(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068018
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】弁開閉装置及びそれを有する弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/46 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
F16K31/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178503
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】397007066
【氏名又は名称】協和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】清水 勝也
【テーマコード(参考)】
3H063
【Fターム(参考)】
3H063AA06
3H063BB07
3H063DA01
3H063DB41
(57)【要約】
【課題】弁が遠い場所に配置されていても容易に適応が可能な遠隔で弁の開閉操作ができる弁開閉装置を提供する。
【解決手段】この弁開閉装置1は、弁5の弁軸5aに固定される弁開閉部材2と、弁5の弁箱5bに対して静止して固定されるワイヤー掛け部材3と、ワイヤー掛け部材3に移動可能に掛かり、一端部が弁開閉部材2に留められ、いずれか一方が引かれることにより弁開閉部材2が回動する2個の操作ワイヤー部材4A、4Bと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁の弁軸に固定される弁開閉部材と、
前記弁の弁箱に対して静止して固定されるワイヤー掛け部材と、
該ワイヤー掛け部材に移動可能に掛かり、一端部が前記弁開閉部材に留められ、いずれか一方が引かれることにより前記弁開閉部材が回動する2個の操作ワイヤー部材と、
を備える弁開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁開閉装置において、
前記2個の操作ワイヤー部材の前記一端部の各々は、互いに離れ、かつ、前記弁軸の中心から離れた箇所で前記弁開閉部材に留められ、
前記ワイヤー掛け部材は、前記2個の操作ワイヤー部材を収束させている弁開閉装置。
【請求項3】
請求項2に記載の弁開閉装置において、
前記弁開閉部材は、長尺部分とそれに取り付けられたワイヤー留め部周辺部分を有しており、該ワイヤー留め部周辺部分に前記2個の操作ワイヤー部材が留められている弁開閉装置。
【請求項4】
請求項1に記載の弁開閉装置において、
前記弁開閉部材は、長尺部分を有しており、
前記2個の操作ワイヤー部材の前記一端部は、前記長尺部分の先端部近傍に留められ、
前記ワイヤー掛け部材は、2個が離して設けられ、各々に前記2個の操作ワイヤー部材の各々が掛かっている弁開閉装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の弁開閉装置において、
前記2個の操作ワイヤー部材の各々は、軸が前記弁開閉部材に固定された動滑車と軸が前記弁箱に対して静止した定滑車に順に掛かりその先で前記弁開閉部材に留められている弁開閉装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の弁開閉装置を有し、
配管に装着される弁。
【請求項7】
請求項5に記載の弁開閉装置を有し、
配管に装着される弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール弁などの弁(バルブ)を開閉する弁開閉装置及びそれを有する弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ボール弁などの弁は、上下水道、工業用水のパイプライン又は農業用水のパイプラインなどの配管に装着される。弁は、配管と空気弁や消火栓などの間或いは配管同士の間に設けられ、補修等のために閉じて流体の流れを止めたり補修等の後に開いて再度流体を流したりするために、いろいろな場所で広く用いられている。
【0003】
