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特開2024-68021フィン付きロケット用フィン固定用治具及びフィン固定用補助治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068021
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】フィン付きロケット用フィン固定用治具及びフィン固定用補助治具
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/00 20060101AFI20240510BHJP
   A63H 27/00 20060101ALI20240510BHJP
   A63H 27/18 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B64G1/00 B
A63H27/00 C
A63H27/18 E
A63H27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022186050
(22)【出願日】2022-11-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [試験日]令和4年9月11日 [試験場所]あさぎりフードパーク ドローン飛行場(静岡県富士宮市根原449-11) [試験を行なったもの]篠原翼 [試験内容]篠原翼があさぎりフードパーク内ドローン飛行場にて、篠原翼が発明したフィン付きロケット用フィン固定用治具について、その性能確認実験を行なった。
(71)【出願人】
【識別番号】515339228
【氏名又は名称】篠原 翼
(72)【発明者】
【氏名】篠原 翼
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA13
2C150CA30
2C150DA17
2C150EB52
2C150EG24
2C150FD35
(57)【要約】
【課題】 ユーザーがフィン付きロケットのフィンをボディに設置する際において、特に精度良く設置しようとすると大掛かりなジグや機械工作を必要とすることや、あらかじめフィンが固定されているパーツやフィンを固定するためのパーツ自体の重量が重く、ロケット全体の重量増や重量バランスが悪くなること、といった課題があった。
【解決手段】 ロケットのボディの曲率にあわせたボディと接するボディ接地面と、フィンを挟み込むようなフィン支持部とが一体となったフィン固定用治具を用い、また同時に、フィン固定用治具とその他の同治具との間隔を一定に保つような、間隔を適切に保つことを目的とするフィン固定用補助治具を用いながらフィン固定用治具を固定する方法で解決する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケットのボディの曲率と略同一の曲率を有し、上記ボディと接するボディ接地面と、機体中心軸とフィン取り付け面支持部における上下方向の中心軸を機体中心軸方向に投影した場合に略一致するように構成し、ボディの半径方向の面と実質整合するようにフィンを挟み込む上記ボディ接地面の裏側に形成されたフィン側面支持部と、を有するフィン固定用治具。
【請求項2】
請求項1にかかるフィン固定用治具の、フィン固定用治具のボディ接地面とロケットのボディ間において、最低限度の接着面または密着面を確保するにより、それぞれが独立をした、フィン固定用治具。
【請求項3】
請求項1または2にかかる複数のフィン固定用治具の装着間隔を一定に保つため、ロケットのボディ外周から、装着されるすべてのフィン固定用治具のボディ設置面にかかるボディ外周方向の長さを減算し、装着されるフィン固定用治具の個数で除算したボディ外周方向の長さをボディ接地面のボディ外周方向に持つボディ接地面と、ロケットのボディの曲率と略同一の曲率を有する上記ボディと接するボディ接地面を有する、フィン固定用補助治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィン付きロケットのためのフィン固定用治具とフィンの設置を補助するフィン固定用補助治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術であれば、ロケットのボディとフィンを固定する際の技術として、ボディの外径に合わせた円形状を120°に分割した絵を紙などに描き、それをボディに合わせてフィンを固定していく例がある(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
