(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068055
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する方法、および、可溶化ポリマーを原料の一部とする吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 8/06 20060101AFI20240510BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20240510BHJP
C08J 11/16 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
C08F8/06
C08F8/00
C08J11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007771
(22)【出願日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2022178502
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 一司
(72)【発明者】
【氏名】松井 大祐
(72)【発明者】
【氏名】榎田 悠佑
(72)【発明者】
【氏名】山本 惠美子
(72)【発明者】
【氏名】小林 信弘
【テーマコード(参考)】
4F401
4J100
【Fターム(参考)】
4F401AA17
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4J100HG27
4J100JA19
4J100JA50
4J100JA60
(57)【要約】
【課題】吸水性樹脂を分解、可溶化させる技術は、長時間の分解処理を要する経済的な課題がある。また、それを克服するために、分解剤の使用量を増やすことで改善する場合もあるが、分解処理のコストが増加する課題、又は可溶化ポリマーが着色し、その可溶化ポリマーを原料の一部として用いて製造した吸水性樹脂が着色してしまうという課題がある。
以上のことから、少量の分解剤の使用でも短時間で吸水性樹脂を分解させることができる可溶化ポリマーの製造方法、および、その可溶化ポリマーを原料の一部として用いて製造した際に着色の少ない吸水性樹脂の製造方法が求められている。
【解決手段】
多軸型混合機により吸水性樹脂、水、及び分解剤を撹拌する、吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸型混合機により吸水性樹脂、水、及び分解剤を撹拌する、吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する方法。
【請求項2】
前記多軸型混合機が双腕型ニーダー、二軸押出機、連続式多軸混合機から選択される、請求項1に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
【請求項3】
前記分解剤は酸化剤を含む、請求項1または2に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
【請求項4】
前記分解剤は還元剤を含む、請求項1から3のいずれかに記載の可溶化ポリマーの製造方法。
【請求項5】
前記分解剤は遷移金属イオンを含む、請求項1から4のいずれかに記載の可溶化ポリマーの製造方法。
【請求項6】
前記分解剤はアルカリ化合物を含む、請求項1または2に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
【請求項7】
前記吸水性樹脂100重量部に対し、水の量が、66~1900重量部である、請求項1から6のいずれかに記載の可溶化ポリマーの製造方法。
【請求項8】
50~130℃の温度で撹拌する、請求項1から7のいずれかに記載の可溶化ポリマーの製造方法。
【請求項9】
前記吸水性樹脂が、使用済み吸収物品から回収された使用済み吸水性樹脂である、請求項1から8のいずれかに記載の可溶化ポリマーの製造方法。
【請求項10】
可溶化ポリマーの重量平均分子量が10,000から1,000,000である、請求項1から9のいずれかに記載の可溶化ポリマーの製造方法。
【請求項11】
吸水性樹脂を製造する際の、単量体水溶液の調整工程、重合工程、含水ゲル粉砕工程、乾燥工程、表面架橋工程のいずれかの工程において、請求項1から10のいずれかに記載の吸水性樹脂を分解して得られる可溶化ポリマーまたはその水溶液を添加する吸水性樹脂の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の製造方法で得られた吸水性樹脂を用いる吸水性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する方法、および、可溶化ポリマーを原料の一部とする吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の吸収性物品には、体液吸収の観点から、その構成材としての吸水性樹脂が、吸水剤として幅広く利用されている。このような吸水性樹脂としては、例えば、澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、澱粉-アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリル酸部分中和物重合体の架橋物等が知られているが、吸水性能の観点から、アクリル酸及び/又はその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が、工業的に最も多く生産されている。
【0003】
吸収性物品は使い捨てが一般的であるが、環境意識の高まりから、衛生材料のリサイクルに関心が高まっている。吸収性物品に用いられる吸水性樹脂をリサイクルする技術しては、吸水性樹脂を分解、可溶化して紙おむつ中の他の部材と分離した後、その可溶化ポリマーを吸水性樹脂の製造工程に添加して再利用する方法が開発されている(特許文献1)。
【0004】
吸水性樹脂を分解、可溶化させる技術としては、吸水性樹脂とパルプの混合物を、過酸化水素の存在下で加熱処理して吸水性樹脂を可溶化させる技術(特許文献2)、およびpH4~7.5の条件下で還元剤であるアスコルビン酸を使用して吸水性樹脂を可溶化させる技術(特許文献3)、および還元剤および遷移金属イオンを使用して吸水性樹脂を可溶化させる技術(特許文献4)、および酸化的水溶塩の存在下で加熱して吸水性樹脂を可溶化させる技術(特許文献5)が開発されている。また、高吸水性樹脂を分解し水に可溶化させる技術として、例えば、オゾン水(特許文献6)、酸化剤と鉄イオンもしくは銅イオン等の遷移金属イオンとの併用(特許文献7)、アルカリ化合物(特許文献8)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2020/213298
【特許文献2】特開平04-317785
【特許文献3】特開平05-247221
【特許文献4】特開2019-131789
【特許文献5】WO2021/042113
【特許文献6】特開2017-100133
【特許文献7】特開平11-172039
【特許文献8】特開2020-049398
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の吸水性樹脂を分解、可溶化させる技術は、長時間の分解処理を要する経済的な課題がある。また、それを克服するために、分解剤の使用量を増やすことで改善する場合もあるが、分解処理のコストが増加する課題または可溶化ポリマーが着色し、その可溶化ポリマーを原料の一部として用いて製造した吸水性樹脂が着色してしまうという課題がある。
【0007】
以上のことから、少量の分解剤の使用でも短時間で吸水性樹脂を分解させることができる可溶化ポリマーの製造方法、および、その可溶化ポリマーを原料の一部として用いて製造した際に着色の少ない吸水性樹脂の製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、吸水性樹脂を分解する際に、吸水性樹脂、水、分解剤を多軸型混合機ですることである。すなわち、本発明は、以下の[1]~[12]に記載の発明を含む。
【0009】
[1]吸水性樹脂を分解する際、吸水性樹脂、水、及び分解剤を多軸型混合機により撹拌する、吸水性樹脂の一部を分解して可溶化ポリマーを製造する方法。
【0010】
[2]前記多軸型混合機が双腕型ニーダー、二軸押出機、連続式多軸混合機から選択される、[1]に記載の可溶化ポリマーを製造する方法。
【0011】
[3]さらに酸化剤を用いる、[1]または[2]に記載の可溶化ポリマーを製造する方法。
【0012】
[4]さらに還元剤を用いる、[1]から[3]のいずれかに記載の可溶化ポリマーを製造する方法。
【0013】
[5]さらに遷移金属イオンを用いる、[1]から[4]のいずれかに記載の可溶化ポリマーを製造する方法。
【0014】
[6]さらにアルカリ化合物を用いる、[1]または[2]に記載の可溶化ポリマーを製造する方法。
【0015】
[7]前記吸水性樹脂100重量部に対し、水の量が、66~1900重量部である、[1]から[6]のいずれかに記載の可溶化ポリマーを製造する方法。
【0016】
[8]50~130℃の温度で撹拌する、[1]から[7]のいずれかに記載の可溶化ポリマーを製造する方法。
【0017】
[9]前記吸水性樹脂が、使用済み吸収物品から回収された使用済み吸水性樹脂である、[1]から[8]のいずれかに記載の可溶化ポリマーを製造する方法。
【0018】
