(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067967
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】部分放電診断支援システム、部分放電診断支援方法、部分放電診断支援プログラム。
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20240510BHJP
【FI】
G01R31/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178422
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴野 幸造
(72)【発明者】
【氏名】高野 俊也
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇介
(72)【発明者】
【氏名】水出 隆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 栄也
【テーマコード(参考)】
2G015
【Fターム(参考)】
2G015AA16
2G015AA27
2G015BA04
2G015CA01
(57)【要約】
【課題】作業者がノイズの影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる部分放電診断支援システム、部分放電診断支援方法、部分放電診断支援プログラムを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、取得部は、電気機器の運転によって発生する波動の強度を計測するセンサから、異なる期間に計測された複数の波形データを取得する。ノイズ特定部は、複数の波形データそれぞれに含まれる、電気機器の部分放電によらないノイズ成分の強度を特定する。判定部は、複数の波形データのうち、少なくともノイズ成分の強度が所定値以下の波形データについて、部分放電に基づく信号が含まれているか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の運転によって発生する波動の強度を計測するセンサから、異なる期間に計測された複数の波形データを取得する取得部と、
前記複数の波形データそれぞれに含まれる、前記電気機器の部分放電によらないノイズ成分の強度を特定するノイズ特定部と、
前記複数の波形データのうち、少なくとも前記ノイズ成分の強度が所定値未満の波形データについて、前記部分放電に基づく信号が含まれているか否かを判定する判定部と
を備える部分放電診断支援システム。
【請求項2】
前記複数の波形データそれぞれについて、前記部分放電に基づく信号が含まれているか否かの判定結果と、前記ノイズ成分の強度とを関連付けて出力する結果出力部を備える
請求項1に記載の部分放電診断支援システム。
【請求項3】
前記複数の波形データのうち、前記ノイズ成分の強度が所定値未満の波形データを抽出する抽出部を備え、
前記判定部は、抽出された前記波形データについて前記部分放電に基づく信号が含まれているか否かを判定する
請求項1に記載の部分放電診断支援システム。
【請求項4】
前記複数の波形データに係るノイズ成分の強度の分布を出力する分布出力部と、
前記強度の分布の出力とともに前記所定値の入力を受け付ける入力部と
を備える請求項3に記載の部分放電診断支援システム。
【請求項5】
互いに通信可能に接続された計測装置と部分放電診断支援装置とを備え、
前記計測装置は、
前記取得部と、
前記ノイズ特定部と、
前記複数の波形データのうち前記ノイズ成分の強度が所定値未満の波形データを、前記部分放電診断支援装置に送信する送信部と
を備え、
前記部分放電診断支援装置は、
前記計測装置から前記ノイズ成分の強度が所定値未満の波形データを受信する受信部と、
前記判定部と
を備える請求項1に記載の部分放電診断支援システム。
【請求項6】
前記所定値の入力を受け付ける入力部を備える
請求項1から請求項5の何れかに記載の部分放電診断支援システム。
【請求項7】
前記ノイズ特定部は、前記波形データの絶対値平均、前記波形データのエネルギーおよび前記波形データのパワーのうち少なくとも何れか1つを用いて、前記ノイズ成分の強度を特定する
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の部分放電診断支援システム。
【請求項8】
電気機器の運転によって発生する波動の強度を計測するセンサから、異なる期間に計測された複数の波形データを取得するステップと、
前記複数の波形データそれぞれに含まれる、前記電気機器の部分放電によらないノイズ成分の強度を特定するステップと、
前記複数の波形データのうち、少なくとも前記ノイズ成分の強度が所定値未満の波形データについて、前記部分放電に基づく信号が含まれているか否かを判定するステップと
を備える部分放電診断支援方法。
【請求項9】
コンピュータに、
電気機器の運転によって発生する波動の強度を計測するセンサから、異なる期間に計測された複数の波形データを取得するステップと、
前記複数の波形データそれぞれに含まれる、前記電気機器の部分放電によらないノイズ成分の強度を特定するステップと、
