(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068070
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】振動解析装置、振動解析システム及び振動解析方法
(51)【国際特許分類】
G01M 7/06 20060101AFI20240510BHJP
G01M 7/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01M7/06
G01M7/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063004
(22)【出願日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2022177724
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉武 裕
(72)【発明者】
【氏名】永井 弘人
(72)【発明者】
【氏名】上野 陽平
(72)【発明者】
【氏名】古川 隼人
(57)【要約】
【課題】装置の簡略化を図りつつ、消費電力も低下させることが可能な振動解析装置、振動解析システム及び振動解析方法を提供する。
【解決手段】実施形態の振動解析装置は、円板、円環、円筒等の中心軸に垂直な平面への正射影の外縁の形状が円形状を有する振動解析対象物の円周方向の第1加振位置において、所定の振動数かつ第1位相で加振する第1加振装置と、前記振動解析対象物の円周方向の第2加振位置において、所定の振動数かつ前記第1位相に対して、前記第1加振位置と前記第2加振位置との周方向の間隔に対応する所定の位相差を有する第2位相で加振する第2加振装置と、前記第1加振装置及び第2加振装置による加振下で前記振動解析対象物の振動を検出して前記振動解析対象物の振動解析を行う振動解析部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板、円環、円筒等の中心軸に垂直な平面への正射影の外縁の形状が円形状を有する振動解析対象物の円周方向の第1加振位置において、所定の振動数かつ第1位相で加振する第1加振装置と、
前記振動解析対象物の円周方向の第2加振位置において、所定の振動数かつ前記第1位相に対して、前記第1加振位置と前記第2加振位置との周方向の間隔に対応する所定の位相差を有する第2位相で加振する第2加振装置と、
前記第1加振装置及び第2加振装置による加振下で前記振動解析対象物の振動を検出して前記振動解析対象物の振動解析を行う振動解析部と、
を備えた振動解析装置。
【請求項2】
前記第1加振装置の加振方向と、前記第2加振装置の加振方向とは、前記中心軸と直交するとともに、前記中心軸で交差する、
請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項3】
前記第1加振装置の加振方向と、前記第2加振装置の加振方向とは、前記中心軸と平行である、
請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項4】
前記第1加振位置及び前記第2加振位置は、前記振動解析対象物の解析対象の振動モードに応じて前記周方向の間隔が予め定められている、
請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項5】
前記周方向の間隔は、前記振動モードに対応する複数の間隔のうち、もっとも小さいものに設定されている、
請求項4に記載の振動解析装置。
【請求項6】
前記所定の位相差は、π/2あるいは-π/2の何れかである、
請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項7】
前記円周方向に沿って所定の測定対象モードにおける振動の腹と節の間隔で第1検出位置及び第2検出位置を配置し、
前記振動解析部は、前記第1検出位置における前記振動解析対象物の振動及び前記第2検出位置における前記振動解析対象物の振動を検出して前記振動解析対象物の振動解析を行う、
請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項8】
前記第1検出位置及び前記第2検出位置の振動を検出する検出装置を備え、
前記振動解析部は、前記第1検出位置で検出した振動解析対象物の振動に対応する第1振動検出信号及び前記第2検出位置で検出した振動解析対象物の振動に対応する第2振動検出信号に基づいて、振動解析対象物の振動解析を行う、
請求項7に記載の振動解析装置。
【請求項9】
前記検出装置は、前記第1検出位置で前記振動解析対象物の振動を検出し、第1振動検出信号を出力する第1動検出器と、
前記第2検出位置で前記振動解析対象物の振動を検出し、第2振動検出信号を出力する第2振動検器と、を備え、
前記振動解析部は、前記第1振動検出信号及び前記第2振動検出信号に基づいて、前記振動解析を行う、
請求項8に記載の振動解析装置。
【請求項10】
前記第1加振位置及び前記第2加振位置の前記周方向の間隔は、前記振動解析対象物の解析対象の振動モードに対応する所定の設定不能間隔を除く任意の間隔とされている、
請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項11】
前記設定不能間隔は、理論的に解が得られない前記第1加振位置及び前記第2加振位置の前記周方向の間隔である、
請求項10に記載の振動解析装置。
【請求項12】
前記振動解析部は、静止させたと仮定した場合に、加振力の加振位置が相対的に円板、円環、円筒等の中心軸に垂直な平面への正射影の外縁の形状が円形状を有する回転体の前記中心軸を中心として回転する前記振動解析対象物の振動解析を行う、
請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項13】
円板、円環、円筒等の中心軸に垂直な平面への正射影の外縁の形状が円形状を有する振動解析対象物の円周方向の第1加振位置において、所定の振動数かつ第1位相で加振する第1加振装置と、振動解析対象物の円周方向の第2加振位置において、所定の振動数かつ前記第1位相に対して、前記第1加振位置と前記第2加振位置との周方向の間隔に対応する所定の位相差を有する第2位相で加振する第2加振装置と、前記第1加振装置及び第2加振装置による加振下で前記振動解析対象物の振動を検出して前記振動解析対象物の振動解析を行う振動解析部と、を備えた振動解析装置と、
前記第1加振装置を前記第1加振装置の加振方向が前記振動解析対象物の中心軸と直交するように配置した状態で、前記振動解析対象物の半径に基づいて、前記第2加振装置の配置位置を調整する加振位置調整ユニットと、
前記第2加振装置の配置位置において前記第2加振装置の加振方向が、前記振動解析対象物の中心軸と直交するとともに、前記中心軸で交差するように加振方向を調整する加振方向調整ユニットと、
を備えた振動解析システム。
【請求項14】
円板、円環、円筒等の中心軸に垂直な平面への正射影の外縁の形状が円形状を有する振動解析対象物の円周方向の第1加振位置において、所定の振動数かつ第1位相で加振する第1過程と、
