(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068071
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】プラスチックカバーレンズ及びそれを含む車両用ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240510BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240510BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240510BHJP
B60K 35/00 20240101ALI20240510BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 362
G09F9/00 350Z
B60R11/02 C
G02F1/1333
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063570
(22)【出願日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】10-2022-0146255
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョン フン
【テーマコード(参考)】
2H189
3D020
3D344
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA53
2H189AA55
2H189AA64
2H189AA70
2H189HA03
2H189HA13
2H189HA16
2H189LA13
2H189LA15
2H189LA16
2H189LA18
2H189LA20
2H189MA08
3D020BA04
3D020BC03
3D344AA01
3D344AA12
3D344AA19
3D344AA20
3D344AA27
3D344AB01
3D344AD01
5G435AA01
5G435AA06
5G435AA17
5G435BB12
5G435DD11
5G435EE02
5G435EE03
5G435EE04
5G435EE10
5G435EE13
5G435FF05
5G435FF13
5G435GG01
5G435GG43
5G435HH05
5G435KK07
5G435LL17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造費用を節減し、車両用ディスプレイに要求される十分な耐久性と光学性能を提供して、大型化に有利な車両用ディスプレイを提供すること。
【解決手段】レンズ、レンズの前面に配置される前面フィルム及びレンズの後面に配置される後面フィルムを含むプラスチックカバーレンズ;プラスチックカバーレンズの後面に光学接着剤(OCA:Optically Clear Adhesive)を用いて接着される高位相差フィルム(SRF:Super Retardation Film);高位相差フィルムの後面に光学接着剤を用いて接着される液晶ディスプレイモジュール;プラスチックカバーレンズの後方に組み立てられ、液晶ディスプレイモジュールを密着支持して、プラスチックカバーレンズの変形を防止するためのパネルフロント;及びパネルフロントの後方に組み立てられる後方カバーを含む車両用ディスプレイ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ、前記レンズの前面に配置される前面フィルム及び前記レンズの後面に配置される後面フィルムを含むプラスチックカバーレンズ;
前記プラスチックカバーレンズの後面に光学接着剤(OCA:Optically Clear Adhesive)を用いて接着される高位相差フィルム(SRF:Super Retardation Film);
前記高位相差フィルムの後面に光学接着剤を用いて接着される液晶ディスプレイモジュール;
前記プラスチックカバーレンズの後方に組み立てられ、前記液晶ディスプレイモジュールを密着支持して、前記プラスチックカバーレンズの変形を防止するためのパネルフロント;及び
前記パネルフロントの後方に組み立てられる後方カバーを含む、車両用ディスプレイ。
【請求項2】
前記前面フィルムは、
前記プラスチックカバーレンズの前面に真空蒸着により形成されるAR(Anti-Reflection)コーティング層及びAF(Anti-Fingerprint)コーティング層を含む、請求項1に記載の車両用ディスプレイ。
【請求項3】
前記後面フィルムは、
前記レンズの後面において前記液晶ディスプレイモジュールの位置に対応するウィンドウ領域を除いて印刷されるブラックマスキング層を含む、請求項2に記載の車両用ディスプレイ。
【請求項4】
前記プラスチックカバーレンズは、
