昌
(72)【発明者】
【氏名】中村 寛望
(72)【発明者】
【氏名】望月 亮太
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB02
5H012FF01
5H040AA18
5H040AS01
5H040AS04
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY10
5H040DD03
5H040NN03
5H043AA04
5H043AA17
5H043BA11
5H043CA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安全性が向上した蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置は、蓄電素子列10と、1以上の電線500a、500bを保持する第一保持部材410、及び、電線を保持しないカバー部材450と、を備える。第一保持部材は、蓄電素子列のZ軸プラス方向に配置される。カバー部材は、蓄電素子列のZ軸プラス方向に配置され、かつ、少なくとも2つの蓄電素子100の一部を覆う。複数の蓄電素子のそれぞれは、Z軸プラス方向に配置された第一端子141及びガス排出弁131を有する。カバー部材は、Z軸プラス方向から見た場合、複数のガス排出弁と複数の第一端子との間の第一領域810に位置する。第一保持部材は、複数のガス排出弁を挟んで第一領域とは反対側の第二領域820に位置する。カバー部材は、少なくとも2つの蓄電素子とZ軸方向で対向する第一壁部を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に並んで配置された複数の蓄電素子を有する蓄電素子列と、
1以上の電線を保持する第一保持部材、及び、電線を保持しないカバー部材と、を備え、
前記第一保持部材は、前記蓄電素子列の、前記第一方向と交差する第二方向の一方側に配置され、
前記カバー部材は、前記蓄電素子列の前記第二方向の一方側に配置され、かつ、前記複数の蓄電素子の内の少なくとも2つの蓄電素子の一部を覆い、
前記複数の蓄電素子のそれぞれは、前記第二方向の一方側に配置された端子及びガス排出弁を有し、
前記カバー部材は、前記第二方向の一方側から見た場合、複数の前記ガス排出弁と複数の前記端子との間の第一領域に位置し、
前記第一保持部材は、前記第二方向の一方側から見た場合、前記複数の前記ガス排出弁を挟んで前記第一領域とは反対側の第二領域に位置し、
前記カバー部材は、前記少なくとも2つの蓄電素子と前記第二方向で対向する第一壁部を有する、
蓄電装置。
【請求項2】
前記カバー部材はさらに、前記第一壁部から前記第二方向に沿って延びる第二壁部を有する
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第一壁部は、前記カバー部材における前記第二方向の一方側に位置し、
前記第二壁部は、前記第一壁部から前記第二方向の他方側に延びて設けられており、
前記カバー部材はさらに、前記第一壁部に接続され、かつ、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向で前記第二壁部と対向する姿勢で配置された第三壁部を有する、
請求項2記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第一壁部は、前記カバー部材において、前記第一方向で間隔をあけて複数配置されている、
請求項3記載の蓄電装置。
【請求項5】
さらに、前記蓄電素子列の前記第二方向の一方側に配置され、かつ、前記1以上の電線を保持する第二保持部材を備え、
前記第二保持部材は、前記第二方向の一方側から見た場合、前記第一領域に位置し、かつ、前記第一方向で前記カバー部材と隣り合う位置に配置されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
さらに、前記複数の蓄電素子のうちの2以上の前記蓄電素子の前記端子に接合されたバスバーと、前記バスバーを保持するバスバーホルダとを備え、
前記カバー部材は、前記バスバーホルダと離間して配置されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子を有する蓄電素子列を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、単電池を複数並べてなる単電池群と、単電池群に取り付けられた配線モジュールと、を備える電池モジュールが開示されている。配線モジュールは、バスバーを保持する絶縁材料からなる絶縁プロテクタを備える。絶縁プロテクタには、複数のバスバー保持部が2列に並んで設けられており、これらの2列のバスバー保持部の間には電線を収容するための一対の電線収容溝が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-122577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電池モジュール(蓄電装置)において、絶縁プロテクタには、2列のバスバー保持部の間に電線を収容するための一対の(つまり2列の)電線収容溝が設けられている。これら2列の電線収容溝には、バスバー及び温度検出素子のそれぞれに接続された電線が収容される。このような構成において、蓄電装置の外装体の内部空間を効率よく使用する、という観点からは、2列の電線保持部材ではなく1列の電線保持部材に複数の電線をまとめて保持させることが好ましい。しかしながらこの場合は、複数の蓄電素子において、電線保持部材で覆われない領域が増え、その結果、人の指が蓄電素子に触れやすくなるという問題が生じる。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、安全性が向上された蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、第一方向に並んで配置された複数の蓄電素子を有する蓄電素子列と、1以上の電線を保持する第一保持部材、及び、電線を保持しないカバー部材と、を備え、前記第一保持部材は、前記蓄電素子列の、前記第一方向と交差する第二方向の一方側に配置され、前記カバー部材は、前記蓄電素子列の前記第二方向の一方側に配置され、かつ、前記複数の蓄電素子の内の少なくとも2つの蓄電素子の一部を覆い、前記複数の蓄電素子のそれぞれは、前記第二方向の一方側に配置された端子及びガス排出弁を有し、前記カバー部材は、前記第二方向の一方側から見た場合、複数の前記ガス排出弁と複数の前記端子との間の第一領域に位置し、前記第一保持部材は、前記第二方向の一方側から見た場合、前記複数の前記ガス排出弁を挟んで前記第一領域とは反対側の第二領域に位置し、前記カバー部材は、前記少なくとも2つの蓄電素子と前記第二方向で対向する第一壁部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安全性が向上された蓄電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る蓄電装置の構成を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る蓄電素子列及び配線ユニットの構成を示す斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る蓄電素子列の分解斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る蓄電素子の構成を示す斜視図である。
図5図5は、実施の形態に係る配線ユニットの分解斜視図である。
図6図6は、実施の形態に係る配線ユニット及びその周辺の構成を模式的に示す平面図である。
図7図7は、実施の形態に係る配線ユニットの一部の外観を示す斜視図である。