前記第1過程と並行して、振動解析対象物の円周方向の第2加振位置において、所定の振動数かつ前記第1位相に対して、前記第1加振位置と前記第2加振位置との周方向の間隔に対応する所定の位相差を有する第2位相で加振する第2過程と、
前記第1過程及び前記第2過程における加振下で前記振動解析対象物の振動を検出して前記振動解析対象物の振動解析を行う第3過程と、
を備えた振動解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、振動解析装置、振動解析システム及び振動解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータにおいては、ロータ(回転子)の回転に伴う回転分布電磁力によりステータ(固定子)に振動が生じることが知られており、防振及び制振実験を行う場合には、モータとして構成して回転させることが必要となっていた。
同様にタイヤ試験装置においては、タイヤを回転可能に支持し、回転駆動した回転ドラム上で回転させることにより、試験を行うようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、実験対象あるいは試験対象を回転させた状態で実験あるいは試験を行う必要があり、実験装置あるいは試験装置の大型化及び複雑化を招くとともに、実験対象あるいは試験対象を回転させるための電力消費も大きくなるという問題点があった。特に、モータの場合、固定子だけでなく回転子も含めて完成させないと回転実験ができないため、モータの完成後でなければその良否の判定を行うことできず、良否判定の結果が否となった場合、モータを改良したものを再び完成させ、再実験、再判定しなければならない。このようにモータ開発はコストが非常に高いのが現状である。
そこで、試験装置を簡略化し、消費電力も抑えながら、製品開発コストを大幅に低減可能な振動解析装置、振動解析システム及び振動解析方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の振動解析装置は、円板、円環、円筒等の中心軸に垂直な平面への正射影の外縁の形状が円形状を有する振動解析対象物の円周方向の第1加振位置において、所定の振動数かつ第1位相で加振する第1加振装置と、振動解析対象物の円周方向の第2加振位置において、所定の振動数かつ前記第1位相に対して、前記第1加振位置と前記第2加振位置との周方向の間隔に対応する所定の位相差を有する第2位相で加振する第2加振装置と、第1加振装置及び第2加振装置による加振下で振動解析対象物の振動を検出して振動解析対象物の振動解析を行う振動解析部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態の振動解析システムの概要構成ブロック図である。
【
図2】
図2は、振動解析制御装置の機能構成ブロック図である。
【
図3】
図3は、振動解析対象物と加振機の配置例の説明図である。
【
図4】
図4は、円筒型の電動機固定子の正面図である。
【
図5A】
図5Aは、2次モードの場合の加振点の説明図である。
【
図5B】
図5Bは、3次モードの場合の加振点の説明図である。
【
図5C】
図5Cは、4次モードの場合の加振点の説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態の処理フローチャートである。
【
図7】
図7は、測定位置θ=0°及びθ=45°における振動波形の比較表示例の説明図である。
【
図8】
図8は、i=2モードの場合の加振点の開き角と加振力の振幅との関係説明図である。
【
図9】
図9は、i=2モードの場合の加振点の開き角と加振力位相差との関係説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、振動解析システムの構成について説明する。
図1は、実施形態の振動解析システムの概要構成ブロック図である。
本実施形態の振動解析システム10は、円板や円筒の形状を有する振動解析対象物を静止させた状態で、振動解析対象物と加振力の加振位置が相対的に振動解析対象物の中心軸を中心として回転する場合についての振動解析を行っている。
【0008】
この場合において、円板や円筒の形状をもつ物体の実際の製品としては、モータのステータ、タイヤ、鉄道用の車輪などが挙げられる。
【0009】
振動解析システム10は、第1加振機11と、第2加振機12と、第1振動検出センサ13と、第2振動検出センサ14と、加振位置調整ユニット15と、加振方向調整ユニット16と、第1駆動ユニット17と、第2駆動ユニット18と、周波数発振器19と、振動解析制御装置20と、情報出力装置21と、操作入力装置22と、外部記憶装置23と、を備えている。
【0010】
第1加振機11は、振動解析制御装置20の制御下で、振動解析対象物OBJの中心軸に直交する第1方向である第1加振位置において所定の振幅、振動数、及び位相を有する力を与える。第1加振機11は、いわゆる動電型振動発生装置として構成されている。振動解析対象物OBJが鋼の場合、非接触の電磁力による加振装置も考えられる。
【0011】
第2加振機12も、第1加振機11と同様の構成を有し、いわゆる動電型振動発生装置として構成されている。第2加振機12は、振動解析制御装置20の制御下で、振動解析対象物OBJの中心軸に直交するとともに、第1方向と所定角度Δずれた第2方向である第2加振位置において、所定の振幅、振動数、及び位相を有する力を与える。
【0012】
第1振動検出センサ13は、例えば、加速度センサとして構成され、振動を検出して第1振動検出信号を出力する。
第2振動検出センサ14は、例えば、加速度センサとして構成され、振動を検出して第2振動検出信号を出力する。
この場合において、第1検出位置及び第2検出位置は、一つの円周方向に沿って任意の位置に配置できるが、円周方向に沿って所定の測定対象モードにおける振動の腹と節の間隔で配置するのが望ましい。例えば、第1検出位置は第1加振機11の加振位置の近傍とされ、第2検出位置は、第2加振機12の加振位置の近傍とされる。
【0013】
加振位置調整ユニット15は、例えば、XYテーブルとして構成され、振動解析制御装置20の制御下で、第2加振機12の加振位置である第2加振位置を第1加振機11の加振位置である第1加振位置に対して、相対的に調整する。
【0014】
さらに加振位置調整ユニット15は、振動解析対象物OBJの径に応じて振動解析対象物OBJの中心軸に直交する平面に沿った方向(X方向及びY方向)に第2加振機12を移動して、第2加振機12の加振位置を調整する。
例えば、第1加振位置を固定とした場合に、角度Δをなす位置が第2加振位置となるように、第2加振機12の位置を調整する。
【0015】
加振方向調整ユニット16は、例えば、XYテーブルとしての加振位置調整ユニット15に載置された回転テーブルとして構成され、振動解析制御装置20の制御下で、加振位置調整ユニット15による第2加振機12の移動による第2加振機12の加振方向のずれを修正すべく、第2加振機12を振動解析対象物OBJの中心軸に直交する平面に沿って回動させ、加振方向が振動解析対象物OBJの中心軸に直交する方向となるように調整を行う。
