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特開2024-67978金属エレメント、および、樹脂、金属等からなる異種材板への金属エレメントの接合構造
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  • 特開-金属エレメント、および、樹脂、金属等からなる異種材板への金属エレメントの接合構造 図1
  • 特開-金属エレメント、および、樹脂、金属等からなる異種材板への金属エレメントの接合構造 図2
  • 特開-金属エレメント、および、樹脂、金属等からなる異種材板への金属エレメントの接合構造 図3
  • 特開-金属エレメント、および、樹脂、金属等からなる異種材板への金属エレメントの接合構造 図4
  • 特開-金属エレメント、および、樹脂、金属等からなる異種材板への金属エレメントの接合構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067978
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】金属エレメント、および、樹脂、金属等からなる異種材板への金属エレメントの接合構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 4/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
F16B4/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178443
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】390038069
【氏名又は名称】株式会社青山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】小島 剛
(57)【要約】
【課題】塑性変形し易い金属板のみならず、熱影響を与えず樹脂板にも強固に接合させることが可能なエレメントを提供する。
【解決手段】エレメント1は、鉄によって、所定の直径、高さを有する扁平な円柱状に一体的に形成されている。また、外周の表面には、一定の上下幅の大径部2が形成されており、その大径部2の表面には、アヤメ状の凹凸が形成されている。そして、軸方向へ圧力を加えると、拡径方向および内径方向のみに塑性変形することによって、樹脂板または金属板に穿設された挿通孔の内面を圧接する以外に塑性変形しないため、樹脂板または金属板に非常に強固に接合させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂板または金属板に接合させる金属エレメントであって、
円柱状部分を有しており、その円柱状部分の表面が非平坦状になっており、
樹脂板または金属板に穿設された挿通孔に挿入した状態で、軸方向に圧力を加えて、前記円柱状部分を拡径させ、前記円柱状部分を前記樹脂板または金属板の挿通孔の内面にのみ圧接させることによって、前記樹脂板または金属板に接合させることを特徴とする金属エレメント。
【請求項2】
前記円柱状部分の表面が、アヤメ状の凹凸加工を施したものであることを特徴とする請求項1に記載の金属エレメント。
【請求項3】
前記円柱状部分が、中空、あるいは、表裏両面または片面を凹状に形成したものであることを特徴とする請求項1、または2に記載の金属エレメント。
【請求項4】
樹脂板または金属板に金属エレメントを接合させるための接合構造であって、
前記金属エレメントが、円柱状部分を有しており、その円柱状部分の表面が非平坦状になっており、
前記金属エレメントを樹脂板または金属板に穿設された挿通孔に挿入した状態で、軸方向に圧力を加えて、前記金属エレメントの円柱状部を拡径させ、前記円柱状部を前記樹脂板または金属板に穿設された挿通孔の内面にのみ圧接させることによって、前記樹脂板または金属板に接合させることを特徴とする樹脂板または金属板への金属エレメントの接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製または金属製の板材に接合させるための金属部材(エレメント)、および、その接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体等の製造においては、高張力鋼板等の鉄鋼材料からなる板材と、アルミニウム合金等の軽合金からなる板材とを重ね合わせて固着させることがある。そのように異種金属からなる板材同士を固着させる方法として、軽合金からなる板材に鉄鋼材料からなるエレメント(リベット)を嵌め込んで固定し、そのエレメントの部分を、抵抗溶接等の方法で鉄鋼材料からなる板材に融着させる方法が採用されている。
