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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068098
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/494 20060101AFI20240510BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240510BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240510BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20240510BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61F13/494 111
A61F13/53 200
A61F13/49 410
A61F13/514 310
A61F13/514 320
A61F13/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128582
(22)【出願日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2022178096
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】示崎 幸生
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA02
3B200BA12
3B200BA13
3B200BA16
3B200BB11
3B200BB20
3B200CA02
3B200DA03
3B200DA04
3B200DA15
3B200DA16
3B200DA21
3B200DB11
3B200DD02
3B200DD07
3B200DD09
(57)【要約】
【課題】排出液の横漏れを抑制する吸収性物品を提供することを目的とする。
【解決手段】長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った長さとを有する吸収性物品であって、前記長手方向の中央部に設けられた股下領域の前記幅方向に括れを有する吸収体と、前記吸収体の前記幅方向の端部と重畳し、前記吸収体の肌面側と非肌面側を覆う、前記吸収体の前記幅方向の端部と重畳する範囲に配置され、エンボス図形を有するエンボス部を設けた一対の防漏シートと、前記一対の防漏シートの肌面側端部である自由端に付され、前記長手方向に伸縮する伸縮部材と、を、備える、吸収性物品。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った長さとを有する吸収性物品であって、
前記長手方向の中央部に設けられた股下領域の前記幅方向に括れを有する吸収体と、
前記吸収体の前記幅方向の端部と重畳し、前記吸収体の肌面側と非肌面側を覆う、前記吸収体の前記幅方向の端部と重畳する範囲に配置され、エンボス図形を有するエンボス部を設けた一対の防漏シートと、
前記一対の防漏シートの肌面側端部である自由端に付され、前記長手方向に伸縮する伸縮部材と、
を、備える、
吸収性物品。
【請求項2】
前記エンボス部は、少なくとも前記股下領域に設けられている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記一対の防漏シートは、重ねられた二層の長繊維不織布シートを有し、
前記エンボス部において、前記二層の長繊維不織布シートを接着している、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記エンボス図形は、前記エンボス部において、所定の間隔を開けて複数配置されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記エンボス図形は、角を有さない、
請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記エンボス部は、前記一対の防漏シートが前記吸収体の非肌面側を覆っている部分を含んで設けられている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記エンボス部は、剛性を有している、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記一対の防漏シートは、前記吸収体の肌面側の前記幅方向の端部近傍を起立端として肌面側かつ前記幅方向の内側に向けて起立して防漏壁下部領域を形成し、更に、前記長手方向に伸縮する前記伸縮部材の近傍で屈曲して前記幅方向の外側に向けて起立して肌面に当接する防漏壁上部領域を形成し、
着用時、前記防漏壁下部領域は前記防漏壁上部領域に覆われており、
前記エンボス部は、前記防漏壁下部領域を含んで設けられている、
請求項1~7のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記防漏壁下部領域に設けられた前記エンボス部に含まれる前記エンボス図形は、前記吸収体の前記幅方向の端部と重畳する範囲に設けられた前記エンボス部に含まれる前記エンボス図形よりも面積が小さく、且つ、配置間隔が広い、
請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収体の前記幅方向の端部と、前記一対の防漏シートとの間に配置された非透水性のシートを備える、
請求項1~7のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収体の前記幅方向の端部と重畳する範囲において、前記非透水性のシートと、前記一対の防漏シートとの間に、親水性のシートを備える、
請求項10に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収体の非肌面側に配置された、前記吸収体よりも幅広の外装体を更に備え、
前記外装体は、前記一対の防漏シートの非肌面側を覆っている、
請求項1~7のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記一対の防漏シートは、前記エンボス部が設けられている範囲において、前記外装体とは接着されていない、
請求項12に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
トップシートの長手方向における側方に、長手方向に延在する立体ギャザーを設ける吸収性物品が開示されている(例えば特許文献1)。このような吸収性物品では、立体ギャザーがトップシートに対して起立することでトップシートの長手方向における側方から、尿や水様便等の排出液が漏れることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-068464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立体ギャザーを形成するシートは排出液の横漏れを防ぐために非透水性であることが求められるが、着用者の肌面と当接する部材でもあるため、着用者の違和感を抑えることも求められる。このため、当該シートには樹脂製フィルムのように完全な非透水性を有するものではなく、液体を通しにくい不織布シートが通常用いられる。しかし、不織布シートを構成する繊維間の隙間を完全になくすことは困難である。環境によっては排出液が繊維間から染み出し、横漏れの原因となることがある。