【0016】
第1駆動ユニット17は、例えば、アンプを有し、第1駆動制御信号としての所定の周波数を有する信号を増幅して第1駆動信号として出力する。
第2駆動ユニット18は、例えば、アンプを有し、第2駆動制御信号としての所定の周波数を有する信号を増幅して第2駆動信号として出力する。
【0017】
周波数発振器19は、振動解析制御装置20の制御下で、所定の周波数を有する第1駆動制御信号及び第2駆動制御信号を生成して出力する。
この場合において、第1駆動制御信号と第2駆動制御信号とは、同一の周波数であるが、位相が異なっている。詳細については、後に詳述する。
【0018】
図2は、振動解析制御装置の機能構成ブロック図である。
振動解析制御装置20は、加振振動数・位相制御部31と、加振振幅制御部32と、振動検出部33と、振動解析演算部34と、加振位置調整部35と、加振方向調整部36と、制御部37と、を備えている。
加振振動数・位相制御部31は、振動解析対象物OBJの振動モードがi次モード(i:自然数)である場合に、i次モードにおける加振振動数Ωi、および第1駆動制御信号と第2駆動制御信号の位相差Θを設定する。
加振振幅制御部32は、振動解析対象の振動モードがi次モードである場合に、i次モードにおける加振振幅Fiを設定する。
振動検出部33は、第1振動検出センサ13の出力した第1振動検出信号及び第2振動検出センサ14の出力した第2振動検出信号に基づいて、振動解析対象物OBJの第1検出位置における振動波形及び第2検出位置における振動波形を検出する。
振動解析演算部34は、得られた第1検出位置における振動波形及び第2検出位置における振動波形に基づいて、i次モードにおける振動解析対象物OBJの振動を解析する。
加振位置調整部35は、制御部37の制御下で、加振位置調整ユニット15を制御し、第2加振機12を第2加振位置BP2に対応する位置に移動させ、配置する。
【0019】
加振方向調整部36は、第2加振機12の加振方向が振動解析対象物OBJの中心軸に直交する方向となるように、第2加振機12を回動する。
【0020】
制御部37は、振動解析制御装置20のみならず、振動解析システム10全体の制御を行う。
【0021】
ここで、加振位置について詳細に説明する。
図3は、振動解析対象物と加振機の配置例の説明図である。
実施形態においては、制御の容易のため第1加振機11は、所定位置に固定されている。したがって、第1加振位置BP1も固定である。したがって、加振位置の変更は、第2加振位置BP2のみとなっている。
【0022】
このため、振動解析対象物OBJの設置に際しては、振動解析対象物OBJの回転中心軸AXが第1加振機11の棒状の加振軸11Aの中心軸の延在方向DX1と交差するように設置することが必須となる。
【0023】
さらに、第1加振位置BP1を基準角度位置(角度=0°)とした場合、第2加振位置BP2は、解析の対象とするi次振動モードに対応する所定の角度θiに相当する位置となるように第2加振機12を配置する必要がある。
【0024】
そして第2加振機12の加振方向、すなわち、第2加振機12の棒状の加振軸12Aの中心軸の延在方向DX2が振動解析対象物OBJの回転中心軸AXと交差するようにすることが必須となる。
【0025】
これを実現するため、実施形態の加振位置調整部35は、制御部37の制御下で、加振位置調整ユニット15を制御し、第2加振機12を第2加振位置BP2に対応する位置に移動させ、配置する。
【0026】
そして、加振方向調整部36は、第2加振機12の加振方向が振動解析対象物OBJの中心軸AXに直交する方向となるように、第2加振機12を回動する。すなわち、加振位置調整部35により、第2加振機12を第2加振位置BP2に対応する位置に移動させただけでは、必ずしも第2加振機12の加振方向が振動解析対象物OBJの中心軸に直交する方向とはならない。
【0027】
したがって、加振方向調整部36は、加振方向調整ユニット16を制御し、第2加振機12を回動させて、加振方向が振動解析対象物OBJの中心軸AXに直交する方向となるようにする。
【0028】
これらの結果、第2加振機12の棒状の加振軸12Aの中心軸の延在方向DX2が振動解析対象物OBJの回転中心軸AXと交差することとなり、第1加振機11及び第2加振機12が、解析対象の振動モードに対応する所望の位置に配置され、振動解析を行える状態となる。
【0029】
[1]第1実施形態
次に実施形態の具体的な動作説明に先立ち、第1実施形態の原理について説明する。
第1実施形態は、振動検出対象物OBJとして、円筒型の電動機固定子(電動機ステータ)OBJ1である場合の実施形態である。
【0030】
図4は、円筒型の電動機固定子の正面図である。
円筒型の電動機固定子OBJ1の半径方向変位uは式(1)で表される。
【数1】
【0031】
ここで、電動機固定子OBJ1の振動モード(固有モード)についてはM次モードまで考慮し、次のように定義している。
θ:円周方向の座標
i:電動機固定子の円周方向の振動モードを表す整数 (i=1、…、M)
ai:θ=0°に腹をもつcos型のi次モードの変位
bi:θ=180/(2i)°に腹をもつsin型のi次モードの変位
【0032】
この場合において、電動機固定子OBJ1に作用する回転分布電磁力のs次モード(s=1、…、M)は、外力の振幅F
s>0として、式(2)で表される。
【数2】
【0033】
電動機固定子OBJ1のi次モードと回転分布電磁力のs次モードが同じモード形状であり、電動機固定子OBJ1のi次モードが共振やそれに近い振動数で回転分布電磁力のs次モードの影響を受ける可能性がある場合を考えることとし、i=sとする。このとき、i次のcosモードとsinモードの変位に関する運動方程式は、式(3)及び式(4)となる。
【数3】
【0034】
電動機固定子OBJ1の外周上の2点θ01とθ02を同じ振動数Ωi、位相差Θで同時に加振する外力を考える。この外力は、外力の振幅F01>0、F02>0として、式(5)で表される。
【0035】
【数4】
このとき、i次のcosモードとsinモードの変位に関する運動方程式は式(6)及び式(7)で表される。
【0036】
【0037】
式(3)、(4)の右辺の外力項と式(6)、(7)の右辺の外力項がそれぞれ数学的に等しければ、2点加振力と回転分布電磁力が力学的に等しいことになる。2点加振力と回転分布電磁力が力学的に等しくなる条件は式(8)及び式(9)で表される。
【0038】
【数6】
上式の両辺のcosΩ
it、sinΩ
itの係数を比較すれば式(10)~式(13)が得られる。
【0039】
【0040】
ここで、第1加振位置BP1=θ01を円周方向座標の原点に取り0°とおき、第2加振位置BP2=θ02との開き角をΔ(θ02>θ01のとき、Δ>0、θ02<θ01のとき、Δ<0)とおき直せば、式(14)~式(17)が得られる。
【0041】
【0042】
以下、上の4つの式、すなわち、式(14)~式(17)から、未知数Δ、Θ、F01、F02を決定していく。
まず、式(15)が成立するためには、
cos(iΔ)=0あるいはsin Θ=0
となる。
【0043】
同様に式(16)が成立するためには、
sin(iΔ)=0あるいはcos Θ=0
