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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068115
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ロボット搭載移動装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20240510BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B25J5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151410
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2022177224
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】平岡 翔太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰斗
(72)【発明者】
【氏名】長末 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀明
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS10
3C707CS08
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT05
3C707KX02
3C707LT11
(57)【要約】
【課題】識別図形とカメラを用いたロボットの姿勢補正を高精度に実現することができるロボット搭載移動装置を提供する。
【解決手段】ロボット搭載移動装置25は、カメラ32及び対象物に対する作用部30を有するロボット26と、ロボット26を搭載し、作業位置に移動可能な移動装置35と、移動装置35に設けられ、識別面に対して直交する直交方向から見た場合に少なくとも平行な2つの境界が識別面内にある識別図形D2と、ロボット26の動きを制御する制御装置とを備える。制御装置は、直交方向と異なる方向からカメラ32で撮像された画像内の識別図形D2の2つの境界を含めて解析し、(i)カメラ32の位置情報、または(ii)作用部30の位置情報を算出し、算出された位置情報に基づいて対象物に対して作用する作用部30の動きを制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮像するカメラ、及び所定の対象物に対して作用する作用部を有し、該対象物に対して作業を行うロボットと、
前記ロボットを搭載し、前記対象物に対して前記作用部が作用可能な位置に移動可能な移動装置と、
前記移動装置に設けられ、識別面に対して直交する直交方向から見た場合に少なくとも平行な2つの境界が識別面内にある識別図形と、
前記ロボットの動きを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記直交方向と異なる方向から前記カメラで撮像された画像内の前記識別図形の前記2つの境界を含めて解析し、(i)前記カメラの位置情報、または(ii)作用部の位置情報を算出し、算出された前記位置情報に基づいて前記対象物に対して作用する作用部の動きを制御する、ロボット搭載移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット、このロボットが搭載される移動装置、及び少なくともロボットを制御する制御装置から構成されるロボット搭載移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述したロボット搭載移動装置の一例として、特開2017-132002号公報(下記特許文献1)に開示されたロボットアーム付自動搬送車が知られている。この自動搬送車では、ロボットを搭載した無人搬送車が、工作機械に対して設定された作業位置に移動し、当該作業位置において、ロボットにより工作機械に対してワークの着脱等の作業が実行される。
【0003】
このような自動搬送車では、無人搬送車によって移動する一台のロボットにより、複数の工作機械に対してワークの着脱等の作業を実施することができるので、工作機械に対してロボットを固定した状態で配設する場合に比べて、工作機械のレイアウトの自由度が増すため、工作機械のレイアウトをより生産効率を高めることが可能なレイアウトに設定することができる。また、ロボットを固定状態で配設した旧来のシステムに比べて、一台のロボットにより、より多くの工作機械に対して作業を行うことができるので、設備費用の低廉化を図ることができる。
【0004】
その一方、無人搬送車は車輪を用いて自走する構造であるが故に、前記作業位置に停止するその位置決め精度は必ずしも高いものとは言えない。このため、ロボットが工作機械に対して正確な作業を行うためには、無人搬送車を前記作業位置へ位置決めした際のロボットの姿勢と、制御上の基準となる所謂ティーチング時に設定されたロボットの基準姿勢とを比較して、その誤差量を検出し、当該誤差量に応じてロボットの作業姿勢を補正する必要がある。
【0005】
そこで、このようなロボットの姿勢を補正することが可能な生産システムとして、従来、特開2016-221622号公報(下記特許文献2)に開示されるような生産システムが知られている。この生産システムでは、2つの較正用マーカからなる視覚ターゲットが工作機械の外表面に配設されるとともに、ロボットの可動部にカメラが設けられ、このカメラによって前記視覚ターゲットを撮像することで得られた画像と、カメラの位置及び姿勢とを基に、ロボットと工作機械との相対的な位置関係が測定され、測定された位置関係に基づいて、ロボットの作業姿勢が補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-132002号公報
【特許文献2】特開2016-221622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のロボットを用いた生産システムでは、その不要な動作停止を避けて高い作業効率を達成するために、ロボットの高精度な姿勢制御が求められている。このため、前記視覚ターゲット(識別図形)をカメラにより撮像し、得られた画像に基づいてロボットの姿勢を補正する際にも、その高精度な補正技術が求められている。
【0008】
本発明は、以上の実情に鑑み成されたものであって、識別図形とカメラを用いたロボットの姿勢補正を高精度に実現することができるロボット搭載移動装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、画像を撮像するカメラ、及び所定の対象物に対して作用する作用部を有し、該対象物に対して作業を行うロボットと、
前記ロボットを搭載し、前記対象物に対して前記作用部が作用可能な位置に移動可能な移動装置と、
前記移動装置に設けられ、識別面に対して直交する直交方向から見た場合に少なくとも平行な2つの境界が識別面内にある識別図形と、
前記ロボットの動きを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記直交方向と異なる方向から前記カメラで撮像された画像内の前記識別図形の前記2つの境界を含めて解析し、(i)前記カメラの位置情報、または(ii)作用部の位置情報を算出し、算出された前記位置情報に基づいて前記対象物に対して作用する作用部の動きを制御する、ロボット搭載移動装置に係る。
