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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068010
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】生成プログラムおよび生成方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/60 20060101AFI20240510BHJP
   G06T 17/10 20060101ALI20240510BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240510BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G06T11/60 300
G06T17/10
G08G1/00 A
G09B29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178490
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】畠中 耕平
【テーマコード(参考)】
2C032
5B050
5B080
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB05
2C032HC14
5B050AA07
5B050BA17
5B080AA13
5B080AA17
5B080DA01
5B080DA06
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC14
5H181EE02
5H181FF13
5H181FF33
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】自動運転シミュレーションに適した点群地図データを生成すること。
【解決手段】情報処理装置101は、対象地域の3次元ポリゴンモデル110を含む空間を区切って分割した要素(格子状の点線枠111)のうち、対象地域内の通行可能な経路を通行する移動体に搭載されるセンサーの有効範囲内となる要素群130を抽出する。情報処理装置101は、抽出した要素群130に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データ140を生成する。情報処理装置101は、要素群130のうち、経路の少なくとも一部を含む要素を領域の起点として、当該要素から隣接する要素を順次辿ることにより、第1の点群データ140が表すいずれかの点を含む要素まで領域を拡張する。情報処理装置101は、第1の点群データ140が表す点群のうち、領域150内の要素に含まれる点群を表す第2の点群データ160を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地域の3次元ポリゴンモデルを含む空間を区切って分割した要素のうち、前記対象地域内の通行可能な経路を通行する移動体に搭載されるセンサーの有効範囲内となる要素群を抽出し、
抽出した前記要素群に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データを生成し、
前記要素群のうち、前記経路の少なくとも一部を含む要素を領域の起点として、当該要素から隣接する要素を順次辿ることにより、生成した前記第1の点群データが表すいずれかの点を含む要素まで前記領域を拡張し、
前記第1の点群データが表す点群のうち、拡張した前記領域内の要素に含まれる点群を表す第2の点群データを出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする生成プログラム。
【請求項2】
前記抽出する処理は、
前記対象地域内の通行可能な経路を表す経路情報と、前記センサーの有効距離とに基づいて、前記センサーの有効範囲を特定し、
前記分割した要素のうち、特定した前記有効範囲内となる要素群を抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の生成プログラム。
【請求項3】
前記抽出する処理は、
前記経路を形成する線分ごとに、前記移動体における前記センサーの取り付け位置を示す座標情報に基づいて、前記線分を平行移動し、
平行移動後の前記線分と前記センサーの有効距離とに基づいて、前記センサーの有効範囲を特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の生成プログラム。
【請求項4】
前記センサーは、LiDAR(Light Detection And Ranging)である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の生成プログラム。
【請求項5】
対象地域の3次元ポリゴンモデルを含む空間を区切って分割した要素のうち、前記対象地域内の通行可能な経路を通行する移動体に搭載されるセンサーの有効範囲内となる要素群を抽出し、
抽出した前記要素群に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データを生成し、
前記要素群のうち、前記経路の少なくとも一部を含む要素を領域の起点として、当該要素から隣接する要素を順次辿ることにより、生成した前記第1の点群データが表すいずれかの点を含む要素まで前記領域を拡張し、
前記第1の点群データが表す点群のうち、拡張した前記領域内の要素に含まれる点群を表す第2の点群データを出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成プログラムおよび生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転技術の開発が急速に進んでいる。自動運転の実現には、自動運転技術の実証実験を行うことが望ましいが、公道を使った実証実験を行うことは難しい。この実証実験の難しさを回避するために、自動運転シミュレーションの開発が行われている。自動運転シミュレーションでは、車両の自己位置推定のために点群地図が用いられることがある。点群地図は、例えば、街の3D(three dimensions)ポリゴンモデルを直接点群に変換することによって生成される。
【0003】
先行技術としては、外部アクターの検出および追跡のためのセンサー入力を受信し、センサー入力にオブジェクト追跡を適用して外部アクターを追跡することにより、一時間区間における外部アクターの観測されたトレースを決定するものがある。また、車両の位置を推定するための技術がある。また、第1移動体から自動運転の状況を示す状況情報を受信し、第1移動体が移動した場所の状態を示す状態情報の送信が可能な第2移動体へ状態情報の要求を送信する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2022-516382号公報
【特許文献2】特開2019-207214号公報
【特許文献3】特開2021-106042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、自動運転シミュレーションにおける自己位置推定に用いられないような構造物までもが点群化された点群地図が生成されるという問題がある。例えば、点群地図に不要なデータが多く含まれると、点群地図の生成にかかる時間やシミュレーション時間の長期化を招くという問題がある。
