(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067984
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】書見台拡張器及び書見台拡張システム
(51)【国際特許分類】
A47B 23/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A47B23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178455
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】722010954
【氏名又は名称】柳平 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】柳平雅俊
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053TA02
3B053TC00
(57)【要約】
【課題】本発明は、図面などの複数の書類を容易に並び替え可能な状態で書見台に保持させることが可能な書見台拡張器及び書見台拡張システムを提供する。
【解決手段】書見台拡張器は、拡張板と、少なくとも1つの第1の固定部材と、少なくとも1つの開口部とを備える。更に書見台拡張器は、少なくとも1つの第2の固定部材と、少なくとも1つの切り込み穴と、環状部材とを備える。書見台拡張システムは、1つまたは複数の書見台と、1つまたは複数の書見台に連結されるとともに、それぞれが環状部材を介して互いと連結可能に構成された1つまたは複数の書見台拡張器と、第1の留具とを備える。更に書見台拡張システムは、1つまたは複数の書見台に1つまたは複数の書見台拡張器を固定するための第2の留具を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張板と、前記拡張板に設けられた少なくとも1つの第1の固定部材と、前記拡張板に形成された少なくとも1つの開口部とを備えたことを特徴とする書見台拡張器。
【請求項2】
前記拡張板が、プラスチックまたは紙でできた板であることを特徴とする、請求項1に記載の書見台拡張器。
【請求項3】
前記板がダンボールであることを特徴とする、請求項2に記載の書見台拡張器。
【請求項4】
前記板の内部に形成された複数の壁部が延びる方向が前記拡張板の長手方向に等しいことを特徴とする、請求項3に記載の書見台拡張器。
【請求項5】
前記第1の固定部材が金属プレートであり、前記第1の固定部材が、前記拡張板の長手方向における第1の端部の側に前記拡張板の幅方向に沿って配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の書見台拡張器。
【請求項6】
前記開口部が、前記拡張板の長手方向において前記第1の端部とは反対側の第2の端部の側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の書見台拡張器。
【請求項7】
前記開口部が、前記書見台拡張器が装着される書見台の一部と係合する穴部であり、前記穴部の大きさが、前記書見台の一部が前記穴部と係合可能な大きさであることを特徴とする、請求項6に記載の書見台拡張器。
【請求項8】
前記拡張板に設けられた少なくとも1つの第2の固定部材をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載の書見台拡張器。
【請求項9】
前記第2の固定部材が金属プレートであり、前記第2の固定部材が、前記拡張板の長手方向において前記第1の固定部材と前記開口部との間、および前記開口部と前記第2の端部との間の少なくとも一方において前記拡張板の幅方向に沿って配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の書見台拡張器。
【請求項10】
前記拡張板に形成された少なくとも1つの切り込み穴と環状部材とをさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載の書見台拡張器。
【請求項11】
前記切り込み穴が、前記拡張板の前記第1の端部近傍において前記拡張板の幅方向の両端近傍の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする、請求項10に記載の書見台拡張器。
