(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068148
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】繊維複合材料製のリムスターを備えた自動車用リム
(51)【国際特許分類】
B60B 5/02 20060101AFI20240510BHJP
B60B 1/14 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B60B5/02 G
B60B1/14 E
B60B1/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023185432
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】10 2022 129 154.5
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523410872
【氏名又は名称】ミュンヘン コンポジッツ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Munich Composites GmbH
【住所又は居所原語表記】Germany 85640 Putzbrunn Innstrasse 8
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】オラフ リューガー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可能な限り軽量でありながら堅牢であり、低い製造コストで製造可能な自動車用リムを提供する。
【解決手段】タイヤを直接支持するように設計されたリムリング(2)と、リムリング(2)に接続され、自動車側のリムマウントに接続するように用意されたリムスパイダー(3)とを有する自動車用のリム(1)に関し、リムスパイダー(3)は、それぞれ繊維複合材料からなる2つの一体型スポーク体(4、5)を有し、各スポーク体(4、5)は、軸受要素(6)を受け入れるように設計された中央ディスク領域(7、8)と、リムリング(2)に接続された複数の締結領域(9、10)と、ディスク領域(7、8)と締結領域(9、10)との間に延びる複数のスポーク(11、12)とを有し、両方のスポーク体(4、5)のディスク領域(7、8)は、異なる平面に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のリム(1)であって、タイヤを直接受けるように設計されたリムリング(2)と、前記リムリング(2)に接続され、自動車側のリムマウントに接続するために準備されたリムスター(3)とを備え、前記リムスター(3)は、各々が繊維複合材料からなる2つのスポーク体(4、5)からなり、前記各スポーク体(4、5)は、軸受要素(6)を受け入れるように設計された中央ディスク領域(7、8)と、前記リムリング(2)に接続された複数の締結領域(9、10)と、前記ディスク領域(7、8)と前記締結領域(9、10)との間に延びる複数のスポーク(11、12)とを有し、前記両スポーク体(4、5)の前記ディスク領域(7、8)は、異なる平面に配置されていることを特徴とする、自動車用のリム(1)。
【請求項2】
前記各締結領域(9、10)は、少なくとも1つの螺子(17)によって前記リムリング(2)に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のリム(1)。
【請求項3】
前記各締結領域(9、10)は、前記リムリング(2)の半径方向に延びるフランジ領域(21)に軸方向において直接または間接的に支持されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のリム(1)。
【請求項4】
支持部(14)は、前記各締結領域(9、10)に一体に形成されているか、または複数の前記締付領域(9、10)に共に形成されており、前記支持部(14)が、少なくとも前記リムリング(2)の内側面(13)に平行な円周方向に部分的に延びていることを特徴とする、請求項1から3の1つに記載のリム(1)。
【請求項5】
前記支持部(14)は、円周方向に隣接する同じ前記スポーク体(4、5)の2つの前記締結領域(9、10)を連結する円弧状の連結ウェブとして設計されていることを特徴とする、請求項4に記載のリム(1)。
【請求項6】
前記各締結領域(9、10)が、特殊形状の支持要素(15)に接続されており、前記支持要素(15)が、前記リムリング(2)の内側面(13)に平行な円周方向に少なくとも部分的に延びていることを特徴とする、請求項1から5の1つに記載のリム(1)。
【請求項7】
前記支持要素(15)は、それぞれの前記締結領域(9、10)を前記リムリング(2)に同時に固定する少なくとも1つの螺子(17)によって貫通されていることを特徴とする、請求項6に記載のリム(1)。
【請求項8】
前記支持部(14)および/または前記支持要素(15)は、前記リムリング(2)の環状領域(24)から、0.1mmと0.8mmとの間の目標の隙間(31)だけ半径方向に間隔を空けて配置されていることを特徴とする、請求項4から7の1つに記載のリム(1)。
【請求項9】
前記第1のスポーク体(4)の前記締結領域(9)は、前記第2のスポーク体(5)の前記締結領域(10)と同一平面または異なる平面にあることを特徴とする、請求項1から8の1つに記載のリム(1)。
【請求項10】
円周方向に隣接する異なる前記スポーク体(4、5)の2つの前記締結領域(9、10)の螺子(17)は、周囲に向かって共通のカバー要素(18)で覆われていることを特徴とする、請求項1から9の1つに記載のリム(1)。
【請求項11】
前記カバー要素(18)は、2つの一体化された螺子受け(30)を有し、それぞれの前記螺子受けに前記螺子(17)が直接ねじ込まれることを特徴とする、請求項10に記載のリム(1)。
【請求項12】