となる。
【0044】
この場合において、sin関数とcos関数が同時に0になることはないことを考えると、以下の組み合わせのとき、式(15)と式(16)が同時に成立する。すなわち、
sin(iΔ)=0、かつ、sin Θ=0
あるいは
cos(iΔ)=0、かつ、cos Θ=0
の組合せの場合である。
【0045】
よって、|Δ|≦π、|Θ|≦π、nを0か正の整数として、以下が考えられる。
iΔ=±nπ かつ Θ=0、π (18)
あるいは、
iΔ=±π/2±2nπ (複合同順)かつ Θ=±π/2 (19)
が2点の外力の間隔Δとそれらの位相差Θの解として考えられる。
【0046】
ここで、式(18)の解については、式(17)の右辺が0になる場合に相当するが、式(17)の左辺が0でないことから、式(17)が成立しないので、式(18)の解は不適となる。
よって、以下においては、式(19)の組み合わせを採用し、さらに式(14)と式(17)を同時に満たす解を求めるものとする。
【0047】
まず、式(14)によれば、式(20)となる。
F01=πFi (20)
【0048】
次に、式(17)については、式(19)から、
sin(iΔ)=±1、sin Θ=±1(複号同順)
であるので、
Fi>0、F02>0
であることを考えると、次式(21)となる。
F02=πFi (21)
【0049】
このとき、式(17)から、
sin(iΔ)・sin Θ=1
となるので、式(19)の組み合わせのうち、以下の組み合わせを採用する。
iΔ=±π/2±2nπ かつ Θ=±π/2(複号同順) (22)
以上、式(20)~式(22)が回転分布電磁力加振と等価な2点加振の条件となる。
【0050】
ところで、2点の外力の設置(加振点の設置)の間隔Δは式(22)に示したようにモードの次数iによって異なるので、それらの値の例としてi=2、3、4の3つのモードの場合について位相差Θと併せて示すと、以下のようになる。
【0051】
[2次モードの場合]
図5Aは、2次モードの場合の加振点の説明図である。
2次モード、すなわち、i=2のモードの場合、式(22)において、パラメータnの取り得る値は、n=0、1の二通りとなり、第2加振位置BP2の候補は、以下の通りとなる。
n=0の場合、第2加振位置BP2と第1加振位置BP1(θ=0°とする)との間隔Δ及び位相差Θの組み合わせは、Δ=±π/4、Θ=±π/2(複号同順)となり、
図5Aにおける角度θ201、θ202の位置に相当している。
【0052】
この場合において、3桁の添え字は、百位が、モード(=i)の値を表し、十位がパラメータnの値を表し、一位が第1加振位置BP1に対する第2加振位置BP2の方向(1:反時計回り方向、2:時計回り方向)を表している。例えば、角度θ201は、2次モード(i=2)、パラメータn=0、第1加振位置BP1に対する第2加振位置BP2の方向が反時計回り方向であることを示している(以下、同様)。
【0053】
n=1の場合、第2加振位置BP2と第1加振位置BP1(θ=0°とする)との間隔Δ及び位相差Θの組み合わせは、Δ=±5π/4、Θ=±π/2(複号同順)となり、
図5Aにおける角度θ211、θ212の位置に相当している。
以上の説明のように2次モードの第2加振位置BP2の候補は、以下の4つがあることがわかる。
(Δ=±π/4、±5π/4、Θ=±π/2)(複号同順)
【0054】
[3次モードの場合]
図5Bは、3次モードの場合の加振点の説明図である。
3次モード、すなわち、i=3のモードの場合、式(22)において、パラメータnの取り得る値は、n=0、1、2の三通りとなり、第2加振位置BP2の候補は、以下の通りとなる。
【0055】
n=0の場合、第2加振位置BP2と第1加振位置BP1(θ=0°とする)との間隔Δ及び位相差Θの組み合わせは、Δ=±π/6、Θ=±π/2(複号同順)となり、
図5Bにおける角度θ301、θ302の位置に相当している。
【0056】
n=1の場合、第2加振位置BP2と第1加振位置BP1(θ=0°とする)との間隔Δ及び位相差Θの組み合わせは、Δ=±5π/6、Θ=±π/2(複号同順)となり、
図5Bにおける角度θ311、θ312の位置に相当している。
【0057】
n=2の場合、第2加振位置BP2と第1加振位置BP1(θ=0°とする)との間隔Δ及び位相差Θの組み合わせは、Δ=±9π/6(=±3π/2)、Θ=±π/2(複号同順)となり、
図5Bにおける角度θ321、θ322の位置に相当している。
以上の説明のように3次モードの第2加振位置BP2の候補は、以下の6つがあることがわかる。
(Δ=±π/6、±5π/6、±9π/6、Θ=±π/2)(複号同順)
【0058】
[4次モードの場合]
図5Cは、4次モードの場合の加振点の説明図である。
4次モード、すなわち、i=4のモードの場合、式(22)において、パラメータnの取り得る値は、n=0、1、2、3の四通りとなり、第2加振位置BP2の候補は、以下の通りとなる。
【0059】
n=0の場合、第2加振位置BP2と第1加振位置BP1(θ=0°とする)との間隔Δ及び位相差Θの組み合わせは、Δ=±π/8、Θ=±π/2(複号同順)となり、
図5Cにおける角度θ401、θ402の位置に相当している。
【0060】
n=1の場合、第2加振位置BP2と第1加振位置BP1(θ=0°とする)との間隔Δ及び位相差Θの組み合わせは、Δ=±5π/8、Θ=±π/2(複号同順)となり、
図5Cにおける角度θ411、θ412の位置に相当している。
【0061】
n=2の場合、第2加振位置BP2と第1加振位置BP1(θ=0°とする)との間隔Δ及び位相差Θの組み合わせは、Δ=±9π/8、Θ=±π/2(複号同順)となり、
図5Cにおける角度θ421、θ422の位置に相当している。
【0062】
n=3の場合、第2加振位置BP2と第1加振位置BP1(θ=0°とする)との間隔Δ及び位相差Θの組み合わせは、Δ=±13π/8、Θ=±π/2(複号同順)となり、
図5Cにおける角度θ431、θ432の位置に相当している。
以上の説明のように4次モードの第2加振位置BP2の候補は、以下の6つがあることがわかる。
(Δ=±π/8、±5π/8、±9π/8、±13π/8、Θ=±π/2)(複号同順)
【0063】
ところで、実際の加振実験においては、第1加振位置BP1を固定したまま、第2加振位置BP2の設置場所を対象となる振動モードiに応じて変えなければならない。
しかしながら、実際の電動機固定子OBJ1の外周には、いくつかの部品が設置されていることを考慮すると、その変化させる外周上の範囲はできるだけ狭いことが望ましい。
【0064】
一例として上記のi=2、3、4の3つの振動モードに対応した第2加振位置BP2をできるだけ第1加振位置BP1に近づけることを考えるものとする。
この場合において、第2加振位置BP2として第1加振位置BP1に近い位置を選ぶとすれば、i=2の振動モードについては、Δ=π/4を選び、i=3の振動モードについては、Δ=π/6を選び、i=4の振動モードについては、Δ=π/8を選べばよい。
【0065】
また、2点目の加振位置として1点目からマイナス方向に90度から135度離れた位置を選ぶとすれば、i=2の振動モードについては、Δ=5π/4を選び、i=3の振動モードについては、Δ=3π/2を選び、i=4の振動モードについては、Δ=-5π/8を選べばよい。
