(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068017
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】脚付き重量物の運搬具
(51)【国際特許分類】
B62B 1/06 20060101AFI20240510BHJP
B62B 1/04 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B62B1/06
B62B1/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178499
(22)【出願日】2022-11-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】512118174
【氏名又は名称】株式会社F.クリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】古宮 昇
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA11
3D050BB09
3D050DD01
3D050EE04
3D050EE13
3D050GG04
(57)【要約】
【課題】 脚付きの重量物を持ち上げながら前後左右に容易に移動させることができる運搬具を提供する。
【解決手段】本発明の運搬具は、脚付きの重量物を下側から持ち上げつつ前後に移動させるためのものであって、前記重量物の下部に挿入され、前記重量物を下側から上向きに押し上げる略矩形状の平板部と、前記平板部の一辺に取り付けられ、前記平板部の上面に対して5°以上50°以下の角度で上向きに延びる棒状のシャフトと、前記シャフトの前記平板部の近傍の位置に取り付けられた一対の車輪と、前記シャフトの前記平板部が取り付けられた側とは反対側の端部に設けられ、前記重量物を運搬する際に作業者の持ち手となるハンドル部と、を有し、前記平板部は、前記重量物の脚に引っ掛け可能となるように、前記平板部の前記シャフトが取り付けられた辺に隣接するいずれか一辺を内側に切り欠いた掛部が形成されている。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚付きの重量物を下側から持ち上げつつ前後に移動させるための運搬具であって、
前記重量物の下部に挿入され、前記重量物を下側から上向きに押し上げる略矩形状の平板部と、
前記平板部の一辺に取り付けられ、前記平板部の上面に対して5°以上50°以下の角度で上向きに延びる棒状のシャフトと、
前記シャフトの前記平板部の近傍の位置に取り付けられた一対の車輪と、
前記シャフトの前記平板部が取り付けられた側とは反対側の端部に設けられ、前記重量物を運搬する際に作業者の持ち手となるハンドル部と、を有し、
前記平板部は、前記重量物の脚に引っ掛け可能となるように、前記平板部の前記シャフトが取り付けられた辺に隣接するいずれか一辺を内側に切り欠いた掛部が形成されている運搬具。
【請求項2】
前記掛部の切り欠きは、前記平板部の内側が広がりつつ前記平板部の外側が窄まっている請求項1に記載の運搬具。
【請求項3】
前記シャフトは、外側フレームと、当該外側フレームよりも一回り小さな内側フレームの2重構造とされており、前記外側フレームから前記内側フレームを引き出すことによって前記シャフト全体の長手方向の長さを調整することができる請求項1に記載の運搬具。
【請求項4】
前記ハンドル部は、前記シャフトと同等の厚みで構成され、かつ前記シャフトよりも幅広の略直方体で構成された脚踏み部と、前記脚踏み部の側面から前記シャフトの長手方向に延びる左右一対のプレート板と、前記左右一対のプレート板の内側上部を繋ぐように取り付けられた円柱状の持ち手部とを有する請求項1又は2に記載の運搬具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚付きの重量物を移動させる運搬具に関し、より詳細には、商業用店舗に設置される商品陳列棚に商品を展示した状態のままで当該商品陳列棚を移動させる運搬具に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパー、コンビニエンスストア、家電量販店、百貨店等の売場では、商品を多段の陳列棚に陳列して販売している。この陳列棚は、季節の変わり目に展示する商品を変更することもあるし、店舗内のレイアウトを変更することもあり、このような場合に、陳列棚の配置を変更しなければならないことがある。
【0003】