【請求項12】
前記拡張板には前記切り込み穴から前記第1の端部まで切り込まれた切り込みが形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の書見台拡張器。
【請求項13】
前記環状部材が、前記切り込みを介して前記切り込み穴に通されていることを特徴とする、請求項12に記載の書見台拡張器。
【請求項14】
前記環状部材が弾性を有することを特徴とする、請求項13に記載の書見台拡張器。
【請求項15】
前記少なくとも1つの開口部の数が1つであることを特徴とする、請求項1に記載の書見台拡張器。
【請求項16】
前記開口部が、2つ以上形成された場合の前記開口部のそれぞれよりも大きいことを特徴とする、請求項15に記載の書見台拡張器。
【請求項17】
前記少なくとも1つの開口部を拡張するために前記拡張板を切断する際に用いられる切取ガイドをさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載の書見台拡張器。
【請求項18】
前記切取ガイドが、前記拡張板を切断するための切取線、および前記切取線上に形成された少なくとも1つの切取穴の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項17に記載の書見台拡張器。
【請求項19】
前記第1の固定部材および前記第2の固定部材のうちの少なくとも一方の上に設けられた保護部材をさらに備えたことを特徴とする、請求項8に記載の書見台拡張器。
【請求項20】
前記保護部材は着色されていることを特徴とする、請求項19に記載の書見台拡張器。
【請求項21】
1つまたは複数の書見台と、前記1つまたは複数の書見台に連結されるとともに、環状部材を介して互いと連結可能に構成された、請求項1に記載の1つまたは複数の書見台拡張器と、磁性を有する第1の留具とを備えたことを特徴とする書見台拡張システム。
【請求項22】
前記1つまたは複数の書見台に前記1つまたは複数の書見台拡張器を固定するための第2の留具をさらに備えたことを特徴とする、請求項22に記載の書見台拡張システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書見台拡張器及び書見台拡張システムに関する。
【背景技術】
【0002】
書見台は読書台やブックスタンドとも呼ばれ、本や雑誌、楽譜などの書類を保持するのに用いられる。近年では、ワープロやタイプ等の原稿の保持に利用されることも多く、原稿台やデータホルダーと呼ばれることもある。書見台は、翻訳作業に用いられることもある。この場合、パソコンの脇に置いた書見台に原稿を載せ、その原稿を見ながら訳文をパソコンに入力していくが、机の上にそのまま原稿を置くよりも原稿とパソコン画面との距離を縮められるので長時間の作業でも疲れにくく、視線移動が早い。ところで、科学技術分野の原稿を翻訳する場合には、原稿は文章だけに限られず、図面や写真などが添えられていることが多い。訳文の入力を終えたら、これらの図面などを参照しながら訳文をチェックする必要があるが、この作業になると机の上が図面であふれ、さらに文章中において図面への参照が図番通りになっていない場合には、見たい図面をその都度探し出さなくてはならず手間がかかる。このような理由により、もし図面などの複数の書類を容易に並び替え可能な状態で書見台に保持することができれば、それらの図面を目の前でいっぺんに見ることができるため、図面を確認しながら訳文をチェックする作業が非常に効率的となる。しかも、机の上から図面がなくなるので、机の上にはプリントアウトした訳文原稿だけを置けばよい。そうすれば書類が整頓されるだけでなく、机の上に置いた訳文と、書見台の上に置いた図面との間の視線移動を行いながらチェック作業を進めることで、作業の効率だけでなく精度の向上も期待できる(