【0066】
このように1つの加振位置(実施形態では、第1加振位置BP1)を固定した状態でもう一方の加振位置(実施形態では、第2加振位置BP2)を変化させる場合、円周方向に45度の空きスペースがあればよいことがわかる。
従って、実際の製品(以上の説明では、電動機)を設計するに際し、電動機固定子OBJ1の外周面の円周方向に45度の空きスペースを設けるようにすれば良いこととなる。
【0067】
次に実施形態の動作を説明する。
図6は、実施形態の処理フローチャートである。
この場合において、振動解析対象物OBJは、第1加振機11に対して所定の位置に配置されているものとし、第2加振機12は、加振方向調整中の回動及び加振位置調整中の移動によりに振動解析対象物OBJに当接することが無いような位置(所定の待避位置)に待避されているものとする。
【0068】
まず、オペレータは、振動解析を行うに先立って設定データの入力を行う(ステップS11)。
【0069】
この場合において、設定データとしては、中空回転体形状の振動解析対象物OBJの半径r(あるいは直径)、振動解析対象とする振動モードiの値あるいは値範囲、第1加振機11の加振位相と第2加振機12の加振位相との差である位相差Θ(π/2あるいは、-π/2のいずれか)であって、振動解析を行いたい位相差Θ、振動モードiに対応する加振振動数Ωの範囲、加振振動の振幅Fなどが挙げられる。
この場合において、加振振動数Ωの範囲は、振動解析対象のi次モードの固有振動数を含み、共振曲線を綺麗に描くと想定される範囲に設定される。
【0070】
次に振動解析制御装置20の制御部37は、設定データに基づいて、第2加振位置BP2を算出する(ステップS12)。
つづいて制御部37は、算出した第2加振位置BP2に基づいて、加振位置調整ユニット15を制御し、第2加振機12を移動する(ステップS13)。
【0071】
制御部37は、算出した第2加振位置BP2に基づいて、加振方向調整ユニット16を制御し、第2加振機12を回動させて加振方向を調整する(ステップS14)。
以上の説明では、加振位置の調整(ステップS13)及び加振方向の調整(ステップS14)は、それぞれ1回ずつであったが、必要に応じて、別個にあるいは組み合わせて繰り返し行うように構成することも可能である。
制御部37は、加振振動数・位相制御部31を介して周波数発振器19を制御し、第1加振機11及び第2加振機12の加振振動数Ω及び第1加振機11の加振振動数Ωと第2加振機12の加振振動数との位相差Θを設定する(ステップS15)。
【0072】
次に制御部37は、第1駆動ユニット17及び第2駆動ユニット18を制御し、第1加振機11及び第2加振機12により2点加振を行う(ステップS16)。
【0073】
ステップS16の動作と並行して、振動解析演算部34は、制御部37の制御下で、第1検出位置に設置された第1振動検出センサ13と第2検出位置に設置された第2振動検出センサ14でそれぞれの検出位置の振動を検出する(ステップS17)。
振動解析演算部34は、ステップS17の振動検出結果に基づいて、振動解析を行い、センサで得られた振動波形と解析結果を収集して制御部37を介して外部記憶装置23に格納する(ステップS18)。
つづいて、制御部37は、ステップS11で設定された全ての加振振動数Ωにおいて、2点加振の処理が完了したか否かを判断する(ステップS19)。
【0074】
ステップS19の判断において、未だステップS11で設定された全ての加振振動数Ωにおいて、2点加振の処理が完了していない場合には(ステップS19;No)、処理をステップS15に移行し、2点加振の処理が完了していない次の加振振動数Ωに更新してステップS15~ステップS18の処理を行う。
【0075】
ステップS19の判断において、ステップS11で設定された全ての加振振動数Ωにおいて、2点加振の処理が完了した場合には(ステップS19;Yes)、振動波形(データ)の外部記憶装置23への記録及び情報出力装置21としてのプリンタへの印字出力あるいは情報出力装置21としての表示装置(ディスプレイ)への表示出力を行って、処理を終了する(ステップS20)。
【0076】
ここで、情報出力装置21としての出力例を説明する。
図7は、測定位置θ=0°及びθ=45°における振動波形の比較表示例の説明図である。
【0077】
図7において、縦軸は、振動加速度(単位m/s
2)、横軸は時間(単位s)を表している。
図7に示すように、位相は異なるが同じ振幅の波形が出力され、振動解析対象物OBJに対応するi次の振動モードの回転電磁力による振動と同様の振動が空間に固定された2点の加振により実現されていることがわかる。一般的にはi次の振動モードの固有振動数付近で加振振動数を変えながら共振曲線を作成して振動解析を完了する。
【0078】
以上の説明のように、第1実施形態によれば、振動解析対象物OBJとして、電動機固定子とした場合に、振動解析装置の簡略化を図ることができるとともに、質量の大きな回転子(ロータ)を製作して、電動機として完成して回転させることなく、電動機固定子のみで回転分布電磁力加振と同等の実験をすることができ、製品開発期間の短縮と消費電力低減によるコストダウンができる。
【0079】
[2]第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
上記第1実施形態は、振動解析対象物OBJとして、円筒型の電動機固定子(電動機ステータ)OBJ1である場合であったが、第2実施形態は、振動解析対象物OBJがタイヤの場合の実施形態である。
振動体であるタイヤと路面(接地面)からの強制力とは、相対的に回転している。すなわち、タイヤから見れば地面からの強制力はタイヤ外周を回転していることになる。
従って、第1実施形態の電動機固定子の場合と同様に、タイヤを静止させ、外周の2点を加振することで、回転するタイヤが路面から受ける力による振動を再現できると考えられる。
以下、第2実施形態の原理について説明する。
Huang
(1)によれば、円筒型の回転するタイヤの半径方向変位uは次式で表される。
この場合において、タイヤも電動機固定子と同様、円筒形状を有しているため、第1実施形態と同様の式(23)が得られる。
【数9】
この場合において、θは回転するタイヤに固定された円周方向座標であり、タイヤの回転方向と同方向を正としている。
また、第1実施形態の電動機固定子と同様に、タイヤの固有モードについてはM次モードまで考慮し、次のように定義している。
i:タイヤの円周方向の振動モードを表す整数 (i=1、……、M)
a
i:θ=0°に腹をもつcos型のi次モードの変位
bi:θ=180/(2i)°に腹をもつsin型のi次モードの変位
【0080】
さて、路面からタイヤに作用する外力は、タイヤの回転の角振動数をωとすれば、時刻0においてタイヤ上のθ=θ0に作用し、t秒後には点θ=θ0-ωtに作用する。
したがって、路面(接地面)からタイヤに作用する外力の角振動数をΩ、振幅をFs>0とすれば、式(24)で表される。
F(θ、t)=-Fscos(Ωt)δ(θ-θ0+ωt) (24)
【0081】
