(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068126
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】空気浄化機能を有する3Dプリンターのチャンバー制御装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20240510BHJP
B29C 64/25 20170101ALI20240510BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240510BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240510BHJP
B29C 64/364 20170101ALI20240510BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240510BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/25
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/364
B29C64/118
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180288
(22)【出願日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】10-2022-0146324
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523397436
【氏名又は名称】エックスオービー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EXOB Corp
【住所又は居所原語表記】1315, 1316, 225 Gasan digital 1-ro, Geumcheon-gu, Seoul, 08501, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ソク ウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,セ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヒョン ソク
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AM25
4F213AP05
4F213AP20
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL72
(57)【要約】
【課題】本発明は、3Dプリンターのチャンバー制御装置を提供する。
【解決手段】電流センサーを用いて3Dプリンターの動作状態を検出する制御部と、前記制御部の制御にしたがい、前記3Dプリンターに電源を供給制御するプリンター制御部と、前記制御部の制御にしたがい、ドアをロック状態とし、前記3Dプリンターの印刷作業が完了した状態にて、環境センサーを通じて検出された有害物質の濃度が設定濃度以下であれば、ドアのロックを解除するロック装置部と、を含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流センサーを用いて3Dプリンターの動作状態を検出する制御部と、
前記制御部の制御によって前記3Dプリンターに電源を供給制御するプリンター制御部と、
前記制御部の制御にしたがい、ドアをロック状態とし、前記3Dプリンターの印刷作業が完了した状態にて、環境センサーを通じて検出された有害物質の濃度が設定濃度以下であれば、ドアのロックを解除するロック装置部と、を含む3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【請求項2】
ユーザーの制御命令を入力する入力部をさらに含み、
前記入力部は、電源を供給する電源スイッチと、
制御プロセスの実行を入力する開始ボタンと、を含む請求項1に記載の3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【請求項3】
前記環境センサーは、有害物質の濃度を検出するセンサーと、温度センサーおよび湿度センサーと、を含み、
前記環境センサーから検出された有害物質の濃度の情報、および温度と湿度の情報を表示する表示部をさらに含む請求項1に記載の3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【請求項4】
前記制御部の制御にしたがい、フィルターを通過するようにチャンバーの内部の空気を循環させるファンを駆動するファン駆動部をさらに含む請求項1に記載の3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【請求項5】
前記制御部の制御にしたがい、チャンバーの内部に陰イオンを供給するイオナイザーをさらに含む請求項4に記載の3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記環境センサーから検出された有害物質の濃度が、第1基準値未満である場合、前記ファンを駆動せず、3Dプリンターの熱による対流を、フィルターでフィルタリングして空気浄化が行われるようにし、
