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特開2024-68075導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068075
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240510BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240510BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240510BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20240510BHJP
   B24B 37/015 20120101ALI20240510BHJP
   B24B 37/22 20120101ALI20240510BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20240510BHJP
   B24B 57/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L21/304 621D
B24B37/00 Z
B24B37/00 K
B24B37/00 H
B24B37/10
B24B37/30 E
B24B37/015
B24B37/22
B24B37/24 Z
B24B57/02
H01L21/304 622F
H01L21/304 622K
H01L21/304 622D
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023088358
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】202211372534.8
(32)【優先日】2022-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】18/156,396
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520128152
【氏名又は名称】杭州▲衆▼硅▲電▼子科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】▲登▼ 耀敏
(72)【発明者】
【氏名】朱 政挺
(72)【発明者】
【氏名】王 東輝
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047FF08
3C047GG01
3C158AA07
3C158AB04
3C158AC04
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA13
3C158EB01
3C158EB05
3C158ED08
3C158ED23
3C158ED24
5F057AA03
5F057AA34
5F057BA11
5F057BB09
5F057CA11
5F057DA04
5F057EA32
5F057EA33
5F057EB05
5F057EB06
5F057FA01
5F057FA11
5F057FA13
5F057FA19
5F057GA01
5F057GA04
5F057GA07
5F057GA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ウェーハ基板表面の電気化学的反応を導入することにより、基板材料の除去速度を増加させ、研磨/平坦化効率を向上させる電気化学的機械研磨及び平坦化機器を提供する。
【解決手段】第1電極及び第2電極を有する電源1と、導電性を有し第1電極に接続される研磨テーブル2と、絶縁材質であり導電性化学液体が収容された孔を有する作用層を含む研磨パッド3と、導電性であり第2電極に接続される研磨ヘッド6と、を含む導電性ウェーハ基板5を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器であって、第1電極、研磨テーブル、化学液体、導電性ウェーハ基板、研磨ヘッド及び第2電極が通電回路を順次形成して、導電性ウェーハ基板の研磨面に電気化学反応層を形成し、研磨ヘッドが、電気化学反応層に対する化学的機械研磨を実現するために、導電性ウェーハ基板を研磨パッドに対して移動するように駆動し、導電性ウェーハ基板を処理する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極を有する電源と、
第1電極に接続され、且つ導電性を有する研磨テーブルと、
研磨テーブルの上面に設けられ、導電性ウェーハ基板の1つの研磨面に重ね合わせ可能で、絶縁材質で製造された、その厚さ方向を貫通し且つ導電性を有する化学液体が収容された孔を有する作用層を少なくとも含む研磨パッドと、
第2電極に接続され、且つ導電性を有し、その下面が導電性ウェーハ基板の研磨面の裏面に重ね合わせ可能である研磨ヘッドと、を含み、
前記第1電極、研磨テーブル、化学液体、導電性ウェーハ基板、研磨ヘッド、第2電極は、通電回路を順次形成して、導電性ウェーハ基板の研磨面に電気化学反応層を形成し、