図5参照。D1:訳文原稿、D2:図面)。書類を書見台以外の別のスタンドに保持させることも考えられるが、データ入力などのために書見台単体での使用も想定される場合にはスタンドを別途用意する必要がないため、書見台を用いた方が使用効率等の点で有利である。しかし従来の書見台の上でいっぺんに見られるのは1ページか2ページ程度であり、見たいページを変更するにはその都度書類を入れ替えなくてはならなかった。特許文献1には、様々なサイズの書類を載せられるようにするため、上下方向に移動可能な拡張板と、左右方向に移動可能な拡張翼とを備えた書見台が開示されている。しかし、上述したように図面などの複数の書類を容易に並び替え可能な状態で書見台に保持させることは考えられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、図面などの複数の書類を容易に並び替え可能な状態で書見台に保持させることが可能な書見台拡張器及び書見台拡張システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
書見台拡張器は、拡張板と、少なくとも1つの第1の固定部材と、少なくとも1つの開口部とを備える。更に書見台拡張器は、少なくとも1つの第2の固定部材と、少なくとも1つの切り込み穴と、環状部材とを備える。書見台拡張システムは、1つまたは複数の書見台と、1つまたは複数の書見台に連結されるとともに、それぞれが環状部材を介して互いと連結可能に構成された1つまたは複数の書見台拡張器と、第1の留具とを備える。更に書見台拡張システムは、1つまたは複数の書見台に1つまたは複数の書見台拡張器を固定するための第2の留具を備える。
【発明の効果】
【0006】
図面などの複数の書類を容易に並び替え可能な状態で書見台に保持することができるため、書類が整頓されるとともに、書類を用いた作業の効率と精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の書見台拡張器を書見台に装着する前の様子を示す図。
【
図2】第1実施形態の書見台拡張器を書見台に装着した後の様子を示す図。
【
図3】書見台拡張器と書見台を2対用いて構成された書見台拡張システムを示す図。
【
図4】書見台拡張器と書見台を2対用いて構成された書見台拡張システムを示す別の図。
【
図5】書見台拡張システムに書類を保持させた様子を示す図。
【
図6】第2実施形態の書見台拡張器を書見台に装着する前の様子を示す図。
【
図7】第2実施形態の書見台拡張器を書見台に装着した後の様子を示す図。
【
図8】第2実施形態の書見台拡張器を別の書見台に装着する前の様子を示す図。
【
図9】第2実施形態の書見台拡張器を別の書見台に装着した後の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の書見台拡張器1aを書見台2aに装着する前の様子を示す図である。書見台拡張器1aは、拡張板11aと、少なくとも1つの第1の固定部材12a(
図1に破線で示す)と、少なくとも1つの開口部13aとを備える。
図5を参照して後述するように、書見台拡張システムには、例えばA4サイズの書類を上下2段に固定可能である。第1の固定部材12aは、主に上の段に留める書類を留具14a(後述)で固定するのに用いられる。ここで、書見台拡張器1aを書見台2aに装着する方向をX方向とし、X方向は書見台拡張器1aの長手方向と等しいものとする。また、書見台拡張器1aの幅方向をY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向をZ方向とする。
【0009】
書見台2aは、X方向にスライド可能なスライダ21aと、スライダ21aに形成された保持部22aとを備える。スライダ21aと保持部22aとの間にはU字状の溝部23aが形成されており、スライダ21aと保持部22aとの間に書類を挟み込むことにより、挟まれた書類が保持部22aのバネ力によりスライダ21aの側に押圧されることでスライダ21aと保持部22aとの間に保持される。スライダ21aはX方向にスライド可能であるため、保持された書類をX方向に移動させることができる。また、スライダ21aを設けることにより、サイズの異なる書類を書見台2aに保持させることが可能である。
【0010】