有害物質の濃度が、第1基準値以上で第2基準値未満である場合、前記ファン駆動部を用いてファンを駆動させ、
有害物質の濃度が第2基準値を超えると、前記ファンを駆動させるとともに、前記イオナイザーを作動させることを特徴とする請求項5に記載の3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ファンを稼動した時刻を確認し、前記環境センサーから検出された有害物質の濃度が設定値以下に低下したときの時刻との差を求め、
求められた差が基準時間以上であれば、前記フィルターの交換が必要であると判断する請求項4に記載の3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【請求項8】
前記電流センサーは、
前記3Dプリンターのフィラメントまたはパレットに供給される電流を検出することを特徴とする請求項1に記載の3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【請求項9】
前記チャンバーのドアの開閉状態を検出するドア感知部をさらに含み、
前記ロック装置部は、
前記ドア感知部から検出されたドア状態が閉状態であるときにドアロックを行うことを特徴とする請求項1に記載の3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【請求項10】
前記ロック装置部は、
前記制御部の制御によって前記3Dプリンターの印刷作業が完了した後、前記電流センサーから検出された電流と、前記環境センサーから検出された有害物質とを確認し、設定値未満であれば、ドアのロックを解除することを特徴とする請求項9に記載の3Dプリンターのチャンバー制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンターのチャンバーに関するものであり、より詳細には、空気浄化機能を有する3Dプリンターのチャンバー制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、3Dプリンターは、各種フィラメントを高温に溶融させてユーザーが望む形状に加工する装置である。この過程で、意図せずTVOC(Total Volatile Organic Compounds;総揮発性有機化合物)と呼ばれる有害物質が空気中に浮遊することになり、これをユーザーが持続吸入して致命的な健康上の問題を引き起こす場合が発生している。
【0003】
3Dプリンターのメーカーまたは容器のメーカーでは、送風用ファンと空気浄化フィルターを装着してこの問題を解決しようとする試みがあった。
【0004】
例えば、大韓民国登録特許10-2100061号(2020年4月6日登録、交換型フィルター手段を有する組み立て式多重3Dプリンティング装備)には、ファンとフィルターを用いて有害物質をフィルタリングする装備について記載している。
【0005】
しかし、このような従来の技術は、3Dプリンターと空気浄化装置とをそれぞれ設定しなければならないため不便さがあった。例えば、3Dプリンターの稼働時間は、加工物の形状に応じて流動的である反面、空気浄化のためのファンの駆動時間は、予め設定されているため、動作時間の違いを考慮して、空気浄化のためのファンの駆動時間を手動で設定しなければならないという不便さがあった。
【0006】
特に、3Dプリンターは、動作終了後も、濃度には差があるが、一定時間、有害物質が排出されることが知られている(大韓民国 産業安全保健研究院2018年、3Dプリンターユーザーについての超微粒子露出評価)。
【0007】
すなわち、3Dプリンターを使用して特定の構造物を製作した後も、一定時間、有害物質が排出されるが、ユーザーは、この時間がわからず、構造物の製作後に直ちに前面のドアを開けて印刷された構造物を引き出す場合、有害物質が外部に放出されるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の従来技術の問題点に鑑みた、本発明が解決しようとする課題は、作業者の介入がなくても、3Dプリンターの動作を確認して浄化装置の動作時間を設定できる、3Dプリンターのチャンバー制御装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明が解決しようとする課題は、出力物を引き出す際に、有害物質がともに排出されることを防止できる、3Dプリンターのチャンバー制御装置を提供することにある。
【0010】
また、3Dプリンターの動作中に、作業者のミスによって有害物質がチャンバーの外部に排出されることを防止できる、3Dプリンターのチャンバー制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の技術的課題を解決するための本発明の3Dプリンターのチャンバー制御装置は、(1)電流センサーを用いて3Dプリンターの動作状態を検出する制御部と、(2)前記制御部の制御によって前記3Dプリンターに電源を供給制御するプリンター制御部と、(3)前記制御部の制御によってドアをロック状態とし、前記3Dプリンターの印刷作業が完了した状態にて、環境センサーを通じて検出された有害物質の濃度が設定濃度以下であれば、ドアのロックを解除するロック装置部と、を含み得る。
【0012】