[10]可溶化ポリマーの重量平均分子量が10,000から1,000,000である、[1]から[9]のいずれかに記載の可溶化ポリマーを製造する方法
【0019】
[11]吸水性樹脂の製造方法であって、単量体水溶液の調整工程、重合工程、含水ゲル粉砕工程、乾燥工程、表面架橋工程を有し、これらいずれかの工程において、[1]から[10]のいずれかに記載の吸水性樹脂を分解して得られる可溶化ポリマーまたはその水溶液を添加する吸水性樹脂の製造方法。
【0020】
[12][11]に記載の製造方法で得られた吸水性樹脂を用いる吸水性物品の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、少量の分解剤でも短時間で吸水性樹脂を分解、可溶化できる可溶化ポリマーの製造方法を提供することができる。さらに、その可溶化ポリマーを原料の一部として用いた、着色が少なく吸水性能に優れた吸水性樹脂の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に関して詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書においては特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、「~酸(塩)」は「~酸および/またはその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリルおよび/またはメタクリル」をそれぞれ意味する。
【0023】
[1]吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する方法
本発明の一実施形態において、吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する方法は、多軸型混合機による撹拌で少なくとも一部を分解させる工程を含む。
【0024】
(1-1)吸水性樹脂
「吸水性樹脂」は、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であって、特に限定されないも
のの、10~1000倍の吸水倍率を有する慣用の吸水性樹脂を指す。より具体的には、
被吸収液を吸収する前の吸水性樹脂(以下、「初期の吸水性樹脂」とも称する)は、「水
膨潤性」として、ERT441.2-02で規定されるCRCが5g/g以上の物性を満
たすことが好ましい。
【0025】
前記吸水性樹脂は、部分中和されたカルボキシル基を有する重合体を含む。吸水性樹脂の具体例としては、例えば、ポリアクリル酸(塩)系樹脂、ポリスルホン酸(塩)系樹脂、無水マレイン酸(塩)系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリアスパラギン酸(塩)系樹脂、ポリグルタミン酸(塩)系樹脂、ポリアルギン酸(塩)系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル酸塩架橋重合体、(メタ)アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体のケン化物架橋体、デンプン-アクリル酸塩グラフト重合体およびその架橋物等が挙げられる。
【0026】
本明細書において「吸水性樹脂」とは、全量(100重量%)が当該吸水性樹脂のみである態様に限定されず、添加剤などを含んでいる吸水性樹脂組成物であってもよい。また、本明細書において「吸水性樹脂」とは、使用済みの吸収性物品に含まれている態様の吸水性樹脂を含んでもよい。前記使用済みの吸収性物品に含まれている態様の吸水性樹脂吸水性樹脂は、その内部に尿水等の水が取り込まれた含水ゲルの状態となり得る。よって、前記吸水性樹脂は、含水ゲルの状態である吸水性樹脂を含んでも良い。
【0027】
前記吸水性樹脂の重量は、特に記載のない限り、固形分に換算した数値とする。使用済紙おむつに含まれる吸水性樹脂の重量が不明な場合、未使用紙おむつに含まれる吸水性樹脂の重量および使用済紙おむつ中の吸水性樹脂の吸水倍率の一般値を用いて算出するか、もしくは使用済紙おむつの総重量に対する吸水性樹脂の含有量(固形分換算値)を3~9重量%と仮定することで、該吸水性樹脂の重量を測定する。使用済紙おむつの使用状態により、実際の吸水性樹脂の含有量は大きく異なる可能性もあるが、実際の分解状況を確認しながら、当業者が適宜に分解条件を調整することができる。
【0028】
(1-2)可溶化ポリマー
「可溶化ポリマー」は、水膨潤性(つまり、水に不溶である)の吸水性樹脂を分解し、水に可溶化させたポリマーである。可溶化ポリマーは全てが水に可溶化したものでも良く、部分的に可溶化されていないポリマーが含まれた部分可溶化物でも良い。外観上、水中に溶け残りが見えず水に溶けているようであれば、水に可溶化したものと見なす。一部溶解していない膨潤物が残存していても可溶化処理前よりも減少していれば、部分的に可溶化されており、可溶化ポリマーが生じている。したがって、可溶化後(分解後)の可溶化ポリマー水溶液に一部溶解していない膨潤物が残存していても可溶化ポリマー水溶液(もしくは分散液)と称する。得られた可溶化ポリマーはそのまま水溶液で利用しても良く。乾燥して固形物にしてから利用しても良い。
【0029】
(1-3)水
本発明にて可溶化ポリマーを製造する際には、吸水性樹脂100重量部に対し、水の量が66~1900重量部であることが好ましく、80~1500重量部であることがより好ましく、100~900重量部であることがさらに好ましい。水の量が少なすぎると吸水性樹脂の流動性が悪く、分解性が低下する場合がある。また水の量が多すぎると得られる可溶化ポリマーの濃度が低くなるため製造コストの増加をまねく。当該吸水性樹脂が使用済の吸水性物品に含まれている様態など、吸水性樹脂が含水ゲルの状態である場合は、吸水性樹脂に吸収されている水分をそのまま使用してもよい。使用する水は、清浄であれば特に限定されず、例えば、水道水、工業用水、イオン交換水、純水が挙げられる。
【0030】
(1-4)分解剤
本発明で使用する「分解剤」は、高吸水性樹脂を分解し、水に可溶化させることができるもので特に限定されるものではなく、どのような分解剤であってもよい。例えば上述に記載された、酸化剤(特許文献2)、オゾン水(特許文献6)、酸化剤と鉄イオンもしくは銅イオン等の遷移金属イオンとの併用(特許文献7)、還元剤と遷移金属イオンとの併用(特許文献4)、アルカリ化合物(特許文献8)が挙げられる。前記の分解剤(例えば、酸化剤、鉄イオン、アルカリ化合物等)が吸水性樹脂に含まれる場合、これら分解剤をそのまま使用してもよい。
【0031】
(1-5)多軸型混合機
本発明で使用する「多軸型混合機」は、二軸以上の混合、混錬装置が挙げられる。多軸型混合機を用いることにより、分解させる吸水性樹脂ゲルに強力なせん断力を付与することができる。一般的に、吸水性樹脂の含水ゲルは非常に高粘度かつ流動性に劣るものであるため、強力なせん断力を与えることでゲルの移動性や、ゲルと分解剤の接触確率向上に有効である。また、単軸型の混合機に比べて、ゲルが移動しにくい反応装置壁面や軸回りのゲル滞留を抑制できるため、吸水性樹脂の分解時間短縮に有効である。
【0032】
このような「多軸型混合機」としては、2軸、3軸、4軸または8軸の混錬機であり、具体的には2~8軸混錬押出機、双腕型ニーダー、4軸ニーダー、連続式多軸混合機等が挙げられる。具体的な装置としては、CKH型連続混練機(本田鐵工株式会社)、2軸押出機TEX(株式会社日本製鋼所)、2軸押出機TEXαIII(株式会社日本製鋼所)、コンティニュアースニーダー(CONTINUOUS KNEADER、株式会社ダルトン)、KRCハイブリッドリアクタ(KRC HYBRID REACTER、株式会社栗本鐵工所)、KRCニーダー(KURIMOTO-READCO CONTINUOUS KNEADER、株式会社栗本鐵工所)、KEXエクストルーダー(KEX EXTRUDER、株式会社栗本鐵工所)、KEXDエクストルーダー(KEXD EXTRUDER、株式会社栗本鐵工所)、双腕型ニーダールーダー(KNEADER-RUDER、株式会社モリヤマ)、HBN型双腕ニーダー(本田鐵工株式会社)、HBL型双腕ニーダー(本田鐵工株式会社)、2軸混練押出機TEX-SSG(東芝機械株式会社)、2軸混練押出機TEX-CS(東芝機械株式会社)、2軸混練押出機TEX-SX(東芝機械株式会社)、2軸混練押出機TEX-DS(東芝機械株式会社)、2軸混練押出機TEX-A(東芝機械株式会社)、2軸混練押出機TEX-B(東芝機械株式会社)、2軸混練押出機TEX-BS(東芝機械株式会社)4軸、8軸混練押出機WDRシリーズ(株式会社テクノベル)等が例示される。
【0033】
前記の多軸型混合機は、機器のメンテナンス頻度の削減や性能維持を図る観点から、その内壁面が耐腐食性(耐酸性、耐アルカリ性)の材質で構成されていることが好ましい。このような耐腐食性の材質としては、ステンレス鋼、ハステロイ鋼、チタン鋼、グラスライニング鋼、樹脂ライニング鋼、金属溶射コーティング鋼などが挙げられる。ステンレス鋼としては例えば、SUS304、SUS304L、SUS304LN、SUS312L、SUS316、SUS316L、SUS316N、SUS316LN、SUS317、SUS317N、SUS317LN等のオーステナイト系ステンレス;SUS430、SUS430F、SUS434、SUS444等のフェライト系ステンレス;SUS410、SUS410F2、SUS410J1、SUS410S、SUS431等のマルテンサイト系ステンレス、が挙げられる。樹脂ライニング鋼としては、ゴム、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロピレンコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライドなど)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、ビスフェノール型ポリエステル、ビニールエステルなど)でライニングされたものが挙げられる。金属溶射コーティング鋼としては、金属やセラミックおよびこれらの混合物をフレーム溶射、高速フレーム溶射、アーク溶射、プラズマ溶射、線爆溶射法によりコーティングされたものが挙げられる。前記ライニングやコーティングは、装置全体に施してもよいし、特に腐食が生じやすい部分(気液界面など)にのみ実施してもよい。