【0005】
上記課題を解決するため、本発明では、排出液の横漏れを抑制する吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った長さとを有する吸収性物品であって、前記長手方向の中央部に設けられた股下領域の前記幅方向に括れを有する吸収体と、前記吸収体の前記幅方向の端部と重畳し、前記吸収体の肌面側と非肌面側を覆う、前記吸収体の前記幅方向の端部と重畳する範囲に配置され、エンボス図形を有するエンボス部を設けた一対の防漏シートと、前記一対の防漏シートの肌面側端部である自由端に付され、前記長手方向に伸縮する伸縮部材と、を、備える、吸収性物品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排出液の横漏れを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る大人用のパンツ型使い捨ておむつの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るおむつの分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るおむつの展開図の一例である。
図4図4は、立体ギャザー部分の詳細図の一例である。
図5図5は、接着部近傍の部分拡大図の一例である。
図6図6は、サイドシートの形態を示す図である。
図7図7は、サイドシートの別の形態を示す図である。
図8図8は、おむつに組み込んだエンボス部を含むサイドシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係るおむつについて説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本開示はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態に係る大人用のパンツ型使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)の斜視図である。おむつにおいて、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、おむつが着用者に着用された状態において、着用者の肌に向かう側を肌面側とし、肌面側の反対側を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。おむつ1は、長手方向に沿った長さと、長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有し、着用者の股下に装着される。また、本願で用いる方向に関する用語は、おむつ1が着用者に着用された状態において該着用者の前後左右に一致する方向を意味するものとする。例えば、本願で左右方向という場合、おむつ1の着用者に着用された状態において該着用者の左右に一致する方向を意味する。
【0011】
本実施形態では、吸収性物品の一例として、着用者の腹囲が入る開口部と、着用者の左下肢及び右下肢が挿通される左右一対の開口部とを有する筒状構造のパンツ型使い捨ておむつを例示するが、本願でいう「吸収性物品」は、大人用のパンツ型使い捨ておむつに限定されるものでない。本願でいう「吸収性物品」には、子供用のパンツ型使い捨ておむつが含まれる。また、着用者の股下(陰部)を前身頃から後身頃にかけて覆うシート状の部材の一端部付近に固定されたテープを、該シート状の部材の他端部付近に貼り付けることで筒状構造を形成するテープ型使い捨ておむつ等、腹囲と股下を包み得る各種形態の吸収性物品が含まれる。
【0012】
おむつ1は、着用状態において着用者の陰部(股下)を覆う股下領域に対応する部位である股下領域1Bと、着用者の胴周りにおける前身頃に対応する部位であって着用者の腹部側を覆うための前身頃領域1Fと、着用者の胴周りにおける後身頃に対応する部位であって着用者の背部側を覆うための後身頃領域1Rとを有する。ここで、前身頃領域1Fは股下領域1Bの前側に位置し、後身頃領域1Rは股下領域1Bの後側に位置する。本実施形態におけるおむつ1は、パンツ型の使い捨ておむつであるため、前身頃領域1Fの左側の縁と後身頃領域1Rの左側の縁は互いに接合され、前身頃領域1Fの右側の縁と後身頃領域1Rの右側の縁は互いに接合されている。よって、おむつ1には、前身頃領域1Fの上側の縁と後身頃領域1Rの上側の縁とによって胴開口部2Tが形成されている。また、おむつ1には、上記接合が施されない股下領域1Bの左側の部位に左下肢開口部2Lが形成され、股下領域1Bの右側の部位に右下肢開口部2Rが形成されている。そして、おむつ1は、着用者の左下肢が左下肢開口部2Lに挿通され、着用者の右下肢が右下肢開口部2Rに挿通され、着用者の胴部が胴開口部2Tに入るように着用されると、前身頃領域1Fが着用者の腹部側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背部側に配置され、左下肢開口部2Lと右下肢開口部2Rが着用者の大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で自由に行動することができる。
【0013】
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域1B付近を中心に配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の左下肢の大腿部を取り巻く左下
肢開口部2Lに立体ギャザー3BLが設けられ、着用者の右下肢の大腿部を取り巻く右下肢開口部2Rに立体ギャザー3BRが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3Rが設けられている。また、着用者の脚の付け根を取り巻く位置には、レグギャザー3LL,3LRが設けられている。立体ギャザー3BL,3BRとウェストギャザー3Rは、糸ゴムの弾性力で着用者の肌に密着する。また、レグギャザー3LL,3LRは、着用者の脚の付け根とおむつ1との間に隙間が生まれるのを防ぐ。よって、着用者の陰部から排出される排出物は、おむつ1から殆ど漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。
【0014】
おむつ1は、図示しないインナーパッドと組み合わせて使用することができる。インナーパッドは、吸収体を備える略長方形の吸収性物品であり、排出液を吸収する。おむつ1とインナーパッドとを組み合わせて使用する場合、おむつ1の吸収体の更に肌面側に、着用者の排出孔と当接するようにインナーパッドを置く。排出液は、まずインナーパッドに吸収され、インナーパッドで吸収できなかった排出液のみがおむつ1の吸収体に到達し、更に吸収される。このため、排出液の量が多い場合でも、排出液がおむつ1から漏出するのを防ぐことができる。また、排出液の量が少なく、インナーパッドで全て吸収できる場合には、排出液が発生してもインナーパッドのみを交換すればよいので、介助コストを軽減できる。また、おむつ1を長時間使用できる。
【0015】
