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特開2024-68103変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法、システム及び媒体
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  • 特開-変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法、システム及び媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068103
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法、システム及び媒体
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20240510BHJP
   G06N 3/0455 20230101ALI20240510BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01N17/00
G06N3/0455
H02G1/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134215
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】202211382568.5
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】520360121
【氏名又は名称】グアンジョウ パワー サプライ ビューロー オブ グァンドン パワー グリッド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】リ ハンル
(72)【発明者】
【氏名】リン イン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ジアション
(72)【発明者】
【氏名】リ モン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハン ジュオジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン タオ
(72)【発明者】
【氏名】シ インシア
【テーマコード(参考)】
2G050
5G352
【Fターム(参考)】
2G050AA01
2G050AA04
2G050BA03
2G050EB02
5G352CA08
5G352CK08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法を提供する。
【解決手段】本発明は非破壊検出の技術分野に関して、特に変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法、システム及び媒体に関している。本発明が提供する方法において、軸方向及び周方向導波信号を取得して、離散ウェーブレット変換によって軸方向及び周方向導波信号の時間周波数図を取得し、ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築してケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルによって欠陥の軸方向及び周方向の位置決めを行って、高精度のケーブルアルミシース腐食検出を実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法であって、
ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルを構築して、ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルの軸方向及び周方向導波オリジナル信号を取得するステップと、
軸方向及び周方向導波オリジナル信号を時間周波数図に変換して、軸方向時間周波数図及び周方向時間周波数図を取得するステップと、
ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築するステップであって、軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデル及び周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを含むステップと、
軸方向時間周波数図を軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練するステップと、
周方向時間周波数図を周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練するステップと、
検出対象となるケーブルアルミシースの軸方向導波オリジナル信号を取得して、訓練された軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して軸方向位置決めを行うステップと、
検出対象となるケーブルアルミシースの周方向導波オリジナル信号を取得して、訓練された周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して周方向位置決めを行うステップと、を含むことを特徴とする変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法。
【請求項2】
軸方向及び周方向導波信号を時間周波数図に変換するステップは具体的に、離散ウェーブレット変換によって、軸方向及び周方向導波信号を時間周波数図に変換することを特徴とする請求項1に記載の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法。
【請求項3】
離散ウェーブレット変換によって、軸方向及び周方向導波信号を時間周波数図に変換するステップは、
軸方向オリジナル信号をハイパスフィルタ及びローパスフィルタにそれぞれ通過させて、ダウンサンプリングフィルタによって、一連の有限減衰信号に分解され、マザーウェーブレット計算及び信号変換によって軸方向オリジナル信号時間周波数図を計算するステップと、
周方向オリジナル信号をハイパスフィルタ及びローパスフィルタにそれぞれ通過させて、ダウンサンプリングフィルタによって、一連の有限減衰信号に分解され、マザーウェーブレット計算及び信号変換によって周方向オリジナル信号時間周波数図を計算するステップと、を含む請求項2に記載の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法。