前記複数の波形データのうち、少なくとも前記ノイズ成分の強度が所定値未満の波形データについて、前記部分放電に基づく信号が含まれているか否かを判定するステップと
を実行させるための部分放電診断支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、部分放電診断支援システム、部分放電診断支援方法、部分放電診断支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチギヤ等の電気機器では、経時使用による劣化によって、電気機器の表面や内部の絶縁体の絶縁性能が低下することがある。絶縁性能が低下すると、絶縁性能の低下した箇所から、部分放電が発生する。さらに絶縁性能の低下が進行すると、電気機器に絶縁破壊が起こる可能性がある。
【0003】
部分放電の有無を診断するために、部分放電によって発生する波動(電磁波、音、振動など)をセンサで計測するが、センサの計測値には様々な環境ノイズが混入することがある。このため、点検を行う作業スタッフが部分放電の信号から、スイッチギヤ内の絶縁部の劣化状況を診断することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6320596号公報
【特許文献2】特許第6959859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、作業者がノイズの影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる部分放電診断支援システム、部分放電診断支援方法、部分放電診断支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の部分放電診断支援システムは、取得部と、ノイズ特定部と、判定部とを持つ。取得部は、電気機器の運転によって発生する波動の強度を計測するセンサから、異なる期間に計測された複数の波形データを取得する。ノイズ特定部は、複数の波形データそれぞれに含まれる、電気機器の部分放電によらないノイズ成分の強度を特定する。判定部は、複数の波形データのうち、少なくともノイズ成分の強度が所定値以下の波形データについて、部分放電に基づく信号が含まれているか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る部分放電診断支援システムの一例を示す説明図。
【
図2】第1の実施形態に係る部分放電診断支援システムのソフトウェア構成を示す概略図。
【
図3】第1の実施形態に係るデータの記録方法を示すフローチャート。
【
図4】第1の実施形態に係る分析結果の出力方法を示すフローチャート。
【
図5】第1の実施形態に係る表示データの例を示す図。
【
図6】第2の実施形態に係る部分放電診断支援システムのソフトウェア構成を示す概略図。
【
図7】第2の実施形態に係るデータの記録方法を示すフローチャート。
【
図8】第2の実施形態に係る表示データの例を示す図。
【
図9】第3の実施形態に係る部分放電診断支援システムのソフトウェア構成を示す概略図。
【
図10】第3の実施形態に係るデータの記録方法を示すフローチャート。
【
図11】第3の実施形態に係る表示データの例を示す図。
【
図12】第4の実施形態に係る部分放電診断支援システムのソフトウェア構成を示す概略図。
【
図13】第4の実施形態に係る表示データの例を示す図。
【
図14】第5の実施形態に係る部分放電診断支援システムのソフトウェア構成を示す概略図。
【
図15】第5の実施形態に係る表示データの例を示す図。
【
図16】第6の実施形態に係る部分放電診断支援システムのソフトウェア構成を示す概略図。
【
図17】第6の実施形態に係る表示画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の部分放電診断支援システム、部分放電診断支援方法、部分放電診断支援プログラムを、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る部分放電診断支援システム1の一例を示す説明図である。
図1において、部分放電診断支援システム1は、客先に配置される複数の電気機器10および計測装置30と、部分放電を診断するセンター(事業所など)に設けられる診断支援装置50とを備える。なお、
図1に示す例では電気機器10および計測装置30と、診断支援装置50とが遠隔に設けられるが、これに限られず、同一箇所に設置し、ネットワークを介さずに接続されていてもよい。
【0010】
計測装置30と、診断支援装置50とは、インターネットNによって通信可能に接続されている。各装置は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信部などを備えた、パソコンやタブレット端末などのコンピュータ装置である。
【0011】
複数の電気機器10は、それぞれ筐体11に収納され、列盤されている。電気機器10の例としては、スイッチギヤ、遮断器、主回路導体等が挙げられる。複数の電気機器10は、例えばほぼ直線状に配置されている。電気機器10は、表面や内部に絶縁機器を有する。電気機器10は、経時使用による劣化等によって、部分放電が発生することがある。計測装置30は、筐体11に収納される電気機器10の絶縁部に発生した部分放電の信号強度を計測する。
