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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067998
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 43/16 20200101AFI20240510BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240510BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240510BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240510BHJP
【FI】
B62J43/16
B60K1/04 A
B62J45/00
H01M50/202 201
H01M50/204 201
H01M50/271 S
H01M50/298
H01M50/249
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178472
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 宗
(72)【発明者】
【氏名】竹内 博
(72)【発明者】
【氏名】加治 基貴
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA23
3D235BB17
3D235BB18
3D235BB24
3D235CC12
3D235CC15
3D235DD24
3D235FF43
3D235HH02
5H040AA01
5H040AS05
5H040AY05
5H040AY06
5H040CC01
(57)【要約】
【課題】バッテリケースにおいて電線の占める領域の容積を小さくする電動車両を提供する。
【解決手段】電動車両は、駆動輪を駆動する回転動力を発生する電気モータと、少なくとも1つのバッテリが収容されるバッテリ収納空間を画定するバッテリケースと、前記バッテリケースに設けられて、前記バッテリ収納空間に収納され、前記バッテリの複数の端子のそれぞれに電気的に接続される複数のコネクタと、前記バッテリの電力を前記電気モータに供給する電力ラインと、を備え、前記電力ラインは、前記複数のコネクタから延びるそれぞれの前記電力ライン同士が接続される接続部分を有する接続回路であって、前記接続部分が前記コネクタに隣接する隣接領域に配置される接続回路と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪を駆動する回転動力を発生する電気モータと、
少なくとも1つのバッテリが収容されるバッテリ収納空間を画定するバッテリケースと、
前記バッテリケースに設けられて、前記バッテリ収納空間に収納され、前記バッテリの複数の端子のそれぞれに電気的に接続される複数のコネクタと、
前記バッテリの電力を前記電気モータに供給する電力ラインと、を備え、
前記電力ラインは、前記複数のコネクタから延びるそれぞれの前記電力ライン同士が接続される接続部分を有する接続回路であって、前記接続部分が前記コネクタに隣接する隣接領域に配置される接続回路と、を備える電動車両。
【請求項2】
前記バッテリケースは、前記隣接領域を覆う蓋体をさらに含む、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記隣接領域に収容される電装部品は、前記隣接空間を画定する壁のうち、下側の壁から間隔を隔てて設けられる、請求項1または2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記隣接領域を画定する下側の壁の底面は、後方に向かうにつれて下方に向かうように傾斜し、
前記蓋体の下部にはドレン穴が形成されている、請求項1または2に記載の電動車両。
【請求項5】
前記接続部分は、前記隣接領域に収容される他の部品に比べて、上方の位置にある、請求項1または2に記載の電動車両。
【請求項6】
前記電力ラインは、前記隣接領域から突出し前記電気モータに向かって延びる突出部分を有し、
前記突出部分は、前記隣接領域の後部から前記隣接領域の後方に突出する、請求項1または2に記載の電動車両。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバッテリは、第1バッテリ及び第2バッテリを含み、
前記複数のコネクタは、前記第1バッテリの端子に接続される正極コネクタ及び負極コネクタと、前記第2バッテリの端子に接続される正極コネクタ及び負極コネクタと、を含み、
前記複数の電力ラインは、前記第1バッテリの正極出力端子に導通する第1正極電力ラインと、前記第1バッテリの負極出力端子に導通する第1負極電力ラインと、前記第2バッテリの正極出力端子に導通する第2正極電力ラインと、前記第2バッテリの負極出力端子に導通する第2負極電力ラインと、を含み、
前記接続部分においては、前記第1正極電力ラインと前記第2正極電力ラインとが接続し、あるいは、前記第1負極電力ラインと前記第2負極電力ラインとが接続する、請求項1または2に記載の電動車両。
【請求項8】
前記端子は、正極出力端子と、負極出力端子と、電力の供給に寄与しないダミー端子とを含み、
1つの前記バッテリにつき、前記正極出力端子と前記負極出力端子と前記ダミー端子とが少なくとも1つであり、
前記正極出力端子と前記負極出力端子とのうちの少なくとも1つの一方の出力端子を挟んで、前記正極出力端子と前記負極出力端子とのうちの少なくとも1つの他方の出力端子と少なくとも1つの前記ダミー端子との配置が、前記端子の全体で対称に配置されることにより、前記バッテリが前記バッテリケースへ挿入される向きが異なっても前記バッテリからの電力を少なくとも1つの前記正極出力端子と少なくとも1つの前記負極出力端子とを介して前記電気モータへ供給できるように、前記バッテリ及び前記バッテリケースが構成され、
前記他方の出力端子に接続された電力ラインと前記ダミー端子に接続された電力ラインとが、前記接続回路の前記接続部分で接続される、請求項1または2に記載の電動車両。
【請求項9】
前記接続回路は、前記隣接領域に配置され、前記電力ラインに直接または間接的に接続される電装部品を含む、請求項1または2に記載の電動車両。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリを収納するバッテリケースを有する電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータによって駆動輪が駆動される電動車両を開示している。特許文献1に開示の車両は、バッテリケースが、2つのバッテリを搭載可能である。バッテリケースは、バッテリに接続されるコネクタを有している。コネクタを介してバッテリからの電力がモータ制御ユニットに送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/068753号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、コネクタとモータ制御ユニットとが電線を介して接続されている構成が開示されている。特許文献1に開示の電動車両においては、コネクタごとにモータ制御ユニットへ電力を供給する電線が設けられるために、バッテリケースとモータとが離れるほど電線の占める領域が大きくなってしまう。
【0005】
そこで、本開示は、バッテリケースにおいて電線の占める領域を小さくする電動車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電動車両は、駆動輪を駆動する回転動力を発生する電気モータと、少なくとも1つのバッテリが収容されるバッテリ収納空間を画定するバッテリケースと、前記バッテリケースに設けられて、前記バッテリ収納空間に収納され、前記バッテリの複数の端子のそれぞれに電気的に接続される複数のコネクタと、前記バッテリの電力を前記電気モータに供給する電力ラインと、を備え、前記電力ラインは、前記複数のコネクタから延びるそれぞれの前記電力ライン同士が接続される接続部分を有する接続回路であって、前記接続部分が前記コネクタに隣接する隣接領域に配置される接続回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、バッテリケースにおいてコネクタから延びる電力ライン同士が接続される接続部分が形成される。したがって、電力ラインが接続されずに電気モータに電力を導く場合に比べて、電力ラインの占める部分の領域を小さくすることができる。さらに接続部分は、コネクタに隣接する隣接領域に配置される。これによって接続部分が、バッテリケースから離れる場合に比べて、接続部分を構成する電線が占める領域を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る電動車両についての側面図である。
図2図1の電動車両におけるバッテリケース周辺について、外蓋が開けられ、蓋が取り外された状態における前後方向に沿う面についての断面図である。
図3図1の電動車両におけるバッテリの端子とバッテリケースのコネクタについての斜視図である。