前記研磨ヘッドは、電気化学反応層に対する化学的機械研磨を実現するために、導電性ウェーハ基板が研磨パッドに対して移動するように駆動することができる、
ことを特徴とする導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項2】
前記研磨テーブルは研磨テーブルの軸心の周りを回転することができ、前記研磨ヘッドは、研磨ヘッドの軸心の周りを回転することができ、且つ研磨テーブルに対して移動することができる、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項3】
前記孔の数は複数である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項4】
前記孔の総面積は作用層面積の5%~70%を占める、
ことを特徴とする請求項3に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項5】
前記研磨パッドは作用層であり、或いは、前記研磨パッドは、最上層が作用層であり、その下部の一層又は多層が絶縁層であり、且つ前記孔が研磨パッドの厚さ方向全体を貫通する二層又は多層構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項6】
前記研磨パッドは、その最上層が作用層であり、その下部の一層又は多層が、閉鎖されるか又は孔と連通する穿孔を有する導電層である二層又は多層構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項7】
前記研磨ヘッドは、
導電性ウェーハ基板の上下移動ストロークを制御するための第1圧力媒体チャンバと、
吸着アセンブリを制御し、第2圧力媒体チャンバの内部の気圧を変化させることによって、吸着アセンブリの導電性ウェーハ基板に対する吸着又は解放を実現するための第2圧力媒体チャンバと、を含み、
前記吸着アセンブリは、変形可能なフレキシブル部材、及びフレキシブル部材を支持するための支持部材を含み、前記吸着アセンブリに電源のアクセスポイントが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項8】
前記フレキシブル部材は導電性フレキシブルフィルムであり、前記支持部材は、電源のアクセスポイントを形成する金属部材である、
ことを特徴とする請求項7に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項9】
前記フレキシブル部材は絶縁フレキシブルフィルムであり、フレキシブル部材の内部には、電源のアクセスポイントを形成する導電コイルが被覆されている、
ことを特徴とする請求項9に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項10】
前記研磨テーブルは、同心同軸に設置された研磨上板及び研磨下板を含み、研磨下板は回転中心軸に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項11】
前記研磨上板は金属材質又は合金材料である、
ことを特徴とする請求項10に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項12】
前記電源からの導線は回転中心軸を通して研磨上板に接続される、
ことを特徴とする請求項11に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項13】
前記研磨テーブルは加熱又は冷却機能を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項14】
研磨パッドに化学液体を移送するために用いられ、化学液体を研磨パッドの上面に移送することができる化学液体供給システムを更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項15】
化学液体を研磨上板から孔の底部に移送することができる化学液体供給システムを更に含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項16】
前記化学液体は、酸性又はアルカリ性溶液内に研磨ナノ粒子が分散された研磨液であり、そのpH>8又はpH<5である、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項17】
導電性ウェーハ基板の研磨面に電気化学反応層を形成する時、ウェーハ基板の研磨ヘッドに接続される第2電極は正極であり、研磨テーブルに接続される第1電極は負極である、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項18】
前記電源は、電流≦20Aの定常電流電源であり、或いは、前記電源は、電圧≦220Vの定常電圧電源である、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項19】
