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特開2024-68042ピッキング方法、ピッキングシステム、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068042
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ピッキング方法、ピッキングシステム、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240510BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240510BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B65G1/137 Z
B65G1/00 501C
B25J5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196681
(22)【出願日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2022177938
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3C707
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS26
3C707CS08
3C707DS02
3C707FS01
3C707FT02
3C707HS27
3C707KS06
3C707KS10
3C707KT01
3C707KV11
3C707KV18
3C707KX02
3C707LU01
3C707NS19
3C707WA16
3F022FF01
3F022JJ11
3F022KK11
3F022LL07
3F022LL38
3F022MM13
3F022NN31
3F022QQ08
3F022QQ17
3F022QQ20
3F522AA02
3F522BB24
3F522BB35
3F522CC01
3F522FF13
3F522FF17
3F522FF30
3F522FF37
3F522FF38
3F522GG48
3F522GG49
3F522JJ02
3F522JJ04
3F522KK02
3F522KK05
3F522LL15
(57)【要約】
【課題】効率良く荷物のピッキング作業を遂行する。
【解決手段】チャック動作では、カートロボット52がストレートレーン60Aを走行中に、チャック可否判定点Bにさしかかると、把持部11cが、回転バー62Bのチャック部62Cと干渉する位置となるように動作させ、カートロボット52がカーブレーン60Bの進入点Aに到達すると、把持部11cは、チャック部62Cとチャックする。チャックされた状態で、カーブレーン60Bを走行すると、フリー状態では、カーブレーン60Bを逸脱する速度(走行速度20km/h)で走行しても、カーブレーン60Bを逸脱することなく走行する。カートロボット52がカーブレーン60Bを走行中に、カーブレーン60Bの退出点Cに到達すると、チャック機構による把持部11cとチャック部62Cとのチャック状態が解除される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームにより荷物をピッキングして、走行レーンに沿って搬送するカートロボットを備えたピッキングシステムであって、
前記走行レーンの内、所定の回転半径で形成されたカーブレーンの進入点から退出点までの間で、前記カートロボットと、前記カーブレーンの回転半径を中心とを連結する、ピッキングシステム。
【請求項2】
アームにより荷物をピッキングして、走行レーンに沿って搬送するカートロボットを備えたピッキングシステムであって、
前記走行レーンの内、所定の回転半径で形成されたカーブレーンの回転半径の中心を軸として回転自在に設けられ、前記カートロボットの前記アームとチャック可能なチャック部を備えたチャック機構部と、
前記カートロボットが前記カーブレーンの進入点に到達したとき、予め前記進入点に待機させた前記チャック機構部の前記チャック部と前記カートロボットの前記アームとをチャックし、前記カートロボットが前記カーブレーンの予め定めた退出点に到達したとき、前記チャック部と前記アームとのチャック状態を解除するように制御するチャック制御部と、
を有するピッキングシステム。
【請求項3】
チャック制御部が、
前記退出点でのチャック状態の解除後に、前記チャック機構部のチャック部を、前記進入点に戻して待機状態とする、請求項2記載のピッキングシステム。
【請求項4】
アームにより荷物をピッキングして、走行レーンに沿って搬送するカートロボットを備えたピッキングシステムであって、
前記走行レーンに沿って移動する車輪と、前記ピッキングした荷物を収容する車体との間に設けられ、前記車体を支持すると共に、カーブレーンの走行時の内輪側よりも外輪側が高位となるように傾斜させることが可能なダンパー機構部と、
前記カートロボットが前記カーブレーンの進入点に基づいて定めた傾斜時期に前記ダンパー機構部を制御して前記車体を傾斜させ、前記カートロボットが前記カーブレーンの退出点に基づいて定めた傾斜解除時期に前記ダンパー機構部を制御して前記車体の傾斜を解除させる傾斜制御部と、
を有するピッキングシステム。
【請求項5】
前記車体の傾斜時期が、前記カートロボットの前記進入点の所定距離手前の進入認識点到達時期であり、前記車体の傾斜解除時期が、前記カートロボットの前記退出点の所定距離手前の退出認識点到達時期である、請求項4記載のピッキングシステム。
【請求項6】
前記傾斜制御部により前記車体を傾斜させるときの傾斜角度が、
前記カートロボットの走行速度及び前記カーブレーンの回転半径に基づいて演算される、請求項4記載のピッキングシステム。
【請求項7】
アームにより荷物をピッキングして、走行レーンに沿って搬送するカートロボットを備えたピッキングシステムであって、
前記走行レーンの内、所定の回転半径で形成されたカーブレーンの回転半径の中心を軸として回転自在に設けられ、前記カートロボットの前記アームとチャック可能なチャック部を備えたチャック機構部と、
前記カートロボットが前記カーブレーンの進入点に到達したとき、予め前記進入点に待機させた前記チャック機構部の前記チャック部と前記カートロボットの前記アームとをチャックし、前記カートロボットが前記カーブレーンの予め定めた退出点に到達したとき、前記チャック部と前記アームとのチャック状態を解除するように制御するチャック制御部と、