図4図1の電動車両において、バッテリケースの蓋体が外され、端子台のカバーが外された状態におけるバッテリケースを下方から見た斜視図である。
図5図1の電動車両において、バッテリケースの蓋体が外され、端子台のカバーが取り付けられた状態におけるバッテリケースを下方から見た斜視図である。
図6図1の電動車両において、バッテリケースの隣接領域の周辺について一部を破断して示した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る鞍乗車両について、添付図面を参照して説明する。本明細書においては、前後方向、左右方向(横方向)及び上下方向については、車両にライダーが着座したときに、ライダーから見た方向を示すものとする。
【0010】
図1は、実施形態に係る電動車両1(車両)の側面図である。図1に示すように、本実施形態では、電動車両1は鞍乗車両であり、自動二輪車である。
【0011】
電動車両1は、前輪2と、後輪3と、車体フレーム4とを備える。車体フレーム4は、前輪2及び後輪3によって支持されている。電動車両1は、前輪2と車体フレーム4とを接続して前輪2と車体フレーム4との間に設けられたフロントフォーク5を備えている。フロントフォーク5は、操舵軸7の下部に設けられ、上下方向に間隔をあけて配置されるブラケット8に連結されている。フロントフォーク5は、上方かつ後方に斜めに延びている。フロントフォーク5には前サスペンション6が設けられ、フロントフォーク5は前サスペンション6内部のバネが弾性変形することによって長手方向に伸縮可能に構成されている。フロントフォーク5は、長手方向に伸縮することで車体フレーム4に伝わる衝撃を緩和する。ブラケット8に接続される操舵軸7が車体フレーム4の一部であるヘッドパイプ4aに角変位可能に支持されている。また、電動車両1は、後輪3を車体フレーム4の後部に接続する後サスペンション9を有している。また、車体フレーム4には、後輪3を支持して前後方向に延びるスイングアーム10が角変位可能に支持されている。
【0012】
操舵軸7には、運転者が手で握るハンドル11が設けられる。ハンドル11の後側には、バッテリの挿入口を覆う外蓋53が設けられる。外蓋53の後側には、ライダーが着座するシート12が設けられる。電動車両1は、車輪に伝達される動力を発生する駆動源としてモータMを備えている。モータMは、前輪2と後輪3と間において、車体フレーム4に搭載されている。本実施形態では、モータMは、後輪3に伝達される回転駆動力を発生させる原動機としての機能を有している。
【0013】
電動車両1は、バッテリ14と、バッテリ14を内部に収納するバッテリケース13とを備えている。バッテリ14は、電装部品に供給される電力を蓄えるように構成されている。また、本実施形態においては、バッテリ14は、モータMに電力を供給する。これにより、モータMが駆動され、電動車両1が走行する。バッテリ14は、電線を介してモータMに接続されている。バッテリケース13は、車体フレーム4に取り付けられている。
【0014】
モータMは、モータケースMaと、モータケースMaから突出するモータ駆動軸Mbとを備えている。モータ駆動軸Mbにはスプロケット16がモータ駆動軸Mbと共回転するように設けられる。なお、スプロケット16の代わりに、回転部材としてギヤやプーリが用いられてもよい。そして、モータ駆動軸Mb側のスプロケット16に、チェーン17が接続されている。これにより、モータ駆動軸Mbで出力された駆動力を、チェーン17を介して後輪3に伝達する。なお、モータ駆動軸Mbで出力された駆動力を後輪3に伝達するのはチェーンでなくてもよく、ベルト等他の動力伝達部材であってもよい。
【0015】
本実施形態では、バッテリケース13の前方に、ECU(電子制御ユニット)39が設けられている。ECU39は、BMU(バッテリ管理ユニット)、インバータを介してバッテリ14からモータMに供給される電力を調節して駆動モータMの駆動を制御する。スロットル装置18は、ライダーに操作され、ライダーの操作に応じてモータMの駆動を制御する。
【0016】
ライダーが電動車両1を運転し、走行路の凹凸等により走行時に車体に対し衝撃が作用したときに、フロントフォーク5が長手方向に伸縮する。前サスペンション6が伸縮によって車体フレーム4に伝わる衝撃を緩和することより、ライダーに伝達される衝撃を少なく抑えることができる。これにより、ライダーの乗り心地を向上させることができる。
【0017】
また、電動車両1は、フロントフォーク5に接続されて、フロントフォーク5の伸縮に伴ってフロントフォーク5と共に上下動するフロントフェンダ19を備えている。本実施形態では、フロントフェンダ19は、フロントフォーク5から前後方向に突出し、前輪2の上側を覆うようにフロントフォーク5に取り付けられている。
【0018】
次に、バッテリケース13の構成について説明する。図2に、電動車両1の挿入口40を覆う外蓋53が開けられ、外蓋53の内側でバッテリ14の上方を覆う蓋が取り外された状態の、バッテリケース周辺の領域についての、前後方向に延びる面に沿って破断した断面図を示す。
【0019】
図2に示されるように、バッテリケース13は、バッテリ14を収容可能な筐体として構成されている。バッテリケース13は、バッテリ14を収納する収納空間25を有している。本実施形態においては、バッテリケース13は、2つのバッテリ14a、14bを収納するように、2つのバッテリ14a、14bに対応した収納空間25を有している。また、バッテリケース13は、後方に向かうにつれて下方に傾斜した内底壁28と、内底壁28から上方に延び収納空間25の側方を囲む側壁29とを有している。また、バッテリケース13は、バッテリ14を出し入れするためにバッテリ14の収納空間25を上方に開放する開口21を有している。バッテリケース13は、電動車両1に取り付けられたときに、開口21が上方かつ後方に斜めに向くように鉛直方向に対して傾斜している。すなわち、バッテリケース13は、下端から上方に進むにつれて後方に傾斜して電動車両1に取り付けられている。
【0020】
また、図2に示されるように、蓋体36がバッテリケース13に取り付けられる。蓋体36は、隣接領域33を区画している。蓋体36がバッテリケース13の内底壁28の外側の面に取り付けられることにより、蓋体36と内底壁28との間に隣接領域33が形成される。つまり、蓋体36が下方から隣接領域33を覆っている。蓋体36は、隣接領域33を下方から覆う外底壁48と、外底壁48を内底壁28に接続する周壁30と、を有している。外底壁48は、バッテリケース13が傾斜して電動車両1に取り付けられているのに伴い、電動車両1に取り付けられた状態で後方に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。同様に、内底壁28も、電動車両1に取り付けられた状態で後方に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。本実施形態においては、バッテリケース13における内底壁28及び側壁29は、バッテリ14を支持するために肉厚が厚く構成されている。また、蓋体36は、バッテリ14を支持する必要がなく、塵埃や雨水からの保護が主な目的であるので、バッテリケース13の肉厚に比べて肉厚が薄く構成されている。バッテリケース13の内底壁28には、収納空間25の内方に向かって突出したコネクタ31が設けられている。本実施形態においては、コネクタ31は、バッテリケース13に搭載する第1バッテリ14a、第2バッテリ14bに対応して2つ設けられている。また、内底壁28には、コネクタ31を取り付けるためのコネクタ取付孔28a、28aが設けられている。コネクタ取付孔28a、28aは、2つのコネクタ31に対応して、幅方向に2つ設けられている。
【0021】
隣接領域33には、コネクタ31に接続された電力ラインが配置されている。本実施形態においては、隣接領域33は、収納空間25の外部で、内底壁28を隔てて収納空間25に隣接している。また、隣接領域33は、コネクタ31に内底壁28を隔てて隣接している。電力ラインは、バッテリ14からの電力を、モータMや、DC/DCコンバータ等の電気部品に向けて供給する配線である。電力ラインは、例えば銅線をビニル等の樹脂で被覆したものであってもよいし、板状のバスバーによってその一部が構成されていてもよい。電力ラインは、導体によって形成され、バッテリ14からの電力をモータMに供給できるのであればどんなものであってもよい。
【0022】
隣接領域33の内部のコネクタ31に接続された電力ライン95は、隣接領域33の内部で、一旦電力ライン95同士が接続される接続回路57を通って隣接領域33の後部から外部に出て後方に向かって延びている。電力ライン95は、コネクタ31からバッテリケース13の内底壁28の内部を貫通して隣接領域33に向かって延び、隣接領域33の内部を通って後方に向かい、隣接領域33の外部へ突出し、モータMに向かって延びている。本実施形態では、外底壁29及び周壁30は、内底壁28とは別体に構成されている。また、外底壁48及び周壁30は、ワンピースの蓋体36を構成している。本実施形態においては、内底壁28と蓋体36とによって、内底壁28と蓋体36との間に隣接領域33が画定されている。
【0023】