【0034】
また、耐腐食性材質の使用以外の腐食抑制策としては、定期的な装置の水洗浄を行う、酸やアルカリを添加する際は加熱前の十分な撹拌や静置実施により溶液pHの均一化を図る、溶液中の酸素除去を行う(不活性ガス置換、脱気、脱酸素剤の使用など)、等の方策が挙げられる。
【0035】
(1-6)酸化剤
本発明の一実施形態において、前記分解剤は酸化剤を含有してもよい。該酸化剤は、酸化性を有する化合物であって、加熱によりラジカルを発生する化合物である。また、還元剤および/または遷移金属イオンを生成する化合物と併用することによってもラジカルを発生する。
【0036】
このような酸化剤としては、例えば、過硫酸塩、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等:過酸化物、例えば、過酸化水素、アルキルハイドロパーオキサイド、過エステル等:過塩素酸塩、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等:過ヨウ素酸塩、例えば、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム等:過炭酸塩、過硼酸塩、過酢酸等が挙げられ、好ましくは、過酸化水素および過硫酸塩が好適に使用される。
【0037】
また、本発明の分解方法により吸水性ポリマーを分解する際には、吸水性ポリマー100重量部に対し、必要に応じて存在する酸化剤の量が、0.1~50重量部であることが好ましく、0.3~30重量部であることがより好ましく、0.5~20重量部であることがさらに好ましい。酸化剤の量が少なすぎると分解性が低下する場合がある。また酸化剤の量が多すぎると、可溶化ポリマーが着色する場合がある。
【0038】
(1-7)還元剤
本発明の一実施形態において、前記分解剤として還元剤を含有してもよい。該還元剤は、還元性を有する化合物であって、先述の酸化剤、もしくは、後述の遷移金属イオンを生成する化合物と併用することにより、ラジカルを発生する化合物である。
【0039】
このような還元剤としては、例えば、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素(塩)、亜リン酸(塩)、次亜リン酸(塩)、チオ硫酸(塩)、ギ酸、シュウ酸、エリトルビン酸、アミン、アスコルビン酸(塩)またはその誘導体(例えば、L-アスコルビン酸(塩)、イソアスコルビン酸(塩)、並びに、アスコルビン酸のアルキルエステル)、リン酸エステルおよび硫酸エステル等が挙げられ、好ましくは、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素(塩)、L-アスコルビン酸(塩)、イソアスコルビン酸(塩)が好適に使用される。
【0040】
また、本発明の分解方法により吸水性ポリマーを分解する際には、吸水性樹脂100重量部に対し、還元剤の量が0.01~50重量部であることが好ましく、0.05~25重量部であることがより好ましく、0.1~5重量部であることがさらに好ましい。還元剤の量が少なすぎると分解性が低下する場合がある。また還元剤の量が多すぎると、可溶化ポリマーが着色する場合がある。
【0041】
(1-8)遷移金属イオン
本発明の一実施形態において、前記分解剤として遷移金属イオンを含有してもよい。該遷移金属イオンは、先述の酸化剤と併用することにより、フェントン反応によってラジカルを発生する。また、先述の還元剤と併用することにより、ラジカルを発生する。
【0042】
本発明にて可溶化ポリマーを製造する際には、吸水性樹脂100重量部に対し、遷移金属イオンの量が1×10-6~1モルであることが好ましく、1×10-6~0.5重量部であることがより好ましく、1×10-6~0.1重量部であることがさらに好ましい。遷移金属イオンの量が少なすぎると分解性が低下する場合がある。また遷移金属イオンの量が多すぎると、可溶化ポリマーが着色する場合がある。
【0043】
具体的な遷移金属イオンとしては、例えば、Cu2+、Ag+、Fe2+、Fe3+、Al3+、Ni2+、Mn2+等が挙げられ、好ましくは、鉄イオン(Fe2+)、銅イオン(Cu2+)であり、最も好ましくは鉄イオン(Fe2+)である。
【0044】
先述の遷移金属イオンを生成する化合物としては、例えば、塩化物およびその水和物、例えば、塩化第一鉄等:有機酸塩およびその水和物、例えば、フマル酸第一鉄、シュウ酸第一鉄、塩化第一鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、グルコン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、酢酸第一鉄等:硫酸塩およびその水和物、例えば、硫酸第一鉄等:等が挙げられる。
【0045】
(1-9)アルカリ化合物
本発明の一実施形態において、前記分解剤としてアルカリ化合物を含有してもよい。該アルカリ化合物は、吸水性樹脂の架橋部分をアルカリ加水分解することで可溶化させる化合物である。
【0046】
このようなアルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物:水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物:アンモニア:脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどアミン化合物、が挙げられ、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物である。
【0047】
(1-10)pH
本発明にて可溶化ポリマーを製造する際には、吸水性樹脂、水、分解剤を混合物のpHを6.5~8.5の範囲となるように調整して分解するのが好ましく、pH6.5~8.3がより好ましく、pH6.5~8.0がさらに好ましい。pHがこの範囲を外れると、分解性が低下する場合及び/又は可溶化ポリマーが着色する場合がある。混合物のpHは、吸水性樹脂の分解が充分進行する程度の一定の時間の間、当該範囲内に調整されていればよいが、分解開始から分解終了までの間、前記pH範囲に収まるよう調整することが好ましい。当該混合物のpHは、必要に応じて酸または塩基等のpH調整剤を添加することにより調整することができる。使用する酸としては、これに限定されるわけではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、酢酸、クエン酸等の有機酸を挙げることができる。使用できる塩基としては、これに限定されるわけではないが、例えば、前記で挙げたアルカリ化合物があり、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム水酸化、水酸化マグネシウム等の塩基を挙げることができる。
【0048】
(1-11)分解温度
本発明の一実施形態において、吸水性樹脂を分解する温度は50~130℃が好ましく、65~120℃がより好ましく、80~110℃がさらに好ましい。温度を上げることで分解剤から発生するラジカル量が増加し、可溶化ポリマーを得るまでに要する時間を短縮することができる。ただし、温度を上げ過ぎると発生したラジカルが吸水性樹脂を分解する前に失活してしまう恐れがある。分解温度の調整方法としては、室温下で前記の混合を実施後、混合物を多軸型混合機に導入し、導入後攪拌しながら所定の温度に設置してもよい。または、ジャケット等公知の手段により所定の温度に調温した多軸型混合機に吸水性樹脂、分解剤、水を導入して撹拌しても良い。
【0049】
(1-12)可溶化ポリマーの重量平均分子量
本発明の一実施形態において、吸水性樹脂を分解して得られる可溶化ポリマーの重量平均分子量は10,000~1,000,000の範囲が好ましく、15,000~750,000がより好ましく、20,000~500,000がさらに好ましい。重量平均分子量が低すぎると、可溶化ポリマーを原料の一部として用いて製造した吸水性樹脂の水可溶分量が多くなり、吸水物性が低下する場合がある。重量平均分子量が大きすぎると、可溶化ポリマー水溶液の粘度が高くなり、ハンドリング性が低下する場合がある。
【0050】
(1-13)可溶化ポリマーの水溶液のYI値
本発明の一実施形態において、吸水性樹脂を分解して得られる可溶化ポリマーの水溶液のYI値は、水溶液固形分が8.00~10.00質量%で10以下が好ましく5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。前記YI値が10以下であると、前記可溶化ポリマーを原料の一部として吸水性樹脂の製造に用いる際に、得られる吸水性樹脂の着色が抑制される。
【0051】
(1-14)使用済み吸収物品、および、使用済み吸水性樹脂
「使用済み吸収物品」は、消費者に使用され、し尿、血液等の体液を吸収した使用済みの衛生材料のことである。衛生材料としては、紙おむつ、生理用ナプキン、成人向け失禁用製品(失禁パッド)が挙げられる。衛生材料と類似の物品として、ペット用シートやペット用おむつが挙げられるが、本発明ではこれらの動物用のし尿処理用物品も前記衛生材料に含める。