前記研磨テーブルに研磨パッドの外縁を配置するか、或いは前記研磨パッドの外縁は、研磨パッドの上面に対する高さがH≦3mmであるリブを形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。
【請求項20】
前記孔は、円形又は矩形又は正六角形又はスター形であり、配列状に分布するか又は同心円状に分布する、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路チップ製造の分野に属し、特に、導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハ基板及び半導体デバイスの製造プロセスには、研磨、表面の平坦化などのプロセスが含まれ、通常、機械的研磨、化学的機械研磨又は平坦化などの技術を使用し、ウェーハ基板のキャリアヘッド(研磨ヘッド)からウェーハ裏側に加圧し、圧力、研磨ヘッドの回転速度、研磨板の回転速度、研磨液の液体流量などのパラメータを制御し、研磨パッド上でウェーハ基板の正面又はフィルムの表面で研磨又は平坦化処理を行う。機械的研磨と比較して、化学的機械研磨及び化学的機械研磨平坦化は、研磨液の配合を調整することによって、ウェーハ基板の表面に化学反応を引き起こし、より高い研磨又は平坦化処理の効率を実現することができ、同時により高い平坦度、より低い欠陥度などを含む、より優れた研磨又は平坦化処理の効果を実現することができる。
【0003】
導電性ウェーハ基板は、導電タイプによってバルク相導電性(導電性基板)と表面導電性(表面層導電性ウェーハ基板)に分けられ、バルク導電性ウェーハ基板材料自体は、良好な導電特性を有し、ドープされた4H-SiCなどを含むことができる。表面導電性ウェーハ基板は、バルク相で導電しないが、表面層が導電することができ、例えば、シリコンウェーハ基板の表面に堆積された金属フィルムなどである。
【0004】
導電性基板又は表面層導電性ウェーハ基板の研磨及び平坦化プロセスは、特別な電気化学的機械研磨及び平坦化技術を用いることができる。化学的機械研磨及び平坦化に基づいて、電気化学的機械研磨及び平坦化は、ウェーハ基板又はウェーハ基板の表面フィルムの導電特性を更に利用して電流経路を形成し、ウェーハ基板又はフィルム表面に電気化学的反応を引き起こし、回路システムの精密な制御により、ウェーハ基板又はウェーハ基板の表面フィルムの表面に電気化学反応層を形成し、更に電気化学反応層に対して化学的機械研磨を行うことで、表面の化学反応速度を向上させ、更に化学的機械研磨及び平坦化効率を向上させる。電気化学的機械研磨及び平坦化機器プロセスにおいて、化学的機械研磨及び平坦化機能を実現する研磨液は、同時にウェーハ基板の表面の電気化学的反応を実現する電解液でもあり、液体化学成分、液体導電率などはそれに応じて調整する必要がある。
【0005】
炭化ケイ素基板材料の研磨プロセスを例にとって、炭化ケイ素材料の硬度が高く、単純な機械的研磨で研磨パッドの研磨面を研磨すると、ウェーハ裏側に高い圧力を加える必要があり、条件が厳しく、除去率が極めて低く、機器の生産効率が低く、研磨パッドなどの消耗品の消費が大きく、コストが高い。化学的機械研磨加工は、まず炭化ケイ素基板の表面に対して酸化などの化学的改質を行うことができ、表面硬度を低下させ、更に材料の研磨速度を向上させ、研磨機器の生産効率を向上させる。しかし、炭化ケイ素材料の安定した化学的性質及び遅い表面酸化速度のため、化学的機械研磨プロセスでは強力な酸化性を有する研磨液を選択する必要があり、機器ハードウェアの耐食性などが高く要求され、機器の製造コスト及び運用の確実性に直接影響を与える。同様に、炭化ケイ素材料の安定した化学的性質及び遅い表面酸化速度のため、炭化ケイ素の化学的機械研磨の除去率は依然として低く、現在、大量生産の要件を完全に満たしていない。導電性炭化ケイ素基板材料の場合、化学的機械研磨効率のボトルネックを破るために、電気化学的機械研磨技術を使用し、電気化学的反応によって炭化ケイ素の表面を酸化させることができ、一定の電流密度を実現すれば、炭化ケイ素の表面酸化効率を大幅に加速することができ、続いて化学的機械研磨と合わせて、炭化ケイ素材料の除去率を大幅に向上させ、機器の運用効率を対応的に向上させ、機器の運用コストを削減することができる。同時に、電気化学的機械研磨プロセスは、強力な酸化性を有する研磨液/電解液に依存する必要がなく、機器材料の選択範囲を拡大し、機器コストを削減し、部品の寿命を延長し、機器運営の確実性を向上させ、連続運用時間を延長し、運用コストを更に削減することができる。
【0006】