【0010】
この態様(第1の態様)のロボット搭載移動装置によれば、前記移動装置に設けられる識別図形は、識別面に対して直交する直交方向から見た場合に、少なくとも平行な2つの境界が当該識別面内に設けられており、前記カメラは、当該識別図形を前記直交方向とは異なる方向から撮像するように構成される。そして、前記制御装置は、このようにして撮像された画像を、当該画像内の前記識別図形の2つの境界を含めて解析して、前記カメラの位置情報、または前記作用部の位置情報を算出し、算出された位置情報に基づいて前記対象物に対して作用する作用部の動きを制御する。
【0011】
前記カメラにより、前記識別図形を、その識別面に対して直交する直交方向とは異なる方向、即ち、直交方向と交差する斜め方向から撮像することで、前記識別図形内に設けられる平行な2つの境界に対応する画像が歪み、このような歪み状態を解析することによって、カメラと識別図形との正確な位置関係を取得することができる。そして、このような位置情報に基づいて、前記カメラの正確な位置情報、または前記作用部の正確な位置情報を算出することができ、この結果、対象物に対する前記作用部の動きを正確に制御することが可能となる。
【0012】
尚、以上の観点から、前記識別図形は、複数の正方形をした画素が二次元に配列されたマトリクス構造を備えた図形であるのが好ましい。
【0013】
前記第1の態様において、前記制御装置は、前記カメラにより前記識別図形を撮像する際に、前記カメラの撮像光軸が、前記識別面に直交する直交方向に対して、前記識別面側に15°以上60°以下の角度で傾斜するように、前記ロボットの姿勢を制御する態様(第2の態様)を採ることができる。
【0014】
また、前記第1の態様において、前記制御装置は、前記カメラにより前記識別図形を撮像する際に、前記カメラの撮像光軸が、前記識別面に直交する直交方向に対して、前記識別面側に30°以上60°以下の角度で傾斜するように、前記ロボットの姿勢を制御する態様(第3の態様)を採ることができる。
【0015】
また、前記第1から第3のいずれかの態様において、前記制御装置は、前記カメラにより前記識別図形を撮像する際に、前記カメラの撮像光軸が、前記識別面に直交する直交方向を中心とした軸回り方向に、前記平行な境界に対して、15°以上75°以下の角度で交差するように、前記ロボットの姿勢を制御する態様(第4の態様)を採ることができる。
【0016】
更に、前記第1から第3のいずれかの態様において、前記制御装置は、前記カメラにより前記識別図形を撮像する際に、前記カメラの撮像光軸が、前記識別面に直交する直交方向を中心とした軸回り方向に、前記平行な境界に対して、30°以上60°以下の角度で交差するように、前記ロボットの姿勢を制御する態様(第5の態様)を採ることができる。
【0017】
また、本発明に係る参考的なロボット搭載移動装置として、画像を撮像するカメラ、及び所定の対象物に対して作用する作用部を有し、該対象物に対して作業を行うロボットと、
前記ロボットを搭載し、前記対象物に対して設定された作業位置に移動可能に設けられた移動装置と、
前記移動装置に設けられた移動装置側識別図形(第2識別図形)と、
予め設定された動作指令を含む動作プログラムに従って、少なくとも、前記ロボットに、前記対象物に対応して設けられた対象物側識別図形(第1識別図形)を前記カメラによって撮像する第1撮像姿勢、前記対象物に対して前記作用部を作用させるための1以上の作業姿勢、前記移動装置に設けられた姿勢補正用の第2識別図形を前記カメラによって撮像する第2撮像姿勢を取らせるように構成された制御装置とを備え、
前記第1撮像姿勢、第2撮像姿勢及び作業姿勢は、前記制御装置による制御の下で、前記ロボットをティーチング操作することによって予め設定され、
前記制御装置は、
前記移動装置が前記作業位置に位置した状態での前記ティーチング操作時に、前記ロボットが第1撮像姿勢に移行した状態で、前記カメラを動作させて前記第1識別図形の画像を第1基準画像として撮像するとともに、得られた第1基準画像に基づいて、前記ティーチング操作時の第1撮像姿勢における前記第1識別図形とカメラとの位置関係を取得して記憶する第1位置関係取得処理と、
前記ティーチング操作時に、前記ロボットが第2撮像姿勢に移行した状態で、前記カメラを動作させて前記第2識別図形の画像を第2基準画像として撮像するとともに、得られた第2基準画像に基づいて、前記ティーチング操作時の第2撮像姿勢における前記第2識別図形とカメラとの位置関係を取得して記憶する第2位置関係取得処理と、を実行し、
更に、前記制御装置は、
前記動作プログラムに従って、前記ロボットを実動作させる際に、前記移動装置が前記作業位置に位置した状態で、前記ロボットを、前記第1撮像姿勢に移行させた後に、前記カメラにより撮像される前記第1識別図形の実動作時の画像に基づいて、実動作時の前記第1撮像姿勢における前記第1識別図形とカメラとの位置関係を取得し、得られた実動作時の第1識別図形とカメラとの位置関係と、前記第1位置関係取得処理によって得られたティーチング操作時の第1識別図形とカメラとの位置関係とに基づいて、前記ロボットの現在の姿勢とティーチング操作時の姿勢との間における前記カメラの誤差量を算出する実動作誤差算出処理と、
前記実動作誤差算出処理により算出された誤差量に基づいて、実動作時の前記作業姿勢を補正する第1補正処理と、
前記動作プログラムに従って、前記ロボットを実動作させる際に、前記ロボットを、前記第2撮像姿勢に移行させた後に、前記カメラにより撮像される前記第2識別図形の実動作時の画像に基づいて、実動作時の前記第2撮像姿勢における前記第2識別図形とカメラとの位置関係を取得し、得られた実動作時の第2識別図形とカメラとの位置関係と、前記第2位置関係取得処理によって得られたティーチング操作時の第2識別図形とカメラとの位置関係とに基づいて、前記ロボットに設けられたカメラの前記ロボットに対する現在の位置とティーチング操作時における位置との間の位置変化量を算出する位置変化量算出処理と、
前記位置変化量算出処理により算出された位置変化量に基づいて、実動作時の前記作業姿勢を補正する第2補正処理と、を実行するように構成されたロボット搭載移動装置が例示される。
【0018】
上記のように、この態様(第6の態様)のロボット搭載移動装置によれば、前記制御装置の下で、前記動作プログラムに従って、前記ロボットが実動作する際に、前記移動装置が前記作業位置に位置した状態で、前記ロボットに作業姿勢を取らせる際に、前記実動作誤差算出処理が実行され、算出された前記ロボットの実動作時の姿勢とティーチング操作時の姿勢との間における前記カメラの誤差量に基づいて、前記第1補正処理によって前記作業姿勢が補正される。
【0019】
また、前記位置変化量算出処理が実行される場合には、この位置変化量算出処理によって算出された、前記ロボットに設けられたカメラの前記ロボットに対する現在の位置とティーチング操作時における位置との間の位置変化量に基づいて、実動作時の前記作業姿勢が前記第2補正処理によって補正される。
【0020】
ロボットにカメラを設ける場合には、ロボットの経時的な稼働によって、ロボットとカメラとの間に位置ずれ、即ち、位置変化(取付変動)が生じることがあり、また、カメラに外的な力が作用することによっても、ロボットとカメラとの間に位置変化が生じることがある。そして、このようにロボットとカメラとの間に位置変化が生じると、上記の第1補正処理だけでは前記作業姿勢を正確には補正することができない。
【0021】