【0006】
一つの側面では、本発明は、自動運転シミュレーションに適した点群地図データを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様では、対象地域の3次元ポリゴンモデルを含む空間を区切って分割した要素のうち、前記対象地域内の通行可能な経路を通行する移動体に搭載されるセンサーの有効範囲内となる要素群を抽出し、抽出した前記要素群に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データを生成し、前記要素群のうち、前記経路の少なくとも一部を含む要素を領域の起点として、当該要素から隣接する要素を順次辿ることにより、生成した前記第1の点群データが表すいずれかの点を含む要素まで前記領域を拡張し、前記第1の点群データが表す点群のうち、拡張した前記領域内の要素に含まれる点群を表す第2の点群データを出力する、生成プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、自動運転シミュレーションに適した点群地図データを生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1にかかる生成方法の一実施例を示す説明図である。
図2図2は、情報処理装置101のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3図3は、入力データの具体例を示す説明図である。
図4図4は、3Dポリゴンモデル301の具体例を示す説明図である。
図5図5は、通行可能な経路の一例を示す説明図である。
図6図6は、レーンデータ302の具体例を示す説明図である。
図7図7は、センサー情報303の具体例を示す説明図である。
図8図8は、実施の形態2にかかる情報処理装置101の機能的構成例を示すブロック図である。
図9図9は、線分の平行移動例を示す説明図である。
図10図10は、センサーの有効範囲の一例を示す説明図である。
図11A図11Aは、領域の拡張例を示す説明図(その1)である。
図11B図11Bは、領域の拡張例を示す説明図(その2)である。
図11C図11Cは、領域の拡張例を示す説明図(その3)である。
図12図12は、実施の形態2にかかる情報処理装置101の生成処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、対象ボクセル抽出処理の具体的処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、対象ボクセルテーブル1400の記憶内容の一例を示す説明図である。
図15図15は、対象領域特定処理の具体的処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明にかかる生成プログラムおよび生成方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる生成方法の一実施例を示す説明図である。図1において、情報処理装置101は、自動運転シミュレータ向けの点群地図データを生成するコンピュータである。点群地図データとは、構造物や地形などを点群で表現した地図データである。構造物は、例えば、道路、建物、電柱、信号機、ポストなどを含む。
【0012】
自動運転シミュレーションでは、例えば、3Dポリゴンで表現された街において、車両のセンサーをシミュレートして、自動運転ソフトウェアにセンサー情報を送り、自動運転ソフトウェアが出力する制御情報を車両に反映させる。
【0013】
自動運転シミュレーションでは、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)により検知された点群を点群地図と照合することによって、車両の位置を推定する。LiDARは、車両の周囲状況を点群として検知するセンサーである。したがって、都市計画の策定時など、全く新しい環境での自動運転シミュレータを構築する場合には、新たなシミュレーション用の点群地図を生成することになる。
【0014】
点群地図を生成する従来方法としては、例えば、街の3Dポリゴンモデルを直接点群に変換するものがある。しかしながら、従来方法では、全てのポリゴンの面に対して点を配置することによって、点群地図が生成される。このため、自動運転シミュレーションにおいて自己位置推定に用いられないような構造物までもが点群化されてしまう。
【0015】
例えば、近年は建築業界もIT化が進んでおり、建築物やその周囲の環境を3Dモデリングしたデータは、BIM(Building Information Modeling)データとして扱われている。これらのデータでは、建物の梁などセンサーで検知されない構造物もモデリングされる。
【0016】
このため、BIMデータを単純に点群に変換するだけでは、不要なデータが多く含まれてしまう。また、建物の形状のみを表すような単純なデータであっても、建物の地面との接地面を表す点群など、センサーで感知し得ない不要なデータが含まれる。
【0017】
また、高精度な3Dポリゴンモデルはデータ量が膨大であり、それらのデータを全て使って点群化の処理を行うと、点群地図の生成にかかる時間の長期化を招く。さらに、不要なデータを多く含むような点群地図を用いてシミュレーションが行われると、シミュレーション時間の長期化を招く。
【0018】
なお、他の従来方法として、シミュレーション上で車両を走行させて、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)によりログデータから点群地図を生成するものがある。しかしながら、この従来方法では、生成精度が悪く、広範囲に高精度な点群地図を生成するには、人手による修正などの手間がかかるという問題がある。
【0019】
そこで、本実施の形態では、自己位置推定に用いられないような不要なデータが除去された、自動運転シミュレーションに適した点群地図データを生成する生成方法について説明する。以下、情報処理装置101の処理例について説明する。
【0020】
(1)情報処理装置101は、対象地域の3次元ポリゴンモデル110を含む空間を区切って分割した要素(図1中、格子状の点線枠111)のうち、対象地域内の通行可能な経路を通行する移動体に搭載されるセンサーの有効範囲内となる要素群130を抽出する。ここで、対象地域は、点群地図の生成対象となる地域である。地域は、例えば、市や区などに含まれる小区画である。
【0021】
3次元ポリゴンモデル110は、対象地域の構造物や地形などをポリゴンで表現したモデルデータである。ポリゴンは、3点以上の頂点をつないで形成される多角形データである。例えば、ポリゴンの集合によって立体的な曲面を表現することができる。要素は、例えば、ボクセル(立方体)である。ただし、要素は、立方体以外の立体形状(例えば、直方体など)であってもよい。
【0022】
3次元ポリゴンモデル110を含む空間は、例えば、3次元ポリゴンモデル110を囲うバウンディングボックス(最小のボックス)である。図1中、3次元ポリゴンモデル110を覆う格子状の点線枠111は、3次元ポリゴンモデル110を含む空間を区切って分割した要素を表す。
【0023】