前記プラスチックカバーレンズの形状に予め成形された前面フィルム及び後面フィルムを含めてインモールドラベリング(IML:Insert Mold Labeling)により形成される、請求項3に記載の車両用ディスプレイ。
【請求項5】
前記プラスチックカバーレンズは、
インモールド成形時、前記前面フィルムを金型の上コアに配置し、前記後面フィルムを前記金型の下コアに配置して加圧し、射出圧縮成形(ICM:Injection-Compression Molding)が同時に行われて射出による残留応力が最小になるように形成される、請求項4に記載の車両用ディスプレイ。
【請求項6】
前記プラスチックカバーレンズは、
運転者方向に配置される第1領域、前記第1領域の反対方向に配置される第2領域、及び前記第1領域と第2領域の間に配置される屈曲部を含む、請求項1に記載の車両用ディスプレイ。
【請求項7】
前記プラスチックカバーレンズは、
前記第1領域の曲率半径よりも前記屈曲部の曲率半径が大きく、前記屈曲部の曲率半径よりも前記第2領域の曲率半径が大きいように第1曲率半径が適用される、請求項6に記載の車両用ディスプレイ。
【請求項8】
前記プラスチックカバーレンズは、
前記プラスチックカバーレンズの横方向には第1曲率半径が適用され、前記プラスチックカバーレンズの縦方向には凹レンズになるように形成される第2曲率半径が適用され、前記プラスチックカバーレンズの角には第3曲率半径が適用されて、3D曲率を有する形態に形成される、請求項7に記載の車両用ディスプレイ。
【請求項9】
前記プラスチックカバーレンズの角は2mmないし3mm半径のラウンドを有して形成される、請求項8に記載の車両用ディスプレイ。
【請求項10】
さらに前記プラスチックカバーレンズの縁部と機械的に結合して前記プラスチックカバーレンズの形状を堅固に維持させるキャリア-ベゼルを含む、請求項1に記載の車両用ディスプレイ。
【請求項11】
さらに前記プラスチックカバーレンズの後面の少なくとも一部に接着して前記プラスチックカバーレンズと前記キャリア-ベゼルを結合する接合テープを含む、請求項10に記載の車両用ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のクラスター(Cluster)及びセンターフェイシア(Center Fascia)に配置され、プラスチックカバーレンズを含む車両用ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の内容は単純にこの実施例に関する背景情報を提供するだけであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
クラスターは車両の走行状態に関連する各種情報を運転者に視覚情報で提供する。車両の速度、エンジン回転数、燃料量、温度計及び各種警告が表示される。またセンターフェイシアに設けられるディスプレイはナビゲーションを含む各種追加便宜情報を運転者に提供する。車両のスマート化に伴ってクラスターが提供する情報の量も増加している。
【0004】
一方、走行中の車両のクラスターには様々な角度から光が流入して運転者の視線に向かって光を反射し、これによりダッシュボード情報を把握することが困難である。一般的にはクラスターを囲んで運転者の方向に突設された遮蔽壁がダッシュボードに流入する光の相当量に減少させる。しかし、従来のアナログ形態のクラスターと比較すると、車両用ディスプレイでは液晶ディスプレイモジュールが広い面積にわたって配置されているので、運転者のダッシュボード識別に邪魔になる迷光(Stray Light)を反射させる確率が高い。
【0005】
高級の車種を始めて前面レンズが3次元曲面からなって反射光による影響を減らし、視認性が向上した大型ガラスレンズが適用されているが、普及型車両用ディスプレイでは未だほとんどが平面形態である。なお、ガラスレンズを使用すると、温度、湿度及び振動など劣悪な車両環境でも光学性能の確保が容易であるが、立体的に成形するための製造費用が高いことが大衆化の邪魔になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明の一実施例では、3次元形状の車両用ディスプレイのレンズとして、ガラスレンズの代わりにプラスチックカバーレンズを適用することにより、製造費用を節減し、車両用ディスプレイに要求される十分な耐久性と光学性能を提供して、大型化に有利な車両用ディスプレイを提供しようとする。
【0007】