図8図8は、実施の形態に係るカバー部材の第一壁部及び第三壁部を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明の一態様に係る蓄電装置は、第一方向に並んで配置された複数の蓄電素子を有する蓄電素子列と、1以上の電線を保持する第一保持部材、及び、電線を保持しないカバー部材と、を備え、前記第一保持部材は、前記蓄電素子列の、前記第一方向と交差する第二方向の一方側に配置され、前記カバー部材は、前記蓄電素子列の前記第二方向の一方側に配置され、かつ、前記複数の蓄電素子の内の少なくとも2つの蓄電素子の一部を覆い、前記複数の蓄電素子のそれぞれは、前記第二方向の一方側に配置された端子及びガス排出弁を有し、前記カバー部材は、前記第二方向の一方側から見た場合、複数の前記ガス排出弁と複数の前記端子との間の第一領域に位置し、前記第一保持部材は、前記第二方向の一方側から見た場合、前記複数の前記ガス排出弁を挟んで前記第一領域とは反対側の第二領域に位置し、前記カバー部材は、前記少なくとも2つの蓄電素子と前記第二方向で対向する第一壁部を有する。
【0010】
この構成によれば、第二方向の一方側から見た場合、蓄電素子列における複数のガス排出弁(排出弁列)と複数の端子(端子列)との間の第一領域にカバー部材が配置され、排出弁列を挟んで第一領域とは反対側の第二領域に1以上の電線を保持する第一保持部材が配置される。カバー部材は、2以上の蓄電素子と対向する第一壁部を有している。従って、第一領域において、人の指が、当該2以上の蓄電素子の第二方向の側面に触れ難くなる。さらに、第二領域では、1以上の電線の保持の役割を担う第一保持部材が、人の指を蓄電素子に触れ難くする役割も果たすことができる。このように、本態様に係る蓄電装置によれば、安全性が向上されている。
【0011】
(2)上記(1)に記載の蓄電装置において、前記カバー部材はさらに、前記第一壁部から前記第二方向に沿って延びる第二壁部を有する、としてもよい。
【0012】
この構成によれば、カバー部材は、互いに異なる方向に広がる第一壁部及び第二壁部を有している。これにより、カバー部材の機械的な強度が向上し、その結果、製造時または使用時におけるカバー部材の歪みまたは撓みが抑制される。
【0013】
(3)上記(2)に記載の蓄電装置において、前記第一壁部は、前記カバー部材における前記第二方向の一方側に位置し、前記第二壁部は、前記第一壁部から前記第二方向の他方側に延びて設けられており、前記カバー部材はさらに、前記第一壁部に接続され、かつ、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向で前記第二壁部と対向する姿勢で配置された第三壁部を有する、としてもよい。
【0014】
この構成によれば、カバー部材は、蓄電素子列に対向する第一壁部と、第一壁部及び蓄電素子列の間に位置し、かつ、第三方向で互いに対向する第二壁部及び第三壁部とによって立体的に構成された部分を有している。これにより、第一壁部は、蓄電素子列から離れた位置で、人の指の、蓄電素子列に近づく方向の移動を抑制できる。従って、人の指と蓄電素子との接触が、より確実に抑制される。
【0015】
(4)上記(3)に記載の蓄電装置において、前記第一壁部は、前記カバー部材において、前記第一方向で間隔をあけて複数配置されている、としてもよい。
【0016】
この構成によれば、第二壁部及び第三壁部とともに立体構造を形成する第一壁部が、第一方向で間隔をあけて複数配置される。これにより、他の部材の第一方向における配置位置の基準として、または、カバー部材の第一方向における配置位置の基準または目印として、少なくとも1つの第一壁部を利用できる。
【0017】
(5)上記(1)から(5)のいずれかひとつに記載の蓄電装置は、さらに、前記蓄電素子列の前記第二方向の一方側に配置され、かつ、前記1以上の電線を保持する第二保持部材を備え、前記第二保持部材は、前記第二方向の一方側から見た場合、前記第一領域に位置し、かつ、前記第一方向で前記カバー部材と隣り合う位置に配置されている、としてもよい。
【0018】
この構成によれば、第一領域におけるカバー部材が配置されていない範囲に、1以上の電線を保持する第二保持部材が配置される。これにより、当該範囲において、第二保持部材による、人の指と蓄電素子との接触抑制効果が得られる。
【0019】
(6)上記(1)から(6)のいずれかひとつに記載の蓄電装置は、さらに、前記複数の蓄電素子のうちの2以上の前記蓄電素子の前記端子に接合されたバスバーと、前記バスバーを保持するバスバーホルダとを備え、前記カバー部材は、前記バスバーホルダと離間して配置されている、としてもよい。
【0020】
この構成によれば、カバー部材の配置位置、サイズまたは形状を、バスバーホルダの配置位置、サイズまたは形状によらず、保護すべき範囲(人の指の通過を避けたい範囲)に適した配置位置、サイズまたは形状にできる。
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0022】
以下の説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の端子の並び方向、または、蓄電素子の容器における一対の短側面の対向方向を、X軸方向と定義する。蓄電素子の容器における一対の長側面の対向方向、蓄電素子の容器の厚み方向(扁平方向)、蓄電素子列が有する複数の蓄電素子若しくは複数のスペーサの並び方向、または、蓄電素子列が有する蓄電素子とスペーサとの並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電素子の端子の突出方向、蓄電素子の容器本体と蓋板との並び方向、ケースのケース本体と蓋体との並び方向、蓄電素子列と配線ユニットとの並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0023】
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。単にX軸方向という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の双方向またはいずれか一方の方向を示す。X軸方向の一方側及び他方側という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向のうちの一方及び他方を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。平行及び直交等の、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交するとは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0024】
(実施の形態)
[1.蓄電装置の全般的な説明]
まず、本実施の形態に係る蓄電装置1の概略構成について説明する。図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の構成を示す斜視図である。図1では、蓄電装置1において、ケース本体310から蓋体320を取り外し、かつ、蓄電素子列10及び配線ユニット400をケース本体310から取り出した状態を示している。図2は、実施の形態に係る蓄電素子列10及び配線ユニット400の構成を示す斜視図である。図2では、蓄電素子列10から配線ユニット400を分離した状態を示している。図1及び図2では、配線ユニット400から一部が引き出されて配置された1以上の電線500(図5等を用いて後述)の図示は省略されている。図3は、実施の形態に係る蓄電素子列10の分解斜視図である。図3では、蓄電素子列10が有する構成要素を配列方向(Y軸方向)で分解し、そのうちの4つの蓄電素子100及び7つのスペーサ200が図示されている。図1図2、及び後述する図5では、電線保持部材401とバスバーホルダ480とを接続する接続部490の図示は省略されている。接続部490については図6を用いて後述する。
【0025】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる装置である。蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される。蓄電装置1は、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及び、化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置1は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0026】