【0052】
「使用済み吸水性樹脂」とは、使用済み吸収物品中のし尿や血液等の体液を吸収した吸水性樹脂、し尿や血液等の体液を吸収していなくても吸収物品の製造に使用された吸水性樹脂、及び吸水性樹脂の製造工程中で発生する吸水性樹脂の微粉や規格外品等を含む。本実施形態において、前記使用済み吸収性物品から回収された(取り出し集められた)使用済み吸水性樹脂を用いることも一つの態様である。
【0053】
なお、使用済み吸収物品に含まれる使用済み吸水性樹脂から本願技術を用いて可溶化ポリマーを製造する際は、使用済み吸収物品や使用済み吸水性樹脂をあらかじめ洗浄し、し尿等を除去した後分解操作を行うことが好ましい。
【0054】
[2]吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマーを原料として用いる吸水性樹脂の製造方法
本発明の一実施形態において、吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマーを原料として用いる吸水性樹脂の製造方法は、吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマーを、新たに吸水性樹脂を製造する(吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする従来の吸水性樹脂を製造する)際の、単量体水溶液の調製工程、重合工程、含水ゲル粉砕工程、乾燥工程、表面架橋工程のいずれかの工程において、吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマーを原料として用いる製造方法である。また、可溶化ポリマーを架橋剤(後述する内部架橋剤や表面架橋剤など)で架橋し、架橋ポリマーとした後に、上記いずれかの工程において、新たに製造される吸水性樹脂と混合しても良い。さらに、可溶化ポリマーを架橋剤で架橋し、架橋ポリマーとした後に、従来と同様のプロセス(乾燥、粉砕、分級、表面処理、冷却、整粒などを含む工程)で製品化しても良い。
【0055】
(2-1)単量体水溶液の調製工程
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する工程である。なお、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
【0056】
また、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、吸水性樹脂の重合反応に供される単量体(内部架橋剤は除く)全体に対して、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)であることをいう。
【0057】
(アクリル酸)
本発明の一実施形態では、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、吸水性樹脂を構成する単量体としてアクリル酸及び/又はその塩(以下「アクリル酸(塩)」と称する)が用いられる。
【0058】
上記「アクリル酸」は、公知のアクリル酸でよく、重合禁止剤として好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp-メトキシフェノールを、アクリル酸の重合性および吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10~160ppm、更に好ましくは20~100ppmを含んでいればよい。また、アクリル酸中の不純物については、米国特許出願公開第2008/0161512号に記載された化合物が本発明の一実施形態にも適用される。
【0059】
また、上記「アクリル酸塩」は、上記アクリル酸を下記塩基性組成物で中和したものであるが、該アクリル酸塩として、市販のアクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよいし、吸水性樹脂の製造プラント内で中和して得られたものでもよい。
【0060】
(塩基性組成物)
本発明の一実施形態において、「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を指し、例えば、市販の水酸化ナトリウム水溶液等が該当する。
【0061】
上記塩基性化合物として、具体的には、アルカリ金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩等のアルカリ金属塩、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。これら以外の塩基性化合物として、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。これらの中でも、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、強塩基性であることが望まれる。即ち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0062】
(中和)
本発明の一実施形態における中和として、アクリル酸に対する中和(重合前)又はアクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)の何れかを選択又は併用することができる。本発明の可溶化ポリマーを原料(リサイクル原料)として吸水性樹脂の製造に用いる場合、可溶化ポリマーが塩基性化合物を含むようであれば、この塩基性化合物が重合前のアクリル酸又は重合後の含水ゲル状架橋重合体を中和する。そのため、後述のとおり、この塩基性化合物を加味して最終製品としての吸水性樹脂の中和率を所定の範囲に調製する。また、これらの中和は、連続式でもバッチ式でもよく特に限定されないが、生産効率等の観点から連続式が好ましい。
【0063】
なお、中和を行う装置、中和温度、滞留時間等の条件については、国際公開第2009/123197号、米国特許出願公開第2008/0194863号等に記載された条件が本発明にも適用される。
【0064】
本発明の一実施形態における中和率は、単量体の酸基に対して、好ましくは10~90モル%、より好ましくは40~85モル%、更に好ましくは50~80モル%、特に好ましくは60~75モル%である。該中和率が10モル%未満の場合、吸水倍率が著しく低下することがある。一方、該中和率が90モル%を超える場合、加圧下吸水倍率の高い吸水性樹脂が得られないことがある。なお、中和率75モル%とは、アクリル酸25モル%及びアクリル酸塩75モル%の混合物を意味する。また、該混合物をアクリル酸部分中和物と称する場合もある。
【0065】
上記中和率は、後中和の場合でも同様である。また、最終製品としての吸水性樹脂の中和率についても、上記中和率が適用される。本発明は、前記の可溶化ポリマーを原料の一部として吸水樹脂の製造に用いることが特徴である。前記可溶化ポリマーが塩基性化合物を含む場合、この塩基性化合物を含めて最終製品としての吸水性樹脂の中和率が所定の範囲に入るように、アクリル酸に対する中和(重合前)および/または含水ゲル状架橋重合体に対する後中和を適宜調製する。
【0066】
(他の単量体)
本発明の一実施形態において、「他の単量体」とは、上記アクリル酸(塩)以外の単量体を指し、他の単量体をアクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造することができる。
【0067】
上記他の単量体として、水溶性又は疎水性の不飽和単量体が挙げられる。具体的には、米国特許出願公開第2005/0215734に記載された化合物(但し、アクリル酸は除く)が本発明の一実施形態にも適用される。
【0068】
(内部架橋剤)
本発明の一実施形態で使用される内部架橋剤として、米国特許第6241928号に記載された化合物が本発明の一実施形態にも適用される。これらの中から反応性を考慮して1種又は2種以上の化合物が選択される。
【0069】
また、得られる吸水性樹脂の吸水性能等の観点から、好ましくは重合性不飽和基を2個以上有する化合物、より好ましくは下記乾燥温度で熱分解性を有する化合物、更に好ましくは(ポリ)アルキレングリコール構造単位を有する重合性不飽和基を2個以上する化合物が、内部架橋剤として用いられる。
【0070】
上記重合性不飽和基として、好ましくはアリル基、(メタ)アクリレート基、より好ましくは(メタ)アクリレート基が挙げられる。また、上記(ポリ)アルキレングリコール構造単位としてポリエチレングリコールが好ましく、n数として好ましくは1~100、より好ましくは6~50である。
【0071】
上記内部架橋剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.0001~10モル%、より好ましくは0.001~1モル%である。該使用量を上記範囲内とすることにより、所望する吸水性樹脂が得られる。なお、該使用量が少なすぎる場合、ゲル強度が低下し水可溶分が増加する傾向にあり、該使用量が多すぎる場合、吸水倍率が低下する傾向にあるため、好ましくない。
【0072】
本発明の一実施形態では、所定量の内部架橋剤を予め単量体水溶液に添加しておき、重合と同時に架橋反応する方法が好ましく適用される。一方、該手法以外に、重合中および/または重合後に内部架橋剤を添加して後架橋する方法、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル架橋する方法、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用することもできる。また、これらの方法を併用することもできる。