この第6の態様のロボット搭載移動装置によれば、ティーチング操作時(初期状態)と実動作時との間におけるロボットとカメラとの間の位置変化量が前記位置変化量算出処理によって算出され、算出された位置変化量に基づいて、前記第2補正処理により前記作業姿勢が補正される。したがって、ロボットとカメラとの間に位置変化が生じたとしても、実動作時のロボットの作業姿勢を正確に補正することができる。
【0022】
また、第6の態様における前記位置変化量算出処理は、前記ロボットを前記第2撮像姿勢に移行させた後に、前記位置変化量を算出するまでの処理を実行し、次いで、算出された位置変化量に基づいて定められる補正量に従って補正した前記第2撮像姿勢に前記ロボットを移行させた後に、前記位置変化量を算出するまでの処理を実行するように構成され、得られた現在の第2識別図形とカメラとの位置関係と、前記ティーチング操作時の第2識別図形とカメラとの位置関係との差が、所定の基準値以下であるとき、その前の処理によって得られた位置変化量を、求める位置変化量として算出するように構成された態様(第7の態様)を採ることができる。
【0023】
また、第6の態様における前記位置変化量算出処理は、前記ロボットを前記第2撮像姿勢に移行させた後に、前記位置変化量を算出するまでを1サイクルとして複数サイクル繰り返して実行するように構成されるとともに、2サイクル目以降では、前のサイクルで算出された位置変化量に基づいて定められる補正量に従って前記第2撮像姿勢を補正し、現在の第2識別図形とカメラとの位置関係と、前記ティーチング操作時の第2識別図形とカメラとの位置関係との差が、所定の基準値以下となったとき、前記サイクルの繰り返しを終了し、終了直前に算出された位置変化量を最終的な位置変化量として算出するように構成された態様(第8の態様)を採ることができる。この態様によれば、ティーチング操作時(初期状態)と実動作時との間におけるロボットとカメラとの間の前記位置変化量を正確に算出することができる。
【0024】
また、前記第6から第8のいずれかの態様において、前記制御装置は、前記位置変化量算出処理を実行した後、前記実動作誤差算出処理を実行するとともに、前記ロボットに前記作業姿勢を取らせ、その際、前記第1補正処理及び第2補正処理を実行するように構成された態様を採ることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明に係るロボット搭載移動装置によれば、カメラにより、識別図形を、その識別面に対して直交する直交方向とは異なる方向、即ち、直交方向と交差する斜め方向から撮像するようにしているので、カメラと識別図形との正確な位置関係を取得することができ、このような位置情報に基づいて、カメラの正確な位置情報、または作用部の正確な位置情報を算出することができる。この結果、対象物に対する前記作用部の動きを正確に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの概略構成を示した平面図である。
図2】本実施形態に係るシステムの構成を示したブロック図である。
図3】本実施形態に係るロボット搭載移動装置を示した斜視図である。
図4】本実施形態に係るロボットの第1撮像姿勢について説明するための説明図である。
図5】本実施形態に係る第1及び第2識別図形を示した説明図である。
図6】本実施形態に係るロボット搭載移動装置のロボットのアーム部を一部切断して示した平面図である。
図7】本実施形態に係るロボットの第2撮像姿勢について説明するための説明図である。
図8】本実施形態に係るロボットの第2撮像姿勢について説明するための説明図である。
図9】本実施形態に係るロボットの第2撮像姿勢について説明するための説明図である。
図10】本実施形態に係るロボットの第2撮像姿勢についての効果を説明するための説明図である。
図11】本実施形態における第2補正処理について説明するための説明図である。
図12】本実施形態における第2補正処理について説明するための説明図である。
図13】本発明の他の実施形態に係るロボット搭載移動装置の構成を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るシステム1は、工作機械10、周辺装置としての材料ストッカ20及び製品ストッカ21及びロボット搭載移動装置25から構成され、ロボット搭載移動装置25は、移動装置としての無人搬送車35、この無人搬送車35に搭載されるロボット26、ロボット26に装着されるカメラ32、並びにロボット26及び無人搬送車35を制御する制御装置40などから構成される。
【0029】
図4に示すように、前記工作機械10は、ワークW(W’)を把持するチャック12が装着される主軸11を備え、この主軸11が鉛直方向に沿って設けられた立形のNC(数値制御)旋盤であり、ワークW(W’)に対して旋削加工を行うことができるようになっている。また、主軸11の近傍には接触子14及びこれを支持する支持バー15を備えたツールプリセッタ13が設けられており、この支持バー15は、当該主軸11の軸線に沿って、加工領域に対して進退可能に設けられており、その加工領域側の端面にセラミック製の表示板16が設けられ、この表示板16に、図5に示した第1識別図形(対象物側識別図形)D1が描画されている。尚、本例では、表示板16は水平面上に位置するように設けられている。
【0030】
このように、本例の工作機械10は、当該工作機械10内に第1識別図形D1を配置する構成であり、特に、第1識別画像D1は加工領域内に配置されている態様が好ましい。
【0031】
尚、図4では、支持バー15及び接触子14が加工領域内に進出した状態を図示しているが、支持バー15及び接触子14が後退して、接触子14及び表示板16が収納領域内に収納された状態で、シャッタ17が閉じることにより、接触子14及び表示板16は加工領域から隔離される。
【0032】
また、本例の第1識別図形D1(後述する第2識別図形D2も同様)は複数の正方形をした画素が二次元に配列されたマトリクス構造を有するものであって、全体として矩形を成しており、各画素が白または黒で表示される。図5では、黒色の画素に斜線を付している(図1図4及び図6も同様)。このような識別図形には、ARマーカやAprilTagと称されるものがある。また、識別図形が小さい場合には、当該識別図形上にレンズを設けるなどして、後述するカメラ32により拡大された画像が撮像されるようにしても良い。尚、この第1識別図形D1には、当該識別図形D1と直交する方向から見た場合に、少なくとも平行な2つの境界が識別面内に存在している(第2識別図形D2も同様)。
【0033】
前記材料ストッカ20は、図1において工作機械10の左隣に配設され、当該工作機械10で加工される複数の材料(加工前ワークW)をストックする装置である。また、前記製品ストッカ21は、図1において工作機械10の右隣に配設され、当該工作機械10で加工された複数の製品、又は半製品(加工済ワークW’)をストックする装置である。
【0034】
図1に示すように、前記無人搬送車35には、その上面である載置面36に前記ロボット26が搭載され、また、オペレータが携帯可能な操作盤37が付設されている。尚、この操作盤37は、データの入出力を行う入出力部、当該無人搬送車35及びロボット26を手動操作する操作部、並びに画面表示可能なディスプレイなどを備えている。
【0035】
また、無人搬送車35は、工場内における自身の位置を認識可能なセンサ(例えば、レーザ光を用いた距離計測センサ)を備えており、前記制御装置40による制御の下で、前記工作機械10、材料ストッカ20及び製品ストッカ21が配設される領域を含む工場内を無軌道で自律走行するように構成され、本例では、前記工作機械10、材料ストッカ20及び製品ストッカ21のそれぞれに対して設定された各作業位置に経由する。
