(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068026
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】湯口スリーブ
(51)【国際特許分類】
B22D 17/22 20060101AFI20240510BHJP
B22C 9/08 20060101ALI20240510BHJP
B22F 10/38 20210101ALI20240510BHJP
【FI】
B22D17/22 T
B22C9/08 E
B22F10/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022186919
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】597153006
【氏名又は名称】株式会社CHAMPION CORPORATION
(72)【発明者】
【氏名】安藤 圭佑
【テーマコード(参考)】
4E093
4K018
【Fターム(参考)】
4E093PA03
4K018AA24
4K018BA16
4K018KA70
(57)【要約】
【課題】湯口スリーブが効率よく冷却され、湯口ランナーに接触する溶湯を急速に固めることができ、鋳造品質の向上を図ること。
【解決手段】鋳造用金型内における湯口スリーブであって、
分流子側に内周に沿って冷却媒体用通路が設けられていることを特徴とする湯口スリーブ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造用金型内における湯口スリーブであって、
分流子側に内周に沿って冷却媒体用通路が設けられていることを特徴とする湯口スリーブ。
【請求項2】
拡散結合を用いて分流子側の冷却媒体用通路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の湯口スリーブ。
【請求項3】
分流子側の冷却媒体用通路は拡散結合を用いて形成する際に3Dプリンター用金属ダイス鋼系粉末で造型することを特徴とする請求項2に記載の湯口スリーブ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の湯口スリーブを具備していることを特徴とする鋳造用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造金型への湯口となるとともに、湯口ランナーを形成する湯口スリーブ(単に「スリーブ」、「ダイスリーブ」、「型スリーブ」、「スプルーブッシュ」ともいう。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金型への湯口となるとともに、湯口ランナーを形成する湯口スリーブとしては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載された発明では、軸方向に冷却穴が設けられており全体を冷やすことはできるが、湯口スリーブの分流子側の先端部の一部のみを冷やすことはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る湯口スリーブは、鋳造用金型内において対向して配置された金型分流子との間に湯口ランナーを形成する湯口スリーブであって、分流子側に内周に沿って冷却媒体用通路を形成することを特徴とする。
【0006】
本発明に係る湯口スリーブによれば、その内側(内部)に、水等の冷却媒体を流通させるための流路が内周に沿って設けられているので、当該湯口スリーブの熱が瞬時に奪われて、当該湯口スリーブが効率よく冷却されることになる。
これにより、湯口ランナーに接触する溶湯を固めることができるとともに、鋳造品質の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る湯口スリーブによれば、冷却効率に優れ、そのため湯口ランナー部のみ冷却でき溶湯の溶着を抑えることができ尚且つ、クラック対策、冷却効率向上、湯口スリーブ寿命向上に適している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る湯口スリーブの断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る湯口スリーブを
図1のA-A矢視線に沿って見た断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る湯口スリーブを
図1のC-C矢視線に沿って見た断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る湯口スリーブを
図1のB-B矢視線に沿って見たD-D断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る湯口スリーブを
図1の上面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る湯口スリーブを
図5のE-E矢視線に沿って見たE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の湯口スリーブについて
図1から
図6を参照しながら説明する。ただし、かかる図に示したものは本発明の代表例であって、これに限定されるものではない。
本実施形態に係る湯口スリーブ1は高圧鋳造を行うダイカスト金型(鋳造用金型)に適用されるものである。
【0010】
図1のB-B矢視線を境に土台部と拡散結合部に分かれている。
【0011】
図1のB-B矢視線と反対側が拡散結合を用いて形成された冷却媒体用通路になる。
【0012】
本発明の湯口スリーブは公知の方法で製造することが可能であるが、特にプランジャースリーブ側である土台部は鉄を切削・研削加工で製作したものでそれより先の拡散結合部は拡散結合を用いて製作したものであることが好ましい。
【0013】
図2はA-A矢視線から見た断面図であり、内周に沿って冷却媒体用通路が設けられている。
この図においては、冷却媒体用通路は内周に沿って半円形状に配置されているが、これに限定されるものでなく、内周からの距離、冷却媒体用通路の断面積、望む冷却効率などから、略円状から四分の一円状まで、適宣、選択することが可能である。
【0014】
上記の特徴は機械加工では不可能だった形状が拡散結合を用いることにより可能になり部分的に冷却穴3を通すことができた。
【0015】
図3はC-C矢視線から見た断面図であり、分流子側と反対側(プランジャスリーブ側)にも冷却穴2が設けられており、かかる構造は本発明の課題を解決する目的において、より好ましい実施態様である。
【0016】
図6は
図5の上面部から見た断面図であり、冷却媒体用通路が2箇所、冷却穴3と冷却穴2が設けられている。
【0017】
分流子側の冷却媒体用通路の断面形状は特に限定されるものでなく、三角・四角・丸などから選ぶことができるが、より丸形状が好ましい。
【0018】
分流子側の冷却媒体用通路の直径寸法は通常3~10mm、好ましくは4~8mm、より好ましくは5~7mmになる。
かかる直径寸法が太すぎると湯口スリーブの強度が低下し破損するといった問題が生じ、逆に細すぎると冷却効果がなくなることがある。
【0019】
分流子側の冷却媒体用通路の位置関係は内周から通常20~6mm、好ましくは17~9mmより好ましくは14~12mmになる。
かかる冷却媒体用通路と内面からの距離は、遠すぎると冷却効果が薄れる場合があり、近すぎると湯口スリーブの強度が低下し破損する場合がある。
【0020】
分流子側と反対側(プランジャスリーブ側)の冷却媒体用通路の断面形状も自由に設計することが可能であり、三角・四角・丸などを選ぶことが可能であるが、より丸形状が好ましい。
【0021】
分流子側と反対側(プランジャスリーブ側)の冷却媒体用通路の直径寸法も通常3~10mm、好ましくは4~8mm、より好ましくは5~7mmとなる。
【0022】
分流子側と反対側(プランジャスリーブ側)の冷却媒体用通路の位置関係も内周から通常20~5mm、好ましくは17mm~9ミリより好ましくは14~12mmになる。
【0023】
冷却媒体用通路1箇所はプラグ8から冷却水が入り冷却穴3を通りプラグ9を抜ける。もう1箇所はプラグ10から冷却水が入り冷却穴2を通りプラグ11へと抜ける。
【0024】
本発明の湯口スリーブの製造方法は、公知の単一材料での加工方法であるが、特に効率的な方法としては、拡散結合を用いた方法が好ましく用いられる。
【0025】
分流子側の冷却媒体用通路は拡散結合を用いて形成する際には、公知の材料を用いることができるが、特に3Dプリンター用金属ダイス鋼系粉末で造型することが好ましい。
【符号の説明】
【0026】
1.湯口スリーブ
2.冷却穴
3.冷却穴
4.湯口ランナー