拡張板11aの大きさは、A4サイズ(210mm×297mm)の原稿が余裕をもって載せられる程度の大きさ、厚さは3~5mm程度であることが好ましい。それ以上の大きさでもよいが、書見台2aの保持部22aに安定的に書類を保持させるためには、A4サイズ程度の大きさが書見台拡張器1aの軽量化の点で好ましい。拡張板11aの材料は、書見台に装着されても撓らずに書類を支えられる程度の強度があり、また書見台に安定して固定できる程度の軽量の材料であれば特定の材料に限定されない。本実施形態では、拡張板11aはポリプロピレン(PP)を材質とするプラダン(プラスチックダンボール)で形成されており、重量は、幅272mm、高さ300mmのサイズ、および3mmの厚さで30グラムほどである。プラダンの内部には、紙素材のダンボールのように一方向に平行に形成され、かつ複数の空隙部分を画成する複数の壁部が形成されている。このためプラダンの使用は、上記強度を確保しつつ拡張板11aの軽量化を図るうえで有利である。ただし、プラダンは空隙に沿った方向を中心として折れ曲がりやすいため、本実施形態では、拡張板11aが書類の重さで鉛直下方向に折れ曲がることがないように、プラダン内部の壁部がX方向に沿って延びるように拡張板11aを配置している。尚、上述したように拡張板11aの材料はプラダンに限らず、ダンボールなどの紙素材でもよいし、発泡スチロールなどの他のプラスチック素材でもよいし、金属シートでもよい。ただし、金属シートの場合には、薄くすると撓りが大きくなり、厚くすると重量が増してしまう。このため、拡張板11aを書見台に装着する際の強度(例えば、保持部22aとスライダ21aとの挟み込みに対する耐性)を確保するとともに書見台に装着されても撓らずに書類を支えるためには、軽量かつ高強度のプラスチック素材が望ましい。
【0011】
第1の固定部材12aは金属製のシート(スチールシート)であり、例えば両面テープを介して拡張板11aの上側(X方向において上流側)の端部(第1の端部)の側に拡張板11aの幅方向(Y方向)に沿って配置されている(
図1)。両面テープには、ポリプロプレン(PP)等のプラスチック素材に粘着可能なテープ(株式会社モトリク製/MKRC-26など)を用いてもよい。第1の固定部材12aには、磁石などの磁性材料を少なくとも一部に含む留具14aを固定可能であり、第1の固定部材12aと留具14aとの間に書類を挟み込むことにより、その書類が拡張板11aに対して固定される。留具14aは、本開示における第1の留具である。第1の固定部材12aは複数枚の金属シートを拡張板11aの幅方向(Y方向)に1列に並べて配置してもよいが、書類を任意の位置で第1の固定部材12aと留具14aとの間に固定できるように1枚のシートで拡張板11aの幅方向(Y方向)にわたって配置されていることが好ましい。第1の固定部材12aの厚さは、拡張板11aの軽量化を図るため、0.2mm以下であることが好ましい。また、第1の固定部材12aの剥がれ落ちを防止したり、第1の固定部材12aのエッジなどでユーザの指などを傷つけたりすることのないように第1の固定部材12aの上に保護部材120a(テープや樹脂など)を設けてもよい。保護部材120aは、好ましくは着色されており、粘着剤等で第1の固定部材12aの上に貼り付けられる。着色されていることで、第1の固定部材12aの上に書類が載置されても、書類の上から着色箇所が透けて見えるため、第1の固定部材12aの位置を把握することができるので、拡張板11aの後方からの光(日光やルームライトなど)がない状態でも留具14aを配置する位置を容易に判断することができる。保護部材120aは、第1の固定部材12aを容易に視認できるように、蛍光色などの発色の高い色の着色剤で着色されていることが好ましく、色は暖色系や黄色などの比較的光の波長の高いものが好ましい。
【0012】
開口部13aは、拡張板11aを貫通して設けられた、例えば矩形状の穴であり、X方向において第1の固定部材12aの下方に設けられている。より具体的には、開口部13aは、拡張板11aの下側(X方向において下流側)の端部(第2の端部)の側に拡張板11aの幅方向(Y方向)に沿って配置されている(
図1)。開口部13aの数は1つでもよいが、後述するように拡張板11aの高さ(X方向の位置)を調節するために複数(例えば、3つ)であってもよい。開口部13aの大きさは、書見台2aの保持部22aが開口部13aに挿入されるのを妨げない程度の大きさである。具体的には、書見台(例えば、三和サプライ製/DH-317)の保持部22aのY方向の長さが30~40mm程度である場合、各開口部13aのY方向の長さは40mm以上かつ50mm以下の範囲、X方向の長さが3mm以上かつ8mm以下の範囲であることが好ましい。いずれかの開口部13aに書見台2aの保持部22aが挿入されることにより拡張板11aのX方向の位置(高さ)が固定され、また保持部22aとスライダ21aとで拡張板11aを挟み込むことにより拡張板11aが書見台2aに固定される(