【0036】
図1及び図3に示すように、本実施形態のロボット26は、関節を介して連続するように接続された第1アーム27、第2アーム28及び第3アーム29の3つのアームを備えた多関節型のロボットであり、第3アーム29の先端部にはエンドエフェクタとしてのハンド30が装着され、また、支持バー31を介して1つのカメラ32が装着されている。また、図6及び図7に示すように、無人搬送車35の載置面36上には、前記ロボット26の近傍に、前記第2識別図形(移動装置側識別図形)D2が配設されている(図1及び図3も参照)。
【0037】
尚、前記ロボット26は、上述した態様のものに限定されるものではなく、(i)カメラと、(ii)ワークまたは工具を把持するためのハンド部と、(iii)前記ハンド部を移動動可能に繋いでいるアーム部を備えていればよい。ロボットの態様は公知の通り各種あり、本例のような垂直多関節ロボットや、水平多関節ロボットの他、直交ロボットなどを適用することができる。また、図1図3図6及び図7等において、ロボット搭載移動装置25の概略的な構成を図示したものであり、その具体的な形状や寸法は必ずしも一致していない。
【0038】
図2に示すように、本例の制御装置40は、動作プログラム記憶部41、移動位置記憶部42、動作姿勢記憶部43、マップ情報記憶部44、基準画像記憶部45、手動運転制御部46、自動運転制御部47、マップ情報生成部48、位置認識部49、補正量算出部50及び入出力インターフェース51から構成される。そして、制御装置40は、この入出力インターフェース51を介して、前記工作機械10、材料ストッカ20、製品ストッカ21、ロボット26、カメラ32、無人搬送車35及び操作盤37に接続している。なお、制御装置40は、この形態に限定されるものではない。制御装置40は、少なくとも、ロボット26のハンド30の位置を制御する制御部を有していればよく、他の記憶部等は別の装置が有していてもよい。
【0039】
また、制御装置40は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成され、前記手動運転制御部46、自動運転制御部47、マップ情報生成部48、位置認識部49、補正量算出部50及び入出力インターフェース51は、コンピュータプログラムによってその機能が実現され、後述する処理を実行する。また、動作プログラム記憶部41、移動位置記憶部42、動作姿勢記憶部43、マップ情報記憶部44及び基準画像記憶部45はRAMなどの適宜記憶媒体から構成される。本例では、制御装置40は無人搬送車35に付設され、適宜通信手段によって工作機械10、材料ストッカ20及び製品ストッカ21と接続されるとともに、ロボット26、カメラ32、無人搬送車35及び操作盤37とは有線又は無線によって接続されている。但し、このような態様に限られるものではなく、制御装置40は無人搬送車35以外の適宜位置に配設されていても良い。この場合、制御装置40は適宜通信手段によって各部と接続される。
【0040】
前記手動運転制御部46は、オペレータにより前記操作盤37から入力される操作信号に従って、前記無人搬送車35、ロボット26及びカメラ32を動作させる機能部である。即ち、オペレータは、この手動運転制御部46による制御の下で、操作盤37を用いた、前記無人搬送車35、ロボット26及びカメラ32の手動操作を実行することができる。
【0041】
前記動作プログラム記憶部41は、生産時に前記無人搬送車35及び前記ロボット26を自動運転するための自動運転用プログラム、並びに後述する工場内のマップ情報を生成する際に前記無人搬送車35を動作させるためのマップ生成用プログラムを記憶する機能部である。自動運転用プログラム及びマップ生成用プログラムは、例えば、前記操作盤37に設けられた入出力部から入力され、当該動作プログラム記憶部41に格納される。
【0042】
尚、この自動運転用プログラムには、無人搬送車35が移動する目標位置としての移動位置、移動速度及び無人搬送車35の向きに関する指令コードが含まれ、また、ロボット26が順次動作する当該動作に関する指令コード、及び前記カメラ32の操作に関する指令コードが含まれる。また、マップ生成用プログラムは、前記マップ情報生成部48においてマップ情報を生成できるように、無人搬送車35を無軌道で工場内を隈なく走行させるための指令コードが含まれる。
【0043】
前記マップ情報記憶部44は、無人搬送車35が走行する工場内に配置される機械、装置、機器など(装置等)の配置情報を含むマップ情報を記憶する機能部であり、このマップ情報は前記マップ情報生成部48によって生成される。
【0044】
前記マップ情報生成部48は、詳しくは後述する前記制御装置40の自動運転制御部47による制御の下で、前記動作プログラム記憶部41に格納されたマップ生成用プログラムに従って無人搬送車35を走行させた際に、前記センサによって検出される距離データから工場内の空間情報を取得するとともに、工場内に配設される装置等の平面形状を認識し、例えば、予め登録された装置等の平面形状を基に、工場内に配設された具体的な装置、本例では、工作機械10、材料ストッカ20及び製品ストッカ21の位置、平面形状等(配置情報)を認識する。そして、マップ情報生成部48は、得られた空間情報及び装置等の配置情報を工場内のマップ情報として前記マップ情報記憶部44に格納する。
【0045】
前記位置認識部49は、前記センサによって検出される距離データ、及び前記マップ情報記憶部44に格納された工場内のマップ情報を基に、工場内における無人搬送車35の位置を認識する機能部であり、この位置認識部49によって認識される無人搬送車35の位置に基づいて、当該無人搬送車35の動作が前記自動運転制御部47によって制御される。
【0046】
前記移動位置記憶部42は、前記無人搬送車35が移動する具体的な目標位置としての移動位置であって、前記動作プログラム中の指令コードに対応した具体的な移動位置を記憶する機能部であり、この移動位置には、上述した工作機械10、材料ストッカ20及び製品ストッカ21に対して設定される各作業位置が含まれる。尚、この移動位置は、例えば、前記手動運転制御部46による制御の下、前記操作盤37により前記無人搬送車35を手動運転して、目標とする各位置に移動させた後、前記位置認識部49によって認識される位置データを前記移動位置記憶部42に格納する操作によって設定される。この操作は所謂ティーチング操作と呼ばれる。
【0047】
前記動作姿勢記憶部43は、前記ロボット26が所定の順序で動作することによって順次変化するロボット26の姿勢(動作姿勢)であって、前記動作プログラム中の指令コードに対応した動作姿勢に係るデータを記憶する機能部である。この動作姿勢に係るデータは、前記手動運転制御部46による制御の下で、前記操作盤37を用いたティーチング操作により、当該ロボット26を手動運転して、目標とする各姿勢を取らせたときの、当該各姿勢におけるロボット26の各関節(モータ)の回転角度データであり、この回転角度データが動作姿勢に係るデータとして前記動作姿勢記憶部43に格納される。
【0048】
