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特開2024-68048カートロボットによるピッキング方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068048
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】カートロボットによるピッキング方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240510BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240510BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240510BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B65G1/137 G
B25J13/00 Z
B25J5/00 E
B65G1/00 511F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206852
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2022177938
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3C707
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3C707AS03
3C707BS09
3C707BS26
3C707CS08
3C707DS05
3C707JS03
3C707KS20
3C707KS22
3C707KS36
3C707LU03
3C707WA16
3C707WA28
3F022AA15
3F022CC03
3F022CC04
3F022FF01
3F022KK20
3F022LL07
3F022MM05
3F022MM13
3F022MM14
3F022MM15
3F022MM36
3F022NN31
3F522AA02
3F522CC01
3F522DD01
3F522FF01
3F522FF03
3F522FF05
3F522FF12
3F522FF13
3F522FF30
3F522GG03
3F522GG05
3F522GG06
3F522JJ02
3F522JJ04
3F522KK05
3F522KK08
3F522LL09
(57)【要約】
【課題】ピッキングした荷物が他の荷物にぶつからないようにする。
【解決手段】走行車体、並びに走行車体に取り付けられた第1アームおよび第2アームを備え、貯蔵された複数の荷物を走行しながらピッキングして搬送するカートロボットによるピッキング方法が提供される。第1アームおよび第2アームにより荷物を把持した後、第1アームおよび第2アームが把持した荷物以外の他の荷物に干渉する前に、第1アームおよび第2アームにより荷物を走行車体側に引き寄せる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体、並びに前記走行車体に取り付けられた第1アームおよび第2アームを備え、貯蔵された複数の荷物を走行しながらピッキングして搬送するカートロボットによるピッキング方法であって、
前記第1アームおよび前記第2アームにより前記荷物を把持した後、前記把持した荷物に以外の他の荷物に前記第1アームおよび前記第2アームの少なくとも一方が干渉する前に、前記第1アームおよび前記第2アームにより前記荷物を前記走行車体側に引き寄せるピッキング方法。
【請求項2】
前記第1アームおよび前記第2アームにより前記把持した荷物を前記走行車体側に引き寄せた後、前記荷物を前記走行車体に載置する請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項3】
前記走行車体は、複数の前記荷物を載置可能なカートまたは載置台を有する請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項4】
前記カートロボットの走行中において、前記第1アームにより前記荷物を把持し、その後、前記カートロボットを移動させつつ前記第1アームとともに前記第2アームにより前記荷物を把持する請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項5】
前記第1アームは前記カートロボットの前方側に取り付けられ、前記第2アームは前記カートロボットの後方側に取り付けられる請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項6】
第1速度により前記カートロボットを走行させ、前記荷物のピッキング時に前記第1速度よりも小さい第2速度に減速させ、
前記第1アームおよび前記第2アームの長さ、前記第1アームおよび前記第2アームの動きの速度、前記第1アームおよび前記第2アームの角度、前記第1アームおよび前記第2アームの把持能力、前記第1アームおよび前記第2アームから前記荷物までの距離、前記荷物の重さ、並びに前記荷物の個数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第2速度を導出する請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項7】
コンピュータに請求項1~6のいずれか1項に記載のピッキング方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートロボットによるピッキング方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷物の所定の集荷計画に基づいて自律走行し、棚からアームによって荷物を取り出すカートロボットを用いたピッキング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-068557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カートロボットを自律走行させて倉庫内の荷物をピッキングして予め定めた位置まで搬送する場合において、荷物をピッキングした位置においてアームにより荷物を把持したままだと、把持した荷物がピッキングされていない他の荷物にぶつかる可能性がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ピッキングした荷物が他の荷物にぶつからないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様によれば、走行車体、並びに前記走行車体に取り付けられた第1アームおよび第2アームを備え、貯蔵された複数の荷物を走行しながらピッキングして搬送するカートロボットによるピッキング方法が提供される。前記ピッキング方法は、前記第1アームおよび前記第2アームにより前記荷物を把持した後、前記把持した荷物以外の他の荷物に前記第1アームおよび前記第2アームの少なくとも一方が干渉する前に、前記第1アームおよび前記第2アームにより前記荷物を前記走行車体側に引き寄せる。