回路構造の設計は、電気化学的機械研磨及び平坦化機器のキーである。現在、市場には、大量生産に適した電気化学的機械研磨及び平坦化機器がない。従来の電気化学的機械研磨及び平坦化機器/装置は、概ね2つのタイプに分けられる。タイプ1は、従来の化学的機械研磨及び平坦化機器の基本的な設計を引き続き使用する:研磨テーブルは水平に配置され、円周方向に回転可能であり、研磨パッドは研磨テーブルの上面に配置され、研磨パッドの下面は研磨テーブルの頂面に重ね合わせ、液体供給システムは研磨液を研磨パッドの上面に移送し、研磨テーブル/研磨パッドの上はウェーハ基板のキャリアヘッド(研磨ヘッド)であり、研磨ヘッドの下はウェーハ基板であり、研磨面(正面)は下向きに配置され、研磨ヘッドはウェーハ基板の裏面に加圧し、研磨パッド上でウェーハ基板の正面に対して研磨又は平坦化処理を行う。従来の化学的機械研磨及び平坦化機器の設計に基づいて、タイプ1の電気化学的機械研磨及び平坦化機器は、研磨テーブル及び研磨パッドの設計を変更することにより、導電性ウェーハ基板の表面を通過する回路構造を実現する:導電性研磨テーブルは電源の第1電極に接続され、研磨テーブルに付着された研磨パッド自体は絶縁材質で製造されるが、厚さ方向を貫通する孔が設計され、研磨パッドが浸漬する時、孔内に化学液体が充填される。同時に、絶縁材質の研磨パッドの上面には、一般的に金属導体の材質であり、研磨パッドと共に回転する複数の導電性コンタクトヘッドが追加的に取り付けられる。複数の導電性コンタクトヘッドは、互いに接続された後、最終的に電源の第2電極に接続される。タイプ1の電気化学的機械研磨及び平坦化機器が動作する時、ウェーハ基板のキャリアヘッド(研磨ヘッド)はウェーハ裏側に加圧し、ウェーハ基板の正面は研磨パッドに重ね合わせ、研磨パッドの孔内の化学液体及び研磨パッドの上面の導電性コンタクトヘッドは、導電性ウェーハ基板の正面とそれぞれ電気的に接触することで、電源の第1電極-導電性研磨テーブル-研磨パッド孔内の導電性化学液体-導電性ウェーハ基板の正面-研磨パッドの上面の導電性コンタクトヘッド-電源の第2電極の通電回路を実装することができる。タイプ1の電気化学的機械研磨及び平坦化機器の設計は、導電性ウェーハ基板の研磨に適用されると共に、表面層導電性ウェーハ基板の平坦化プロセスにも適用される。その設計上の最大の難題は、研磨パッドの上面の導電性コンタクトヘッドの設計と材料の選択である。研磨テーブルと研磨ヘッドがそれぞれ独立して回転すると同時に、研磨ヘッドがウェーハ裏側に加圧するため、導電性コンタクトヘッドの材料表面の化学的安定性及びウェーハ基板との間の電気的接触の確実性、導電性コンタクトヘッドにより引き起こされるウェーハ基板の表面の傷、粒子汚染と金属汚染、導電性コンタクトヘッド材料自体の摩耗や研磨パッドのコスト、耐用年数などの問題がよく発生する。
【0007】
タイプ2の電気化学的機械研磨装置は、従来の機械的薄化、表面研磨システムに基づいて設計される:ウェーハ基板は研磨テーブルにおいて上向き且つ水平に配置され、研磨テーブル/ウェーハ基板の上は研磨ヘッドであり、研磨ヘッドの下に研磨パッドが接着され、研磨パッドには厚さ方向を貫通する孔がる必要はない。研磨ヘッド/研磨パッドが回転すると同時に、ウェーハ基板の正面に加圧し、ウェーハ基板の薄化又は表面研磨処理を行う。タイプ2の電気化学的機械研磨装置において、導電性ウェーハ基板は、導電性研磨テーブルを介して電源の第1電極に接続される。同時に、研磨テーブル、ウェーハ基板及び研磨ヘッドの下部は何れも、導電性化学液体に浸漬され、同様に導電性化学液体に浸漬されて通電された電極を介して電源の第2電極に接続可能である。このような設計により、電源の第1電極-導電性研磨テーブル-導電性ウェーハ基板-導電性化学液体-導電性化学液体に浸漬されて通電された電極-電源の第2電極の間に通電回路を形成することができる。タイプ2の電気化学的機械研磨装置において、ウェーハ基板は導電性化学液体に完全に浸漬され、導電性化学液体は通常、通電された電極を配置するために一定の深さを必要とし、ウェーハ基板の表面の電気化学的研磨により生成された副産物を迅速且つ効率的に除去することは困難であり、ウェーハ基板の迅速な着脱も大きな課題である。
【発明の概要】
【0008】
従来技術の不足を解消するために、本発明は、導電性ウェーハ基板の研磨及び平坦化の高性能、高効率及び低コストを実現可能である、新しい電気化学的機械研磨及び平坦化機器の設計を提供する。
【0009】
本発明がその技術問題を解決するために用いられる技術的解決手段は以下の通りである。導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器であって、
第1電極及び第2電極を有する電源と、
導電性を有すると共に第1電極に接続される研磨テーブルと、
研磨テーブルの上面に設けられ、導電性ウェーハ基板の1つの研磨面に重ね合わせ可能で、絶縁材質で製造された、その厚さ方向を貫通し且つ導電性を有する化学液体が収容された孔を有する作用層を少なくとも含む研磨パッドと、
導電性を有すると共に第2電極に接続され、その下面が導電性ウェーハ基板の研磨面の裏面に重ね合わせ可能である研磨ヘッドと、を含み、
上記第1電極、研磨テーブル、化学液体、導電性ウェーハ基板、研磨ヘッド、第2電極は、通電回路を順次形成して、導電性ウェーハ基板の研磨面に電気化学反応層を形成し、
上記研磨ヘッドは、電気化学反応層に対する化学的機械研磨を実現するために、導電性ウェーハ基板が研磨パッドに対して移動するように駆動することができる。
【0010】
更に、上記研磨テーブルはそれ自体の軸心の周りを回転することができ、上記研磨ヘッドはそれ自体の軸心の周りを回転することができ、且つ研磨テーブルに対して移動することができる。
【0011】
更に、上記孔の数は複数である。
【0012】
更に、上記孔の総面積は作用層面積の5%~70%を占める。
【0013】
