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  • 特開-洗浄方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067960
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/08 20060101AFI20240510BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B08B3/08 A
B08B3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178410
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 慎二
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201BB02
3B201BB82
3B201BB87
3B201BB88
3B201BB95
3B201BB98
3B201CB11
(57)【要約】
【課題】用手洗浄又は機械洗浄では十分な洗浄が困難な洗浄対象を洗浄すること。
【解決手段】先端部である処置用器具63及び処置用器具63に接続された支持部であるシャフト部62を有する洗浄対象である内視鏡処置具60の洗浄方法は、第1洗浄液100が収容された容器50で処置用器具63を覆い、容器50及び内視鏡処置具60を洗浄槽2に収容された第2洗浄液200に浸漬し、第2洗浄液200を減圧沸騰させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部及び前記先端部に接続された支持部を有する洗浄対象の洗浄方法であって、
第1洗浄液が収容された容器で前記先端部を覆い、
前記容器及び前記洗浄対象を洗浄槽に収容された第2洗浄液に浸漬し、
前記第2洗浄液を減圧沸騰させる、
洗浄方法。
【請求項2】
前記第1洗浄液は、界面活性剤を含む、
請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記第2洗浄液は、界面活性剤を含まない、又は、前記第1洗浄液に含まれる前記界面活性剤よりも少量の界面活性剤を含む、
請求項2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記第1洗浄液は、還元剤を含む、
請求項2に記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記第2洗浄液は、酵素を含む、
請求項3に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記容器は、前記先端部が収容された前記容器の内部を密閉する、
請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項7】
前記支持部に内部流路が設けられ、
前記容器の内部と前記洗浄槽の内部とは前記内部流路を介して接続される、
請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄槽の内部空間を減圧した後に空気を供給して前記第2洗浄液に流れを生じさせる気相給気パルス洗浄法により前記洗浄対象を洗浄する、
請求項7に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄方法に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような洗浄方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-176389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばダヴィンチエンドリストと呼ばれる内視鏡処置具を洗浄する場合、用手洗浄又は機械洗浄では内視鏡処置具の先端部に設けられた処置用器具を十分に洗浄できず、処置用器具に蛋白質が残留する可能性がある。特に、熱変性した蛋白質が手術中に処置用器具に付着する可能性があり、用手洗浄又は機械洗浄では処置用器具から熱変性した蛋白質を十分に除去することが困難である。
【0005】
本開示は、用手洗浄又は機械洗浄では十分な洗浄が困難な洗浄対象を洗浄することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、先端部及び先端部に接続された支持部を有する洗浄対象の洗浄方法であって、第1洗浄液が収容された容器で前記先端部を覆い、容器及び洗浄対象を洗浄槽に収容された第2洗浄液に浸漬し、第2洗浄液を減圧沸騰させる、洗浄方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、用手洗浄又は機械洗浄では十分な洗浄が困難な洗浄対象を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る洗浄方法に使用される洗浄装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[洗浄装置]
