(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068036
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】二方向面傾斜まな板
(51)【国際特許分類】
A47J 47/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A47J47/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022187806
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】506285987
【氏名又は名称】平塚 清徳
(72)【発明者】
【氏名】平塚 清徳
【テーマコード(参考)】
4B066
【Fターム(参考)】
4B066CC13
4B066CC19
4B066CC35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手首への負荷を軽減して包丁の使い勝手を良くし、更に食材から出る余水を全て自動的に集めて外に排出する二方向面傾斜まな板を提供する。
【解決手段】包丁で調理する調理面部を表面に備えた、四辺から成る横長の長方形状のまな板本体2であり、調理面部3は、前方側に備えた前一辺部4に緩やかに隆起した前土手部4aを設け、右方側に備えた右一辺部5に緩やかに隆起した右土手部5aを設け、調理面部は、後方側から前土手部へ向かって下方へ10度~20度位傾斜した前方側が低くなり、左一辺部8から右土手部5aへ向かって下方へ2度位傾斜して右方側が低くなる、二方向に傾斜した面で設け、調理面部の前土手部と右土手部接する角位置付近を起点にして、前土手部に沿う形状構成で、左一辺部方向へ向かって下方へ2度位傾斜して延びる余水排路部3aを設け、余水排路部は先端に、排出口部6を設けたことを特徴とする二方向面傾斜まな板1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を載置して包丁で調理する調理面部を表面に備えた、四辺から成る横長の長方形状のまな板本体であり、
前記調理面部は、前方側に備えた前一辺部に緩やかに隆起した前土手部を設け、右方側に備えた右一辺部に緩やかに隆起した右土手部を設け、
前記調理面部は、手前の後方側に備えた後一辺部から前記前土手部へ向かって下方へ10度~20度位傾斜した前方側が低くなる形状構成と、更に左方側に備えた左一辺部から前記右土手部へ向かって下方へ2度位傾斜した右方側が低くなる形状構成の、二方向に傾斜した面で設け、
前記調理面部の前記前土手部と前記右土手部が接する角位置付近を起点にして、前記前土手部に沿う形状構成で、前記二方向とは別の前記左一辺部方向へ向かって下方へ2度位傾斜して延びる余水排路部を設け、
前記余水排路部は先端に、前記食材から出た余水を自動的に集めて外へ出す前記調理面部の最も低い部位付近に位置する排出口部を設けたことを特徴とする二方向面傾斜まな板。
【請求項2】
前記右一辺部側の側面に備えた右側面部の中央部位付近と、前記左一辺部側の側面に備えた左側面部の中央部位付近に、それぞれ刳り貫く形状構成の把手部を設けたことを特徴とする前記請求項1に記載の二方向面傾斜まな板。
【請求項3】
前記まな板本体の調理面部の4つの角部位付近の高さを4か所同一で設け、
前記まな板本体を裏返せば、真平らな水平姿勢面状であり、前記裏面を従来のまな板に成して、調理する食材の種類などによって表裏使い分けが選択できる表裏両面自在変更まな板で設けたことを特徴とする前記請求項1又は前記請求項2に記載の二方向面傾斜まな板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を載置して包丁で苦痛なく快適に調理する二方向面傾斜まな板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のまな板は、調理表面部位が水平姿勢に形成されており、載置した食材を手で握った包丁で調理する際、手首を上方へ動かし曲げて、包丁を調理表面部位と平行状にして調理していた。
尚、まな板に傾斜を付け、かつ周囲に流れ出すことを避けるための溝を配置した水切りまな板(特許文献1参照)と、水を除去し乍ら調理できる傾斜まな板(実用新案文献2参照)と、まな板の一面に溝を設けて、調理後の水を切り台所周辺を汚さないようにした傾斜のあるまな板(実用新案文献3参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【実用新案文献2】
実登3058399号
【実用新案文献2】
実登3011601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の水平姿勢状のまな板調理面に載置した食材を、手で握った包丁で調理する際、包丁とまな板調理面とを平行状にして食材を調理するには、手首を上方へ曲げる動きが必要で有り、手首に負荷が生じるので手首の腱鞘炎や捻挫等を患う者は勿論、健常者が調理を長時間すると手首が疲労して苦痛である、と同時に手首の姿勢の影響で包丁へスムースに力を加えるのが不可能だった。
本発明は、以上の問題点を解決する為になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
食材を載置して包丁で調理する調理面部を表面に備えた、四辺から成る横長の長方形状のまな板本体であり、
前記調理面部は、前方側に備えた前一辺部に緩やかに隆起した前土手部を設け、右方側に備えた右一辺部に緩やかに隆起した右土手部を設け、