前記走行レーンに沿って移動する車輪と、前記ピッキングした荷物を収容する車体との間に設けられ、前記車体を支持すると共に、カーブレーンの走行時の内輪側よりも外輪側が高位となるように傾斜させることが可能なダンパー機構部と、
前記カートロボットが前記カーブレーンの進入点に基づいて定めた傾斜時期に前記ダンパー機構部を制御して前記車体を傾斜させ、前記カートロボットが前記カーブレーンの退出点に基づいて定めた傾斜解除時期に前記ダンパー機構部を制御して前記車体の傾斜を解除させる傾斜制御部と、
を有するピッキングシステム。
【請求項8】
コンピュータを、
請求項4~請求項7の何れか1項記載のピッキングシステムの前記傾斜制御部として動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートロボットを用いて荷物をピッキングするためのピッキング方法、ピッキングシステム、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷物の所定の集荷計画に基づいて自律走行し、棚からアームによって荷物を取り出すカートロボットを用いたピッキング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-068557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カートロボットを自律走行させて倉庫内の荷物をピッキングして予め定めた位置まで搬送する場合において、荷物をピッキングする毎にカートロボットを停止させたのでは、荷物のピッキング効率が悪い。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、効率良く荷物のピッキング作業を遂行することができるピッキング方法、ピッキングシステム、プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るピッキングシステムは、アームにより荷物をピッキングして、走行レーンに沿って搬送するカートロボットを備えたピッキングシステムであって、前記走行レーンの内、所定の回転半径で形成されたカーブレーンの進入点から退出点までの間で、前記カートロボットと、前記カーブレーンの回転半径を中心とを連結することを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、走行レーンの内、所定の回転半径で形成されたカーブレーンの進入点から退出点までの間で、カートロボットと、カーブレーンの回転半径を中心とを連結する。
【0008】
これにより、カートロボットは、カーブレーンでも走行速度を落とすことなく走行が可能となり、効率良く荷物のピッキング作業を遂行することができる。
【0009】
本発明に係るピッキングシステムは、アームにより荷物をピッキングして、走行レーンに沿って搬送するカートロボットを備えたピッキングシステムであって、前記走行レーンの内、所定の回転半径で形成されたカーブレーンの回転半径の中心を軸として回転自在に設けられ、前記カートロボットの前記アームとチャック可能なチャック部を備えたチャック機構部と、前記カートロボットが前記カーブレーンの進入点に到達したとき、予め前記進入点に待機させた前記チャック機構部の前記チャック部と前記カートロボットの前記アームとをチャックし、前記カートロボットが前記カーブレーンの予め定めた退出点に到達したとき、前記チャック部と前記アームとのチャック状態を解除するように制御するチャック制御部と、を有している。
【0010】
本発明によれば、チャック制御部は、カートロボットが前記カーブレーンの進入点に到達したとき、予め進入点に待機させたチャック機構部のチャック部とカートロボットのアームとをチャックし、カートロボットがカーブレーンの予め定めた退出点に到達したとき、チャック部とアームとのチャック状態を解除するように制御する。
【0011】
これにより、カートロボットは、カーブレーンでも走行速度を落とすことなく走行が可能となり、効率良く荷物のピッキング作業を遂行することができる。
【0012】
本発明において、チャック制御部が、前記退出点でのチャック状態の解除後に、前記チャック機構部のチャック部を、前記進入点に戻して待機状態とすることを特徴としている チャック部は、常に進入点で待機させることで、複数のカートロボットのカーブレーンへの進入に対応することができる。
【0013】
本発明に係るピッキングシステムは、アームにより荷物をピッキングして、走行レーンに沿って搬送するカートロボットを備えたピッキングシステムであって、前記走行レーンに沿って移動する車輪と、前記ピッキングした荷物を収容する車体との間に設けられ、前記車体を支持すると共に、カーブレーンの走行時の内輪側よりも外輪側が高位となるように傾斜させることが可能なダンパー機構部と、前記カートロボットが前記カーブレーンの進入点に基づいて定めた傾斜時期に前記ダンパー機構部を制御して前記車体を傾斜させ、前記カートロボットが前記カーブレーンの退出点に基づいて定めた傾斜解除時期に前記ダンパー機構部を制御して前記車体の傾斜を解除させる傾斜制御部と、を有している。
【0014】
本発明によれば、傾斜制御部は、カートロボットがカーブレーンの進入点に基づいて定めた傾斜時期にダンパー機構部を制御して車体を傾斜させ、カートロボットがカーブレーンの退出点に基づいて定めた傾斜解除時期にダンパー機構部を制御して車体の傾斜を解除させる。
【0015】
これにより、カートロボットは、カーブレーンでも走行速度を落とすことなく、搭載した荷物の移動(転倒、散乱等)を回避しつつ、走行することができ、効率良く荷物のピッキング作業を遂行することができる。
【0016】
本発明において、前記車体の傾斜時期が、前記カートロボットの前記進入点の所定距離手前の進入認識点到達時期であり、前記車体の傾斜解除時期が、前記カートロボットの前記退出点の所定距離手前の退出認識点到達時期であることを特徴としている。
【0017】
車体の傾斜時期を進入点の所定距離手前の進入認点到達とし、車体の傾斜解除時期を退出点の所定距離手前の退出認識点到達とすることで、傾斜時期を精度よく実施することができる。
【0018】
本発明において、前記傾斜制御部により前記車体を傾斜させるときの傾斜角度が、前記カートロボットの走行速度及び前記カーブレーンの回転半径に基づいて演算されることを特徴としている。