【請求項4】
ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルは符号器及び復号器を含み、変分自己符号化ネットワークを訓練することで、符号化・復号化後のデータと初期データとの間の再構成誤差を最小にし、
符号器は入力特徴空間におけるベクトルを隠れ特徴空間に圧縮して隠れ変数を取得し、隠れ変数の分布は正規分布に接近し、
復号器は隠れ特徴空間の表示を入力特徴空間に回復させることを特徴とする請求項1に記載の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法。
【請求項5】
ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルの符号器部分に複数の畳み込み層及びプーリング層を加入させて、Dropout方法で符号器を構築することを特徴とする請求項4に記載の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法。
【請求項6】
変分自己符号化ネットワークモデルの再構成信号の性能はELBO損失関数LOSSによって評価され、その表現式は、以下の数12の式で表されることを特徴とする請求項4に記載の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法。
【数1】
【請求項7】
変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出システムであって、
ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルを構築するサンプル構築モジュールと、
軸方向及び周方向導波オリジナル信号を取得するデータ取得モジュールと、
軸方向及び周方向導波オリジナル信号を時間周波数図に変換して、軸方向時間周波数図及び周方向時間周波数図を取得する時間周波数図変換モジュールと、
ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築するモデル構築モジュールであって、軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデル及び周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを含むモデル構築モジュールと、
軸方向時間周波数図を軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練し、周方向時間周波数図を周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練するモデル訓練モジュールと、
訓練された軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して軸方向位置決めを行って、訓練された周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して周方向位置決めを行うモデル認識モジュールと、を含むことを特徴とする変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出システム。
【請求項8】
データ取得モジュールはコンピュータ、信号発生器、信号増幅器、信号取込カード、及び固体結合媒体を含み、固体結合媒体は被検出物の音響インピーダンスにマッチングすることを特徴とする請求項7に記載の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出システム。
【請求項9】
固体結合媒体はエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出システム。
【請求項10】
プログラムが記憶される記憶媒体であって、前記プログラムはコンピュータによって実行されると、請求項1~6の何れか1項に記載の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法を実現することを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非破壊検出の技術分野に関して、特に変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法、システム及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧ケーブルは電力システムの重要な構成部分であるとともに、需求量が最大である部分であり、導体、絶縁層、遮蔽層及び保護層という4つの部分から構成される。保護層は外部保護層及び内部保護層に分けられる。外部保護層は一般的にPVC絶縁材料であり、内部保護層は一般的に金属層であり、通常、波付きアルミシースを使用する。取付過程及び長期にわたって複雑工况に暴露するため、ケーブルの防水能力が大幅に低下し、動作過程で電気化学的腐食が生じて、波付きアルミシースの表面に腐食、欠陥が発生し、ひどい場合、ケーブルを短絡させて大事故が生じる。アルミシースは絶縁層に包まれ、従来の検出方法はアルミシースの腐食、損傷を検出できないため、超声導波検出技術を導入してケーブルアルミシースの損傷を検出することは、従来技術の人気のある方向である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人工知能の迅速な発展に連れて、分類器、ニューラルネットワークなどの方法は大幅に適用されている。ところが、導波のマルチモーダル、周波数分散特性及び雑音の導波信号に対する干渉のため、従来のデータ駆動アルゴリズムは超声導波信号とキー特徴との間の複雑な関係を捕捉できない。当該挑戦を解決するために、自己符号化ネットワークによる深層学習アルゴリズムはその特徴学習及びグローバル最適化能力によって、損傷認識が含まれるコンピュータ視覚の各分野に上手く且つ効果的に適用されている。ところが、従来の自己符号化ネットワークは1つのコードを学習すれば、入力を再現できるが、隠れ空間におけるデータ分布は不均一であり、即ち、隠れ空間におけるある領域は、観察したデータの何れかを表せない。そして、収集した超声導波信号の雑音が大きいため、従来方法を使用すれば有効な特徴情報を抽出しにくい。
【0004】