図2は、実施形態に係るおむつ1の分解斜視図である。おむつ1は、カバーシート4とインナーカバーシート5とを有する。カバーシート4とインナーカバーシート5は、貼り合わされておむつ1の外表面を形成する略砂時計形状(瓢箪形状)のシートであり、前身頃領域1F側の端部と後身頃領域1R側の端部以外は同形状である。着用者に着用された状態において、カバーシート4は着用者の非肌面側、インナーカバーシート5は肌面側に積層されている。カバーシート4とインナーカバーシート5の間には、ウェストギャザー3Rとレグギャザー3LL,3LRを形成するための糸ゴムが設けられている。なお、糸ゴムに代えて帯状のゴム等の伸縮部材を適宜選択できる。カバーシート4とインナーカバーシート5は、本願でいう「外装体」の一例である。なお、外装体は、おむつ1の前身頃領域1F側を覆う前身頃領域側外装体と、おむつ1の後身頃領域1R側を覆う後身頃領域側外装体の別体とすることもできる。前身頃領域1Fと後身頃領域1Rとで外装体を別体とする場合、股下領域1Bにおいて吸収体の非肌面側を覆うパッドカバーシートを別途設け、前身頃領域側外装体と、後身頃領域側外装体の両方と接着していてもよい。
【0016】
カバーシート4とインナーカバーシート5は、例えば、排出物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。ここで、液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。
【0017】
おむつ1は、カバーシート4とインナーカバーシート5の着用者側の面において順に積層されるバックシート6と、吸収体8と、トップシート9とを有する。バックシート6は、着用者の前身頃から股下を経由して後身頃へ届く長さを長手方向に有し、当該長手方向に対し直交する幅方向に所定の横幅を有する略直方体のシートである。吸収体8、トップシート9は、何れもバックシート6と同様に略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がバックシート6の長手方向と一致する状態で、バックシート6に対して順に積層されている。バックシート6は、排出物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。また、トップシート9は、吸収体8の吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート9は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ1が着用された状態において、着用者から排出された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート9を通って吸収体8に浸入し、そこで吸収される。液透過性のシートとしては、例えば、
織布、不織布、多孔質フィルムが挙げられる。また、トップシート9は親水性を有していてもよい。バックシート6は、本開示における非透水性のシートの一例である。
【0018】
吸収体8は、マットからなる吸収コア8cと、吸収コア8cを包み込むコアラップシート7(本開示の「透水性シート」の一例)とを有する。吸収コア8cは略砂時計型である。吸収コア8cは、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂(高分子吸収材)を保持させた構造を有する。吸収コア8cは、着用者から排出された液体を吸収すると、短繊維内の隙間に保持された吸収性樹脂を膨潤させて該液体を短繊維内に保持する。本実施形態では、吸収コア8cは中央部付近が括れた略砂時計型である。吸収コア8cは、目的に応じた適宜の形状を採ることができる。吸収コア8cの形状としては、例えば、矩形状、楕円形状、その他各種の形状が挙げられる。
【0019】
なお、吸収コア8cを、複数の吸収マットから形成することも可能である。この場合、形の異なる吸収マットを重畳して吸収コア8cとしてもよい。一例としては、吸収コア8cを肌面側の上層吸収マットと非肌面側の下層吸収マットの2枚のマットから構成してよい。上層吸収マットの形状を上述の略砂時計型として、下層吸収マットを、上層吸収マットの広幅部よりも幅狭の矩形状とし、下層吸収マットの幅を、上層吸収マットのくびれ部の幅と略同一としてよい。
【0020】
コアラップシート7は、薄い液透過性のシートであり、吸収コア8cをコアラップシート7で包むことにより、上述の吸収コア8cのSAPが他の構造に混入しにくくなる。また、吸収コア8cの型崩れが抑制される。コアラップシート7は、パルプ繊維で形成することができ、一例としてはティッシュペーパーを用いることができる。コアラップシート7は、1枚のシートでもよいが、着用者の肌側に配置された上側シートと、着用者の非肌面側に配置され、吸収コアの側面と肌面側に回り込む下側シートの2枚のシートで構成されていてもよい。コアラップシート7が2枚のシートで構成されている場合、上側シートの幅方向端部が他のシート(例えば、後述するサイドシート10L,10R、バックシート6、トップシート9)に包まれる構造になっていてもよい。なお、吸収体8はバックシート6とトップシート9に包まれており、これらのシートによっても型崩れを抑制できるため、コアラップシート7を設けないこともできる。
【0021】
バックシート6、吸収体8、トップシート9は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート6、吸収体8、トップシート9を積層して着用者の陰部(股下)を覆うと、バックシート6、吸収体8、トップシート9の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体8に覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート9を介して吸収体8に接触することになる。
【0022】
また、おむつ1は、上述した立体ギャザー3BL,3BRを形成するための細長い帯状のサイドシート10L,10Rを有する。サイドシート10L,10Rは、トップシート9の長辺の部分に設けられる。そして、サイドシート10L,10Rには糸ゴム10L1,10R1が長手方向に沿って接着されている。よって、カバーシート4の、前身頃領域1Fの左側の縁となる縁4F4と、後身頃領域1Rの左側の縁となる縁4R4とが互いに接合され、且つ、カバーシート4の、前身頃領域1Fの右側の縁となる縁4F5と、後身頃領域1Rの右側の縁となる縁4R5とが互いに接合されることにより、図1に示したよ
うな完成状態のおむつ1になると、サイドシート10L,10Rは、糸ゴム10L1,10R1の収縮力で長手方向に引き寄せられて折り返し線10L2,10R2に沿ってトップシート9から立ち上がる。その結果、左下肢開口部2L及び右下肢開口部2Rからの液体の流出を防ぐ立体ギャザー3BL,3BRが形成される。サイドシート10L,10Rは、排出液の横漏れを防ぐ防漏シートとしての機能を有している。なお、縁4F4及び縁4R4、縁4F5及び縁4R5の接合方法は特に限定されないが、例えば、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等によって行うことができる。
【0023】
サイドシート10L、10Rは、スパンボンド、メルトブローン等の長繊維不織布から構成される。不織布の素材としては、ポリプロピレン、ポリエステル、またポリプロピレン、ポリエステルの複合が用いられてよい。そして、サイドシート10L,10Rの肌面側には、立体ギャザー3BL,3BRが設けられている。立体ギャザー3BL,3BRは、端部を着用者の肌面に当接させ、排出液の横漏れを防止する機能を有している。このため、立体ギャザー3BL,3BR非透水性であることが望ましく、非透水性のみを考えれば、樹脂製フィルムを用いることがより好適である。しかし、サイドシート10L,10Rは、特に立体ギャザー3BL,3BRの肌面側端部である自由端において着用者の肌面と当接する。サイドシート10L,10Rに樹脂製フィルムを用いると、着用者に違和感を与える虞がある。このため、サイドシート10には、一定の通気性を有し、肌当たりがよい長繊維不織布が用いられる。サイドシート10L,10Rは、本開示における一対の防漏シートの一例である。