図2)。このとき、拡張板11aにZ方向にかかる重力と、拡張板11aと接触するスライダ21aの面が拡張板11aに及ぼす抗力とが拮抗することで、書見台2aに取り付けられた拡張板11aの姿勢が固定される。
【0013】
書見台拡張器1aは更に、少なくとも1つの第2の固定部材15a(
図1に破線で示す)と、少なくとも1つの切り込み穴16aと、環状部材17aとを備える。第2の固定部材15aは金属製のシート(スチールシート)であり、例えば両面テープを介して、前記拡張板の長手方向において前記第1の固定部材12aと前記開口部13aとの間、および前記開口部13aと前記第2の端部との間の少なくとも一方において前記拡張板の幅方向に沿って配置されている。両面テープは、第1の固定部材12aを固定するのに用いた両面テープと同じタイプのものを使用してもよい。上述したように、書見台拡張システムには、例えばA4サイズの書類を上下2段に固定可能である。第2の固定部材15aは、主に下の段に留める書類を留具14aで固定するのに用いられる。これは、書見台拡張システムに載置した下の段の書類が、外から入ってきた風や扇風機の風などによって吹き飛ばされてしまうことを防止するためである。このため、第2の固定部材15aは、下の段に留める書類のサイズや上の段に留める書類のサイズや位置に応じて、開口部13aの上方に設けてもよいし下方に設けてもよく、さらには上方と下方の両方に設けてもよい。第2の固定部材15aは複数枚の金属シートを拡張板11aの幅方向に1列に並べて配置してもよいが、書類を任意の位置で固定できるように1枚のシートで拡張板11aの幅方向(Y方向)にわたって配置されていてもよい。第2の固定部材12aの厚さは、拡張板11aの軽量化を図るため、0.2mm以下であることが好ましい。また、第2の固定部材12aの剥がれ落ちを防止したり、第2の固定部材12aのエッジなどでユーザの指などを傷つけたりすることのないように第2の固定部材12aの上に保護部材120aと同様の保護部材150a(テープや樹脂など)を設けてもよい。保護部材150aは、保護部材120aと同様に着色されていることが好ましい。
図1に示されているように、第2の固定部材15aは、開口部13aの真下に配置されてもよい。この場合には、書見台2aの保持部22aが第2の固定部材15aを介して拡張板11aを挟み込むことになるため、拡張板11aが挟み込まれることによって生じる拡張板11aの物理的な損傷を第2の固定部材15aが保護できる点で有利である。
【0014】
切り込み穴16aは、拡張板11aの右上隅と左上隅の少なくとも一方に設けられた穴であり(
図1)、この穴から拡張板11aの上側の端部まで切り込まれた切り込みC(
図2)が設けられている。環状部材17aは、この切り込みCを通じて切り込み穴16aの少なくとも1つの中に通されている。環状部材17aは、後述するように、書見台拡張システムにおいて隣接する拡張板11どうしを連結するために用いられる環状の紐等の部材であり、拡張板11aの揺れによって相互に加わる力を吸収する目的で弾性を有していることが好ましい。
【0015】
以上説明したように、書見台拡張板11aの開口部13aに書見台2aの保持部22aを挿入し、保持部22aとスライダ21aとが拡張板11aを挟み込むことにより、拡張板11aが書見台2aに保持される。この状態で、第1の固定部材12aと留具14aとの間に書類を挟み込むことにより、その書類が上段側(書見台拡張器1aの側)に固定され、第2の固定部材15aと留具14aとの間に別の書類を挟み込むことによりその書類が下段側(書見台2aの側)に固定される(
図5)。
【0016】
図2は、書見台拡張器1aと書見台2aを1対用いて構成された書見台拡張システム3を示す図である。
図3および
図4は、書見台拡張器1aと書見台2aを2対用いて構成された書見台拡張システム30を示す図である。
図3は、スライダ21aを調整することにより2枚の拡張板1aの高さ(X方向における位置)を等しくし、環状部材17aを介してそれらの拡張板1aを連結した状態を示す。