これに鑑みると、本発明は、変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法を提供することを第1の目的とし、軸方向及び周方向導波信号を取得して、離散ウェーブレット変換によって軸方向及び周方向導波信号の時間周波数図を取得し、ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築してケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルによって欠陥の軸方向及び周方向の位置決めを行って、高精度のケーブルアルミシース腐食検出を実現する。
【0005】
同じ発明構想に基づいて、本発明は、変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出システムを提供すること第2の目的をとする。
【0006】
同じ発明構想に基づいて、本発明は、記憶媒体を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の目的は以下の技術案によって達成でき、
変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法であって、
ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルを構築して、ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルの軸方向及び周方向導波オリジナル信号を取得するステップと、
軸方向及び周方向導波オリジナル信号を時間周波数図に変換して、軸方向時間周波数図及び周方向時間周波数図を取得するステップと、
ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築するステップであって、軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデル及び周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを含むステップと、
軸方向時間周波数図を軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練するステップと、
周方向時間周波数図を周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練するステップと、
検出対象となるケーブルアルミシースの軸方向導波オリジナル信号を取得して、訓練された軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して軸方向位置決めを行うステップと、
検出対象となるケーブルアルミシースの周方向導波オリジナル信号を取得して、訓練された周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して周方向位置決めを行うステップと、を含む。
【0008】
さらに、離散ウェーブレット変換によって、軸方向及び周方向導波信号を時間周波数図に変換するステップは、
軸方向オリジナル信号をハイパスフィルタ及びローパスフィルタにそれぞれ通過させて、ダウンサンプリングフィルタによって、一連の有限減衰信号に分解され、マザーウェーブレット計算及び信号変換によって軸方向オリジナル信号時間周波数図を計算するステップと、
周方向オリジナル信号をハイパスフィルタ及びローパスフィルタにそれぞれ通過させて、ダウンサンプリングフィルタによって、一連の有限減衰信号に分解され、マザーウェーブレット計算及び信号変換によって周方向オリジナル信号時間周波数図を計算するステップと、を含む。
【0009】
さらに、ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルは符号器及び復号器を含み、変分自己符号化ネットワークを訓練することで、符号化・復号化後のデータと初期データとの間の再構成誤差を最小にし、
符号器は入力特徴空間におけるベクトルを隠れ特徴空間に圧縮して隠れ変数を取得し、隠れ変数の分布は正規分布に接近し、
復号器は隠れ特徴空間の表示を入力特徴空間に回復させる。
【0010】
さらに、ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルの符号器部分に複数の畳み込み層及びプーリング層を加入させて、Dropout方法で符号器を構築する。
【0011】
さらに、変分自己符号化ネットワークモデルの再構成信号の性能はELBO損失関数LOSSによって評価され、その表現式は、以下の数1で示される。
【0012】
【数1】
【0013】
本発明の第2の目的は以下の技術案によって達成でき、
変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出システムであって、
ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルを構築するサンプル構築モジュールと、
軸方向及び周方向導波オリジナル信号を取得するデータ取得モジュールと、
軸方向及び周方向導波オリジナル信号を時間周波数図に変換して、軸方向時間周波数図及び周方向時間周波数図を取得する時間周波数図変換モジュールと、
ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築するモデル構築モジュールであって、軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデル及び周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを含むモデル構築モジュールと、
軸方向時間周波数図を軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練し、周方向時間周波数図を周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練するモデル訓練モジュールと、
訓練された軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して軸方向位置決めを行って、訓練された周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して周方向位置決めを行うモデル認識モジュールと、を含む。
【0014】
さらに、データ取得モジュールはコンピュータ、信号発生器、信号増幅器、信号取込カード、及び固体結合媒体を含み、固体結合媒体は被検出物の音響インピーダンスにマッチングする。
【0015】
さらに、固体結合媒体はエポキシ樹脂である。
【0016】
本発明の第3の目的は以下の技術案によって達成でき、
プログラムが記憶される記憶媒体であって、前記プログラムはコンピュータによって実行されると、上記の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法を実現する。