専用の台にロケットを立てて、フィンを挟み込むようなジグを用いながらフィンをボディに固定する方法の例がある(例えば非特許文献2参照)。
【0004】
ボディの一部にフィンがささるような穴あけ、ボディのさらに中側に別パーツを用意することで固定する例がある(例えば非特許文献3参照)。
【0005】
また、ボディの一部とフィンとが一体となったもの(例えば非特許文献4参照)がある。
【0006】
さらに、フィンを別の素材として後から設置できるような形状のものがある(例えば非特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「火薬を使う模型ロケットを打ち上げよう!!-画用紙火薬ロケット-」,宇宙航空研究開発機構 宇宙教育センター,<https://edu.jaxa.jp/contents/other/rocket/pdf/78836.pdf>2022年10月11日アクセス
【0008】
【非特許文献2】実用新案登録番号第3022120号 公報
【0009】
【非特許文献3】「日本を宇宙大国に!「ロケット洋上打ち上げ実験」を応援してください!」,CAMPFIRE,<https://camp-fire.jp/projects/175778/activities/92861>2022年10月11日アクセス
【0010】
【非特許文献4】
【0011】
【非特許文献5】「Balsa Woodfin holder」,GrabCAD COMMUNITY,<https://grabcad.com/library/balsa-wood-fin-holder-1>2022年10月11日アクセス
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ロケットにフィンを固定する技術において、初心者が最も犯しやすいミスとしては、3枚フィンの場合、フィンを、ボディに対し均等な間隔である120°で配置することができない(フィンを等間隔で設置できない)こと、機体中心軸とフィンの取り付け面における上下方向の中心軸を機体中心軸方向に投影するようにした場合に、これらの軸が一致するように配置できない(フィンが機体中心軸に対して傾いて設置してしまう)こと、フィンをボディ半径方向に対し整合するように配置できないこと(フィンがボディ面に対し傾いて設置してしまう)がある。そのような場合、ロケットを打ち上げ飛翔させる際において、ロケットが思わぬ方向へ曲がって飛翔してしまったり、機体中心軸まわりに回転してしまったりする。これは事故のもとであり、設計者がねらった性能を引き出せないようなことにつながる。
【0013】
さらに、フィンをボディに固定することは時間のかかることであり、かつ、固定する専用の治具などを用いる場合(非特許文献「0008」)などを除き、初心者以外でも手間のかかることである。
【0014】
ロケットの性能を引き出すという点でいえば、より遠い地点へ積載物(ペイロード)を運ぶという本来の目的から考えると、ロケットはより軽量で作られることが求められる。また、モデルロケットやハイブリッドロケットのようなロケットが減速し、ある閾値の速度を下回った場合、ロケットの重心位置と、横風から受ける力の中心位置である圧力中心位置(機体を投影した場合における図の中心位置)とのバランスが悪いと、機体が重心位置を中心として回転してしまう場合がある。この現象を防ぐためには、ロケットが減速する前にボディ内に搭載される回収装置を放出し、安全に地上または洋上などに着地させるか、機体前方からみて重心位置が圧力中心位置より前であるように設計させる、という方法がある。特に後者をとる場合、ロケットにペイロードを載せないような競技用のモデルロケットなどは、ロケットの構成部品の中で一番機体後方に配置されることの多いフィン周りやエンジン周りの部品などにより、重心位置が機体の後方に寄ってしまう。その対策として機体前方におもりを搭載するか、フィン周りやエンジン周りの部品の軽量化すること、フィンの投影面積を大きくすることが求められる。
【0015】
「0002」で示したフィンの取り付け方は、軽量に製作することができる反面、紙などにフィン取り付け用のガイドを用意した上でユーザー自らがマークをしながら製作を行うという性質上、手間がかかり、特に初心者は、フィン同士の間隔を正しく開けられない、フィンを機体中心軸に対して真っ直ぐにつけられない、という失敗が生じることがあった。それを解決しようとするものが「0003」で示した方法であるが、大掛かりなジグが必要となる。
【0016】
「0004」で示したフィンの取り付け方は、「0013」同様に、フィン同士の間隔を正確に配置したり、フィンを真っ直ぐに装着するため、機体一機ごとに正確な加工を施す必要がある。機械工作を必要とする場合、一般的には手間がかかってしまう。
【0017】