図1は、実施形態に係る洗浄方法に使用される洗浄装置1を模式的に示す図である。洗浄装置1は、第1洗浄液100及び第2洗浄液200を用いて洗浄対象を洗浄する。実施形態において、洗浄装置1は、減圧沸騰式洗浄装置である。
【0011】
洗浄対象は、医療器具である。実施形態において、洗浄対象は、ダヴィンチエンドリストと呼ばれるda Vinci(登録商標)Surgical Systemにおいて使用される内視鏡処置具60である。内視鏡処置具60は、処置用器具63及び処置用器具63に接続されたシャフト部62を有する。内視鏡処置具60の先端部は、処置用器具63を含む。処置用器具63は、支持部であるシャフト部62に支持される。
【0012】
洗浄装置1は、洗浄槽2と、敷網3と、給水装置4と、薬剤供給装置5と、排液装置6と、加熱装置7と、減圧装置8と、液相給気装置9と、気相給気装置10と、圧力センサ11と、温度センサ12と、制御装置13とを備える。
【0013】
洗浄槽2は、第2洗浄液200が貯留される内部空間を有する。洗浄槽2の上端部に開口部が設けられる。内視鏡処置具60は、洗浄槽2の開口部を介して洗浄槽2の内部空間に搬入される。内視鏡処置具60は、洗浄槽2の開口部を介して洗浄槽2の内部空間から搬出される。洗浄槽2の開口部は、蓋14で閉鎖される。洗浄槽2の開口部が蓋14で閉鎖されることにより、洗浄槽2の内部空間が密閉される。
【0014】
敷網3は、洗浄槽2の内部空間において内視鏡処置具60を支持する。内視鏡処置具60がバスケットのような網状の支持部材に支持される場合、敷網3は、洗浄槽2の内部空間において支持部材を介して内視鏡処置具60を支持する。内視鏡処置具60は、洗浄槽2の内部空間において敷網3よりも上方に配置される。第2洗浄液200は、敷網3を通過することができる。
【0015】
給水装置4は、洗浄槽2の内部空間に真水を供給する。給水装置4は、洗浄槽2に接続される給水ライン15と、給水ライン15に配置される電磁弁16とを有する。電磁弁16の作動により、給水源(不図示)からの真水が給水ライン15を介して洗浄槽2の内部空間に供給される。
【0016】
薬剤供給装置5は、洗浄槽2の内部空間に洗浄用の薬剤を供給する。薬剤供給装置5は、洗浄槽2に接続される薬剤供給ライン17を有する。薬剤が薬剤供給ライン17を介して洗浄槽2の内部空間に供給される。洗浄槽2の内部空間に供給された真水に薬剤が供給されることにより、洗浄槽2の内部空間において第2洗浄液200が生成される。
【0017】
排液装置6は、洗浄槽2の内部空間から第2洗浄液200を排出する。排液装置6は、洗浄槽2に接続される排液ライン18と、排液ライン18に配置される電磁弁19とを有する。電磁弁19の作動により、第2洗浄液200が排液ライン18を介して洗浄槽2の内部空間から排出される。
【0018】
加熱装置7は、洗浄槽2に貯留されている第2洗浄液200を加熱する。加熱装置7は、洗浄槽2の内部空間に配置されるヒータ20を含む。ヒータ20は、洗浄槽2の内部空間において第2洗浄液200に浸漬される。ヒータ20は、敷網3よりも下方に配置される。
【0019】
減圧装置8は、洗浄槽2の内部空間を減圧する。減圧装置8は、洗浄槽2の内部空間から気体を排出することにより、洗浄槽2の内部空間を減圧する。減圧装置8は、洗浄槽2に接続される排気ライン21と、排気ライン21に配置される真空ポンプ22とを有する。真空ポンプ22の作動により、洗浄槽2の内部空間から気体が排出され、洗浄槽2の内部空間が減圧される。
【0020】
液相給気装置9は、洗浄槽2に貯留されている第2洗浄液200に空気を供給する。液相給気装置9は、洗浄槽2の内部空間に配置される給気ノズル23と、給気ノズル23に接続される液相給気ライン24と、液相給気ライン24に配置されるフィルタ25と、フィルタ25と洗浄槽2と間の液相給気ライン24に配置される液相給気弁26とを有する。給気ノズル23は、洗浄槽2の内部空間において第2洗浄液200に浸漬される。給気ノズル23は、敷網3よりも下方に配置される。洗浄槽2の内部空間が減圧された状態で液相給気弁26が開くと、洗浄槽2の内部空間と外部空間との差圧により、洗浄槽2の外部空間の空気がフィルタ25及び液相給気ライン24を介して給気ノズル23に供給される。フィルタ25は、空気から異物を回収する。給気ノズル23は、複数の給気口27を有する。液相給気ライン24を介して給気ノズル23に供給された空気は、給気口27から第2洗浄液200に供給される。
【0021】