本発明で解決しようとする課題は上述した技術的課題に限られず、言及していない他の技術的課題は以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための本発明の一実施例による車両用ディスプレイは、レンズ、レンズの前面に配置される前面フィルム及びレンズの後面に配置される後面フィルムを含むプラスチックカバーレンズ;プラスチックカバーレンズの後面に光学接着剤(OCA:Optically Clear Adhesive)を用いて接着される高位相差フィルム(SRF:Super Retardation Film);高位相差フィルムの後面に光学接着剤を用いて接着される液晶ディスプレイモジュール;プラスチックカバーレンズの後方に組み立てられ、液晶ディスプレイモジュールを密着支持して、プラスチックカバーレンズの変形を防止するためのパネルフロント;及びパネルフロントの後方に組み立てられる後方カバーを含む。
【0009】
実施例においては、前面フィルムはプラスチックカバーレンズの前面に真空蒸着により形成されるAR(Anti-Reflection)コーティング層及びAF(Anti-Fingerprint)コーティング層を含む。
【0010】
実施例においては、後面フィルムはレンズの後面において液晶ディスプレイモジュールの位置に対応するウィンドウ領域を除いて印刷されるブラックマスキング層を含む。
【0011】
実施例においては、プラスチックカバーレンズは、プラスチックカバーレンズの形状に予め成形された前面フィルム及び後面フィルムを含めてインモールドラベリング(IML:Insert Mold Labeling)により形成される。
【0012】
実施例においては、プラスチックカバーレンズは、インモールド(inmold)成形時、前面フィルムを金型の上コアに配置し、後面フィルムを金型の下コアに配置して加圧して、射出圧縮成形(ICM:Injection-Compression Molding)が同時に行われて射出による残留応力が最小になる。
【0013】
実施例においては、プラスチックカバーレンズは、運転者方向に配置される第1領域、第1領域の反対方向に配置される第2領域、及び第1領域と第2領域の間に配置される屈曲部を含む。
【0014】
実施例においては、プラスチックカバーレンズは、第1領域の曲率半径よりも屈曲部の曲率半径が大きく、屈曲部の曲率半径よりも第2領域の曲率半径が大きいように第1曲率半径が適用される。
【0015】
実施例においては、プラスチックカバーレンズは、プラスチックカバーレンズの横方向には第1曲率半径が適用され、プラスチックカバーレンズの縦方向には凹レンズになるように形成される第2曲率半径が適用され、プラスチックカバーレンズの角には第3曲率半径が適用されて、3D曲率を有する形態に形成される。
【0016】
実施例においては、プラスチックカバーレンズの角は2mmないし3mm半径のラウンドを有して形成される。
【0017】
実施例においては、さらにプラスチックカバーレンズの縁部と機械的に結合してプラスチックカバーレンズの形状を堅固に維持するキャリア-ベゼルを含む。
【0018】
実施例においては、さらにプラスチックカバーレンズの後面の少なくとも一部に接着してプラスチックカバーレンズとキャリア-ベゼルを結合する接合テープを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施例によれば、車両用ディスプレイのレンズとしてプラスチックカバーレンズを適用して、大型の3次元形状を容易に具現することができる。
【0020】
本発明の一実施例によれば、車両用ディスプレイのプラスチックカバーレンズの後面にブラックマスキング層を配置して、インモールドラベリング(IML:Insert Mold Labeling)方式によるゲートウォッシュアウトを改善して、製造費用を大きく節減することができる。
【0021】
本発明から得られる効果は上述した効果に限られず、言及していない他の効果は以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例によるプラスチックカバーレンズを含む車両用ディスプレイの分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例によるプラスチックカバーレンズを含む車両用ディスプレイの断面図構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による複数の曲率を有するプラスチックカバーレンズを含むディスプレイの結合を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施例による複数の曲率を有するプラスチックカバーレンズを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。なお、本発明は色々な異なる形態で具現することができ、この明細書に説明する実施例に限られない。また図面では本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略し、全明細書において類似部分に対しては類似する図面符号を使用する。
【0024】
全明細書において、ある部分がある構成要素を“含む”とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含むことを意味する。