図1に示すように、蓄電装置1は、蓄電素子列10と、配線ユニット400と、蓄電素子列10及び配線ユニット400を収容するケース300と、を備えている。蓄電装置1は、外部の装置と電気的に接続するための外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)等も備えているが、それらの図示及び説明は省略する。蓄電装置1は、上記の構成要素の他、蓄電素子列10の充電状態及び放電状態等を監視または制御する回路基板及びリレー等の電気機器を備えていてもよい。
【0027】
蓄電素子列10は、複数の蓄電素子100を有する電池モジュール(組電池)である。蓄電素子列10は、複数の蓄電素子100が、スペーサ200と交互にY軸方向(第一方向)に並べられることで、Y軸方向に長い略直方体形状を有している。蓄電素子列10は、複数の蓄電素子100と、複数のスペーサ200(200a、200b及び200c)と、を有している。蓄電素子列10に含まれる複数の蓄電素子100は、複数のバスバー380(図5を用いて後述)によって電気的に接続されている。本実施の形態では、複数のバスバー380は、配線ユニット400の一部であるバスバーホルダ480に保持されている。本実施の形態において、蓄電素子列10は、複数の蓄電素子100及びスペーサ200をY軸方向で拘束する拘束部材(エンドプレート及びサイドプレート等)を備えていない非拘束タイプのモジュールである。蓄電素子列10は、拘束部材によってY軸方向で拘束されていてもよい。
【0028】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電できる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、Y軸方向に扁平な直方体形状(角形、角型)を有している。本実施の形態では、複数の蓄電素子100がY軸方向に並んで配列されているが、配列される蓄電素子100の個数は特に限定されず、1個でもよいし、数十個でもよいし、それ以上でもよい。蓄電素子100の大きさ及び形状も特に限定されず、長円柱形状、楕円柱形状、円柱形状、直方体以外の多角柱形状等でもよい。蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、二次電池ではなく、一次電池であってもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子100は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。
【0029】
スペーサ200は、Y軸方向において蓄電素子100と並んで配置され、蓄電素子100と他の部材とを絶縁及び/または断熱する、Y軸方向に扁平な部材である。スペーサ200は、蓄電素子100のY軸プラス方向またはY軸マイナス方向に配置されて、蓄電素子100同士または蓄電素子100とケース300とを絶縁及び/または断熱する絶縁板または断熱板である。スペーサ200は、蓄電素子100のX軸方向両側及びZ軸方向両側に壁部を有することで、蓄電素子100を保持し、蓄電素子100の位置決めを行うホルダの機能を有している。
【0030】
スペーサ200は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、マイカ等の断熱性を有する部材等により形成されている。
【0031】
全てのスペーサ200(スペーサ200a、200b及び200c)が同じ材質の部材で形成されていてもよいし、いずれかのスペーサ200が異なる材質の部材で形成されていてもよい。
【0032】
以下では、蓄電素子列10のY軸方向中央位置(中央位置の2つの蓄電素子100の間)に配置されるスペーサ200を、スペーサ200bとも称する。蓄電素子列10のY軸方向両端部(端部の蓄電素子100とケース300との間)に配置されるスペーサ200を、スペーサ200cとも称する。スペーサ200bとスペーサ200cとの間(中央位置以外の2つの蓄電素子100の間)に配置されるスペーサ200を、スペーサ200aとも称する。
【0033】
図3に示すように、スペーサ200aは、スペーサ200aのY軸方向両側に配置される2つの蓄電素子100のX軸方向両側及びZ軸方向両側に壁部を有し、当該2つの蓄電素子100を保持する中間スペーサ(中間ホルダ)である。同様に、スペーサ200bは、スペーサ200bのY軸方向両側に配置される2つの蓄電素子100のX軸方向両側及びZ軸方向両側に壁部を有し、当該2つの蓄電素子100を保持するセンタースペーサ(センタープレートまたはセンターホルダ)である。スペーサ200bは、Y軸方向に長い蓄電素子列10の剛性を高める機能を有している。スペーサ200cは、スペーサ200cのY軸プラス方向またはY軸マイナス方向に配置される1つの蓄電素子100のX軸方向両側及びZ軸方向両側に壁部を有し、当該1つの蓄電素子100を保持するエンドスペーサ(エンドホルダ)である。
【0034】
これら複数のスペーサ200のそれぞれは、Y軸方向で蓄電素子100と対向するスペーサ本体210と、スペーサ本体210のZ軸プラス方向の端部に設けられた一対の突出部250とを有する。一対の突出部250のそれぞれは、スペーサ本体210からZ軸プラス方向に突出しており、かつ、互いにX軸方向に離間して配置されている。蓄電素子列10において、複数のスペーサ200がY軸方向に並べられていることで、複数のスペーサ200の一対の突出部250は、図2に示すように、Y軸方向で連結される。その結果、Y軸方向で連結された複数の突出部250によって、X軸方向で互いに離間する壁部250A及び壁部250Bが形成される。壁部250A及び250Bに含まれる複数の突出部250のそれぞれは、図2に示すように、X軸方向に突出する突起254を有している。これら複数の突起254のうちの1以上の突起254が、配線ユニット400の一部に引っかけられることで、配線ユニット400は蓄電素子列10に対して取り付けられる。
【0035】
ケース300は、蓄電装置1の外装体(外殻)を構成する略直方体形状(箱形)の容器である。ケース300は、蓄電素子列10の外方に配置され、蓄電素子列10を所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。ケース300は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材によって形成された金属ケースである。本実施の形態では、ケース300は、アルミニウムのダイカスト(アルミダイカスト)により形成されている。ケース300は、蓄電素子列10が有するスペーサ200に使用可能ないずれかの樹脂材料等の絶縁性を有する部材で形成されていてもよい。
【0036】
図1に示すように、ケース300は、ケース300の本体を構成するケース本体310と、ケース300の開口310aを塞ぐ蓋体320と、を有している。ケース本体310は、Z軸プラス方向に開口310aが形成されたハウジング(筐体)である。ケース本体310は、配線ユニット400が取り付けられた蓄電素子列10を収容する。蓋体320は、ケース本体310の開口310aを塞ぐ扁平な矩形状の部材である。ケース本体310には、開口310aから蓄電素子列10が挿入された後に、ケース本体310と蓋体320とが、ボルト等によるネジ止め、溶接、接着等によって接合される。
【0037】
蓋体320には、図1に示すようにガス排出口321が設けられている。蓄電素子列10に含まれるいずれかの蓄電素子100からガスが排出された場合、そのガスはガス排出口321を介してケース300の外部に排出される。ガス排出口321は、蓋体320ではなくケース本体310に形成されていてもよい。
【0038】
ケース本体310または蓋体320には、外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)が配置された端子台が取り付けられていてもよい。
【0039】
配線ユニット400は、1以上の電線500を保持する電線保持部材401とカバー部材450とを備える。配線ユニット400は、Z軸方向において蓄電素子列10と対向して配置されている。より詳細には、配線ユニット400は、蓄電素子列10のZ軸プラス方向において蓄電素子列10と対向している。電線保持部材401は、第一保持部材410、第二保持部材420、及び第三保持部材430を有する。図1及び図2に示すように、第一保持部材410は、蓄電素子列10のY軸マイナス方向の端部(Y軸方向の一端部)から、Y軸プラス方向の端部(Y軸方向の他端部)に向けて延びている。第二保持部材420は、蓄電素子列10のY軸方向の他端部からY軸方向の一端部に向けて延びている。第三保持部材430は、第一保持部材410と第二保持部材420とをX軸方向で接続している。本実施の形態では、電線保持部材401は、第一保持部材410、第二保持部材420及び第三保持部材430を一体に有している。しかし、それぞれが別体である、第一保持部材410、第二保持部材420、及び第三保持部材430が組み合わされることで電線保持部材401が構成されてもよい。