更に、上記孔の総面積は作用層面積の5%~50%を占める。
【0014】
更に、上記研磨パッドは作用層であり、或いは、上記研磨パッドは、最上層が作用層であり、その下部の一層又は多層が絶縁層であり、且つ上記孔が研磨パッドの厚さ方向全体を貫通する二層又は多層構造である。
【0015】
更に、上記研磨パッドは、その最上層が作用層であり、その下部の一層又は多層が、閉鎖されるか又は孔と連通する穿孔を有する導電層である二層又は多層構造である。
【0016】
更に、導電性ウェーハ基板の研磨面に電気化学反応層を形成するステップと電気化学反応層に対して化学的機械研磨を行うステップは同期に実施されるか、或いは、導電性ウェーハ基板の研磨面に電気化学反応層を形成するステップと電気化学反応層に対して化学的機械研磨を行うステップは連続して実施される。
【0017】
更に、上記研磨ヘッドは、
導電性ウェーハ基板の上下移動ストロークを制御するための第1圧力媒体チャンバと、
吸着アセンブリを制御し、第2圧力媒体チャンバの内部の気圧を変化させることによって、吸着アセンブリの導電性ウェーハ基板に対する吸着又は解放を実現するための第2圧力媒体チャンバと、を含み、
上記吸着アセンブリは、変形可能なフレキシブル部材及びフレキシブル部材を支持するための支持部材を含み、当該吸着アセンブリに電源のアクセスポイントが設けられている。
【0018】
更に、上記フレキシブル部材は導電性フレキシブルフィルムであり、上記支持部材は、電源のアクセスポイントを形成する金属部材である。
【0019】
更に、上記フレキシブル部材は、フレキシブルフィルムを取り付けるための複数の開孔が開設されており、電源のアクセスポイントを形成する軽質金属板と、フレキシブルフィルムとを含む。
【0020】
更に、上記フレキシブル部材は、電源のアクセスポイントを形成する軽質金属板を含む。
【0021】
更に、上記軽質金属板の表面にプラチナメッキ層を有する。
【0022】
更に、上記フレキシブル部材は絶縁フレキシブルフィルムであり、フレキシブル部材の内部には、電源のアクセスポイントを形成する導電コイルが被覆される。
【0023】
更に、上記研磨テーブルは、同心同軸に設置された研磨上板及び研磨下板を含み、研磨下板は回転中心軸に接続される。
【0024】
更に、上記研磨上板は金属材質又は合金材質である。
【0025】
更に、上記研磨上板にプラチナメッキ層を有する。
【0026】
更に、上記電源からの導線は回転中心軸を通して研磨上板に接続される。
【0027】
更に、上記研磨テーブルは加熱又は冷却機能を備える。
【0028】
更に、上記研磨テーブルは温度制御装置に接続される。
【0029】
更に、研磨パッドに化学液体を移送するために用いられ、化学液体を研磨パッドの上面に移送することができる化学液体供給システムを更に含む。
【0030】
更に、化学液体を研磨上板から孔の底部に移送することができる化学液体供給システムを更に含む。
【0031】
更に、上記化学液体供給システムは、化学液体の排出量を調節するための流量制御ユニットを備え、又は化学液体の排出温度を調節するための温度制御ユニットを備え、又は化学液体の排出濃度を調節するための濃度制御ユニットを備える。
【0032】
更に、上記化学液体は、酸性又はアルカリ性溶液内に研磨ナノ粒子が分散された研磨液であり、そのpH>8又はpH<5である。
【0033】
更に、導電性ウェーハ基板の研磨面に電気化学反応層を形成する時、ウェーハ基板の研磨ヘッドに接続される第2電極は正極であり、研磨テーブルに接続される第1電極は負極である。
【0034】
更に、上記電源は、電流≦20Aの定常電流電源であり、或いは、上記電源は、電圧≦220Vの定常電圧電源である。
【0035】
更に、上記研磨テーブルに研磨パッドの外縁を配置するか、或いは上記研磨パッドの外縁は、研磨パッドの上面に対する高さがH≦3mmであるリブを形成する。
【0036】
更に、上記孔の直径は3mm以上である。
【0037】
更に、上記孔は、円形又は矩形又は正六角形又はスター形であり、配列状に分布されるか又は同心円状に分布する。
【0038】
本発明は、斬新な電気化学的機械研磨、平坦化機器の回路構造の設計に関する。タイプ1の電気化学的機械研磨及び平坦化機器と類似し、絶縁材質の研磨パッドは、導電性研磨テーブルの上面に重ね合わせ、厚さ方向を貫通する孔を有し、孔には、液体供給アームから研磨パッドに移送された、導電性を有する化学液体が収容される。タイプ1の電気化学的機械研磨及び平坦化機器と異なり、研磨パッドに導電性コンタクトヘッドを設計する必要はないが、ウェーハ基板のキャリアヘッド(研磨ヘッド)は導電性を有する。研磨ヘッドがウェーハ裏側に加圧する時、ウェーハ基板の正面は研磨パッドに重ね合わせ、電源の第1電極-導電性研磨テーブル-研磨パッドの厚さを貫通する孔内の化学液体-導電性ウェーハ基板-導電性研磨ヘッド-電源の第2電極の間の通電回路を確立することができる。電源の第1電極及び第2電極の極性は、設計されるウェーハ基板の表面の電気化学的反応によって決定される。導電性炭化ケイ素のウェーハ基板を例にとって、研磨パッド孔内に導電性化学液体が収容され、電気化学的反応において、研磨テーブルの上板が陰極であり、ウェーハ基板の表面(研磨ヘッド)が陽極である時、導電性炭化ケイ素のウェーハ基板の表面を酸化することができる。