バッテリ14は、バッテリ14がバッテリケース13の収納空間に収納されたときにコネクタ31と接続する端子32を備えている。図3に、バッテリ14の端子32と、バッテリケース13のコネクタ31についての斜視図を示す。本実施形態においては、端子32は、バッテリ14の底面に設けられている。また、本実施形態においては、端子32は、バッテリ14に形成された差込口によって構成されている。本実施形態においては、差込口は孔によって構成されている。また、コネクタ31は、3つの、先端が丸くなった円筒状のピンによって構成されている。バッテリ14における差込口の内部には接点が配置されている。差込口としての端子32の内部にピンとしてのコネクタ31が挿入されると、コネクタ32がバッテリ14の接点に当接し、コネクタ31と端子32とが電気的に接続される。本実施形態においては、第1バッテリ14aの端子を第1端子44とし、第2バッテリ14bの端子を第2端子45とし、これらの端子を合わせて端子32というものとする。コネクタ31と、バッテリ14の端子32とが接続されて、バッテリ14からの電力を、電力ラインを通して電装部品等に供給することができる。
【0024】
電動車両1は、シート12の前方で蓋42の上方の位置に設けられた外蓋部材51を備えている。外蓋部材51は、蓋42の上方において電動車両1の外面の一部を構成すると共に、バッテリケース13の上方で外蓋53を開閉させることが可能に構成されている。バッテリ14は、電動車両1に搭載されたバッテリケース13の内部に収納されたときに、バッテリケース13と蓋42と外蓋部材51とによって保護される。
【0025】
外蓋部材51は、開口52aを有するベース52と、ベース52の開口52aを開閉可能に設けられた外蓋53と、ベース52に対して外蓋53を回動自在に接続するヒンジ部54とを有している。ヒンジ部54を中心に外蓋53が回動することにより、外蓋53がベース52に対し開閉する。ヒンジ部54は、外蓋53が後方に開くようにベース52の後部に設けられている。
【0026】
ベース52の内側に、バッテリケース13にバッテリ14を出し入れする際のバッテリ14の通過するスペースとしての挿入口40が設けられている。挿入口40は、バッテリの挿入方向に沿った、バッテリケース13の上方に位置している。外蓋53が開けられると、挿入口40を通してバッテリケース13の収納空間25の内部にアクセスすることができ、収納空間25にバッテリ14を収納することができる。
【0027】
図2に示されるように、本実施形態では、バッテリケース13は、モータMの前側に隣接して電動車両1に取り付けられている。バッテリケース13は、電動車両1の前後方向において、フロントフォーク5とモータMとの間に配置されている。本実施形態においては、後述するように、バッテリケース13が傾斜して配置されている。
【0028】
本実施形態では、上述のように、バッテリケース13は下端から上方に進むにつれて後方に傾斜して車体フレーム4に取り付けられている。従って、バッテリケース13の前方に物を配置することができるスペースが生じる。本実施形態では、バッテリケース13の前方に生じたスペースにECU39が配置されている。
【0029】
バッテリ14をバッテリケース13に収納する際には、挿入口40を覆う外蓋53が開けられる。外蓋53が開けられると、外部からバッテリケース13の収納空間25の内部にアクセスすることができる。バッテリ14が、ベース52の前後方向内側の挿入口40を通り、バッテリケース13の開口21を通って、バッテリケース13の収納空間25に配置される。それから、挿入口40を外蓋53によって閉じることにより、バッテリケース13へのバッテリ14の収納が完了する。
【0030】
本実施形態においては、2つのバッテリ14のうち、一方のバッテリを第1バッテリ14aとし、他方のバッテリを第2バッテリ14bとする。第1バッテリ14aは、第1端子44を有している。つまり、端子32のうち、第1バッテリ14aの有する端子を第1端子44としている。本実施形態においては、第1バッテリ14aが、1つの正極出力端子44pと1つの負極出力端子44nと、ダミー端子44dとを有している。また、第2バッテリ14bも同様の構造を有する。
【0031】
第1バッテリ14aの出力端子44において、1つの負極出力端子44n、ダミー端子44dが正極出力端子44pを挟んで正極出力端子44pに対し180度回転対称となるように配置されている。本実施形態においては、1つの負極出力端子44nが、バッテリケースのコネクタと接続されたときにバッテリ14からの電力を電気モータMに向けて供給する。ダミー端子44dは、バッテリケースのコネクタと接続されたときに、バッテリ14からの電力は電気モータMへ供給されない。
【0032】
すなわち、第1バッテリ14aにおいて、一方の出力端子(正極出力端子44p)を挟んで、他方の出力端子(負極出力端子44n)及びダミー端子45dが180度回転対称に配置され、端子44の全体で端子44が回転対称に配置されることにより、第1バッテリ14aがバッテリケース13へ挿入される向きが異なっても第1バッテリ14aからの電力を正極出力端子44pと負極出力端子44nとを介して電気モータMへ供給できるように、第1バッテリ14aの出力端子44、バッテリケース13のコネクタ31及び電力ラインが構成されている。同様に、第2バッテリ14bにおいて、一方の出力端子(正極出力端子45p)を挟んで、他方の出力端子(負極出力端子45)、ダミー端子45dが正極出力端子45pに対し180度回転対称となるように配置されている。正極出力端子45pに対し、負極出力端子45n及びダミー端子45dが180度回転対称に配置され、端子45の全体で端子45が回転対称に配置されることにより、第2バッテリ14bがバッテリケース13へ挿入される向きが異なっても第2バッテリ14bの出力端子45からの電力を正極出力端子45pと負極出力端子45nとを介して電気モータMへ供給できるように、第2バッテリ14bの出力端子45、コネクタ31及び電力ラインが構成されている。
【0033】
バッテリケース13の内側に、第1バッテリ14aの端子44に対応するようにコネクタ46が設けられ、また、第2バッテリ14bの端子45に対応するようにコネクタ47が設けられている。すなわち、コネクタ31のうち、第1バッテリ14aの端子44に対応するコネクタをコネクタ46とし、第2バッテリ14bの端子45に対応するコネクタをコネクタ47としている。第1バッテリ14aの端子44に対応するコネクタ46においては、コネクタ46のうち、正極出力端子44pに接続されるコネクタ46p(正極コネクタ)が前後方向の真ん中に配置されると共に、正極出力端子44pに接続されるコネクタ46pを挟んで負極出力端子44nに接続されるコネクタ46n1(負極コネクタ)及びダミー端子44dに接続されるコネクタ46n2が180度回転対称になるように配置されている。同様に、第2バッテリ14bに対応するコネクタ47においては、コネクタ47のうち、正極出力端子45pに接続されるコネクタ47p(正極コネクタ)が前後方向の真ん中に配置されると共に、正極出力端子45pに接続されるコネクタを挟んで負極出力端子45nに接続されるコネクタ47n1(負極コネクタ)及びダミー端子45dに接続されるコネクタ47n2が対称になるように配置されている。
【0034】
第1バッテリ14aが正位置のときにダミー端子44dに接続されるコネクタ46n2は、第1バッテリ14aが反転したときには負極出力端子44nに接続され、負極コネクタとして機能する。第2バッテリ14bが正位置のときにダミー端子45dに接続されるコネクタ47n2は、第2バッテリ14bが反転したときには負極出力端子45nに接続され、負極コネクタとして機能する。従って、第1バッテリ14aあるいは第2バッテリ14bの向きが変わったとしても正極出力端子と負極出力端子とがバッテリケース13の正極コネクタ及び負極コネクタに接続されて、バッテリ14の電力を電気モータMに向けて供給することができる。従って、ユーザは、向きを気にせずにバッテリ14をバッテリケース13の収納空間25に収納することができ、ユーザの使い勝手の良いバッテリ14及びバッテリケース13とすることができる。
【0035】
本実施形態においては、正極出力端子44pが、第1バッテリ14aの端子44の設けられた面s1の中心に設けられる。これにより、端子44の全体の配置が、正極出力端子44pを中心に180度回転対称の配置となり、端子44の全体で端子44が回転対称に配置される。従って、バッテリケース13の収納空間25の内部で第1バッテリ14aが向きを変えたとしても、端子44がバッテリケース13のコネクタ46に接続される。従って、第1バッテリ14aは電気モータMに電力を供給することができる。また、第2バッテリ14bについても同様に、正極出力端子45pが、第2バッテリ14bの出力端子45の設けられた面s2の中心に設けられる。これにより、端子45の全体の配置が、正極出力端子45pを中心に180度回転対称の配置となり、端子45の全体で端子45が回転対称に配置される。従って、バッテリケース13の収納空間25の内部で第2バッテリ14bの向きを変えたとしても、端子45がバッテリケース13のコネクタ47に接続される。従って、第2バッテリ14bは電気モータMに電力を供給することができる。
【0036】
次に、バッテリケース13の隣接領域33の接続回路について説明する。図4に、バッテリケースの蓋体を取り外し、バッテリケース13における接続回路57について下方から見た斜視図を示す。図4のバッテリケース13は、蓋体が取り外された状態である。また、図4においては、後述する端子台のカバーが取り外されている。