【0040】
カバー部材450は、Y軸方向に並ぶ少なくとも2つの蓄電素子100の一部を覆う部材である。具体的には、Z軸プラス方向から見た場合における蓄電素子列10の一部であって、電線保持部材401で覆われていない範囲内の一部がカバー部材450によって覆われる。これにより、人の指が、蓄電素子列10に含まれる複数の蓄電素子100に触れ難くなる。
【0041】
より具体的には、カバー部材450は、X軸方向において第一保持部材410と対向する位置に配置されている。配線ユニット400はさらに、X軸方向において第二保持部材420に対向する位置に配置されたカバー部材470を備えている。カバー部材470も、カバー部材450と同じく、Z軸プラス方向から見た場合における蓄電素子列10の一部を覆うように配置されている。これにより、人の指を、蓄電素子列10に含まれる複数の蓄電素子100に触れ難くすることができる。
【0042】
本実施の形態において、配線ユニット400はさらに、複数のバスバー380を保持するバスバーホルダ480を有している。バスバーホルダ480と、カバー部材450及び470、並びに、電線保持部材401とは、互いに離間して配置されており、かつ、複数の接続部490(図1及び図2に図示せず)によって接続されている。接続部490は、バスバーホルダ480及びカバー部材450の一方から他方に渡されていることで、互いに離間するバスバーホルダ480とカバー部材450とが接続される。これにより、バスバーホルダ480及びカバー部材450の一方は他方を支持できる。バスバーホルダ480と電線保持部材401との関係、及び、バスバーホルダ480とカバー部材470との関係も同じである。
【0043】
配線ユニット400はさらに、X軸方向で対向する位置にある電線保持部材401とカバー部材450及び470のそれぞれとを接続する接続部492を有している。従って、本実施の形態に係る配線ユニット400において、電線保持部材401、カバー部材450及び470、並びに、バスバーホルダ480は、複数の接続部490及び492によって連結されている。言い替えると、配線ユニット400は、電線保持部材401、カバー部材450及び470、並びに、バスバーホルダ480を一体に備える部材である。接続部490及び492のそれぞれは、例えば「ステム」、「アーム」、または「支持部」等と呼ばれる場合もある。
【0044】
配線ユニット400を形成する材料としては、スペーサ200を形成する材料である、PC、PP、PE、PS、または、PPSなど絶縁材料が例示される。配線ユニット400及びその周辺の構成の詳細については、図5図10を用いて後述する。
【0045】
[2.蓄電素子の説明]
次に、蓄電素子100の構成について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態に係る蓄電素子100の構成を示す斜視図である。図4に示すように、蓄電素子100は、容器110と、一対(正極及び負極)の端子140と、を有している。容器110の内方には、電極体と、一対(正極及び負極)の集電体と、電解液(非水電解質)とが収容され、端子140及び集電体と容器110との間にはガスケットが配置されているが、これらの図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。ガスケットは、絶縁性を有していればどのような素材で形成されていてもよい。蓄電素子100は、上記の構成要素の他、電極体の側方に配置されるスペーサ、電極体等を包み込む絶縁フィルム、及び、容器110の外面を覆う絶縁フィルム(シュリンクチューブ等)等を有していてもよい。
【0046】
本実施の形態では、X軸方向に並ぶ一対の端子140を区別する場合、X軸プラス方向の端子140を第一端子141と称し、X軸マイナス方向の端子140を第二端子142と称する。さらに、端子140の極性を区別する場合、負極の端子140を負極端子140aと称し、正極の端子140を正極端子140bと称する。すなわち、図4に示す蓄電素子100において、第一端子141は正極端子140bであり、第二端子142は負極端子140aである。蓄電素子列10が有する複数の蓄電素子100は、全て同様の構成を有する。ただし、第一端子141が正極端子140b(第二端子142が負極端子140a)である蓄電素子100と、第一端子141が負極端子140a(第二端子142が正極端子140b)である蓄電素子100とが交互に並ぶように、複数の蓄電素子100が配置されている(図2及び図3参照)。
【0047】
容器110は、開口が形成された容器本体120と、容器本体120の当該開口を閉塞する蓋板130と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。容器本体120は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Z軸プラス方向に開口が形成されている。蓋板130は、容器110の蓋部を構成するX軸方向に長い矩形状の板状部材であり、容器本体120のZ軸プラス方向に配置されている。蓋板130には、容器110内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁131、及び、容器110内方に電解液を注液するための注液部132が設けられている。注液部132は、蓋板130に形成された注液孔と、注液孔を塞ぐ注液栓とを含む。注液栓は注液孔を塞いだ状態で、例えば溶接によって蓋板130に固定されている。容器110(容器本体120及び蓋板130)の材質は、特に限定されず、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0048】
容器110は、電極体等を容器本体120の内方に収容後、容器本体120と蓋板130とが溶接等によって接合されることにより、内部が密閉(密封)される。容器110は、Y軸方向両側の側面に一対の長側面111を有し、X軸方向両側の側面に一対の短側面112を有し、Z軸マイナス方向に底面113を有している。長側面111は、矩形状の平面部であり、隣り合うスペーサ200とY軸方向において対向して配置される。長側面111は、短側面112及び底面113に隣接し、短側面112よりも面積が大きい。短側面112は、矩形状の平面部であり、スペーサ200の壁部及びケース300とX軸方向において対向して配置される。短側面112は、長側面111及び底面113に隣接し、長側面111よりも面積が小さい。底面113は、矩形状の平面部であり、ケース300の底壁とZ軸方向において対向して配置される。底面113は、長側面111及び短側面112に隣接して配置される。
【0049】
端子140は、蓋板130に配置される、蓄電素子100の端子部材(負極端子140aまたは正極端子140b)である。具体的には、端子140は、蓋板130の上面(端子配置面)からZ軸プラス方向に突出した状態で配置される。負極端子140aである端子140と、正極端子140bである端子140とは、X軸方向で離間して配置されており、負極端子140aと正極端子140bとの間に、ガス排出弁131及び注液部132が配置される。本実施の形態では、X軸方向における負極端子140aと正極端子140bとの中央位置にガス排出弁131が配置され、ガス排出弁131と負極端子140aとの間に注液部132が設けられている。端子140は、集電体を介して、電極体の正極板または負極板に電気的に接続されている。つまり、端子140は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。端子140は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0050】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートまたは不織布等を用いることができる。本実施の形態では、電極体は、極板(正極板及び負極板)がY軸方向に積層されて形成されている。電極体は、極板(正極板及び負極板)が巻回されて形成された巻回型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。