【0039】
導電性ウェーハ基板の電気化学的機械研磨/平坦化プロセスにおいて、研磨テーブル及び研磨テーブルの上面に貼り合わせた研磨パッドは研磨テーブルの軸心の周りを回転し、研磨ヘッドの基板は研磨ヘッドの軸心の周りを回転し、且つ研磨テーブルに対して移動することができ、ウェーハ基板は研磨ヘッドの回転に伴って、研磨パッドに重ね合わせるが、研磨パッドに対して移動する。導電性ウェーハ基板の表面は、研磨パッドの孔領域を通過する時に電気化学的反応が発生し、研磨パッドの孔でない領域を通過する時に化学的機械研磨/平坦化が行われる。ウェーハ基板が研磨ヘッドの回転に伴って研磨テーブルに対して移動する時、導電性ウェーハ基板の表面で電気化学的反応と化学的機械研磨/平坦化を連続して繰り返して完了することができ、それにより導電性ウェーハ基板の表面の電気化学的機械研磨/平坦化を実現する。
【0040】
本発明の有益な効果は以下を含む。1)導電性ウェーハ基板の電気化学的機械研磨は、機械的研磨又は従来の化学的機械研磨/平坦化と比較して、ウェーハ基板の表面に電気化学的反応を導入し、基板材料の除去速度、研磨/平坦化の効率が大幅に向上し、機器運用コストが大幅に削減される。2)タイプ1の従来の電気化学的機械研磨機器と比較して、回路の設計がより簡単である。研磨パッドの上面の導電性コンタクトヘッドがないと、ウェーハ基板の研磨面の欠陥率を大幅に低下させ、表面の滑らかさを向上させ、表面金属汚染と粒子汚染を減少させ、同時に研磨パッドの寿命を延長し、消耗品のコストを削減することができる。3)タイプ2の従来の電気化学的機械研磨装置と比較して、電気化学的機械研磨プロセスにおいて、電気化学的反応及び化学的機械研磨速度は独立して制御可能、調整可能であり、ウェーハ基板の表面の電気化学的機械研磨速度を領域ごとに調節可能であり、また、ウェーハ基板の着脱が簡単且つ迅速である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の構造概略図である。
図2】本発明における作用層の上面図である。
図3】本発明における研磨パッドの断面図であり、この時に研磨パッドは単層構造である。
図4】本発明における研磨パッドの断面図であり、この時に研磨パッドは二層構造であり、下層は絶縁層である。
図5】本発明における研磨パッドの断面図であり、この時に研磨パッドは二層構造であり、下層は導電層である。
図6】本発明における研磨パッドの断面図であり、その外輪にリブがあり、且つリブは同質材料である。
図7】本発明における研磨パッドの断面図であり、その外輪にリブがあり、且つリブは異質材料である。
図8】本発明における研磨ヘッドの断面図である。
図9】本発明における軽質金属板の上面図である。
図10】本発明における軽質金属板の断面図である。
図11】本発明における研磨テーブルの構造概略図である。
【0042】
ここで、1-電源、11-アクセスポイント、12-導線、2-研磨テーブル、21-研磨上板、22-研磨下板、23-回転中心軸、3-研磨パッド、31-作用層、311-孔、32-絶縁層、33-導電層、34-リブ、4-化学液体、41-化学液体供給システム、5-導電性ウェーハ基板、51-導電性ウェーハ基板の研磨面、6-研磨ヘッド、71-第1圧力媒体チャンバ、72-第2圧力媒体チャンバ、73-吸着アセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0043】
当業者が本発明の方法をより良く理解するために、以下、本発明の実施例における図面と合わせて、発明の実施例における技術的解決手段を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要することなく、得られた全ての他の実施例は、何れも本発明の請求範囲に属するべきである。
【0044】
導電性ウェーハ基板を処理する電気化学的機械研磨及び平坦化機器であって、電源1と、電源1の第1電極に接続されると共に導電性を有する研磨テーブル2と、研磨テーブル2の上面に設置された研磨パッド3と、電源1の第2電極に接続されると共に導電性を有する研磨ヘッド6と、を含む。
【0045】
本実施例において、第1電極は負極であり、第2電極は正極である。その他の実施例において、第1電極は正極であり、第2電極は負極であってもよい。
【0046】
研磨テーブル2は研磨テーブルの軸心の周りを回転することができ、研磨ヘッド6は研磨ヘッドの軸心の周りを回転することができ、且つ研磨テーブル2に対して移動することができる。
【0047】
電源1は、電気化学的回路に安定した定電流又は定電圧を供給し、電源1は電流≦20Aの定常電流電源であってもよく、或いは、電源1は電圧≦220Vの定常電圧電源である。
【0048】
研磨パッド3は、導電性ウェーハ基板5の研磨面51に重ね合わせ可能で、絶縁材質で製造された、厚さ方向を貫通し、導電性を有する化学液体4が収容された孔311を有する作用層31を少なくとも含む。ウェーハ基板の表面は、作用層31の孔領域に電気化学的反応が発生し、作用層31の孔でない領域に化学的機械研磨が行われる。
【0049】