【0037】
バッテリケース13の内底壁28に、接続回路57が設けられている。また、内底壁28は、端子台64を含んでいる。端子台64は、隣接領域33において、下方の外底壁48に向けて突出している。端子台64は、ベース65と、ベース65を下方から覆うケース66とを有している。上述のように、図4においては、ベース65からケース66が取り外されている。
【0038】
バッテリケース13の内底面28には、隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59が設けられている。隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59は、収納空間25側でコネクタ46及びコネクタ47によって第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの正極出力端子44p、45pから受け取った電力を隣接空間33の内部の接続回路57の電力ラインに導く。また、隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59は、モータMから隣接空間33の内部の接続回路57の電力ラインを通過した電流を、負極出力端子44n、45nへ導く。隣接領域コネクタ58は、第1バッテリ14aからの電力を、正極出力端子44pを介して接続回路57の電力ラインに供給し、モータMからの電流を、負極出力端子44nを介して第1バッテリ14aに導くためのものである。隣接領域コネクタ59は、第2バッテリ14bからの電力を、正極出力端子45pを介して接続回路57の電力ラインに供給し、モータMからの電流を、負極出力端子45nを介して第2バッテリ14bに導くためのものである。
【0039】
コネクタ31は、バッテリケース13におけるバッテリ14の収納空間25の内部に配置されている部分のことである。つまり、コネクタ31は、内底壁28よりも上側に設けられている部分のことである。また、隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59は、隣接領域33の内部に配置されている部分のことである。つまり、隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59は、内底壁28よりも下側に設けられている部分のことである。本実施形態では、コネクタ31と隣接領域コネクタ58との間、及び、コネクタ31と隣接領域コネクタ59との間には、電力ライン96が設けられている。内底壁28には、内底壁28を上下方向に貫通するコネクタ取付孔28aが設けられ(図2)、コネクタ取付孔28aの内部を電力ライン96が配置されている。コネクタ取付孔28aの内部の電力ライン96を介して、コネクタ31と、隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59と、の間で、電流の授受が行われる。本実施形態においては、コネクタ46は、3つの円筒状のピンであるコネクタ46p、46n1、46n2を含み、コネクタ47は、3つの円筒状のピンであるコネクタ47p、47n1、47n2を含んでいる。また、本実施形態においては、バッテリケース13の収納空間25の内部に設けられた部分をコネクタ31というものとする。また、3つの接続部61及び3つの接続部63を含み、隣接領域33の内部に設けられた部分を隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59というものとする。
【0040】
図4に示されるように、隣接領域コネクタ58は、本体部60と、3つの接続部61を有している。3つの接続部61は、第1バッテリ14aの正極出力端子44pからの電力を電力ラインに供給する接続部61pと、モータMからの電流を、第1バッテリ14aが正位置にある負極出力端子44nを介してバッテリ14aに伝送する接続部61n1と、モータMからの電流を、第1バッテリ14aが反転位置にある負極出力端子44nを介してバッテリ14aに向けて伝送する接続部61n2とを含んでいる。また、隣接領域コネクタ59は、本体部62と、3つの接続部63を有している。3つの接続部63は、第2バッテリ14bの正極出力端子45pからの電力を電力ラインに供給する接続部63pと、モータMからの電流を、第2バッテリ14bが正位置にある負極出力端子45nを介してバッテリ14bに向けて伝送する接続部63n1と、モータMからの電流を、第2バッテリ14bが反転位置にある負極出力端子45nを介してバッテリ14bに向けて伝送する接続部63n2とを含んでいる。
【0041】
電力ライン66及び電力ライン67は、接続部61及び接続部63から端子台64に向かって延びている。接続部61からの電力ライン66は、第1バッテリ14aの出力端子44に対応して3つある。3つの電力ライン66は、第1バッテリ14aの正極出力端子44pからの電力を導く電力ライン66pと、モータMからの電流を、第1バッテリ14aが正位置にある負極出力端子44nを介して第1バッテリ14aに向けて伝送する電力ライン66n1と、モータMからの電流を、第1バッテリ14aが反転位置にある負極出力端子44nを介して第1バッテリ14aに向けて伝送する電力ライン66n2とを含んでいる。また、接続部63からの電力ライン67は、第2バッテリ14bの出力端子45に対応して3つある。3つの電力ライン67は、第2バッテリ14bの正極出力端子45pからの電力を導く電力ライン67pと、モータMからの電流を、第2バッテリ14bが正位置にある負極出力端子45nを介して第2バッテリ14bに向けて伝送する電力ライン67n1と、第2バッテリ14bが反転位置にある負極出力端子45nを介して第2バッテリ14bに向けて伝送する電力ライン67n2とを含んでいる。
【0042】
端子台64には、電力ライン66及び67から供給される電力を電気モータMに向けて導く電力ラインが設けられている。端子台64には、3つの電力ライン66に対応する3つの接続部68が設けられている。3つの接続部68は、第1バッテリ14aの正極出力端子44pからの電力を端子台64で受け取る接続部68pと、モータMからの電流を、第1バッテリ14aが正位置にある負極出力端子44nを介して第1バッテリ14aに向けて伝送する接続部68n1と、モータMからの電流を、第1バッテリ14aが反転位置にある負極出力端子44n2を介して第1バッテリ14aに向けて伝送する接続部68n2とを含んでいる。また、端子台64には、3つの電力ライン67に対応する3つの接続部69が設けられている。3つの接続部69は、第2バッテリ14bの正極出力端子45pからの電力を端子台64で受け取る接続部69pと、モータMからの電流を、第2バッテリ14bが正位置にある負極出力端子45nを介して第2バッテリ14bに向けて伝送する接続部69n1と、モータMからの電流を、第2バッテリ14bが反転位置にある負極出力端子45n2を介して第2バッテリ14bに向けて伝送する接続部69n2とを含んでいる。
【0043】
端子台64には、接続部68及び接続部69で授受を行った電力を導通させる電力ライン70、71、72、74、75、76、79、80、82、83が設けられている。接続部68のうちの接続部68pで受け取った電力は、接続部68pから内底壁28に向けて延び、そこから幅方向の中央に向けて屈曲した電力ライン70を通って流れる。接続部69のうちの接続部69pで受け取った電力は、接続部69pから内底壁28に向けて延び、そこから幅方向の中央に向けて屈曲した電力ライン74を通って流れる。
【0044】
接続部68pからの電力ライン70は、第1バッテリ14aの正極出力端子44pからの電力を導く電力ライン(第1正極電力ライン)であり、接続部69pからの電力ライン74は、第2バッテリ14bの正極出力端子45pからの電力を導く電力ライン(第2正極電力ライン)であるので、互いに接続されて電気モータMへ供給される。本実施形態においては、接続部分78において、電力ライン70と電力ライン74とが互いに接続される。
【0045】
接続部68pからの電力ライン70は、第1バッテリ14aの正極出力端子44pからの電力を導く電力ラインであり、接続部69pからの電力ライン74は、第2バッテリ14bの正極出力端子45pからの電力を導く電力ラインであるので、互いに接続されて電力が電気モータMへ供給される。本実施形態においては、接続部分78において、電力ライン70と電力ライン74とが互いに接続される。電力ライン70と、電力ライン74とが、接続部分78で接続された後においては、電流は、後方に延びる電力ライン82によって電気モータMに向けて導かれる。本実施形態においては、電力ライン82は、隣接領域33の後部33aから隣接領域33の後方に突出する。
【0046】
他方、電気モータMからバッテリ14aの負極出力端子44nに戻る電流を導通させる電力ラインは、隣接領域33の後部33aから隣接領域33の内部に入る。隣接領域33の内部に入った電力ライン82は、接続部分81において、電力ライン79と、電力ライン80とに分岐する。つまり、電力ライン79と、電力ライン80とが、接続部分81において互いに接続されている。本実施形態においては、第1バッテリ14aの負極出力端子44nに向かう電力を導く電力ライン79(第1負極電力ライン)と、第2バッテリ14bの負極出力端子45nに向かう電力を導く電力ライン80(第2負極電力ライン)とが、幅方向の中央の接続部分81から互いに幅方向外側に向けて延びている。