【0024】
更に、おむつ1は、バックシート6、吸収体8、トップシート9、サイドシート10L,10Rを挟んで、カバーシート4の前身頃領域1Fにおいて着用者側の面に積層されるエンドシート11Fと、カバーシート4の後身頃領域1Rにおいて着用者側の面に積層されるエンドシート11Rとを有する。エンドシート11F,11Rは、トップシート9の長手方向における一端側においてカバーシート4に重ねられる短冊状のシートである。エンドシート11F,11Rは非透水性の不織布であり、主におむつ1の胴回り当接部分においてカバーシート4を補強する。また、エンドシート11F,11Rは、バックシート6、吸収体8、トップシート9、サイドシート10L、10Rにより形成される積層体より肌面側に配置され、積層体の端が肌面に直接触れて着用者に違和感を与えるのを防ぐ。
【0025】
図3は、実施形態に係るおむつ1を展開し、伸長した状態を模式的に示した図である。図3(A)は、展開及び伸長した状態のおむつ1を左側から見た場合の内部構造を模式的に示している。図3(B)は、展開及び伸長した状態のおむつ1の平面図を模式的に示している。なお、図3(B)では、サイドシート10L,10Rおよびエンドシート11F,11Rの図示は省略する。カバーシート4は、図2に示す折り返し線4FF、4RFにおいて一端側が折り返されている。上述したウェストギャザー3Rは、カバーシート4の前身頃領域に糸ゴム(糸状のゴム)4F1,4F2が接着され、カバーシート4の後身頃領域に糸ゴム(糸状のゴム)4R1,4R2が接着されることで形成される。糸ゴム4F1,4F2は、折り返されると前身頃領域1Fの上側の縁を形成することになる折り返し線4FF沿いに、折り返し線4FF側から糸ゴム4F1、糸ゴム4F2の順に設けられている。糸ゴム4R1,4R2も、糸ゴム4F1,4F2と同様、折り返されると後身頃領域1Rの上側の縁を形成することになる折り返し線4RF沿いに、折り返し線4RF側から糸ゴム4R1、糸ゴム4R2の順に設けられている。
【0026】
このため、糸ゴム4F1,4F2は、伸縮方向となる胴回り方向がおむつ1の左右方向となる向きでカバーシート4に設けられることになる。また、糸ゴム4R1,4R2は、伸縮方向となる長手方向がおむつ1の左右方向となる向きでカバーシート4に設けられることになる。よって、縁4F4と縁4R4が互いに接合され、縁4F5と縁4R5が互いに接合されると、糸ゴム4F1,4F2と糸ゴム4R1,4R2は、胴開口部2Tに沿っ
て周回する実質的に環状の伸縮部材を形成し、胴開口部2Tを胴周り方向に収縮させる機能を発揮する。すなわち、糸ゴム4F1,4F2と糸ゴム4R1,4R2は、収縮力を発揮しておむつ1を着用者に密着させ、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。複数の糸ゴム4F2,糸ゴム4R2のうち股下領域1B側の一部は、吸収体8と重畳する。
【0027】
糸ゴム4F1,4R1は、図1に示した前身頃領域1F,後身頃領域1Rの上側の縁となる部分に沿って左右方向に延在するように設けられている。糸ゴム4F2,4R2は、所定の間隔を空けて平行に設けられている。糸ゴム4F1,4R1は、おむつ1が着用された状態において、着用者の腹囲を糸ゴム4F2,4R2よりも上側で比較的強く締め付ける。糸ゴム4F1,4R1は、おむつ1を着用者に密着させて着用位置がずれるのを防止し、腹部や背部から排出物が漏出するのを防ぐ機能を担う。糸ゴム4F2,4R2は、糸ゴム4F1,4R1の収縮力に起因する着用者への圧迫感を緩和する。また、インナーパッドを用いる場合には、インナーパッドのずれを抑制する。
【0028】
更に、カバーシート4には糸ゴム4F3と糸ゴム4R3が接着されている。糸ゴム4F3,糸ゴム4R3は、カバーシート4のうち糸ゴム4F2,4R2よりも股下領域1B側の領域に設けられる伸縮部材である。ただし、糸ゴム4F3,4R3は、カバーシート4の左端から右端まで屈曲することなく接着されている他の糸ゴムとは異なり、股下領域1Bの方向に湾曲して配置されている。このように、糸ゴム4F3,4Rが湾曲して配置されていることで、糸ゴム4F3,4R3の配置領域は、左下肢開口部2Lおよび右下肢開口部2Rの周囲を着用者の肌面と当接させる、レグギャザーとしての機能を有している。
【0029】
前身頃領域1F側における糸ゴム4F3は、吸収体8を幅方向に横断し、幅方向に連続している。糸ゴム4F3が吸収体8を幅方向に横断している部分は、着用者の恥骨付近に対応する。なお、着用者の尿道口は、糸ゴム4F3が吸収体8を横断している部位から更に股下側で、おむつ1の肌面側に当接する。
【0030】
一方、後身頃領域1R側における糸ゴム4R3は、砂時計型の吸収コアの括れ部分で、吸収コア8cの幅方向外側と重畳しているが、吸収体8を幅方向に横断していない。糸ゴム4R3の配置領域は、吸収体8付近で着用者の臀部と当接する。後身頃領域1Rでは、おむつ1は着用者の臀部にかかる圧力により、前身頃領域1Fよりも強く押圧される。このため、糸ゴム4R3を吸収体8の幅方向中央部には設けずに、吸収体8の幅方向端部同士を引き離すように付勢しておくことで、おむつ1は、着用者に対して、適切な密着力で当接する。
【0031】
カバーシート4は、折り返し線4FF、4RFで折り返されて糸ゴム4F1,糸ゴム4R1の配置領域まで延在し、その折り返された部分で糸ゴム4F1、糸ゴム4R1の配置領域を補強している。エンドシート11F,11Rは、折り返し線4FF、4RFで折り返されたカバーシート4が延在していない糸ゴム4F2、糸ゴム4R2の配置領域に設けられ糸ゴム4F2、4R2の配置領域を補強している。
【0032】
なお、本願においてシートが重なる状態とは、重ね合わされるシート同士が互いに全面的に接触する状態で重なる形態に限定されるものでなく、シートの一部分同士が重なる形態を含む概念である。例えば、エンドシート11Fは、バックシート6の長手方向における一端側の一部分が、カバーシート4の一部分に触れる状態で重ねられる。おむつ1は、吸収体8を間に挟んだバックシート6及びトップシート9の他、カバーシート4、エンドシート11F,11R、インナーカバーシート5、サイドシート10L,10Rが積み重なって形成されているため、これら複数のシートを積み重ねた積層体を有していると言える。
【0033】
次に上記のようなおむつ1の立体ギャザー3BL、3BR部分の構造の詳細を説明する。図4(A)は、立体ギャザー3BL、3BRが起立する前の断面図の一例である。図4(B)は、立体ギャザー3BL、3BRが起立した後の断面図の一例である。なお、図4(A)および図4(B)に示される断面図は、股下領域1Bの吸収コア8cの括れ部分における断面図であり、長手方向に対して直交する幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
【0034】
図4(A)に示されるように、コアラップシート7は吸収コア8c全体を被覆する。なお、図4(A)における吸収コア8cの幅方向端部に空間が生じているのは、コアラップシート7が前身頃領域および後身頃領域における吸収コア8caの幅に合わせて直方体状の形状をしている(本開示の「透水性シートの幅は略一定」であることの一例)が、股下領域1Bにおいて吸収コア8cは幅方向に括れているためである。コアラップシート7は、このように前身頃領域および後身頃領域における吸収コア8caの幅に合わせて直方体状の形状をなすことで、砂時計型の形状である吸収体8全体の型崩れを防止することができる。