【0007】
なお、本発明のピッキング方法においては、前記第1アームおよび前記第2アームにより前記把持した荷物を前記走行車体側に引き寄せた後、前記荷物を前記走行車体に載置するようにしてもよい。
【0008】
また、本発明のピッキング方法においては、前記走行車体は、複数の前記荷物を載置可能なカートまたは載置台を有するものであってもよい。
【0009】
また、本発明のピッキング方法においては、前記カートロボットの走行中において、前記第1アームにより前記荷物を把持し、その後、前記カートロボットを移動させつつ前記第1アームとともに前記第2アームにより前記荷物を把持するものであってもよい。
【0010】
また、本発明のピッキング方法においては、前記第1アームは前記カートロボットの前方側に取り付けられ、前記第2アームは前記カートロボットの後方側に取り付けられるものであってもよい。
【0011】
また、本発明のピッキング方法においては、第1速度により前記カートロボットを走行させ、前記荷物のピッキング時に前記第1速度よりも小さい第2速度に減速させ、
前記第1アームおよび前記第2アームの長さ、前記第1アームおよび前記第2アームの動きの速度、前記第1アームおよび前記第2アームの角度、前記第1アームおよび前記第2アームの把持能力、前記第1アームおよび前記第2アームから前記荷物までの距離、前記荷物の重さ、並びに前記荷物の個数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第2速度を導出するものであってもよい。
【0012】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータに本発明のピッキング方法を実行させるためのプログラムが提供される。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係るカートロボットによるピッキング方法を実施する倉庫のフロアの平面図である。
図2】本実施形態に係るカートロボットの斜視図である。
図3】荷物をピッキングする際の第1アームおよび第2アームの動作を示す平面図である。
図4】荷物をピッキングする際の第1アームおよび第2アームの動作を示す平面図である。
図5】本実施形態おけるカートロボットの情報処理装置として機能するコンピュータハードウェアの一例を概略的に示す図である。
図6】本実施形態において使用される学習済みモデルを説明するための図である。
図7】本実施形態に係るカートロボットの動作処理を説明するフローチャートである。
図8】本実施形態に係るカートロボットの他の例を示す斜視図である。
図9】情報処理装置として機能するコンピュータハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、本実施形態に係るピッキング方法を実施するための倉庫のフロア50の平面図である。
【0017】
ピッキング作業とは、必要な荷物を集める(ピックアップする)仕事のことである。カートロボット52は、倉庫内の物品を出荷するために欠かせない役割を持つため、あらゆるジャンルの倉庫に配置される。
【0018】
例えば、予め指示されたリストや注文書を基に、指定の物品を集め、まとめたものを検品担当者や梱包担当者へと受け流していくのが主な仕事であり、倉庫規模が大きいほど、保管されている品物の種類や数も膨大で、そのため、多数のカートロボット52がフロア50内を移動することになる。
【0019】
図1に示されるフロア50には、貯蔵部(倉庫、棚等)54が設けられ、複数の荷物56が、貯蔵されている。この貯蔵部54の周囲を、カートロボット52が移動するようになっている。カートロボット52は、荷物56の授受が主たる役目であり、予め定められたレーン60に沿って移動する。なお、荷物56は例えば1以上の物品が収容されたバスケットである。
【0020】
レーン60は、フロア50内の貯蔵部54の外側に設定されたレーンであり、カートロボット52が貯蔵部54に接近離間するように蛇行走行しながら、かつ一時的に減速して、貯蔵部54から荷物56のピッキングを行う。
【0021】
また、フロア50には、複数の倉庫内センサ53が天井や壁に設置されている。
【0022】
図2はカートロボットの斜視図である。図2に示すように、カートロボット52は、走行車体10、第1アーム11A、第2アーム11B、センサ12、固定フレーム20、および情報処理装置15(図5参照)を備える。第1アーム11Aはカートロボット52の前方側に取り付けられ、第2アーム11Bはカートロボット52の後方側に取り付けられる。このように、カートロボット52は、2本のアーム11を備える双腕ロボットである。走行車体10は、例えば、上方が開口する箱形に形成されたカート10bを有する。カート10bは複数の荷物56を載置可能な大きさを有する。走行車体10には、複数の駆動輪10aが設けられる。各駆動輪10aにはモータがそれぞれ設けられる。各駆動輪10aの回転速度はモータによって調整される。走行車体10は、各駆動輪10aの回転速度が調整されることで、前後方向、左右方向、および斜め方向に走行可能である。また、走行車体10は、各駆動輪10aの回転速度が調整されることで、360度回転可能である。
【0023】
第1アーム11Aおよび第2アーム11Bは、荷物56のピッキングを行う。第1アーム11Aおよび第2アーム11Bは、複数の棒部11aおよび複数の関節部11bを有する。関節部11bは、例えば2つの棒部11aとの間に設けられ、2つの棒部11aを相対的に回転可能とする。各関節部11bはモータ等のアクチュエータを有する。各関節部11bによって、棒部11aが相対的に回転することで、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bは伸縮し、360度回転可能となる。
【0024】
第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの先端部には、荷物を把持する把持部11cが設けられる。把持部11cは、例えば、吸着盤であり、不図示のコンプレッサーによる吸引によって荷物56を把持する。なお、把持部11cは、いわゆるロボットハンドであってもよい。
【0025】
カートロボット52は、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bそれぞれに設けられた把持部11cによって荷物56を把持する。つまり、カートロボット52は、二点で荷物56を把持することで、荷物56のピッキングを安定して行うことができる。
【0026】
センサ12は、走行車体10に取り付けられる。センサ12は、走行車体10の前方側に設けられる。例えば、センサ12は、走行車体10の前端に設けられる。センサ12は、走行車体10の上端に設けられる。センサ12は、走行車体10よりも上方に突出するように設けられてもよい。センサ12は、走行車体10の左右方向の中央付近に取り付けられる。