移動体は、自動運転の対象となる物体である。移動体は、例えば、自動車、オートバイなどである。移動体は、無人航空機、空飛ぶ乗り物、船舶などであってもよい。移動体に搭載されるセンサーは、自己位置推定に用いられるセンサーである。センサーは、例えば、LiDARである。センサーの有効範囲は、例えば、センサーの有効距離によって特定される。例えば、LiDARの有効距離(周囲状況を計測可能な距離)は、200m程度である。
【0024】
対象地域内の通行可能な経路は、例えば、道路、空路、航路などである。対象地域内の通行可能な経路は、例えば、経路情報120から特定される。経路情報120は、対象地域内の通行可能な経路を表す情報である。経路情報120は、例えば、対象地域内の通行可能な経路上の点(ノード)と、その点間をつなぐ線分(リンク)の情報である。
【0025】
また、3次元ポリゴンモデル110の各ポリゴンには、属性(構造物、色、素材など)が付加されていてもよい。この場合、対象地域内の通行可能な経路は、例えば、移動体が自動車やオートバイなどの車両であれば、属性「道路」が付加されたポリゴンから特定されてもよい。
【0026】
(2)情報処理装置101は、抽出した要素群130に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データ140を生成する。ここで、ポリゴンを点群化するとは、頂点をつないで形成される多角形を、点の集まりによって表すことである。例えば、ポリゴンを、5m×5mの四角形とする。この場合、ポリゴン内に1m間隔で点を配置することによって点群化すると、ポリゴンは、36点の点群によって表される。
【0027】
これにより、情報処理装置101は、対象地域内の通行可能な経路からセンサーの有効範囲内に存在する構造物や地形を点群によって表す第1の点群データ140を得ることができる。
【0028】
(3)情報処理装置101は、抽出した要素群130のうち、経路の少なくとも一部を含む要素を領域の起点として、当該要素から隣接する要素を順次辿ることにより、第1の点群データ140が表すいずれかの点を含む要素まで領域を拡張する。起点となる要素は、例えば、領域拡張法(region growing method)におけるシードに相当する。
【0029】
具体的には、例えば、情報処理装置101は、要素群130から、経路情報120が表す経路上の点(ノード)を含む要素をシード(起点)として選択する。つぎに、情報処理装置101は、要素群130のうち、選択した要素に隣接する要素を選択する。選択した要素に隣接する要素は、例えば、選択した要素の上下方向、左右方向、前後方向の要素である。
【0030】
そして、情報処理装置101は、選択した要素を取り込んで領域を拡張する領域拡張を行う。ここで、情報処理装置101は、選択した要素に、第1の点群データ140が表すいずれの点も含まれない場合、要素群130のうち、当該要素に隣接する要素を選択して領域拡張を行う。一方、情報処理装置101は、選択した要素に、第1の点群データ140が表すいずれかの点が含まれる場合、領域拡張を終了する。
【0031】
これにより、情報処理装置101は、移動体が通過する可能性がある箇所をシードとして、構造物や地形の表面(おもてに露出した部分)にぶつかるまで領域拡張を行って、センサーに検知されないような部分を除外した領域を特定することができる。図1の例では、移動体が通過する可能性がある箇所をシードとして拡張した領域を「領域150」と表記する。
【0032】
(4)情報処理装置101は、第1の点群データ140が表す点群のうち、領域150内の要素に含まれる点群を表す第2の点群データ160を生成する。そして、情報処理装置101は、生成した第2の点群データ160を出力する。第2の点群データ160は、対象地域の点群地図データに相当する。
【0033】
このように、実施の形態1にかかる情報処理装置101によれば、自動運転シミュレーションに適した点群地図データ(第2の点群データ160)を生成することができる。第2の点群データ160は、移動体に搭載されるセンサーに検知されないような部分が除去された点群データである。
【0034】
これにより、情報処理装置101は、例えば、3次元ポリゴンモデル110を単純に点群に変換する場合に比べて、点群地図データの生成にかかる時間を短縮したり、シミュレーション時間を短縮したりすることができる。また、情報処理装置101は、ポリゴンの面に対して点を配置した第2の点群データ160を生成することにより、高精度な点群地図データを生成することができる。
【0035】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかる情報処理装置101について説明する。なお、実施の形態1で説明した箇所と同様の箇所については説明を省略する。
【0036】
以下の説明では、情報処理装置101を、ユーザが使用するPC(Personal Computer)、タブレットPCなどに適用する場合を例に挙げて説明する。ただし、情報処理装置101は、ユーザが使用するPCなどからアクセス可能なサーバに適用されてもよい。ユーザは、例えば、点群地図データの作成者である。また、自動運転の対象となる移動体として、「車両」を例に挙げて説明する。車両は、例えば、自動車やオートバイなどである。
【0037】
まず、図2を用いて、情報処理装置101のハードウェア構成例について説明する。
【0038】
図2は、情報処理装置101のハードウェア構成例を示すブロック図である。図2において、情報処理装置101は、CPU(Central Processing Unit)201と、メモリ202と、ディスクドライブ203と、ディスク204と、通信I/F(Interface)205と、ディスプレイ206と、入力装置207と、可搬型記録媒体I/F208と、可搬型記録媒体209と、を有する。また、各構成部は、バス200によってそれぞれ接続される。
【0039】
ここで、CPU201は、情報処理装置101の全体の制御を司る。CPU201は、複数のコアを有していてもよい。メモリ202は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMがOS(Operating System)のプログラムを記憶し、ROMがアプリケーションプログラムを記憶し、RAMがCPU201のワークエリアとして使用される。メモリ202に記憶されるプログラムは、CPU201にロードされることで、コーディングされている処理をCPU201に実行させる。
【0040】
ディスクドライブ203は、CPU201の制御に従ってディスク204に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク204は、ディスクドライブ203の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク204は、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどである。
【0041】
通信I/F205は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータに接続される。そして、通信I/F205は、ネットワーク210と装置内部とのインターフェースを司り、外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。ネットワーク210は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などである。通信I/F205は、例えば、モデムやLANアダプタなどである。