【0073】
(その他、単量体水溶液に添加される物質)
本発明の一実施形態において、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、下記の物質を単量体水溶液の調製時に添加することもできる。
【0074】
具体的には、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子を、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下(下限は0重量%)で添加すること:炭酸塩、アゾ化合物、気泡等の発泡剤、界面活性剤、キレート剤、連鎖移動剤等を、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下(下限は0重量%)で添加すること等を行うことができる。
【0075】
また、上記物質は、単量体水溶液に添加される形態のみならず、重合途中で添加される形態でもよいし、これらの形態を併用することもできる。
【0076】
なお、親水性高分子として水溶性樹脂又は吸水性樹脂を使用する場合には、グラフト重合体又は吸水性樹脂組成物(例えば、澱粉-アクリル酸重合体、PVA-アクリル酸重合体等)が得られる。これらの重合体、吸水性樹脂組成物も本発明の範疇である。
【0077】
(2-2)重合工程
本工程は、上記単量体水溶液の調製工程で得られたアクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
【0078】
(重合開始剤)
本発明の一実施形態で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されない。例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、又はこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種又は2種以上が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性、吸水性樹脂の物性等の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が使用される。
【0079】
該重合開始剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.001~1モル%、より好ましくは0.001~0.5モル%である。また、該還元剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.0001~0.02モル%である。
【0080】
なお、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤とを併用してもよい。
【0081】
(重合形態)
本発明の一実施形態に適用される重合形態としては、特に限定されないが、吸水特性、重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、更に好ましくは水溶液重合が挙げられる。中でも、連続水溶液重合が特に好ましく、連続ベルト重合、連続ニーダー重合の何れでも適用される。
【0082】
具体的な重合形態として、連続ベルト重合は米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/215734号等に、連続ニーダー重合は米国特許第6987151号、同第6710141号等に、それぞれ開示されている。これらの連続水溶液重合を採用することにより、吸水性樹脂の生産効率が向上する。
【0083】
また、上記連続水溶液重合の好ましい形態として、「高温開始重合」および「高濃度重合」が挙げられる。「高温開始重合」とは、単量体水溶液の温度を好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上(上限は沸点)の温度として重合を開始する形態をいう。「高濃度重合」とは、単量体濃度を好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上(上限は飽和濃度)として重合を行う形態をいう。これらの重合形態を併用することもできる。
【0084】
また、本発明の一実施形態においては、空気雰囲気下で重合を行うこともできるが、得られる吸水性樹脂の色調の観点から、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが好ましい。この場合、例えば、酸素濃度を1容積%以下に制御することが好ましい。なお、単量体水溶液中の溶存酸素についても、不活性ガスで置換(例えば、溶存酸素:1mg/l未満)しておくことが好ましい。また、本発明の一実施形態では、重合形態を、単量体水溶液に気泡(特に上記不活性ガス等)を分散させて重合を行う発泡重合とすることもできる。
【0085】
(2-3)含水ゲル粉砕工程
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。なお、上記重合工程がニーダー重合の場合、重合工程とゲル粉砕工程とが同時に実施される。また、気相重合、逆相懸濁重合等のように、粒子状含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、該ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
【0086】
上記以外のゲル粉砕条件および形態については、国際公開第2011/126079号に開示される内容が、本発明に好ましく適用される。
【0087】
(2-4)乾燥工程
本工程は、上記重合工程及び/又は含水ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを、所望する樹脂固形分まで乾燥させることにより、乾燥重合体を得る工程である。該樹脂固形分は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められ、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85~99重量%、更に好ましくは90~98重量%、特に好ましくは92~97重量%である。
【0088】
上記粒子状含水ゲルの乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。
【0089】
上記熱風乾燥における乾燥温度(熱風の温度)としては、吸水性樹脂の色調、乾燥効率等の観点から、好ましくは120~250℃、より好ましくは150~200℃である。なお、熱風の風速および乾燥時間等、上記乾燥温度以外の乾燥条件については、乾燥に供する粒子状含水ゲルの含水率や総重量及び目的とする樹脂固形分に応じて、適宜設定すればよく、バンド乾燥を行う際には、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号等に記載される諸条件が適宜適用される。
【0090】
上述した乾燥温度、乾燥時間等を上記範囲とすることで、得られる吸水性樹脂のCRC(吸水倍率)、Ext(水可溶分)および色調を所望する範囲(下記〔3〕を参照)とすることができる。
【0091】
(2-5)表面架橋工程
本工程は、上述した工程を経て得られる吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程であり、混合工程、加熱処理工程及び冷却工程(任意)から構成される。
【0092】
該表面架橋工程において、吸水性樹脂粉末表面でのラジカル架橋、表面重合、表面架橋剤との架橋反応等により、表面架橋された吸水性樹脂(吸水性樹脂粒子)が得られる。
【0093】
(表面架橋剤)
本発明の一実施形態で使用される表面架橋剤としては、特に限定されないが、有機又は無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の物性、表面架橋剤の取扱性等の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。例えば、米国特許7183456号に開示される1種又は2種以上の表面架橋剤が挙げられる。より具体的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物又はそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。
【0094】
該表面架橋剤の使用量(複数使用の場合は合計使用量)は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.01~10重量部、より好ましくは0.01~5重量部である。また、該表面架橋剤は水溶液として添加することが好ましく、この場合、水の使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.1~20重量部、より好ましくは0.5~10重量部である。更に必要に応じて、親水性有機溶媒を使用する場合、その使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
【0095】
また、後述の「再加湿工程」で添加される各添加剤をそれぞれ5重量部以下の範囲内で該表面架橋剤(水溶液)に混合して添加すること、別途本混合工程で添加すること等もできる。
【0096】
(混合工程)