図4は、スライダ21aを調整することにより2枚の拡張板1aの高さを互いと異なるようにした状態を示す。ここで環状部材17aの作用についてさらに説明する。上述したように、拡張板1aは書見台2aの保持部22aとスライダ21aに挟み込まれて保持されるため、拡張板1aと書類の荷重によりスライダ21aの撓りがZ方向に生じる。このため、複数枚の拡張板1aを使用した場合には、この撓りのばらつきにより拡張板1aの位置がZ方向においてずれる場合がある。このため、環状部材17aを介して拡張板1aどうしを連結することでZ方向における拡張板1aどうしの位置ずれを抑制することができる。なお、Z方向における拡張板1aどうしの位置ずれがユーザの許容範囲内である場合には、環状部材17aを介して拡張板1aどうしを連結しなくてもよい。
【0017】
図5は、書見台拡張システム30に書類を保持させた様子を示す。この場合には書見台拡張器と書見台を2対用いて書見台拡張システム30が構成されており、5枚の書類D2が書見台拡張システム30に載置されている。図示されているように、本発明では図面などの複数の書類D2を書見台に載置し、それらの書類を簡単に並び替え可能な状態で原稿などの書類D1を机上などで見ることができる。このため書類が整頓されるとともに、書類を用いた作業の効率と精度が向上する。尚、
図5では同じサイズの複数の書類D2を書見台拡張システム30に載置した例を示したが、サイズの異なる複数の書類を載置してもよく、また書類D2よりもサイズの大きい1枚以上の書類を載置してもよい。
【0018】
[第2実施形態]
次に第2実施形態の書見台拡張器について説明する。なお、第1実施形態の書見台拡張器1aと同一の機能及び作用を有する要素については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0019】
図6は、第2実施形態の書見台拡張器1a’を第1実施形態の書見台2aとはとは異なる書見台2a’に装着する前の様子を示す図である。書見台拡張器1a’は、拡張板11a’と、少なくとも1つの第1の固定部材12aと、開口部13a’とを備える。第2実施形態の書見台拡張器1a’は、第1実施形態の書見台拡張器1aとは開口部13a’の数と大きさの点で異なる。本実施形態では、開口部13a’の数は1つであり、開口部13a’は第1実施形態の個々の開口部13aよりも大きい。
【0020】
図6及び
図8に示されているように、第2実施形態の書見台拡張器1a’は、第1実施形態で例示した書見台2aとは異なるタイプの書見台2a’、2a’’に装着されることが意図されている。書見台2a’は、第1実施形態の書見台2aと異なり、書類を書見台2aの保持部22aとスライダ21aとの間に挟み込むのではなく、コイルばね式のクリップ部210で挟み込むように構成されている。また、書見台2a’’は、書類の上部を固定するための機構を有していない。このようなタイプの書見台に書見台拡張器1a’を装着するため、書見台拡張器1a’には、第1実施形態の書見台拡張器1aの開口部13aよりも大きいサイズの開口部13a’が形成されている。
【0021】
より具体的には、書見台2a’に書見台拡張器1a’を装着して書見台拡張システム300(
図7)を構成するには、
図7に示されているように、書見台2a’のクリップ部210に開口部13a’を介して拡張板11a’を挟み込ませる。また、書見台2a’’に書見台拡張器1a’を装着して書見台拡張システム300’(
図9)を構成するには、
図9に示されているように、少なくとも1つの留具4に開口部13a’を介して拡張板11a’と書見台2a’を挟み込ませる。留具4は、ダブルクリップ、目玉クリップ、スーパークリップ、パワークリップ、山型クリップ、ガチャ玉(OHTO製GGA-5等)、スライドクリッパー(OHTO製SLP-300LP等)など、書見台2a’’に書見台拡張器1a’を固定できるものであれば何でもよい。
図9は、ダブルクリップ(株式会社ソニック製CP-233など)を留具4として用いて書見台2a’’に書見台拡張器1a’を装着した例を示している。留具4は、本開示における第2の留具である。
【0022】
第2実施形態では、開口部13a’を介して拡張板11a’をクリップ部210や留具4に挟み込ませる構成としているため、クリップ部210や留具4に挟み込ませる作業をユーザが行うために、ユーザの指先等が入るスペースが必要である。このため、開口部13a’を第1実施形態の開口部13より大きくし、数を1つとしている。本実施形態では、開口部13a’のサイズを横(Y方向の長さ)130mm、縦(X方向の長さ)50mm程度としているが、クリップ部210や留具4が開口部13a’の中に入り、ユーザがクリップ部210や留具4に拡張板11aを挟み込ませる作業が可能であれば、開口部13a’の大きさはこれよりも大きくても小さくてもよい。