【0051】
集電体は、端子140と電極体とに電気的及び機械的に接続される導電性の集電部材(正極集電体及び負極集電体)である。正極集電体は、電極体の正極板の集電箔と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、電極体の負極板の集電箔と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0052】
[3.配線ユニット及びその周辺の構成について]
次に、配線ユニット400及びその周辺の構成について、上述の図1図4に加えて図5図10を用いて説明する。図5は、実施の形態に係る配線ユニット400の分解斜視図である。図5では、第一、第二カバー(415、425)及び3つの電線500が電線保持部材401から分離されている。図5では、バスバーカバー485及び25個のバスバー380がバスバーホルダ480から分離されている。第一、第二カバー(415、425)が、第一、第二本体部(411、421)から分離可能であることは必須ではない。第一、第二カバー(415、425)は、ヒンジを中心に回転するように、第一、第二本体部(411、421)と接続されていてもよい。バスバーカバー485も同様に、ホルダ本体481から分離可能であることは必須ではない。バスバーカバー485は、ヒンジを中心に回転するようにホルダ本体481と接続されていてもよい。
【0053】
図6は、実施の形態に係る配線ユニット400及びその周辺の構成を模式的に示す平面図である。図6では、バスバーホルダ480のおおよその配置範囲が点線の矩形で図示されており、電線保持部材401の第一、第二カバー(415、425)の図示は省略されている。さらに、図6では、蓄電素子列10における一部の蓄電素子100及び一部のスペーサ200が簡易化されて図示されており、他の蓄電素子100及び他のスペーサ200の図示は省略されている。図6では、図5に示される、第三サーミスタ550c及び第三電線500cの図示は省略されている。
【0054】
図7は、実施の形態に係る配線ユニット400の一部の外観を示す斜視図である。図8は、実施の形態に係るカバー部材450の第一壁部451b及び第三壁部453を示す拡大斜視図である。
【0055】
電線保持部材401は、第一保持部材410、第二保持部材420、及び第三保持部材430を有する。これら3つの保持部材によって、1以上の電線500が収容される一連の収容溝403が形成されている。第一保持部材410は、蓄電素子列10の第一端部10aから第二端部10bに向けて延びており、第二保持部材420は、蓄電素子列10の第二端部10bから第一端部10aに向けて延びている。第三保持部材430は、第一保持部材410と第二保持部材420とをX軸方向で接続するよう配置されている。より具体的には、第一保持部材410は、蓄電素子列10の第一端部10aからY軸方向の略中央に位置するスペーサ200bまで配置されている。第二保持部材420は、蓄電素子列10の第二端部10bからY軸方向の略中央に位置するスペーサ200bまで配置されている。さらに、複数のガス排出弁131がY軸方向に並んでおり、第三保持部材430はそれらの複数のガス排出弁131の並び方向と交差するように配置されている。Y軸方向は第一方向の一例であり、Z軸方向は第二方向の一例であり、X軸方向は第三方向の一例である。Z軸プラス方向は、第二方向の一方側の一例であり、Z軸マイナス方向は、第二方向の他方側の一例である。
【0056】
第一保持部材410は、第一本体部411と第一カバー415とを有し、第二保持部材420は第二本体部421と第二カバー425とを有する。本実施の形態では、第三保持部材430は、収容溝403の一部を形成する部分のみで構成されているが、第一保持部材410及び第二保持部材420と同じくカバーを有してもよい。
【0057】
上記のように3つの部分で構成される電線保持部材401は、本実施の形態では、X軸方向の両端部に位置するバスバーホルダ480の間に配置される。これら2つのバスバーホルダ480を区別する場合、図6に示すように、X軸マイナス方向のバスバーホルダ480をバスバーホルダ480aと称し、X軸プラス方向のバスバーホルダ480をバスバーホルダ480bと称する。
【0058】
バスバーホルダ480は、複数のバスバー380を保持するホルダ本体481と、複数のバスバー380を覆うバスバーカバー485とを有する。具体的には、複数のバスバー380は、4種類のバスバー380(バスバー380a~380d)を含む。バスバー380aは、スペーサ200a(図3参照)を挟んで隣り合う2つの蓄電素子100の端子140に接合される。バスバー380bは、蓄電素子列10のY軸方向中央位置に配置されるスペーサ200b(図3参照)を挟んで隣り合う2つの蓄電素子100の端子140に接合される。本実施の形態では、Y軸方向で隣り合う2つの端子140は、例えば図6に示されるように、負極端子140aと正極端子140bとである。すなわち、本実施の形態では、複数のバスバー380aと1つのバスバー380bとにより、複数の蓄電素子100が直列に接続されている。このように直列に接続された複数の蓄電素子100を有する蓄電素子列10の正極端子にバスバー380cが接合され、蓄電素子列10の負極端子にバスバー380dが接合される。
【0059】
具体的には、蓄電素子列10において、最もY軸マイナス方向に位置する蓄電素子100を第一蓄電素子100Aとし、最もY軸プラス方向に位置する蓄電素子100を第二蓄電素子100Bとした場合、バスバー380c及び380dの配置位置は次のように説明される。第一蓄電素子100Aは、蓄電素子列10における第一端部10aに位置し、第二蓄電素子100Bは、蓄電素子列10における第二端部10bに位置する。バスバー380cは、蓄電素子列10の正極端子である第一蓄電素子100Aの正極端子140b(図6参照)に接合される。バスバー380cは、他のバスバー等の導電部材を介して、図示しない正極外部端子に電気的に接続される。バスバー380dは、蓄電素子列10の負極端子である第二蓄電素子100Bの負極端子140a(図6参照)に接合される。バスバー380dは、他のバスバー等の導電部材を介して、図示しない負極外部端子に電気的に接続される。蓄電素子列10に含まれる複数の蓄電素子100の電気的な接続態様に特に限定はない。上述のように、全て蓄電素子100が直列に接続されてもよく、それぞれが並列に接続された2以上の蓄電素子100を含む複数の蓄電素子100群が直列に接続されてもよい。全ての蓄電素子100が並列に接続されてもよい。
【0060】
上述のように、複数のバスバー380を保持するバスバーホルダ480a及び480bの間に位置する電線保持部材401には、図5及び図6に示すように、温度を検出するサーミスタ550が接続された電線500が保持されている。本実施の形態に係る蓄電装置1では、蓄電素子列10の温度を広範囲で検出するために、蓄電素子列10の配列方向(Y軸方向)の両端部、及び、両端部の間の1か所の、計3か所のそれぞれにサーミスタ550が配置されている。これら3つのサーミスタ550を区別する場合、当該3つのサーミスタ550は、第一サーミスタ550a、第二サーミスタ550b、及び、第三サーミスタ550cと称される。これらサーミスタ550のそれぞれに接続される電線500を区別する場合も同様である。
【0061】
具体的には、図6に示すように、蓄電素子列10の第一端部10aに位置する第一蓄電素子100Aに、第一サーミスタ550aが配置される。蓄電素子列10の第二端部10bに位置する第二蓄電素子100Bに、第二サーミスタ550bが配置される。図6では図示されていないが、第一蓄電素子100Aと第二蓄電素子100Bとの間の1つの蓄電素子100に、第三サーミスタ550c(図5参照)が配置される。第一サーミスタ550aには第一電線500aが接続され、第二サーミスタ550bには第二電線500bが接続され、第三サーミスタ550cには第三電線500cが接続される。
【0062】