【0012】
筐体11の正面には、それぞれ電極12が接触するように固定される。電極12は、筐体11の表面電位を検出する。電極12は、検出された表面電位を電気信号として計測装置30に出力する。電極12は、例えば筐体11に半恒久的に接触する状態で設けられていてもよい。電極12は、例えば作業スタッフ(検査員)等が電気機器10からの部分放電の有無を判定する作業を行う間だけ一時的に筐体11に接触する形態でもよい。なお、
図2に示す構成では1つの電極12が、筐体11に設けられているが、複数の電極12が1つの筐体11に設けられてもよい。複数の電極12が1つの筐体11に設けられることで、計測装置30は、より高精度に筐体11の表面電位を計測することができる。
【0013】
筐体11の下部には、共通の接地母線13が配設されている。接地母線13は、接地極に接続されている。筐体11は、正面板、天井板、背面板、床板、側面板を含んで構成される。これら正面板、天井板、背面板、床板、側面板を、筐体11を構成する構成板と総称する。
図2に示す例では電極12は正面板に接触固定されているが、電極12は、他の構成板のいずれかに接触固定されていてもよい。構成板は、接地母線13に接続される。
【0014】
なお、
図1では、部分放電信号を計測する方式として、電極12による表面電位を計測する方式を示したが、部分放電信号を計測する方式は、表面電位の計測に限定されない。例えば、計測装置30は、表面電位の代わりに電磁波を計測してもよい。この場合、計測装置30は、電極12の代わりにアンテナから電気信号を取得すればよい。アンテナは、電磁波の強度を計測する。アンテナは、計測された電磁波の強度に基づいて電気信号を計測装置30に出力する。また、計測装置30は、表面電位の代わりに接地電流を計測してもよい。この場合、計測装置30は、電極12の代わりに高周波CT(Current Transformer)等のセンサから電気信号を取得する。センサは、接地電流を計測する。センサは、計測された接地電流の大きさに基づいて電気信号を計測装置30に出力する。計測装置30は、電気機器の部分放電に基づいて得られる他の物理量を取得してもよい。物理量は、例えば接地電位、電磁波、接地線電流、振動又は音等である。
【0015】
計測装置30は、電極12ごとの部分放電(表面電位)の波形データを計測する。以下では、一の電気機器10における部分放電の診断について説明する。波形データは、部分放電の信号強度を含む。なお波形データは、印加電圧の情報を含んでいてもよい。また、計測装置30は、計測によって得た波形データを所定のタイミングで診断支援装置50へ送信する。
【0016】
診断支援装置50は、計測装置30から受信した波形データに基づいて、電気機器10の部分放電の有無の判定を含む各種分析を行い、分析結果を作業者に提示する。作業者は、診断支援装置50の分析結果を参考にして、電気機器10の劣化状態を診断する。
【0017】
診断支援装置50は、例えば、機械学習された学習済みモデルを用いて各種分析を行う。ここで、診断支援装置50の分析方法について具体的に説明する。
【0018】
診断支援装置50は、波形データを電源電圧の周期ごとに切り出し、複数のサブ波形を生成する。このとき、診断支援装置50は、計測された波形を電源電圧のゼロクロスタイミングで切り出す。これは、部分放電が電源電圧の位相に応じて生じる特徴を有するためである。
【0019】
次に、診断支援装置50は、切り出した複数のサブ波形に基づいて、部分放電信号の特徴量を抽出する。例えば、診断支援装置50は、部分放電信号の平均強度、分散値、最大値の平均、最小値の平均、平均ピーク数などを抽出する。
【0020】
次に、診断支援装置50は、例えば、切り出された複数のサブ波形の平均波形を算出し、これを高速フーリエ変換することで、周波数スペクトルに変換する。診断支援装置50は、周波数ごとのスペクトル強度と電源電圧周波数の組み合わせに基づいて、欠陥種を求める。診断支援装置50は、例えば機械学習によって得られた学習済みモデルである判定モデルを用いて欠陥種を求める。具体的には、以下の手順で学習された学習済みモデルを用いることができる。機械学習モデルとしては、例えばニューラルネットワークモデルを用いることができる。
【0021】
ここで、判定モデルの学習方法について説明する。
予め、実験によって所望の欠陥を生じた機器から部分放電信号を得ておき、当該部分放電信号の周波数ごとのスペクトル強度と電源電圧周波数の組み合わせを入力サンプルとし、欠陥種を示すワンホットベクトルを出力サンプルとする学習用データセットを用意する。ワンホットベクトルは、N個の欠陥種と1つの「欠陥無し」を示すN+1次元のベクトルであって、1つの要素のみが1であり、他の要素が0であるベクトルである。上記学習用データセットを用いて、判定モデルのパラメータを、入力サンプルが入力されたときに出力サンプルの値が出力されるよう更新することで、学習済みモデルを得ることができる。診断支援装置50は、周波数ごとのスペクトル強度と電源電圧周波数の組み合わせを判定モデルに入力し、得られたベクトルのうち最も値の大きい要素に対応する欠陥種を出力する。
【0022】