このような弁は、一般的に人手により開閉されるが、人の手が届きにくい遠い場所に設けられることもある。そのため、遠隔で弁の開閉操作が可能になるようにした弁開閉装置が提案されている。例えば、特許文献1~3には、地下深く配管と消火栓の間に設けられたボール弁を、それに取り付けられた弁開閉装置を介して長い操作レバーにより地上に近いところから開閉可能にしたものが開示されている。これらは、操作レバーを回動させる角度が小さくても弁を開閉でき、よって、その回動に要するスペースが広くないので、ボール弁及び消火栓が収容されているマンホール(ピット、弁ボックスなど)の大きさ(平面視の大きさ)を開閉のために広げる必要がない、とされている。
【0004】
詳しくは、特許文献1の弁開閉装置は、操作レバー(操作桿)の回動する角度を中間レバー(別置手動操作レバー)に伝え、その角度を変換してボール弁(補修弁)の弁軸(弁棒)に固定された弁開閉レバーの回動する角度が大きくなるようにしている。中間レバーの長さに対する弁開閉レバーの長さの比が弁開閉レバーの回動する角度に対する操作レバーの回動する角度の比となる。特許文献2の弁開閉装置は、ボール弁の弁軸(主弁軸)に固定される弁開閉レバーに複数個の係合部を有する部材が固定され、順次その複数個の係合部に操作レバー(操作部材)を人の手で係合して回動させることで、ボール弁の開閉に必要な弁体の回動の角度を得るようにしている。特許文献3の弁開閉装置は、ボール弁の弁軸と操作レバーの間に対の一方向クラッチが設けられ、切換レバーを人の手で操作してどちらかの一方向クラッチを働かせ、操作レバーを小さな角度で繰り返して回動することでボール弁を開閉させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-257125号公報
【特許文献2】特開2002-39430号公報
【特許文献3】特開2002-372165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~3の弁開閉装置は、ある程度以上に遠い場所に配置された弁には適応が難しい。例えば、特許文献1においては、遠くなると操作レバーの回動可能角度は小さくなり、それに応じて中間レバーを長くして中間レバーの長さに対する弁開閉レバーの長さの比を大きくすることになるが、中間レバーはそれほど長くはできず、また、上記比を大きくすると操作レバーには大きな力が必要となる。また、特許文献2においては、順次複数個の係合部に操作レバーを人の手で係合して回動させなければならなく、特許文献3においては、切換レバーを人の手で操作しなければならないが、遠くなると視認等を含めた操作が難しい。
【0007】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、弁が遠い場所に配置されていても容易に適応が可能な遠隔で弁の開閉操作ができる弁開閉装置及びそれを有する弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の弁開閉装置は、弁の弁軸に固定される弁開閉部材と、前記弁の弁箱に対して静止して固定されるワイヤー掛け部材と、該ワイヤー掛け部材に移動可能に掛かり、一端部が前記弁開閉部材に留められ、いずれか一方が引かれることにより前記弁開閉部材が回動する2個の操作ワイヤー部材と、を備える。
【0009】
請求項2に記載の弁開閉装置は、請求項1に記載の弁開閉装置において、前記2個の操作ワイヤー部材の前記一端部の各々は、互いに離れ、かつ、前記弁軸の中心から離れた箇所で前記弁開閉部材に留められ、前記ワイヤー掛け部材は、前記2個の操作ワイヤー部材を収束させている。
【0010】
請求項3に記載の弁開閉装置は、請求項2に記載の弁開閉装置において、前記弁開閉部材は、長尺部分とそれに取り付けられたワイヤー留め部周辺部分を有しており、該ワイヤー留め部周辺部分に前記2個の操作ワイヤー部材が留められている。
【0011】
請求項4に記載の弁開閉装置は、請求項1に記載の弁開閉装置において、前記弁開閉部材は、長尺部分を有しており、前記2個の操作ワイヤー部材の前記一端部は、前記長尺部分の先端部近傍に留められ、前記ワイヤー掛け部材は、2個が離して設けられ、各々に前記2個の操作ワイヤー部材の各々が掛かっている。
【0012】
請求項5に記載の弁開閉装置は、請求項1~4のいずれか1項に記載の弁開閉装置において、前記2個の操作ワイヤー部材の各々は、軸が前記弁開閉部材に固定された動滑車と軸が前記弁箱に対して静止した定滑車に順に掛かりその先で前記弁開閉部材に留められている。