「0005」および「0006」で示したものは、フィンとボディの一部、フィンを支えるためのホルダーとボディチューブの一部とが一体となっている構造のため、もう一部のボディと接合する構造が必要であり、機体トータルでの重量が重くなってしまうことがあった。
【0018】
本発明は、このような従来のフィン付きロケットにおけるフィンの取り付け方法および構造が有する、手間や失敗、重量増といった問題を解決しようとするものであり、手軽に失敗が少なく、軽量であるフィン固定用治具を設けることで実現しようとするものである。さらに、ロケット打ち上げに際する事故を少なくし、より多くのロケット工学を学ぼうとするユーザーたちに、安全により遠く地点を目指せるロケットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するため、第1の様態として、フィン付きロケット用フィン固定用治具1を、ロケットのボディ8の曲率と同一の曲率を有するボディ接地面2と、機体中心軸とフィン取り付け面支持部4における上下方向の軸を機体中心軸方向に投影した場合に一致するフィン取り付け面支持部4と、フィン側面支持部3とボディ8の半径方向の面とが実質整合するようにフィン7を挟み込む構成を、上記ボディ接地面2の裏側にした。なお、この際に、フィン側面支持部3とボディ8の半径方向の面とは、フィンの厚みの半分だけオフセットさせるとより好ましく実質整合させて、フィン7を挟み込む構成とすることができる。
【0020】
また、本発明における第2の様態として、第1の様態において、フィン固定用治具1とロケットのボディ8間において、ボディ接地面2を最低限度の接着面または密着面を確保するに留めることで、第1の様態のフィン固定用治具から必ずしも必要ではない接着面または密着面を取り除くことで、フィン固定用治具1はそれぞれが独立をした。
【0021】
また、本発明における第3の様態については、第2の様態において、フィン固定用治具1とその他の同治具との間隔を一定に保つような、ロケットのボディ外周から装着されるすべてのフィン固定用治具のボディ設置面におけるボディ外周方向の長さを減算し、すべてのフィン固定用治具の個数分で除算したボディ外周方向の長さを、ボディ接地面のボディ外周方向に持つボディ接地面と、ロケットのボディの曲率と略同一の曲率を有する上記ボディと接するボディ接地面を有するフィン固定用補助治具(以下アジャスター)10を用い、フィン固定用治具の側面6と上記アジャスターの側面14とを合わせて装着をする方法とした。
【発明の効果】
【0022】
「0019」で述べた手段をとることで、フィン付きロケット用フィン固定用治具1は、ロケットのボディ8の曲率と略同一の曲率を有するボディ接地面2とが隙間なく合わさることができる。フィンの取り付け面支持部4における上下方向の中心軸と、ボディ8における機体中心軸を上下方向で略一致させることで、フィンを機体中心軸に対して傾きが発生することを抑えることができる。なお、フィンの取り付け面支持部4における上下方向の中心軸と、ボディ8における機体中心軸を上下方向で±1.0°の範囲で一致していることが好ましい。また、フィン側面支持部3とボディの半径方向の面とがフィンの厚みの半分だけオフセットして実質整合するようにフィン7を挟み込むフィン側面支持部3をボディ設置面2の裏側に配置することで、フィン7はボディ半径方向に対し整合するように配置できる。これはロケットが飛翔する際において機体中心軸まわりに回転することや思わぬ方向へ飛翔することを防ぐことができる。なお、フィン側面支持部3とボディの半径方向のフィンの厚みの半分だけオフセットした面との整合は±1.0°の範囲であることが好ましい。さらに、フィン固定用治具1とフィン7とが別の部品としていることにより、輸送の際にはフィン固定用治具1とフィン7取り外しをした状態とすることが可能で、フィン7とボディ8が一体となっている場合と比べ、輸送時のスペースを小さくすることができるほか、特に壊れやすいフィン7を守りやすくなる。
【0023】
「0020」で述べた手段をとることで、機体全体で軽量化することができるだけでなく、ロケット後方における重量を減らすことができることにより、ロケット全体としての重心位置を前方に移動させることができる。これはペイロードを積まないようなロケットなどの場合には、フィンを小さくできるので、さらに軽量化を促すことにつながる。
【0024】
「0021」で述べた手段をとることで、フィンとフィンとが均等な距離を保ちながら正確に配置できることは、ロケットが飛翔する際において、思わぬ方向へ飛翔することを防げる点や狙った性能を引き出しやすくなるという点、大掛かりな治具を使わないという点で有利な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】 フィン付きロケット用フィン固定用治具の上面図
