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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068045
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】コモンモードインダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20240510BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20240510BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F37/00 N
H01F27/28 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201416
(22)【出願日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】202211373730.7
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520212624
【氏名又は名称】昆山聯滔電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】Lanto Electronic Limited
【住所又は居所原語表記】No.399,Baisheng Road,Jinxi Town,Kunshan City,Jiangsu Province,215324,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】樊 冬昌
(72)【発明者】
【氏名】周 毅
(72)【発明者】
【氏名】李 若▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】杜 暁
(72)【発明者】
【氏名】朱 涛
(72)【発明者】
【氏名】楊 彦磊
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AB02
5E043BA01
5E043BA03
5E070AA01
5E070AB01
5E070AB04
5E070BA08
5E070CA14
5E070CA15
5E070CA16
5E070CC04
5E070DA03
5E070DA11
5E070DA17
5E070DB01
5E070DB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インダクタンス値を向上させたコモンモードインダクタを提供する。
【解決手段】コモンモードインダクタは、絶縁保護ケースと、収容された磁心と、絶縁保護ケース外に巻装された銅バー巻線ユニット3と、を含む。絶縁保護ケースは、順次に接続された第一側部、第二側部、第三側部及び第四側部を含み、第一側部と第三側部とは、左右方向に対向して設けられ、第二側部と第四側部とは、前後方向に対向して設けられている。銅バー巻線ユニット3は、左右方向に並んで設けられた第一銅バー組合せ31及び第二銅バー組合せ32を含み、第一銅バー組合せ31は、前後方向に第一側部に螺旋状に周回され、第二銅バー組合せは、前後方向に第三側部に螺旋状に周回されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状収容キャビティ(10)が設けられた絶縁保護ケース(1)と、前記環状収容キャビティ(10)内に収容された磁心(2)と、前記絶縁保護ケース(1)外に巻装された少なくとも1つの銅バー巻線ユニット(3)とを含み、前記絶縁保護ケース(1)は、順次に接続された第一側部(101)、第二側部(102)、第三側部(103)及び第四側部(104)を含み、前記第一側部(101)と前記第三側部(103)とは、左右方向に対向して設けられ、前記第二側部(102)と第四側部(104)とは、前後方向に対向して設けられ、
前記銅バー巻線ユニット(3)は、左右方向に並んで設けられた第一銅バー組合せ(31)及び第二銅バー組合せ(32)を含み、前記第一銅バー組合せ(31)は、前記前後方向に前記第一側部(101)に螺旋状に周回され、前記第二銅バー組合せ(32)は、前記前後方向に前記第三側部(103)に螺旋状に周回されたコモンモードインダクタであって、
前記銅バー巻線ユニット(3)は、前記第一銅バー組合せ(31)と前記第二銅バー組合せ(32)とを接続する1つの接続銅バー(30)を更に含み、電流が前記第一銅バー組合せ(31)から前記接続銅バー(30)を経由して前記第二銅バー組合せ(32)に流れる過程において、逆向きの平行流を形成できる、ことを特徴とするコモンモードインダクタ。