【0047】
電力ライン79は、端子台64上において幅方向の外側の端部で電流が前後方向の後方に向かうように屈曲し、接続部分73に到達するとそこで分岐している。本実施形態においては、電力ライン79は、接続部分73で、幅方向内側に向かう電力ライン71と、前後方向の後方に向かう電力ライン72とに分岐している。電力ライン71は、接続部68n1に向かう。電力ライン72は、接続部68n2に向かう。電力ライン71と電力ライン72とは、互いに第1バッテリ14aの負極出力端子44nに向かう電力ラインなので、互いに接続されている。第1バッテリ14aが正位置にあるときには、第1バッテリ14aが正位置にあるときの負極出力端子44nに向けて電力を供給するように電力ライン72が用いられる。第1バッテリ14aが反転位置にあるときには、第1バッテリ14aが反転位置にあるときの負極出力端子44nに向けて電力を供給するように電力ライン71が用いられる。本実施形態においては、電力ライン71と電力ライン72とが、端子台64上の接続部分73で接続されている。
【0048】
接続部68n1に向かった電流は、電力ライン66n1を通って接続部61n1に向かい、第1バッテリ14aが正位置にあるときの負極出力端子44nを介して第1バッテリ14aに向かう。接続部68n2に向かった電流は、電力ライン66n2を通って接続部61n2に向かい、第1バッテリ14aが反転位置にあるときの負極出力端子44nを介して第1バッテリ14aに向かう。
【0049】
電力ライン80は、端子台64上において幅方向の外側の端部で電流が前後方向の後方に向かうように屈曲し、接続部分77に到達するとそこで分岐している。本実施形態においては、電力ライン80は、接続部分77で、幅方向内側に向かう電力ライン75と、前後方向の後方に向かう電力ライン76とに分岐している。電力ライン75は、接続部69n1に向かう。電力ライン76は、接続部69n2に向かう。電力ライン75と電力ライン76とは、互いに第2バッテリ14bの負極出力端子45nに向かう電力ラインなので、互いに接続されている。第2バッテリ14bが正位置にあるときには、第2バッテリ14bが正位置にあるときの負極出力端子45nに向けて電力を供給するように電力ライン76が用いられる。第2バッテリ14bが反転位置にあるときには、第2バッテリ14bが反転位置にあるときの負極出力端子45nに向けて電力を供給するように電力ライン75が用いられる。本実施形態においては、電力ライン75と電力ライン76とが、端子台64上の接続部分77で接続されている。
【0050】
接続部69n1に向かった電流は、電力ライン67n1を通って接続部63n1に向かい、第2バッテリ14bが正位置にあるときの負極出力端子45nを介して第2バッテリ14bに向かう。接続部69n2に向かった電流は、電力ライン67n2を通って接続部63n2に向かい、第2バッテリ14bが反転位置にあるときの負極出力端子45nを介して第2バッテリ14bに向かう。
【0051】
図5に、バッテリケースの蓋体が取り外され、端子台64にカバー84が取り付けられた状態の接続回路57について下方から見た斜視図を示す。本実施形態においては、内底壁28にベース65が設けられ、ベース65上を覆うようにカバー84がベース65に取り付けられている。
【0052】
本実施形態においては、端子台64のベース65上にカバー84が取り付けられることにより、接続部68のそれぞれにおいて、電力ラインの端子85の周囲に壁86が形成される。本実施形態においては、壁86は、3つの接続部68に対応して、接続部68pの周りで電力ラインの端子85pを囲む壁86pと、接続部68nの周りで電力ラインの端子85nを囲む壁86nと、接続部68n2の周りで電力ラインの端子85n2を囲む壁86n2とを含む。また、端子台64のベース65上にカバー84が取り付けられることにより、接続部69のそれぞれにおいて、電力ラインの端子89の周囲に壁88が形成される。本実施形態においては、壁88は、3つの接続部69に対応して、接続部69pの周りで電力ラインの端子89pを囲む壁88pと、接続部69nの周りで電力ラインの端子89nを囲む壁88nと、接続部69n2の周りで電力ラインの端子89n2を囲む壁88n2とを含む。
【0053】
端子台64のベース65にカバー84が取り付けられ、接続部68のそれぞれにおいて電力ライン66の端子85の周囲に壁86が形成されるので、接続部68において、壁86によって電力ライン66の回転量を規制することができる。本実施形態においては、電力ライン66のそれぞれは、接続部68に対し、相対的な回転移動を許容するように接続されている。ここで、仮に電力ライン66が接続部68に対し自由に回転できる場合には、大きな回転移動が繰り返されることによって接続部68での電力ライン66の接続が外れてしまう可能性がある。本実施形態においては、端子台64のベース65にカバー84が取り付けられので、接続部68において、壁86によって電力ライン66の回転量を規制することができる。従って、電力ライン66が接続部68から外れることを抑えることができる。
【0054】
同様に、端子台64のベース65にカバー84が取り付けられ、接続部69のそれぞれにおいて電力ライン67の端子89の周囲に壁88が形成されるので、接続部69において、壁88によって電力ライン67の回転量を規制することができる。本実施形態においては、電力ライン67のそれぞれは、接続部69に対し、相対的な回転移動を許容するように接続されている。本実施形態においては、端子台64のベース65にカバー84が取り付けられので、接続部69において、壁88によって電力ライン67の回転量を規制することができる。従って、電力ライン67が接続部69から外れることを抑えることができる。
【0055】
本実施形態においては、接続回路57は、隣接領域33において、電力ライン79、80に接続されたヒューズ90、91を含む。本実施形態においては、ヒューズ90、91は、電力ライン79、80に直接的に接続され、電力ライン79、80を通る電流はヒューズ90、91を通る。本実施形態においては、接続部分81において、電力ライン82が電力ライン79と電力ライン80とに分岐し、電力ライン79にヒューズ90が取り付けられ、電力ライン80にヒューズ91が取り付けられている。電力ライン79、80にヒューズ90、91が設けられるので、ヒューズ90、91によって電気モータMや他の電装部品を確実に保護することができる。
【0056】
本実施形態においては、隣接領域33に配置される電装部品としてヒューズ90、91が用いられる形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。ヒューズ以外の他の電装部品が隣接領域33の内部に配置されてもよい。例えば、リレーや電流センサといった電装部品が隣接領域33の内部に配置されてもよい。その際、電装部品は電力ラインに対し、直接的または間接的のいずれで接続されてもよい。
【0057】
本実施形態においては、ヒューズ90、91は、隣接領域33の内部で、コネクタ58及びコネクタ59よりも前方の位置に配置されている。つまり、ヒューズ90、91は、バッテリ14の出力端子44、45及びバッテリケース13のコネクタ46、47よりも前方の位置に配置されている。本実施形態においては、バッテリケース13の開口21が上方かつ後方に斜めに向くように、バッテリケース13が鉛直方向に対して傾斜している。従って、隣接領域33も、後方部分が下方に向かうように傾斜している。このように、隣接領域33が傾斜した状態で、ヒューズ90、91が前方の位置に配置されているので、ヒューズ90、91がより上方の位置に配置される。従って、例えばメンテナンスの作業者が電動車両1のメンテナンスを行う際に、作業者が下方の位置に潜り込む必要がなく、作業者にとって作業のし易い電動車両1とすることができる。従って、ヒューズ90、91に対するメンテナンス性を向上させることができる。例えば、ヒューズ90、91を交換する際に、バッテリケース13を電動車両1に取り付けた状態で、ヒューズ90、91の交換作業を容易に行うことができる。
【0058】
また、本実施形態においては、端子台64が、コネクタ31と第1端子44あるいは第2端子45との接続位置よりも隣接領域33の内部で前方の領域に配置されている。また、バッテリケース13は、後方に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。従って、端子台64は、隣接領域33の内部において、上方の位置に配置されている。端子台64が上方の位置に配置されていることにより、隣接領域33の内部に水が侵入したとしても端子台64の浸水を防ぐことができる。また、ヒューズ90、91についても端子台64に設けられているので、隣接領域33の内部に水が侵入したとしてもヒューズ90、91の浸水を防ぐことができる。
【0059】
また、本実施形態においては、端子台64が設けられ、端子台64の上面に接続部分78、81を含む電力ラインが配置されるので、端子台64によって段差が形成され、接続部61及び接続部63の配置された部分と、端子台64上で電力ラインの配置された部分との間で高さが異なる。接続部61及び接続部63の配置された部分と、端子台64上で電力ラインの配置された部分との間で高さが異なるので、接続部61と接続部68との間の電力ライン66と、接続部63と接続部69との間の電力ライン67とで、高さを異ならせて交差させることができる。これにより、電力ライン66と電力ライン67とが干渉することを防ぐことができる。