【0035】
また、このようなコアラップシート7をバックシート6がさらに非肌面側から被覆する。また、肌面側においてはコアラップシート7およびバックシート6と重なるようにトップシート9が積層されている。また、サイドシート10L、10Rは、これらの積層体を幅方向の外側から覆うように設けられている。なお、サイドシート10L、10Rは一枚の長繊維不織布シートが折り重ねられて二層構造のような状態となっている。また、サイドシート10L,10Rの肌面側の端部は、幅方向の内側から外側に折り返されており、折り返し部分に糸ゴム10L1、10R1が設けられている。
【0036】
そして、おむつ1には、サイドシート10L、10R、トップシート9およびバックシート6が互いに接着される接着部20L、20Rが設けられる。接着部20L、20Rは、図4(A)に示されるように吸収体8の幅方向端部(吸収コア8caの幅方向端部、図4(A)中点線で図示)を基準として該端部よりも外側の所定領域に設けられる。なお、接着部20L、20Rが設けられる領域や大きさはこのような例に限定されず、吸収体8の幅方向端部からサイドシート10L、10Rの幅方向外側端部までの何れかの領域に設けられていればよい。例えば、吸収体8の幅方向の端部と重ならず、該端部よりもさらに外側の領域に設けられてもよい。なお、接着部20L、20Rにおける接着は、例えばホットメルト接着剤を溶かすことで実現される。
【0037】
このような糸ゴム10L1,10R1が長手方向に収縮すると、図4(B)に示されるように糸ゴム10L1、10R1が設けられたサイドシート10L、10Rの部分は、接着部20L、20Rの端部を起立線としてトップシート9から立ち上がる。このように立ち上がった状態のサイドシート10L、10Rの部分は立体ギャザー3BL、3BRに相当する。なお、起立線となった接着部20L、20Rの端部は、図2に示される折り返し線10L2,10R2に相当する。また、糸ゴム10L1、10R1が設けられたサイドシート10L、10Rの部分には予め折り目など(本開示の「立体ギャザーの折り曲げ部」の一例)が設けられることで、図4(B)に示されるように立体ギャザー3BL、3BRは、幅方向外側に開口するコの字状となって起立する。
【0038】
また、糸ゴム10L1,10R1が長手方向に収縮することで、トップシート9の幅方向端部は、吸収コア8cの括れの最狭部22(図3(B)参照)付近と重なる部分を折り曲げ端23L、23R(本開示の「起立線」の一例)として肌面側に起立することになる。本実施形態に係るおむつ1は、着用状態において、吸収コア8cの括れの最狭部22と重なる部分を折り曲げ端23L,23Rとし、折り曲げ端よりも幅方向の外側が立ち上が
る。この構成によっても、おむつ1は、立体ギャザー3BL,3BRの肌面側端部である自由端を着用者の肌の適切な位置に当接させることが容易となる。
【0039】
図5は、図4における接着部20L、20Rおよびトップシート9の近傍の部分拡大図の一例である。なお図5では、立体ギャザー3BL、3BRは、立体ギャザー3BL、3BRを断面に見て、肌面側に直線状に起立する状態で図示される。
【0040】
なお、吸収コア8cの括れに位置する接着部20Lは、立体ギャザー3BLが起立した状態で折り曲げ端23Lから吸収体8の幅方向端部(吸収コア8cの幅方向端部に相当する位置、図4(A)においては中点線で図示)までの間に位置する。又は、吸収コア8cの括れに位置する接着部20Lは、立体ギャザー3BLが起立した状態で、幅方向において折り曲げ端23Lと重ならずに折り曲げ端23Lと吸収体8の幅方向端部との間の領域に位置してもよい。接着部20Rについても同様である。
【0041】
また、図4(A)、(B)に示されるように、吸収コア8cの括れ(図3および図4(B)参照)の最狭部22の幅方向外側の部位をサイドフラップ21L,21Rとする。サイドフラップ21L,21Rには、トップシート9、バックシート6、サイドシート10L,10Rなどのシートが積層されている。ここで、おむつ1の着用状態では、図4(B)に示されるように、股下領域1Bの吸収コア8cの幅方向端部から前記肌面側に立ち上がる。これは、サイドフラップ21L,21Rの吸収コア8cの幅方向端部側が起立時の土台となり、当該土台上のトップシート9、バックシート6、サイドシート10L,10Rが肌面側に立ち上がるためである。サイドフラップ21L,21Rは、複数のシートが積層されているため安定した土台となる。このため、股下領域1Bにおいて、吸収コア8cの幅方向端部から立体ギャザー3BL,3BRの自由端まで距離があっても、立体ギャザー3BL,3BRを安定的に肌に接触させることができる。
【0042】
また、図3に示されるように、外装面を形成するカバーシート4に伸張状態で接着された糸ゴム4F3は、厚み方向に視て吸収体8を横切っている。ここで、糸ゴム4F3が股下領域1Bを横切る領域において、カバーシート4と吸収体8とは非接着、より具体的には、当該領域においてインナーカバーシート5とバックシート6とが非接着である。このため、糸ゴム4F3の収縮によって吸収体8を縮めることなく、カバーシート4は吸収体8を肌面側に持ち上げることができる。この構成により、おむつ1は、吸収体8を腹側において着用者側に持ち上げ、着用者の腹側で立体ギャザー3BL,3BRの自由端を着用者の肌の適切な位置に当接させることが容易となる。
【0043】
上記のようなおむつ1によれば、トップシート9および立体ギャザー3BL、3BRの幅方向の内側が肌に当接することになる。よって、肌当たりをよくでき、着用者の不快感は低減される。
【0044】
また、上記のようなおむつ1によれば、立体ギャザー3BL、3BRは幅方向の内側から外側に向かって折り返されている。よって、立体ギャザー3BL、3BRは、折り返し線10L2,10R2から幅方向の内側、および自由端(糸ゴム10L1、10R1が設けられている部分)までが肌に沿うことになる。換言すれば、おむつ1のその他の領域(例えば非透水性のバックシート6)が肌に当接することは抑制される。よって、着用者の不快感は低減される。
【0045】
また、上記のようなおむつ1によれば、吸収コア8cが幅方向に括れを有する砂時計型形状である。よって、吸収コア8cの前身頃領域および後身頃領域の幅方向端部と重なるように長手方向に延在する立体ギャザー3BL、3BRを設ける場合、吸収コア8cの括れ(図3および図4(B)参照)の最狭部22と厚み方向おいて重なる部分を折り曲げ端
23L、23R(図4(B)参照)としてトップシート9のサイドフラップ21L、21R(吸収コア8cの括れの最狭部22よりも幅方向外側の領域、図3および図4(B)参照)が立体ギャザー3BL、3BRと一体に起立し、幅方向横側の防壁を構成することになる。このような場合、折り曲げ端23L、23Rから立体ギャザー3BL、3BRの自由端までの距離が長くなるため、立体ギャザー3BL、3BRの自由端が肌の適切な位置に当接させることが困難となる可能性がある。上記のようなおむつ1によれば、立体ギャザー3BL、3BRの自由端の位置の変化は抑制される。よって、上記のように立体ギャザー3BL、3BRの折り返し線10L2,10R2から幅方向の内側、および自由端までの領域が肌に適切に当接される。よって、肌当たりの良さを実現できる。
【0046】