サーミスタ550は、検出対象である蓄電素子100の、電線保持部材401に対向する面、つまり、蓋板130の外面に配置される。サーミスタ550は、当該蓄電素子100の温度を精度よく検出するために、当該蓄電素子100に密接して配置されることが好ましい。そのため、サーミスタ550は当該蓄電素子100の蓋板130のフラットな部分に接触して配置することが要求される。この点に関し、X軸方向に長尺状の蓋板130には、X軸方向の両端部に位置する一対の端子140、及び、X軸方向の中央部に位置するガス排出弁131に加え、注液部132が配置されている(図4及び図6参照)。具体的には、図4に示すように、ガス排出弁131と、負極端子140aとの間に注液部132が配置される。注液部132は、蓋板130の上面(Z軸プラス方向の面)において凹凸を形成する部分である。したがって、サーミスタ550は、蓋板130において比較的に広い平面を形成する、ガス排出弁131と正極端子140bとの間(図4参照)に配置することが好ましい。
【0063】
その結果、第二蓄電素子100Bでは、図6に示すように、正極端子140bである第一端子141とガス排出弁131との間に、第二サーミスタ550bが配置される。すなわち、蓄電素子列10をZ軸プラス方向から見た場合において、複数の第一端子141と、複数のガス排出弁131との間の領域である第一領域810に第二サーミスタ550bが配置される。本実施の形態では、複数の第一端子141はY軸方向に並び、かつ、複数のガス排出弁131はY軸方向に並ぶ。従って、第一領域810は、蓄電素子列10をZ軸プラス方向から見た場合に、複数の第一端子141の列(端子列)と、複数のガス排出弁131の列(排出弁列)との間において、Y軸方向に延びて存在する。
【0064】
一方、第一蓄電素子100Aでは、第一端子141は負極端子140aである。従って、Z軸プラス方向から見た場合に、第一蓄電素子100Aの第一領域810に属する部分(第一端子141とガス排出弁131との間の部分)には注液部132が存在する(図6参照)。その結果、第一サーミスタ550aは、第一蓄電素子100Aの第二領域820に属する部分に配置される。第二領域820は、図6に示すように、複数のガス排出弁131を挟んで第一領域810とは反対側の領域である。より具体的には、第一サーミスタ550aは、第二領域820の一部である第三領域821に配置される。第三領域821は、複数の第二端子142と、複数のガス排出弁131との間の領域である。
【0065】
このように、本実施の形態では、Y軸方向に並ぶ複数の蓄電素子100を有する蓄電素子列10において、Y軸方向の両端部(第一端部10a及び第二端部10b)のそれぞれに配置されるサーミスタ550の位置がX軸方向で互いに異なっている。その結果、電線保持部材401は、図6に示すように、第二領域820に属する第一保持部材410、第一領域810に属する第二保持部材420、及び、第一保持部材410と第二保持部材420とを接続する第三保持部材430とで構成されている。第三保持部材430は、Z軸プラス方向から見た場合に、スペーサ200bと重なる位置に配置されている。
【0066】
これにより、第一領域810における蓄電素子列10の第二端部10bまたはその近傍の温度を、電線保持部材401に保持された1以上の電線500を介して、第二領域820における蓄電素子列10の第一端部10aから取得できる。具体的には、電線保持部材401に保持された1以上の電線500は、第一保持部材410のY軸マイナス方向の開口部402(図6参照)から、電線保持部材401の外部に引き出される。さらに、電線保持部材401は、Z軸プラス方向から見た場合に、複数のガス排出弁131とは重ならない位置に配置されている。そのため、複数のガス排出弁131のうちのいずれかからガスが排出された場合において、電線保持部材401及び1以上の電線500が、ガスの排出の妨げとはなり難い。
【0067】
本実施の形態において、電線保持部材401のうちの第一保持部材410に着目すると、1以上の電線500を、ガス排出弁131の列(排出弁列)よりもX軸マイナス方向の位置に寄せてまとめることができる。しかし、その一方で、排出弁列よりもX軸プラス方向の範囲は、第一保持部材410によっては覆われない。より具体的には、排出弁列よりもX軸プラス方向に位置する第一端子141の列(端子列)はバスバーホルダ480bによって覆われる。そのため、排出弁列と端子列との間の第一領域810は、Z軸方向から見た場合に、第一保持部材410及びバスバーホルダ480bのいずれにも覆われない領域である。従って、排出弁列を挟んで第一保持部材410とは反対側に位置する第一領域810は、蓄電装置1の製造時または使用時において、第二領域820よりも、人の指が触れやすい領域である。そこで、本実施の形態に係る蓄電装置1では、第一領域810にカバー部材450が配置されている。
【0068】
カバー部材450は、図7に示すように、複数の蓄電素子100とZ軸方向で対向する第一壁部451を有している。本実施の形態では、カバー部材450は、第一壁部451として、Z軸方向の位置が互いに異なる第一壁部451aと第一壁部451bとを有する。第一壁部451aは、カバー部材450におけるZ軸マイナス方向に位置し、第一壁部451bは、カバー部材450におけるZ軸プラス方向に位置する。カバー部材450は、複数の蓄電素子100とZ軸方向で対向する第一壁部451を有することで、当該複数の蓄電素子100に対する人の指の接触を抑制することができる。
【0069】
カバー部材450は、第一領域810に配置されており、つまり、Z軸方向から見た場合、複数のガス排出弁131と重ならない位置に配置されている。これにより、カバー部材450が、ガスの排出の妨げとはなり難い。さらに、カバー部材450は、Z軸方向から見た場合、複数の端子140(第一端子141)と重ならない位置に配置されている。そのため、カバー部材450が、第一端子141とバスバー380との接合作業の妨げとはなり難い。
【0070】
電線保持部材401のうちの第二保持部材420に着目した場合も同様であり、1以上の電線500が第一領域810の範囲内でまとめられる一方で、第二領域820は、第二保持部材420によっては覆われない。そこで、本実施の形態では、第二領域820の範囲内における、X軸方向で第二保持部材420と対向する位置に、カバー部材470が配置されている。
【0071】
すなわち、本実施の形態に係る蓄電装置1では、1以上の電線500をX軸方向の一方側に寄せることで生じるスペースを、カバー部材450及び470で覆う構造が採用されている。これにより、人の指が、複数の蓄電素子100のいずれかに触れる可能性が低減されている。
【0072】
このように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、Y軸方向に並んで配置された複数の蓄電素子100を有する蓄電素子列10と、1以上の電線500を保持する第一保持部材410、及び、電線500を保持しないカバー部材450と、を備える。第一保持部材410は、蓄電素子列10の、Y軸方向と交差するZ軸プラス方向に配置される。カバー部材450は、蓄電素子列10のZ軸プラス方向に配置され、かつ、複数の蓄電素子100の内の少なくとも2つの蓄電素子100の一部を覆う。複数の蓄電素子100のそれぞれは、Z軸プラス方向に配置された第一端子141及びガス排出弁131を有する。カバー部材450は、Z軸プラス方向から見た場合、複数のガス排出弁131と複数の第一端子141との間の第一領域810に位置する。第一保持部材410は、Z軸プラス方向から見た場合、複数のガス排出弁131を挟んで第一領域810とは反対側の第二領域820に位置する。カバー部材450は、少なくとも2つの蓄電素子100とZ軸方向で対向する第一壁部451を有する。
【0073】
この構成によれば、Z軸プラス方向から見た場合、蓄電素子列10における第一領域810にカバー部材450が配置され、複数のガス排出弁131を挟んで第一領域810とは反対側の第二領域820に1以上の電線500を保持する第一保持部材410が配置される。つまり、Z軸プラス方向から見た場合に第一保持部材410によって覆われない第一領域810にカバー部材450が配置され、かつ、カバー部材450は、2以上の蓄電素子100と対向する第一壁部451を有している。従って、第一領域810において、人の指が、当該2以上の蓄電素子100のZ軸プラス方向の面(蓋板130)に触れ難くなる。さらに、第二領域820では、1以上の電線500の保持の役割を担う第一保持部材410が、人の指を蓄電素子100に触れ難くする役割も果たすことができる。このように、本態様に係る蓄電装置1によれば、安全性が向上されている。