陳列棚の配置を変更する場合には、陳列棚に配置された商品を一旦取り出してから、陳列棚を運搬し、最後に、商品を陳列棚に戻さなければならず、その作業が煩わしかった。特に、陳列棚を数メートル移動させるだけのために、陳列棚に配置された商品を全て取り出して、陳列棚を数メートルだけ移動させた後に、改めて陳列棚に商品を配置する作業が煩わしかった。このような煩わしさを回避するために、特許文献1(特開2022-157574号公報)には、重量物を床から浮かせたまま床上で移動させることが可能な移動用治具が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示の移動用治具は、移動用治具の本体となる本体部と、本体部よりも下方位置に設けられ、床上を移動するためのキャスター部と、本体部よりも上方位置に設けられ、内装ユニットUの底面に設けられたベースフレームを側方から保持するための保持部と、本体部と保持部を連結し、本体部に対して保持部の高さ位置を変更可能な状態で取り付けられる高さ調整部材とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の移動用治具を用いて重量物を移動させる際、まず、移動用治具と陳列棚の高さを合わせた上で、陳列棚の足に取り換えて移動用治具を取り付ける。そして、移動用治具によって陳列棚を移動させてから移動用治具を陳列棚の足を元に戻す。この移動用治具の取付作業及び取外作業が煩わしかった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、脚付きの重量物を持ち上げながら前後左右に容易に移動させることができる運搬具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、脚のある重量物を運搬するための運搬具の構成について鋭意検討を重ねた。その結果、バールの攻勢を一部変更することによって効率的に重量物を運搬できる運搬具ができることを見出し、その運搬具の形状及び構造についてさらに検討を重ねて以下に示す本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の運搬具は、脚付きの重量物を下側から持ち上げつつ前後に移動させるためのものであって、重量物の下部に挿入され、前記重量物を下側から上向きに押し上げる略矩形状の平板部と、前記平板部の一辺に取り付けられ、前記平板部の上面に対して5°以上50°以下の角度で上向きに延びる棒状のシャフトと、前記シャフトの前記平板部の近傍の位置に取り付けられた一対の車輪と、前記シャフトの前記平板部が取り付けられた側とは反対側の端部に設けられ、前記重量物を運搬する際に作業者の持ち手となるハンドル部と、を有し、前記平板部は、前記重量物の脚に引っ掛け可能となるように、前記平板部の前記シャフトが取り付けられた辺に隣接するいずれか一辺を内側に切り欠いた掛部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の運搬具の使用手順について、まず、本発明の運搬具の平板部を脚付きの重量物の下側に侵入させる。このとき、一対の車輪が接地しているので、この一対の車輪を転がすことで、平板部が前後方向に動きやすいようにされている。そして、平板部に形成された掛部を重量物の脚に引っ掛けた上で、ハンドル部に対して下向きの力を加えることによって、てこの原理で重量物を上側に持ち上げる。この状態でハンドル部を引っ張ることによって一対の車輪が転がり、重量物の上下方向の動きを最小限にしつつ、重量物を前後左右に移動させることができる。本発明の運搬具は、平板部に掛部が設けられていることにより、運搬具の脚に掛部を引っ掛けることができるので、重量物を持ち上げたときに平板部が重量物の下側から外れにくい。しかも、シャフトの平板部の近傍に一対の車輪が取り付けられていることから、重量物を持ち上げた状態で一対の車輪が前後に動作し、重量物を前後に移動させやすい。また平板部の上面に対して5°以上30°以下の角度でシャフトが上向きに延びていることから、ハンドル部に対して下向きの力を加えて重量物を上側に持ち上げるときの上側への持ち上げ幅が大きくならず、重量物を上側に持ち上げたときの重量物のバランスが崩れにくい。
【0011】
上記構成において、前記掛部の切り欠きは、前記平板部の内側が広がりつつ前記平板部の外側が窄まっていることが好ましい。上記のような形状の掛部とすることにより、重量物の脚に掛部を引っ掛けた状態でハンドル部を引っ張ったときにも掛部が重量物の脚から外れにくく、掛部を重量物の脚に引っ掛けた状態で重量物を前後に引っ張ることができ、重量物を前後に移動させやすくすることができる。
【0012】