【0025】
図1は本発明の一実施例によるプラスチックカバーレンズを含む車両用ディスプレイの分解斜視図である。
【0026】
図1を参照すると、一実施例によるプラスチックカバーレンズを含む車両用ディスプレイ100は、プラスチックカバーレンズ10、光学ボンディング層(optical bonding)20、液晶ディスプレイモジュール30、パネルフロント(Panel-Front)40、ブラケット51,52及び後方カバー60を含む。
【0027】
車両用ディスプレイ100は、基本的な車両状態を表示するクラスター、センターフェイシアの位置にはナビゲーションなど各種便宜情報を表示するコンソールディスプレイが配置される。車両用ディスプレイ100はプラスチックカバーレンズ10を含み、運転者の前方のクラスター及びセンターフェイシアの位置にわたって配置される場合を例示する。車両用ディスプレイ100は運転者に向かう最外側の表面、即ち、車両用ディスプレイ100の前方には複数の曲率を有するプラスチックカバーレンズ10が配置される。
【0028】
プラスチックカバーレンズ10は、レンズ11、運転者に向かう最外側の表面であるレンズの前面に配置される前面フィルム12、及びレンズの背面に配置される後面フィルム13を含む。
【0029】
レンズ11は高流動PCクリア射出成形により生産される。レンズ110の前面は真空蒸着によりAR(Anti-Reflection)及びAF(Anti-Fingerprint)コーティング層を含む前面フィルム12が配置される。前面フィルム12はプラスチックカバーレンズ10の硬度及び透明度を具現するように形成される。
【0030】
レンズ11の後面には後面フィルム13が配置され、後面フィルムはブラックマスキング(Black Masking)層を含む。このとき、ブラックマスキング層は液晶ディスプレイ(LCD)モジュールの位置に対応するウィンドウ領域を除いて印刷が可能である。
【0031】
プラスチックカバーレンズ10は前面フィルム及び第2フィルムを所定の形態に成形し、第1フィルムを金型の上コアに、後面フィルムを金型の下コアに挿入して、射出時に圧縮成形することにより優れる光学特性を提供する効果がある。プラスチックカバーレンズ10は複屈折の最小化のために圧縮射出を適用することにより迷光の反射が減少する効果がある。
【0032】
例えば、プラスチックカバーレンズ10はガラス水準の光学特性を提供するために、予め前面フィルム及び後面フィルム12,13をレンズ11の形状に成形した後、金型に挿入し、その後方からプラスチックを注入した後、射出成形して制作するインモールドラベリング(IML:Insert Mold Labeling)方式で形成される。こうすると、ハードコーティング(Hard Coating)されたフィルム生地を使用できるので、相当な水準の耐摩耗性を確保することができる。また同じプラスチックカバーレンズの金型を用いるが、フィルムを変更しながら製作することができるので、多品種少量生産が可能であるという長所がある。
【0033】
例えば、プラスチックカバーレンズ10は射出圧縮成形(ICM:Injection-Compression Molding)方式で形成される。射出圧縮成形がインモールドラベリングと共に行われてもよい。従って、プラスチックカバーレンズ10の成形後、全胴体にわたって密度が均一に維持され、レンズ形状及び金型の構造による冷却速度差などによる射出物の残留応力(Residual Stress)を最小にすることができる。
【0034】
プラスチックカバーレンズ10のブラックマスキング層が後面フィルム12に位置することにより、インモールドラベリング方式によるゲートウォッシュアウト(Gate Wash-Out)の問題を防止することができる。
【0035】
光学ボンディング層20は、光学接着剤(OCA:Optically Clear Adhesive)21、及び高位相差フィルム(SRF:Super Retardation Film)22を含む。
【0036】
光学接着剤21はプラスチックカバーレンズ10の後面に配置されて液晶ディスプレイ(LCD)と光学的に接する。光学接着剤21と液晶ディスプレイ(LCD)の間には高位相差フィルム22が配置される。
【0037】
液晶ディスプレイの前面には鮮明度、視野角などの改善のために複合的な形態で偏光が構成されて活用されている。運転者が偏光機能のあるサングラスをかけて液晶ディスプレイを見る場合、液晶ディスプレイに表示される画像は複合的な偏光状態によって歪曲がレインボー状の染みで示される。プラスチックカバーレンズ10は内部応力によって透過光に位相差が加えられて、複屈折(Birefringence)が発生して歪曲がもっと激しくなる。この実施例ではこの現像を改善するために、高位相差フィルム22を光学接着剤(OCA:Optically Clear Adhesive)21を用いて直接ボンディングでプラスチックカバーレンズ10の後面に接合する。これにより、プラスチックカバーレンズ10と高位相差フィルム22が1つの光学要素として作用することができる。