【0019】
荷物の移動(転倒、散乱)回避、及び、カーブレーンの安定走行に適した傾斜角度とすることができる。
【0020】
本発明に係るピッキングシステムは、アームにより荷物をピッキングして、走行レーンに沿って搬送するカートロボットを備えたピッキングシステムであって、前記走行レーンの内、所定の回転半径で形成されたカーブレーンの回転半径の中心を軸として回転自在に設けられ、前記カートロボットの前記アームとチャック可能なチャック部を備えたチャック機構部と、前記カートロボットが前記カーブレーンの進入点に到達したとき、予め前記進入点に待機させた前記チャック機構部の前記チャック部と前記カートロボットの前記アームとをチャックし、前記カートロボットが前記カーブレーンの予め定めた退出点に到達したとき、前記チャック部と前記アームとのチャック状態を解除するように制御するチャック制御部と、前記走行レーンに沿って移動する車輪と、前記ピッキングした荷物を収容する車体との間に設けられ、前記車体を支持すると共に、カーブレーンの走行時の内輪側よりも外輪側が高位となるように傾斜させることが可能なダンパー機構部と、前記カートロボットが前記カーブレーンの進入点に基づいて定めた傾斜時期に前記ダンパー機構部を制御して前記車体を傾斜させ、前記カートロボットが前記カーブレーンの退出点に基づいて定めた傾斜解除時期に前記ダンパー機構部を制御して前記車体の傾斜を解除させる傾斜制御部と、を有している。
【0021】
本発明によれば、チャック制御と傾斜制御とを併用することで、それぞれの特徴を生かして、より効率良く荷物のピッキング作業を遂行することができる。
【0022】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上記のピッキングシステムの傾斜制御部として動作させることを特徴としている。
【0023】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明した如く本発明では、効率良く荷物のピッキング作業を遂行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施の形態に係るカートロボットによるピッキングを実施する倉庫のフロアの平面図である。
図2】第1の実施の形態に係るカートロボットの斜視図である。
図3】荷物をピッキングする際の第1アームおよび第2アームの動作を示す図である。
図4】第1の実施の形態おけるカートロボットの情報処理装置として機能するコンピュータハードウェアの一例を概略的に示す図である。
図5】第1の実施の形態に係るカートロボットの動作処理を説明するフローチャートである。
図6】情報処理装置として機能するコンピュータハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。
図7】第1の実施の形態に係る倉庫におけるカートロボットのカーブレーン位置を拡大した平面図である。
図8】第1の実施の形態に係るチャック機構部のチャック動作の手順を説明する制御フローチャートである。
図9】第2の実施の形態に係るカートロボットの正面図であり、(A)は傾斜解除中、(B)は傾斜実行中を示す。
図10】第2の実施の形態に係るカーブ走行制御に特化した情報処理装置の機能ブロック図である。
図11】第2の実施の形態に係るカーブ走行制御ルーチンを示すフローチャートである。
図12】第2の実施の形態に係るカーブ走行制御中のカーブレーンとカートロボットの傾斜状態を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るピッキング方法を実施するための倉庫のフロア50の平面図である。
【0028】
ピッキング作業とは、必要な荷物を集める(ピックアップする)仕事のことである。カートロボット52は、倉庫内の物品を出荷するために欠かせない役割を持つため、あらゆるジャンルの倉庫に配置される。
【0029】
例えば、予め指示されたリストや注文書を基に、指定の物品を集め、まとめたものを検品担当者や梱包担当者へと受け流していくのが主な仕事であり、倉庫規模が大きいほど、保管されている品物の種類や数も膨大で、そのため、多数のカートロボット52がフロア50内を移動することになる。
【0030】
図1に示されるフロア50には、貯蔵部(倉庫、棚等)54が設けられ、複数の荷物56が、貯蔵されている。この貯蔵部54の周囲を、カートロボット52が移動するようになっている。カートロボット52は、荷物56の授受が主たる役目であり、予め定められたレーン60に沿って移動する。なお、荷物56は例えば1以上の物品が収容されたバスケットである。
【0031】
レーン60は、フロア50内の貯蔵部54の外側に設定されたレーンであり、カートロボット52が貯蔵部54に接近離間するように蛇行走行しながら、かつ一時的に減速して、貯蔵部54から荷物56のピックアップを行う。
【0032】
また、フロア50には、複数の倉庫内センサ(不図示)が天井や壁に設置されている。
【0033】
図2はカートロボットの斜視図である。図2に示すように、カートロボット52は、走行車体10、第1アーム11A、第2アーム11B、センサ12、固定フレーム20(脚部としての支持フレーム20a、20b、及びアーム台座としての取付フレーム20c、20d)、および情報処理装置15(図4参照)を備える。第1アーム11Aはカートロボット52の前方側に取り付けられ、第2アーム11Bはカートロボット52の後方側に取り付けられる。このように、カートロボット52は、2本のアーム11を備える双腕ロボットである。走行車体10は、例えば、上方が開口する箱形に形成されたカート10bを有する。走行車体10には、複数の駆動輪10aが設けられる。各駆動輪10aにはモータがそれぞれ設けられる。各駆動輪10aの回転速度はモータによって調整される。走行車体10は、各駆動輪10aの回転速度が調整されることで、前後方向、左右方向、および斜め方向に走行可能である。また、走行車体10は、各駆動輪10aの回転速度が調整されることで、360度回転可能である。
【0034】
第1アーム11Aおよび第2アーム11Bは、荷物56のピックアップを行う。第1アーム11Aおよび第2アーム11Bは、複数の棒部11aおよび複数の関節部11bを有する。関節部11bは、例えば2つの棒部11aとの間に設けられ、2つの棒部11aを相対的に回転可能とする。各関節部11bはモータ等のアクチュエータを有する。各関節部11bによって、棒部11aが相対的に回転することで、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bは伸縮し、360度回転可能となる。