本工程は、吸水性樹脂粉末と上記表面架橋剤とを混合する工程である。該表面架橋剤の混合方法については、特に限定されないが、予め表面架橋剤溶液を作成しておき、該液を吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは噴霧又は滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。該混合を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは高速撹拌型混合機、より好ましくは高速撹拌型連続混合機が挙げられる。
【0097】
(加熱処理工程)
本工程は、上記混合工程から排出された混合物に熱を加えて、吸水性樹脂粉末の表面上で架橋反応を起こさせる工程である。該架橋反応を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくはパドルドライヤーが挙げられる。該架橋反応での反応温度は、使用される表面架橋剤の種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは50~300℃、より好ましくは100~200℃である。
【0098】
(冷却工程)
本工程は、上記加熱処理工程後に必要に応じて設置される任意の工程である。該冷却を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは加熱処理工程で使用される装置と同一仕様の装置であり、より好ましくはパドルドライヤーである。熱媒を冷媒に変更することにより、冷却装置として使用できるためである。なお、上記加熱処理工程で得られた吸水性樹脂粒子は、該冷却工程において、好ましくは40~80℃、より好ましくは50~70℃に、必要に応じて強制冷却される。
【0099】
可溶化された水溶性ポリマーを添加する方法としては、水溶液として添加する方法、一旦乾燥させた後に粉体として添加する方法、部分的に未溶解物が残った水分散液(スラリー)添加する方法、が挙げられる。
【0100】
可溶化された水溶性ポリマーを「単量体水溶液の調製工程」で添加する場合、単量体水溶液に可溶化された水溶性ポリマー(もしくはその水溶液、水分散液)を混合しても良いし、あらかじめ可溶化された水溶性ポリマー(もしくはその水溶液、水分散液)を水に混合した後に単量体(もしくはその水溶液)を混合しても良い。原料の均一混合性の観点から、単量体水溶液に可溶化された水溶性ポリマー(もしくはその水溶液、水分散液)を混合することが好ましい。可溶化ポリマーおよび/または可溶化ポリマーを水溶液として添加する場合、加熱し50℃以上にしてから添加してもよい。
【0101】
可溶化された水溶性ポリマーを「重合工程」で添加する場合、可溶化された水溶性ポリマー(もしくはその水溶液、水分散液)を重合開始前に添加しても良いし、重合開始後に添加しても良い。重合体成分の均一性の観点から、重合開始前に可溶化された水溶性ポリマー(もしくはその水溶液、水分散液)を添加することが好ましい。
【0102】
可溶化された水溶性ポリマーを「ゲル粉砕工程」で添加する場合、可溶化された水溶性ポリマー(もしくはその水溶液、水分散液)を粉砕前に添加しても良いし、粉砕途中に添加しても良い。さらに分割投入しても良い。ゲル成分の均一性の観点から、ゲル粉砕前に可溶化された水溶性ポリマー(もしくはその水溶液、水分散液)を添加することが好ましい。
【0103】
可溶化された水溶性ポリマーを「乾燥工程」で添加する場合、乾燥前に含水ゲルと可溶化された水溶性ポリマー(もしくはその水溶液、水分散液)を混合しても良い。
【0104】
可溶化された水溶性ポリマーを「表面架橋工程」で添加する場合、事前に乾燥させた吸水性樹脂と可溶化された水溶性ポリマー(もしくはその水溶液、水分散液)とを混合しても良い。表面処理液と吸水性樹脂との均一混合性の観点から、粉体状の可溶化された水溶性ポリマーを用いて全てを粉体状で取り扱うことが好ましい。
【0105】
可溶化された水溶性ポリマーが全ての吸水性樹脂原料に占める割合は1~60重量%であり、好ましくは1~50重量%、より好ましくは1~40重量%、さらに好ましくは1~30重量%である。言い換えると、可溶化ポリマーを原料として、全ての吸水性樹脂原料全体に対し1~60質量%使用することが好ましく、より好ましくは1~50重量%、より好ましくは1~40重量%、さらに好ましくは1~30重量%使用する。
上記全ての添加の方法において、可溶化された水溶性ポリマーの少なくとも一部を架橋し、架橋ポリマーとして使用することも可能である。
【0106】
本発明の一実施形態における吸水性樹脂の製造方法によれば、添加される可溶化された水溶性ポリマーによる吸水性能の低下および着色の少ない吸水性樹脂を製造することができる。
【0107】
(2-6)前記の可溶化ポリマーを原料の一部として製造された吸水性樹脂の着色性(黄色度/YI値)
前記の吸水性樹脂のYI値としては、好ましくは20以下であり、より好ましくは18以下であり、さらに好ましくは16以下である。なおYI値の測定方法について、後述で説明する。
【0108】
(2-7)前記の可溶化ポリマーを原料の一部として製造された吸水性樹脂の吸水物性
前記の吸水性樹脂の吸水物性として、CRCが25g/g以上、27g/g以上、30g/g以上であってよく、AAP(0.3psi)が10g/g以上、15g/g以上、20g/g以上、22g/g以上、24g/g以上、25g/g以上であってよい。なお、前記のCRCとAAPの測定方法について、後述で説明する。
【0109】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0110】
以下に示す実施例および比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれることとする。
(a)分解性の評価
吸水性樹脂の「分解性の評価」は、吸水性樹脂に、水、分解剤を混合し、撹拌を開始した時点を分解開始とし、そこから1時間もしくは2時間所定温度で分解処理を継続した後、混合物中に吸水性樹脂の溶け残りがないかを目視で確認して評価した。
【0111】
「分解性」は以下の判断基準で評価を行った。
<分解性判断基準>
◎ 1時間経過後に、吸水性樹脂の溶け残りなし
〇 1時間経過後は溶け残りがあるが、2時間経過後には溶け残りなし
△ 2時間経過後に溶け残りあり(溶解分は全体積の1/2以上)
× 2時間経過後に溶け残りが多量にあり(溶解分は全体積の1/2未満)
【0112】
(b)可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度
可溶化ポリマー水溶液Wa(g)を、重量Wb(g)のアルミニウム皿に載せ、180℃の熱風循環オーブン中で3時間乾燥させた後に、可溶化ポリマーとアルミニウム皿の合計重量Wc(g)を測定した。下式(1)に従って、可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度を算出した。
可溶化ポリマ-水溶液の固形分濃度(重量%)
={重量Wc(g)-重量Wb(g)}/Wa(g)×100 ・・・ 式(1)
【0113】
(c)可溶化ポリマー水溶液の着色度評価(黄色度/YI値)
本発明において吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマー水溶液の着色度評価は、日本電色工業株式会社製の分光式色差計Spectrophotometer SE7700を用いて行った。測定の設定条件は、透過測定が選択され、付属の角セル(光路10mm)が用いられ、標準公正には工業用純水が用いられた。角セルに約16gの可溶化ポリマー水溶液を充填し透過試料室の試料ホルダーに設置した。室温(20~25℃)及び湿度50RH%の条件下で、上記分光式色差計にてYI値(Yellow Index)を測定した。
【0114】
(d)可溶化ポリマーの分子量
本発明において吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマーの分子量は、以下の手順に従って測定した。
(測定試料の調製)
可溶化ポリマーのサンプルを下記溶媒に溶解させ、濃度0.1重量%の溶液とした。その後、得られた溶液をフィルター(ジーエルサイエンス社製:GLクロマトディスク、水系25A、孔径0.2μm)に通過させて測定試料とした。
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM・アジ化ナトリウム400ppmを含む水溶液(pH6.35~6.38)。この測定試料を用いて以下の測定条件でGPC測定を行った。
(GPC測定の測定条件)
マルバーン社製のビスコテックTDAmaxを用いて上記測定試料のGPC測定を行った。測定装置には、サイズ排除クロマトグラフィー、屈折率検出器、光散乱検出器およびキャピラリー粘度計を搭載した。測定装置および測定条件は、以下の通りとした。
ポンプ・オートサンプラー:ビスコテックGPCmax(マルバーン社製)
ガードカラム:OHpak SB-G(昭和電工株式会社製)
カラム:OHpak SB-806MHQ(昭和電工株式会社製)を直列に2本繋いで使用
検出器:ビスコテックTDAmax(マルバーン社製)
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM・アジ化ナトリウム400ppmを含む水溶液(pH6.35~6.38)
流速:0.5mL/分
注入量:100μL。
【0115】
GPC測定で使用する水として、十分に不純物を取り除いた純水を使用した。また、GPC測定は、十分な量の溶媒を測定装置に流し、検出値のベースラインが安定した状態、特に、光散乱検出器でのノイズピークが無い状態で行った。