前記調理面部は、手前の後方側に備えた後一辺部から前記前土手部に向かって下方へ10度位~20度位傾斜した前方側が低くなる形状構成と、更に左方側に備えた左一辺部から前記右土手部へ向かって下方へ2度位傾斜した右方側が低くなる形状構成の、二方向に傾斜した面で設け、
前記調理面部の前記前土手部と前記右土手部が接する角位置付近を起点にして、前記前土手部に沿う形状構成で、前記二方向とは別の前記左一辺部方向へ向かって下方へ2度位傾斜して延びる余水排路部を設け、
前記余水排路部は先端に、前記食材から出た余水を自動的に集めて外へ出す前記調理面部の最も低い部位付近に位置する排出口部を設ける。
以上の構成より成る二方向面傾斜まな板。
【発明の効果】
【0006】
従来不可能とされていた、包丁で食材を調理する際に手首への負荷を軽減して、手首の腱鞘炎や捻挫等を患う者は勿論、健常者が調理を長時間しても手首の疲労が少なく、理想的な手首姿勢を維持して包丁を操作できるので、包丁へ力がスムースに加えられ、使い勝手が格段に良くなって楽しく心地よい感覚で調理が出来る。
また、食材から出る余水は全て自動的に外へ排出されるので、まな板調理表面部位と周囲は常に綺麗な状態が保てるので衛生的で安心である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【本発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
最初に、本発明の二方向面傾斜まな板(1)は、調理面部(3)の傾斜角度が違う3種類(10度位、15度位、20度)が有り、本説明では15度位を説明する。
また、本発明の二方向面傾斜まな板(1)はキッチンの右シンク用と左シンク(C)が有り、本説明では前記左シンク(C)用を説明する。
請求項1
(イ)食材(Z)を載置して包丁(H)で調理する前記調理面部(3)を表面に備えた、四辺から成る横長の長方形状(横40cm位、縦25cm位)の木材又はポリエチレンなどの合成樹脂材のまな板本
る。
(ロ)前記調理面部(3)は、前方側に備えた前一辺部(4)に2cm位緩やかに隆起した、前記食材(Z)の転落を防ぐと共に、余水(Y)を止めて流れを誘導する完全密着一体状の前土手部(4a)を設ける。
(ハ)前記調理面部(3)は、右方側に備えた右一辺部(5)に1cm位緩やかに隆起した、前記食材(Z)の転落を防ぐと共に、前記余水(Y)を止めて流れを誘導する完全密着一体状の右土手部(5a)を設ける。
(ニ)前記調理面部(3)は、手前の使用者(S)側に位置する後方側に備えた後一辺部(7)から前記前土手部(4a)へ向かって下方へ10度位~20度位傾斜した前方側が低くなる形状構成姿勢と、使用者(S)の左手側に位置する左方側に備えた左一辺部(8)から前記右土手部(5a)へ向かって下方へ2度位傾斜した右方側が低くなる形状構成姿勢の、二方向に傾斜した面で設ける。
(ホ)前記調理面(3)の前記前土手部(4a)と前記右土手部(5a)が接する角位置付近を起点にして、前記前土手部(5a)に沿う形状構成で、前記二方向とは別の前記左一辺部(8)方向へ向かって下方へ2度位傾斜して延びる余水排路部(3a)を設ける。
(ヘ)前記余水排路部(3a)は先端に、前記食材(Z)から出た余水(Y)を自動的に集めて外へ出す前記調理面部(3)の最も低い部位付近に位置する排出口部(6)を設ける。
請求項2
(ト)前記右一辺部(5)側の側面に備えた右側面部(5b)の中央部位付近に、刳り貫き形状構成の把手部(9)を設ける。
(チ)前記左一辺部(8)側の側面に備えた左側面部(8a)の中央部位付近に、刳り貫き形状構成の把手部(9)を設ける。
請求項3
(リ)前記まな板本体(2)の表面前記調理面部(3)の4つの角付近部位の高さを4か所同一で設ける。
(ヌ)前記まな板本体(2)を裏返せば、真平らな水平姿勢面状であり、調理する食材の種類によっては、前記裏面を従来のまな板に成して使い分けが選択出来る表裏両面自在変更まな板で設ける。
本発明は以上のような構造である。
本発明の二方向面傾斜まな板(1)を使用する時は、まず、排出口部(6)から流れ出る余水(Y)が左シンク(C)内に落ちる位置にまな板本体(2)を置く。
後は、従来と同様に食材(Z)を調理面部(3)に載置して包丁(H)で調理する要領で二方向面傾斜まな板(1)を使用する。
前記調理面部(3)は前方へ15度位下方へ傾斜した形状姿勢であり、使用者(S)が右手(R)に持って操作する前記包丁(H)の角度が、前記右手(R)の手首と一直線状に自然に維持できるので前記手首への負担が軽減されて長時間の調理でも疲れず、更に前記手首の姿勢環境から前記包丁(H)へ力がスムースに加えられるので、使い勝手が格段に良くなって楽に楽しく調理が出来る。
また、調理面部(3)に載置した食材(Z)が調理中に転落する、更に食材(Z)から出る余水(Y)が排出口部(6)以外の場所から流れ落ちる等の心配が無いので、食材(Z)を汚す、または余水(Y)で周囲を汚すことが無くて常に綺麗な状態を保てるので衛生的で安心である。
そして、二方向面傾斜まな板(1)は裏返せば従来の真っ平らで水平姿勢のまな板に成るので、食材(Z)の種類等で自在に選択して使えるので便利である。
また、裏返して使用する際に、前記調理面部(3)は下に触れない構造であり、衛生面でも安心である。
【符号の説明】
【0009】
1二方向面傾斜まな板、2まな板本体、3調理面部、3a余水排路部、4前一辺部、4a前土手部、5右一辺部、5a右土手部、6排出口部、7後一辺部、7a後側面部、8左一辺部、8a左側面部、9把手部、S使用者、H包丁、Z食材、C左シンク、Y余水、R右手、L左手