なお、診断支援装置50による部分放電の判定方法は上記に限られない。例えば、診断支援装置50は、計測装置30から受信した波形データと、既知の波形データとの類似度を求め、類似度が閾値以下である場合に部分放電がないと判定し、閾値を超える場合に部分放電があると判定するものであってもよい。
【0023】
また、診断支援装置50は、波形データを、クラスタリング手法に基づいて所定数のクラスタの何れかに分類することで欠陥種を判定してもよい。例えば、診断支援装置50は、以下の手順で波形データを何れかのクラスタに分類する。まず、診断支援装置50は、既知の複数の波形データと、新たに計測装置30から受信した波形データとから得られた複数のサブ波形に係る周波数スペクトルを生成する。診断支援装置50は、複数の平均波形の周波数ごとのスペクトル強度と電源電圧周波数の組み合わせに基づいて、各波形のクラスタリングを行う。クラスタ数は、設計者等によって予め設定される。クラスタリングは、例えばk平均法などによって実行される。クラスタは、欠陥種ごとに生成されることが期待されるため、作業者は、計測装置30から受信した波形データの欠陥種が、当該波形データが分類されたクラスタに係る欠陥種であると診断することができる。
なお、診断支援装置50は、事前に複数の波形を用いたクラスタリング処理を行いクラスタの境界面を特定しておき、当該境界面に基づいて平均波形を複数のクラスタの1つに分類するものであってもよい。
【0024】
ところで、電気機器10が設けられる環境には、通常、様々な環境ノイズが存在する。そのため、波形データには、電気機器10の部分放電に起因する電磁波と環境ノイズとが混在することとなる。波形データにおけるノイズの大きさが大きいほど、部分放電に係る分析結果の正確性が低下する可能性がある。
以下、上述の部分放電診断支援システム1において、ノイズの影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援するいくつかの実施形態について、説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態に係る部分放電診断支援システム1のソフトウェア構成を示す概略図である。
【0026】
第1の実施形態に係る計測装置30は、取得部31と送信部32とを備える。取得部31は、電極12から供給される電気信号に基づいて波形データを取得する。つまり、取得部31は、電気信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングし、デジタル変換することによって、波形データを取得する。送信部32は、取得部31が取得した波形データを、インターネットNを介して診断支援装置50に送信する。
【0027】
診断支援装置50は、受信部51、信号強度算出部52、分析部53、記憶部54、読み出し部55、表示制御部56を備える。
【0028】
受信部51は、インターネットNを介して計測装置30から波形データを受信する。波形データに係る電気機器10は、波形データの送信元の計測装置30に基づいて特定することができる。
【0029】
信号強度算出部52は、波形データの信号強度を算出する。波形データの信号強度の例としては、波形データの各時刻の強度の絶対値平均、波形データの各時刻の強度の二乗和(エネルギー)、波形データの各時刻の強度の二乗平均(パワー)が挙げられる。
電気機器10の環境から発生されるノイズは、定常的に存在することが多い。他方、部分放電に係る信号はパルス状かつ間欠的に表れる。そのため、波形データに係る信号強度においては、ノイズの信号強度が支配的である。したがって、信号強度算出部52が算出する波形データの信号強度は、波形データに含まれるノイズの大きさとみなすことができる。つまり、信号強度算出部52は、ノイズ特定部の一例である。なお、他の実施形態においては、ノイズ成分の強度は信号強度以外によって特定されてもよい。
【0030】
分析部53は、上述のように機械学習やクラスタリングなどの手法に基づいて、受信部51が受信した波形データから電気機器10の部分放電に係る分析を行う。分析部53は、波形データについて部分放電に基づく信号が含まれているか否かを判定する判定部の一例である。
【0031】
記憶部54は、波形データに関連付けて、電気機器10のIDと、計測時刻と、信号強度算出部52が計測した信号強度と、分析部53による分析結果とを関連付けて記憶する。記憶部54は、波形データに関連付けて、さらに同期する印加電圧を記憶してもよい。
【0032】
読み出し部55は、作業者から、電気機器10のIDを含む、部分放電に係る分析結果の要求を受け付ける。読み出し部55は、作業者からの要求に含まれるIDに関連付けられた波形データに係る計測時刻、信号強度および分析結果を、記憶部54から読み出す。
【0033】
表示制御部56は、読み出し部55が読み出した計測時刻、信号強度および分析結果を関連付けたリストを生成し、ディスプレイ等に表示させる。表示制御部56は、複数の波形データそれぞれについてノイズ成分の強度を表す信号強度と分析結果とを関連付けて出力する結果出力部の一例である。
【0034】
図3は、第1の実施形態に係るデータの記録方法を示すフローチャートである。
まず、計測装置30の取得部31は、電極12から供給される電気信号に基づいて波形データを取得する(ステップS101)。送信部32は、波形データを診断支援装置50に送信する(ステップS102)。