【発明の効果】
【0017】
従来技術に対して本発明は以下の有益な効果を備え、即ち、
(1)本発明において、軸方向及び周方向導波信号を取得して、離散ウェーブレット変換によって軸方向及び周方向導波信号の時間周波数図を取得し、ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築してケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルによって欠陥の軸方向及び周方向の位置決めを行って、信号から有効な特徴情報を抽出することを実現し、ケーブルアルミシースの検出及び位置決めの精度を向上して、ケーブルアルミシースを適時的にメンテナンスする。
(2)本発明が提供する変分自己符号化ネットワークモデルは符号器部分に複数の畳み込み層及びプーリング層を加入させて、Dropout方法で符号器を構築し、モデルの一般化能力を向上でき、隠れ空間はデータ生成過程を行うためのよい属性を具備することを確保する。
(3)本発明の自己符号化ネットワークの隠れ変数の分布は標準的な正規分布に接近するため、隠れ変数は安定な統計特性を具備し、復号器の便利さ及び適用率を向上する。
(4)本発明において、固体結合の方式で励起された超声信号が順調に被検出物に入ることができ、また、本発明が提供する変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法において雑音の影響をさらに低減する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1の変分自己符号化ネットワークによるケーブルアルミシース腐食検出方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例1の離散ウェーブレット変換のフローチャートである。
図3】本発明の実施例1の変分自己符号化ネットワークモデルの構造図である。
図4】本発明の実施例1の変分自己符号化ネットワークの内部操作の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点がより分かりやすくなるために、以下、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例の技術案を明らか且つ完全に説明する。記載される実施例は全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本発明の実施例に基づいて、当業者が容易に想到する範囲内の他の全ての実施例は何れも本発明の保護範囲に属している。
【0020】
実施例1:
図1に示すように、本実施例は変分自己符号化ネットワークによるケーブルアルミシース腐食検出方法を提供し、以下のステップを含む:
S10:ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルを構築して、ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルの軸方向及び周方向導波オリジナル信号を取得する;
本実施例において、ケーブルアルミシース腐食欠陥サンプルは均一腐食、孔食及び糸状腐食を含み、重いブロックを人為的で使用して実際の腐食欠陥サンプルをシミュレーション又は収集することで取得される;
S20:軸方向及び周方向導波オリジナル信号を時間周波数図に変換する;
本実施例において、離散ウェーブレット変換によって、軸方向及び周方向導波信号を時間周波数図に変換するステップは以下のステップを含み、
S21:軸方向オリジナル信号をハイパスフィルタ及びローパスフィルタにそれぞれ通過させて、ダウンサンプリングフィルタによって、一連の有限減衰信号に分解され、マザーウェーブレット計算及び信号変換によって軸方向オリジナル信号時間周波数図を計算する;
S22:周方向オリジナル信号をハイパスフィルタ及びローパスフィルタにそれぞれ通過させて、ダウンサンプリングフィルタによって、一連の有限減衰信号に分解され、マザーウェーブレット計算及び信号変換によって周方向オリジナル信号時間周波数図を計算する;
本実施例のステップS210及びステップS220では、離散スケールパラメータa及びトランスレーションパラメータbによって有限な計算で信号時間周波数図を取得することを保証する。a及びbは以下の数2の式で離散化される。
【0021】
【数2】
【0022】
離散化過程で、a=2且つb=1であると仮定すれば、マザーウェーブレットは以下の数3の式のように示される。
【0023】
【数3】
【0024】
この場合、離散ウェーブレット変換は以下の数4の式のように示される。
【0025】
【数4】
【0026】
離散化はスケールパラメータa及びトランスレーションパラメータbに対する離散化であり、1つの空間内で時間変数tは依然的に連続的な定義であってもよい。
【0027】
S30:ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築し、軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデル及び周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを含む。
【0028】
本実施例において、ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルは符号器及び復号器を含み、変分自己符号化ネットワークを訓練することで、符号化・復号化後のデータと初期データとの間の再構成誤差を最小にし、
符号器は入力特徴空間におけるベクトルを隠れ特徴空間に圧縮して隠れ変数を取得し、隠れ変数の分布は正規分布に接近し、符号器部分に複数の畳み込み層及びプーリング層を加入させて、Dropout方法で符号器を構築する。
【0029】
復号器は隠れ特徴空間の表示を入力特徴空間に回復させる。
【0030】
本実施例において、変分自己符号化ネットワークモデルの内部操作は以下の通りであり、
本実施例において、変分自己符号化ネットワークモデルの再構成信号の性能はELBO損失関数LOSSによって評価され、以下の方法で計算される:
ニューラルネットワーク全体の符号器部分は、条件確率q(z|x)を表示するように設計され、xはモデルが入力する時間周波数図データであり、zは隠れ変数である。そして、復号器は隠れ変数zを使用してオリジナルデータを回復させるように試す。具体的に、1つのニューラルネットワークは1つの条件確率p(x|z)を表示する。
【0031】
まず、隠れ変数zを導入した後、zでp(x)を示す:
【0032】