上記導電性ウェーハ基板5の研磨面において作用層31の孔領域で電気化学的反応が発生し、電気化学反応層を形成するステップ及び形成した電気化学反応層において作用層31の孔でない領域で化学的機械研磨が行われるステップについては、同じ時間に孔領域の電気化学的反応が発生し、電気化学的反応の形成層が形成され、その他の孔でない領域に電気化学反応層の化学的機械研磨が行われるように2つのステップは同期して実施されてもよく、導電性ウェーハ基板5の研磨面において作用層31の孔領域でまず電気化学的反応が発生し、電気化学反応層を形成し、続いて作用層31の孔でない領域に電気化学反応層の化学的機械研磨が行われ、上記ステップを繰り返すように2つのステップは非同期に実施されてもよい。
【0050】
研磨ヘッド6の下面は導電性ウェーハ基板5の研磨面51の裏面に重ね合わせることができ、導電性ウェーハ基板5が研磨パッド3に対して移動するように駆動される。導電性研磨ヘッド6に導電性ウェーハ基板5が装着され、研磨パッド3に移動し、導電性ウェーハ基板5の研磨面51及び研磨パッド3には、電気化学的反応を行うために大量の孔311内の導電性化学液体4が均一に分布され、導電性ウェーハ基板5の裏面に下への圧力を加えることによって、電源1、研磨テーブル2、化学液体4、導電性ウェーハ基板5、研磨ヘッド6、電源1は通電回路を順次形成して、導電性ウェーハ基板5の研磨面51に電気化学反応層を形成する。研磨ヘッド6は導電性ウェーハ基板5が研磨パッド3に対して移動するように駆動される時、当該電気化学反応層と作用層31の孔でない領域は互いに作用して、電気化学反応層に対する化学的機械研磨を実現する。
【0051】
図2に示すように、孔311の数は複数であり、その直径は3mm以上、即ち図2においてR≧3mmである。孔311は円形であり、配列状に分布されるか又は同心円状に分布される。孔311は他の任意の形状であってもよく、任意に分布されてもよい。孔311の総面積は作用層31の面積の5%~70%を占め、好ましい方法において、孔311の総面積は作用層31の面積の5%~50%を占める。上記面積の設定は、電気化学的反応速度を最適化すると同時に、電気化学反応層の形成速度と化学的機械研磨された速度との一致を実現することができる。
【0052】
孔311の形状は制限されず、矩形又は正六角形又はスター形であってもよい。
【0053】
図3に示すように、研磨パッド3は単層構造の絶縁型研磨パッドであってもよく、この時に研磨パッド3全体が作用層31である。
【0054】
図4に示すように、研磨パッド3は、二層又は多層構造であってもよい。二層構造でも多層構造でも、その最上層は作用層31であり、その下部の一層又は多層は、絶縁層32であり、且つ孔311は研磨パッド3の厚さ方向全体を貫通し、即ち孔311は作用層31から下の絶縁層32に延伸する。
【0055】
研磨パッド3は、二層又は多層構造であってもよい。二層構造でも多層構造でも、その最上層は作用層31であり、その下部の一層又は多層は、図5に示すように完全閉鎖構造であるか、孔311に連通する穿孔を有する導電層33である。ここでの連通は完全な向合い連通であってもよく、部分的な向合い連通であってもよい。
【0056】
上記研磨テーブル2に研磨パッド3の外縁を配置するか、或いは、上記研磨パッド3の外縁は、研磨パッド3の上面から上へ突起し、研磨パッドの上面に対する高さがH≦3mm、即ち研磨パッド3の上面の高さよりも3mm程度高いリブ34を形成する。当該リブは図6に示すように、研磨パッド3と同じ材質で縁部の高さを上げた構造であってもよく、当該リブは図7に示すように、研磨パッド3の外輪に異質材料が被覆された高度増加層であってもよく、当該リブ34の高度を増加させる異質材料は、プラスチックなどの硬質耐食性材料であってもよく、ゴムなどのフレキシブル材料であってもよい。
【0057】
図8に示すように、研磨ヘッド6は、導電性ウェーハ基板5の上下移動ストロークを制御するための第1圧力媒体チャンバ71と、吸着アセンブリ73を制御するための少なくとも1つの第2圧力媒体チャンバ72と、を含み、第2圧力媒体チャンバ72内部の気圧を変化させることによって、即ち第2圧力媒体チャンバ72に対する加圧又は真空操作によって、吸着アセンブリ73の形態又はストロークを変化させることで、吸着アセンブリ73の導電性ウェーハ基板5に対する吸着又は解放を実現することができ、具体的な機能の実現は従来技術であり、ここでその説明を省略する。
【0058】
図11に示すように、研磨テーブル2は、両方が同心同軸に設置され、且つ回転中心軸23とも同心同軸に設置された研磨上板21及び研磨下板22を含み、研磨下板22は回転中心軸23に接続される。伝動装置の駆動下で、研磨上板21と研磨下板22は同軸に回動し、回動速度を制御可能である。
【0059】
研磨パッド3は、研磨上板21の上面に接着し、導電性ウェーハ基板5の研磨面51と直接接触し、研磨パッド3上の孔311及び化学液体4は、電気化学的反応のためにチャネルを提供し、研磨パッド3の孔でない領域は、電気化学反応層の化学的機械研磨のために担持面を提供する。
【0060】
研磨上板21は金属材質又は合金材質で製造され、電源1からの導線12は回転中心軸23を通じて研磨上板21に接続される。具体的には、研磨上板21はアルミニウム合金又はチタン合金であってもよく、アルミニウム合金又はチタン合金の表面にプラチナ層がメッキされてもよい。