図6は、サイドシートの形態を示す図である。より具体的には、おむつ1を構成するサイドシート10L,10Rを取り出した図である。サイドシート10L,10Rの幅方向内側には、糸ゴム10L1,10R1が付されており、糸ゴム10L1,10R1の付勢力により、折り返し線10L2,10R2を境にして肌面側に立ち上がり、立体ギャザー3BL,3BRを形成する。立体ギャザー3BL,3BRのうち、糸ゴム10L1,10R1が延在している立体ギャザー上部領域は、防漏壁上部領域として着用者の肌面と当接し、横漏れを防止する役割を果たす。一方、立体ギャザー3BL,3BRのうち、糸ゴム10L1,10R1の延在領域と折り返し線10L2,10R2との間に存在する立体ギャザー下側領域は、防漏壁下部領域として、糸ゴム10L1,10R1の付勢力により立体ギャザーが3BL,3BRが十分に立ち上がるための緩衝領域になっている。折り返し線10L2,10R2の幅方向外側の領域は、吸収体8の側面部及び底面部の一部を覆っており、吸収体8の側面部には、吸収体側面領域が形成されている。
【0047】
既に述べた通り、サイドシート10L,10Rには、長繊維不織布が用いられる。長繊維不織布は、肌当たりや通気性に優れており、着用感を向上させることができる。また、本実施形態では、サイドシート10L,10Rはそれぞれ長繊維不織布シートによる二層構造になっているため、肌当たりをより柔らかくして着用感を向上させ、排出液の透過を抑制できる。一方、サイドシート10L,10Rは不織布であるため繊維の隙間をなくすことはできず、二層としても完全に液体を透過させない訳ではない。このため、排出液が立体ギャザー3BL,3BRに達している状態で着用者が体位を変えるなどして立体ギャザー3BL,3BRに強い圧力がかかると、排出液が長繊維不織布を構成する繊維の隙間から染み出して、二層構造のサイドシート10L,10Rを透過して、横漏れを発生させることがある。
【0048】
そこで、図6に示す形態では、サイドシート10L,10Rの吸収体側面領域に、複数のエンボス図形E1を、間隔を開けて配置することで形成されるエンボス部10LW1,10RW1を配置する。エンボス図形E1は、おむつ1の製造時に、サイドシート10L,10Rの一部を超音波溶着することにより形成できる。エンボス図形E1は、超音波溶着によるものに限られず、おむつ1の製造時に、ヒートシール、高周波シール等の熱溶着を行うことによっても形成できる。エンボス図形E1部分では、二層構造のサイドシート10L,10Rの長繊維不織布を構成する繊維が溶着して接着され、隙間が非常に小さい一層のフィルム状となる。このため、エンボス図形E1は、エンボス処理がなされていない部分よりも強い非透水性を有している。また、エンボス図形E1を有するエンボス部10LW1,10RW1は、エンボス処理がなされていない他の部分よりも剛性が高い。サイドシート10L,10Rにエンボス部10LW1,10RW1を設けることにより、サイドシート10L,10Rを補強し、非透水性を強化して横漏れを抑制することができる。また、エンボス部10LW1,10RW1が設けられた範囲において、サイドシート10L,10Rは、吸収体8の側面を覆っている。サイドシート10L,10Rの、吸収体8の幅方向外側端部に対応する吸収体側面領域をエンボス部10LW1,10RW1によって補強することで、吸収体8の型崩れを抑制可能である。
【0049】
本実施形態のエンボス図形E1はおむつ1の製造工程において付加されるが、これに加えて、サイドシート10L,10Rの素材となる長繊維不織布として、予め微小なエンボスが施されたものを用いることもできる。微小なエンボスが施された不織布は、加工が施されていない不織布と比較すると剛性が高く、液体を通過させにくい。サイドシート10L,10Rとして加工が施されていない不織布を用いると、不織布を構成する繊維の隙間を液体が通過しやすく、横漏れが発生する可能性がある。サイドシート10L,10Rの素材として予め微小なエンボスが施された不織布を用いると、排出液の集中が予定されていない箇所に排出液が達した場合にも、横漏れを防ぐことができる。
【0050】
このように、微小なエンボスが施された不織布を用いることで、おむつ1製造時に形成されるエンボス図形E1を有するエンボス部10LW1,10RW1以外の場所でも、サイドシート10L,10Rの非透水性を強化することができる。このため、排出液の集中が予定されていない箇所に排出液が達した場合にも、横漏れを防止できる。エンボス図形E1を有するエンボス部10LW1,10RW1では、微小なエンボスとエンボス図形E1との相乗効果により、横漏れを更に抑制できる。
【0051】
おむつ1の製造工程において、微小なエンボスが施された素材である不織布を二層構造とし、更にエンボス図形E1を配置して接着することで、サイドシート10L,10Rの剛性と非透水性は強化される。また、エンボス部10LW1,10RW1の剛性と非透水性も、更に強化される。よって、サイドシート10L,10Rの素材として、予め微小なエンボスが施された長繊維不織布を用い、これに更にエンボス図形E1を配置してエンボス部10LW1,10RW1とすることがより好適である。
【0052】
図6に示す形態では、エンボス部10LW1,10RW1は、長手方向に見ると、糸ゴム10L1,10R1の延在領域と同じ範囲に配置されている。立体ギャザー3BL,3BRのうち、糸ゴム10L1,10R1の延在領域は防漏壁の役割を果たしており、排出液の到達が想定されている。排出液の到達が想定される範囲においてエンボス部10LW1,10RW1を設けることで、サイドシート10L,10Rはより透水しにくくなり、横漏れを抑制可能である。なお、エンボス部10LW1,10RW1を設ける範囲は図示した範囲に限定されず、長手方向により狭い範囲としてよい。例えば、エンボス部10LW1,10RW1を、股下領域1Bにのみ設けてもよい。股下領域1Bは、着用者の排出口に近く、着用者が立位をとっている場合には重力方向下側の領域となり、着用者が座位をとっている場合には、着用者の体重を受ける。このため、股下領域1Bには排出液が集まりやすくかつ圧力もかかりやすく、サイドシート10L,10Rが横漏れを防止する必要性が特に高い領域である。当該領域にエンボス部10LW1,10RW1を設けると、サイドシート10L,10Rは、高い横漏れ防止効果を発揮する。また、股下領域1Bでは、吸収体8は幅狭となっており相対的に剛性が低く、サイドシート10L,10Rにエンボス部10LW1,10RW1を設けることで補強をする必要性が高い。また、エンボス部10LW1,10RW1を設ける範囲を長手方向により広い範囲としてもよく、一例としてはエンボス部10LW1,10RW1をサイドシート10L,10Rの長手方向全域に設けてもよい。エンボス部10LW1,10RW1の長手方向全域に配置することで、サイドシート10L,10Rを全域に渡って補強でき、より広範囲に到達する排出液の横漏れを抑制できる。
【0053】
エンボス部10LW1,10RW1におけるエンボス図形E1部分では、サイドシート10L,10Rはフィルム状となっており、着用者の肌面に触れると、着用者に違和感を与えることがある。図6の例では、エンボス部10LW1,10RW1は、吸収体8の幅方向端部近傍にのみ配置され、着用者の肌面と当接する立体ギャザー3BL,3BR部分には配置されていない。このため、フィルム状のエンボス図形E1が着用者の肌面と当接
しにくく、着用感を維持しつつも横漏れを防止し、吸収体8の型崩れを抑制できる。
【0054】
また、本実施形態におけるおむつ1の吸収体8の側面部である幅方向外側端部には、バックシート6が非肌面側から被覆し、肌面側の幅方向外側にまで達している。すなわち、吸収体8の側面部は、2重に折り畳まれたサイドシート10L,10Rの他に、少なくともバックシート6が配置されている。バックシート6は、非透水性のシートであり、一定の剛性を有している。本実施形態に係るおむつ1は、エンボス部10LW1,10RW1が配置されたサイドシート10L,10Rに加えてバックシート6との相乗効果によっても、排出液の漏れを抑制可能であり、更に、吸収体8の型崩れを抑制できる。