【0116】
測定装置の校正は、ポリオキシエチレングリコール〔重量平均分子量(Mw):21966、分子量分布(Mw/Mn):1.0、示差屈折率(dn/dc):0.132、溶媒屈折率:1.33〕を標準サンプルとして用いた。そして、測定対象である可溶化ポリマーの示差屈折率(dn/dc)を0.12、溶媒屈折率を1.33として測定を行った。屈折率、光散乱強度、および粘度のデータ収集および解析は、Viscotek OmniSEC4.7.0(登録商標)ソフトウェアで行った。
【0117】
測定後、屈折率(RI)および光散乱強度(角度:7°)(LALS)、並びに粘度計(DP)から得られたデータを用いて、可溶化ポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
【0118】
(e)残存過酸化水素量
本発明において吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマー水溶液中に残存する過酸化水素量は、以下の手順に従い、残存する過酸化水素を呈色試薬である硫酸チタンで着色し、その吸光度を測定することで算出した。具体的には、可溶化ポリマー水溶液0.50g、工業用純水8.5g、10重量%塩化カルシウム水溶液1.0gを添加・混合して可溶化ポリマーを沈殿させ、0.2μmクロマトディスクでろ過した。ろ液に1mol/L硫酸(2N)を0.30g添加・混合後、30重量%硫酸チタン(IV)0.10gで呈色した。吸光度の測定はレシオビーム分光光度計U-5100(日立ハイテク社製)を使用し、付属の10mm角形セルが用いられ、標準には工業用純水が用いられた。上記分光光度計で波長410nmの吸光度を測定した。一方、過酸化水素濃度が既知の検量線用試料について、同様に硫酸チタン(IV)と反応させて過酸化水素量-吸光度の検量線を作成し、その検量線から「可溶化ポリマー水溶液中の残存過酸化水素量」を算出した。
【0119】
(f)CRC
本発明の吸水性樹脂の「CRC」はCentrifuge Retention Capacityの略称であり、吸水性樹脂の0.90重量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率を示す。吸水性樹脂0.200gを不織布製(南国パルプ工業株式会社製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP-22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした後、室温で大過剰(通常500ml程度)の0.90重量%塩化ナトリウム水溶液中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H-122)を用いてedana ABSORBENCY II 441.1-99に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の重量W1(g)を測定した。また、吸水性樹脂を用いずに前記と同様の操作を行い、その時の重量W0(g)を測定した。そして、これらW1、W0から、下式(5)に従って遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)を算出した。
CRC(g/g)=(W1(g)-W0(g))/(吸水性樹脂の重量(g)-1)
・・・式(5)
【0120】
(g)AAP0.3
本発明の吸水性樹脂の「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、0.90重量%食塩水に対する加圧下吸水倍率を示す。AAP0.3は、加圧下条件を0.7psiから0.3psiに変更した以外はNWSP 242.0.R2(15)に準拠して測定した。具体的には、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を用い、吸水剤組成物0.9gを1時間、2.07kPa(21g/cm2、0.3psi)の加圧下で膨潤させた後、AAP(加圧下吸収倍率)(単位:g/g)を測定した。
【0121】
(h)吸水性樹脂の着色評価(黄色度/YI値)
本発明の吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマーを原料の一部として製造された吸水性樹脂の着色評価は、日本電色工業株式会社製の分光式色差計Spectrophotometer SE7700を用いて行った。測定の設定条件は、反射測定が選択され、測定径はLAV(28mm)が選択され、付属の35Φ×15H丸セル、35Φ×15H用セルケースが用いられ、標準として付属の紛体用標準白板が用いられた。室温(20~25℃)及び湿度50RH%の条件下で、上記分光式色差計にてYI値(Yellow Index)を測定した。
【0122】
<模擬使用済み吸水性樹脂(1)の製造方法>
[製造例1]
アクリル酸ナトリウム(中和率71モル%)の38重量%水溶液550部に、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.44部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。
【0123】
次いで、開閉可能な蓋付きのシグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム0.24部およびL-アスコルビン酸0.012部を添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、20~95℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体を、150℃で100分間熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥物を粉砕し、さらに目開き850μmの篩を通過し106μmの篩上に残る、平均粒径が400μmの不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(1)を得た。得られた吸水性樹脂前駆体(1)200重量部に生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)を1800重量部加え、室温で8時間以上放置して模擬使用済み吸水性樹脂(1)を作成した。
【0124】
<可溶化ポリマーの製造方法>
[実施例1]
1L容器に、模擬使用済み吸水性樹脂(1)500.0g、pH調整剤として15重量%炭酸ナトリウム水溶液74.7gを加え、スパチュラで良く混合した。次に、分解剤として30重量%過酸化水素水溶液3.33gを加え、さらにスパチュラで良く混合した。混合物にpH試験紙を付着させ、混合物のpHが8.0~8.5であることを確認した。続いて、開閉可能な蓋付きのシグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダー(小池鉄工製、DS-150V)に前記混合物を添加し、40rpmで撹拌しながら内温が80±2℃となるように調整しながら分解反応を開始した。撹拌開始1時間後に、蓋を開けスパチュラを使って混合物の分解状況を確認したところ、ゲル状物は認められず、ほぼすべての模擬使用済み吸水性樹脂(1)が可溶化されていることを確認し、可溶化ポリマー(1)を得た。双腕型ニーダーを分解装置として用いることで、参考例1の静置状態での分解に比べて分解時間が大幅に短縮できることがわかった。
【0125】
可溶化ポリマー(1)水溶液のpHをpH測定器(pHメーター 堀場製作所製 LAQUA act D-71)で測定したところ、8.15であった。また、可溶化ポリマー(1)水溶液の固形分濃度は8.85重量%、YIは3.41、重量平均分子量Mwは38.6万であった。続いて、可溶化ポリマー(1)水溶液中に残存する過酸化水素をなくすため、15重量%炭酸ナトリウム水溶液40.4gを加え、25℃を保持したままスターラーで3時間撹拌を行った。
【0126】
[参考例1]
反応容器に、模擬使用済み吸水性樹脂(1)200.0g、pH調整剤として15重量%炭酸ナトリウム水溶液30.0gを加え、スパチュラで良く混合した。次に、分解剤として30重量%過酸化水素水溶液1.33gを加え、さらにスパチュラで良く混合した。混合物にpH試験紙を付着させ、混合物のpHが8.0~8.5であることを確認した。続いて混合物の入った反応容器を80℃の恒温槽に浸漬し、反応容器を静置した状態で分解反応を開始した。浸漬1時間後に、スパチュラを使って混合物の分解状況を確認したところ、一部可溶化しているものの、分解していないゲル状物が残っていた。さらに1時間浸漬を続けた後(合計2時間)、混合物の分解状況を確認したところ、ゲル状物は確認されず、ほぼすべての模擬使用済み吸水性樹脂(1)が可溶化されていることを確認し、可溶化ポリマー(S1)を得た。可溶化ポリマー(S1)水溶液のpHをpH測定器(pHメーター 堀場社製 LAQUA act D-71)で測定したところ、8.11であった。また、可溶化ポリマー(S1)水溶液の固形分濃度は8.14重量%、YIは3.93、重量平均分子量Mwは50.1万であった。続いて、可溶化ポリマー(S1)水溶液中に残存する過酸化水素をなくすため、15重量%炭酸ナトリウム水溶液16.2gを加え、25℃を保持したまま、スターラーで3時間撹拌を行った。水溶液中の残存過酸化水素量を測定したところ41ppmであり、ほぼ過酸化水素がなくなっていることを確認した。
【0127】
<可溶化ポリマーを原料として用いる吸水性樹脂の製造方法>