【0042】
ディスプレイ206は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する表示装置である。ディスプレイ206は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどである。
【0043】
入力装置207は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを有し、データの入力を行う。入力装置207は、キーボードやマウスなどであってもよく、また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。
【0044】
可搬型記録媒体I/F208は、CPU201の制御に従って可搬型記録媒体209に対するデータのリード/ライトを制御する。可搬型記録媒体209は、可搬型記録媒体I/F208の制御で書き込まれたデータを記憶する。可搬型記録媒体209は、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリなどである。
【0045】
なお、情報処理装置101は、上述した構成部のうち、例えば、ディスクドライブ203、ディスク204、可搬型記録媒体I/F208、可搬型記録媒体209を有していなくてもよい。また、情報処理装置101は、上述した構成部のほかに、例えば、スキャナ、プリンタなどを有していてもよい。
【0046】
(入力データの具体例)
つぎに、図3を用いて、実施の形態2にかかる情報処理装置101への入力データの具体例について説明する。
【0047】
図3は、入力データの具体例を示す説明図である。図3において、入力データ300は、3Dポリゴンモデル301と、レーンデータ302と、センサー情報303とを含む。3Dポリゴンモデル301は、街のポリゴンデータであり、例えば、道路、建物、電柱、信号機、地形などをポリゴンによって表現したモデルデータである。街は、対象地域の一例であり、市や区などに含まれる小区画である。3Dポリゴンモデル301は、例えば、図1に示した対象地域の3次元ポリゴンモデル110に対応する。3Dポリゴンモデル301の具体例については、図4を用いて後述する。
【0048】
レーンデータ302は、車両が通行可能な経路を表す情報である。レーンデータ302は、例えば、図1に示した経路情報120に対応する。レーンデータ302の具体例については、図6を用いて後述する。センサー情報303は、車両に搭載されるセンサーに関する情報である。センサーは、例えば、LiDARである。センサー情報303の具体例については、図7を用いて後述する。
【0049】
図4は、3Dポリゴンモデル301の具体例を示す説明図である。図4において、3Dポリゴンモデル301は、街の道路、建物、電柱、信号機、地面などをポリゴンによって表現したモデルデータである。各ポリゴンは、例えば、ポリゴンIDと、多角形の各頂点の座標とを含む。
【0050】
ポリゴンIDは、ポリゴンを一意に識別する識別子である。各頂点の座標は、街を模擬するデジタル空間上における座標位置(x,y,z)である。また、各ポリゴンには、各ポリゴンの属性(構造物、色、素材など)を表す属性情報が付加されていてもよい。3Dポリゴンモデル301において、点線枠400内の経路410は、車両が通行可能な経路の一例である。
【0051】
図5は、通行可能な経路の一例を示す説明図である。図5において、経路410は、図4に示した点線枠400内の経路を拡大して示したものである。経路410は、例えば、車両が通行可能な経路であり、ノード(例えば、ノード501,502)と、ノード間をつなぐリンク(例えば、リンク510)によって表現されている。経路410は、レーンデータ302によって特定される。
【0052】
図6は、レーンデータ302の具体例を示す説明図である。図6において、レーンデータ302は、線分ID、始点および終点のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、線分情報(例えば、線分情報600-1,600-2)をレコードとして記憶する。
【0053】
ここで、線分IDは、車両が通行可能な経路を形成する線分を一意に識別する識別子である。線分は、例えば、図5に示したリンク510に対応する。始点は、線分の始点の座標を示す。終点は、線分の終点の座標を示す。始点および終点の座標は、街(対象地域)を模擬するデジタル空間上における座標位置(x,y,z)である。
【0054】
線分(経路)の方向は、始点から終点に向かう方向であり、車両の進行方向に対応する。始点および終点は、例えば、図5に示したノード501,502に対応する。例えば、線分情報600-1は、線分L1の始点p1および終点p2を示す。
【0055】
図7は、センサー情報303の具体例を示す説明図である。図7において、センサー情報303は、パラメータa,b,c,rを含む。パラメータa,b,cは、車両におけるセンサーの取り付け位置を示す。センサーの取り付け位置は、例えば、車両の後輪車軸中心を基準とした位置(x,y,z)である。
【0056】
パラメータrは、センサーの有効距離を示す。例えば、LiDARの有効距離(周囲状況を計測可能な距離)は、200m程度である。また、車両に性能の異なる複数のセンサーが搭載される場合、パラメータrは、複数のセンサーのうち最も有効距離が長いセンサーの有効距離を示す。
【0057】
(情報処理装置101の機能的構成例)
つぎに、実施の形態2にかかる情報処理装置101の機能的構成例について説明する。
【0058】
図8は、実施の形態2にかかる情報処理装置101の機能的構成例を示すブロック図である。図8において、情報処理装置101は、取得部801と、抽出部802と、第1の生成部803と、特定部804と、第2の生成部805と、出力部806と、を含む。取得部801~出力部806は制御部800となる機能であり、具体的には、例えば、図2に示したメモリ202、ディスク204、可搬型記録媒体209などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU201に実行させることにより、または、通信I/F205により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ202、ディスク204などの記憶装置に記憶される。
【0059】
取得部801は、対象地域の3次元ポリゴンモデルを取得する。また、取得部801は、対象地域内の通行可能な経路を表す経路情報を取得する。経路は、例えば、一般道路、高速道路などである。また、取得部801は、センサー情報を取得する。センサー情報は、車両に搭載されるセンサーの有効範囲を特定可能な情報である。
【0060】
具体的には、例えば、取得部801は、図2に示した入力装置207を用いたユーザの操作入力により、図3に示した入力データ300を取得する。また、取得部801は、他のコンピュータから受信することにより、入力データ300を取得してもよい。入力データ300に含まれる3Dポリゴンモデル301は、3次元ポリゴンモデルの一例である。入力データ300に含まれるレーンデータ302は、経路情報の一例である。入力データ300に含まれるセンサー情報303は、センサー情報の一例である。
【0061】