【0074】
本実施の形態では、カバー部材450は、蓄電素子列10の第一端部10aに位置するスペーサ200cから、蓄電素子列10の中央部のスペーサ200bまでの間の12個の蓄電素子100(図2及び図3参照)にZ軸方向で対向する位置に配置されている。つまり、カバー部材450は、Y軸方向に長尺状であり、第一領域810において、12個の蓄電素子100それぞれについて、人の指が接触し難くすることができる。
【0075】
このように長尺状のカバー部材450は、上述のように、接続部490によってバスバーホルダ480bと接続され、かつ、接続部492によって第一保持部材410と接続されている。カバー部材450はさらに、第三保持部材430にも接続されている。具体的には、図7に示すように、カバー部材450のY軸プラス方向の端部が第三保持部材430に接続されている。このように、長尺状のカバー部材450は、長手方向における複数個所において電線保持部材401及びバスバーホルダ480と接続されている。これにより、配線ユニット400におけるカバー部材450の位置の変化(ずれ)が生じ難くなる。このことは安全性のさらなる向上に寄与する。カバー部材470もY軸方向に長尺状であり、蓄電素子列10の第二端部10bに位置するスペーサ200cから、蓄電素子列10の中央部のスペーサ200bまでの間の12個の蓄電素子100(図2及び図3参照)にZ軸方向で対向する位置に配置されている。長尺状のカバー部材470は、長手方向における複数個所において電線保持部材401及びバスバーホルダ480と接続されている。これにより、配線ユニット400におけるカバー部材470の位置の変化(ずれ)が生じ難くなる。このことは安全性のさらなる向上に寄与する。
【0076】
カバー部材450は、人の指と蓄電素子100との接触を抑制するためではなく、他の部材と蓄電素子100との接触を抑制するために配置されてもよい。例えば、蓄電素子列10のZ軸プラス方向に、蓄電素子100との電気的な接続を避けるべき導電部材が配置される場合、当該導電部材と蓄電素子100との接触を抑制するためにカバー部材450が配置されてもよい。このことによっても蓄電装置1の安全性が向上される。
【0077】
本実施の形態では、カバー部材450はさらに、第一壁部451からZ軸方向に沿って延びる第二壁部452を有する。具体的には、図7に示すように、カバー部材450はZ軸方向に沿って伸びる第二壁部452として、Y軸方向に平行な第二壁部452a及びY軸方向に平行でない第二壁部452bを有している。第二壁部452a及び第二壁部452bのそれぞれは、第一壁部451bからZ軸マイナス方向に延びている。第二壁部452bは、第一壁部451aからZ軸プラス方向に延びている、と説明することもできる。
【0078】
このように、カバー部材450は、互いに異なる方向に広がる第一壁部451及び第二壁部452を有している。これにより、カバー部材450の機械的な強度が向上し、その結果、製造時または使用時におけるカバー部材450の歪みまたは撓みが抑制される。
【0079】
上記の第一壁部451b並びに第二壁部452a及び452bは、カバー部材450において第一壁部451aからZ軸プラス方向に突出した凸部460の一部を形成している。具体的には、図7及び図8に示すように、カバー部材450はさらに、X軸方向で第二壁部452aと対向する第三壁部453を有している。図10に示されるように、凸部460は、少なくとも、第一壁部451b、第二壁部452a、及び第三壁部453によって形成されている。
【0080】
すなわち、本実施の形態において、第一壁部451bは、カバー部材450におけるZ軸プラス方向に位置し、第二壁部452aは、第一壁部451bからZ軸マイナス方向に延びて設けられている。カバー部材450はさらに、第一壁部451bに接続され、かつ、X軸方向で第二壁部452aと対向する姿勢で配置された第三壁部453を有する。
【0081】
このように、カバー部材450は、蓄電素子列10に対向する第一壁部451aと、第一壁部451a及び蓄電素子列10の間に位置し、かつ、X軸方向で互いに対向する第二壁部452及び第三壁部453とを有している。これら第一壁部451a、第二壁部452及び第三壁部453によって立体的な部分(凸部460)が形成されている。これにより、第一壁部451aは、蓄電素子列10から離れた位置で、人の指の、蓄電素子列10に近づく方向の移動を抑制できる。従って、人の指と蓄電素子100との接触が、より確実に抑制される。カバー部材450は、立体的に構成された部分である凸部460を有することで、カバー部材450の機械的な強度がさらに向上する。これにより、製造時または使用時におけるカバー部材450の歪みまたは撓みがより確実に抑制される。
【0082】
本実施の形態において、第一壁部451bは、図7及び図8に示されるように、カバー部材450において、Y軸方向で間隔をあけて複数配置されている。
【0083】
上述のように、カバー部材450では、第二壁部452及び第三壁部453とともに凸部460を形成する第一壁部451bが、Y軸方向で間隔をあけて複数配置されている。つまり、カバー部材450は、Y軸方向で間隔をあけて配置された複数の凸部460を有している。これにより、他の部材のY軸方向における配置位置の基準または目印として、または、カバー部材450のY軸方向における配置位置の基準または目印として、少なくとも1つの第一壁部451bを利用できる。カバー部材450は、Y軸方向で分散して配置された複数の凸部460を有することで、Y軸方向の広い範囲において機械的な強度が向上される。
【0084】
本実施の形態において、第二保持部材420の位置については、以下のように説明される。第二保持部材420は、Z軸プラス方向から見た場合、第一領域810に位置しかつ、Y軸方向でカバー部材450と隣り合う位置に配置されている。すなわち、第一領域810におけるカバー部材450が配置されていない範囲に、1以上の電線500を保持する第二保持部材420が配置されている。
【0085】
この構成によれば、第一領域810におけるカバー部材450が配置されていない範囲において、第二保持部材420による、人の指と蓄電素子100との接触抑制効果が得られる。さらに、1以上の電線500が、第一領域810及び第二領域820の両方に配置される。従って、第一領域810における蓄電素子列10の情報(例えば温度)及び、第二領域820における蓄電素子列10の情報(例えば温度)を当該1以上の電線500を介して取得できる。
【0086】
本実施の形態に係る蓄電装置1は、複数の蓄電素子100のうちの2以上の蓄電素子100の端子140に接合されたバスバー380と、バスバー380を保持するバスバーホルダ480とを備える。カバー部材450は、バスバーホルダ480と離間して配置されている。
【0087】
この構成によれば、カバー部材450の配置位置、サイズまたは形状を、バスバーホルダ480の配置位置、サイズまたは形状によらず、保護すべき範囲(人の指の通過を避けたい範囲)に適した配置位置、サイズまたは形状にできる。
【0088】
本実施の形態では、図6に示されるように、バスバーホルダ480とカバー部材450とは、互いに離間して配置されておりかつ、1以上の接続部490で接続されている。つまり、バスバーホルダ480とカバー部材450との間には、Y軸方向に延びる隙間が形成され、当該隙間に複数のスペーサ200の突出部250が挿入される。これら複数の突出部250は、カバー部材450及び第一保持部材410等の移動の制限に利用される。さらに、バスバーホルダ480は、1以上の突出部250の突起254(図2参照)と機械的に接続される部分を有している。従って、バスバーホルダ480とカバー部材450との間に挿入された1以上の突出部250は、バスバーホルダ480の移動の制限にも利用される。
【0089】
本実施の形態において、カバー部材470は、Z軸プラス方向から見た場合、第二領域820に位置しかつ、Y軸方向で第一保持部材410と隣り合う位置に配置されている。すなわち、第二領域820における第一保持部材410が配置されていない範囲に、カバー部材470が配置されている。これにより、当該範囲において、カバー部材470による、人の指と蓄電素子100との接触抑制効果が得られる。カバー部材470は、凸部460を有するなど、上記で説明されたカバー部材450と共通する構成を有している。そのため、カバー部材470の構成に関する詳細な説明は省略する。