このとき、Huang and Soedel(2)によれば、i次のcosモードとsinモードの変位に関する運動方程式は式(25)、式(26)となる。
【0082】
【0083】
ここで、r、A、ρ、I、Eをそれぞれタイヤの半径、断面積、密度、断面2次モーメント、縦弾性係数とし、また、S
0、S
rot、K
θ、K
γをそれぞれ、タイヤの内圧による張力、タイヤの回転による張力、タイヤのサイドウォールによる周方向と半径方向のばね定数として、以下の式(27)~式(29)が成り立つ。
【数11】
【0084】
次に静止したタイヤの外周上の2点θ01とθ02を同じ振動数Ωk、位相差Θで同時に加振する外力を考える。この外力は、外力の振幅F01>0、F02>0として、式(30)で表される。
F(θ、t)=-F01cosΩktδ(θ-θ01)
-F02cos(Ωkt+Θ)δ(θ-θ02) (30)
【0085】
この場合において、第1実施形態の電動機固定子の場合と異なり、式(30)の右辺に負の符号(-)を付しているのは、振幅F01>0、F02>0と仮定したために、t=0とΩkt+Θ=0において、外力が負の値を採れないからである。
【0086】
このとき、式(25)、式(26)の左辺のタイヤの回転に関する項、すなわち、第2項のコリオリ力と第3項の係数に含まれるタイヤの回転による張力の増加、遠心力による剛性の変化を無視できるとすれば、i次の変位に関するcosモードとsinモードの運動方程式は式(31)及び式(32)となる。
【0087】
【0088】
ここで、
【数13】
であり、Y
i’≒Y
iと仮定している。
【0089】
なお、この近似が成立しなくても、静止時のタイヤの剛性Yi’が回転時の剛性Yiに一致するように補正(例えば、タイヤの内圧を変更してタイヤの回転による張力Srotを補正)して加振実験を行えばよいだけである。
【0090】
式(25)、式(26)の右辺の外力項と式(31)、式(32)の右辺の外力項が数学的に等しければ、静止したタイヤに対する2点加振力と回転するタイヤに作用する路面からの力が力学的に等しいことになる。
【0091】
しかしながら、式(25)、式(26)に作用する外力の振動数はΩ+とΩ-の二つあるので、ここではその一方だけ採用するものとする。すなわち、採用した方の振動数をもつ外力の影響を考えるということである。
【0092】
まず、振動数Ω
+のみ考慮すると(Ω
-の影響を調べるときはΩ
k=Ω
-とおけばよい。つまり、実際の解析では、周波数発振器の振動数を少し変えるだけである)、2点加振と一致する条件は次の式(34)及び式(35)である。以下の流れは第1実施形態の電動機固定子の場合と全く同様である。
【数14】
時刻0において、タイヤのθ=0の位置が接地していると仮定し、θ
0=0とおいて、上式の両辺のcosΩ
+t、sinΩ
+tの係数を比較すれば式(36)~式(39)を得る。
【0093】
【数15】
ここで、加振点θ
01を円周方向座標の原点に取り0とおき、加振点θ
02との開き角をΔ(θ
02>θ
01のとき、Δ>0、θ
02<θ
01のとき、Δ<0)とおき直せば、式(40)~式(43)を得る。
【0094】
【0095】
以下、上記4つの式(40)~式(43)から、第1実施形態と同様に、未知数Δ、Θ、F01、F02を決定していく。
まず、式(41)が成立するためには、
cosiΔ=0あるいはsinΘ=0
同様に式(42)が成立するためには
siniΔ=0あるいはcosΘ=0
となる。
【0096】
sin関数とcos関数が同時に0になることはないことを考えると、以下の組み合わせのとき、式(41)と(42)が同時に成立する。
siniΔ=0 かつ sinΘ=0
あるいは
cosiΔ=0 かつ cosΘ=0
【0097】
よって、|Δ|≦π、|Θ|≦π、nを0か正の整数として、以下が考えられる。
iΔ=±nπ かつ Θ=0、π (44)
あるいは
iΔ=±π/2±2nπ(複号同順) かつ Θ=±π/2 (45)
が2点の外力の間隔Δとそれらの位相差Θの解として考えられる。
【0098】
しかしながら、式(44)の解は式(43)の右辺が0になるので、式(43)が成立せず、式(44)の解は不適である。
よって、以下においては、式(45)の組み合わせを採用し、そのときに式(40)と式43)も同時に満たす解を求める。
【0099】
まず、式(40)から
F01=Fs/2 (46)
を得る。
【0100】
次に、式(43)については、式(45)からsin iΔ=±1、sinΘ=±1であり、Fi>0、F02>0であることを考えると、式(47)を得る。
F02=Fs/2 (47)
【0101】
このとき、式(43)から
sin iΔsinΘ=1
が得られるので、式(45)の組み合わせのうち、以下の組み合わせを採用することになる。
iΔ=±π/2±2nπ かつ Θ=±π/2(複号同順) (48)
以上、式(46)~式(48)が回転するタイヤに作用する路面からの力と等価な2点加振の条件である。
【0102】
この場合において、2点の外力の設置の間隔Δは式(48)に示したようにモードの次数iによって異なるが、第1実施形態において、
図5A~
図5Cに示した場合と同じであるので、その詳細な説明を援用するものとする。
【0103】
以上の説明のように、第2実施形態によれば、振動解析対処物OBJをタイヤとした場合であっても、第1実施形態と同様に、振動解析装置の簡略化を図ることができるとともに、質量の大きなタイヤをホイールと一体に回転させることなくタイヤの地面による加振を実験、解析することができ、消費電力を大幅に低下させることができる。さらに、実験の計測において、タイヤが回転していないので、タイヤに設置したセンサと振動解析制御装置が相対的に回転しないため、計測が容易になるという利点もある。
【0104】
以下に、第2実施形態の説明で用いた参考文献について一覧を記載しておく。
[参考文献]
(1) Huang,S.C., The vibration of rolling tires in ground contact, Int. J. Vehicle Design, Vol.13, No.1(1992), pp.78-95.
(2) Huang,S.C., Soedel,W., Response of rotating rings to harmonic and periodic loading and comparison with the inverted problem, Journal of Sound and Vibration, Vol.118, No.2(1987), pp.253-270.
【0105】
[3]第3実施形態
次に第3実施形態について説明する。
上記第1実施形態は、振動解析対象物OBJとして、円筒型の電動機固定子(電動機ステータ)OBJ1である場合であったが、第3実施形態は、振動解析対象物OBJが鉄道用の車輪の場合の実施形態である。
振動体である鉄道用の車輪と、レール(接地面)からの強制力とは、相対的に回転している。
従って、第1実施形態の電動機固定子の場合と同様に、鉄道用の車輪を静止させ、外周の2点を加振することで、回転する鉄道用車輪の振動を再現できると考えられる。