ロボット26の具体的な動作姿勢は、前記材料ストッカ20、工作機械10及び製品ストッカ21において、それぞれ設定される。また、本例では、前記無人搬送車35の載置面36上に配設された第2識別画像D2をカメラ32によって撮像する姿勢(第2撮像姿勢)が設定される。尚、図7図8及び図9に示すように、カメラ32が第2識別図形D2を撮像する第2撮像姿勢は、当該第2識別図形D2を斜めから撮像する姿勢に設定される。このように、第2撮像姿勢を、斜めから第2識別図形D2を撮像する姿勢とすることで、図3及び図7に示すように、ロボット26の第3アーム29を矢示方向に回転させることのみによって第2撮像姿勢とすることができ、例えば、カメラ32を第2識別図形D2の直上に移動させる場合に比べて、ロボット26を短時間で第2撮像姿勢に移行させることができる。尚、この図3に示したロボット26の姿勢は、後述する第1撮像姿勢を図示しており、ロボット26は、この第1撮像姿勢から、第3アーム29を矢示方向に回転させるだけで、第2撮像姿勢に移行することができる。尚、図7に、ロボット26を第2撮像姿勢に移行させた状態を示している。図7は、ロボット26に第2撮像姿勢を取らせたときのカメラ32と第2識別図形D2との位置関係が分かるように、第2識別図形D2が設けられる付近を拡大して示した斜視図である。
【0049】
また、カメラ32が第2識別図形D2を斜めから撮像する姿勢は、カメラ32の撮像光軸が第2識別図形D2と成す角度が所定の角度となるように、ロボット26の姿勢(第2撮像姿勢)が前記ティーチング操作によって設定される。そして、撮像光軸の角度は、本例では、図8に示した角度Ry、及び図9に示した角度Rzで定義される。角度Ryは、図8に示すように、第2識別図形D2の中心位置と直交する軸であるz軸に対する角度であって、撮像光軸がz軸に対して第2識別図形D2の表面側に傾いた角度である。また、角度Rzは、図9に示すように、矩形をした第2識別図形D2の中心を原点とし、矩形の辺と平行な基準軸であるx軸及びy軸の一方の基準軸(本例ではx軸)に対する、前記z軸を中心とした軸回り方向の回転角度である。この角度Ry及びRzの好ましい範囲については後述する。
【0050】
前記材料ストッカ20では、例えば、当該材料ストッカ20において作業を開始するときの作業開始姿勢(取出開始姿勢)、当該材料ストッカ20に収納された加工前ワークWをハンド30により把持して、当該材料ストッカ20から取り出すための各作業姿勢(各取出姿勢)及び取出を完了したときの姿勢(取出完了姿勢であり、本例では、取出開始姿勢と同じ姿勢)が取出動作姿勢として設定される。
【0051】
また、工作機械10では、加工済のワークW’を工作機械10から取り出すワーク取出動作姿勢、及び加工前ワークWを工作機械10に取り付けるワーク取付動作姿勢が設定される。
【0052】
具体的には、ワーク取出動作姿勢では、例えば、工作機械10に進入する前の作業開始姿勢、ハンド30及びカメラ32を工作機械10の加工領域内に進入させて、支持バー15に設けられた第1識別図形D1がカメラ32の視野に入るように当該カメラ32を位置させて、当該カメラ32によって第1識別図形を撮像する姿勢(第1撮像姿勢)(図4参照)、工作機械10のチャック12に把持された加工済ワークW’に対してハンド30を対向させた姿勢(取出準備姿勢)、ハンド30をチャック12側に移動させて、当該チャック12に把持された加工済ワークW’をハンド30によって把持する姿勢(把持姿勢)、ハンド30をチャック12から離隔させて加工済ワークW’をチャック12から取り外した姿勢(取外姿勢)、ハンド30及びカメラ32を工作機械10から抜け出させた姿勢(作業完了姿勢)の各姿勢が設定される。尚、カメラ32が第1識別図形D1を撮像する第1撮像姿勢も、上述した第2撮像姿勢と同様に、当該第1識別図形D1を斜めから撮像する姿勢、即ち、カメラ32の撮像光軸が第1識別図形D1に対して前記角度Ry及びRzで定義される斜め方向となる姿勢に設定される。
【0053】
また、ワーク取付動作姿勢では、例えば、工作機械10に進入する前の作業開始姿勢、ハンド30及びカメラ32を工作機械10の加工領域内に進入させて、支持バー15に設けられた第1識別図形D1がカメラ32の視野に入るように当該カメラ32を位置させて、当該カメラ32によって第1識別図形D1を撮像する姿勢(上記と同じ第1撮像姿勢)(図4参照)、工作機械10のチャック12に対してハンド30に把持された加工前ワークWを対向させた姿勢(取付準備姿勢)、ハンド30をチャック12側に移動させて、加工前ワークWを当該チャック12によって把持可能にした姿勢(取付姿勢)、ハンド30をチャック12から離隔させた姿勢(離隔姿勢)、ハンド30及びカメラ32を工作機械10から抜け出させた姿勢(作業完了姿勢)の各姿勢が設定される。
【0054】
前記製品ストッカ21では、当該製品ストッカ21において作業を開始するときの作業開始姿勢(収納開始姿勢)、ハンド30に把持した加工済ワークW’を製品ストッカ21内に収納するための各作業姿勢(収納姿勢)及び収納を完了したときの姿勢(収納完了姿勢であり、本例では、収納開始姿勢と同じ姿勢)が収納動作姿勢として設定される。
【0055】
前記自動運転制御部47は、前記動作プログラム記憶部41に格納された自動運転用プログラム及びマップ生成用プログラムの何れかを用い、当該プログラムに従って無人搬送車35、ロボット26及びカメラ32を動作させる機能部である。その際、前記移動位置記憶部42及び動作姿勢記憶部43に格納されたデータが必要に応じて使用される。
【0056】
前記基準画像記憶部45は、ティーチング操作時に、前記カメラ32によって撮像される第1識別図形D1の画像を第1基準画像として、また、同じく前記カメラ32によって撮像される第2識別図形D2の画像を第2基準画像として記憶する機能部である。具体的には、前記第1基準画像は、前記無人搬送車35が工作機械10に対して設定された作業位置に在り、前記ロボット26が第1撮像姿勢にあるときに、前記カメラ32により撮像された第1識別図形D1の画像である。また、前記第2基準画像は、前記ロボット26が第2撮像姿勢にあるときに、前記カメラ32により撮像された第2識別図形D2の画像である。
【0057】
前記補正量算出部50は、前記自動運転制御部47による制御の下で、前記動作プログラム記憶部41に格納された自動運転用プログラムに従って前記ロボット26が自動運転される際に、当該ロボット26が第1撮像姿勢に在り、カメラ32によって前記第1識別図形D1が撮像されると、当該自動運転時に得られた現在の第1識別図形D1の画像と、前記基準画像記憶部45に格納された第1基準画像(ティーチング操作時に撮像された画像)とに基づいて、ロボット26の現在の姿勢とティーチング操作時の姿勢との間におけるカメラ32の位置誤差量を算出するとともに、算出された位置誤差量に基づいて、前記作業姿勢における第1補正量を算出する(第1補正量算出処理)。
【0058】
また、補正量算出部50は、当該ロボット26が第2撮像姿勢に在り、カメラ32によって前記第2識別図形D2が撮像されると、当該自動運転時に得られた現在の第2識別図形D2の画像と、前記基準画像記憶部45に格納された第2基準画像(ティーチング操作時に撮像された画像)とに基づいて、ロボット26の現在の姿勢とティーチング操作時の姿勢との間におけるカメラ32の位置変化量(取付変動量)を算出するとともに、算出された位置変化量に基づいて、前記作業姿勢における第2補正量を算出する(第2補正量算出処理)。
【0059】
以下、第1補正量算出処理及び第2補正量算出処理の一例について説明する。
【0060】
<第1補正量算出処理>
前記補正量算出部50は、前記ロボット26の現在の姿勢とティーチング操作時の姿勢との間における前記カメラ32の誤差量(位置誤差量及び回転誤差量)を算出し、この位置誤差量及び回転誤差量に基づいて前記第1補正量を算出する。
【0061】