【0035】
診断支援装置50の受信部51が波形データを受信すると、当該波形データを、計測装置30のIDおよび計測時刻に関連付けて記憶部54に記録する(ステップS103)。信号強度算出部52は、受信した波形データの信号強度を計測し、当該波形データに関連付けて信号強度を記憶部54に記録する(ステップS104)。分析部53は、受信した波形データについて、部分放電に係る分析を行い、当該波形データに関連付けて分析結果を記憶部54に記録する(ステップS105)。
【0036】
図4は、第1の実施形態に係る分析結果の出力方法を示すフローチャートである。
まず、計測装置30の読み出し部55は、作業者から電気機器10のIDを含む分析結果の出力要求を受け付ける(ステップS151)。出力要求には分析対象の期間が含まれていてもよい。読み出し部55は、出力要求に係るIDに関連付けられた計測時刻、信号強度および分析結果を、記憶部54から読み出す(ステップS152)。出力要求に分析対象の期間が含まれる場合、読み出し部55は、出力要求に係るIDに関連付けられ、かつ計測時刻が当該期間内に係る計測時刻、信号強度および分析結果を読み出す。
【0037】
表示制御部56は、読み出した計測時刻、信号強度および分析結果のリストを生成し、当該リストをディスプレイ等に表示させる(ステップS153)。
【0038】
このように、第1実施形態に係る部分放電診断支援システム1は、複数の波形データそれぞれについて、部分放電に基づく信号が含まれているか否かを示す分析結果と、ノイズ成分を表す信号強度とを関連付けて出力する。
図5は、第1の実施形態に係る表示データの例を示す図である。
図5に示すように、信号強度と分析結果とが関連付けて表示されることで、作業者は、信号強度を参照して、分析結果の確からしさを判断することができる。つまり、部分放電診断支援システム1は、ノイズの影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る部分放電診断支援システム1のソフトウェア構成を示す概略図である。
【0040】
第2の実施形態に係る計測装置30は、第1の実施形態の構成に加え、さらに信号強度算出部33、信号強度記憶部34、閾値決定部35、有効性判定部36を備える。
【0041】
信号強度算出部33は、取得部31が取得した波形データの信号強度を算出する。信号強度算出部33は、第1の実施形態の信号強度算出部52と同様の方法で波形データの信号強度を算出する。
【0042】
信号強度記憶部34は、信号強度算出部33が算出した信号強度の値を記憶する。
【0043】
閾値決定部35は、信号強度記憶部34に記録された信号強度の値に基づいて、波形データが有効か否かの閾値を決定する。波形データが有効であるとは、波形データに含まれるノイズが十分に小さく、部分放電の分析に一定の精度が期待できることをいう。例えば、閾値決定部35は、信号強度記憶部34に記録された信号強度の下位10%に対応する信号強度を、閾値に決定する。また例えば、閾値決定部35は、信号強度の分布に基づいて、波形データを適切に分離する閾値を決定してもよい。例えば、閾値決定部35は、クラスタリングによって、信号強度の分布を2つのクラスタに分け、その境界面を閾値に決定してもよい。また閾値決定部35は、確率分布推定によって閾値を決定してもよい。
【0044】
有効性判定部36は、取得部31が取得した波形データの信号強度と閾値とを比較し、当該波形データの有効性の有無を判定する。具体的には、有効性判定部36は、取得部31が取得した波形データの信号強度が閾値未満である場合に、当該波形データが有効であると判定する。つまり、有効性判定部36は、複数の波形データのうち、ノイズ成分の強度が所定値未満の波形データを抽出する抽出部の一例である。
【0045】
送信部32は、有効性判定部36によって有効であると判定された波形データを診断支援装置50に送信し、有効性判定部36によって有効でないと判定された波形データを診断支援装置50に送信しない。
【0046】
図7は、第2の実施形態に係るデータの記録方法を示すフローチャートである。
まず、計測装置30の取得部31は、電極12から供給される電気信号に基づいて波形データを取得する(ステップS201)。信号強度算出部33は、取得した波形データの信号強度を計測し、信号強度記憶部34に記録する(ステップS202)。閾値決定部35は、信号強度記憶部34に記憶された信号強度のサンプル数が一定数に達したか否かを判定する(ステップS203)。信号強度のサンプル数が一定数未満である場合(ステップS203:NO)、計測装置30は波形データを計測装置に送信するか否かの判断を行わずに処理を終了する。
【0047】
他方、信号強度のサンプル数が一定数以上である場合(ステップS203:YES)、閾値決定部35は、信号強度記憶部34に記憶された複数の信号強度に基づいて、有効性の判定に用いる閾値を決定する(ステップS204)。有効性判定部36は、ステップS202で算出した信号強度が、ステップS204で決定した閾値未満であるか否かを判定する(ステップS205)。信号強度が閾値以上である場合(ステップS205:NO)、有効性判定部36は、ステップS201で取得した波形データが有効でないと判定し、送信部32は当該波形データを計測装置30に送信せずに処理を終了する。