ただし、鉄道用車輪の場合、電動機固定子やタイヤと異なり、主要な振動は面外方向であり、この面外方向の振動による騒音が問題となる。
【0106】
また、本第3実施形態は、車輪と同様に空間に固定した位置で面外方向に外力を受ける回転円板として、磁気ディスク、丸のこ、歯車など多くの機械要素に適用可能である。
以下、第3実施形態の原理について説明する。
綾部ら
(3)、本田ら
(4)によれば、車輪の面外変位wは次式で表される。
【数17】
【0107】
また、θは回転する車輪に固定された円周方向座標であり、車輪の回転方向と同方向を正としている。
また、車輪の固有モードについては、車輪は電動機固定子やタイヤと異なり、リング形状ではなく、円板の形状であるので、円周方向だけでなく、半径方向にもモード形状を有する。
【0108】
よって、まず、円周方向のモードについては、電動機固定子やタイヤと同様にM次モードまで考慮し、次のように定義する。
i:車輪の円周方向の振動モードを表す整数で、車輪の直径方向の節の数を表わす。
(i=0、…、M)
ai:θ=0°に腹をもつcos型の円周方向i次モードの変位(i=1、…、M)
bi:θ=180/(2i)°に腹をもつsin型の円周方向i次モードの変位
(i=1、…、M)
【0109】
一方、半径方向のモードは、/w
ij(γ)で表し、jは円状の節(節円)の数を表わす(j=0、…、N)。
レールから車輪に作用する面外方向の外力は、車輪の回転の角振動数をωとすれば、時刻0において車輪上のθ=θ
0点に作用し、t秒後には点θ=θ
0-ωtに作用するので、レールから車輪に作用する外力の角振動数をΩ、振幅をF
s>0とすれば、次式で表される。
F(r、θ、t)=-Fscos(Ωt)δ(r-R)δ(θ-θ
0+ωt)
…(50)
このとき、綾部ら
(3)、本田ら
(4)によれば、車輪に作用する遠心力やコリオリ力は小さいので省略できるので、(i、j)モードに関する運動方程式は次式となる。
【数18】
【0110】
ここに、Rとρはそれぞれ車輪の半径と密度であり、ωijとlijはそれぞれ(i、j)モードの固有角振動数とモード形状に関する定数である。また、
Ω+=Ω+iω、Ω-=Ω-iω
である。
【0111】
次に静止した車輪の外周上の2点θ=θ
01とθ=θ
02を同じ振動数Ω
k、位相差Θで同時に加振する外力を考える。この外力は、外力の振幅F
01>0、F
02>0として、次式で表される。
【数19】
この場合において、第1実施形態の電動機固定子の場合と異なり、式(5)の右辺に負の符号-を付けている。F
01>0、F
02>0と仮定したために、t=0とΩ
kt+Θ=0において、外力が負の値を採れないからである。
このとき、(i、j)モードの運動方程式は式(54)及び式(55)となる。
【数20】
【0112】
式(51)及び式(52)の右辺の外力項と式(54)及び式(55)の右辺の外力項がそれぞれ数学的に等しければ、静止した車輪に作用する2点加振力と回転する車輪に作用するレールからの力が力学的に等しいことになる。
しかしながら、式(51)及び式(52)に作用する外力の振動数はΩ+とΩ-の2つあるので、ここではその一方だけ採用し、採用した方の振動数をもつ外力の影響を考えるものとする。
【0113】
まず、Ω+のみ考慮し、Ωk=Ω+とおくと(Ω-の影響を調べるときはΩk=Ω-とおけばよい。つまり、実際の解析では、周波数発振器の振動数を少し変えるだけである。)、2点加振と一致する条件は、第1実施形態の電動機固定子の場合と同様にして、式(56)及び式(57)である。
【0114】
【0115】
時刻0において、車輪のθ=0の位置が接触していると仮定し、θ0=0とおいて、上式の両辺のcosΩ+t、sinΩ+tの係数を比較すれば式(58)~式(61)を得る。以下、第2実施形態のタイヤの場合と全く同じ式となる。
【0116】
【0117】
ここで、加振点θ
01を円周方向座標の原点に取り0とおき、加振点θ
02との開き角をΔ(θ
02>θ
01のとき、Δ>0、θ
02<θ
01のとき、Δ<0)とおき直せば、式(62)~式(65)を得る。
【数23】
以下、上の4つの式式(62)~式(65)から、第1実施形態と同様に、未知数Δ、Θ、F
01、F
02を決定していく。
まず、式(63)が成立するためには、
cosiΔ=0あるいは sinΘ=0
である。同様に式(64)が成立するためには、
siniΔ=0あるいは cosΘ=0
となる。sin関数とcos関数が同時に0になることはないことを考えると、以下の組み合わせのとき、式(63)と式(64)が同時に成立する。
siniΔ=0 かつ sinΘ=0
あるいは、
cosiΔ=0 かつ cosΘ=0
となる。
【0118】
よって、|Δ|≦π、|Θ|≦π、nを0か正の整数として、以下が考えられる。
iΔ=±nπ かつ Θ=0、π …(66)
あるいは
iΔ=±π/2±2nπ(複号同順) かつΘ=±π/2 (67)
が2点の外力の間隔Δとそれらの位相差Θの解として考えられる。しかしながら、式(66)の解は式(65)の右辺が0になるので、式(65)が成立せず、式(66)の解は不適である。よって、以下は式(67)の組み合わせを採用し、そのときに式(62)と(65)も同時に満たす解を求める。
【0119】
まず、式(62)から式(68)を得る。
F01=Fs/2 …(68)
次に、式(65)については、式(67)から
siniΔ=±1、sinΘ=±1であるから、Fi>0、F02>0であることを考えると、式(69)を得る。
F02=Fs/2 …(69)
【0120】
このとき、式(65)から
sin iΔ・sinΘ=1
を得るので、式(67)の組み合わせのうち、以下の組み合わせを採用することになる。
iΔ=±π/2±2nπ かつ Θ=±π/2 (複号同順) …(70)
以上、式(68)~式(70)が回転する車輪に作用するレールからの力と等価な2点加振の条件である。
【0121】
この場合において、2点の外力の設置の間隔Δは式(70)に示したようにモードの次数iによって異なるが、第1実施形態において、
図5A~
図5Cに示した場合と同じであるので、その詳細な説明を援用するものとする。
【0122】
以上の説明のように、第3実施形態によれば、振動解析対処物OBJを鉄道用の車輪とした場合であっても、第1実施形態と同様に、振動解析装置の簡略化を図ることができるとともに、質量の大きな鉄道用車輪を回転させることなく車輪のレールによる加振実験を行い、解析することができ、振動解析装置の消費電力を大幅に低下させることができる。さらに、実験の計測において、車輪が回転していないので、車輪に設置したセンサと振動解析制御装置が相対的に回転しないため、計測が容易になるという利点もある。
【0123】
以下に、第3実施形態の説明で用いた参考文献について一覧を記載しておく。
[参考文献]
(3) 綾部隆、末岡淳男、田村英之、鉄道車両の車輪とレールの連成振動、日本機械学会論文集(C編)、Vol.51、 No.465(1985)、 pp.1078-1083.
(4) 本田善久、松久寛、佐藤進、空間で固定された点で集中調和外力を受ける回転円板の定常応答、日本機械学会論文集(C編)、Vol.54、 No.507(1988)、 pp.2610-2617.