抽出部802は、取得された3次元ポリゴンモデルを含む空間を区切って分割した要素のうち、対象地域内の通行可能な経路を通行する車両に搭載されるセンサーの有効範囲内となる要素群を抽出する。具体的には、例えば、抽出部802は、取得された経路情報とセンサー情報とに基づいて、センサーの有効範囲を特定する。そして、抽出部802は、分割した要素のうち、特定した有効範囲内となる要素群を抽出する。
【0062】
より詳細に説明すると、例えば、抽出部802は、取得された入力データ300に含まれる3Dポリゴンモデル301を覆うバウンディングボックスを作成する。つぎに、抽出部802は、作成したバウンディングボックスを区切って複数の要素に分割する。要素は、例えば、ボクセルである。ボクセルは、例えば、1辺が数十cm~数mの立方体である。
【0063】
つぎに、抽出部802は、取得された入力データ300に含まれるレーンデータ302とセンサー情報303とに基づいて、対象地域内の通行可能な経路を通行する車両に搭載されるセンサーの有効範囲を特定する。センサーの有効範囲は、例えば、対象地域内の通行可能な経路と、センサーの有効距離とから特定される。
【0064】
なお、車両に搭載されるセンサーの有効範囲の特定例については、図9および図10を用いて後述する。
【0065】
そして、抽出部802は、分割したボクセル(要素)のうち、特定した有効範囲内のボクセル群を抽出する。有効範囲内のボクセルは、例えば、少なくとも一部分が有効範囲内に含まれるボクセルである。また、有効範囲内のボクセルは、有効範囲内に全部分が含まれるボクセルであってもよい。
【0066】
以下の説明では、3次元ポリゴンモデルを含む空間を区切って分割した要素を「ボクセル」と表記する場合がある。
【0067】
第1の生成部803は、抽出されたボクセル群に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データを生成する。具体的には、例えば、第1の生成部803は、3Dポリゴンモデル301から、抽出されたボクセル群に含まれるポリゴンを抽出する。そして、第1の生成部803は、抽出したポリゴンごとに、当該ポリゴン内に所定の間隔で点を配置することによって、第1の点群データを生成する。点間の間隔は、例えば、10cm~30cm程度である。
【0068】
特定部804は、対象領域を特定する。ここで、対象領域は、対象地域のうち点群地図の対象となる領域である。例えば、特定部804は、抽出されたボクセル群のうち、対象地域内の通行可能な経路の少なくとも一部を含むボクセルをシードとして、領域拡張を行うことにより、対象領域を特定する。
【0069】
具体的には、例えば、特定部804は、抽出されたボクセル群のうち、経路の少なくとも一部を含むボクセルを領域の起点として、当該ボクセルから隣接するボクセルを順次辿ることにより、生成された第1の点群データが表すいずれかの点を含むボクセルまで領域を拡張する。
【0070】
より詳細に説明すると、例えば、特定部804は、抽出されたボクセル群から、レーンデータ302が表す経路上の点(ノード)を含むボクセルをシードとして選択してもよい。つぎに、特定部804は、ボクセル群から、選択したシードに隣接するボクセルを選択する。
【0071】
ここで、隣接するボクセルは、例えば、選択したボクセルと面を共有する少なくともいずれかのボクセル(上下方向、左右方向、前後方向のボクセルなど)である。また、隣接するボクセルは、選択したボクセルと頂点または線を共有する少なくともいずれかのボクセルであってもよい。
【0072】
そして、特定部804は、選択したボクセルに、第1の点群データが表すいずれかの点が含まれるか否かを判断する。ここで、選択したボクセルにいずれの点も含まれない場合、特定部804は、選択したボクセルを取り込んで領域を拡張し、そのボクセルに隣接するボクセルをさらに選択して、同じ処理を繰り返す。一方、選択したボクセルにいずれかの点が含まれる場合、特定部804は、選択したボクセルを取り込んで領域を拡張した上で、領域拡張を終了する。
【0073】
なお、領域の拡張例については、図11A図11Cを用いて後述する。
【0074】
第2の生成部805は、特定された対象領域に含まれるポリゴンを点群化した第2の点群データを生成する。具体的には、例えば、第2の生成部805は、生成された第1の点群データが表す点群のうち、拡張された領域内のボクセルに含まれる点群を表す第2の点群データを生成する。より詳細に説明すると、例えば、第2の生成部805は、第1の点群データから、拡張された領域内のボクセルに含まれる点群のみを抽出することによって、第2の点群データを生成する。
【0075】
出力部806は、生成された第2の点群データを出力する。具体的には、例えば、出力部806は、対象地域の点群地図データとして、生成された第2の点群データを出力する。出力部806の出力形式としては、例えば、メモリ202、ディスク204などの記憶装置への記憶、通信I/F205による他のコンピュータへの送信、ディスプレイ206への表示、不図示のプリンタへの印刷出力などがある。
【0076】
なお、出力部806は、生成された第1の点群データを出力してもよい。第1の点群データには、センサーの有効範囲内であっても、経路上を走行する車両のセンサーに検知されない部分が含まれる場合がある。しかし、第1の点群データは、3次元ポリゴンモデルを単純に点群に変換したものに比べて、センサーの有効範囲外となる構造物や地形を表す点群が除外されている。このため、出力部806は、対象地域の点群地図データとして、生成された第1の点群データを出力してもよい。
【0077】
(センサーの有効範囲の特定例)
つぎに、図9および図10を用いて、車両に搭載されるセンサーの有効範囲の特定例について説明する。ここでは、車両を「車両901」とし、車両に搭載されるセンサーを「センサー902」とする。車両901は、例えば、自動車である。センサー902は、例えば、LiDARである。
【0078】
図9は、線分の平行移動例を示す説明図である。図9において、線分L1,L2,L3は、対象地域内の通行可能な経路を形成する線分の一例である。線分L1,L2,L3は、例えば、図6に示したようなレーンデータ302から特定される。
【0079】
例えば、抽出部802は、対象地域内の通行可能な経路を形成する線分(例えば、線分L1,L2,L3)ごとに、車両901におけるセンサー902の取り付け位置を示す座標情報に基づいて、線分を平行移動する。センサー902の取り付け位置を示す座標情報は、例えば、図7に示すセンサー情報303に含まれるパラメータa,b,cである。
【0080】
パラメータa,b,cは、車両901の後輪車軸中心Oを基準とした座標位置である。具体的には、例えば、抽出部802は、線分L1の始点p1および終点p2を、x軸方向に「a」、y軸方向に「b」、z軸方向に「c」それぞれ移動することにより、線分L1を平行移動する。
【0081】
これにより、抽出部802は、車両901におけるセンサー902の取り付け位置に合わせて線分L1を移動することができる。
【0082】
そして、抽出部802は、平行移動後の線分とセンサー902の有効距離とに基づいて、センサー902の有効範囲を特定してもよい。センサー902の有効距離は、例えば、センサー情報303に含まれるパラメータrである。具体的には、例えば、抽出部802は、平行移動後の線分ごとに、当該線分を有効距離r分伸ばした線分を中心とする、有効距離rを半径とする円柱領域を作成する。そして、抽出部802は、平行移動後の線分ごとに作成した円柱領域を、センサー902の有効範囲として特定する。