【0013】
請求項6に記載の弁は、請求項1~4のいずれか1項に記載の弁開閉装置を有し、配管に装着される。
【0014】
請求項7に記載の弁は、請求項5に記載の弁開閉装置を有し、配管に装着される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る弁開閉装置及び弁によれば、遠隔で弁の開閉操作ができ、弁が遠い場所に配置されていても容易に適応が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る弁開閉装置などが配置されたマンホールの中を例示する縮小正面図である。
【
図2】同上の弁開閉装置の一例を示すものであって、(a)が正面図、(b)が斜視図である。
【
図3】同上の弁開閉装置の他の例を示すものであって、(a)が正面図、(b)が斜視図である。
【
図4】同上の弁開閉装置の更に他の例を示すものであって、(a)が正面図、(b)が斜視図である。
【
図5】
図2の弁開閉装置に滑車を設けた例を示すものであって、(a)が正面図、(b)が斜視図である。
【
図6】
図3の弁開閉装置に滑車を設けた例を示すものであって、(a)が正面図、(b)が斜視図である。
【
図7】
図4の弁開閉装置に滑車を設けた例を示すものであって、(a)が正面図、(b)が斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る弁開閉装置1は、
図1に示すように、配管6に装着される弁5の開閉操作を行うためのものである。弁5は、その種類及び設けられる箇所が特に限定されるものではないが、本実施形態では、弁5は、補修弁としてのボール弁であり、配管6と空気弁7の間に設けられている。また、弁開閉装置1、弁5、配管6の一部、空気弁7は、マンホール8の中に配置されている。この弁5は、弁軸5aが外部から回動させられることにより、弁箱5b(弁5の外形を形成する本体部)の内部の弁体が流路を最大口径に確保できる全開の位置の角度又は流路を完全に遮断し液漏れが発生しない全閉の位置の角度まで回動して開閉が行われる。例えば、左開仕様だと、弁軸5aが反時計回りに回動させられることにより弁5は開き、弁軸5aが時計回りに回動させられることにより弁5は閉じる。右開仕様だと、その逆である。なお、
図1は、マンホール8の蓋(図示せず)が外されて弁開閉装置1が操作されている状態を示している。
【0018】
弁開閉装置1は、
図1及び
図2(a)、(b)に示すように、弁開閉部材2とワイヤー掛け部材3と2個の操作ワイヤー部材4A、4Bを備える。なお、
図2(及び後述する
図3~
図7)では、空気弁7の上部及び配管6は省略している。
【0019】
弁開閉部材2は、弁5において弁箱5bの外部に出ている弁軸5aに固定される。具体的には、弁開閉部材2は、穴部が形成されており、その穴部に弁軸5aを嵌合し、弁軸5aの先端部に形成された雄ネジにナットをねじ込んで固定される。それにより、弁開閉部材2が回動されられることにより、弁軸5aが回動する。
【0020】
弁開閉部材2には、2個の操作ワイヤー部材4A、4Bの一端部の各々が互いに離れ、かつ、弁軸5aの中心から離れた箇所で留められている。具体的には、弁開閉部材2は、2個のワイヤー留め部2a、2bを有し、各々に2個の操作ワイヤー部材4A、4Bの一端部の各々が留められる。2個のワイヤー留め部2a、2bは、弁5の弁軸5aの中心を通る鉛直線(換言すると、管軸方向の直線)に対して左右に離れた位置に設けられている。
【0021】
ワイヤー留め部2a、2bの構造は、特に限定されるものではないが、例えば、
図2(a)、(b)に示すような円筒形状(詳細には、段付き円筒形状)のものであって、先端部に操作ワイヤー部材4A、4Bが挿入されて留められるようにすることができる。なお、
図2(a)、(b)におけるワイヤー留め部2a、2bは、弁開閉部材2の他の部分に回動可能に取り付けられているが、回動可能でなくてもよい。
【0022】
弁開閉部材2は、長尺部分2cを有するようにすることができる。長尺部分2cは、従来型の弁開閉レバーの長尺部分に対応する部分であり、この長尺部分2cを把持して従来と同じようにして弁5の開閉が可能となる。
【0023】