【請求項2】
前記第一銅バー組合せ(31)及び前記第二銅バー組合せ(32)は何れも、前記前後方向に間隔を空けて配置された複数のU字状銅バー(301)及び複数のI字状銅バー(302)を含み、各々の前記U字状銅バー(301)は何れも、底アーム(34)、外側アーム(35)及び内側アーム(36)を含み、前記外側アーム(35)及び内側アーム(36)は、前記底アーム(34)の左右両端に一体に形成されて上向きに延在し、前記外側アーム(35)の頂部と前記内側アーム(36)の頂部との間に開口(33)が形成され、各々の前記I字状銅バー(302)は何れも、一体に延在する外端部(37)、内端部(38)及びブリッジ部(39)を含み、前記ブリッジ部(39)は、少なくとも一部が前記開口(33)に斜めに貫設され、前記外端部(37)と前記内端部(38)とは、前記U字状銅バー(301)の前後方向における反対側に位置している、ことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードインダクタ。
【請求項3】
複数のU字状銅バー(301)には、前記前後方向に隣接して設けられた3つのU字状銅バー(301)が含まれ、そのうち、1つの前記I字状銅バー(302)の外端部(37)は、当該外端部(37)の前にあるU字状銅バー(301)の外側アーム(35)から分離されるとともに、当該外端部(37)の後にあるU字状銅バー(301)の外側アーム(35)に接触又は溶接され、当該1つの前記I字状銅バー(302)の内端部(38)は、当該内端部(38)の前にあるU字状銅バー(301)の内側アーム(36)から分離されるとともに、当該内端部(38)の後にあるU字状銅バー(301)の内側アーム(36)に接触又は溶接されている、ことを特徴とする請求項2に記載のコモンモードインダクタ。
【請求項4】
前記第一銅バー組合せ(31)における前記内端部(38)と前記内側アーム(36)との間には、互いに接触する複数の第一溶接位置(3001)が備えられ、前記第二銅バー組合せ(32)における前記内端部(38)と前記内側アーム(36)との間には、互いに接触する複数の第二溶接位置(3002)が備えられ、複数の前記第一溶接位置(3001)と前記複数の第二溶接位置(3002)とは、前後方向にずらして設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載のコモンモードインダクタ。
【請求項5】
各々の銅バー組合せのU字状銅バー(301)の数量は、何れも4つであり、前記第一銅バー組合せ(31)は、前から後への順序で第一、二、三、四U字状銅バー(3011、3012、3013、3014)に順次に付番され、前記第二銅バー組合せ(32)は、後から前への順序で第五、六、七、八U字状銅バー(3015、3016、3017、3018)に順次に付番され、前記第一U字状銅バー(3011)と前記第八U字状銅バー(3018)とが揃えられ、前記第二U字状銅バー(3012)と前記第七U字状銅バー(3017)とが揃えられ、前記第三U字状銅バー(3013)と前記第六U字状銅バー(3016)とが揃えられ、前記第四U字状銅バー(3014)と前記第五U字状銅バー(3015)とが揃えられている、ことを特徴とする請求項2に記載のコモンモードインダクタ。
【請求項6】
前記接続銅バー(30)は、第一ストレートセクション(3003)、第二ストレートセクション(3004)及び第三ストレートセクション(3005)を含み、前記第一ストレートセクション(3003)と前記第三ストレートセクション(3005)とは、互いに平行であるとともにずらして延在し、前記第二ストレートセクション(3004)は、前記第一ストレートセクション(3003)と前記第三ストレートセクション(3005)との間に接続されるとともに、前記第一ストレートセクション(3003)及び前記第三ストレートセクション(3005)に対して傾斜して延在し、前記第一ストレートセクション(3003)は、前記第四U字状銅バー(3014)の前側に接続され、前記第三ストレートセクション(3005)は、前記第五U字状銅バー(3015)の後側に接続されている、ことを特徴とする請求項5に記載のコモンモードインダクタ。
【請求項7】
前記環状収容キャビティ(10)の内壁と前記磁心(2)との間には、コロイドが充填されている、ことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードインダクタ。
【請求項8】
前記絶縁保護ケース(1)の外面には、間隔を空けて配列された幾つかの位置決め狭溝(100)が設けられ、各前記位置決め狭溝(100)は、前記絶縁保護ケース(1)を上下に貫通し、前記位置決め狭溝(100)によって前記銅バー巻線ユニット(3)が固定される、ことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードインダクタ。