【0083】
ここで、図10を用いて、平行移動後の線分L1を例に挙げて、センサー902の有効範囲について説明する。
【0084】
図10は、センサーの有効範囲の一例を示す説明図である。図10において、線分L1は、平行移動後の線分L1を示す。抽出部802は、例えば、線分L1を両方向に、センサー902の有効距離r分伸ばした線分L1’を作成する。そして、抽出部802は、作成した線分L1’を中心とする、有効距離rを半径とする円柱領域1000を作成する。
【0085】
これにより、抽出部802は、対象地域内の通行可能な経路を形成する線分L1を通行する車両901のセンサー902の有効範囲となる円柱領域1000を特定することができる。円柱領域1000は、対象地域(待ち)を模擬するデジタル空間上における領域として特定される。
【0086】
(領域の拡張例)
つぎに、図11A図11Cを用いて、領域の拡張例について説明する。
【0087】
図11A図11Cは、領域の拡張例を示す説明図である。図11Aにおいて、建物ポリゴン1101は、対象地域内(街)の建物を表すポリゴンである。地面ポリゴン1102は、対象地域内の地面を表すポリゴンである。経路1103は、対象地域内の通行可能な経路を表す。なお、図11A図11Cは、経路1103上を走行する車両を後方から見た図に相当する。
【0088】
点線枠1110は、車両のセンサーの有効範囲を示す。点線枠1110内の正方形は、センサーの有効範囲内のボクセル群を示す。また、点線枠1110内の点群(円の集合)は、センサーの有効範囲内のボクセル群に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データに相当する。
【0089】
図11Aにおいて、特定部804は、点線枠1110内のボクセル群のうち、経路1103の少なくとも一部を含むボクセル1111をシードとして選択する。
【0090】
図11Bにおいて、特定部804は、点線枠1110内のボクセル群から、選択したボクセル1111に隣接するボクセルを選択する。ここでは、ボクセル1111の左右方向のボクセル1112,1113と、ボクセル1111の上下方向のボクセル1114,1115とが選択される。図示は省略するが、ボクセル1111の前後方向のボクセルも選択される。
【0091】
ここで、ボクセル1115には、地面ポリゴン1102を点群化した点が含まれる。この場合、特定部804は、選択したボクセル1115を取り込んで領域を拡張した上で、ボクセル1115からの領域拡張を中止する。
【0092】
一方、ボクセル1112,1113,1114には、点群化したいずれの点も含まれない。この場合、特定部804は、各ボクセル1112,1113,1114を取り込んで領域を拡張し、さらに、各ボクセル1112,1113,1114に隣接するボクセルを選択する。
【0093】
図11Cにおいて、点線枠1110内のボクセル群から、ボクセル1112に隣接するボクセル1116,1117,1118が選択されている。ここで、ボクセル1116には、建物ポリゴン1101を点群化した点が含まれる。この場合、特定部804は、ボクセル1116を取り込んで領域を拡張した上で、ボクセル1116からの領域拡張を中止する。
【0094】
また、ボクセル1118には、地面ポリゴン1102を点群化した点が含まれる。この場合、特定部804は、ボクセル1118を取り込んで領域を拡張した上で、ボクセル1118からの領域拡張を中止する。一方、ボクセル1117には、点群化したいずれの点も含まれない。この場合、特定部804は、ボクセル1117を取り込んで領域を拡張し、さらに、ボクセル1117に隣接するボクセルを選択する。
【0095】
このように、特定部804は、車両が通過する可能性がある箇所(ボクセル1111)をシードとして、建物や地面にぶつかるまで領域拡張を行って、センサーに検知されないような部分を除外した領域を特定することができる。例えば、特定部804は、点線円1120内の点群のように、建物の陰になっている点群を除去することができる。
【0096】
(情報処理装置101の生成処理手順)
つぎに、実施の形態2にかかる情報処理装置101の生成処理手順について説明する。
【0097】
図12は、実施の形態2にかかる情報処理装置101の生成処理手順の一例を示すフローチャートである。図12のフローチャートにおいて、まず、情報処理装置101は、図3に示したような入力データ300を取得する(ステップS1201)。入力データ300は、3Dポリゴンモデル301と、レーンデータ302と、センサー情報303とを含む。
【0098】
つぎに、情報処理装置101は、取得した入力データ300に含まれる3Dポリゴンモデル301を覆うバウンディングボックスを作成する(ステップS1202)。そして、情報処理装置101は、作成したバウンディングボックスを区切って複数のボクセルに分割する(ステップS1203)。
【0099】
つぎに、情報処理装置101は、取得した入力データ300に含まれるレーンデータ302とセンサー情報303とに基づいて、分割した複数のボクセルから対象ボクセルを抽出する対象ボクセル抽出処理を実行する(ステップS1204)。対象ボクセルは、対象地域内の通行可能な経路を通行する車両に搭載されるセンサーの有効範囲内となるボクセル群である。対象ボクセル抽出処理の具体的な処理手順については、図13を用いて後述する。
【0100】
そして、情報処理装置101は、3Dポリゴンモデル301から、抽出した対象ボクセルに含まれるポリゴンを抽出する(ステップS1205)。つぎに、情報処理装置101は、抽出したポリゴンを点群化した第1の点群データを生成する(ステップS1206)。
【0101】
そして、情報処理装置101は、対象領域特定処理を実行する(ステップS1207)。対象領域特定処理は、対象地域のうち点群地図の対象となる領域を特定する処理である。対象領域特定処理の具体的な処理手順については、図15を用いて後述する。
【0102】
つぎに、情報処理装置101は、生成した1の点群データが表す点群のうち、特定した対象領域に含まれるポリゴンを点群化した第2の点群データを生成する(ステップS1208)。そして、情報処理装置101は、生成した第2の点群データを、対象地域の点群地図データとして出力して(ステップS1209)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0103】
これにより、情報処理装置101は、自動運転シミュレータ向けの点群地図データを生成することができる。
【0104】
つぎに、図13を用いて、図12に示したステップS1204の対象ボクセル抽出処理の具体的な処理手順について説明する。
【0105】
図13は、対象ボクセル抽出処理の具体的処理手順の一例を示すフローチャートである。図13のフローチャートにおいて、まず、情報処理装置101は、レーンデータ302が表す経路を形成する線分のうち選択されていない未選択の線分を選択する(ステップS1301)。
【0106】
つぎに、情報処理装置101は、センサー情報303に含まれるパラメータa,b,cに基づいて、選択した線分を平行移動する(ステップS1302)。そして、情報処理装置101は、平行移動後の線分を、センサー情報303に含まれるパラメータr分伸ばした線分を中心とする、パラメータrを半径とする円柱領域を作成する(ステップS1303)。
【0107】