【0035】
第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの先端部には、荷物を把持する把持部11cが設けられる。把持部11cは、例えば、吸着盤であり、不図示のコンプレッサーによる吸引によって荷物56を把持する。なお、把持部11cは、いわゆるロボットハンドであってもよい。
【0036】
カートロボット52は、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bそれぞれに設けられた把持部11cによって荷物56を把持する。つまり、カートロボット52は、二点で荷物56を把持することで、荷物56のピックアップを安定して行うことができる。
【0037】
センサ12は、走行車体10に取り付けられる。センサ12は、走行車体10の前方側に設けられる。例えば、センサ12は、走行車体10の前端に設けられる。センサ12は、走行車体10の上端に設けられる。センサ12は、走行車体10よりも上方に突出するように設けられてもよい。センサ12は、走行車体10の左右方向の中央付近に取り付けられる。
【0038】
センサ12および不図示の倉庫内センサは、最高性能のカメラ、ソリッドステートLiDAR(light detection and ranging)、マルチカラーレーザ同軸変位計、又はその他様々なセンサの少なくとも1つを含む。また、センサ12および倉庫内センサは、振動計、サーモカメラ、硬度計、レーダー、LiDAR、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、ビジョン認識、微細音、超音波、振動、赤外線、紫外線、電磁波、温度、湿度、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報、および、ロングテールインシデントAI data等を含んでもよい。センサ12および倉庫内センサは、複数のセンサを含んでもよい。
【0039】
センサ12および倉庫内センサは、上記の情報のほかに、画像、距離、振動、熱、匂い、色、音、超音波、紫外線、又は赤外線等を検知してもよい。他にセンサ12が検知する情報としては、カートロボット52の重心移動、カートロボット52が設置される床の材質の検知、外気温度の検知、外気湿度の検知、床の上下横斜め傾き角度の検知、水分量の検知等が挙げられる。センサ12および倉庫内センサは、これらの検知を例えばナノ秒毎に実施する。計測された各情報は、カートロボット52を制御するための情報として利用される。
【0040】
(カーブレーンの走行)
ここで、図1に示される如く、レーン60には、大きく分類して、ストレートレーン60Aとカーブレーン60Bとがあり、このストレートレーン60Aとカーブレーン60Bとを組み合わせることで、カートロボット52は、貯蔵部54を周回可能となる。
【0041】
ところで、カートロボット52を用いた荷物56のピックアップの目的の1つに、ピッキング作業の効率化がある。
【0042】
第1の実施の形態では、レーン60を所定の走行速度(例えば、20km/h)で走行しつつ、荷物56のピックアップ時は減速(例えば、走行速度5km/h)することで、ピッキング作業を確実性を優先している。
【0043】
このとき、ピッキング作業の効率化を図るには、レーン60での所定の走行速度(20km/h)を維持することが重要である。しかし、カーブレーン60Bでは、カートロボット52に慣性力がかかるため、比較例では、走行が乱れず(駆動輪10aの滑り等)、かつ、搭載している荷物56が散乱させないために、ストレートレーン60Aを走行するときの走行速度(20km/h)よりも遅い走行速度(例えば、5~10km/h)に減速せざるを得なかった。
【0044】
そこで、第1の実施の形態では、カーブレーン60Bに対応する貯蔵部54に、カートロボット52をチャックするチャック機構部62を設けた。
【0045】
図7に示される如く、チャック機構部62は、リング状の基部62A、基部62Aから半径方向に延長された回転バー62B、及び回転バー62Bの先端に取り付けられたチャック部62Cで構成されている。
【0046】
貯蔵部54の上面からは、回転軸63に取り付けられており、チャック機構部62の基部62Aが回転可能に取り付けられている。
【0047】
回転軸63は、フリーで回転可能であり、回転軸63が回転することで、回転バー62Bは、時計の針の如く、回転軸63の周りを回転する。
【0048】
また、回転軸63は、図示しない駆動機構で回転させることが可能であり、駆動機構の駆動力で、カーブレーン60Bの進入点A(例えば、回転バー62Bが図7の12時の方向となる位置)へ位置決めさせることができる。
【0049】
なお、第1の実施の形態では、駆動機構は、時計回りに一方通行で回転させて、進入点Aに位置決めするようにしたが、上記進入点Aに対して、所定角度(例えば、180°)回転後、反転して戻るといった往復回転させる構成であってもよい。
【0050】
チャック部62Cは、回転バー62Bの長さにより、カーブレーン60Bを走行するカートロボット52の側面に対峙する位置となっている。この位置は、カートロボット52に取り付けられた第1アーム11A及び第2アーム11Bの把持部11cに届く位置となっている。
【0051】
ここで、第1の実施の形態では、カートロボット52がレーン60を走行中に、カーブレーン60Bの進入点Aよりも所定距離手前のストレートレーン60Aの所定位置(チャック可否判定点B)にさしかかると、把持部11c(ここでは、第1アーム11Aの把持部11cとする)が、回転バー62Bのチャック部62Cと干渉する位置(チャック部62Cに届く位置)となるように動作させる。なお、回転バー62Bが起点Aにないときは、このチャック動作はキャンセルされ、カーブレーン60Bを低速で走行する制御が実行される。
【0052】
カートロボット52がカーブレーン60Bの進入点A(図7の12時の方向)に到達すると、把持部11cは、進入点Aに予め位置決めされていた回転バー62Bのチャック部62Cとがチャック機構の動作でチャックする。
【0053】
把持部11cとチャック部62Cとのチャック機構は、ボールジョイント等、チャック後に、相対的に回転可能であることが好ましい。