【0003】
また、上記の如く、異種金属からなる板材同士を固着させる際に、軽合金からなる板材に鉄鋼材料からなるエレメントを嵌め込んで固定する方法としては、図5の如く、扁平な円柱状のフランジ52の下側の部分を円錐台状に形成したエレメント51を、軽合金からなる板材54に圧入する方法が知られている。すなわち、図5(a)の如く、エレメント51の円錐台状の部分53を、軽金属製の板材54に穿設された挿通孔55に挿入した状態で、軸方向に圧力を加えて、エレメント51のフランジ52を板材54の挿通孔55に圧入することによって、挿通孔55の周囲を塑性変形させて、図5(b)の如く、その塑性変形した金属を、円錐台状の部分53の上面とフランジ52の下面とで形成される隙間に入り込ませることによって、エレメント51を、板材54から脱離しないように固定するものである。
【0004】
さらに、軽合金からなる板材に鉄鋼材料からなるエレメントを嵌め込んで固定する方法として、特許文献1の如く、フランジの下側の軸部の外周面を凹状に湾曲させて軸部の中間の部分を小径にしたエレメントを、軽合金製の板材に圧入することによって、塑性変形した金属を、エレメントの軸部の凹状部分に入り込ませることによって、エレメントを、板材から脱離しないように固定する方法も考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6010739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図5の如き、軸部を円錐状に形成したエレメントを軽合金からなる板材に嵌め込んで固定する方法や、特許文献1の如き、軸部の外周面を凹状に湾曲させて軸部の中間の部分を小径にしたエレメントを軽合金からなる板材に嵌め込んで固定する方法は、エレメントを軽合金製の板材に対して抜けないように強固に固着するためには、軽合金からなる板材に穿設する孔の径の微調整が必要であり、径がわずかに小さくなるだけで、圧入にきわめて大きな力が必要となってしまうし、反対に径がわずかに大きくなるだけで、板材から抜けないように強固に固着することが困難になってしまう。
【0007】
本発明の目的は、上記従来のエレメントにおける問題点を解消し、エレメントを接合する樹脂板または金属板に大きな変形をさせることなく、樹脂板または金属板に強固に接合させることが可能なエレメントを提供することにある。また、本発明の目的は、上記従来のエレメントと金属板との接合方法における問題点を解消し、エレメントを接合する樹脂版または金属板に大きな変形をさせることなく、エレメントを樹脂板または金属板に強固に接合させることが可能な金属板へのエレメントの接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、樹脂板または金属板に接合させる金属エレメントであって、円柱状部分を有しており、その円柱状部分の表面が非平坦状になっており、樹脂板または金属板に穿設された挿通孔に挿入した状態で、軸方向に圧力を加えて、前記円柱状部分を拡径させ、前記円柱状部分を前記樹脂板または金属板の挿通孔の内面にのみ圧接させることによって、前記樹脂板または金属板に接合させることを特徴とするものである。なお、本発明における「非平坦状」とは、突起や溝が形成されていることによって凹凸を有している状態のことをいう。また、本発明に係る金属エレメントは、全体が円柱状(あるいは円筒状)のものでも良いし、一部が円柱状(あるいは円筒状)のものでも良い。