【0048】
信号強度が閾値未満である場合(ステップS205:YES)、有効性判定部36は、ステップS201で取得した波形データが有効であると判定し、送信部32は当該波形データとステップS202で算出した信号強度とを、計測装置30に送信する(ステップS206)。
【0049】
診断支援装置50の受信部51が波形データおよび信号強度を受信すると、当該波形データおよび信号強度を、計測装置30のIDおよび計測時刻に関連付けて記憶部54に記録する(ステップS207)。分析部53は、受信した波形データについて、部分放電に係る分析を行い、当該波形データに関連付けて分析結果を記憶部54に記録する(ステップS208)。
【0050】
第2の実施形態に係る分析結果の出力方法は、第1の実施形態と同様である。つまり、診断支援装置50は、
図4に示す手順で分析結果を出力する。
【0051】
このように、第2実施形態に係る計測装置30は、複数の波形データそれぞれについてノイズ成分を表す信号強度を計算し、信号強度が小さいものを計測装置30による分析の対象として診断支援装置50に送信する。
図8は、第2の実施形態に係る表示データの例を示す図である。
図8に示すように、信号強度と分析結果とが関連付けて表示されることで、作業者は、信号強度を参照して、分析結果の確からしさを判断することができる。つまり、部分放電診断支援システム1は、ノイズの影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる。また、第2実施形態によれば、診断支援装置50は、信号強度が閾値未満の波形データに係る分析結果だけを表示することができる。
【0052】
さらに、第2実施形態によれば、計測装置30は信号強度が一定の閾値を下回る波形データのみを送信するため、部分放電診断支援システム1は、診断精度を落とさずに、データ送信量を削減することができる。つまり、部分放電診断支援システム1は、分析の精度を維持しながら、インターネットNを介したデータの通信量を低減することができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る部分放電診断支援システム1のソフトウェア構成を示す概略図である。
【0054】
第3の実施形態に係る診断支援装置50は、第1の実施形態の構成に加え、さらに閾値決定部57、有効性判定部58を備える。
閾値決定部57は、記憶部54に記録された信号強度の値に基づいて、波形データが有効か否かの閾値を決定する。閾値決定部57は、例えば第2の実施形態に係る閾値決定部35と同様の方法で閾値を決定してよい。
有効性判定部58は、受信部51が受信した波形データの信号強度と閾値とを比較し、当該波形データの有効性の有無を判定する。
【0055】
分析部53は、有効性判定部58によって有効であると判定された波形データについて、分析を行い、有効性判定部36によって有効でないと判定された波形データについて分析を行わない。
【0056】
図10は、第3の実施形態に係るデータの記録方法を示すフローチャートである。
まず、計測装置30の取得部31は、電極12から供給される電気信号に基づいて波形データを取得する(ステップS301)。送信部32は、波形データを診断支援装置50に送信する(ステップS302)。
【0057】
診断支援装置50の受信部51が波形データを受信すると、当該波形データを、計測装置30のIDおよび計測時刻に関連付けて記憶部54に記録する(ステップS303)。信号強度算出部52は、受信した波形データの信号強度を計測し、当該波形データに関連付けて信号強度を記憶部54に記録する(ステップS304)。
【0058】
閾値決定部57は、記憶部54に記憶された信号強度のサンプル数が一定数に達したか否かを判定する(ステップS305)。信号強度のサンプル数が一定数未満である場合(ステップS305:NO)、診断支援装置50はステップS303で受信した波形データについて分析を行わずに処理を終了する。
【0059】
他方、信号強度のサンプル数が一定数以上である場合(ステップS305:YES)、閾値決定部57は、記憶部54に記憶された複数の信号強度に基づいて、有効性の判定に用いる閾値を決定する(ステップS306)。有効性判定部58は、ステップS304で算出した信号強度が、ステップS306で決定した閾値未満であるか否かを判定する(ステップS307)。信号強度が閾値以上である場合(ステップS307:NO)、有効性判定部36は、ステップS303で受信した波形データが有効でないと判定し、分析部53は当該波形データの分析を行わずに処理を終了する。
【0060】
信号強度が閾値未満である場合(ステップS307:YES)、有効性判定部36は、ステップS303で受信した波形データが有効であると判定し、分析部53は、受信した波形データについて、部分放電に係る分析を行い、当該波形データに関連付けて分析結果を記憶部54に記録する(ステップS308)。
【0061】
第3の実施形態に係る分析結果の出力方法は、第1の実施形態と同様である。つまり、診断支援装置50は、
図4に示す手順で分析結果を出力する。
【0062】
このように、第3実施形態に係る診断支援装置50は、複数の波形データそれぞれについてノイズ成分を表す信号強度を計算し、信号強度が小さいものを分析部53による分析の対象とする。