【請求項9】
前記絶縁保護ケース(1)は、別体に設けられたベース(11)及び上蓋(12)を含み、前記上蓋(12)は、前記磁心(2)が前記ベース(11)に装設された後に前記ベース(11)に被装される、ことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードインダクタ。
【請求項10】
前記ベース(11)は、第一内側壁(1011)、第二内側壁(1012)、第三内側壁(1013)、第四内側壁(1014)と、第一外側壁(1021)、第二外側壁(1022)、第三外側壁(1023)、第四外側壁(1024)とを有し、第一内側壁(1011)と第三内側壁(1013)とが対向して設けられ、第二内側壁(1012)と第四内側壁(1014)とが対向して設けられるとともに、前記第一内側壁(1011)と、第二内側壁(1012)と、第三内側壁(1013)と、第四内側壁(1014)とが順次に一体に接続され、第一外側壁(1021)が第一内側壁(1011)外に間隔を空けて設けられ、第二外側壁(1022)が第二内側壁(1012)外に間隔を空けて設けられ、第三外側壁(1023)が第三内側壁(1013)外に間隔を空けて設けられ、第四外側壁(1024)が第四内側壁(1014)外に間隔を空けて設けられるとともに、前記第一外側壁(1021)と、第二外側壁(1022)と、第三外側壁(1023)と、第四外側壁(1024)とが順次に一体に接続され、前記ベース(11)によって前記環状収容キャビティ(10)が形成され、前記上蓋(12)によって前記環状収容キャビティ(10)の頂部が覆われ、前記ベース(11)は、前記上蓋(12)と対向する環状の底壁(1000)を更に含む、ことを特徴とする請求項9に記載のコモンモードインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタンスフィルタリングの分野に関し、特に、コモンモードインダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
コモンモードインダクタンスチョークコイルとも呼ばれるコモンモードインダクタは、スイッチング電源等の機器内の1つの重要な部分であり、スイッチング電源において、コモンモードの電磁干渉信号をフィルタアウトするために使用されることが多い。その動作原理は、以下の通りである。巻き方向が反対となる2つコイルに動作電流が流れると、互いに打ち消し合う2つの磁場が生じ、このとき、動作電流は、主にコイルのオーミック抵抗及び無視できる動作周波数での小さな漏れインダクタンスからのダンピングを受ける。コイルに流れる干渉信号があれば、コイルは、高いインピーダンスを示し、強いダンピング効果を生み出して、干渉信号を減衰させる役割を果たす。
【0003】
従来のフェライト+ワイヤ型のコモンモードインダクタは、その主な構造が、磁心材料を絶縁保護ケース内に装入してから、絶縁保護ケースにワイヤを巻き付けてワイヤ導体を裁断して錫メッキ処理を行ったものである。このようなフェライト+ワイヤ型のコモンモードインダクタは、高いインダクタンス値を実現する場合、ワイヤを数十ターン巻き付ける必要があるとともに、ワイヤと絶縁保護ケースとを別途に水糊で接着固定する必要もあり、プロセスが複雑である。現在、銅バーを用いて巻線を構成したコモンモードインダクタも一部出ているが、銅バー同士間の接続方式によって巻線のターン数が制限されることで、インダクタンス値が制限されている。
【0004】
そこで、上記問題を解決するためのコモンモードインダクタを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新しい銅バー接続方式によって巻線のターン数を増加させることで、インダクタンス値を向上させたコモンモードインダクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明には、以下の技術案が採用される。コモンモードインダクタは、環状収容キャビティが設けられた絶縁保護ケースと、前記環状収容キャビティ内に収容された磁心と、前記絶縁保護ケース外に巻装された少なくとも1つの銅バー巻線ユニットとを含み、前記絶縁保護ケースは、順次に接続された第一側部、第二側部、第三側部及び第四側部を含み、前記第一側部と前記第三側部とは、左右方向に対向して設けられ、前記第二側部と第四側部とは、前後方向に対向して設けられ、前記銅バー巻線ユニットは、左右方向に並んで設けられた第一銅バー組合せ及び第二銅バー組合せを含み、前記第一銅バー組合せは、前記前後方向に前記第一側部に螺旋状に周回され、前記第二銅バー組合せは、前記前後方向に前記第三側部に螺旋状に周回され、前記銅バー巻線ユニットは、前記第一銅バー組合せと前記第二銅バー組合せとを接続する1つの接続銅バーを更に含み、電流が前記第一銅バー組合せから前記接続銅バーを経由して前記第二銅バー組合せに流れる過程において、逆向きの平行流を形成できる。