本発明の実施形態において、ユーザーの制御命令を入力する入力部をさらに含み、前記入力部は、電源を供給する電源スイッチと、制御プロセスの実行を入力する開始ボタンと、を含み得る。
【0013】
本発明の実施形態において、前記環境センサーは、有害物質の濃度を検出するセンサーと、温度センサーおよび湿度センサーと、を含み、前記環境センサーから検出された有害物質の濃度の情報、および、温度と湿度の情報を表示する表示部をさらに含み得る。
【0014】
本発明の実施形態において、前記制御部の制御にしたがい、フィルターを通過するようにチャンバー内部の空気を循環させるファンを駆動するファン駆動部をさらに含み得る。
【0015】
本発明の実施形態において、前記制御部の制御にしたがい、チャンバー内部に陰イオンを供給するイオナイザー(ionizer)をさらに含み得る。一具体例において、イオナイザーは、高電圧を利用し空気分子をイオン化するものであって、VOC(Volatile Organic Compounds)粒子の表面静電気を中和するか、または少なくとも部分的に分解を行うものでありうる。
【0016】
本発明の実施形態において、前記制御部は、前記環境センサーから検出された有害物質の濃度が、第1基準値未満である場合、前記ファンを駆動せずに、3Dプリンターの熱による対流をフィルターでフィルタリングすることで空気浄化が行われるようにし、
【0017】
有害物質の濃度が、第1基準値以上、第2基準値未満である場合、前記ファン駆動部を用いてファンを駆動させ、
【0018】
有害物質の濃度が第2基準値を超えると、前記ファンを駆動させるとともに前記イオナイザーを作動させることができる。
【0019】
本発明の実施形態において、前記制御部は、前記ファンを稼動した時刻を確認し、前記環境センサーから検出された有害物質の濃度が、設定値以下に低下した際の時刻との差を求め、求められた差が基準時間以上であれば、前記フィルターの交換が必要であると判断できる。
【0020】
本発明の実施形態において、前記電流センサーは、前記3Dプリンターのフィラメントまたはパレットに供給される電流を検出することができる。
【0021】
本発明の実施形態において、前記チャンバーのドアの開閉状態を検出するドア感知部をさらに含み、前記ロック装置部は、前記ドア感知部から検出されたドア状態が閉状態であるときにドアロックを行い得る。
【0022】
本発明の実施形態において、前記ロック装置部は、前記制御部の制御にしたがい、前記3Dプリンターの印刷作業が完了した後、前記電流センサーから検出された電流と、前記環境センサーから検出された有害物質とを確認し、設定値未満であれば、ドアのロックを解除できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、3Dプリンターが動作しているかどうかを自動的に検出し、3Dプリンターの動作に合わせて適当な有害物質の浄化を行うことによって、作業者が浄化機能の実行時間を別途に設定する必要がなく、利便性が向上する効果がある。
【0024】
また、本発明は、有害物質の濃度を検出し、有害物質の濃度に応じて、フィルターとは別途の、有害物質を低減することができる手段を用いて有害物質の濃度を減らし、有害物質の濃度を管理できる効果がある。
【0025】
また、本発明は、3Dプリンターが動作しているかどうか、および汚染物質の濃度に応じて、チャンバーのドアを自動的にロックまたはロック解除することによって、作業者が誤ってチャンバーのドアを開けて有害物質がチャンバーの外部に排出されることを防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による3Dプリンターのチャンバー制御装置のブロック構成図である。
【
図2】本発明が適用されるチャンバーの例示図である。
【
図4】同じく、本発明の表示部の表示例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の構成および効果を十分に理解するために、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で具現することができ、様々な変更を加えることができる。単に、本実施形態の説明は、本発明の開示を完全にするようにし、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者に、発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。添付の図面における構成要素は、説明の便宜のためにそのサイズを実際よりも拡大して示したものであり、各構成要素の割合は、誇張または縮小されうる。
【0028】
「第1」、「第2」などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用できるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されるべきではない。前記用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用できる。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなく、「第1構成要素」は「第2構成要素」と命名され得るのであり、同様に「第2構成要素」も「第1構成要素」と命名され得る。また、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味で表現しない限り、複数の表現を含む。本発明の実施形態で使用される用語は、別段の定義がない限り、当該技術分野における通常の知識を有する者に通常知られている意味に解釈されうる。