[実施例2]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水38.1g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.36g、可溶化ポリマー(1)水溶液(固形分濃度8.85重量%)139.1gを加えて攪拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5重量%)75.33gを攪拌しながら反応液の温度が30℃を超えないよう少量ずつ加え、その後、30分間反応液の窒素ガス置換をおこなった。続いて、反応液を攪拌しながら前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体(2)を取り出した。得られた含水ゲル重合体(2)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥物を粉砕し、さらに目開き850μmの篩を通過し150μmの篩上に残る、平均粒径350μmの不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(2)を得た。得られた吸水性樹脂前駆体(2)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030重量部、プロピレングリコール1.0重量部及び脱イオン水3.0重量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、水1重量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01重量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩を通過させ、ハイドロタルサイト(製品名:DHT-6、協和化学工業株式会社製、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O[一般式(1)のx=0.25、m=0.50]、体積平均粒子径0.5μm)0.3重量部を均一に混合し、吸水性樹脂(2)を得た。吸水性樹脂(2)のCRCは47.1(g/g)、AUL0.3は26.3(g/g)、YIは14.31であった。
【0128】
[参考例2]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水26.0g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.36g、可溶化ポリマー(S1)水溶液(固形分濃度8.14重量%)151.2gを加えて攪拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5重量%)75.33gを攪拌しながら反応液の温度が30℃を超えないよう少量ずつ加え、その後、30分間反応液の窒素ガス置換をおこなった。続いて、反応液を攪拌しながら前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体(S2)を取り出した。得られた含水ゲル重合体(S2)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥物を粉砕し、さらに目開き850μmの篩を通過し150μmの篩上に残る、平均粒径350μmの不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(S2)を得た。
【0129】
得られた吸水性樹脂前駆体(S2)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030重量部、プロピレングリコール1.0重量部及び脱イオン水3.0重量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、水1重量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01重量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩を通過させ、ハイドロタルサイト(製品名:DHT-6、協和化学工業株式会社製、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O[一般式(1)のx=0.25、m=0.50]、体積平均粒子径0.5μm)0.3重量部を均一に混合し、吸水性樹脂(S2)を得た。吸水性樹脂(S2)のCRCは47.5(g/g)、AUL0.3は26.5(g/g)、YIは14.76であった。
【0130】
[実施例3]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水38.1g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.79g、可溶化ポリマー(1)水溶液(固形分濃度8.85重量%)139.1gを加えて攪拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5重量%)75.33gを攪拌しながら反応液の温度が30℃を超えないよう少量ずつ加え、その後、30分間反応液の窒素ガス置換をおこなった。続いて、反応液を攪拌しながら前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体(3)を取り出した。得られた含水ゲル重合体(3)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥物を粉砕し、さらに目開き850μmの篩を通過し150μmの篩上に残る、平均粒径350μmの不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(3)を得た。
【0131】
得られた吸水性樹脂前駆体(3)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部、エチレンカーボネート0.40重量部、プロピレングリコール0.60重量部及び脱イオン水3.0重量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、190℃で30分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、水1重量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01重量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩を通過させ、二酸化ケイ素(商品名:アエロジル200、日本アエロジル製)0.3重量部を均一に添加し吸水性樹脂(3)を得た。吸水性樹脂(3)のCRCは34.8(g/g)、AUL0.3は29.2(g/g)、YIは14.88であった。
【0132】
[参考例3]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水26.0g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.79g、可溶化ポリマー(S1)水溶液(固形分濃度8.14重量%)151.2gを加えて攪拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5重量%)75.33gを攪拌しながら反応液の温度が30℃を超えないよう少量ずつ加え、その後、30分間反応液の窒素ガス置換をおこなった。続いて、反応液を攪拌しながら前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体(S3)を取り出した。得られた含水ゲル重合体(S3)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥物を粉砕し、さらに目開き850μmの篩を通過し150μmの篩上に残る、平均粒径350μmの不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(S3)を得た。
【0133】
得られた吸水性樹脂前駆体(S3)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部、エチレンカーボネート0.40重量部、プロピレングリコール0.60重量部及び脱イオン水3.0重量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、190℃で30分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、水1重量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01重量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩を通過させ、二酸化ケイ素(商品名:アエロジル200、日本アエロジル製)0.3重量部を均一に添加し吸水性樹脂(S3)を得た。吸水性樹脂(S3)のCRCは35.1(g/g)、AUL0.3は29.1(g/g)、YIは15.21であった。
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
1)EGDG:エチレングリコールジグリシジルエーテル
2)PG:プロピレングリコール
3)EC:エチレンカーボネート
吸水性樹脂を分解、可溶化させる技術において、少量の分解剤の使用でも短時間で吸水性樹脂を分解させることができる可溶化ポリマーの製造方法、およびその可溶化ポリマーを原料の一部として用いて製造した際に着色の少ない吸水性樹脂の製造方法に関する技術である。