【0007】
本発明の更に改良された技術案として、前記第一銅バー組合せ及び前記第二銅バー組合せは何れも、前記前後方向に間隔を空けて配置された複数のU字状銅バー及び複数のI字状銅バーを含み、各々の前記U字状銅バーは何れも、底アーム、外側アーム及び内側アームを含み、前記外側アーム及び内側アームは、前記底アームの左右両端に一体に形成されて上向きに延在し、前記外側アームの頂部と前記内側アームの頂部との間に開口が形成され、各々の前記I字状銅バーは何れも、一体に延在する外端部、内端部及びブリッジ部を含み、前記ブリッジ部は、少なくとも一部が前記開口に斜めに貫設され、前記外端部と前記内端部とは、前記U字状銅バーの前後方向における反対側に位置している。
【0008】
本発明の更に改良された技術案として、複数のU字状銅バーには、前記前後方向に隣接して設けられた3つのU字状銅バーが含まれ、そのうち、1つの前記I字状銅バーの外端部は、当該外端部の前にあるU字状銅バーの外側アームから分離されるとともに、当該外端部の後にあるU字状銅バーの外側アームに接触又は溶接され、当該1つの前記I字状銅バーの内端部は、当該内端部の前にあるU字状銅バーの内側アームから分離されるとともに、当該内端部の後にあるU字状銅バーの内側アームに接触又は溶接されている。
【0009】
本発明の更に改良された技術案として、前記第一銅バー組合せにおける前記内端部と前記内側アームとの間には、互いに接触する複数の第一溶接位置が備えられ、前記第二銅バー組合せにおける前記内端部と前記内側アームとの間には、互いに接触する複数の第二溶接位置が備えられ、複数の前記第一溶接位置と前記複数の第二溶接位置とは、前後方向にずらして設けられている。
【0010】
本発明の更に改良された技術案として、各々の銅バー組合せのU字状銅バーの数量は、何れも4つであり、前記第一銅バー組合せは、前から後への順序で第一、二、三、四U字状銅バーに順次に付番され、前記第二銅バー組合せは、後から前への順序で第五、六、七、八U字状銅バーに順次に付番され、前記第一U字状銅バーと前記第八U字状銅バーとが揃えられ、前記第二U字状銅バーと前記第七U字状銅バーとが揃えられ、前記第三U字状銅バーと前記第六U字状銅バーとが揃えられ、前記第四U字状銅バーと前記第五U字状銅バーとが揃えられている。
【0011】
本発明の更に改良された技術案として、前記接続銅バーは、第一ストレートセクション、第二ストレートセクション及び第三ストレートセクションを含み、前記第一ストレートセクションと前記第三ストレートセクションとは、互いに平行であるとともにずらして延在し、前記第二ストレートセクションは、前記第一ストレートセクションと前記第三ストレートセクションとの間に接続されるとともに、前記第一ストレートセクション及び前記第三ストレートセクションに対して傾斜して延在し、前記第一ストレートセクションは、前記第四U字状銅バーの前側に接続され、前記第三ストレートセクションは、前記第五U字状銅バーの後側に接続されている。
【0012】
本発明の更に改良された技術案として、前記環状収容キャビティの内壁と前記磁心との間には、コロイドが充填されている。
【0013】
本発明の更に改良された技術案として、前記絶縁保護ケースの外面には、間隔を空けて配列された幾つかの位置決め狭溝が設けられ、各前記位置決め狭溝は、前記絶縁保護ケースを上下に貫通し、前記位置決め狭溝によって前記銅バー巻線ユニットが固定される。
【0014】
本発明の更に改良された技術案として、前記絶縁保護ケースは、別体に設けられたベース及び上蓋を含み、前記上蓋は、前記磁心が前記ベースに装設された後に前記ベースに被装される。
【0015】
本発明の更に改良された技術案として、前記ベースは、第一内側壁、第二内側壁、第三内側壁、第四内側壁と、第一外側壁、第二外側壁、第三外側壁、第四外側壁とを有し、第一内側壁と第三内側壁とが対向して設けられ、第二内側壁と第四内側壁とが対向して設けられるとともに、前記第一内側壁と、第二内側壁と、第三内側壁と、第四内側壁とが順次に一体に接続され、第一外側壁が第一内側壁外に間隔を空けて設けられ、第二外側壁が第二内側壁外に間隔を空けて設けられ、第三外側壁が第三内側壁外に間隔を空けて設けられ、第四外側壁が第四内側壁外に間隔を空けて設けられるとともに、前記第一外側壁と、第二外側壁と、第三外側壁と、第四外側壁とが順次に一体に接続され、前記ベースによって前記環状収容キャビティが形成され、前記上蓋によって前記環状収容キャビティの頂部が覆われ、前記ベースは、前記上蓋と対向する環状の底壁を更に含む。
【発明の効果】