気相給気装置10は、洗浄槽2の内部空間の気体空間に空気を供給する。気相給気装置10は、洗浄槽2に接続される気相給気ライン28と、気相給気ライン28に配置されるフィルタ29と、フィルタ29と洗浄槽2との間の気相給気ライン28に配置される気相給気弁30とを有する。洗浄槽2の内部空間が減圧された状態で気相給気弁30が開くと、洗浄槽2の内部空間と外部空間との差圧により、洗浄槽2の外部空間の空気がフィルタ29及び気相給気ライン28を介して洗浄槽2の内部空間に供給される。
【0022】
圧力センサ11は、洗浄槽2の内部空間の圧力を検出する。温度センサ12は、洗浄槽2に貯留されている第2洗浄液200の温度を検出する。
【0023】
制御装置13は、コンピュータシステムを含む。制御装置13は、洗浄装置1を制御する。制御装置13は、洗浄槽2の内部空間を減圧した状態で第2洗浄液200に空気を供給して第2洗浄液200に流れを生じさせる液相給気パルス洗浄法により内視鏡処置具60を洗浄することができる。制御装置13は、洗浄槽2の内部空間を減圧した後に空気を供給して第2洗浄液200に流れを生じさせる気相給気パルス洗浄法により内視鏡処置具60を洗浄することができる。
【0024】
液相給気パルス洗浄法とは、内視鏡処置具60が配置され且つ第2洗浄液200が貯留された洗浄槽2の内部空間を減圧した状態で、第2洗浄液200に空気を供給して第2洗浄液200を爆発的に沸騰(突沸)させ、突沸により生じた第2洗浄液200の激しい流れで内視鏡処置具60を洗浄する洗浄方法をいう。気相給気パルス洗浄法とは、内視鏡処置具60が配置され且つ第2洗浄液200が貯留された洗浄槽2の内部空間を減圧した後に、洗浄槽2の内部空間に空気を供給して洗浄槽2の内部空間の圧力を変化させ、洗浄槽2の内部空間の圧力の変化により生じた第2洗浄液200の激しい流れで内視鏡処置具60を洗浄する洗浄方法をいう。
【0025】
液相給気パルス洗浄法に基づいて内視鏡処置具60を洗浄する場合、洗浄槽2の開口部を介して洗浄槽2の内部空間に内視鏡処置具60が搬入された後、洗浄槽2の開口部が蓋14により閉鎖される。内視鏡処置具60は、洗浄槽2の内部空間において敷網3よりも上方に配置される。内視鏡処置具60が第2洗浄液200に浸漬されるように洗浄槽2の内部空間に配置された後、制御装置13は、第2洗浄液200が設定温度まで加熱されるように加熱装置7を制御し、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されるように減圧装置8を制御する。第2洗浄液200が設定温度まで加熱され、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されることにより、第2洗浄液200が減圧沸騰する。例えば第2洗浄液200が50℃に加熱された場合、洗浄槽2の内部空間の圧力が約89kPaまで減圧されることにより、第2洗浄液200が減圧沸騰する。第2洗浄液200の沸騰による攪拌作用により内視鏡処置具60が洗浄される。制御装置13は、第2洗浄液200が沸騰している状態で、液相給気装置9から第2洗浄液200に少量の空気を供給させる。第2洗浄液200が減圧沸騰している状態で給気口27から第2洗浄液200に空気が供給されることにより、供給された空気が沸騰の核となって、第2洗浄液200が爆発的に沸騰(突沸)する。突沸により生じた第2洗浄液200の激しい流れで、内視鏡処置具60の表面が効果的に洗浄される。
【0026】
気相給気パルス洗浄法に基づいて内視鏡処置具60を洗浄する場合、液相給気パルス洗浄と同様、内視鏡処置具60が第2洗浄液200に浸漬されるように洗浄槽2の内部空間に配置された後、制御装置13は、第2洗浄液200が設定温度まで加熱されるように加熱装置7を制御し、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されるように減圧装置8を制御する。第2洗浄液200が設定温度まで加熱され、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されることにより、第2洗浄液200が減圧沸騰する。制御装置13は、第2洗浄液200が減圧沸騰している状態で、気相給気装置10から洗浄槽2の内部空間の気体空間に空気を供給する。洗浄槽2に空気が供給されることにより、洗浄槽2の内部空間の圧力が上昇する。洗浄槽2の内部空間の圧力が上昇すると、内視鏡処置具60の内部の蒸気が凝縮し、その結果、第2洗浄液200が内視鏡処置具60の内部に勢い良く流入する。洗浄槽2の内部空間の圧力の変化により生じた第2洗浄液200の激しい流れで、内視鏡処置具60の内部が効果的に洗浄される。
【0027】
[洗浄対象]
洗浄対象である内視鏡処置具60は、ハウジング61と、シャフト部62と、処置用器具63とを有する。ハウジング61は、内視鏡処置具60の一部を構成する複数の部品を収容する。ハウジング61は、シャフト部62の基端部に接続される。ハウジング61の外形は、実質的に直方体状である。ハウジング61の一部に流入口64が設けられる。処置用器具63は、鋏又は鉗子を含む。処置用器具63は、シャフト部62の先端部に接続される。シャフト部62は、パイプ状である。シャフト部62に内部流路65が設けられる。内部流路65は、ハウジング61の内部と処置用器具63とを繋ぐように設けられる。内部流路65にチューブ(不図示)が配置される。ハウジング61及びシャフト部62のそれぞれは、合成樹脂製である。処置用器具63は、ステンレス等の金属製である。