上記構成において、前記シャフトは、外側フレームと、当該外側フレームよりも一回り小さな内側フレームの2重構造とされており、前記外側フレームから前記内側フレームを引き出すことによって前記シャフト全体の長手方向の長さを調整することができることが好ましい。シャフトの長さを調整できることにより、重量物の大きさや重さに応じてシャフトの長さを変更することができる。すなわち、例えば重量物の重さが重い場合にはシャフトの長さを長くし、てこの原理で重量物を持ち上げやすくすることができるし、逆に重量物が軽い場合にはシャフトの長さを短くし、手軽に重量物を持ち上げることができる。このようにして重量物の軽重にかかわらず、本発明の運搬具で対応することができることにより作業効率を大幅に向上させることができる。
【0013】
上記構成において、前記ハンドル部は、前記シャフトと同等の厚みで構成され、かつ前記シャフトよりも幅広の略直方体で構成された脚踏み部と、前記脚踏み部の側面から前記シャフトの長手方向に延びる左右一対のプレート板と、前記左右一対のプレート板の内側上部を繋ぐように取り付けられた円柱状の持ち手部とを有することが好ましい。このように脚踏み部を設けることにより重量物の重さが特に重い時には脚踏み部を踏みつけることによって重量物を上側に持ち上げることができる。また、左右一対のプレート板の内側上部に持ち手部が取り付けられていることにより、持ち手部を持った状態でハンドル部を床下まで下げようとしても、作業者の手が持ち手部と床に挟まれないようにされている。これにより作業者の手を挟んでしまう怪我を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の運搬具は、脚付きの重量物を持ち上げながら前後左右に容易に移動させることができるという優れた効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)及び(B)はそれぞれ、本発明の運搬具の側面図及び上面図である。
【
図3】(A)及び(B)はそれぞれ、本発明の運搬具を脚付きの重量物の下部に挿入する前後の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更することができる。
【0017】
図1は、(A)及び(B)はそれぞれ、本発明の運搬具の側面図及び上面図である。本発明の運搬具10は、脚付きの重量物を持ち上げながら前後左右に容易に移動させることができるものであり、
図1(A)及び(B)に示されるように、平板部11と、平板部11の一辺に取り付けられ、平板部11の上面に対して5°以上50°以下の角度で上向きに延びる棒状のシャフト13と、シャフト13の平板部11の近傍の位置に取り付けられた一対の車輪12と、シャフト13の平板部11が取り付けられた側とは反対側の端部に設けられ、重量物を運搬する際に作業者の持ち手となるハンドル部14とで主に構成されている。
【0018】
図2は、脚付きの重量物の一例を示す斜視図であり、
図3(A)及び
図3(B)はそれぞれ、本発明の運搬具を脚付きの重量物の下部に挿入する前後の側面図である。
図2に示す重量物は、
図2では示されていないが、底面に脚が取り付けられたものである。本発明の運搬具10を用いて、
図2に示す重量物20を運搬する場合、
図3(A)及び(B)に示すように、ハンドル部14を持ちながら重量物の下部に平板部11を挿入し、ハンドル部14に対して下向きに力を加えることによって平板部11を上向きに動かす。このとき、一対の車輪12が支点となり、てこの原理によって重量物20を持ち上げることができる。シャフト13の長さが長いほど、てこの原理が大きく作用するので、より少ない力で重量物20を持ち上げることができる。しかも、重量物20を持ち上げた状態で、一対の車輪12が支点になっているため、車輪12の前後方向に重量物を動かしやすい。ここでの「前後方向」とは、シャフト13の長手方向と同一方向を意味する。以下において、「左右方向」は、前後方向に垂直であって、かつ床面に平行な方向であり、「上下方向」は、前後方向に垂直であってかつ床面に垂直な方向である。
【0019】
平面部11の上面に対して5°以上50°以下の角度で棒状のシャフト13が取り付けられているので、シャフト13の長さを十分に確保することができ、てこの原理が最大限発揮される。ここで、平面部11の上面に対する棒状のシャフト13のなす角度が5°未満であると、運搬具全体の長さが長くなりすぎて取り扱いにくくなる。一方、50°を超えると、棒状のシャフト13のなす角度が大きすぎて、棒状のシャフト13の長さを確保できないことにより、てこの原理が作用しにくく、重量物20を持ち上げにくくなる。以下に本発明の運搬具10を構成する各部を説明する。
【0020】
(平板部)
平板部11は、耐荷重性を確保するために剛性の高い金属で構成された略矩形の枚葉状の部位であり、重量物20の下部に挿入され、重量物20を下側から上向きに持ち上げる部分である。平板部11には、重量物20の脚21に引っ掛け可能となるように、平板部11のシャフト13が取り付けられた辺に隣接するいずれか一辺を内側に切り欠いた掛部11aが形成されている。平板部11のシャフト13が取り付けられた辺に隣接するいずれか一辺(平板部11のシャフトが取り付けられた辺及びその対辺以外のいずれかの辺)に掛部11aが設けられていることにより、重量物20の下側に平板部11を侵入させた状態で、重量物の脚に掛部11aを引っ掛けることができる。これにより、重量物20の脚21に掛部11aを引っ掛けた状態で、重量物20の下側で平板部11が滑りにくくなる。