【0016】
先行技術に比べて、本発明に係るコモンモードインダクタは、1つの接続銅バーによって左右両側の第一銅バー組合せと第二銅バー組合せとを一体に接続しており、電流が前記第一銅バー組合せから前記接続銅バーを経由して前記第二銅バー組合せに流れる過程において、逆向きの平行流を形成でき、即ち、本発明は、新しい銅バー接続方式を提供し、巻線のターン数を増加させており、その結果、インダクタンス値を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係るコモンモードインダクタの立体組合せ模式図である。
図2図2は、本発明に係るコモンモードインダクタの立体分解模式図である。
図3図3は、本発明に係るコモンモードインダクタの磁心が、上蓋とベースとからなる絶縁保護ケース内に組付けられた立体組合せ模式図である。
図4図4は、本発明に係るコモンモードインダクタの磁心、上蓋及びベースの立体分解模式図である。
図5図5は、本発明に係るコモンモードインダクタの2つの銅バー巻線ユニットであって、そのうちの1つの銅バー巻線ユニットの接続銅バーが、並んで設けられた2つの第一、第二銅バー組合せから分離された立体構造模式図である。
図6図6は、本発明に係るコモンモードインダクタの左右に並んで設けられた2つのU字状銅バーが、対応するI字状銅バーとそれぞれ組み付けられるとともに、別の1つのU字状銅バーが接続銅バーと組み付けられた立体組合せ図である。
図7図7は、本発明に係るコモンモードインダクタの左右に並んで設けられた任意のU字状銅バーとI字状銅バーとが取り外された立体分解図である。
図8図8は、本発明に係るコモンモードインダクタの接続銅バーとU字状銅バーとが取り外された立体分解図である。
図9図9は、本発明に係るコモンモードインダクタの任意の銅バー巻線ユニットの立体構造模式図である。
図10図10は、図9の正面図である。
図11図11は、図9の平面図である。
図12図12は、図11におけるA部分の拡大図である。
図13図13は、図11におけるB部分の拡大図である。
図14図14は、図11におけるC部分の拡大図である。
図15図15は、本発明に係るコモンモードインダクタの別の角度からの立体組合せ模式図である。
図16図16は、図15の平面図である。
図17図17は、本発明に係るコモンモードインダクタの更に別の角度からの立体組合せ模式図である。
図18図18は、図17の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図18を参照、本発明は、環状収容キャビティ10が設けられた絶縁保護ケース1と、前記環状収容キャビティ10内に収容された磁心2と、前記絶縁保護ケース1外に巻装された少なくとも1つの銅バー巻線ユニット3とを含むコモンモードインダクタに関するものである。図1を参照して、具体的な実施形態では、前後方向に沿って間隔を空けて設けられた2つの前記銅バー巻線ユニット3が含まれているが、無論、他の実施形態では、前記銅バー巻線ユニット3が必要に応じてより多く設けられてもよい。図2を参照して、前記絶縁保護ケース1は、順次に接続された第一側部101、第二側部102、第三側部103及び第四側部104を含む。前記第一側部101と前記第三側部103とは、左右方向に対向して設けられ、前記第二側部102と第四側部104とは、前後方向に対向して設けられている。
【0019】
図1図4を参照して、前記絶縁保護ケース1は、別体に設けられたベース11及び上蓋12を含む。前記上蓋12は、前記磁心2が前記ベース11に装設された後に前記ベース11に被装される。具体的に、前記ベース11は、底壁1000、第一内側壁1011、第二内側壁1012、第三内側壁1013、第四内側壁1014と、第一外側壁1021、第二外側壁1022、第三外側壁1023、第四外側壁1024とを含む。そのため、前記第一側部101は、第一内側壁1011及び第一外側壁1021を含み、前記第二側部102は、第二内側壁1012及び第二外側壁1022を含み、前記第三側部103は、第三内側壁1013及び第三外側壁1023を含み、前記第四側部104は、第四内側壁1014及び第四外側壁1024を含む。第一内側壁1011と第三内側壁1013とが対向して設けられ、第二内側壁1012と第四内側壁1014とが対向して設けられるとともに、前記第一内側壁1011と、第二内側壁1012と、第三内側壁1013と、第四内側壁1014とが順次に一体に接続されて、前記環状収容キャビティ10の内壁面とされる。第一外側壁1021間隔を空けて設けられ于第一内側壁1011外、第二外側壁1022が第二内側壁1012外に間隔を空けて設けられ、第三外側壁1023が第三内側壁1013外に間隔を空けて設けられ、第四外側壁1024が第四内側壁1014外に間隔を空けて設けられるとともに、前記第一外側壁1021と、第二外側壁1022と、第三外側壁1023と、第四外側壁1024とが順次に一体に接続されて、前記環状収容キャビティ10の外壁面とされる。したがって、前記ベース11によって、第一内側壁1011、第二内側壁1012、第三内側壁1013、第四内側壁1014と、第一外側壁1021、第二外側壁1022、第三外側壁1023及び第四外側壁1024との間に前記環状収容キャビティ10が形成されている。前記上蓋12によって前記環状収容キャビティ10の頂部が覆われるとともに、前記底壁1000は、前記上蓋12と対向し、前記環状収容キャビティ10の底部を閉塞している。前記底壁1000及び前記上蓋12は、何れも環状である。