つぎに、情報処理装置101は、図12に示したステップS1203において分割した複数のボクセルから、作成した円柱領域に含まれるボクセルを抽出する(ステップS1304)。なお、円柱領域に含まれるボクセルとは、例えば、円柱領域に全部が含まれるボクセルであってもよく、また、円柱領域に一部または全部が含まれるボクセルであってもよい。
【0108】
抽出されたボクセルの情報は、例えば、図14に示すような対象ボクセルテーブル1400に記憶される。対象ボクセルテーブル1400は、例えば、メモリ202、ディスク204などの記憶装置により実現される。
【0109】
図14は、対象ボクセルテーブル1400の記憶内容の一例を示す説明図である。図14において、対象ボクセルテーブル1400は、ボクセルIDおよび領域フラグのフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、対象ボクセル情報(例えば、対象ボクセル情報1400-1,1400-2)をレコードとして記憶する。
【0110】
ここで、ボクセルIDは、ボクセルを一意に識別する識別子である。領域フラグは、対象領域にボクセルが含まれるか否かを示す。領域フラグ「0」は、対象領域に含まれないことを示す。領域フラグ「1」は、対象領域に含まれることを示す。領域フラグは、初期状態では「0」である。
【0111】
例えば、図13に示したステップS1304において、ボクセルID「B10」のボクセルが抽出されると、対象ボクセル情報1400-1が対象ボクセルテーブル1400に新たなレコードとして記憶される。ただし、この時点では、領域フラグは「0」である。
【0112】
図13の説明に戻り、情報処理装置101は、レーンデータ302が表す経路を形成する線分のうち選択されていない未選択の線分があるか否かを判断する(ステップS1305)。ここで、未選択の線分がある場合(ステップS1305:Yes)、情報処理装置101は、ステップS1301に戻る。
【0113】
一方、未選択の線分がない場合(ステップS1305:No)、情報処理装置101は、対象ボクセル抽出処理を呼び出したステップに戻る。
【0114】
これにより、情報処理装置101は、対象地域内の通行可能な経路を通行する車両に搭載されるセンサーの有効範囲内となるボクセル群を抽出することができる。なお、ステップS1304において円柱領域に含まれるボクセルを判断するにあたり、対象ボクセルテーブル1400に登録済みのボクセルは除外する。これにより、情報処理装置101は、同一のボクセルについての重複処理を防いで負荷を軽減することができる。
【0115】
つぎに、図15を用いて、図12に示したステップS1207の対象領域特定処理の具体的な処理手順について説明する。
【0116】
図15は、対象領域特定処理の具体的処理手順の一例を示すフローチャートである。図15のフローチャートにおいて、まず、情報処理装置101は、図14に示した対象ボクセルテーブル1400を参照して、対象ボクセルのうち、対象地域内の通行可能な経路の少なくとも一部を含むボクセルであって選択されていない未選択のボクセルを選択する(ステップS1501)。
【0117】
そして、情報処理装置101は、選択したボクセルをシードとする(ステップS1502)。この際、情報処理装置101は、シードとして選択したボクセルのボクセルIDに対応する対象ボクセルテーブル1400内の対象ボクセル情報の領域フラグに「1」を設定する。例えば、ボクセルID「B10」のボクセルがシードとして選択された場合、対象ボクセル情報1400-1の領域フラグに「1」が設定される。
【0118】
つぎに、情報処理装置101は、対象ボクセルのうち、シードから隣接するボクセルを順次辿ることにより領域拡張を行う(ステップS1503)。具体的には、例えば、情報処理装置101は、対象ボクセルから、シードに隣接するボクセルを選択する。情報処理装置101は、選択したボクセルに第1の点群データが表すいずれの点も含まれない場合、選択したボクセルを領域に取り込んで、さらに、当該ボクセルに隣接するボクセルを対象ボクセルから選択する。一方、選択したボクセルに第1の点群データが表すいずれかの点が含まれる場合、情報処理装置101は、選択したボクセルを領域に取り込んだ上で領域拡張を終了する。また、情報処理装置101は、選択したボクセルのボクセルIDに対応する対象ボクセルテーブル1400内の対象ボクセル情報の領域フラグに「1」を設定する。例えば、ボクセルID「B11」のボクセルが選択された場合、対象ボクセル情報1400-2の領域フラグに「1」が設定される。なお、情報処理装置101は、隣接するボクセルを選択するにあたり、領域フラグが「1」のボクセルは除外する。これにより、情報処理装置101は、同一のボクセルについての重複処理を防いで負荷を軽減することができる。
【0119】
そして、情報処理装置101は、対象ボクセルテーブル1400を参照して、対象ボクセルのうち、対象地域内の通行可能な経路の少なくとも一部を含むボクセルであって選択されていない未選択のボクセルがあるか否かを判断する(ステップS1504)。
【0120】
ここで、未選択のボクセルがある場合(ステップS1504:Yes)、情報処理装置101は、ステップS1501に戻る。一方、未選択のボクセルがない場合(ステップS1504:No)、情報処理装置101は、対象領域特定処理を呼び出したステップに戻る。
【0121】
これにより、情報処理装置101は、対象地域のうち点群地図の対象となる領域を特定することができる。対象領域は、例えば、対象ボクセルテーブル1400内の領域フラグが「1」のボクセルの集合である。
【0122】
なお、ステップS1501においてボクセルを選択するにあたり、情報処理装置101は、例えば、図13に示したステップS1302において平行移動した線分の一部または全部を含むボクセルを選択してもよい。
【0123】
以上説明したように、実施の形態2にかかる情報処理装置101によれば、対象地域の3次元ポリゴンモデルを含む空間を区切って分割したボクセルのうち、対象地域内の通行可能な経路を通行する車両に搭載されるセンサーの有効範囲内となるボクセル群を抽出することができる。センサーは、例えば、LiDARである。また、情報処理装置101によれば、抽出したボクセル群に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データを生成し、ボクセル群のうち、経路の少なくとも一部を含むボクセルを領域の起点として、当該ボクセルから隣接するボクセルを順次辿ることにより、生成した前記第1の点群データが表すいずれかの点を含むボクセルまで領域を拡張することができる。そして、情報処理装置101は、生成した第1の点群データが表す点群のうち、拡張した領域内のボクセルに含まれる点群を表す第2の点群データを出力することができる。
【0124】
これにより、情報処理装置101は、自己位置推定に用いられないような不要なデータ(点群)を除去した、自動運転シミュレーションに適した点群地図データを生成することができる。このため、情報処理装置101は、例えば、3次元ポリゴンモデル(例えば、BIMデータ)を単純に点群に変換する場合に比べて、点群地図データの生成にかかる時間を短縮したり、シミュレーション時間を短縮したりすることができる。
【0125】
また、情報処理装置101によれば、対象地域内の通行可能な経路を表す経路情報と、センサーの有効距離(例えば、パラメータr)とに基づいて、センサーの有効範囲を特定し、分割したボクセルのうち、特定した有効範囲内となるボクセル群を抽出することができる。