【数5】
【0033】
自己符号化ネットワークは同じように符号化及び復号化の過程を有し、同様な入力に対してできるだけ同様な出力を有すべきである。上記の式において、zでp(x)を示すため、何れかの入力データに対して、最後、隠れ変数があり、変換された出力データと入力データとができるだけ等しいことを保証すべきである。
【0034】
log p(x)に対して変形変換を行って:
【0035】
【数6】
【0036】
q(z|x)は任意の分布である。
【0037】
符号化過程を参加させるために、q(z|x)を導入して以下の数7の式を取得する。
【0038】
【数7】
【0039】
変形によって、Lの表現式を取得し、以下の数8の式の通りとする。
【0040】
【数8】
【0041】
p(x)の最大化を実現するために、p(x|z)及びq(z|x)を見つけて、Lをできるだけ大きくする;
q(z|x)を調整することでKL値を最小化して、上記式中の数9の値を最大化する。
【0042】
【数9】
【0043】
ニューラルネットワークによるパラメータチューニングを行った後、数8の式中の
KL(q(z|x)||p(z|x))=0になり、LはELBOとみなされ、以下の数10の式の通り:
【0044】
【数10】
【0045】
最後、ELBO損失関数LOSSの表現式は以下の数11の通りである。
【0046】
【数11】
【0047】
S40:軸方向時間周波数図を軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練する;
S50:周方向時間周波数図を周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練する;
S60:検出対象となるケーブルアルミシースの軸方向導波オリジナル信号を取得して、訓練された軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して軸方向位置決めを行う。
【0048】
本実施例において、ステップS60は以下のステップを含み、
S61:検出対象となるケーブルアルミシースの軸方向導波オリジナル信号を取得する;
S62:離散ウェーブレット変換によって、軸方向導波信号を時間周波数図に変換する;
S63:軸方向時間周波数図を、ステップS40で訓練された軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して特徴認識を行って、ケーブルアルミシースの腐食欠陥の軸方向の位置決めを実現する。
S70:検出対象となるケーブルアルミシースの周方向導波オリジナル信号を取得して、訓練された周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して周方向位置決めを行う。
【0049】
本実施例において、ステップS70は以下のステップを含み、
S71:検出対象となるケーブルアルミシースの周方向導波オリジナル信号を取得する;
S72:離散ウェーブレット変換によって、周方向導波信号を時間周波数図に変換する;
S73:周方向時間周波数図をステップS50で訓練された周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して特徴認識を行って、ケーブルアルミシースの腐食欠陥の周方向位置決めを実現する。
【0050】
以上のように、本実施例において軸方向及び周方向導波信号を取得して、離散ウェーブレット変換によって軸方向及び周方向導波信号の時間周波数図を取得し、ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築してケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルによって欠陥の軸方向及び周方向の位置決めを行って、信号から有効な特徴情報を抽出することを実現し、ケーブルアルミシースの検出及び位置決めの精度を向上して、ケーブルアルミシースを適時的にメンテナンスし、本実施例が提供する変分自己符号化ネットワークモデルは符号器部分に複数の畳み込み層及びプーリング層を加入させて、Dropout方法で符号器を構築し、モデルの一般化能力を向上でき、隠れ空間はデータ生成過程を行うためのよい属性を具備することを確保し、本実施例の自己符号化ネットワークの隠れ変数の分布は標準的な正規分布に接近するため、隠れ変数は安定な統計特性を具備し、復号器の便利さ及び適用率を向上する。
【0051】
実施例2:
本実施例は変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出システムを提供し、
ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルを構築するサンプル構築モジュールと、
軸方向及び周方向導波オリジナル信号を取得するデータ取得モジュールと、
軸方向及び周方向導波オリジナル信号を時間周波数図に変換して、軸方向時間周波数図及び周方向時間周波数図を取得する時間周波数図変換モジュールと、
ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築するモデル構築モジュールであって、軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデル及び周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを含むモデル構築モジュールと、
軸方向時間周波数図を軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練し、周方向時間周波数図を周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練するモデル訓練モジュールと、
訓練された軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して軸方向位置決めを行って、訓練された周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して周方向位置決めを行うモデル認識モジュールと、を含む。
【0052】
本実施例において、データ取得モジュールはコンピュータ、信号発生器、信号増幅器、信号取込カード、及び固体結合媒体を含み、固体結合媒体は被検出物の音響インピーダンスにマッチングする。
【0053】
本実施例において、固体結合媒体はエポキシ樹脂である。
【0054】