【0054】
カートロボット52は、把持部11cとチャック部62Cとがチャックされた状態で、カーブレーン60Bを走行することになる。すなわち、カートロボット52に加わる所謂遠心力が、回転バー62Bとの連結による求心力と相殺されることになる。
【0055】
このため、カートロボット52は、ストレートレーン60Aと同等の速度(例えば、走行速度20km/h)で走行しても、カーブレーン60Bを逸脱することなく走行する。
【0056】
一方、第1の実施の形態では、カートロボット52がレーン60を走行中に、カーブレーン60Bの退出点C(図7の6時の方向)に到達すると、チャック機構による把持部11cとチャック部62Cとのチャック状態が解除される。
【0057】
カートロボット52は、把持部11cとチャック部62Cとのチャック状態が解除されると、カーブレーン60Bからストレートレーン60Aに向けてフリーで走行することになる。
【0058】
一方、回転バー62Bは、把持部11cとのチャック状態が解除されると、駆動機構部による回転軸63の回転で、進入点A(図7の12時の方向)に位置決めされ、次のカートロボット52のカーブレーン60Bへの進入に備えて待機する。
【0059】
回転バー62Bの位置は、逐次、カートロボット52に通信で通知され、カートロボット52は、カーブレーン60Bにさしかかるときの、回転バー62Bの位置を把握することで、チャックの可否を判定する。
【0060】
以下、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bによる荷物56のピックアップの動作について説明する。図3は、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bによる荷物56のピックアップの動作を説明するための図である。なお、図3においてカートロボット52は矢印A方向に走行しているものとする。まず、カートロボット52は走行しながら、前方側に取り付けられた第1アーム11Aにより荷物56を把持する。カートロボット52は走行を続けるが、荷物56の位置は変わらない。このため、第1アーム11Aはカートロボット52の走行に応じて伸縮し、荷物56の把持を維持する。また、カートロボット52の後方側に取り付けられた第2アーム11Bは、カートロボット52の走行に応じて荷物56に接近する。この際、第1アーム11Aの伸縮の程度、並びに第2アーム11B
【0061】
の位置および伸縮の程度は、カートロボット52の走行による位置の変化に応じて適宜変更される。そして、第2アーム11Bが荷物56を把持可能な位置に到達すると、第2アーム11Bにより荷物56を把持する。これにより、カートロボット52は、移動しながら第1アーム11Aおよび第2アーム11Bにより荷物56をピックアップすることができる。
【0062】
次に、図4を用いて、情報処理装置15(制御装置)の構成例について説明する。情報処理装置15(制御装置)は、図4に示すように、情報取得部150と、制御部152と、情報蓄積部154とを備える。図4は、実施形態に係る情報処理装置15の制御系ブロック図である。
【0063】
情報取得部150は、センサ12および倉庫内センサによって検知された情報を取得する。情報取得部150は、カートロボット52の動作を指示する指令装置等から送信される信号を取得する。
【0064】
制御部152は、指令装置等から送信され、情報取得部150によって取得された信号に基づいて、第1アーム11Aおよび第2アーム11B並びに走行車体10の動作を制御する。
【0065】
制御部152は、情報取得部150が取得した情報とAI(Artificial intelligence)とを用いて、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動作を制御する。制御部152は、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの各関節部11bのモータを制御する。制御部152は、センサ12および倉庫内センサによって検知された情報を用いて、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動作を制御する。
【0066】
また、制御部152は、情報取得部150が取得した情報とAIとを用いて、走行車体10の動作を制御する。制御部152は、走行車体10の各駆動輪10aのモータを制御する。制御部152は、センサ12および倉庫内センサによって検知された情報を用いて、走行車体10の動作を制御する。
【0067】
情報蓄積部154には、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等の記憶媒体によって実現される。情報蓄積部154は、制御部152によって実行される各種のプログラムを記憶する。情報蓄積部154は、情報取得部150によって取得された情報を記憶する。
【0068】
なお、カートロボット52は、上述したように貯蔵部54に接近離間するように蛇行走行しながら、かつ一時的に減速して、貯蔵部54から荷物56のピックアップを行う。例えば、カートロボット52は時速40kmの第1速度で走行し、荷物56をピックアップする際に第1速度よりも小さい第2速度に減速する。第2速度は例えば時速5km程度である。この際、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動きの速度、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの角度(伸縮の程度)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの把持能力(吸着能力)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bから荷物56までの距離、荷物56の重さおよび荷物56の個数のうちの少なくとも1つに基づいて、第2速度が導出される。これらの情報は、センサ12および倉庫内センサ、あるいは予め指示されたリストや注文書から情報取得部150により取得される。第2速度は情報取得部150が取得した情報にこれらの情報に基づいて、第2速度を導出する。
【0069】
第1の実施の形態において、制御部152は例えば以下の各処理を実行する。
(1)ピックアップする荷物56の位置にカートロボット52を移動させる。