【0029】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による3Dプリンターのチャンバー制御装置について具体的に説明する。
【0030】
図1は、本発明の好ましい実施形態による3Dプリンターのチャンバー制御装置のブロック構成図である。
【0031】
図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態による3Dプリンターのチャンバーは、ユーザーの命令を入力する入力部20と、3Dプリンターの電流を検出する電流センサー30と、チャンバー内における汚染物質の濃度、および温湿度(温度並びに湿度)を検出する環境センサー40と、チャンバーのドア開閉状態を検出するドア感知部60と、制御部10の制御にしたがいドアをロックまたはロック解除するロック装置部70と、空気浄化のためにフィルター81側に空気を循環させるファンを駆動するファン駆動部80と、前記環境センサー40から検出された汚染物質の濃度に応じて選択的に動作して空気を浄化するイオナイザー90と、前記環境センサー40の検出結果を表示する表示部50と、前記制御部10の制御にしたがい3Dプリンターの電源を制御するプリンター制御部11と、を含んで構成される。
【0032】
以下、前述のように構成される、本発明の好ましい実施形態による3Dプリンターのチャンバーの構成と作用について、より詳細に説明する。
【0033】
まず、本発明は、内部に3Dプリンターが収容されるとともに、外部から密閉される空間を提供するチャンバーに対して適用される制御装置に関する。
【0034】
前記入力部20は、電源スイッチ21と開始ボタン22とを含み得るのであり、本発明で説明される以外に、様々な機能スイッチを含み得る。例えば、緊急停止のためのスイッチを含み得る。
【0035】
作業者は、電源スイッチ21を作動させて、3Dプリンターおよびチャンバーに電力を供給することができる。電源スイッチ21をオンにすると、制御部10は、プリンター制御部11を介して、3Dプリンターに電源を供給することができる。
【0036】
また、作業者は、開始ボタン22を選択して、制御部10にて、以下に説明する一連のプロセスを実行させることができる。開始ボタン22は、選択方式に応じて終了ボタンとして使用できる。
【0037】
例えば、作業者が開始ボタン22を1回など、一定時間内に奇数回選択すると、制御部10は開始プロセスを行うのであって、2回など、一定時間内に偶数回選択すると、制御部10は終了プロセスを行うのであり得る。
【0038】
また、短く押すと開始プロセス、3秒以上長く押すと終了プロセスを行い得る。
【0039】
3Dプリンターに電源が供給され、開始ボタン22が奇数回選択されると、制御部10は、プリンター制御部11を用いて3Dプリンターの印刷作業を開始させることができる。
【0040】
このとき、電流センサー30は、3Dプリンターで電流を検出する。すなわち、電流センサー30は、3Dプリンターが実際に動作しているかどうかを確認できる。例えば、3Dプリンターに電源が供給され、開始ボタン22の選択によって制御部10は印刷作業が開始されたと判断できるが、3Dプリンターの制御部で印刷するファイルが見つからないなどのエラーによって実際に印刷作業が実行されない可能性があるため、実際の動作可否を確認する必要がある。
【0041】
特に電流センサー30は、3Dプリンターのパレット(pallet)またはフィラメント(filament)に供給される電流を検出することができる。3Dプリンターは、印刷作業の開始前に、パレットとフィラメントを加熱するために電流を供給し、電流センサー30を用いて、実際の印刷作業が進行中であることを確認しうる。
【0042】
もし、電流センサー30でフィラメントに供給される電流検出が持続してから、フィラメントに電流が供給されなければ、印刷作業が終了したと制御部10にて判断しうる。
【0043】
このように、本発明は、3Dプリンターの動作状態をチャンバー側の制御装置で検出できるようにすることによって、後述する様々な利便性を確保しうる。
【0044】
図2は、本発明が適用される3Dプリンターのチャンバーの例示図である。
【0045】
図2を参照すると、チャンバー1内部には3Dプリンター2が配置され、ファン4の駆動によって空気が循環しながら、フィルター81によってフィルタリングされて浄化される構成であり得る。
【0046】
この際、空気循環パネル3により、フィルター81に流入する有害物質を含む空気と、フィルター81を介して浄化された空気とについての循環が行われ得るのであり、循環カバー5によって空気が円滑に循環されるように構成され得る。
【0047】
開始ボタン22の選択によって開始プロセスが開始されると、制御部10は、ドア感知部60を介して、チャンバー1のドア状態を確認する。ここで、ドアの状態は、開状態または閉状態であるものとする。
【0048】
制御部10は、具体的な開始プロセスを実行する前に、ドア感知部60を介してドアの状態を確認し、ドアが開いた状態である場合は、表示部50にドアの開き警告を表示し、開始プロセスの実行を停止する。
【0049】
ドアが閉じた状態である場合は、制御部10は、ロック装置部70を作動させてドアをロック状態にし、開始プロセスを継続する。