【0126】
これにより、情報処理装置101は、対象地域内の通行可能な経路を指定することができる。また、情報処理装置101は、センサーの有効距離を考慮して、指定された経路を車両が通行するときにセンサーの有効範囲内となるボクセル群を精度よく抽出することができる。
【0127】
また、情報処理装置101によれば、経路を形成する線分ごとに、車両におけるセンサーの取り付け位置を示す座標情報(例えば、パラメータa,b,c)に基づいて、線分を平行移動し、平行移動後の線分とセンサーの有効距離とに基づいて、センサーの有効範囲を特定することができる。具体的には、例えば、情報処理装置101は、平行移動後の線分ごとに、当該線分を両方向に有効距離分伸ばした線分を中心とする当該有効距離を半径とする円柱領域を作成し、平行移動後の線分ごとに作成した円柱領域を、センサーの有効範囲として特定する。
【0128】
これにより、情報処理装置101は、対象地域内の通行可能な経路を形成する線分を、車両におけるセンサーの取り付け位置に合わせて移動して、センサーの有効範囲を精度よく特定することができる。
【0129】
また、情報処理装置101によれば、ボクセル群のうち、経路の少なくとも一部を含むボクセルをシードとして、当該ボクセルに隣接する要素を選択し、選択したボクセルを取り込んで領域を拡張する領域拡張を行うことができる。そして、情報処理装置101によれば、選択したボクセルに第1の点群データが表すいずれの点も含まれない場合、ボクセル群のうち、当該ボクセルに隣接するボクセルをさらに選択して領域拡張を行い、選択したボクセルに第1の点群データが表すいずれかの点が含まれる場合、領域拡張を終了することができる。
【0130】
これにより、情報処理装置101は、領域拡張法を利用して、構造物の陰になってセンサーに検知されないような点群を除去することができる。
【0131】
これらのことから、情報処理装置101によれば、センサー(例えば、LiDAR)に検知されないような点群を除去した自動運転シミュレータ向けの点群地図データを生成することができる。これにより、情報処理装置101は、例えば、都市計画の策定時など、全く新しい環境での自動運転シミュレータを構築する際に、自己位置推定に用いる高精度な点群地図データを短時間で生成可能となり、自動運転の実現に役立てることができる。
【0132】
なお、本実施の形態で説明した生成方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本生成プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本生成プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0133】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0134】
(付記1)対象地域の3次元ポリゴンモデルを含む空間を区切って分割した要素のうち、前記対象地域内の通行可能な経路を通行する移動体に搭載されるセンサーの有効範囲内となる要素群を抽出し、
抽出した前記要素群に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データを生成し、
前記要素群のうち、前記経路の少なくとも一部を含む要素を領域の起点として、当該要素から隣接する要素を順次辿ることにより、生成した前記第1の点群データが表すいずれかの点を含む要素まで前記領域を拡張し、
前記第1の点群データが表す点群のうち、拡張した前記領域内の要素に含まれる点群を表す第2の点群データを出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする生成プログラム。
【0135】
(付記2)前記抽出する処理は、
前記対象地域内の通行可能な経路を表す経路情報と、前記センサーの有効距離とに基づいて、前記センサーの有効範囲を特定し、
前記分割した要素のうち、特定した前記有効範囲内となる要素群を抽出する、
ことを特徴とする付記1に記載の生成プログラム。
【0136】
(付記3)前記抽出する処理は、
前記経路を形成する線分ごとに、前記移動体における前記センサーの取り付け位置を示す座標情報に基づいて、前記線分を平行移動し、
平行移動後の前記線分と前記センサーの有効距離とに基づいて、前記センサーの有効範囲を特定する、
ことを特徴とする付記2に記載の生成プログラム。
【0137】
(付記4)平行移動後の前記線分ごとに、当該線分を両方向に前記有効距離分伸ばした線分を中心とする当該有効距離を半径とする円柱領域を作成し、
平行移動後の前記線分ごとに作成した前記円柱領域を、前記センサーの有効範囲として特定する、
ことを特徴とする付記3に記載の生成プログラム。
【0138】
(付記5)前記領域を拡張する処理は、
前記要素群のうち、前記経路の少なくとも一部を含む要素をシードとして、当該要素に隣接する要素を選択し、選択した前記要素を取り込んで領域を拡張する領域拡張を行い、
選択した前記要素に前記第1の点群データが表すいずれの点も含まれない場合、前記要素群のうち、当該要素に隣接する要素をさらに選択して前記領域拡張を行い、
選択した前記要素に前記第1の点群データが表すいずれかの点が含まれる場合、前記領域拡張を終了する、ことを特徴とする付記1に記載の生成プログラム。
【0139】
(付記6)前記センサーは、LiDAR(Light Detection And Ranging)である、ことを特徴とする付記1~5のいずれか一つに記載の生成プログラム。
【0140】
(付記7)対象地域の3次元ポリゴンモデルを含む空間を区切って分割した要素のうち、前記対象地域内の通行可能な経路を通行する移動体に搭載されるセンサーの有効範囲内となる要素群を抽出し、
抽出した前記要素群に含まれるポリゴンを点群化した第1の点群データを生成し、
前記要素群のうち、前記経路の少なくとも一部を含む要素を領域の起点として、当該要素から隣接する要素を順次辿ることにより、生成した前記第1の点群データが表すいずれかの点を含む要素まで前記領域を拡張し、
前記第1の点群データが表す点群のうち、拡張した前記領域内の要素に含まれる点群を表す第2の点群データを出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする生成方法。
【符号の説明】
【0141】
101 情報処理装置
110 3次元ポリゴンモデル
120 経路情報
130 要素群
140 第1の点群データ
150 領域
160 第2の点群データ
200 バス
201 CPU
202 メモリ
203 ディスクドライブ
204 ディスク
205 通信I/F
206 ディスプレイ
207 入力装置
208 可搬型記録媒体I/F
209 可搬型記録媒体
210 ネットワーク
300 入力データ
301 3Dポリゴンモデル
302 レーンデータ
303 センサー情報
410,1103 経路
501,502 ノード
510 リンク
800 制御部
801 取得部
802 抽出部
803 第1の生成部
804 特定部
805 第2の生成部
806 出力部
901 車両
902 センサー
1000 円柱領域
1101 建物ポリゴン
1102 地面ポリゴン
1400 対象ボクセルテーブル
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