(2)荷物56をピックアップする際のカートロボット52の第2速度を導出する。
(3)荷物56をピックアップする際に、カートロボット52を第2速度に減速する。
(4)カートロボット52を走行させつつ、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bを操作して荷物56をピックアップする。
【0070】
以下に第1の実施の形態の動作を図5のフローチャートに従い説明する。情報処理装置15は、センサ12および倉庫内センサによって検知された情報を取得する(S100)。情報処理装置15は、取得した各種情報に基づいて、荷物56をピックアップする際の第2速度を導出する(S102)。さらに情報処理装置15は、荷物56の位置に近づくカートロボット52を第2速度に減速する(S104)。続いて情報処理装置15は、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bを操作して、カートロボット52を第2速度で走行させつつ、荷物56をピックアップする(S106)。荷物56をピックアップした後は、カートロボット52は第1速度に加速して走行を続け、所定の場所に荷物56を搬送する。
【0071】
このように、第1の実施の形態によれば、カートロボット52の走行中において、第1アーム11Aにより荷物56を把持し、その後カートロボット52を移動させつつ、第1アーム11Aとともに第2アーム11Bにより荷物56を把持するようにした。このため、荷物56をピッキングする毎にカートロボット52を停止させる必要がなくなり、その結果、効率良く荷物をピッキングできる。
【0072】
また、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動きの速度、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの角度、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの把持能力(吸着能力)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bから荷物56までの距離、荷物56の重さおよび荷物56の個数のうちの少なくとも1つに基づいて、カートロボット52を減速させる第2速度を導出するようにしたため、荷物56をピックアップする際に、カートロボット52を適切に減速させて、荷物56をピックアップすることができる。
【0073】
(カーブレーンの走行時のチャック制御)
図8は、情報処理装置15で実行される、カートロボット52がカーブレーン60Bにさしかかるときに、チャック機構部62によるチャック及びチャック解除手順を示すフローチャートである。
【0074】
ステップ120では、カートロボット52(自身)が次に到達するカーブレーン60Bに設置された回転バー62Bの位置情報を取得し、更新保持する。
【0075】
次のステップ122では、カートロボット52(自身)がチャック可否判定点B(図7参照)に到達したか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ120へ戻る。
【0076】
ステップ122で肯定判定されると、ステップ124へ移行して、回転バー62Bは進入点A(図7参照)に待機しているか否かを判断する。
【0077】
このステップ124で否定判定された場合は、チャック機構部62のチャック部62Cがチャック可能な位置にないと判断し、ステップ126へ移行して、低速走行でカーブレーン60Bを通過する制御を実行し(例えば、走行速度5km/h)、ステップ138へ移行する。
【0078】
また、ステップ124で肯定判定された場合は、チャック機構部62のチャック部62Cがチャック可能な位置にあると判断し(回転バー62Bが図7の12時の方向にあると判断し)、ステップ128へ移行して、アーム11A(アーム11Bでもよい)をチャック部62Cのチャック位置へ移動し、ステップ130へ移行する。このとき、カートロボット52の走行速度は、ストレートレーン60Aの走行速度(例えば、20km/h)が維持される。
【0079】
ステップ130では、カートロボット52(自身)が進入点A(図7参照)に到達したか否かを判断し、肯定判定されると、ステップ132へ移行して、チャック動作処理が実行され、アーム11Aとチャック部62Cとがチャックされ、このチャック状態で、カーブレーン60Bを走行する。
【0080】
次のステップ134では、カートロボット(自身)が退出点C(図7参照)に到達した否かを判断し、肯定判定されると、ステップ136へ移行して、チャック解除動作処理が実行され、アーム11Aとチャック部62Cとのチャックが解除され、ステップ138へ移行する。
【0081】
ステップ138では、作業が終了したか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ120へ戻り、上記工程を繰り返す。また、ステップ138で肯定判定されると、このルーチンは終了する。
【0082】
なお、第1の実施の形態では、貯蔵部54の回転軸63に、1本の回転バー62B(先端にチャック部62C)を取り付けたが、上記チャック制御は、複数のカートロボット52で各々実行されるため、例えば、リング状の基部62Aの周りに、複数の回転バー62Bを取り付けるようにしてもよい。これにより、連続してカーブレーン60Bに到達する複数のカートロボット52に対応し易くなる。
【0083】
また、第1の実施の形態では、チャック機構部62を貯蔵部54側に設けたが、貯蔵部54側には、カーブレーンと同芯円となるポール又はレールを設置し、直接、第1アーム11A又はアーム11Bが、当該ポール又はレールを掴んでカーブレーン60Bを走行するようにしてもよい。また、カートロボット52に、ポール又はレールを掴むための専用のアームを新たに設けてもよい。
【0084】
以上説明したように、第1の実施の形態における、チャック動作では、カートロボット52がストレートレーン60Aの走行中に、チャック可否判定点Bにさしかかると、把持部11cが、回転バー62Bのチャック部62Cと干渉する位置となるように動作させ、カートロボット52がカーブレーン60Bの進入点Aに到達すると、把持部11cは、チャック部62Cとチャックする。チャックされた状態で、カーブレーン60Bを走行すると、フリー状態では、ストレートレーン60Aと同等の走行速度(走行速度20km/h)で走行しても、カーブレーン60Bを逸脱することなく走行する。カートロボット52がカーブレーン60Bの走行中に、カーブレーン60Bの退出点Cに到達すると、チャック機構による把持部11cとチャック部62Cとのチャック状態が解除される。