【0061】
研磨上板21は温度制御装置に接続され、研磨パッドの温度センサによって値をフィードバックし、機器制御システムは、温度調節命令を送信し、温度制御装置によって、研磨パッドの加熱と冷却を含む温度制御を実現する。加熱又は冷却は、研磨上板の裏面の循環水路の水温調節によって実現することができる。
【0062】
研磨板の循環水路システムは、1つ又は複数の給水口及び1つ又は複数の排水口を含み、循環水路は独立した環状チャンバであってもよく、相互連通するチャンバであってもよい。
【0063】
電気化学的機械研磨及び平坦化機器に必要な化学液体を提供するために、研磨パッド3に化学液体4を移送するために用いられ、化学液体4を研磨パッド3の上面に移送することができる化学液体供給システムを更に含み、プロセス中に研磨テーブル2の回転により、上記化学液体供給システムは、電気化学的研磨パッド3の貫通孔311内に化学液体4を均一に配布する。化学液体供給システムはまた、研磨上板21から孔311の底部に化学液体4を移送することができ、研磨上板21に液体供給チャネルを備える必要がある。
【0064】
上記化学液体供給システム41は、化学液体の流量を制御することができ、化学液体4の排出量を調節するための流量制御ユニットを備えてもよく、又は化学液体の温度を制御することができ、化学液体4の排出温度を調節するための温度制御ユニットを備えてもよく、又は化学液体の濃度を制御することができ、化学液体4の排出濃度を調節するための濃度制御ユニットを備えてもよい。
【0065】
化学液体4は、具体的に酸性又はアルカリ性溶液に研磨ナノ粒子が分散して形成された研磨液であってもよく、そのpH>8又はpH<5である。化学液体4は、研磨液と電解液との混合溶液であってもよく、電解液は、導電に必要な陰イオン及び陽イオンを研磨液に提供する。化学液体4に、過マンガン酸カリウム又は過酸化水素などの強力な酸化性を有する溶媒を添加することができる。
【0066】
上記電気化学的機械研磨及び平坦化機器を利用した実施方法は、以下のステップを含む。
【0067】
(a)導電性研磨ヘッドは、研磨ヘッド内の第2圧力媒体チャンバの圧力を制御することにより、載置台に導電性ウェーハ基板を載置し、電気化学的研磨パッドの真上に移送する。
【0068】
(b)化学液体供給システムは、化学液体を研磨パッドの上に移送し、研磨パッドと研磨テーブルの同軸回転により化学液体を研磨パッドの溝と孔内に充填する。
【0069】
(c)研磨ヘッドの第1、第2圧力媒体チャンバのエアバッグが加圧され、導電性ウェーハ基板が研磨ヘッドのフレキシブル部材によって押し下げられ、研磨面は研磨パッドの上面と接触する。導電性ウェーハ基板の裏面は研磨ヘッドのフレキシブル部材と接触し、リード線を介して研磨ヘッドの回転中心軸によって電源の第2電極に接続され、同時に導電性ウェーハ基板の研磨面は研磨パッド孔内の化学液体と接触し、化学液体は研磨上板と接触し、研磨上板はリード線を介して研磨下板と研磨テーブルの回転中心軸によって電源の第1電極に接続され、電気化学的機械研磨及び平坦化の電流導通回路を形成する。表面導電性ウェーハ基板の場合、研磨ヘッドのフレキシブル部材にある導電コイルの交流電流を制御することにより、表面導電性ウェーハ基板に渦電流を形成し、この渦電流と研磨テーブルとの間に電流回路を確立することができる。
【0070】
(d)研磨ヘッドの自転、スイング及び研磨パッドの自転により、導電性ウェーハ基板の研磨面と、孔内の化学液体との十分な接触を実現する。
【0071】
(e)導電性ウェーハ基板は、化学液体及び電流回路の作用下で、研磨面で電気化学的反応を引き起こし、電気化学反応層を形成する。
【0072】
(f)研磨ヘッドが自転し、研磨パッドと研磨テーブルが共通回転し、研磨ヘッドが研磨テーブル上で相対的に移動し、導電性ウェーハ基板の研磨面が電気化学的反応接点と化学的機械研磨点との間で交互に切り替え、研磨パッドの孔領域で電気化学的反応を引き起こして電気化学反応層を形成し、電気化学反応層が孔でない領域で化学的機械研磨を行い、反応層で研磨した後に孔領域に移送されて電気化学的反応を引き起こして電気化学反応層を形成し、電気化学反応層が孔でない領域で化学的機械研磨を行い、循環を繰り返す。
【0073】
(g)導電性ウェーハ基板の研磨面で研磨する目標材料の除去量の要件に達するまで、(d)~(f)を繰り返す。
【0074】
(h)研磨ヘッドは、第1、第2圧力媒体チャンバの圧力を制御することにより、導電性ウェーハ基板を研磨ヘッドにクランプして荷卸し台に移送し、第1、第2圧力媒体チャンバの圧力を制御することにより、導電性ウェーハ基板の荷卸しを完了させる。
【0075】
上記の具体的な実施形態は、本発明を解釈して説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本発明の精神や特許請求の範囲により請求される範囲内で、本発明に対して行われる任意の修正や変更は、何れも本発明の請求範囲に含まれる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】