【0020】
図5図15を参照して、本発明に係るコモンモードインダクタは、少なくとも1つの銅バー巻線ユニット3を含み、前記銅バー巻線ユニット3は、左右方向に並んで設けられた第一銅バー組合せ31及び第二銅バー組合せ32を含む。前記第一銅バー組合せ31は、前記前後方向に前記第一側部101に螺旋状に周回され、前記第二銅バー組合せ32は、前記前後方向に前記第三側部103に螺旋状に周回されている。本発明における各々の前記銅バー巻線ユニット3は、前記第一銅バー組合せ31と前記第二銅バー組合せ32とを接続する1つの接続銅バー30を更に含み、電流が前記第一銅バー組合せ31から前記接続銅バー30を経由して前記第二銅バー組合せ32に流れる過程において、逆向きの平行流を形成できる。
【0021】
図1図18に示す具体的な実施形態では、本発明は、前後方向に沿って間隔を空けて設けられた2つの前記銅バー巻線ユニット3を含む場合について、特に次のように説明する。図1及び図17を特に参照して、本発明における各々の前記銅バー巻線ユニット3は、電流入口3001及び電流出口3002を有し、且つ、2つの前記銅バー巻線ユニット3の電流入口3001及び電流出口3002が上下、左右及び前後方向によって定義された統一位置となるように取り付けされ、即ち、前列の銅バー巻線ユニット3及び後列の銅バー巻線ユニット3の電流入口3001は何れも、それぞれの対応する列の上方、左側且つ前側の第一コーナー位置となり、同様に、前列の銅バー巻線ユニット3及び後列の銅バー巻線ユニット3の電流出口3002は何れも、それぞれの対応する列の上方、右側且つ前側の第二コーナー位置となる。このようにすれば、干渉信号が流れた時により高いインピーダンスを示し、より強いダンピング効果を生み出すことができるのを保証可能となる。
【0022】
図5図9及び図11図13を参照して、前記第一銅バー組合せ31及び前記第二銅バー組合せ32は何れも、前記前後方向に間隔を空けて配置された複数のU字状銅バー301及び複数のI字状銅バー302を含む。各々の前記U字状銅バー301は何れも、底アーム34、外側アーム35及び内側アーム36を含む。前記外側アーム35及び内側アーム36は、前記底アーム34の左右両端に一体に形成されて上向きに延在し、前記外側アーム35の頂部と前記内側アーム36の頂部との間に開口33が形成されている。各々の前記I字状銅バー302は何れも、一体に延在する外端部37、内端部38及びブリッジ部39を含む。前記ブリッジ部39は、少なくとも一部が前記開口33に斜めに貫設され、前記外端部37と前記内端部38とは、前記U字状銅バー301の前後方向における反対側に位置している。留意されたいのは、外側アーム35、内側アーム36、外端部37及び内端部38に記載の「内」及び「外」とは、前記第一銅バー組合せ31と前記第二銅バー組合せ32との間の間隔におけるセンターラインに対して言っているものであり、以下のように理解可能である。図6には、接続銅バー30と取り合わせるU字状銅バー301の他に、それぞれ前記第一銅バー組合せ31、前記第二銅バー組合せ32における左右に並んで設けられたU字状銅バー301及びI字状銅バー302が示されており、そのうち、前記第一銅バー組合せ31の外側アーム35が内側アーム36の左側に位置するとともに外端部37が内端部38の左側に位置し、前記第二銅バー組合せ32の外側アーム35が内側アーム36の右側に位置するとともに外端部37が内端部38の右側に位置しており、更に図11及び図13を参照すれば分かるように、前記第二銅バー組合せ32におけるU字状銅バー301と、前記第一銅バー組合せ31におけるU字状銅バー301とは、間隔におけるセンターラインに対して軸対称に設けられており、再び図6を参照して、図5及び図11と併せて分かるように、接続銅バー30と取り合わせるU字状銅バー301は、左側の複数のU字状銅バー301と前後に配列されており、接続銅バー30と取り合わせるU字状銅バー301の右側には、並べられているが図6に示されていない1つのU字状銅バー301が更に設けられており、当該示されていないU字状銅バー301は、図6における右側に示されているU字状銅バー301と前後に配列されている。図7は、前記第一銅バー組合せ31及び前記第二銅バー組合せ32における任意のU字状銅バー301と任意のI字状銅バー302との取り合わせを示し、図8は、U字状銅バー301と接続銅バー30との取り合わせを示している。