具体的には、補正量算出部50は、自動運転時に得られた現在の第1識別図形D1の画像と、前記基準画像記憶部45に格納された第1基準画像(ティーチング操作時に撮像された画像)等に基づいて、以下の処理を実行して、ロボット26の現在の姿勢とティーチング操作時の姿勢との間におけるカメラ32の誤差量であって、第1識別図形と平行な平面内で設定される相互に直交するx軸及びy軸、並びにこれらx軸及びy軸に直交するz軸方向におけるカメラ32の位置誤差量と、x軸、y軸及びz軸回りのカメラ32の回転誤差量とを推定するとともに、推定した位置誤差量及び回転誤差量に基づいて、ロボット26の各作業姿勢を補正するための前記第1補正量を算出する。
【0062】
(前処理)
前記補正量算出部50は、まず、前処理として、前記ティーチング操作時に撮像された前記第1基準画像に基づいて、カメラ32に対応した座標系であるカメラ座標系(camera_teach、以下同じ)から、前記第1識別図形D1に対した座標系である図形座標系(fig、以下同じ)に変換するための座標変換行列
を取得する。尚、この座標変換行列
は、カメラ32の内部パラメータ、識別図形から認識されるホモグラフィ行列、中心座標、コーナ座標及び第1識別図形の大きさなどから取得することができる。
【0063】
また、前記カメラ座標系は、カメラの平面状の撮像素子群について設定される3次元の座標系であり、例えば、撮像素子群の中心位置に原点が設定される。また、前記図形座標系は、第1識別図形D1について設定される3次元の座標系であり、例えば、第1識別図形D1の中心位置に原点が設定される。また、後述するロボット座標系は、制御装置40がロボット26を制御するために設定された3次元の座標系であり、適宜位置に原点が設定されている。
【0064】
次に、補正量算出部50は、取得された座標変換行列
と、前記カメラ座標系におけるカメラ位置であって、前記ティーチング操作における撮像時のカメラ位置
とに基づいて、前記図形座標系におけるティーチング操作時のカメラ位置
を以下の数式1によって算出する。
(数式1)
【0065】
(ティーチング操作時のカメラ位置算出処理)
次に、補正量算出部50は、ティーチング操作時のロボット座標系におけるカメラ位置
を以下の数式2によって算出する。
(数式2)

続いて、補正量算出部50は、ティーチング操作時のカメラ座標系からティーチング操作時のロボット座標系(ideal、以下同じ)へ変換するための座標変換行列
を以下の数式3によって算出する。
(数式3)
ここで、
の回転行列成分
を基に、x軸、y軸及びz軸回りの各回転角度


を算出する。
尚、
は、図形座標系からティーチング操作時のロボット座標系へ変換するための座標変換行列である。例えば、図形座標系からティーチング操作時のカメラ座標系へ変換するための座標変換行列
と、前記カメラ座標系からティーチング操作時のロボット座標系へ変換するための座標変換行列
に基づいて、以下の数式4によって取得することができる。
(数式4)
【0066】
(自動運転時のカメラ位置算出処理)
次に、補正量算出部50は、自動運転時(実動作時)に得られる現在の第1識別図形D1の画像に基づいて、上記と同様にして、現在のカメラ座標系(camera_curr)から図形座標系に変換するための座標変換行列
を取得した後、当該現在の画像に基づいて、図形座標系における現在のカメラ位置
を以下の数式5によって算出するとともに、前記ティーチング操作時のロボット座標系における現在のカメラ位置
を以下の数式6によって算出する。
(数式5)
(数式6)
続いて、補正量算出部50は、現在のカメラ座標系からティーチング操作時のロボット座標系へ変換するための座標変換行列
を以下の数式7によって算出する。
(数式7)
ここで、
の回転行列成分
を基に、x軸、y軸及びz軸回りの各回転角度


を算出する。
【0067】
(誤差量算出処理)
次に、補正量算出部50は、上記のようにして算出したティーチング操作時の座標系におけるティーチング操作時のカメラ角度


と、ティーチング操作時の座標系における現在のカメラ角度


とに基づいて、これらの差分を算出することによって、x軸、y軸及びz軸回りの各回転誤差Δrx、Δry及びΔrzを算出する。
但し、
【0068】
次に、補正量算出部50は、上記のようにして算出した各回転誤差Δrx、Δry及びΔrzに基づいて、ティーチング操作時におけるロボット座標系と、現在のロボット座標系との間の回転行列
、即ち、回転誤差量を以下の数式8によって算出するとともに、ティーチング操作時のロボット座標系から現在のロボット座標系への並進行列
、即ち、位置誤差量を以下の数式9により算出する。
(数式8)
(数式9)
【0069】
(補正量算出処理)
次に、補正量算出部50は、上記のようにして算出した誤差量に基づいて、この誤差量を補正するための第1補正量
を以下の数式10によって算出する。
(数式10)
<第2補正量算出処理>
上述したように、前記補正量算出部50は、前記ロボット26が第2撮像姿勢を取ったときに、前記カメラ32によって撮像される前記第2識別図形D2の現在の画像と、前記基準画像記憶部45に格納された第2基準画像(ティーチング操作時に撮像された画像)とに基づいて、ロボット26の現在の姿勢とティーチング操作時の姿勢との間におけるカメラ32の位置変化量(取付変動量)(位置誤差量及び回転誤差量)を算出するとともに、算出された位置変化量に基づいて、前記作業姿勢における第2補正量を算出する。
【0070】
(前処理)
前記補正量算出部50は、まず、前処理として、前記ティーチング操作時に撮像された前記第2基準画像に基づいて、初期時のカメラ32に対応した座標系であるカメラ座標系(第1補正量算出処理と区別するために、「registered_camera」と称する)から、前記第2識別図形D2に対した座標系である図形座標系(同じく第1補正量算出処理と区別するために、「setup_tag」と称する)に変換するための座標変換行列
を取得する。図11に、ロボット座標系(「robot」)、カメラ座標系(「registered_camera」)及び図形座標系(「setup_tag」)との関係を模式的に示している。尚、上述した第1補正量算出処理の場合と同様に、この座標変換行列
は、カメラ32の内部パラメータ、識別図形から認識されるホモグラフィ行列、中心座標、コーナ座標及び第2識別図形の大きさなどから取得することができる。
【0071】
(位置変化量及び補正量算出処理)
次に、補正量算出部50は、自動運転時(実動作時)に得られる現在の第2識別図形D2の画像に基づいて、上記と同様にして、現在のカメラ座標系(同じく第1補正量算出処理と区別するために、「actual_camera」と称する)から前記図形座標系に変換するための座標変換行列
を取得し、取得された
と、
との差分値を算出する(ステップ1)。尚、図12に、ロボット座標系(「robot」)、初期時のカメラ座標系(「registered_camera」)、現在のカメラ座標系(「actual_camera」)、図形座標系(「setup_tag」)と、実動作時におけるロボット座標系における現在のカメラ位置(「desired_camera」)と、物理的な意味での現在の実際のカメラ位置(「actual_camera」)と、誤差を打ち消すべくカメラ32の位置が補正されるべき位置(制御されるべき位置)(「updated_camera」)との関係を模式的に示している。
【0072】
そして、補正量算出部50は、得られた行列の逆行列
、上記の行列
、行列
及び行列
に基づいて、位置変化量に相当する行列、即ち、実動作時におけるロボット座標系における現在のカメラ位置(「desired_camera」)と、物理的な意味での現在の実際のカメラ位置(「actual_camera」)との間の位置関係を示す行列
を以下の数式11に従って算出する(ステップ2)。