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記円柱状部分の表面が、アヤメ状の凹凸加工を施したものであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または2に記載された発明において、前記円柱状部分が、中空、あるいは、表裏両面または片面を凹状に形成したものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された発明は、樹脂板または金属板に金属エレメントを接合させるための接合構造であって、前記金属エレメントが、円柱状部分を有しており、その円柱状部分の表面が非平坦状になっており、前記金属エレメントを樹脂板または金属板に穿設された挿通孔に挿入した状態で、軸方向に圧力を加えて、前記金属エレメントの円柱状部を拡径させ、前記円柱状部を前記樹脂板または金属板に穿設された挿通孔の内面にのみ圧接することによって、前記樹脂板または金属板に接合させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の金属エレメント(以下、単にエレメントともいう)は、軸方向への圧力により円柱状部分が塑性変形することによって、樹脂板または金属板の塑性変形後の形状にフィットするため、樹脂板または金属板に接合させることができる。また、請求項1に記載の金属エレメントは、円柱状部分の表面が非平坦状であるため、軸方向への圧力によって円柱状部分が塑性変形する際に、円柱状部分の凸状部分が樹脂板または金属板の中に食い込み、塑性変形した樹脂板または金属板が円柱状部分の凹状部分に食い込むので、金属板に非常に強固に接合させることができる。
【0013】
請求項2に記載の金属エレメントは、円柱状部分の表面がアヤメ状の凹凸加工を施したものであるため、円柱状部分の表面における広い面積で、凸状部分が樹脂板または金属板の中に食い込み、塑性変形した樹脂板または金属板が凹状部分に食い込むので、樹脂板または金属板にきわめて強固に接合させることができる。
【0014】
請求項3に記載の金属エレメントは、円柱状部分が中空、あるいは、表裏両面または片面を凹状に形成したものであるため、軸方向へ圧力を加えた際に、荷重が中空の部分、あるいは凹状の部分に分散するので、円柱状部分を拡径させるための荷重を低減することができる。また、金属エレメント自体の圧縮率を高めることが可能となるため、薄い板への接合が可能になる。
【0015】
請求項4に記載の金属板への金属エレメントの接合構造によれば、軸方向へ圧力を加えた際に、金属エレメントの円柱状部分が、拡径方向および内径方向のみに塑性変形して、樹脂板または金属板に穿設された挿通孔の内面を圧接する方向以外に塑性変形しないので、金属エレメントを樹脂板または金属板に非常に強固に接合させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】エレメントを示す説明図である(aは正面図であり、bは平面図であり、cはbにおけるA-A線断面の一部(左側の部分)の拡大図であり、dはcにおけるα部分の拡大図である)。
図2】エレメントを接合させる金属板を示す説明図である(aは正面図であり、bは平面図である)。
図3】エレメントを金属板に接合させる様子を示す説明図である。
図4】エレメントの変更例を示す説明図である(aは正面図であり、bは平面図であり、cはbにおけるB-B線断面の一部(左側の部分)の拡大図である)。
図5】従来の方法によりエレメントを金属板に接合させる様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る金属エレメント、および、樹脂板または金属板へのエレメントの接合構造の一実施形態について、図面に基いて詳細に説明する。
【0018】
<エレメントの構造>
図1は、エレメントを示したものであり、エレメント(リベット)1は、鉄(たとえば、ブリネル硬度=約290HBWのもの)によって、直径=約9.0mmで高さ=3.0mmの扁平な円柱状に一体的に形成されている。また、外周の表面には、一定の上下幅の大径部(直径=約9.5mmφ)2が形成されており、その大径部2の表面には、アヤメ状の凹凸が形成されている。すなわち、大径部2の表面には、複数の傾斜状の溝G,G・・が所定の間隔で平行に刻設されているとともに、それらの溝G,G・・と直交するように、複数の傾斜状の溝G,G・・が所定の間隔で平行に刻設されている。そして、それらの溝G,G・・と溝G,G・・とで囲まれた部分に、略四角錐台状の突起P,P・・が形成された状態になっている。
【0019】
また、エレメント1の上面(表面)および下面(裏面)には、所定の深さ(約0.3mm)の円筒状部と円錐状部からなる凹状部3a,3bが形成されており、それらの凹状部3a,3bが上下対称に配置された状態になっている。なお、上側の凹状部3aの上端際の部分、および、下側の凹状部3bの下端際の部分は、一定の直径(約7.0mmφ)の円柱状になっている。
【0020】
<エレメントを用いた樹脂板または金属板との接合方法>