【0038】
従って、液晶ディスプレイからプラスチックカバーレンズ10までが1つの光学要素として作用し、接合面での反射が最小になるように、液晶ディスプレイ10は高位相差フィルム22の後面に光学接着剤(OCA:Optically Clear Adhesive)を用いて接合される。光学接着剤21を高位相差フィルム22の後面又は液晶ディスプレイの前面に配置し、液晶ディスプレイを高位相差フィルム22の後面に付着して液晶ディスプレイと高位相差フィルム22を接合することができる。
【0039】
液晶ディスプレイモジュール30は液晶ディスプレイ(LCD)及びバックライトユニット(BLU)を含む。
【0040】
プラスチックカバーレンズ10の前面及び射出物が透明であるので、組み立て形状をプラスチックカバーレンズ10の背面に配置できず、接着剤70によりパネルフロント40及びプラスチックカバーレンズ10の後面が接合する。
【0041】
パネルフロント40は高い構造的剛性を有して形成されてプラスチックカバーレンズ10と結合してプラスチックカバーレンズ10の設計形状を維持させる役割をする。液晶ディスプレイが収容されるように形成されたポケット領域を除いた残りのパネルフロント40の後面領域は、軽量化を図りながらも、パネルフロント40が撓みに対して十分な剛性を有するように形成される。
【0042】
ブラケット50は、構造の完全性を強化し、ヘッドインパクト(Head-Impact)に対する剛性を強化するために、パネルフロントの後面に配置することができる。例えば、ブラケット50はスチール(Steel)材からなる。
【0043】
後方カバー60は設置された構造物及び車両用ディスプレイ100の上端の後面が露出するように形成される。
【0044】
図2は本発明の一実施例によるプラスチックカバーレンズを含む車両用ディスプレイの断面図の構成を示す図である。
【0045】
図2を参照すると、成形済みのプラスチックカバーレンズ10の前面にはハードコーティング層及びクリア層を含む前面フィルム12が配置される。
【0046】
ハードコーティング層としてはプラスチックカバーレンズ10の表面硬度を向上させるコーティング組成物であればどれでもよいが、高温処理が不要な紫外線硬化型コーティング組成物を使用することが好ましい。ハードコーティング層はアクリレート単量体又は無機化合物を含む。ハードコーティング層はプラスチックカバーレンズ10の表面硬度を向上させるとともに、耐薬品性を高める役割をする。
【0047】
ハードコーティング層の上に保護層が配置される。保護層は指紋防止コーティング層(Anti-Finger coating:AF)、反射防止コーティング層(Anti-Reflection coating:AR)などを含む機能性コーティング層(functional coating)であってもよい。
【0048】
ARコーティング層はプラスチックカバーレンズ10の透光性を確保し、反射率を改善するように(例えば、1.5%未満になるように)形成される。ARコーティング層は密度の異なる複数の媒質が積層された構造であり、入射した光がそれぞれの媒質の境界面で反射されて、互いに異なる位相で重畳した後、相殺されて最終反射される光量が減少する。
【0049】
AFコーティング層はユーザの使用によるプラスチックカバーレンズ10の表面の汚染を防止して視認性の低下を防止する。
【0050】
プラスチックカバーレンズ10の後面にはブラックマスキング層及び液晶ディスプレイに対応するアクティブ領域(Active Area)を含む後面フィルム13が配置される。
【0051】
かかるプラスチックカバーレンズ10は前面フィルム12、後面フィルム13を含むように、インモールドラベリング成形法を用いて形成される。
【0052】
一実施例によるプラスチックカバーレンズ10は、前面フィルム12及び後面フィルム13を予め印刷(Printing)或いはパターン形成(Pattern Forming)してインモールドラベリング成形されたプラスチックカバーレンズ10の前面に部分的にパターンが含まれるように形成される。例えば、液晶ディスプレイが配置される領域は優れる透光性のために透明にする反面、その他の領域は不透明又は半透明に処理する。
【0053】
プラスチックカバーレンズ10の背面のうち、アクティブ領域(Active Area)に配置される光学ボンディング層20は、後面フィルム12と直接接する前面光学接着剤21、前面光学接着剤の背面に配置される高位相差フィルム22、及び高位相差フィルム22の背面に配置される後面光学接着剤23からなる。
【0054】
プラスチックカバーレンズ10と光学ボンディング層20と接する液晶ディスプレイモジュール30は液晶ディスプレイ及びバックライトユニットからなる。このとき、LCDパネルの領域は光学ボンディング層20の領域と一部重なる。