【0028】
[容器]
処置用器具63は、第1洗浄液100が収容された容器50で覆われる。処置用器具63は、容器50の内部において第1洗浄液100に浸漬される。処置用器具63が容器50に収容されている第1洗浄液100に浸漬された状態で、容器50及び内視鏡処置具60が洗浄槽2に収容された第2洗浄液200に浸漬される。
【0029】
容器50は、容器本体51と、シール部材52とを有する。容器本体51は、処置用器具63を包囲するように配置される。容器本体51は、袋状である。シール部材52は、容器本体51の開口部とシャフト部62の外周面の先端部との境界をシールする。シール部材52により、処置用器具63が収容された容器50の内部が密閉される。シール部材52により、洗浄槽2に収容されている第2洗浄液200が、容器50と内視鏡処置具60との境界を介して容器50の内部に流入することが抑制される。シール部材52により、容器50に収容されている第1洗浄液100が、容器50と内視鏡処置具60との境界を介して洗浄槽2の内部空間に流出することが抑制される。
【0030】
[洗浄液]
内視鏡処置具60は、第1洗浄液100及び第2洗浄液200によって洗浄される。第1洗浄液100の成分と、第2洗浄液200の成分とは、異なる。
【0031】
第1洗浄液100は、界面活性剤を含む。第2洗浄液200は、界面活性剤を含まない。なお、第2洗浄液200は、第1洗浄液100に含まれる界面活性剤よりも少量の界面活性剤を含んでもよい。すなわち、第2洗浄液200の界面活性剤の濃度は、第1洗浄液100の界面活性剤の濃度よりも低くてもよい。第1洗浄液100に含まれる界面活性剤として、ドデシル硫酸ナトリウムが例示される。
【0032】
第1洗浄液100は、還元剤を含む。第2洗浄液200は、還元剤を含まない。なお、第2洗浄液200は、第1洗浄液100に含まれる還元剤よりも少量の還元剤を含んでもよい。すなわち、第2洗浄液200の還元剤の濃度は、第1洗浄液100の還元剤の濃度よりも低くてもよい。第1洗浄液100に含まれる還元剤として、ジチオトレイトール(dithiothreitol:DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Tris(2-carboxyethyl)phosphine Hydrochloride:TCEP)、及び4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニルエタンスルホン酸(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid:HEPES)が例示される。
【0033】
第2洗浄液200は、酵素を含む。第1洗浄液100は、酵素を含まない。なお、第1洗浄液100は、第2洗浄液200に含まれる酵素よりも少量の酵素を含んでもよい。すなわち、第1洗浄液100の酵素の濃度は、第2洗浄液200の酵素の濃度よりも低くてもよい。第2洗浄液200に含まれる酵素として、プロテアーゼが例示される。
【0034】
第1洗浄液100は、アルカリ性でもよい。第2洗浄液200は、アルカリ性でもよい。第1洗浄液100の水素イオン濃度(pH)は、第2洗浄液200の水素イオン濃度(pH)よりも高くてもよい。第1洗浄液100の水素イオン濃度(pH)は、10.5以上11.0以下でもよい。第2洗浄液200の水素イオン濃度(pH)は、9でもよい。
【0035】
[洗浄方法]
次に、実施形態に係る内視鏡処置具60の洗浄方法について説明する。第1洗浄液100が収容された容器50で内視鏡処置具60の先端部である処置用器具63が覆われる。処置用器具63は、容器50に収容されている第1洗浄液100に浸漬される。処置用器具63に熱変性した蛋白質が付着している場合、熱変性した蛋白質は、第1洗浄液100により処置用器具63から除去される。処置用器具63に熱変性した蛋白質が付着していても、処置用器具63は、第1洗浄液100により洗浄される。
【0036】
図1に示すように、処置用器具63が容器50に収容されている第1洗浄液100に浸漬されている状態で、容器50及び内視鏡処置具60が洗浄槽2に収容された第2洗浄液200に浸漬される。容器50及び内視鏡処置具60が洗浄槽2に収容された第2洗浄液200に浸漬された後、制御装置13は、第2洗浄液200を減圧沸騰させる。第2洗浄液200が減圧沸騰することにより、容器50に収容されている第1洗浄液100が揺動する。第1洗浄液100が揺動することにより、処置用器具63が効果的に洗浄される。
【0037】