ワイヤー掛け部材3は、ワイヤー留め部2a、2bよりも上方にあって、2個の操作ワイヤー部材4A、4Bが移動可能(摺動などが可能)に掛かる(引っ掛かる)ものである。ワイヤー掛け部材3は、弁5の弁軸5aの中心を通る鉛直線(換言すると、管軸方向の直線)上又はその近傍に設けられている。それにより、ワイヤー掛け部材3は、下方から来る2個の操作ワイヤー部材4A、4Bを収束させて上方に導く。ワイヤー掛け部材3は、2個の操作ワイヤー部材4A、4Bの操作により弁箱5bの内部の弁体が全開の位置の角度と全閉の位置の角度の間を円滑に回動できる位置に設けられている。
【0024】
ワイヤー掛け部材3は、
図2(a)、(b)に示すような1個のリング部3aを有して、それに2個の操作ワイヤー部材4A、4Bを通すことで2個の操作ワイヤー部材4A、4Bが掛かるようにすることができる。その他、2個の操作ワイヤー部材4A、4B同士の接触を完全に防止するために、中央部に仕切りを設けたり、2個のリング部を連接したりすることも可能である。また、ワイヤー掛け部材3は、操作ワイヤー部材4A、4Bが円滑に上下或いは左右に移動するようにそれらの接触部に小さな滑車などを設けることも可能である。
【0025】
ワイヤー掛け部材3は、弁軸5a以外の弁5の部分に対して静止して(つまり、弁箱5bに対して静止して)固定される。例えば、
図2(a)、(b)に示すように、ワイヤー掛け部材3の一部が弁5と空気弁7とで挟み込まれる位置で固定されるようにできる。なお、このワイヤー掛け部材3として、市販のアイボルトなどを用いることも可能である。
【0026】
2個の操作ワイヤー部材4A、4Bは、ある程度の柔軟性を有する線状のものであり、材質が特に限定されるものではないが、金属製や合成樹脂製などのものが可能であり、ある程度の強度があればよく、ワイヤー状、ロープ状、紐状、鎖状、綱状、チェーン状のものなどを用いることができる。
【0027】
このような構成の弁開閉装置1は、2個の操作ワイヤー部材4A、4Bのいずれか一方が上方に引かれることにより弁開閉部材2が回動する。そして、弁5は、弁軸5aが回動し弁箱5bの内部の弁体が回動して開閉が行われる。ここで、2個の操作ワイヤー部材4A、4Bの一端部の各々は、互いに離れて弁軸5aの中心から離れた箇所で弁開閉部材2に留められており、また、弁5のサイズが大きい場合などで2個の操作ワイヤー部材4A、4Bを引くのに必要な力が増大し易い場合には中心から必要な距離だけ離すことが容易にできる。よって、2個の操作ワイヤー部材4A、4Bを引くのに必要な力はそれほど大きくならない。
【0028】
詳細には、例えば、左開仕様だと、弁5が閉じた状態で操作ワイヤー部材4Bが引かれると、操作ワイヤー部材4Bが途中でワイヤー掛け部材3に掛かって移動し一端部においてワイヤー留め部2bを引き、弁開閉部材2が反時計回りに回動する。それにより、弁5は、弁軸5aが反時計回りに回動し弁箱5bの内部の弁体が回動して開く状態になる。また、弁5が開いた状態で操作ワイヤー部材4Aが引かれると、操作ワイヤー部材4Aが途中でワイヤー掛け部材3に掛かって移動し一端部においてワイヤー留め部2aを引き、弁開閉部材2が時計回りに回動する。それにより、弁5は、弁軸5aが時計回りに回動し弁箱5bの内部の弁体が回動して閉まる状態になる。右開仕様だと、その逆である。
【0029】
2個の操作ワイヤー部材4A、4Bは、操作しないときは、操作ワイヤー部材4A、4Bの操作側の端部(又はその近く)をマンホール8の内側のいずれかの場所に留めておけばよい。この場合、2個の操作ワイヤー部材4A、4Bは、多少弛んだ状態にして、マンホール8の蓋にマグネットやフック等を用いて留めておくことも可能である。また、操作ワイヤー部材4A、4Bの操作側の端部(又はその近く)には、開・閉の表示プレート等を装着又は表示するようにしてもよい。また、この開・閉の表示に代えて又はそれとともに、操作ワイヤー部材4A、4Bの操作側の端部(又はその近く)を色別にしたり全体を色別にしたりしてもよい。
【0030】
以上説明した構成の弁開閉装置1は、開閉操作は2個の操作ワイヤー部材4A、4Bによって遠隔で行われるため、弁5がかなり遠い場所に配置されていても容易に適応可能である。また、マンホール8の大きさ(平面視の大きさ)を開閉のために広げる必要がない。また、開閉操作が煩雑でなく迅速に行うことができる。例えば、マンホール8が雨水で満水した場合などでも容易に迅速に開閉操作を行うことが可能である。
【0031】