【0021】
掛部11aの切り欠きは、
図1(B)に示すように、平板部11の内側が広がりつつ平板部11の外側が窄まっていることが好ましい。このような形状の掛部11aとすることにより、重量物の脚に掛部11aを引っ掛けることができ、かつ引っ掛けた状態で平板部11を一対の車輪12の方向に引っ張っても掛部11aが重量物の脚から外れにくく、重量物を持ち上げた状態での前後方向の動作が容易となる。
【0022】
図1では、平板部11の一辺のうちのシャフト13が取り付けられた辺の右辺に掛部11aが設けられた場合を示しているが、左辺に掛部11aが設けられてもよい。掛部11aは、
図1に示すように、シャフト13の延長線上の平板部11には形成されないようにされている。シャフト13の延長線上の平板部11には引っ張り方向の力がかかるため、この力に対抗すべく平板部11の剛性を確保する必要があるからである。平板部11の形状は、略矩形状とされているが、作業中に他に衝突したときに対象物が破損することを避けるため面取り加工が施されている。
【0023】
(シャフト)
棒状のシャフト13は、平板部の一辺に取り付けられ、平板部の上面に対して5°以上50°以下の角度で上向きに延びている。このシャフト13は、断面が矩形状で左右方向よりも上下方向の長さが長くされることで、上下方向の耐荷重性を確保している。このシャフト13によって、一対の車輪12を支点とし、平板部11を作用点としたてこの原理が作用し、平板部11の上の重量物20を上側に持ち上げることが可能となる。
【0024】
シャフト13は、外側フレーム13aと、当該外側フレーム13aよりも一回り小さな内側フレーム13bの2重構造とされており、外側フレーム13aから内側フレーム13bを引き出すことによってシャフト全体の長手方向の長さを調整することができる。シャフト13の長さを調整できることにより、重量物20の大きさや重さに応じてシャフトの長さを変更することができる。すなわち、例えば重量物20の重さが重い場合にはシャフト13の長さを長くすることで、てこの原理で重量物20を持ち上げやすくすることができるし、逆に重量物20が軽い場合にはシャフト13の長さを短くすることで、手軽に重量物20を持ち上げることができる。このようにして重量物の軽重にかかわらず、本発明の運搬具10で対応することができることにより作業効率を大幅に向上させることができる。
【0025】
次に、外側フレーム13aと内側フレーム13bの固定方法を説明する。外側フレーム13aの上面には、
図1(B)に示すように、均等に離間された4つのピン穴13cが設けられており、他方、内側フレーム13bの内部には、
図1(A)に示すように、固定ピン13eが内蔵されている。固定ピン13eは、弾性体を含むことで、内側フレーム13b内で上向きに力が働く状態で内蔵されており、固定ピン13eの先端が外側フレーム13aのピン穴13cから飛び出ることによって、外側フレーム13aと内側フレーム13bが固定されるようになっている。このように固定することで、シャフト13の長さを4段階で調整することが可能となる。なお、本実施形態ではピン穴13cが4つの場合を例示的に説明したが、ピン穴13cの個数は特に限定されない。
【0026】
(一対の車輪)
一対の車輪12は、シャフト13の平板部11の近傍の位置に軸支され、運搬具10の支点となって運搬具10を前後方向に移動させるものである。この一対の車輪12は従来公知のものを用いることができる。運搬具10で重量物を運ぶ際に、一対の車輪12が地面に着いた状態となるように一対の車輪12の大きさが調整されているので、一対の車輪12が接地した状態で、運搬具10とその上の重量物20を前後方向に移動させることができる。
【0027】
(ハンドル部)
ハンドル部14は、シャフト13の平板部11が取り付けられた側とは反対側の端部に設けられ、重量物20を運搬する際に作業者の持ち手となる部位である。平板部11を重量物の下に入れた状態で、ハンドル部14を下向きに押し下げることによって重量物20を上向きに持ち上げることができる。ハンドル部14は、持ちやすさと下向きの力の加えやすさの2点を兼ね備えたものとする必要がある。
【0028】