【0055】
エンボス図形E1としては、円や楕円、角を丸めた多角形などの角がない図形が用いられる。エンボス部10LW1,10RW1は、着用者の肌面と当接しにくい位置に配置されてはいるものの、当接してしまった場合でも、エンボス図形E1が角を有さないため肌に食い込まず、着用者に違和感を与えにくい。このため、本実施形態に係るおむつ1は、着用感を維持できる。
【0056】
図7は、サイドシートの別の形態を示す図である。図7では、図6に示すように吸収体8の側面側端部と当接する領域に設けられたエンボス部10LW1,10RW1に加えて、立体ギャザー3BL,3BRの吸収体側に存在する防漏壁下部領域である立体ギャザー下部領域にも、間隔をあけて配置されたエンボス図形E2を複数配置することで形成されるエンボス部10LW2,10RW2が設けられている。立体ギャザー3BL,3BRは、吸収体8の側面部と比較すると、排出液に触れやすい。立体ギャザー下部領域にもエンボス部10LW2,10RW2を設けることで、横漏れをより効果的に抑制可能である。また、立体ギャザー下部領域がエンボス部10LW2,10RW2によって補強されることで、立体ギャザー3BL,3BRは着用者の肌面側に立ち上がりやすくなる。エンボス図形E2も、エンボス図形E1と同様、おむつ1の製造時に、サイドシート10L,10Rの一部に、エンボス図形E1についての説明で挙げたいずれかの方法による溶着加工を行うことで形成できる。
【0057】
エンボス部10LW2,10RW2は、防漏壁下部領域である立体ギャザー下部領域に設けられるため、エンボス部10LW1,10RW1と比較すると着用者の肌面と当接しやすく、着用感の低下を引き起こす可能性もより高い。このため、エンボス部10LW2,10RW2における複数のエンボス図形E2も、エンボス部10LW1,10RW1におけるエンボス図形E1と同様に、角を有さない図形とする。また、エンボス図形E2の面積は、エンボス図形E1よりも小さい。更に、エンボス図形E2の配置間隔は、エンボス部10LW1,10RW1におけるエンボス図形E1の配置間隔と比較すると広い。このため、仮にエンボス部10LW2,10RW2が着用者の肌面と当接したとしても、着用者に与える違和感は軽減される。
【0058】
また、おむつ1の着用状態において、エンボス部10LW2,10RW2が設けられた防漏壁下部領域である立体ギャザー下部領域は、吸収体8の肌面側の幅方向外側端部近傍に設けられた接着部20L,20Rの幅方向内側を起立端として、幅方向内側に向けて立ち上がる。そして、糸ゴム10L1,10R1の延在領域の手前で屈曲し、糸ゴム10L1,10R1の延在範囲と自由端までの領域であって、防漏壁上部領域である立体ギャザー上部領域は、立体ギャザー下部領域とは逆方向に立ち上がり、自由端は幅方向外側を向いている。このため、着用者の肌面には、主に立体ギャザー上部領域が当接し、立体ギャザー下部領域は、立体ギャザー上部領域を介して当接することになる。このため、エンボス部10LW2,10RW2は、着用者の肌面とは直接当接しにくくなっており、着用者は違和感を覚えにくい。
【0059】
なお、図7に示す形態でも、図6に示す形態と同様に、サイドシート10L,10Rの素材となる長繊維不織布として、予めエンボス加工が施されたものを用いることがより好適である。当該不織布を二層構造とし、更にエンボス部10LW1,10RW1においてエンボス図形E1を配置し、エンボス部10LW2,10RW2においてエンボス図形E2を配置して接着することで、サイドシート10L,10Rの剛性と非透水性は強化され、エンボス部10LW1,10RW1,10LW2,10RW2の剛性と非透水性は更に強化される。
【0060】
図7に示す形態でも、吸収体8の側面部である幅方向外側端部には、バックシート6が非肌面側から被覆し、肌面側の幅方向外側にまで達している点は同様である。すなわち、吸収体8は一定の剛性と非透水性を有するシートにより多重に被覆されている。このため、図7に示す形態でも、サイドシート10L,10Rに加えてバックシート6との相乗効果により、排出液の漏れを抑制可能であり、更に、吸収体8の型崩れを抑制できる。
【0061】
図8は、おむつに組み込んだエンボス部を含むサイドシートを示す図である。より具体的には、図7に示す形態のサイドシートをおむつ1に組み込んだ状態を示す図である。本図では、サイドシート10Lを例として説明するが、サイドシート10Rの構成も同様である。サイドシート10Lの幅方向内側端部には、糸ゴム10L1が延在している。糸ゴム10L1の配置領域は、着用時に立ち上がって着用者の肌面と当接し、防漏壁上部領域である立体ギャザー上部領域を形成している。立体ギャザー上部領域の自由端部において、サイドシート10は折り返されており、そのほぼ全体が二重になっている。二重になったサイドシート10Lは、立体ギャザー上部領域では、一例としては、図示しないホットメルト接着剤等の接着剤によって接着されている。防漏壁下部領域である立体ギャザー下部領域は、角を有さず面積が小さいエンボス図形E2を、広い間隔を開けて設けたエンボス部10LW2を有している。エンボス図形E2部分では、二重のサイドシート10Lは溶着されてフィルム状になっており、水分を透過しない。エンボス図形E2を有するエンボス部10LW2を設けることにより、サイドシート10Lは補強され、排出液の染み出しを抑制可能である。また、サイドシート10L,10Rはエンボス図形E2によって溶着されているため剛性を有しており、エンボス部10LW2によって補強されている。
【0062】
立体ギャザー3BLは、防漏壁下部領域である立体ギャザー下部領域では、接着部20Lから幅方向内側に向けて立ち上がり、糸ゴム10L1の延在領域の手前で幅方向外側に向けて屈曲し、防漏壁上部領域である立体ギャザー上部領域で、着用者の肌面と当接する。このため、おむつ1を着用中の着用者の肌面は、主として立体ギャザー上部領域と当接し、立体ギャザー下部領域は、着用者の肌面と、立体ギャザー上部領域を介して間接的に当接する。また、仮にエンボス部10LW2を有する立体ギャザー下部領域が着用者の肌面と直接当接したとしても、エンボス図形E2は十分に小さく、角を有さないため肌に食い込むこともない。また配置密度も低いため、着用者は違和感を覚えにくい。
【0063】
一方、吸収体側面領域には、エンボス図形E2と比較すると面積が大きいエンボス図形E1が、エンボス部10LW2よりも高密度で配置された、エンボス部10LW1が設けられている。吸収体側面領域は、着用時には立体ギャザー3BLの外側になるため、着用者の肌面とは当接しない。このため、大きなエンボス図形E1を高密度で設けたエンボス部10LW1を設けても、着用者に違和感を与えることはない。そして、高い剛性を持つ大きなエンボス図形E1を高密度で設けることにより、サイドシート10L,10Rの剛性も高くなる。エンボス部10LW1によりサイドシート10Lが補強される結果、サイドシート10Lに覆われている吸収体8の幅方向外側端部も補強され、吸収体8の型崩れを抑制できる。
【0064】
このように、サイドシート10Lに高剛性部となるエンボス部10LW1,10LW2
を設けることにより、サイドシート10Lを補強できる。特に、吸収体8の側面部に設けられたサイドシート10Lを高剛性部となるエンボス部10LW1により補強することで、吸収体8の構造を維持しやすくし、型崩れを抑制できる。
【0065】