【0027】
センサ12および倉庫内センサ53は、最高性能のカメラ、ソリッドステートLiDAR(light detection and ranging)、マルチカラーレーザ同軸変位計、又はその他様々なセンサの少なくとも1つを含む。また、センサ12および倉庫内センサ53は、振動計、サーモカメラ、硬度計、レーダー、LiDAR、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、ビジョン認識、微細音、超音波、振動、赤外線、紫外線、電磁波、温度、湿度、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報、および、ロングテールインシデントAI data等を含んでもよい。センサ12および倉庫内センサ53は、複数のセンサを含んでもよい。
【0028】
センサ12および倉庫内センサ53は、上記の情報のほかに、画像、距離、振動、熱、匂い、色、音、超音波、紫外線、又は赤外線等を検知してもよい。他にセンサ12が検知する情報としては、カートロボット52の重心移動、カートロボット52が設置される床の材質の検知、外気温度の検知、外気湿度の検知、床の上下横斜め傾き角度の検知、水分量の検知等が挙げられる。センサ12および倉庫内センサ53は、これらの検知を例えばナノ秒毎に実施する。計測された各情報は、カートロボット52を制御するための情報として利用される。
【0029】
以下、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bによる荷物56のピッキングの動作について説明する。図3および図4は、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bによる荷物56のピッキングの動作を説明するための平面図である。なお、図3においてカートロボット52は矢印A方向に走行しているものとする。また、図3においては走行車体10を省略している。まず、カートロボット52は走行しながら、前方側に取り付けられた第1アーム11Aにより荷物56を把持する。カートロボット52は走行を続けるが、荷物56の位置は変わらない。このため、第1アーム11Aはカートロボット52の走行に応じて伸縮し、荷物56の把持を維持する。また、カートロボット52の後方側に取り付けられた第2アーム11Bは、カートロボット52の走行に応じて荷物56に接近する。この際、第1アーム11Aの伸縮の程度、並びに第2アーム11Bの位置および伸縮の程度は、カートロボット52の走行による位置の変化に応じて適宜変更される。そして、第2アーム11Bが荷物56を把持可能な位置に到達すると、第2アーム11Bにより荷物56を把持する。これにより、カートロボット52は、移動しながら第1アーム11Aおよび第2アーム11Bにより荷物56をピッキングすることができる。
【0030】
荷物56をピッキングした後、貯蔵部54においてピッキングした荷物56以外の他の荷物に第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの少なくとも一方(本実施形態においてはカートロボット52の進行方向前側にある第1アーム11A)が干渉する前に、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bは、図4に示すように、ピッキングした荷物56を走行車体10側に引き寄せる。なお、ピッキングした荷物56以外の他の荷物としては、例えばピッキングした荷物56に隣接して貯蔵部54に貯蔵されている荷物であるが、これに限定されない。そして、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bは、ピッキングした荷物56をカート10bに載置する。
【0031】
なお、貯蔵部54に複数の荷物56が貯蔵されている場合、カートロボット52は走行しつつ第1アーム11Aおよび第2アーム11Bを用いたピッキングを繰り返して、複数の荷物56を走行車体10のカート10bに載置する。これにより、カートロボット52は複数の荷物56を搬送することができる。
【0032】
次に、図5を用いて、情報処理装置15(制御装置)の構成例について説明する。情報処理装置15(制御装置)は、図5に示すように、情報取得部150と、制御部152と、情報蓄積部154とを備える。図5は、実施形態に係る情報処理装置15の制御系ブロック図である。
【0033】
情報取得部150は、センサ12および倉庫内センサ53によって検知された情報を取得する。情報取得部150は、カートロボット52の動作を指示する指令装置等から送信される信号を取得する。
【0034】
制御部152は、指令装置等から送信され、情報取得部150によって取得された信号に基づいて、第1アーム11Aおよび第2アーム11B並びに走行車体10の動作を制御する。
【0035】
制御部152は、情報取得部150が取得した情報とAI(Artificial intelligence)とを用いて、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動作を制御する。制御部152は、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの各関節部11bのモータを制御する。制御部152は、センサ12および倉庫内センサ53によって検知された情報を用いて、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動作を制御する。
【0036】
また、制御部152は、情報取得部150が取得した情報とAIとを用いて、走行車体10の動作を制御する。制御部152は、走行車体10の各駆動輪10aのモータを制御する。制御部152は、センサ12および倉庫内センサ53によって検知された情報を用いて、走行車体10の動作を制御する。
【0037】
また、制御部152は、情報取得部150が取得した情報とAIとを用いて、ピッキングした荷物56を第1アーム11Aおよび第2アーム11Bが走行車体10側に引き寄せるタイミングを制御する。例えば、制御部152は、情報取得部150が倉庫内センサ53により取得した、貯蔵部54に複数の荷物56が置かれている間隔を表す情報を取得する。そして、制御部152は、カートロボット52の移動速度および移動の軌跡、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの移動範囲、および取得した複数の荷物56が置かれている間隔を表す情報等に基づいて、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bが荷物56をピッキングしてから、ピッキングした荷物56以外の他の荷物に第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの少なくとも一方が干渉するまでの時間を算出する。そして、算出した時間が経過する前に、ピッキングした荷物56を走行車体10側に引き寄せるように、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bを操作する。