【0060】
また、本実施形態においては、電力ライン66を挟んで、前後方向の前側の接続部68と、前後方向の後側の接続部61とが、互いに車幅方向の逆側の位置に設けられている。従って、電力ライン66を挟んだ前側の接続部68と後側の接続部61との間の、前後方向の距離を短縮させながら、電力ライン66の曲率半径を大きくし、電力ライン66の曲がりを緩やかにすることができる。同様に、電力ライン67を挟んで、前後方向の前側の接続部69と、前後方向の後側の接続部63とが、互いに車幅方向の逆側の位置に設けられている。従って、電力ライン67を挟んだ前側の接続部69と後側の接続部63との間の、前後方向の距離を短縮させながら、電力ライン67の曲率半径を大きくし、電力ライン67の曲がりを緩やかにすることができる。隣接領域33の内部で電力ライン66、67の曲がりを緩やかにすることができるので、電力ライン66、67にかかる負荷を少なく抑えることができる。
【0061】
また、図4に示されるように、接続部61において、電力ライン66は、隣接領域33の内部において内底壁28に対し概ね平行となるように配置されている。つまり、電力ライン66は、電力ライン66と内底壁28のなす角度が小さくなるように、隣接領域33の内部に配置されている。これに対し、接続部63においては、電力ライン67が、内底壁28に対し交差する角度が大きくなるように配置されている。また、幅方向において、接続部61、63に対し、電力ライン66、67が端子台64上において接続される接続部68、69との位置関係が逆の関係にある。従って、電力ライン66と電力ライン67とが、隣接領域33の内部で交差し易いように構成されている。電力ライン66と電力ライン67とが隣接領域33の内部で交差しているので、電力ライン66、67が隣接領域33の内部でコンパクトに収納される。従って、隣接領域33の内部で電力ライン66、67の占める部分の容積を少なくすることができ、その分隣接領域33を小型化することができる。従って、バッテリケース13を小型化することができると共に、バッテリケース13を軽量化することができる。
【0062】
また、コネクタ58には、第1バッテリ14aの電力の供給を制御するために電気信号のやり取りをするための電力ライン92が接続されている。本実施形態においては、電力ライン92は、コネクタ58から後方に向けて延びている。また、コネクタ59には、第2バッテリ14bの電力の供給を制御するために電気信号のやり取りをするための電力ライン93が接続されている。本実施形態においては、電力ライン93は、コネクタ59から後方に向けて延びている。
【0063】
図6に、バッテリケース13に蓋体36が取り付けられた状態における、接続回路57の周囲の部分の一部を破断した部分断面図を示す。図6に示されるように、蓋体36は、バッテリケース13に対し、ボルト37によって締結されている。従って、ボルト37を外すことにより蓋体36をバッテリケース13から取り外すことができ、蓋体36がバッテリケース13に対し着脱可能に構成されている。本実施形態においては、接続回路57を下方から覆うように蓋体36がバッテリケース13に取り付けられているので、蓋体36の内側の面が、隣接領域33における底面を構成している。また、本実施形態においては、上述のように、蓋体36が水平面に対して傾斜し、蓋体36の後方部分が下方に向かうように蓋体36が傾斜している。また、蓋体36における最も後方の位置にドレン穴94が形成されている。従って、蓋体36の最も下部の位置にドレン穴94が形成されている。
【0064】
本実施形態によれば、接続回路57において、電力ラインが互いに接続される接続部分78、81が形成されることで、電力ラインが互いに接続されずに電気モータに電力が導かれる場合に比べて、電力ラインが占める部分の容積を減らすことができる。さらに接続部分78、81が、バッテリケース13の収納空間25に隣接する隣接領域33の内部に配置される。これによって接続部分78、81が、収納空間25のコネクタ46、47に近い位置に配置されることになり、電力ラインの長さを短縮させることができ、接続部分がバッテリケース13から離れている場合に比べて、電力ラインが占める部分の容積をさらに小さくすることができる。
【0065】
本実施形態においては、バッテリケース13に第1バッテリ14aと第2バッテリ14bとの2つのバッテリを搭載させ、第1バッテリ14aの正極出力端子44pからの電力を導く電力ラインと、第2バッテリ14bの正極出力端子45pからの電力を導く電力ラインとが接続されている。また、第1バッテリ14aの負極出力端子44nに向かう電力ラインと、第2バッテリ14bの負極出力端子45nに向かう電力ラインとが接続されている。このとき、正極側の電力ラインと負極側の電力ラインとのそれぞれにおいて、電力ラインの接続部分78、81が生じることになる。本実施形態においては、電力ラインの接続部分78、81が、バッテリケース13の収納空間25に隣接した隣接領域33の内部に配置されるので、第1バッテリ14aの第1端子44とコネクタ31との接続位置あるいは第2バッテリ14bの第2端子45とコネクタ31との接続位置と、接続部分78、81との間の電力ラインの長さを短縮させることができる。従って、電力ラインの接続部分が収納空間25から離れた位置に配置される場合に比べて、電力ラインの占める部分の容積を小さくすることができる。
【0066】
本実施形態においては、端子台64に取り付けられた電力ライン70、71、72、74、75、76、79、80、82、83は、いずれもバスバーによって構成されている。従って、隣接領域33の内部で接続部分78、81よりも電気モータM側の部分においては、電力ラインはバスバーによって構成されている。
【0067】
また、本実施形態においては、接続部61における電力ライン66と内底壁28のなす角度と、接続部63における電力ライン67と内底壁28のなす角度とを変えると共に幅方向において、接続部61、63と、接続部68、69との位置関係が逆の関係にあるように接続回路57が構成されている。従って、電力ライン66と電力ライン67とが、隣接領域33の内部で交差し易いように構成されている。電力ライン66と電力ライン67とが隣接領域33の内部で交差しているので、電力ラインの接続部分78、81とコネクタ58、59との距離を短くすることができる。従って、電力ラインが占める部分の容積を小さくして隣接領域33の容積を小型化させることができると共に、電力ラインを短縮させることができる。電力ラインが短縮されるので、電力ラインの抵抗を少なくすることができ、消費電力を少なくすることができる。また、電力ラインからの発熱量を少なく抑えることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、蓋体36が隣接領域33を覆う。これによって隣接領域33に配置される電流ラインの接続部分78、81の保護効果を高めることができる。これによって走行時に飛散する非産物や転倒時の衝突物から、電流ラインの接続部分78、81などの隣接領域33に配置される電装部品を保護することができる。さらに蓋体36は、バッテリケース13に対し着脱可能である。これによって隣接領域33の内部の部品を交換する際の作業性を向上させることができる。例えば、隣接領域33の内部のヒューズ90、91を交換する際の作業性を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、前記隣接領域33に電装部品が収容される。電装部品は、たとえばリレーや電流センサである。このような電装部品は、隣接領域33を画定する蓋体36及び内底壁28を構成する壁のうち、下側の壁である外底壁48から間隔を隔てて設けられる。具体的には、電装部品は、隣接領域33を構成する壁のうち、下側の外底壁48以外の壁に設けられる。本実施例では、隣接領域33のうちで、上側の壁である内底壁28の下面に設けられる。これによって隣接領域33に水が侵入したとしても、隣接領域33の底面に滞留する水に電動部品が浸ることを抑えることができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、隣接領域33を画定する壁のうち、下側の壁である外底壁48の底面48aが水平面に対して傾斜して延びているので、隣接領域33に侵入した水が隣接領域33の底面に沿って下方に向かって流れる。また、本実施形態においては、ドレン穴94が下側の壁である外底壁48の下部に形成されている。従って、隣接領域33に侵入した水は、下側の壁である外底壁48の底面48aに沿って下方に向かって流れ、隣接領域33外への水の排出が促進される。従って、隣接領域33に配置される電装部品に水に浸るのを抑えることができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、電力ラインの接続部分78、81は、隣接領域33に配置される他の部品に対して、上方の位置にある。他の部品としては、例えば、隣接領域33の内部において、電力ライン82、83において、バスバーによって構成された部分と銅線が樹脂によって被覆されたハーネスによって構成された部分とが接続された接続位置97、98がある。