【0090】
本実施の形態において、第三保持部材430は、第一保持部材410のY軸プラス方向の端部と、第二保持部材420のY軸マイナス方向の端部とを接続している。従って、電線保持部材401は、図2図5、及び図6に示されるように、Z軸プラス方向から見た場合に、Y軸方向に長尺状であり、かつ、Y軸方向の途中でX軸方向に曲がった形状(例えばクランク形状と呼ばれる)である。そのため、Z軸プラス方向から見た場合、蓄電素子列10における電線保持部材401によって覆われない領域は、第一領域810及び第二領域820の両方に含まれる。従って、仮に、配線ユニット400がカバー部材450及び470を有しないとした場合、これら両方の領域のそれぞれに、絶縁テープを貼り付ける等の作業が必要となる。または、当該両方の領域を連続して覆うようなクランク形状の絶縁テープを作製して、当該両方の領域に貼り付ける作業が必要となる。この点に関し、本実施の形態では、配線ユニット400は、電線保持部材401並びにカバー部材450及び470を一体に備えており、電線保持部材401を蓄電素子列10に配置する作業を実行することで、カバー部材450及び470も蓄電素子列10に配置される。このことは、安全性が向上された蓄電装置1の製造効率の向上に寄与する。
【0091】
[4.変形例の説明]
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例には限定されない。今回開示された実施の形態及び変形例は、全ての点で例示であり、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0092】
カバー部材450は、第三壁部453を備えなくてもよい。カバー部材450が、互いに異なる方向に広がる第一壁部451と第二壁部452とを備えることで、カバー部材450の機械的な強度を向上させることができる。カバー部材450は、第二壁部452及び第三壁部453を備えなくてもよい。カバー部材450は、少なくとも2つの蓄電素子100とZ軸方向で対向する第一壁部451を備えることで、人の指と当該2つの蓄電素子100との接触を抑制できる。
【0093】
第一壁部451はXY平面に平行な平板状である必要はなく、Z軸方向に湾曲または屈曲した形状であってもよい。例えば、第一壁部451は、XZ平面に平行な断面が、Z軸プラス方向またはマイナス方向に反った形状であってもよい。これにより、カバー部材450が、第一壁部451と第二壁部452とを有しない場合であっても、カバー部材450の機械的な強度を向上させることができる。
【0094】
電線保持部材401における第三保持部材430のY軸方向の位置に特に限定はない。例えば、第一保持部材410が、第二領域820において、蓄電素子列10のY軸方向の全域を覆うように配置された場合を想定する。この場合、第三保持部材430は、第二端部10bに配置されるスペーサ200c(図3及び図6参照)とZ軸方向で対向して配置されてもよい。これにより、第三保持部材430は、Z軸プラス方向から見た場合に、複数のガス排出弁131と重ならない位置に配置される。この場合、第二保持部材420は、少なくとも、第三保持部材430のX軸プラス方向の端部と第二サーミスタ550bとを接続する長さに形成されていればよい。つまり、第三保持部材430は、第一保持部材410及び第二保持部材420のそれぞれのY軸プラス方向の端部を接続するように配置されてもよい。この場合、第一領域810の、Y軸方向における第二保持部材420が配置されていない範囲に、カバー部材450が配置される。これにより、1以上の電線500をX軸方向の一方側に寄せることで生じるスペースにカバー部材450が配置される。その結果、人の指が、複数の蓄電素子100のいずれかに触れる可能性が低減される。
【0095】
電線保持部材401が、第一保持部材410、第二保持部材420、及び、第三保持部材430で構成することは必須ではない。例えば、第三サーミスタ550cが、第二蓄電素子100B(図6参照)の第二領域820に含まれる範囲に配置される場合を想定する。この場合、電線保持部材401は、Z軸プラス方向から見た場合に、第二領域820内の第一端部10aから第二端部10bに至る全域においてY軸方向に平行な直線形状であってもよい。この場合、電線保持部材401の全体を、「第一保持部材410」と称してもよい。すなわち、第一保持部材410は、Z軸プラス方向から見た場合、第二領域820において、蓄電素子列10のY軸方向の全域を覆うように配置されてもよい。この場合、1以上の電線500は、ガス排出弁131の列(排出弁列)よりもX軸マイナス方向の位置に寄せてまとめられ、カバー部材450は、第一領域810において、蓄電素子列10のY軸方向の全域を覆うように配置される。つまり、1以上の電線500をX軸方向の一方側に寄せることで生じるスペースにカバー部材450が配置され、これにより、人の指が、複数の蓄電素子100のいずれかに触れる可能性が低減される。
【0096】
配線ユニット400は、バスバーホルダ480を備えなくてもよい。配線ユニット400は、少なくともカバー部材450及び第一保持部材410を備えていればよい。つまり、バスバーホルダ480と、カバー部材450及び第一保持部材410とは、互いに分離された別体であってもよい。この場合、バスバーホルダ480を蓄電素子列10に配置して複数のバスバー380を複数の端子140に溶接などによって接合した後に、カバー部材450及び第一保持部材410を含む配線ユニット400を蓄電素子列10に配置できる。これにより、例えばバスバー380と端子140との溶接時のスパッタによる第一保持部材410及びカバー部材450の汚れまたは損傷が抑制される。
【0097】
電線保持部材401に保持される電線500は、サーミスタ550に接続されていなくてもよい。例えば、複数のバスバー380のいずれかに接続された電圧検出線である電線500が、電線保持部材401に保持されてもよい。
【0098】
蓄電素子列10は、複数の蓄電素子100及びスペーサ200を拘束する拘束部材(エンドプレート及びサイドプレート)を備えていてもよい。蓄電素子列10が拘束部材を備える場合、蓄電素子列10のY軸方向の両端部に配置されるエンドプレートは、蓄電素子列10のY軸方向の一端部または他端部に配置されたスペーサである、としてもよい。
【0099】
蓄電素子列10において、3つのサーミスタ550(図5参照)が配置されることは必須ではない。蓄電素子列10において、第二蓄電素子100Bのみにサーミスタ550(第二サーミスタ550b)が配置されてもよい。この場合であっても、第二電線500bを、蓄電素子列10の第一端部10aにおける第二領域820から引き出したい場合、複数のガス排出弁131のいずれとも対向しないように配置される電線保持部材401は有用である。
【0100】
蓄電素子列10が備える複数のスペーサ200は、少なくとも1つの蓄電素子100を保持する機能を有しなくてもよい。複数のスペーサ200のそれぞれは、単なる平板状の部材であってもよい。
【0101】
上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0103】
1 蓄電装置
10 蓄電素子列
10a 第一端部
10b 第二端部
100 蓄電素子
100A 第一蓄電素子
100B 第二蓄電素子
131 ガス排出弁
132 注液部
140 端子
140a 負極端子
140b 正極端子
141 第一端子
142 第二端子
200、200a、200b、200c スペーサ
254 突起
380、380a、380b、380c、380d バスバー
400 配線ユニット
401 電線保持部材
410 第一保持部材
420 第二保持部材
430 第三保持部材
450 カバー部材
451、451a、451b 第一壁部
452、452a、452b 第二壁部
453 第三壁部
460 凸部
470 カバー部材
480、480a、480b バスバーホルダ
490、492 接続部
500 電線
810 第一領域
820 第二領域
821 第三領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8