図2】 フィン付きロケット用フィン固定用治具の背面図
図3】 フィン付きロケット用フィン固定用治具を設置したロケットの斜視図
図4】 アジャスターの上面図
図5】 アジャスターの背面図
図6】 アジャスターを用いたフィン固定用治具の設置方法
図7】 ショックコードマウントを一体化させたフィン付きロケット用フィン固定用治具の概略図
図8】 フィン付きロケット用フィン固定用治具のバリエーション例の概略図
図9】 切り欠きと延長を施したフィン付きロケット用フィン固定用治具の例の概略図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し詳細に説明する。以下に説明する実施の形態については本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態にのみに限る趣旨はない。また、図面における各種の寸法比率はその比率に限定されるものではない。
【0027】
図1および図2は本発明によるフィン付きロケット用フィン固定用治具の実施例を示している。図1ないし図2のフィン付きロケット用フィン固定用治具1は、図3として示すフィン固定用治具1を設置したロケットの斜視図の例のように、ロケットのボディ8の曲率と同一の曲率を有するボディ接地面2と、機体中心軸とフィン取り付け面支持部4における上下方向の軸を機体中心軸方向に投影した場合の軸とが一致するフィン取り付け面支持部4と、フィン側面支持部3とボディ8の半径方向のフィンの厚みの半分だけオフセットした面とが実質整合するようにフィン7を挟み込む上記ボディ接地面の裏側に形成されたフィン側面支持部3とを備え、それらが一体となった形状を成す。ボディ接地面2はフィン固定用治具1とボディ8とを接続でき、ロケットが飛翔中にフィン固定用治具1がボディ8から外れることのないための最低限度の面積があればよい。フィン側面支持部3はロケットが飛翔中にフィン固定用治具からフィンが外れることのないための最低限度の背面方向への長さがあればよい。
【0028】
ボディ8とフィン固定用治具1との接続は、接着剤や両面テープなどによる接着のほか、ボディとフィン固定用治具とが合わさる位置に穴などを設け、ネジ、リベットなどを使用し締結する例などが考えられる。特に両面テープを使用する場合、厚み分を考慮し、フィン固定用治具1の曲率を再考し形状変更しても良い。それらの形状変更した例も本発明の趣旨とは異ならないため、本発明に含まれる。
【0029】
フィン7とフィン固定用治具1との接続は、はめあいや接着剤などによる固定のほか、フィン7とフィン固定用治具1とが合わさる位置に穴などを設け、ネジ、リベットなどを使用し締結する例などが考えられる。このような形状変更した例も本発明の趣旨とは異ならないため、本発明に含まれる。
【0030】
フィン固定用治具1およびフィン7をロケットに設置した図例は図3のようである。この図示はフィンが3枚のロケットを想定した図をあらわしているが、例えばフィンが4枚の場合はフィンとフィンとの間の角度を90°とするように、適宜寸法を変更してなしてもよい。ボディ接地面2とフィン側面支持部3との間に図1ではフィン側面支持部3の根本の強度を増すためにフィレット部5を設けているが、フィレット部5がないバリエーションも本発明の趣旨とは異ならないため本発明に含まれる。
【0031】
図4および図5で示すようなアジャスターについて説明する。考え方として、3枚フィンのロケットの場合、図3で示すフィン固定用治具を設置した例のようにフィン固定用治具1は3個である。同様に4枚分のロケットの場合は、フィン固定用治具1は4個である。このように、フィンの枚数分だけ独立して、フィン固定用治具1は必要となる。一方で、アジャスター10は最低1個あれば良い。フィン固定用治具1におけるボディ8とフィン固定用治具のボディ接地面2の面積は、「0027」で記載したようにロケットが飛翔中にフィン固定用治具がボディから外れることのないための最低限度の面積があればよく、ボディ外周の長さから、3個分のフィン固定用治具のボディ接着面のボディ外周方向の長さを合計した長さとの間に差分が生じる。その差分を、それぞれのフィン固定用治具1の数で除算し、アジャスター10におけるボディ8とアジャスター10のボディ接地面11におけるボディ外周方向の長さが決まる。フィンの枚数が多く、間隔がとれないような場合、本発明によるフィン固定用治具1は使用できない。アジャスター10の上下方向の長さは、フィン固定用治具1の上下方向分の長さがあることが理想的であるが、それぞれのフィン固定用治具1との間隔を一定に保つことができる機能を有する長さであればよく、上下方向の長さには制限はない。また、ユーザーがアジャスター10を利用しやすいように、図4および図5では取っ手をつけた形状をしているが、極端な例でいうと取っ手がない形状でもよく、持ち手に関しての制限もない。このような形状も本発明に含まれる。