上述のように、シャフト部62の内部流路65は、ハウジング61の内部と処置用器具63とを繋ぐように設けられる。図1に示す状態において、容器50の内部と洗浄槽2の内部とは、シャフト部62の内部流路65を介して接続される。第2洗浄液200は、流入口64からハウジング61の内部に流入した後、シャフト部62の内部流路65に配置されているチューブをシャフト部62の先端部に向かって流れる。シャフト部62の先端部に到達した第2洗浄液200の一部は、シャフト部62の先端部から容器50の内部に供給される。シャフト部62の先端部に到達した第2洗浄液200の一部は、チューブとシャフト部62の内壁面との隙間を通ってハウジング61の内部に戻り、ハウジング61の隙間から外部に流出する。
【0038】
実施形態においては、第1洗浄液100が収容された容器50で処置用器具63が覆われた状態で、容器50及び内視鏡処置具60が第2洗浄液200に浸漬されることにより、第2洗浄液200が内部流路65を介して容器50の内部に供給され、容器50の内部において第1洗浄液100と第2洗浄液200とが混合される。処置用器具63に熱変性していない蛋白質が付着している場合、第2洗浄液200が容器50の内部に供給されることにより、熱変性していない蛋白質は、第2洗浄液200により処置用器具63から除去される。処置用器具63に熱変性していない蛋白質が付着していても、処置用器具63は、容器50の内部に供給された第2洗浄液200により洗浄される。
【0039】
実施形態において、制御装置13は、容器50及び内視鏡処置具60が洗浄槽2に収容されている第2洗浄液200に浸漬された状態で、洗浄槽2の内部空間を減圧した後に空気を供給して第2洗浄液200に流れを生じさせる気相給気パルス洗浄法により内視鏡処置具60を洗浄する。制御装置13は、容器50及び内視鏡処置具60が洗浄槽2に収容された第2洗浄液200に浸漬されている状態で、第2洗浄液200が設定温度まで加熱されるように加熱装置7を制御し、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されるように減圧装置8を制御する。第2洗浄液200が設定温度まで加熱され、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されることにより、第2洗浄液200が減圧沸騰する。制御装置13は、第2洗浄液200が減圧沸騰している状態で、気相給気装置10から洗浄槽2の内部空間の気体空間に空気を供給する。洗浄槽2に空気が供給されることにより、洗浄槽2の内部空間の圧力が上昇する。洗浄槽2の内部空間の圧力が上昇すると、ハウジング61の内部及びシャフト部62の内部流路65を含む内視鏡処置具60の内部の蒸気が凝縮し、その結果、第2洗浄液200が内視鏡処置具60の内部に勢い良く流入する。洗浄槽2の内部空間の圧力の変化により生じた第2洗浄液200の激しい流れで、内視鏡処置具60の内部が効果的に洗浄される。
【0040】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、第1洗浄液100が収容された容器50で処置用器具63が覆われるので、処置用器具63に付着している第1の異物である熱変性した蛋白質は、第1洗浄液100により処置用器具63から除去される。また、容器50及び内視鏡処置具60が洗浄槽2に収容された第2洗浄液200に浸漬された状態で、第2洗浄液200が減圧沸騰されることにより、容器50に収容されている第1洗浄液100が揺動する。第1洗浄液100が揺動することにより、処置用器具63が第1洗浄液100で効果的に洗浄される。また、容器50の外部に配置されているシャフト部62及びハウジング61は、第2洗浄液200により効果的に洗浄される。また、第2洗浄液200が容器50の内部に供給されることにより、処置用器具63に付着している第2の異物である熱変性していない蛋白質は、第2洗浄液200により処置用器具63から除去される。このように、用手洗浄又は機械洗浄では十分な洗浄が困難な内視鏡処置具60の処置用器具63は、第1洗浄液100及び第2洗浄液200により効果的に洗浄される。
【符号の説明】
【0041】
1…洗浄装置、2…洗浄槽、3…敷網、4…給水装置、5…薬剤供給装置、6…排液装置、7…加熱装置、8…減圧装置、9…液相給気装置、10…気相給気装置、11…圧力センサ、12…温度センサ、13…制御装置、14…蓋、15…給水ライン、16…電磁弁、17…薬剤供給ライン、18…排液ライン、19…電磁弁、20…ヒータ、21…排気ライン、22…真空ポンプ、23…給気ノズル、24…液相給気ライン、25…フィルタ、26…液相給気弁、27…給気口、28…気相給気ライン、29…フィルタ、30…気相給気弁、50…容器、51…容器本体、52…シール部材、60…内視鏡処置具(洗浄対象)、61…ハウジング、62…シャフト部(支持部)、63…処置用器具(先端部)、64…流入口、65…内部流路、100…第1洗浄液、200…第2洗浄液。
図1