【0085】
図6は、情報処理装置15として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、第1の実施の形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、第1の実施の形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、および/又はコンピュータ1200に、第1の実施の形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつか又は全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0086】
[第2の実施の形態]
以下に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付して、その構成の説明を省略する。
【0087】
第2の実施の形態の特徴は、カーブ走行時にカートロボット52自体を傾斜させることで、高速走行時の走行安定性向上に加え、搭載している荷物56が慣性力で転倒したり滑落するような不具合を解消し、荷物56の安定性を改善する点にある。
【0088】
カートロボット52の走行車体10と、駆動綸10aとの間には、ダンパー機構部64が設けられている。
【0089】
ダンパー機構部64は、前記駆動綸10aの車軸を支持する架台64Aと、当該架台64Aと走行車体10との間に介在された複数のダンパー部64Bと、構成されている。なお、ダンパー部64Bは、走行方向の左右に一対ずつ(合計4個)設けることで、安定して走行車体10Aを支持することができるが、ダンパー部64B自体は、左右に1個ずつ設け、走行車体10Aを安定させるためのガイド部を別途設けるようにしてもよい。
【0090】
ダンパー部64Bは、蛇腹状に形成され、内部の圧力によって伸縮可能とされ、走行車体10aの支持高さを調整することができる。内部の圧力は、空気圧でもよいし、油圧でもよい。
【0091】
第2の実施の形態では、カーブレーン60Bの走行時に、外輪側が内輪側よりも高位となるように、支持高さを異ならせるように、内部の圧力を調整するようにしている。
【0092】
より詳しくは、図9(A)に示される如く、ストレートレーン60Aを走行するときは、走行方向左右のダンパー部64Bの圧力を同一として、走行車体10aを略水平に維持して走行する。
【0093】
一方、図9(B)に示される如く、カブレーン60Bを走行するときは、進行方向の外輪側のダンパー部64Bを加圧し、内輪側は図9(A)の状態を維持する。これにより、走行車体10aは、カーブレーン60Bの外側が高位となるように傾斜することになる。この傾斜角度θにより、カートロボット52をストレートレーン60Aの走行速度(例えば、20km/h)と同等の走行速度で走行しても、カーブレーン60Bを逸脱することがなくなる。また、傾斜により、搭載している荷物56の移動(転倒、散乱等)も回避することができる。
【0094】
なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態で適用したチャック機構部64を併用することで、傾斜角度θを荷物56の散乱回避に特化して設定することが可能である。
【0095】
図10は、カートロボット52に搭載される情報処理装置15(図6に示す情報取得部150、制御部152、及び情報蓄積部154)において、カーブ走行制御に特化した機能ブロック図である。
【0096】
情報取得部150は、走行位置情報取得部150Aを備えており、自身のレーン60上の位置情報を取得する。
【0097】
情報蓄積部154は、カーブ情報記憶部154Aを備えている。カーブ情報記憶部154Aは、ダンパー機構部64による傾斜開始時期となる進入認識点、及び傾斜終了時期となる退出認識点を記憶する。
【0098】
進入認識点とは、カーブレーン60Bの進入点の所定距離手前であり、第1の実施の形態で示したチャック可否判定点Bとほぼ同一位置である。この進入認識点の通過をトリガとして(図12参照)、走行車体10aの傾斜制御が実行される。
【0099】
また、退出認識点とは、カーブレーン60Bの所定距離手前である。この退出点の通過をトリガとして(図12参照)、走行車体10aの傾斜解除制御が実行される。
【0100】
制御部152は、進入・退出認識部152A、傾斜角度演算部152B、及び傾斜指示部152Cを備えている。
【0101】
進入・退出認識部152Aは、走行位置情報取得部150Aで取得した自身の位置と、カーブ情報記憶部154Aに記憶されている進入認識点又は退出認識点との照合により、カートロボット52のカーブレーン60Bへの進入又は退出を認識し、認識結果を傾斜角度演算部152Bへ送出する。
【0102】
傾斜角度演算部152Bでは、カートロボット52が、例えば、進入認識点に到達すると、走行速度やカーブレーン60Bの半径等を要素として、傾斜角度θを演算し、傾斜指示部152Cへ送出する。
【0103】
傾斜指示部152Cでは、傾斜角度θに基づいて、ダンパー部64Bの加減圧量を求め、空気圧調整機構部156に対して、ダンパー部64Bへの加減圧を指示する。
【0104】
図11は、カートロボット52の走行開始時に起動する、カーブ走行制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0105】
ステップ200では、進入認識点、及び退出認識点の各情報を読み出し、次いで、ステップ202へ移行して、現在のカートロボット52(自身)の走行位置情報を取得して、ステップ204へ移行する。
【0106】
ステップ204では、カートロボット52(自身)が進入認識点に到達したか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ200へ戻る。また、ステップ204で肯定判定されると(図12に示す、「進入時傾斜開始指示」参照)、ステップ206へ移行して、カートロボット52(自身)の走行速度、カーブレーン60Bの半径等を要素として、走行車体10aの傾斜角度θを演算し、ステップ208へ移行する。