【0050】
制御部10は、電流センサー30を介してフィラメントまたはパレットに供給される電流が検出された場合、3Dプリンター2が印刷作業を進行するものと判断し、前記ファン4の駆動のために、ファン駆動部80を駆動することができる。
【0051】
ここで、ファン4の駆動は、電流センサー30にて電流が検出された直後に行われうるが、電力を低減および騒音発生時間の短縮のために、電流センサー30にて電流が検出された後の、一定の遅延時間の後、または環境センサー40から検出された有害物質の濃度が一定の基準(第1基準値)以上になったときに、ファン4を駆動することができる。
【0052】
ファン4を駆動しなくても、3Dプリンター2は、印刷準備作業にて、パレットを加熱するとともにフィラメントを加熱することになり、パレットおよびフィラメントの熱によって対流が形成されるため、第1基準値未満の有害物質排出状態では、ファン4を駆動しなくても空気浄化が可能である。
【0053】
環境センサー40は、有害物質の濃度を検出するとともに、チャンバー1の内部の温度および湿度を検出することができる。
【0054】
環境センサー40から検出された環境情報は、表示部50に表示されるものとする。
【0055】
表示部50に表示される環境情報の一例を
図3および
図4に示す。
【0056】
3Dプリンター2にて印刷作業が進行して、前記環境センサー40から検出された有害物質の濃度が、第1基準値よりも大きい第2基準値以上になると、制御部10は、ファン駆動部80を介してファン4を駆動するとともに、イオナイザー90を作動させて陰イオンをチャンバー1の内部に放出する。
【0057】
TVOCなどの有機化合物は、空気中で陽イオン状態であり、イオナイザー90から発生する陰イオンと結合して除去されうる。
【0058】
このように、本発明は、環境センサー40から検出された有害物質の濃度に応じて、ファンを稼動しないか、ファンのみを稼動するか、または、ファンとイオナイザーの両方を稼動する、という状態を有することによって、チャンバー1の内部の空気の質に応じて、適当な浄化処理を行い得る。
【0059】
前記制御部10は、環境センサー40の有害物質の濃度に応じて、ファン駆動部80を駆動してファン4を作動させ、このとき、ファン4の稼働開始時刻と有害物質の濃度を記憶する。
【0060】
その後、有害物質の濃度が減少して特定の濃度まで低くなれば、制御部10は、この際の時刻を確認し、先に記憶されたファン4の稼働開始時刻との差を求める。
【0061】
求められた時間を基準時間と比較して、基準時間を超える場合、フィルター81の性能が低下したと判断し、表示部50にフィルター交換通知を表示する。
【0062】
このように、本発明は、フィルターの交換判断を実際の空気浄化性能の低下を検出して行うため、交換周期に応じたフィルター交換方式に比べて、より合理的な方式を提供し得る。
【0063】
このように、制御部10は、チャンバーのドアがロックされた状態にて、3Dプリンター2の印刷作業が行われている間、チャンバー1内部の空気を、フィルター81を介して浄化することができる。
【0064】
この過程で、フィルター81の空気浄化性能を確認し、フィルター交換が必要な場合は、表示部50に表示して作業者が認識できるようにする。
【0065】
このような処理過程で電流センサー30を介して検出される電流が基準以下に減少した場合、制御部10は、3Dプリンター2の印刷作業が完了したと判断できる。
【0066】
制御部10は、3Dプリンター2の印刷作業が完了したと判断されたときに直ちにファン4の駆動を停止せず、設定された時間の間、ファン4の駆動を維持するか、環境センサー40から検出された有害物質の濃度を確認して、ファン4の駆動を停止させることができる。
【0067】
すなわち、3Dプリンター2は、印刷作業が完了したが、内部の熱などによって有害物質は排出され続ける状態であり、このような状態でチャンバー1のドアが開くと、有害物質がチャンバー1の外部に排出されるため、設定時間が経過するか、またはチャンバー1内部の有害物質の濃度が設定濃度よりも低くなるまでファン4を駆動してフィルター81を用いた空気浄化が行われ得るようにする。
【0068】
このとき、ロック装置部70は、チャンバーのドアをロック状態に維持し、作業者がチャンバーのドアを開けられないようにする。
【0069】
制御部10は、設定された時間が経過するか、チャンバー1の内部の有害物質の濃度が設定濃度よりも低い場合、ファン4の駆動を停止し、ロック装置部70を用いてドアをロック解除する。
【0070】
このように、本発明は、3Dプリンターの印刷作業が完了したことを自動的に検出し、印刷作業後にチャンバー1のドアが直ちに開放されることを防止し、残留有害物質がチャンバーの外に排出されることを防止できる。
【0071】
以上、本発明による実施形態を説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形および均等な範囲の実施形態が可能であることが理解されるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0072】
10 制御部
11 プリンター制御部
20 入力部
30 電流センサー
40 環境センサー
50 表示部
60 ドア感知部
70 ロック装置部
80 ファン駆動部
90 イオナイザー