【0023】
書見台拡張器1a’は更に、少なくとも1つの(本実施形態では2つの)第2の固定部材15aと、少なくとも1つの切り込み穴16aと、環状部材17aとを備える。これらの構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。このような第2実施形態の書見台拡張器を用いた場合でも、
図3から
図5を参照して説明した書見台拡張システムを構成することができる。
【0024】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態の書見台拡張器1a’’を示す。本実施形態の書見台拡張器1a’’は、切取ガイド101を備えている点で第1および第2の書見台拡張器と異なる。切取ガイド101は、切取線101aおよび切取穴101bの少なくとも一方を含む。切取線101aは、拡張板11a’’の上に示された線であり、切取穴101bは、拡張板11a’’を貫通して設けられた穴部である。本実施形態では、ユーザが切取線に沿ってカッター等で拡張板11a’’を切ることで開口部13a’’をX方向およびY方向に拡張することができる。拡張後の開口部13a’’のサイズは、第2実施形態の開口部13’のサイズと同程度である。このように開口部13a’’のサイズを広げることで、第1実施形態の書見台2aだけでなく、第2実施形態の書見台2a’または2a’’にも拡張板11a’’を取り付けることができる。このため、切取ガイド101は、ユーザによる拡張板11a’’の切取作業をガイドできるものであればよく、切取線101aは、拡張板11a’’を切る位置を示せればどのような線でもよい。また切取穴101bは、ユーザによる拡張板11a’’の切取作業を容易にするために設けられている。また切取穴101bは、
図10には切取部分の四隅に設けられているが、切取線101a上であればどの位置に設けられていてもよく、切取穴101bの数も4つでなくてもよい。このように本実施形態では、複数の種類の書見台のいずれにも書見台拡張器11a’’を取り付けることが可能である。
【0025】
以上のように、本発明を実施することにより、図面などの複数の書類を容易に並び替え可能な状態で書見台に保持することができるため、書類が整頓されるとともに、書類を用いた作業の効率と精度が向上する。尚、本実施形態では図面などの書類を書見台拡張システムに保持する例を中心に説明したが、書見台拡張システムに保持することができる書類は図面に限られない。例えば写真、絵、地図、メモ書きなどを書見台拡張システムに保持させてもよいし、書き込み可能なシートを書見台拡張システムに保持させて書き込んでもよい。この場合には、書見台に書籍を保持した状態で書見台拡張器に関連資料(写真、地図、絵など)を保持させることができ、視覚的な資料を閲覧しながら読書を進めることができる。あるいは、書見台拡張システムをマグネット付きのホワイトボードのように使用することができるので、書見台拡張システムを机の上に設置する場合には、書見台拡張システムに並び替え可能に保持させた資料を見ながら、整頓された机の上でパソコンなどを用いた作業を行うこともできる。このため、それらの資料を用いた作業の効率と精度が向上するだけでなく、発想や着想が求められる作業ではアイディアの創出などに役立てることも可能である。
【符号の説明】
【0026】
1a 書見台拡張器
1a’ 書見台拡張器
1a’’ 書見台拡張器
11a 拡張板
11a’ 拡張板
11a’’ 拡張板
12a 第1の固定部材
13a 開口部
13a’ 開口部
13a’’ 開口部
14a 第1の留具
15a 第2の固定部材
16a 切り込み穴
17a 環状部材
2a 書見台
2a’ 書見台
2a’’ 書見台
21a スライダ
210 クリップ部
22a 保持部
23a 溝部
3 書見台拡張システム
30 書見台拡張システム
101 切取ガイド
101a 切取線
101b 切取穴
120a 保護部材
150a 保護部材
300 書見台拡張システム
300’ 書見台拡張システム
4 第2の留具
C 切り込み
D1 書類
D2 書類