(数式11)
尚、行列
は、ロボット座標系から、カメラ32をロボット26に取り付けた時の初期のカメラ座標系へ変換するための変換行列である。
また、行列
は、ロボット座標系から、現在のカメラ座標系へ変換するための変換行列である
の逆行列である。
【0073】
ついで、補正量算出部50は、得られた行列
の逆行列である行列
と、上記の行列
とを用いて、算出された位置変化量を打ち消すために更新(補正)されたカメラ位置(「updated_camera」)を以下の数式12に従って算出する(ステップ3)。
(数式12)
【0074】
そして、前記自動運転制御部47は、上記ステップ3で算出された行列
で定義される位置にカメラ32が位置するようにロボット26の第2撮像姿勢を変更する(ステップ4)。
【0075】
この後、補正量算出部50及び自動運転制御部47は、上記ステップ1~ステップ4を繰り返して実行し、前記ステップ1で算出された
と、
との差分値が所定の閾値(基準値)を下回ったとき、この繰り返し処理を終了するとともに、補正量算出部50は、終了直前に算出された位置変化量に相当する行列
を最終的な位置変化量とする。このようにすることで、ティーチング操作時(初期状態)と実動作時との間におけるロボット26とカメラ32との間に生じた前記位置変化量を正確に算出することができる。また、補正量算出部50、得られた位置変化量である
から、その逆行列である
を第2補正量として算出する。
【0076】
前記自動運転制御部47は、ロボット26が工作機械10で作業する際の作業姿勢、例えば、前記ワーク取出動作姿勢における前記取出準備姿勢、把持姿勢及び取外姿勢、並びに前記ワーク取付動作姿勢における取付準備姿勢、取付姿勢及び離隔姿勢について、前記補正量算出部50において算出された第1補正量及び第2補正量に基づいて、ロボット26のハンド30に位置を補正する。
【0077】
即ち、自動運転制御部47は、補正量算出部50による第1補正量算出処理及び第2補正量算出処理により算出された第1補正量及び第2補正量に基づいて、ロボット26の動作姿勢におけるハンド30の位置
を以下の数式13に従って補正する。
(数式13)
【0078】
以上の構成を備えた本例のシステム1によれば、以下のようにして、無人自動生産が実行される。
【0079】
即ち、前記制御装置40の自動運転制御部47による制御の下で、前記動作プログラム記憶部41に格納された自動運転用プログラムが実行され、この自動運転用プログラムに従って、無人搬送車35及びロボット26が動作する。
【0080】
例えば、前記第2補正量を算出する処理が行われる場合には、自動運転制御部47による制御の下で、ロボット26が第2撮像姿勢に移行され、カメラ32によって前記第2識別図形D2が撮像される。そして、前記補正量算出部50により、当該自動運転時に得られた現在の第2識別図形D2の画像と、前記基準画像記憶部45に格納された第2基準画像(ティーチング操作時に撮像された画像)とに基づいて、前記数式11に従って、ロボット26の現在の姿勢とティーチング操作時の姿勢との間におけるカメラ32の位置変化量(取付変動量)が算出されるとともに、算出された位置変化量に基づいて、前記作業姿勢における第2補正量が算出される(第2補正量算出処理)。尚、この第2補正量算出処理は、定期的に実行される態様でも、不定期に実行される態様でも何れでもよいが、ロボット26が作業を行う前に実行されるのが好ましい。
【0081】
また、ロボット搭載移動装置25が作業を行う場合には、自動運転制御部47による制御の下で、無人搬送車35が、工作機械10に対して設定された作業位置に移動するとともに、ロボット26は上述したワーク取出動作の作業開始姿勢を取る。尚、この時、工作機械10は所定の加工を完了して、ロボット26が加工領域内に侵入可能なようにドアカバーを開いており、また、自動運転制御部47からの指令を受信して、前記ツールプリセッタ13の支持バー15を加工領域内に進出させているものとする。
【0082】
ついで、ロボット26は前記第1撮像姿勢に移行し、前記支持バー15に設けられた第1識別図形D1をカメラ32によって撮像する。そして、このようにして、カメラ32によって第1識別図形D1が撮像されると、前記補正量算出部50において、当該第1識別図形D1の画像と、前記基準画像記憶部45に格納された第1基準画像とを基に、上記数式1から数式9に従って、カメラ32の誤差量が算出されるとともに、得られた誤差量を基に、数式10に従って第1補正量が算出される。
【0083】
そして、自動運転制御部47は、補正量算出部50により算出された第1補正量及び第2補正量に基づいて、以降のワーク取出動作姿勢、即ち、上述した取出準備姿勢、把持姿勢、取外姿勢及び作業完了姿勢におけるハンド30の位置を数式13に従って補正するとともに、工作作機械10のチャック12に把持された加工済ワークW’をハンド30に把持して当該工作機械10から取り出す。尚、ロボット26に前記把持姿勢を取らせた後に、自動運転制御部47から工作機械10にチャック開指令を送信することで、当該チャック12が開かれる。
【0084】
次に、自動運転制御部47は、無人搬送車35を、製品ストッカ21に対して設定された作業位置に移動させるとともに、ロボット26に、当該製品ストッカ21において作業を開始するときの収納開始姿勢、ハンド30に把持した加工済ワークを製品ストッカ21内に収納するための各収納姿勢及び収納を完了したときの収納完了姿勢を順次取らせて、ハンド30に把持した加工済ワークを製品ストッカ21に収納する。
【0085】
ついで、自動運転制御部47は、無人搬送車35を、材料ストッカ20に対して設定された作業位置に移動させるとともに、ロボット26に、当該材料ストッカ20において作業を開始するときの取出開始姿勢、当該材料ストッカ20に収納された加工前ワークをハンド30によって把持して、当該材料ストッカ20から取り出すための各取出姿勢及び取出を完了したときの取出完了姿勢を順次取らせて、ハンド30に加工前ワークを把持させる。
【0086】
次に、自動運転制御部47は、再度、無人搬送車35を工作機械10に対して設定された作業位置に移動させるとともに、ロボット26に上述したワーク取付動作の作業開始姿勢を取らせる。ついで、ロボット26を前記撮像姿勢に移行させ、前記支持バー15に設けられた第1識別図形D1をカメラ32によって撮像させる。そして、このようにして、カメラ32によって第1識別図形D1が撮像されると、前記補正量算出部50において、当該第1識別図形D1の画像と、前記基準画像記憶部45に格納された第1基準画像とを基に、上記数式1から数式9に従って、カメラ32の位置誤差量が算出されるとともに、得られた位置誤差量を基に、数式10に従って第1補正量が算出される。
【0087】
この後、自動運転制御部47は、補正量算出部50により算出された第1補正量及び第2補正量に基づいて、以降のロボット26のワーク取付動作姿勢、即ち、上述した取付準備姿勢、取付姿勢、離隔姿勢及び作業完了姿勢におけるハンド30の位置を数式13に従って補正するとともに、ロボット26に、ハンド30に把持された加工前ワークWを工作機械10のチャック12に取り付けた後、機外に退出する動作を行わせる。この後、自動運転制御部47は、工作機械10に加工開始指令を送信して、工作機械10に加工動作を行わせる。尚、ロボット26に前記取付姿勢を取らせた後に、自動運転制御部47から工作機械10にチャック閉指令を送信することで、当該チャック12が閉じられ、当該チャック12によって加工前ワークWが把持される。
【0088】
そして、以上を繰り返すことにより、本例のシステム1では、無人自動生産が連続して実行される。