本実施形態では、吸収体8の側面部である幅方向外側端部を、バックシート6が非肌面側から被覆し、肌面側の幅方向外側にまで達している。バックシート6は、液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート6は、その配置領域の大部分を他のシートに覆われており外部に露出している部分はごくわずかであって、サイドシート10Lよりも高い非透水性を有している。吸収体8の内部に存在する排出液の横漏れは、主にバックシート6によって抑制されている。更に、吸収体8の幅方向外側端部において、バックシート6は、非透水性を有する長繊維不織布シートによる二層構造のサイドシート10Lに覆われている。このように、吸収体8の幅方向外側端部には、サイドシート10Lを含む非透水性のシートが複数積層されており、更にサイドシート10Lの当該部分にはエンボス部10LW1が設けられているため、吸収体8内部からの排出液の横漏れは多重に抑制されている。また、バックシート6は一定の剛性を有している。吸収体8の側面が剛性を有する複数のシートにより多重に被覆されることにより、吸収体8の型崩れを抑制可能である。
【0066】
また、当該部分においてサイドシート10Lにエンボス部10LW1が設けられて非透水性が強化されているため、万が一バックシート6が破損した場合や、肌面側から吸収体8の幅方向外側端部に排出液が流入した場合にも、排出液の横漏れを抑制可能である。
【0067】
このように、サイドシート10Lを長繊維不織布シートによる二層構造にし、更にサイドシート10Lにエンボス部10LW1,10LW2を設けてエンボス図形E1,E2により溶着して一枚のフィルム状とすることにより、サイドシート10Lの非透水性を向上させることができ、着用者に違和感を与えずに横漏れを抑制可能となる。また、エンボス部10LW1,10LW2によってサイドシート10Lを補強できるため、立体ギャザー3BLは起立しやすくなる。また、サイドシート10Lは吸収体8の幅方向外側端部を覆っている。エンボス部10LW1によりサイドシート10Lの剛性を高めることができるため、吸収体8の型崩れを抑制可能である。この効果は、吸収体8の側面部が、非透水性で一定の剛性を有するバックシート6で被覆されていることにより、更に大きくなる。
【0068】
本図に示すように、インナーカバーシート5とカバーシート4を含む外装体は、吸収体8の延在領域全域において、吸収体8やバックシート6、サイドシート10L等を含む吸収体側の構造よりも幅広である。外装体と吸収体側の構造とは、図示しないホットメルト接着剤等の接着剤によって接着されている。当該接着剤の塗布領域は、吸収体側の構造よりも幅狭に設定されている。サイドシート10Lのエンボス部10LW1は、吸収体8の幅方向外側端部のみならず、非肌面側にも一定程度延在しており、非肌面側でも漏れを抑制する。しかし、外装体と吸収体側の構造の接着部分は、非肌面側におけるエンボス部10LW1の延在領域よりも更に狭い。換言すれば、サイドシート10Lのエンボス部10LW1,10LW2の配置領域は、外装体と接着されていない。
【0069】
この構成により、吸収体側の構造は、外装体の動きとは一定程度独立しており、着用者の動きや糸ゴム4F2,4R2,4F3,4R3の付勢力により外装体が大きく屈曲した場合にも、吸収体側の構造が着用者の肌面に対して大きくずれることはない。このため、サイドシート10Lはその形態を維持可能であり、立体ギャザー3BL、吸収体8の幅方向外側端部、そして吸収体8の非肌面側の一部においてエンボス部10LW1,10LW2による非透水性向上効果を適切に発揮し、横漏れを効果的に抑制することができる。
【0070】
また、おむつ1を非肌面側から見た場合、吸収体側の構造は、その全域が外装体に包み
込まれている。そして上述の通り、外装体も非透水性である。このため、エンボス部10LW1,10LW2によっても排出液の透過を抑制できず、万が一排出液がサイドシート10Lから漏出した場合、排出液の横漏れは外装体によっても抑制される。
【0071】
なお、図8に示すように、吸収体8の幅方向端部と重畳する範囲において、バックシート6の外側で、かつ、バックシート6と、サイドシート10Lとの間に、トップシート9を延在させて良い。トップシート9は、親水性である。この構成を取る場合、トップシート9は、吸収体8の肌面側から吸収体8の側面部を被覆し、非肌面側の幅方向外側まで達していてよい。吸収体8が排出液を吸収している状態で強い圧力がかかると、排出液は吸収体8の側部から染み出すことがある。吸収体8の側部被覆している複数のシートの中に親水性のシートが配置されていれば、当該親水性のシートが染み出した排出液を吸収可能である。このため、吸収体8の側面からの排出液の横漏れを、より効果的に抑制可能である。また、バックシート6、サイドシート10Lに加えてトップシート9を延在させることにより、吸収体8の側面部の剛性を向上させて、型崩れを抑制可能である。
【0072】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の内容は上記実施の形態に限られるものではない。本実施形態では、サイドシート10L,10Rは一枚の長繊維不織布シートが折り重ねられることで二層構造となっていたが、2枚の長繊維不織布シートを重ね合わせることで二層構造としてもよい。二層構造のサイドシート10L,10Rは、各エンボス部に間欠的に設けられたエンボス図形E1,E2部分で溶着して1枚のフィルム状に接着されているが、ホットメルト接着剤等の接着剤を間欠的に塗布することで更に接着されていてもよい。なお、サイドシート10L,10Rを坪量の大きな不織布による一層とすることもできる。
【0073】
また、上記実施形態では、バックシート6が非肌面側から被覆し、肌面側の幅方向外側にまで達している。バックシート6は、一定の剛性を有している。吸収体8の幅方向外側端部には、サイドシート10L,10Rを含む非透水性のシートが複数積層されており、更にサイドシート10Lの当該部分にはエンボス部10LW1,10RW1が設けられている。このため、吸収体8の型崩れは抑制され、吸収体8内部からの排出液の横漏れも多重に抑制されている。しかし、バックシート6は必ずしも吸収体8の側部を被覆している必要はなく、吸収体8の非肌面側のみに延在している構成も考えられる。サイドシート10L,10Rは、複数積層されており、エンボス部10LW1,10RW1が設けられており、その剛性と耐水性を強化されている。よって、仮にバックシート6が吸収体8の側部を被覆していない場合でも、吸収体8内部からの排出液の横漏れは抑制可能である。また、吸収体8の型崩れも抑制可能である。このような構成も、本発明の範囲に含まれる。
【0074】
以上で開示した実施形態や変形例は、それぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0075】
1B :股下領域
1F :前身頃領域
1R :後身頃領域
2L :左下肢開口部
2R :右下肢開口部
2T :胴開口部
3BL、3BR:立体ギャザー
3LL、3LR:レグギャザー
3R :ウェストギャザー
4 :カバーシート
4F1、4F2、4F3:糸ゴム
4F4、4F5:縁
4FF :折り返し線
4R1、4R2、4R3:糸ゴム
4R4、4R5:縁
4RF :折り返し線
5 :インナーカバーシート
6 :バックシート
7 :コアラップシート
8 :吸収体
9 :トップシート
10L,10R :サイドシート
10L1 :糸ゴム
10L2 :折り返し線
10R1 :糸ゴム
10R2 :折り返し線
11F、11R:エンドシート
20L、20R:接着部
10LW1、10RW1、10LW2、10RW2:エンボス部
E1、E2:エンボス図形
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8