したがって、ハンドル部14は、シャフト13と同等の厚みで構成され、かつシャフト13よりも幅広の略直方体で構成された脚踏み部14aと、脚踏み部14aの側面からシャフト13の長手方向に延びる左右一対のプレート板14bと、左右一対のプレート板14bの内側上部を繋ぐように取り付けられた円柱状の持ち手部14cとを有していることが好ましい。この脚踏み部14aは、持ち手部14c以外の下向きの力を加える部分として機能し、脚踏み部14aを作業者が踏みつけることによって下向きの力を加えることができる。もちろん、持ち手部14cとともに脚踏み部14aにも下向きの力を加えて、重量物を上向きに持ち上げてもよい。
【0029】
また、持ち手部14cは、左右一対のプレート板14bの内側上部を繋ぐように取り付けられていることで、持ち手部14cを手に取った状態で手が地面につかないようにされている。これにより持ち手部14cを持った手が持ち手部14cと地面に挟まれてしまうという恐怖感を払拭することができ、持ち手部14cを持ちながら安心して下向きに力を加えることができる。
【0030】
(本発明の運搬具の使用方法)
図2に示す運搬具(商品陳列棚)を運搬する際に、
図3(B)に示すように、重量物20の脚21に平板部11の掛部11aに引っ掛けた状態で、ハンドル部14の持ち手部14cを力点として下向きに力を加えることで、一対の車輪12が支点となって、平板部11が重量物20を上向きに押し上げる。これにより重量物20が上向きに押し上げられ、その状態で一対の車輪12を前後方向に移動させることによって重量物20を前後方向に移動させることができる。
【0031】
本発明の運搬具10を用いて脚付きの重量物20を運搬する場合、重量物20を上側に少しだけ浮かせた状態で前後左右に移動させることができるため、重量物20の移動によって床が損傷してしまうことを防ぐことができる。しかも、重量物20が商品陳列棚のように多数の商品が陳列されている状態であっても、重量物20を上下に激しく移動させるものではないため、重量物20を持ち上げて前後方向に移動させても重量物に陳列された商品が落下しにくい。したがって、本発明の運搬具10は、特に商品陳列棚を移動させるときに特に好適に用いられる。
【0032】
商品陳列棚には、通常、底面にアジャスターが装着されているので、このアジャスターに本発明の運搬具10の平板部11の掛部11aを引っ掛けた状態で、持ち手部14cに下向きの力を加えることによって商品陳列棚を上側に少しだけ浮かせ、その状態で商品陳列棚を前後に動かすことにより、商品陳列棚に商品を載せた状態のまま商品陳列棚を移動させることができる。このように商品陳列棚を少しだけ浮かせて移動させることにより、商品陳列棚が床を傷つけてしまうことを防止できるし、商品が商品陳列棚から落下して損傷してしまうことを防止することも可能となる。そして、商品陳列棚に陳列された商品を降ろすことなく、商品陳列棚を移動させることができるので、作業効率を顕著に高めることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 運搬具
11 平板部
11a 掛部
12 一対の車輪
13 シャフト
13a 外側フレーム
13b 内側フレーム
13c ピン穴
13e 固定ピン
14 ハンドル部
14a 脚踏み部
14b プレート板
14c 持ち手部
20 重量物
21 脚
【手続補正書】
【提出日】2023-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚付きの重量物を下側から持ち上げつつ前後に移動させるための運搬具であって、
前記重量物の下部に挿入され、前記重量物を下側から上向きに押し上げる略矩形状の平板部と、
前記平板部の一辺に取り付けられ、前記平板部の上面に対して5°以上50°以下の角度で上向きに延びる棒状のシャフトと、
前記シャフトの前記平板部の近傍の位置に取り付けられた一対の車輪と、
前記シャフトの前記平板部が取り付けられた側とは反対側の端部に設けられ、前記重量物を運搬する際に作業者の持ち手となるハンドル部と、を有し、
前記平板部は、前記重量物の脚に引っ掛け可能となるように、前記平板部の前記シャフトが取り付けられた辺に隣接するいずれか一辺を内側に切り欠いた掛部が形成されている脚付き重量物の運搬具。
【請求項2】
前記掛部の切り欠きは、前記平板部の内側が広がりつつ前記平板部の外側が窄まっている請求項1に記載の脚付き重量物の運搬具。
【請求項3】
前記シャフトは、外側フレームと、当該外側フレームよりも一回り小さな内側フレームの2重構造とされており、前記外側フレームから前記内側フレームを引き出すことによって前記シャフト全体の長手方向の長さを調整することができる請求項1に記載の脚付き重量物の運搬具。
【請求項4】
前記ハンドル部は、前記シャフトと同等の厚みで構成され、かつ前記シャフトよりも幅広の略直方体で構成された脚踏み部と、前記脚踏み部の側面から前記シャフトの長手方向に延びる左右一対のプレート板と、前記左右一対のプレート板の内側上部を繋ぐように取り付けられた円柱状の持ち手部とを有する請求項1又は2に記載の脚付き重量物の運搬具。