また、弁開閉装置1は、弁5がマンホール8の中で地下深く設けられた場合の他、色々な場合に適用可能である。例えば、弁5が橋の側面近くに設けられ、近くに歩くことが容易な通路や管路などがない場合、ワイヤー掛け部材3から手元までの間を斜め又は水平方向に2個の操作ワイヤー部材4A、4Bを延ばすことにより弁開閉装置1を動作させることが可能である。
【0032】
次に、既設の弁に適用するのに特に好適な弁開閉装置1の例について説明する。この例では、弁開閉部材2は、既存の従来型の弁開閉レバーを利用することが可能なものである。この場合、弁開閉部材2は、
図3(a)、(b)に示すように従来型の弁開閉レバー(図中、符号2、2cで示す部分)の長尺部分2cにそれと別体のワイヤー留め部周辺部分2dを、例えばU字状ボルト2e等の金具で取り付けて、ワイヤー留め部周辺部分2dに設けられた2個のワイヤー留め部2a、2bに2個の操作ワイヤー部材4A、4Bを留めるようにすることができる。
【0033】
次に、ワイヤー掛け部材3を2個(符号3と3’で示す)にして離して設けた弁開閉装置1の例について説明する。動作は、上記と同様である。この弁開閉装置1では、
図4(a)、(b)に示すように、ワイヤー掛け部材3、3’は、弁5の弁軸5aの中心を通る鉛直線(換言すると、管軸方向の直線)に対して対称になるように設けられて、各々に(詳細には、各々のリング部3aに)操作ワイヤー部材4A、4Bの各々が掛かる。また、ワイヤー留め部2a、2bは、ともに長尺部分2cの先端部近傍に取り付けられている。詳細には、ワイヤー留め部2a、2bは、
図4(a)、(b)に示すような長尺部分2cに装着された補助具2fや長尺部分2cの周面に装着された
図3(a)、(b)に示したようなU字状ボルト2e等の金具などに取り付けられるようにすることができる。なお、
図4のワイヤー掛け部材3、操作ワイヤー部材4A、ワイヤー留め部2a、補助具2fにおいては、理解を容易にするため、長尺部分2cの後ろに隠れた部分が破線で示されている。
【0034】
次に、ワイヤー留め部2a、2bとワイヤー掛け部材3(又は3、3’)の間に滑車9A、9B、9C、9Dを設けた弁開閉装置1の例について
図5~
図7に基づいて説明する。滑車9Aは、軸がワイヤー留め部2a又はその近傍の弁開閉部材2の部分に固定されている。滑車9Bは、軸がワイヤー留め部2b又はその近傍の弁開閉部材2の部分に固定されている。滑車9C、9Dは、軸がワイヤー掛け部材3(又は3、3’)など静止した部材(弁箱5bに対して静止した部材)に固定されている。滑車9A、9Bは、動滑車の動きをし、滑車9C、9Dは、定滑車の動きをする。なお、
図7のワイヤー掛け部材3、操作ワイヤー部材4A、ワイヤー留め部2a、補助具2f、滑車9A、9Cにおいては、理解を容易にするため、長尺部分2cの後ろに隠れた部分が破線で示されている。
【0035】
操作ワイヤー部材4Aは、ワイヤー掛け部材3から滑車9A、滑車9Cの順に掛かり、その先でワイヤー留め部2aに留められる。操作ワイヤー部材4Bは、ワイヤー掛け部材3(
図7では3’)から滑車9B、滑車9Dの順に掛かり、その先でワイヤー留め部2bに留められる。
【0036】
滑車9A、9B、9C、9Dを設けた弁開閉装置1は、設けていないものと動作は同様であるが、操作ワイヤー部材4A、4Bを引くのに必要な力を軽減することができる。例えば、約1/2に軽減することも可能である。滑車9A、9B、9C、9Dに更なる滑車を加えることによって、必要な力を更に軽減することも可能である。
【0037】
以上、本発明の実施形態に係る弁開閉装置について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、上述した実施形態では弁箱5bの内部の流路が開閉のみするニ方向弁について述べたが、2個の操作ワイヤー部材4A、4Bの操作により弁体の角度が変わり流路が切り替わるようにして、三方向弁のなどの多方向弁にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 弁開閉装置
2 弁開閉部材
2a、2b ワイヤー留め部
2c 長尺部分
2d ワイヤー留め部周辺部分
2e U字状ボルト
2f 補助具
3、3’ ワイヤー掛け部材
3a リング部
4A、4B 操作ワイヤー部材
5 弁
5a 弁軸
5b 弁箱
6 配管
7 空気弁
8 マンホール
9A、9B、9C、9D 滑車