【0089】
本例のシステム1では、ロボット26が実際に作業する工作機械10の加工領域内に配置された第1識別図形D1を用いて、ロボット26の作業姿勢を補正するようにしているので、当該作業姿勢を正確に補正することができ、これにより、ロボット26は、高い動作精度が求められる作業でも、当該作業を精度良く実行することができる。
【0090】
また、本例のシステム1では、ティーチング操作時(初期状態)と実動作時との間におけるロボット26とカメラ32との間の位置変化を補正するための第2補正量が第2補正量算出処理によって算出され、算出された第2補正量に基づき、前記第2補正処理によって前記作業姿勢が補正される。したがって、ロボットの経時的な稼働によって、ロボット26とカメラ32との間に位置変化が生じたり、また、カメラに外的な力が作用することによって、ロボット26とカメラ32との間に位置変化が生じたとしても、実動作時のロボット26の作業姿勢を正確に補正することができる。
【0091】
また、本例では、前記ロボットを前記第2撮像姿勢に移行させた後に、前記位置変化量を算出するまでを1サイクルとして複数サイクル繰り返して実行するように構成されるとともに、2サイクル目以降では、前のサイクルで算出された位置変化量に基づいて定められる補正量に従って前記第2撮像姿勢を補正し、現在の第2識別図形D2とカメラ32との位置関係と、前記ティーチング操作時の第2識別図形D2とカメラ32との位置関係との差が、所定の基準値以下となったとき、前記サイクルの繰り返しを終了し、終了直前に算出された位置変化量を最終的な位置変化量として算出するように構成された態様を採ることができる。この態様によれば、ティーチング操作時(初期状態)と実動作時との間に生じたロボット26とカメラ32との間の前記位置変化量を正確に算出することができ、これを補正するための第2補正量を正確に算出することができる。
【0092】
そして、このように、ロボット26が精度の良い作業を実行することで、当該システム1は不要な中断を招くことなく高い稼働率で稼働し、結果、当該システム1によれば、信頼性が高く、生産効率の高い無人化を図ることが可能となる。
【0093】
また、本例では、カメラ32によって第1識別図形D1及び第2識別図形D2を撮像する際に、当該第1識別図形D1及び第2識別図形D2を斜めから撮像するようにしているので、撮像された画像から、カメラ32と第1識別図形D1及びD2識別図形D2との正確な位置関係を取得することができる。即ち、第1識別図形D1及び第2識別図形D2は複数の正方形をした画素が二次元に配列されたマトリクス構造を備えているが、このような第1識別図形D1及び第2識別図形D2を斜めから撮像すると正方形をした画素が台形形状に歪み、このような歪み状態を解析することによって、カメラ32と第1識別図形D1及びD2識別図形D2との正確な位置関係を取得することができる。
【0094】
ところで、第1識別図形D1及び第2識別図形D2を斜めから撮像する前記角度Ryは、15°以上60°以下の範囲内であるのが好ましく、30°以上60°以下の範囲内であるのがより好ましい。また、前記角度Rzは、15°以上75°以下の範囲内であるのが好ましく、30°以上60°以下の範囲内であるのがより好ましい。
【0095】
図10は、前記カメラ32の撮像光軸の角度Ry及びRzが、それぞれ設定した角度となるような撮像姿勢に、ロボット26を所定の繰り返し回数で位置決めして、前記第2識別画像D2(第1識別画像D1も同様)を撮像し、得られた各画像に基づいて、前記カメラ32の位置を、例えば、前記数式2よって算出するとともに、算出されたカメラ32の位置のばらつきに基づいて、ロボット26の第3アーム29の先端部から200mm先で生じ得る最大誤差(mm)を推定した結果を示している。尚、角度Ry及びRzは、それぞれ0°、15°、30°、45°、60°及び75°の各角度に設定し、各角度における位置決めの繰り返し回数は80回とした。
【0096】
図10に示した結果から分かるように、最大誤差が0.1mm以下となる好ましい角度範囲として、角度Ryは15°以上60°以下が選定され、角度Rzは15°以上75°以下が選定される。また、より好ましい角度範囲として、角度Ryは30°以上60°以下が選定され、角度Rzは30°以上60°以下が選定される。
【0097】
尚、ロボット26の第1撮像姿勢及び第2撮像姿勢は、上述したように、カメラ32の撮像光軸が角度Ry及びRzだけ傾くような姿勢であるのが好ましいが、角度Rzを0°として、角度Ryのみを傾斜させた姿勢としてもよく、逆に、角度Ryを0°として、角度Rzのみを傾斜さた姿勢としてもよい。
【0098】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0099】
例えば、上例では、ロボット搭載移動装置25が作業をする対象を工作機械10、材料ストッカ20及び製品ストッカ21としたが、作業対象はこれらに限られるものでは無く、ワークを洗浄する洗浄装置や、ワークの形状、寸法などを測定する測定装置など、他の公知の全ての産業機械を作業対象とすることができる。また、工作機械についても、立形旋盤の他、横形旋盤や、立形又は横形のマシニングセンタなど、公知の全ての工作機械を作業対象とすることができる。
【0100】
また、上例では、前記ロボットを前記第2撮像姿勢に移行させた後に、前記位置変化量を算出するまでを1サイクルとして複数サイクル繰り返して実行するように構成したが、このような構成に限られるものではなく、1度の位置変化量算出処理によって求める位置変化量を算出するようにしても良い。
【0101】
また、上例では、移動装置として無人搬送車を例示したが、これに限られるものでは無く、手動で移動する台車を移動装置として採用しても良い。
【0102】
或いは、移動装置は、図13に示すような構成であっても良い。この例のロボット搭載移動装置110は、移動装置111及びこの移動装置111に設けられるロボット115を備える。移動装置111は、工作機械100と、工作機械100に隣接されるストックヤード105とに跨るように水平に配設された軌道としてのガイドレール112と、このガイドレール112に係合して、当該ガイドレール112に沿って、二点鎖線で示す矢示方向に移動可能に設けられたスライダ113とを備えて構成される。カメラ116を備えた前記ロボット115は、このスライダ113に固設されており、また、スライダ113に前記第2識別図形D2が配設されている。この例では、移動装置111のスライダ113が矢示方向に移動することで、ロボット115が工作機械100とストックヤード105の間で移動し、当該ロボット115により、ワークW1,W2が工作機械100とストックヤード105との間で搬送される。
【0103】
繰り返しになるが、上述した実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1 システム
10 工作機械
20 材料ストッカ
21 製品ストッカ
25 ロボット搭載移動装置
26 ロボット
32 カメラ
35 無人搬送車
40 制御装置
41 動作プログラム記憶部
42 移動位置記憶部
43 動作姿勢記憶部
44 マップ情報記憶部
45 基準画像記憶部
46 手動運転記憶部
47 基準画像記憶部
46 手動運転記憶部
47 自動運転記憶部
48 マップ情報記憶部
49 位置認識部
50 補正量算出部
D1 第1識別図形(対象側識別図形)
D2 第2識別図形(移動装置側識別図形)
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
図12
図13