【0107】
ステップ208では、圧力調整機構部156に対して、傾斜角度θに応じ加圧を指示する(図12に示す、「加圧開始」参照)。これにより、カートロボット52(自身)は、カーブレーン60Bにおいて、外輪が内輪より高位となる傾斜(傾斜角度θ)で走行するため、荷物56の移動(散乱、転倒等)を回避することができる。また、カーブレーン60Bからの逸脱も回避することができる。また、チャック機構部62(図7参照)を併用することで、傾斜角度θを荷物56の散乱回避に特化して設定することができる。
【0108】
次のステップ210では、現在の走行位置情報を取得し、次いでステップ212へ移行して、カートロボット52(自身)が退出認識点に到達したか否かを判断する。このステップ212で否定判定された場合は、ステップ210へ戻る。また、ステップ212で肯定判定されると(図12の「退出時傾斜解除指示」参照)、カーブレーン60Bの走行が終了すると判断し、ステップ214へ移行して、圧力調整機構部156に対して減圧を指示し(図12に示す、「減圧開始」参照)、走行車体10aが水平状態となる圧力とし、ステップ216へ移行する。
【0109】
ステップ216では、走行が終了したか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ200へ戻り、上記工程を繰り返す。また、ステップ216で肯定判定されると、このルーチンは終了する。
【0110】
なお、第2の実施の形態の、カーブ走行時のカートロボット52の傾斜制御は、第1の実施の形態で説明したチャック制御と共に行ったが、傾斜制御を単独で行ってもよい。例えば、回転半径にしきい値を設け、しきい値以下の回転半径(急カーブ)では、傾斜制御とチャック制御とを併用し、しきい値以上の回転半径(緩カーブ)では、傾斜制御のみを実行する。これにより、チャック制御の構造的負担(設置場所の確保、部品点数、組付工数等)を軽減することができる。
【0111】
第1の実施の形態及び第2の実施の形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、およびグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、およびICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブおよびDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブおよびソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230およびキーボードのような入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0112】
CPU1212は、ROM1230およびRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212
【0113】
によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0114】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/又はプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0115】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、および/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0116】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0117】
例えば、通信がコンピュータ1200および外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0118】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0119】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0120】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0121】
第1の実施の形態及び第2の実施の形態におけるフローチャートおよびブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表してよい。特定の段階および「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、および他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0122】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0123】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでもよい。
【0124】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0125】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0126】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0127】
10 走行車体、10a 駆動輪、10b カート、10c 空気圧ダンパー、1A 第1アーム、11B 第2アーム、12 センサ、15 情報処理装置、50 フロア、52 カートロボット、54 貯蔵部、56 荷物、60 レーン、60A ストレートレーン、60B カーブレーン、62 チャック機構部、62A 基部、62B 回転バー、62C チャック部、63 回転軸、64 ダンパー機構部、64A 架台、64B ダンパー部、150A 走行位置情報取得部、152A 進入・退出認識部、152B 傾斜角度演算部、152C 傾斜指示部、154A カーブ情報記憶部、156 圧力調整機構部、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ
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