【0032】
アジャスター10の使用方法の一例を図6を用いて説明する。アジャスター10には原則として接着剤やその他固定方法を採用することなく、ボディに添えるように配置する(仮に固定する必要がある場合は、アジャスター10はボディ8から外れるような固定方法であること)。そのアジャスター10の側面14にフィン固定用治具1の側面6を隙間なく当てがいながらボディ8と接続を行う。フィン固定用治具1が固定できたら、アジャスター10を取り外し、フィン固定用治具1が設置されたボディ8を機体中心軸まわりに回転させる。どちらかのフィン固定用治具1の側面6にアジャスター10の側面14を隙間なく当てがい、残りのフィン固定用治具1を上記と同じように接続する。この例の他に、1つ目のフィン固定用治具1を設置したあとにフィン固定用治具1の側面6とアジャスター10の側面14を隙間なく当てがい、同様に接続していく例などが考えられる。これらの方法も本発明に含まれる。
【0033】
フィン固定用治具1のバリエーションについて説明する。図7ではショックコードと呼ぶ、主にロケット本体からペイロードや回収装置であるパラシュートなどを放出する際にノーズをボディから外す過程で、ノーズとボディとを分離させないようにした、一般的には紐やゴムなどを、フィン固定用治具に結べるようにしたショックコード取り付け部16を一体化させた構造を記してある。ショックコードをボディ内に固定する方法もあるが、「0010」に記載の非特許文献4のようなモデルロケットの場合、ショックコードをボディの内側に貼り付けることとしているが、難燃紙をボディの中にいくつか詰めることで逆噴射による熱から回収装置を保護している。この方法だと難燃紙が詰められている分のスペースがボディの中で取られてしまい、ペイロードを積むことに制限があったり、回収装置を大きくしたりするなどができない、という課題があった。この方法を解決するため、従来ではショックコードをボディの外側に設置しテープで固定したり、エンジンを固定する部品周りに金属製のワイヤーなどを設置してショックコードとしたりして、難燃紙を円筒状の発泡スチロールなどとし、ピストンのようにペイロードや回収装置を押し出す例があった。これらの解決策の考え方を踏まえ、フィン固定用治具に同じような機能を持たせたものが図7のショックコードマウントを一体化させたフィン付きロケット用フィン固定用治具15である。
【0034】
図8では、台錐形状と円筒形状を組み合わせたボディに対応したフィン付きロケット用フィン固定用治具17を示している。このように、ボディの曲率が機体中心軸上下方向で変化するような形状でも、本発明のフィン固定用治具は設置可能で、同じようにアジャスターも設定可能である。このようなバリエーションも本発明に含まれる。
【0035】
図8では、本発明によるフィン固定用治具をフィンの前縁21と後縁に合わせるように、切り欠き部19と延長部20を備える、フィン形状に沿って形状を変化させたフィン付きロケット用フィン固定用治具18を示している。切り欠き部19を備えることで、ロケットが高速で飛翔する際にフィンとフィン固定用治具まわりに発生する渦を抑えることができ、ロケット全体にかかる抗力を下げることができる。延長部20を備えることで、フィン側面支持部3の面積が大きく取れ、支持する摩擦力が増す。切り欠き部19と延長部20はどちらかが一方のみあってもよく、このようなバリエーションも本発明に含まれる。
【0036】
ここまで述べた本発明を成すための構成はあくまで一例に過ぎず、本発明の様態を成すものであれば何でもよい。それらの様態はいずれも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 フィン付きロケット用フィン固定用治具
2 ボディ接地面
3 フィン側面支持部
4 フィン取り付け面支持部
5 フィレット部
6 側面
7 フィン
8 ボディ
9 ノーズ
10 アジャスター
11 ボディ接地面
12 取っ手部
13 フィレット部
14 側面
15 ショックコードマウントを一体化させたフィン付きロケット用フィン固定用治具
16 ショックコードマウントを一体化させたフィン付きロケット用フィン固定用治具のショックコード取り付け部
17 台錐形状と円筒形状を組み合わせたボディに対応したフィン付きロケット用フィン固定用治具
18 フィン形状に沿って形状を変化させたフィン付きロケット用フィン固定用治具
19 切り欠き部
20 延長部
21 フィンの前縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9