図11は、第3の実施形態に係る表示データの例を示す図である。
図11に示すように、信号強度と分析結果とが関連付けて表示されることで、作業者は、信号強度を参照して、分析結果の確からしさを判断することができる。分析結果は、部分放電の有無、部分放電がある場合に当該部分放電が内部放電であるか外部放電であるかの別を示す。分析部53は、複数の波形データのうち、少なくともノイズ成分の強度が所定値未満の波形データについて、部分放電に基づく信号が含まれているか否かを判定する判定部の一例であるといえる。
つまり、部分放電診断支援システム1は、ノイズの影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる。これにより、部分放電診断支援システム1は、ノイズの影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる。また、第3実施形態によれば、診断支援装置50は、
図11に示すように信号強度が閾値未満の波形データに係る分析結果だけを表示することができる。
【0063】
さらに、第3実施形態によれば、診断支援装置50は信号強度が一定の閾値を下回る波形データのみを分析対象とするため、診断支援装置50は、診断精度を落とさずに、計算負荷を削減することができる。
【0064】
(第4の実施形態)
図12は、第4の実施形態に係る部分放電診断支援システム1のソフトウェア構成を示す概略図である。
【0065】
第4の実施形態に係る診断支援装置50は、第1の実施形態の構成に加え、さらに関連データ取得部59を備える。
関連データ取得部59は、外部のデータベース等から、波形データの計測時刻における環境に係る環境データを取得する。関連データ取得部59は、インターネットNを介してデータを取得してもよいし、インターネットNを介さずにデータを取得してもよい。環境データの例としては、天候、温度、湿度、気圧、日照時間などの気象データ、電気機器10が設けられる施設内における機器の稼働データ、電気機器10が設けられる施設に係る従業員の勤務データなどが挙げられる。
【0066】
表示制御部56は、信号強度と分析結果との関係に加え、環境データと分析結果との関係をディスプレイに表示させる。
図13は、第4の実施形態に係る表示データの例を示す図である。
図13に示す表示データは、信号強度と分析結果の関係を示すグラフG1と、環境データと分析結果の関係を示すグラフG2とを含む。グラフG1およびグラフG2は、横軸に時刻をとり、縦軸に分析結果(欠陥種)をとるグラフである。信号強度はグラフG1のプロットの色(濃度)によって表される。
図13に示す例では、信号強度が弱いほどプロットの濃度が高くなり、信号強度が強いほどプロットの濃度が低くなる。環境データはグラフG2のプロットの色(濃度)によって表される。
図13に示す例では、環境データの一例である湿度が高いほどプロットの濃度が高くなり、湿度が低いほどプロットの濃度が低くなる。また、各グラフには、分析部53による分析結果を表示するコメント欄が設けられていてもよい。
【0067】
このように、第4の実施形態によれば、信号強度に加えて環境データを参照して、分析結果の確からしさを判断することができる。これにより、部分放電診断支援システム1は、ノイズおよび環境の影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる。
【0068】
なお、
図13に示す例では、表示制御部56はグラフG1とグラフG2とをディスプレイに表示させるが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、表示制御部56は1つのグラフを表示させるものであってもよい。この場合、表示制御部56は、信号強度と環境データとのうち表示させるものを選択するためのドロップダウンリストやラジオボタンなどのUIを表示させ、作業者の操作によって切り替え可能とする。また、他の実施形態においては、表示制御部56は、第1の実施形態のように、テーブルを用いて環境データを表示してもよい。この場合、テーブルには、環境データを表示するための列が設けられる。
【0069】
(第5の実施形態)
図14は、第5の実施形態に係る部分放電診断支援システム1のソフトウェア構成を示す概略図である。
【0070】
第5の実施形態に係る診断支援装置50は、第1の実施形態の構成に加え、さらに入力部60を備える。
入力部60は、分析結果を表示すべき信号強度の範囲の入力を受け付ける。
表示制御部56は、信号強度と分析結果との関係を示すグラフをディスプレイに表示させる。
図15は、第5の実施形態に係る表示データの例を示す図である。
図15に示す表示データは、信号強度と分析結果の関係を示すグラフG1と、信号強度の分布を示すグラフG3と、グラフG3の横軸である信号強度に沿って設けられた、信号強度の範囲を指定するためのスライドバーSBとを含む。入力部60は、スライドバーSBの操作によって信号強度の範囲の入力を受け付ける。つまり、表示制御部56は、複数の波形データに係るノイズ成分の強度の分布を示すグラフG3を出力する分布出力部の一例である。入力部60は、強度の分布の出力とともに範囲の入力を受け付ける。