本実施形態においては、電力ラインの接続部分78、81は、電力ライン82、83におけるバスバーによって構成された部分とハーネスによって構成された部分との接続位置97、98よりも前方の位置に配置されている。従って、接続部分78、81は、接続位置97、98よりも上下方向の上方の位置に配置されている。また、他の部品としては、隣接領域33の内部に収容される収容物のうち、上下方向の下端に配置される下端部分がある。本実施形態においては、隣接領域33の後部33aが最も後方の位置にある。従って、本実施形態においては、隣接領域33の後部33aが、隣接領域33において上下方向の下端に位置する。本実施形態においては、電力ラインの接続部分78、81は、隣接領域33の後部33aよりも前方の位置に配置されている。従って、電力ラインの接続部分78、81は、隣接領域33の内部に収容される収容物のうちの上下方向の下端に配置される下端部分よりも上方の位置に配置されている。また、他の部品としては、隣接領域33の内部に収容される収容物のうち、隣接領域33の上下方向中央位置に配置される中央部分がある。本実施形態においては、隣接領域33の内部に収容される収容物のうち、隣接領域33の上下方向の下端である隣接領域33の後部33aと、隣接領域33の上下方向の上端である端子台64の前方の位置にある部分100との、上下方向の中央部分を、中央部分101とする(図2)。本実施形態においては、電力ラインの接続部分78、81は、中央部分101よりも上方に配置される。また、他の部品としては、隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59から延びる電力ライン66、67のうち、最も下端にある部分である下端位置99がある。本実施形態においては、図2に示されるように、電力ライン66、67は、隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59から下方に一旦突出して延びている。隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59から延びる電力ライン66、67のうち、最も下端にある部分を下端位置99とする。電力ラインの接続部分78、81は、隣接領域コネクタ58及び隣接領域コネクタ59から延びる電力ライン66、67のうちの上下方向の下端に配置される下端位置99よりも上下方向の上方の位置に配置されている。上記のように、電力ラインの接続部分78、81は、隣接領域33のうち、他の部品が配置される領域よりも上方の領域に配置される。これによって、電力ラインの接続部分に水がかかることをさらに防ぐことができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、隣接領域33の内部に接続回路57が収納され、電力ラインが蓋体36よりも上方に間隔をあけて配置される。このように電力ラインが隣接領域33の底部から上方に離れた位置に配置される。従って、電力ラインに水がかかるのをより抑えることができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、電力ライン82、83が、隣接領域33の後部から隣接領域33の後方に突出するので、電力ラインが隣接領域33の前方から突出する場合に比べて、走行時に前方から後方に移動する雨水が電力ラインの隣接領域33から突出する挿通孔を通って隣接領域33の内部に侵入することを防ぐことができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、電力ラインの接続部分78、81は、複数のバッテリに対応した正極電力ライン同士が互いに接続される部位あるいは複数のバッテリに対応した負極電力ライン同士が互いに接続される部位であるので、バッテリが複数あることによる正極電力ライン同士の接続部分あるいは負極電力ライン同士の接続部分を、コネクタ46、47に近い位置に配置することができる。従って、バッテリケース13を小型化させることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、ヒューズ、リレーあるいは電流センサといった電装部品が隣接領域33の内部に配置されるので、電装部品を接続部分に近い位置に配置することができ、電装部品をバッテリケース13から離して配置する場合に比べて配線作業を容易化させることができる。
【0076】
なお、上記実施形態においては、電力ラインにおける接続部分が、バッテリケース13に複数のバッテリを搭載することによって生じる接続部分78、81である形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。例えば、一つのバッテリが搭載される場合であっても、接続部分は、バッテリケース13の内部においてバッテリ14の向きを変えても電気モータMへの導通を確保できるようにするために、同じ極の複数の出力端子からの電力ラインを接続させる接続部分であってもよい。
【0077】
本実施形態においては、第1バッテリ14aの搭載の向きが正位置であっても反転位置であっても、第1バッテリ14aの負極出力端子44n、ダミー端子44dのうち、負極出力端子44nがコネクタ46と接続して電力を供給し、ダミー端子44dがコネクタ46と接続せずに第1バッテリ14aからの電力を供給しないように構成されている。そのように接続回路57が構成されるように、電力ライン71と電力ライン72とが接続部分73で互いに接続されている。また、電力ライン75と電力ライン76とが接続部分77で互いに接続されている。
【0078】
接続回路57において、第1バッテリ14aの向きが正位置であるときに負極出力端子44nへ電力を導く電力ライン71と、第1バッテリ14aの向きが反転位置であるときに負極出力端子44nへ電力を導く電力ライン72とが、接続部分73で互いに接続されている。また、第2バッテリ14bの向きが正位置であるときに負極出力端子45nへ電力を導く電力ライン75と、第2バッテリ14bの向きが反転位置であるときに負極出力端子45nへ電力を導く電力ライン76とが、接続部分77で互いに接続されている。つまり、負極出力端子44nに接続された電力ラインとダミー端子44dに接続された電力ラインとが、接続回路57の接続部分73で互いに接続されている。また、負極出力端子45nに接続された電力ラインとダミー端子45dに接続された電力ラインとが、接続回路57の接続部分73、77で接続されている。電力ラインの接続部分73、77がバッテリケース13の収納空間25に隣接した隣接領域33の内部に配置されるので、電力ラインの接続部分が収納空間25から離れた位置に配置される場合に比べて電力ラインの占める部分の容積を小さくすることができる。この場合、電力ラインにおける接続部分は、接続部分73、77とする。
【0079】
また、接続部分は、他の原因によって電力ライン同士が互いに接続される形態であってもよい。つまり、接続部分は、バッテリが複数搭載されることによる電力ライン同士の接続部分や、バッテリの向きを変えても導通できるようにするための電力ライン同士の接続部分以外の原因による接続部分であってもよい。電力ライン同士が互いに接続される接続部分が隣接領域の内部に配置されるのであれば、接続部分はどのような接続部分であってもよい。
【0080】
なお、上記実施形態においては、隣接領域33が、収納空間25の下方に設けられる形態について説明した。しかしながら、上記実施形態に限定されない。隣接領域は、収納空間の下方でなくてもよい。例えば、隣接領域は、収納空間の後方にあってもよいし、収納空間の車幅方向側方にあってもよいし、収納空間の前方にあってもよい。このように隣接領域は、収納空間に隣り合って形成されればよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、電動車両1は、電気モータMのみによって駆動される電動車両である形態について説明した。しかしながら、上記実施形態に限定されない。本発明が適用される車両は、エンジンとモータとによって駆動輪が駆動されるハイブリッド車両であってもよい。また、本発明は、電動自転車やアシスト自転車に対しても適用可能である。
【0082】
また、上記実施形態においては、バッテリ14の収納空間25が、電動車両1の前後方向において、前輪2とモータMとの間に配置されている形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。例えば、収納空間は、モータの上方に配置されてもよい。また、ライダーが座るシートの下方に配置されてもよいし、シートの後方に配置されてもよい。
【0083】
また、上記実施形態においては、バッテリケース13が後方に向かうにつれて下方に向かうように傾斜して電動車両1に取り付けられている形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。バッテリケースは、後方に向かうにつれて上方に向かうように傾斜して電動車両に取り付けられてもよい。また、バッテリケースは、傾斜せずに、電動車両に取り付けられてもよい。隣接空間の底面が傾斜せずに水平に延びるように、バッテリケースが電動車両に取り付けられてもよい。
【0084】