【0038】
情報蓄積部154には、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等の記憶媒体によって実現される。情報蓄積部154は、制御部152によって実行される各種のプログラムを記憶する。情報蓄積部154は、情報取得部150によって取得された情報を記憶する。
【0039】
なお、カートロボット52は、上述したように貯蔵部54に接近離間するように蛇行走行しながら、かつ一時的に減速して、貯蔵部54から荷物56のピッキングを行う。例えば、カートロボット52は時速40kmの第1速度で走行し、荷物56をピッキングする際に第1速度よりも小さい第2速度に減速する。第2速度は例えば時速5km程度である。この際、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動きの速度、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの角度(伸縮の程度)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの把持能力(吸着能力)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bから荷物56までの距離、荷物56の重さ、並びに荷物56の個数のうちの少なくとも1つに基づいて、第2速度が導出される。これらの情報は、センサ12および倉庫内センサ53、あるいは予め指示されたリストや注文書から情報取得部150により取得される。制御部152は情報取得部150が取得したこれらの情報に基づいて、第2速度を導出する。
【0040】
本実施形態において、制御部152は例えば以下の各処理を実行する。
(1)ピッキングする荷物56の位置にカートロボット52を移動させる。
(2)荷物56をピッキングする際のカートロボット52の第2速度を導出する。
(3)荷物56をピッキングする際に、カートロボット52を第2速度に減速する。
(4)カートロボット52を走行させつつ、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bを操作して荷物56をピッキングする。
(5)ピッキングした荷物56以外の他の荷物に第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの少なくとも一方が干渉する前に、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bを操作して、ピッキングした荷物56を走行車体10側に引き寄せ、荷物56を走行車体10のカート10bに載置する。
【0041】
本実施形態においては、第2速度を導出するに際して学習済みモデルが使用される。図6は本実施形態において使用される学習済みモデルを説明するための図である。図6に示す学習済みモデル70は、畳み込みニューラルネットワーク等のニューラルネットワークを機械学習することにより構築される。機械学習に際しては、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動きの速度、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの角度(伸縮の程度)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの把持能力(吸着能力)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bから荷物56までの距離、荷物56の重さ、並びに荷物56の個数のうちの少なくとも1つを含む学習用データと、第2速度の正解データとを含む多数の教師データを用いる。
【0042】
学習済みモデル70は、実際に使用している第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動きの速度、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの角度(伸縮の程度)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの把持能力(吸着能力)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bから荷物56までの距離、荷物56の重さ、並びに荷物56の個数のうちの少なくとも1つが入力されると、第2の速度を出力する。制御部152はこのような学習済みモデル70を用いて第2速度を導出する。
【0043】
以下に本実施形態の動作を図7のフローチャートに従い説明する。情報処理装置15は、センサ12および倉庫内センサ53によって検知された情報を取得する(S100)。情報処理装置15は、取得した各種情報に基づいて、荷物56をピッキングする際の第2速度を導出する(S102)。さらに情報処理装置15は、荷物56の位置に近づくカートロボット52を第2速度に減速する(S104)。続いて情報処理装置15は、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bを操作して、カートロボット52を第2速度で走行させつつ、荷物56をピッキングする(S106)。
【0044】
情報処理装置15は、ピッキングした荷物56以外の他の荷物に第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの少なくとも一方が干渉する前に、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bを操作して、ピッキングした荷物56を走行車体10側に引き寄せる(S108)。さらに情報処理装置15は、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bを操作して、荷物56を走行車体10のカート10bに載置する(S110)。荷物56をカート10bに載置した後は、カートロボット52は第1速度に加速して走行を続け、所定の場所に荷物56を搬送する。
【0045】
このように、本実施形態によれば、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bにより荷物56をピッキングした後、ピッキングした荷物56以外の他の荷物に第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの少なくとも一方が干渉する前に、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bにより荷物56を走行車体10側に引き寄せるようにした。このため、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bによりピッキングされた荷物56が、貯蔵部54に貯蔵された他の荷物にぶつかることを防止できる。