【0055】
また車両用ディスプレイはプラスチックカバーレンズ10の背面のうち、ブラックマスキング層の背面に配置され、プラスチックカバーレンズ10の縁部と機械的に結合してプラスチックカバーレンズ10の形状を堅固に維持させるキャリア-ベゼル80を含む。
【0056】
キャリア-ベゼル80はプラスチックカバーレンズ10において液晶ディスプレイが配置された領域を除いた領域に接合テープ90が配置されて接合される。接合テープ90はプラスチックカバーレンズの後面の少なくとも一部に接着して、プラスチックカバーレンズ10とキャリア-ベゼル80を結合する。
【0057】
例えば、プラスチックカバーレンズ10はブラックマスキング層がガラスレンズに比べて前面に位置し、液晶ディスプレイの動作時、ブラックマスキング層とLCDパネルの間のギャップが小さくなってLCD深さを改善することができる。
【0058】
例えば、プラスチックカバーレンズ10は角露出防止のために、パネルフロント40の前面に組み立てのための間隙が必要であり、かかる角を具現するために相当な加工費用が必要である反面、プラスチックカバーレンズ10ではかかる形状を相対的に安価で具現することができる。
【0059】
図3は本発明の一実施例による複数の曲率を有するプラスチックカバーレンズを含むディスプレイの結合を説明するための図である。
【0060】
図3を参照すると、プラスチックカバーレンズ10の角は曲率を有するように成形される。これにより、プラスチックカバーレンズ10は間隙なしに角部分まで一体に車両用ディスプレイ100に組み立てることができる。かかる角により、車両衝突時に車両用ディスプレイ100に加えられる衝撃(Head-Impact)により車両用ディスプレイ100が容易に破損されることを防止することができる。
【0061】
図示した例示はプラスチックカバーレンズ10の角がR2.5を有する場合であり、必要に応じてR2ないしR3の範囲内の値を有するが、必ずこの範囲に限られることではない。即ち、プラスチックカバーレンズの角は2mmないし3mm半径のラウンドを有する。
【0062】
ガラスレンズの場合、角露出防止のために、パネルフロント40の前面に組み立てのための間隙が必要であり、かかる角を具現するために相当な加工費用が要求される反面、プラスチックカバーレンズ10ではかかる形状を相対的に安価で具現することができる。
【0063】
図4は本発明の一実施例による複数の曲率を有するプラスチックカバーレンズを示す図である。
【0064】
図4を参照すると、車両用ディスプレイは運転者に向かう最外側の表面に複数の曲率を有するプラスチックカバーレンズ10が配置される。
【0065】
車両用ディスプレイ100は運転者からみて左側に位置する第1領域及び右側に位置する第2領域を含む。車両用ディスプレイ100は運転者からみて右側に位置するので、運転者に向かってもっと屈曲した形態を有する。即ち、プラスチックカバーレンズ10は第1領域を基準として運転者に向かうように第2領域が運転者に向かってもっと屈曲した形態を有する。第1及び第2領域310,320の間には相対的に小さい曲率半径を有する屈曲部330が形成されて第2領域220が運転者に向かうように形成される。
【0066】
従って、プラスチックカバーレンズ10は第1領域の曲率半径よりも屈曲部の曲率半径が大きく、屈曲部の曲率半径よりも第2領域の曲率半径が大きいように第1曲率半径が適用される。
【0067】
プラスチックカバーレンズ10は横方向に第1曲率半径410(例えば、R9000又はR12000)を有して柔らかく屈曲して形成され、プラスチックカバーレンズ10の縦方向にも凹レンズになるように第2曲率半径420(例えば、R1800)が適用され、プラスチックカバーレンズ10の角にも第3曲率半径430が適用されて形成される。
【0068】
プラスチックカバーレンズ10は前面に複数の曲率により3D曲率を有する形態で構成されて、レンズ前面に入射して運転者に向かって反射される光を最小にすることができる。
【0069】
以上では、当業者が本発明を具現して実施できるように本発明の望ましい実施例について詳しい説明している。なお、本発明の望ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野に熟練した当業者であれば、本発明の領域から外れない範囲内で本発明を様々に修正及び変更することができるであろう。例えば、当業者は上述した実施例に記載した各構成を互いに組み合わせる方式で利用することができる。
【0070】
従って、本発明はこの明細書に記載する実施例に限るものではなく、この明細書に記載した原理及び新規の特徴と一致する最広の範囲を付与するものである。
【符号の説明】
【0071】
100 車両用ディスプレイ、10 プラスチックカバーレンズ、20 光学ボンディング層、30 液晶ディスプレイモジュール、40 パネルフロント、50 ブラケット、60 後方カバー。