また、隣接空間33の底面が後方に進むにつれて下方に向かうように蓋体36及びバッテリケース13が傾斜して電動車両1に取り付けられた構成について説明したが、上記実施形態に限定されない。例えば、隣接空間の底面は、車幅方向の一方に進むにつれて下方に傾斜するように構成されてもよい。また、隣接空間の底面は、前後方向一方且つ車幅方向一方に進むにつれて下方に傾斜してもよい。また、例えば電動車両1にサイドスタンドが設けられる場合には、隣接空間33は、電動車両1がサイドスタンドによって自立しているときに、車幅方向においてサイドスタンドの設けられる側に向かうにつれて下方に傾斜するように構成されてもよい。また、このとき、ドレン穴が、車幅方向においてサイドスタンドの設けられる側に偏って配置されてもよい。また、上記実施形態においては、バッテリケース13と蓋体36とが後方に向かうにつれて下方に向かうように同じ分だけ傾斜するように構成されている形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。バッテリケース13の傾斜と蓋体36の傾斜とが異なるようにバッテリケース13及び蓋体36が構成されてもよい。つまり、収納空間25の底面の傾斜と、隣接空間33の底面の傾斜とが異なるように、バッテリケース13及び蓋体36が構成されてもよい。例えば、収納空間25の底面が水平であり、隣接空間33の底面のみが傾斜しているように、バッテリケース13及び蓋体36が構成されてもよい。
【0085】
また、上記実施形態においては、バッテリ14の端子が凹部としての差込口となるように構成され、バッテリケース13のコネクタ31が凸部としてのピンとなるように構成された形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。凹凸の関係が逆の関係となってもよい。すなわち、バッテリ14の端子が凸部として構成され、バッテリケース13のコネクタ31が凹部として構成されてもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、電力ラインが、バッテリ14からの電力を、モータM等を含む電装部品に供給するために用いられる形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。電力ラインは、バッテリからモータ等を含む電装部品への電力供給に用いられる他に、充電器からの電力をバッテリに供給するために用いられてもよい。
【0087】
また、上記実施形態においては、正極出力端子を中心に負極出力端子及びダミー端子を対称となるように配置し、端子の全体で回転対称となるように端子が配置されているが、上記実施形態に限定されない。中心に配置される端子は、負極出力端子であってもよい。その際、負極出力端子を中心に負極出力端子及びダミー端子を対称となるように配置し、端子の全体で回転対称となるように端子が配置されてもよい。
【0088】
なお、上記実施形態においては、収納空間に隣接する隣接領域がバッテリケースの下方に設けられた構成について説明したが、上記実施形態に限定されない。例えば、隣接領域は、バッテリケースの前方あるいは後方に設けられてもよいし、バッテリケースの側方に設けられてもよい。
【0089】
また、上記実施形態においては、バッテリは、バッテリケースに2つ搭載される形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。バッテリは2つ以外であってもよい。バッテリケースに搭載されるバッテリは、3つ以上であってもよい。その場合、接続回路に接続部分がバッテリの個数の分あってもよい。また、バッテリの個数と接続部分の個数は同じでなくてもよい。複数あるバッテリのうち、一部のバッテリからの電力ラインの間でだけ電力ラインの接続が行われてもよい。また、バッテリの向きを変えて搭載できるように、正極出力端子あるいは負極出力端子のいずれかが複数存在し、正極出力端子あるいは負極出力端子から延びた電力ラインが複数存在することで回路に接続部分が存在するのであれば、バッテリは1つであってもよい。
【0090】
また、上記実施形態においては、バッテリケース内での向きを変えても搭載できるように、バッテリが1つの正極出力端子と2つの負極出力端子とを有している構成について説明したが、上記実施形態に限定されない。バッテリは、1つの負極出力端子と2つの正極出力端子とを有していてもよい。また、バッテリにおいて、正極出力端子と負極出力端子との位置関係が対称になっていれば、正極出力端子と負極出力端子とは他の構成であってもよい。例えば、2つの正極出力端子を挟んでその両側に負極出力端子が2つずつ配置されるような構成であってもよい。
【0091】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。例えば、1つの実施形態中の一部の構成又は方法を他の実施形態に適用してもよく、実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれる。
【0092】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0093】
[項目1]
駆動輪を駆動する回転動力を発生する電気モータと、
少なくとも1つのバッテリが収容されるバッテリ収納空間を画定するバッテリケースと、
前記バッテリケースに設けられて、前記バッテリ収納空間に収納され、前記バッテリの複数の端子のそれぞれに電気的に接続される複数のコネクタと、
前記バッテリの電力を前記電気モータに供給する電力ラインと、を備え、
前記電力ラインは、前記複数のコネクタから延びるそれぞれの前記電力ライン同士が接続される接続部分を有する接続回路であって、前記接続部分が前記コネクタに隣接する隣接領域に配置される接続回路と、を備える電動車両。
【0094】
[項目2]
前記バッテリケースは、前記隣接領域を覆う蓋体をさらに含む、項目1に記載の電動車両。
【0095】
[項目3]
前記隣接領域に収容される電装部品は、前記隣接空間を画定する壁のうち、下側の壁から間隔を隔てて設けられる、項目1または2に記載の電動車両。
【0096】
[項目4]
前記隣接領域を画定する下側の壁の底面は、後方に向かうにつれて下方に向かうように傾斜し、
前記蓋体の下部にはドレン穴が形成されている、項目1から3のいずれかに記載の電動車両。
【0097】
[項目5]
前記接続部分は、前記隣接領域に収容される他の部品に比べて、上方の位置にある、請求項1から4のいずれかに記載の電動車両。
【0098】
[項目6]
前記電力ラインは、前記隣接領域から突出し前記電気モータに向かって延びる突出部分を有し、
前記突出部分は、前記隣接領域の後部から前記隣接領域の後方に突出する項目1から5のいずれかに記載の電動車両。
【0099】
[項目7]
前記少なくとも1つのバッテリは、第1バッテリ及び第2バッテリを含み、
前記複数のコネクタは、前記第1バッテリの端子に接続される正極コネクタ及び負極コネクタと、前記第2バッテリの端子に接続される正極コネクタ及び負極コネクタと、を含み、
前記複数の電力ラインは、前記第1バッテリの正極出力端子に導通する第1正極電力ラインと、前記第1バッテリの負極出力端子に導通する第1負極電力ラインと、前記第2バッテリの正極出力端子に導通する第2正極電力ラインと、前記第2バッテリの負極出力端子に導通する第2負極電力ラインと、を含み、
前記接続部分においては、前記第1正極電力ラインと前記第2正極電力ラインとが接続し、あるいは、前記第1負極電力ラインと前記第2負極電力ラインとが接続する、項目1から6のいずれかに記載の電動車両。
【0100】
[項目8]
前記端子は、正極出力端子と、負極出力端子と、電力の供給に寄与しないダミー端子とを含み、
1つの前記バッテリにつき、前記正極出力端子と前記負極出力端子と前記ダミー端子とが少なくとも1つであり、
前記正極出力端子と前記負極出力端子とのうちの少なくとも1つの一方の出力端子を挟んで、前記正極出力端子と前記負極出力端子とのうちの少なくとも1つの他方の出力端子と少なくとも1つの前記ダミー端子との配置が、前記端子の全体で対称に配置されることにより、前記バッテリが前記バッテリケースへ挿入される向きが異なっても前記バッテリからの電力を少なくとも1つの前記正極出力端子と少なくとも1つの前記負極出力端子とを介して前記電気モータへ供給できるように、前記バッテリ及び前記バッテリケースが構成され、
前記他方の出力端子に接続された電力ラインと前記ダミー端子に接続された電力ラインとが、前記接続回路の前記接続部分で接続される、項目1から7のいずれかに記載の電動車両。
【0101】
[項目9]
前記接続回路は、前記隣接領域に配置され、前記電力ラインに直接または間接的に接続される電装部品を含む、項目1から8のいずれかに記載の電動車両。
【符号の説明】
【0102】
1 電動車両
13 バッテリケース
14a 第1バッテリ
14b 第2バッテリ
25 収納空間
32 端子
33 隣接領域
36 蓋体
46、47 コネクタ
44、45 端子
44p、45p 正極出力端子
44n、45n 負極出力端子
44d、45d ダミー端子
57 接続回路
66、67、70、71、72、74、75、76、79、80、82、83 電力ライン
78、81 接続部分
90、91 ヒューズ(電装部品)
94 ドレン穴
M 電気モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6