以下、上記したエレメント1を金属板に接合させる方法について説明する。図2は、上記の如く構成されたエレメントを接合させるための金属板を示したものであり、金属板11は、アルミニウム合金(たとえば、ブリネル硬度=約50HBWのもの)によって厚さ(T)=1.6mmの矩形の平板状に形成されている。そして、略中央に、直径約10.0mmの扁平な円柱状の挿通孔12が穿設されている。
【0021】
上記した金属板11に、エレメント1を接合させる場合には、図3(a)の如く、エレメント1を金属板11の挿通孔12の内部に挿入する。そして、その状態で、プレス装置(図示せず)を利用して、エレメント1に軸方向(図3における上下方向)に沿って所定の圧力(たとえば、約60kN)を加えて、エレメント1の高さが、金属板11の厚みと同一になるまで、エレメント1を圧縮させる。
【0022】
そのようにエレメント1に所定の圧力を加えると、図3(b)の如く、円柱状のエレメント1が拡径するように変形する。そして、そのようにエレメント1が拡径するように変形すると、エレメント1の大径部2の外周に形成された突起P,P・・が金属板11の挿通孔12の内周面の中に食い込むとともに、金属板11の塑性変形部分が溝G,G・・および溝G,G・・の内部に入り込む。そして、そのように、拡径したエレメント1によって、エレメント1の外周と金属板11の挿通孔12との隙間が満たされるとともに、大径部2の突起P,P・・が金属板11の塑性変形部分の中に食い込み、金属板11の塑性変形部分が溝G,G・・および溝G,G・・の内部に入り込むことによって、エレメント1は、金属板11に強固に接合された状態となる。
【0023】
<エレメントの効果>
エレメント1は、上記の如く、全体が円柱状に形成されているとともに、外周の表面が非平坦状になっており、金属板(または樹脂板)11に穿設された挿通孔12に挿入した状態で、軸方向に圧力を加えて拡径させ、その拡径した部分を金属板11の挿通孔12の内面にのみ圧接させることによって、金属板に接合させるものである。したがって、エレメント1は、金属板に非常に強固に接合させることができる。
【0024】
また、エレメント1は、外周面が非平坦状であるため、軸方向への圧力によって塑性変形する際に、外周面の凸状部分(突起P,P・・)が金属板11の中に食い込み、塑性変形した金属板11が外周面の凹状部分(溝G,G・・および溝G,G・・)に食い込むので、金属板11に非常に強固に接合させることができる。
【0025】
さらに、エレメント1は、大径部2の外周面が、アヤメ状の凹凸加工を施したもの(すなわち、多数の突起P,P・・を有するもの)であるため、外周面における広い面積で、突起(凸状部分)P,P・・が金属板11の中に食い込み、塑性変形した金属板11が溝G,G・・および溝G,G・・(凹状部分)に食い込むので、金属板11にきわめて強固に接合させることができる。
【0026】
また、エレメント1は、全体が円柱状に形成されているとともに、表裏(上下)両面を凹状に形成したものであるため、軸方向へ圧力を加えた際に、荷重が凹状の部分(直径方向において薄肉の部分)に分散するので、拡径させるための荷重を低減することができる。また、エレメント1自体の圧縮率を高めることが可能となるため、薄い板(樹脂板または金属板)への接合が可能である。
【0027】
一方、上記したエレメント1を用いた金属板(または樹脂板)11との接合構造によれば、軸方向への圧力によって円柱状のエレメント1が塑性変形することによって、金属板11の塑性変形後の形状にフィットするため、事前に(エレメント1の製造時等に)、図5の円錐台状の部分53のような外周に抜け止め形状(拡径形状)を付与する困難な加工を施さなくても、エレメント1を金属板11に強固に接合させることが可能となる(すなわち、エレメント1の製造時に、図5の円錐台状の部分53のような抜け止め形状とする困難な加工を施さなくても、エレメント1を金属板11に強固に接合させることが可能となるため、エレメント1の製造を容易なものとすることができる)。
【0028】
<エレメントおよび樹脂板または金属板へのエレメントの接合構造の変更例>
本発明に係るエレメントは、上記した実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、材質、形状、構造、大きさ等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0029】