【0071】
グラフG1は、横軸に時刻をとり、縦軸に分析結果(欠陥種)をとるグラフである。グラフG1のプロットの色(濃度)は、入力部60に入力された範囲内である場合に第1の濃度となり、入力部60に入力された範囲外である場合に第1の濃度より薄い第2の濃度となる。グラフG3は、横軸に信号強度をとり、縦軸にデータ数をとるグラフである。つまり、表示制御部56は、複数の波形データのうち、ノイズ成分の強度が入力部60に入力された範囲内の波形データを抽出し、プロットの濃度を決定する。
【0072】
このように、第5の実施形態によれば、部分放電診断支援システム1は、作業者によって指定された範囲内の信号強度を強調して分析結果を表示する。これにより、部分放電診断支援システム1は、ノイズおよび環境の影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる。
【0073】
なお、
図15に示す例では、スライドバーSBがグラフG3の横軸に沿って設けられる。これにより、作業者は、波形データの信号強度の分布を参照しながら、分析結果を表示する範囲を決定することができる。
【0074】
(第6の実施形態)
図16は、第6の実施形態に係る部分放電診断支援システム1のソフトウェア構成を示す概略図である。
【0075】
第6の実施形態に係る診断支援装置50は、第4の実施形態の構成に加え、さらに入力部60および検索部61を備える。
入力部60は、アソシエーション分析のフィルタ条件の入力を受け付ける。アソシエーション分析とは、大量のサンプルに基づいて、前提条件と結論との関係性を分析する手法である。フィルタ条件とは、アソシエーション分析の結果を表示するための前提条件および結論の種別、ならびに信頼度および支持度の下限値である。
検索部61は、波形データの分析結果(欠陥種)と、信号強度と、環境データとに基づいてアソシエーション分析を行い、前提条件と結論の組み合わせごとの支持度および信頼度を算出する。支持度とは、前提条件と結論とを同時に満たすサンプルが全サンプルに占める割合である。信頼度とは、前提条件を満たすときに結論が成立する割合である。検索部61は、入力部60に入力されたフィルタ条件に基づいて、表示すべきデータを絞り込む。
【0076】
図17は、第6の実施形態に係る表示画面の例を示す図である。表示制御部56は、
図17に示すような表示画面を表示する。表示画面には、入力フォームF、検索結果テーブルT、信号強度と分析結果の関係を示すグラフG1が表示される。入力部60は、入力フォームFの操作によってフィルタ条件の入力を受け付ける。入力フォームFには、前提条件の種類および値、結論の種類および値、信頼度の下限値、指示度の下限値、ならびに決定ボタンが含まれる。前提条件および結論の種類の選択肢には、分析結果(欠陥種)、信号強度、環境データがそれぞれ含まれる。作業者は、入力フォームFにフィルタ条件を入力し、決定ボタンを押下することで、入力部60にフィルタ条件を入力する。なお、フィルタ条件は、必ずしもすべて入力する必要がない。例えば、
図17に示すように前提条件を空欄とし、結論を入力することで、入力した結論に係るすべての組み合わせを検索対象とすることができる。
【0077】
このように、第6の実施形態によれば、所定の結論を得るための前提条件を検索することができる。例えば、結論として、分析結果が「内部放電」を指定すると、分析結果が内部放電となる前提条件の組み合わせを、信頼度および支持度と共に表示することができる。これにより、作業者は、任意の分析結果に対する発生条件について検討することができる。
【0078】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、部分放電診断支援システムは、取得部と、ノイズ特定部と、判定部とを持つ。取得部は、電気機器の運転によって発生する波動の強度を計測するセンサから、異なる期間に計測された複数の波形データを取得する。ノイズ特定部は、複数の波形データそれぞれに含まれる、電気機器の部分放電によらないノイズ成分の強度を特定する。判定部は、複数の波形データのうち、少なくともノイズ成分の強度が所定値未満の波形データについて、部分放電に基づく信号が含まれているか否かを判定する。これにより、部分放電診断支援システムは、作業者がノイズの影響に鑑みて絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0080】
例えば、上述した実施形態では、診断支援装置50が分析部53を備えるが、これに限られない。他の実施形態においては、分析部53を計測装置30が備え、送信部32が波形データとともに分析結果を診断支援装置50に送信するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…部分放電診断支援システム 10…電気機器 11…筐体 12…電極 13…接地母線 30…計測装置 31…取得部 32…送信部 33…信号強度算出部 34…信号強度記憶部 35…閾値決定部 36…有効性判定部 50…診断支援装置 51…受信部 52…信号強度算出部 53…分析部 54…記憶部 55…読み出し部 56…表示制御部 57…閾値決定部 58…有効性判定部 59…関連データ取得部 60…入力部 61…検索部 N…インターネット