【0124】
[4]第4実施形態
次に第4実施形態について説明する。
上記各実施形態においては、振動モードに応じて加振位置を所定の位置に限定していたが、本第4実施形態は、2箇所の加振位置を所定の設定不能間隔を除く任意の位置に設定する場合の実施形態である。ここで、設定不能間隔とは、2箇所の加振位置の周方向の間隔であって理論的に解が得られない間隔である。
【0125】
以下、第4実施形態の原理について説明する。
円筒型の電動機固定子の半径方向変位uは次式で表される。
【0126】
【0127】
ここに、固定子の固有モードについてはM次モードまで考慮し、次のように定義している。
i:固定子の円周方向の振動モードを表す整数(i=1,……,M)
ai:0°に腹をもつcos型のi次モードの変位
bi:180/(2i)°に腹をもつsin型のi次モードの変位
固定子に作用する回転分布電磁力のs次モードは、外力の振幅Fs>0として、次式で表される。
【0128】
【0129】
固定子のi次モードと回転分布電磁力のs次モードが同じモード形状であり,固定子のi次モードが共振やそれに近い形で回転分布電磁力のs次モードの影響を受ける可能性がある場合を考えることとし、i=sとする。このとき、i次のcosモードとsinモードの変位に関する運動方程式は次式(73)、(74)となる。
【0130】
【0131】
固定子の外周上の2点θ01とθ02を同じ振動数Ωi、位相差Θ1、Θ2でそれぞれを加振する外力を考える。
【0132】
【0133】
このとき、i次の変位に関するcosモードとsinモードの変位に関する運動方程式は次式となる。
【数28】
【0134】
【0135】
式(73)、(74)の右辺の外力項項と式(76)、(77)の右辺の外力項が数学的に等しければ,2点加振力と回転分布電磁力が力学的に等しいことになる。その条件は式(78)、(79)である。
【0136】
【0137】
そして、上記式(78)、(70)の両辺のcosΩit、sinΩitの係数を比較することで、次式(80)~(83)を得ることができる。
【0138】
【0139】
ここで、加振点θ01を円周方向座標の原点に取ってθ01=0とおき,加振点θ02との開き角を開き角Δとおき直すものとする。このとき、θ02>θ01のとき,Δ>0であり、θ02<θ01のとき,Δ<0である。
この結果、次式(84)~(87)が得られる。
【0140】
【0141】
以下においては、上記4つの式(84)~(87)に基づいて、未知数である開き角Δ、位相差Θ
1、位相差Θ
2振幅F
01、振幅F
02を決定する。
この場合において、式(86)が成立するためには、
siniΔ=0 または cosΘ
2=0
となる必要がある。
しかし、siniΔ=0の場合には、式(87)が成立しないので、
siniΔ≠0かつcosΘ
2=0
とならなければならない。
すなわち、以下の通りとなる必要がある。
iΔ≠kπ、Θ2=±π/2
ここで、kは、任意の整数である。
そして、式(84)にcosΘ
2=0を代入すると、
【数33】
となる。
【0142】
【0143】
さらに式(88)、式(89)を式(85)に代入すると、式(90)が得られる。
【数35】
【0144】
加法定理より、式(90)は、次式(91)、(92)で表すことができる。
【数36】
【0145】
さらに、式(91)を満たすためには、式(91)の分子=0または分母=±∞であるので、式(92)となる必要がある。
【数37】
【0146】
しかし、前者の場合は、式(90)を満たす解が存在しないので、後者のみを満たせばよい。従って、解は、次式(93)で表される。
【数38】
ただし、jは、任意の整数である。
【0147】
以上より,回転分布電磁力加振と等価な2点加振の条件は以下に示す式(94)となり、
iΔ=kπ
を除く、任意の2点間角度で加振を行えることが証明されたこととなる。
【0148】
【数39】
式(94)を整理すると、式(95)が得られ、2点加振力の振幅F
01、F
02の大きさは等しくなる。
【0149】
【数40】
ただし、振幅F
01、F
02の符号は、式(94)に従うものとする。
【0150】
次に第4実施形態の具体例について説明する。
以下においては、一例として、i=2モードと等価な2点加振条件を求める場合について説明する。
表1は、i=2モードの場合の加振点の開き角と加振力との関係を説明する表である。
表1の場合においては、Θ2=π/2とした。
【0151】
【0152】
図8は、i=2モードの場合の加振点の開き角と加振力の振幅との関係説明図である。
また、
図9は、i=2モードの場合の加振点の開き角と加振力位相差との関係説明図である。
図8及び
図9に示すように、iΔ=kπ以外の任意の開き角Δに対して解が存在していることがわかる。
【0153】
この場合において、2点加振力の振幅F01、F02は、Δ=±π/4、±3π/4で最小となり、それらの角度から離れるほど加振力の振幅F01、F02は増加している。
しかしながら、解が存在しない所定の禁止間隔以外の任意の間隔で二つの加振点を設定して振動解析を行えることがわかる。
【0154】
以上の説明のように、第4実施形態によれば、上記各実施形態と比較して二つの加振点の設定可能範囲を大きく拡げることができる。したがって、実際の製品の振動解析を行う場合のように、振動解析対象物OBJに実装のための取付孔、強度確保のための突起などが形成されている場合に、これらの影響を受けて理想的な加振点の設定位置に加振点の設定がしづらい場合であっても、振動解析対象物OBJの形状にしたがって適宜二つの加振点を設定して容易に振動解析を行うことができる。
【0155】
以上の説明のように、各実施形態によれば、円板や円筒の形状を有する振動解析対象物の振動の解析を行う振動解析装置の構成の簡略化を図ることができる。
また、振動解析対象物を回転駆動する必要がなく、2点加振を行うだけであるので、振動解析装置の消費電力を大幅に低下させることができる。さらに実験の計測も容易になる。
【0156】
以上の説明においては、振動解析対象物の形状については詳細に述べなかったが、円板、円環、円筒等の中心軸に垂直な平面への正射影の外縁の形状が円形状を有するものであれば、同様に適用が可能である。
この場合において、振動解析対象物が回転体である場合には、振動解析装置(振動解析部)は、振動解析対象物を静止させたと仮定した場合に、加振力の加振位置が相対的に円板、円環、円筒等の中心軸に垂直な平面への正射影の外縁の形状が円形状を有する回転体の中心軸(=回転軸)を中心として回転する振動解析対象物の振動解析を行うようになっている。
【0157】
以上の説明においては、振動解析対象物の設置方向については、詳細に述べなかったが、実際の設置方向(例えば、縦置き、横置き)に対応させて振動解析装置全体の向きを変更可能な設置方向変更装置を設けるように構成することも可能である。
【0158】
以上の説明においては、振動解析システム10が第1振動検出センサ13及び第2振動検出センサ14を備えている場合について説明したが、これらについては外付けとすることも可能である。
【0159】
本実施形態の振動解析制御装置は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、を備えた通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0160】
本実施形態の振動解析制御装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでUSBメモリ、SSD(Solid State Drive)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0161】
また、本実施形態の振動解析制御装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の振動解析制御装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0162】
また、本実施形態の振動解析制御装置のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0163】
本実施形態の振動解析制御装置で実行されるプログラムは、上述した各部(加振振動数・位相制御部、加振振幅制御部、加振位置調整部、加振方向調整部、振動検出部、振動解析演算部、制御部、…)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、加振振動数・位相制御部、加振振幅制御部、加振位置調整部、加振方向調整部、振動検出部、振動解析演算部、制御部、…が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0164】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0165】
10 振動解析システム
11 第1加振機
11A 加振軸
12 第2加振機
12A 加振軸
13 第1振動検出センサ
14 第2振動検出センサ
15 加振位置調整ユニット
16 加振方向調整ユニット
17 第1駆動ユニット
18 第2駆動ユニット
19 周波数発振器
20 振動解析制御装置
21 情報出力装置
22 操作入力装置
23 外部記憶装置
31 加振振動数・位相制御部
32 加振振幅制御部
33 振動検出部
34 振動解析演算部
35 加振位置調整部
36 加振方向調整部
37 制御部
BP1 第1加振位置
BP2 第2加振位置
AX 中心軸
OBJ 振動解析対象物
i 振動モードの次数