つまり、本実施例の上記の各モジュールにおいて、サンプル構築モジュールとデータ取得モジュールとは協働して、本発明の実施例1のステップS10を実現し、時間周波数図変換モジュールは実施例1のステップS20を実現し、モデル構築モジュールは実施例1のステップS30を実現し、モデル訓練モジュールは実施例1のステップS40及びS50を実現し、モデル認識モジュールとデータ取得モジュールとは協働して、実施例1のステップS60及びS70を実現する。ステップS10~S70について、実施例1において詳しく記載したため、明細書の記載を簡潔にするために、本実施例における上記の各モジュールの詳しい実現過程について実施例1を参照すればよく、贅言しない。
【0055】
本実施例において、固体結合の方式で励起された超声信号が順調に被検出物に入ることができ、また、本発明が提供する変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法において雑音の影響をさらに低減する。
【0056】
実施例3:
本実施例はプログラムが記憶される記憶媒体を提供し、前記プログラムはコンピュータによって実行されると、本発明の実施例の変分自己符号化ネットワークによるアルミシース腐食検出方法を実現し、
ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルを構築して、ケーブルアルミシース腐食シミュレーションサンプルの軸方向及び周方向導波オリジナル信号を取得するステップと、
軸方向及び周方向導波オリジナル信号を時間周波数図に変換して、軸方向時間周波数図及び周方向時間周波数図を取得するステップと、
ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを構築するステップであって、軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデル及び周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを含むステップと、
軸方向時間周波数図を軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練するステップと、
周方向時間周波数図を周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルに入力して訓練するステップと、
検出対象となるケーブルアルミシースの軸方向導波オリジナル信号を取得して、訓練された軸方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して軸方向位置決めを行うステップと、
検出対象となるケーブルアルミシースの周方向導波オリジナル信号を取得して、訓練された周方向ケーブルアルミシース腐食検出変分自己符号化ネットワークモデルを使用して、ケーブルアルミシースの腐食欠陥に対して周方向位置決めを行うステップと、を含む。
【0057】
ここで、本実施例のコンピュータ可読記憶媒体はコンピュータ可読信号媒体、又はコンピュータ可読記憶媒体、或いは上記両者の任意の組み合わせであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は例えば、電気、磁気、光、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置又はデバイス、或いは以上の任意の組み合わせであってもよいが、これらに限定されていない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例示は、1つ又は複数のリード線を有する電気接続、ポータブルコンピュータ磁気ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)、光メモリ、磁気メモリ、又は上記の任意の適切な組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0058】
本実施例において、コンピュータ可読記憶媒体は、プログラムを含み又は記憶する任意の有形媒体であってもよく、当該プログラムは指令実行システム、装置又はデバイスによって使用され、又はそれと結合して使用される。本実施例において、コンピュータ可読信号媒体は、ベースバンド中又はキャリア一の一部として伝播されるデータ信号を含んでもよく、コンピュータ可読プログラムが搭載される。このように伝播されるデータ信号に対して多種の形態を採用してもよく、電磁信号、光信号又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されていない。コンピュータ可読信号媒体はさらに、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読記憶媒体であってもよく、当該コンピュータ可読信号媒体は指令実行システム、装置又はデバイスによって使用され、又はそれと結合して使用されるプログラムを送信し、伝播し又は伝送できる。コンピュータ可読記憶媒体に含まれるコンピュータプログラムは任意の適切な媒体で伝送されることができ、ワイヤー、光ケーブル、RF(無線周波数)、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0059】
上記コンピュータ可読記憶媒体は1つ又は複数のプログラム設計言語、或いはその組み合わせで、本実施例を実行するコンピュータプログラムを書き、上記のプログラム設計言語は、オブジェクト指向のプログラム設計言語、例えばJava、Smalltalk、C++、通常の手続き型プログラム設計言語、例えばC言語又は類似のプログラム設計言語を含む。プログラムは全部的にユーザーコンピュータで実行されてもよいし、部分的にユーザーコンピュータで実行されてもよいし、個別のパッケージソフトとして実行されてもよいし、一部がユーザーコンピュータで、他の一部がリモートコンピュータで実行されてもよいし、又は全部的にリモートコンピュータ又はサーバーで実行されてもよい。リモートコンピュータに関する場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域エリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザーコンピュータに接続され、又は外部コンピュータに接続される(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用してインターネットを介して接続される)。
【0060】
上記に記載の実施例は全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎず、本発明は上記の実施例の細部に限定されず、当業者が完成した適切な変更又は修飾は、何れも本発明の特許範囲から逸脱していない。
図1
図2
図3
図4