【0023】
図5図11を参照して、複数のU字状銅バー301には、前記前後方向に隣接して設けられた3つのU字状銅バー301が少なくとも含まれ、複数のI字状銅バー302にも、前記前後方向に隣接して設けられた3つのI字状銅バー302が少なくとも含まれる。そのうち、1つの前記I字状銅バー302の外端部37は、当該外端部37の前にあるU字状銅バー301の外側アーム35から分離されるとともに、当該外端部37の後にあるU字状銅バー301の外側アーム35に接触又は溶接され、当該1つの前記I字状銅バー302の内端部38は、当該内端部38の前にあるU字状銅バー301の内側アーム36から分離されるとともに、当該内端部38の後にあるU字状銅バー301の内側アーム36に接触又は溶接されている。例えば、複数のU字状銅バー301には、前記前後方向に隣接して設けられた第一、第二、第三U字状銅バー3011、3012、3013が含まれ、何れか1つのI字状銅バー302の外端部37は、当該外端部37の前にある第一U字状銅バー3011の外側アーム35から分離され、当該1つのI字状銅バー302の外端部37は、当該外端部37の後にある第二U字状銅バー3012の外側アーム35に接触され、当該1つのI字状銅バー302の内端部38は、当該内端部38の前にある第二U字状銅バー3012の内側アーム36から分離されるとともに、当該1つのI字状銅バー302の内端部38は、当該内端部38の後にある第三U字状銅バー3013の内側アーム36に接触されている。このようにすれば、前記第一銅バー組合せ31の複数のU字状同士の間、及び前記第二銅バー組合せ32の複数のU字状同士の間がそれぞれ螺旋状に接続されてコイル状とされることを実現できる。
【0024】
図6図9図11及び図13を参照して、前記第一銅バー組合せ31における前記内端部38と前記内側アーム36との間には、互いに接触する複数の第一溶接位置3001が備えられ、前記第二銅バー組合せ32における前記内端部38と前記内側アーム36との間には、互いに接触する複数の第二溶接位置3002が備えられ、複数の前記第一溶接位置3001と前記複数の第二溶接位置3002とは、前後方向にずらして設けられている。ずらして設けられるのは、下記のようなU字状が揃えられて設けられる場合の逆向き平行流の必要に合わせるためである。
【0025】
図9図11図14を参照して、各々の銅バー組合せのU字状銅バー301の数量は、何れも4つであり、前記第一銅バー組合せ31は、前から後への順序で第一、二、三、四U字状銅バー3011、3012、3013、3014に順次に付番され、前記第二銅バー組合せ32は、後から前への順序で第五、六、七、八U字状銅バー3015、3016、3017、3018に順次に付番される。前記左右方向において、前記第一U字状銅バー3011と前記第八U字状銅バー3018とが揃えられ、前記第二U字状銅バー3012と前記第七U字状銅バー3017とが揃えられ、前記第三U字状銅バー3013と前記第六U字状銅バー3016とが揃えられ、前記第四U字状銅バー3014と前記第五U字状銅バー3015とが揃えられている。U字状が揃えられて設けられることで、U字状とI字状との前後方向における螺旋状接続をより好適に実現でき、空間が節約される。
【0026】
図7図8図9図12図13及び図16を参照して、前記接続銅バー30は、第一ストレートセクション3003、第二ストレートセクション3004及び第三ストレートセクション3005を含む。前記第一ストレートセクション3003と前記第三ストレートセクション3005とは、互いに平行であるとともにずらして延在し、前記第二ストレートセクション3004は、前記第一ストレートセクション3003と前記第三ストレートセクション3005との間に接続されるとともに、前記第一ストレートセクション3003及び前記第三ストレートセクション3005に対して傾斜して延在し、前記第一ストレートセクション3003は、前記第四U字状銅バー3014の前側に接続され、前記第三ストレートセクション3005は、前記第五U字状銅バー3015の後側に接続されている。実際には、前記接続銅バー30は、前記第一銅バー組合せ31の位置する側にて、1つの前記I字状銅バー302の前半部分の接続機能を奏しており、前記接続銅バー30は、前記I字状銅バー302を元に延在し続けて前記第五U字状銅バー3015の後側に貼り付けられ、これは、前記第一銅バー組合せ31から前記第二銅バー組合せ32への方向転換を完了したことに相当する。