たとえば、本発明に係るエレメントは、上記実施形態の如く、全体が円柱状であるものに限定されず、一部が円柱状であるものでも良い。また、本発明に係るエレメントは、図4の如く、軸中心に貫通孔7を設けた扁平で肉厚な円筒状のもの(すなわち、中空のもの)でも良い。そのように、貫通孔7を設けた場合には、エレメント21は、より小さな圧力で拡径変形させ易いものとなる。なお、そのように、貫通孔7を設ける場合には、図4の如く、貫通孔7の上部および/または下部の端縁際に、テーパ面8a,8bを形成することも可能である。加えて、そのようにテーパ面8a,8bを形成する場合には、テーパ面8a,8bの端縁際の部分を、一定の直径の円柱状にすることも可能である。
【0030】
また、本発明に係るエレメントは、上記実施形態の如く、表裏(上下)両面を凹状に形成したものに限定されず、表面(上面)あるいは裏面(下面)の内の片方を凹状に形成したものでも良い。さらに、本発明に係るエレメントは、上記実施形態の如く、円柱状部分の表裏(上下)両面に、円錐状や逆円錐状の凹状部を形成したものに限定されず、円柱状部分の表面(上面)および/または裏面(下面)に、球体の一部をなす形状(時計皿状)の凹状部を形成したもの等でも良い。
【0031】
さらに、本発明に係るエレメントは、上記実施形態の如く、円柱状体の表面のアヤメ状の加工部分において、溝と溝とで囲まれた部分が略円錐台状の突起であるものに限定されず、溝G,G・・と溝G,G・・とで囲まれた突起Pの先端が円錐状や曲面状(軸心から所定の径の円筒状体の一部である曲面状)であるもの等でも良い。
【0032】
加えて、本発明に係るエレメントは、上記実施形態の如く、円柱状の大径部の表面にアヤメ状の凹凸加工が施されたものに限定されず、円柱状部分の表面に、円錐状、円錐台状、角錐状、角錐台状、円柱状、角柱状、直方体状等の各種の形状の突起P,P・・を散点状に形成したもの等でも良いし、円柱状部分の表面に、単一あるいは複数の周状の溝(一連に繋がった溝、あるいは、周方向において複数に分割された溝)G,G・・や、単一あるいは複数の鉛直な溝(一連に繋がった溝、あるいは、複数に分割された溝)G,G・・を形成したもの等でも良い。
【0033】
一方、本発明に係る樹脂板または金属板へのエレメントの接合構造は、上記実施形態の如く、エレメントが鉄(鋼鉄)からなり、金属板がアルミニウム合金からなるものに限定されず、塑性変形の性質を有する樹脂板または金属板と金属エレメントを接合させるものであれば、エレメントがステンレス(マルテンサイト系ステンレス、ビッカース硬度=約615)からなり、金属板がニッケル合金(インコネル、ビッカース硬度=約215)からなるものや、エレメントが鋼鉄からなり、樹脂板がポリプロピレン、ポリアミドやCFRPからなるもの等、エレメントおよび樹脂板または金属板を構成する材料の種類を、必要に応じて適宜変更することができる。
【0034】
また、本発明に係る樹脂板または金属板へのエレメントの接合構造は、上記実施形態の如く、エレメントの円柱状部分の外周と金属板の挿通孔との隙間を約1.0mmとするものに限定されず、当該隙間を、エレメントの高さや樹脂板または金属板の厚み、エレメント・樹脂板または金属板の材質等の必要に応じて、概ね、エレメントの直径の5~15%の範囲内で適宜変更することができる。また、本発明に係る樹脂板または金属板へのエレメントの接合構造においては、予め、エレメントの体積と樹脂板または金属板の挿通孔の空洞部分の体積とが略等しくなるように計算し、その計算結果に基づいて、円柱状部分の大きさ、エレメントの円柱状部分の外周と樹脂板または金属板の挿通孔との隙間、表裏(上下)の凹状部分の体積を決定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係るエレメントは、上記の如く優れた効果を奏するものであるから、塑性変形の性質を有する金属からなる金属板または金属ほど塑性変形しにくい合成樹脂からなる樹脂板に接合させる部材として好適に用いることができる。また、本発明に係る金属板へのエレメントの接合構造は、樹脂または異種金属同士を接合させるための構造として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1,21・・エレメント
2・・大径部
3a,3b・・凹状部
7・・貫通孔
11・・金属板
12・・挿通孔
P,P,P,P・・突起
,G,G,G・・溝
53・・円錐台状の部分(従来工法のエレメントの抜け止め形状)
図1
図2
図3
図4
図5