【0046】
また、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bにより荷物56を走行車体10側に引き寄せた後、荷物56を走行車体10のカート10bに載置するようにした。このため、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bにより荷物56を把持しながら搬送する場合と比較して、安定して荷物56を搬送することができる。
【0047】
また、走行車体10のカート10bを複数の荷物56を載置可能なサイズを有するものとしているため、複数の荷物を搬送することができる。
【0048】
また、カートロボット52の走行中において、第1アーム11Aにより荷物56を把持し、その後カートロボット52を移動させつつ、第1アーム11Aとともに第2アーム11Bにより荷物56を把持するようにした。このため、荷物56をピッキングする毎にカートロボット52を停止させる必要がなくなり、その結果、効率良く荷物をピッキングできる。
【0049】
また、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの動きの速度、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの角度、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bの把持能力(吸着能力)、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bから荷物56までの距離、荷物56の重さ、並びに荷物56の個数のうちの少なくとも1つに基づいて、カートロボット52を減速させる第2速度を導出するようにしたため、荷物56をピッキングする際に、カートロボット52を適切に減速させて、荷物56をピッキングすることができる。
【0050】
なお、本実施形態に係るカートロボットは上記図2に示すものには限定されない。図8は、本実施形態に係るカートロボットの他の例を示す斜視図である。図8に示すように、カートロボット59は、走行車体10がカート10bに代えて載置台10cを備え、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bが、固定フレーム20を介することなく、載置台10cに固定されている点が図2に示す実施形態と異なる。ここで、載置台10cは複数の荷物56を載置可能なサイズを有する。
【0051】
図8に示すカートロボット59においては、第1アーム11Aおよび第2アーム11Bによりピッキングされた荷物56は、載置台10cに載置されて搬送されることとなる。
【0052】
図9は、情報処理装置15として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、および/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつか又は全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0053】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、およびグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、およびICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブおよびDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブおよびソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230およびキーボードのような入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0054】
CPU1212は、ROM1230およびRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0055】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/又はプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0056】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、および/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0057】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0058】
例えば、通信がコンピュータ1200および外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0059】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0060】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0061】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0062】
本実施形態におけるフローチャートおよびブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表してよい。特定の段階および「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、および他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0063】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0064】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでもよい。
【0065】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0066】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0067】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0068】
10 走行車体、10a 駆動輪、10b カート、10c 載置台、11A 第1アーム、11B 第2アーム、12 センサ、15 情報処理装置、50 フロア、52,59 カートロボット、54 貯蔵部、56 荷物、60 レーン、70 学習済みモデル、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9