この観点から、図9図11及び図12を参照して、前記第一銅バー組合せ31には、4つの前記I字状銅バー302が設けられているが、前記接続銅バー30から遠い1つ目のI字状銅バー302が電流入口3001としてのみ使用され、1つ目のI字状銅バー302と取り合わせるU字状銅バー301がなく、1つ目のI字状銅バー302の外端部37と2つ目のI字状銅バー302の外端部37との間に大きな間隔が形成されており、図9及び図11を参照して、第二銅バー組合せ32には、4つの前記I字状銅バー302が設けられているが、前記接続銅バー30から遠い8つ目のI字状銅バー302の外端部37が前記第八U字状銅バー3018の外側アーム35とともに電流出口3002としてのみ使用され、即ち、8つ目のI字状銅バー302の残りの大部分が空いており、そこに電流が流れない。したがって、電流の出入口、つまり銅バーのピン位置を変える特定の場合では、本発明は、1つ目のI字状銅バー302及び8つ目のI字状銅バー302を省略してもよい。
【0027】
選択的に、前記環状収容キャビティ10の内壁と前記磁心2との間にコロイド(不図示)が充填されている。こうして、前記絶縁保護ケース1内における前記磁心2の安定性が保証されている。図2図3及び図17を参照して、前記絶縁保護ケース1の外面には、間隔を空けて配列された幾つかの位置決め狭溝100が設けられており、各位置決め狭溝100は、絶縁保護ケース1を上下に貫通し、前記位置決め狭溝100によって前記銅バー巻線ユニット3が固定される。前記外面は、第一内側壁1011における前記環状収容キャビティ10と背向する第一面と、第一外側壁1021における前記環状収容キャビティ10と背向する第二面と、第三内側壁1013における前記環状収容キャビティ10と背向する第三面と、第三外側壁1023における前記環状収容キャビティ10と背向する第四面とを含み、第一、二、三、四面、即ち合計4つの面には、位置決め狭溝100が設けられるとともに、前記位置決め狭溝100によって前記銅バー巻線ユニット3と前記絶縁保護ケース1とが一体に固定されることで、前記銅バー巻線ユニット3は、所定位置まで組み付けられると、前記絶縁保護ケース1から分割され難くなり、前記絶縁保護ケース1における前記銅バー巻線ユニット3の安定性が保証されている。本発明は、充填されたコロイドによって、前記絶縁保護ケース1内における前記磁心2の安定性が保証される一方で、前記位置決め狭溝100によって、前記絶縁保護ケース1における前記銅バー巻線ユニット3の安定性が保証されているため、干渉防止効果を好適に実現できる。
【0028】
本発明に係るコモンモードインダクタの動作原理は、当業者にとって公知技術であり、本発明は、それを繰り返して述べない。
【0029】
本発明に係るコモンモードインダクタは、同一銅バー巻線ユニット3を左右両側の2つの銅バー組合せ、即ち第一銅バー組合せ31及び第二銅バー組合せ32となるように設け、接続銅バー30によって第一銅バー組合せ31と第二銅バー組合せ32とを一体に接続しており、電流が前記第一銅バー組合せ31から前記接続銅バー30を経由して前記第二銅バー組合せ32に流れる過程において、逆向きの平行流を形成でき、即ち、本発明は、新しい銅バー接続方式を提供し、巻線のターン数を増加させているため、インダクタンス値を向上させており、本発明に係るコモンモードインダクタは、必要に応じて、前後間隔を空けて設けられた銅バー巻線ユニット3をより多く設けてもよく、こうすれば、干渉防止効果をより好適に実現可能となる。
【0030】
以上の実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明に記述された技術案を制限するものではない。本明細書に対する理解は、例えば「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」等の方向性の記述について、当業者の理解に準ずるべきである。本明細書では、上記実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば理解されるように、当業者によるさらなる修正や均等的置換が可能であり、本発明の精神や範囲から逸脱しない如何なる技術案及びその改良は、何れも本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0031】
1 絶縁保護ケース
2 磁心
3 銅バー巻線ユニット
10 環状収容キャビティ
30 接続銅バー
31 第一銅バー組合せ
32 第二銅バー組合せ
101 第一側部
102 第二側部
103 第三側部
104 第四側部
図1
図2
図3
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図5
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