前記スポーク体(4、5)の前記ディスク領域(7、8)に、連結ボルトを受けるための連続した受け穴(19)が設けられていることを特徴とする、請求項1から11の1つに記載のリム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車/自動車用リム、好ましくは自動車用リム、すなわち乗用車用リムに関する。
【背景技術】
【0002】
リムは、通常、タイヤを直接支持するように設計されたリムリングと、リムリングに接続され、自動車側のリムマウントに接続するために用意されたリムスターと、を有している。リムリングとリムスターは取り外し可能に(非破壊的に)接続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、できるだけ軽量なリムを得るために、繊維複合材料からなる可能な限り完全に作られた車両用リムを提供することである。同時に、リムは可能な限り頑丈で、大量生産が容易である必要がある。
【0004】
したがって、本発明の課題は、可能な限り軽量でありながら堅牢であり、低い製造コストで製造可能な自動車用リムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、本発明によれば、請求項1の主題によって達成される。したがって、自動車用リムが請求され、このリムは、一方ではタイヤを直接受けるように設計されたリムリングを有し、他方ではリムリングに接続され、自動車側のリムマウントに接続するために用意されたリムスターを(取り外し可能に)有する。リムスターは、それぞれ繊維複合材料で作られた2つの一体型スポーク体を備えている。各スポーク体はまた、軸受要素、特に軸受ブッシュを受け入れるように設計された中央ディスク領域、リムリングに接続/固定された複数の締結領域、およびディスク領域と締結領域との間に延びる複数のスポークを有する。両スポーク体のディスク領域は、異なる平面(互いに軸方向に間隔を置いた平面)に配置されている。
【0006】
その結果、リムスターに関して、繊維複合材料、好ましくはCFRP材料から容易に製造できる自動車用リムが得られる。2つのスポーク体は、最初はばらばらの部品として簡単に形成することができ、その後、スポーク体を組み合わせて、剛性の高いリムスターを形成する。これにより、必要な個々の部品の数と可能な限り低い製造コストとの間において巧みな妥協が達成される。
【0007】
さらに有利な実施形態は従属請求項に記載されており、以下でより詳細に説明される。
【0008】
したがって、各締結領域が、少なくとも1つの螺子によって、好ましくは複数、例えば2つの螺子によって、リムリングに、好ましくはリムリングの専ら半径方向に延びるフランジ領域に締結されると、また有利である。
【0009】
したがって、(それぞれのスポーク体の)各締結領域が、リムリングの(専ら)半径方向に延びるフランジ領域で軸方向に直接的または間接的に支持される場合にも有利である。これにより、リムスターがリムリング上で可能な限り強固に支持され、リムの安定性がさらに高まる。
【0010】
この点に関して、支持部がそれぞれのスポーク体の各締結領域に一体に形成されているか、またはいくつかの、例えば2つの(円周方向に隣接する)締結領域上の支持部に形成されているとさらに好都合であり、この支持部は、少なくとも部分的に、好ましくはその全長にわたってリムリングの内側面/円筒状リング領域と平行な(すなわち、曲線と平行な)円周方向に延びている。これにより、スポーク体の構造がさらに簡素化される。
【0011】
また、支持部が円弧状/円形セグメント状の連結ウェブとして設計され、同じスポーク体の2つの隣接する締結領域を円周方向に連結するようにすれば、できるだけ大きな支持面にわたって強固に支持することができる。
【0012】
この一体型/一体形成の支持部の代わりに、またはそれに加えて、それぞれのスポーク体の各締結領域または少なくともいくつかの締結領域が、特別に/別個に形成された支持要素に接続されている場合にも有利であり、その支持要素は、少なくとも部分的に、好ましくはその全長にわたって リムリングの内側面/円筒状リング領域と平行な(すなわち、曲線と平行な)円周方向に延びている。この支持要素により、リムリングとリムスターとの間の支持を可能な限り可変的に調整することができる。
【0013】
これに関連して、支持要素が、リムリングのそれぞれの締結領域を固定する少なくとも1つの螺子によっても貫通されている場合にも有利である。したがって、支持要素は、少なくとも1つの螺子によって加えられる力を分散させる役割も果たしている。
【0014】
また、支持要素は、鋼材やアルミニウム材などの金属材で形成されている場合にも有用である。これにより、製造の手間がさらに軽減される。
【0015】
また、第1のスポーク体の締結領域が第1の軸方向側で支持要素に支持され、第2のスポーク体の締結領域が反対側の第2の軸方向側で(直接的または間接的に軸方向に)支持されると好都合であることが証明されている。同じ支持要素に支持される2つの締結領域は、好ましくは、少なくとも1つの共通の螺子(あるいは、2つの螺子などの複数の螺子)によってリムリングに連結される。これにより、必要な部品点数が巧みに削減される。
【0016】
リムスターの堅牢な設計のためには、第1のスポーク体のスポークと第2のスポーク体のスポークとが、それらの締結領域とディスク領域との間で軸方向に互いに交差していることも有効である。
【0017】
したがって、第1のスポーク体の締結領域は、特に一体型の支持部が形成されている場合には、リムリングの共通の支持面/リムリングのフランジ領域に位置することが好ましい。あるいは、2つのスポーク体の締結領域は、特に支持要素を構成する設計においては、異なる平面にもある。これにより、リムスターとリムリングの間の締結箇所を個別に決定することが可能になる。
【0018】
さらに、支持部および/または支持要素は、リムリングのリング領域から、0.1mmから0.8mmの間、好ましくは0.2mmから0.5mmの間、特に好ましくは0.3mm程度の特定の半径方向の隙間をあけて配置されていると有利である。リムリングと支持部との間、および/またはリムリングと支持要素との間の半径方向の隙間寸法により、リムリングは、例えば縁石衝突によって引き起こされるような局所的な過負荷が加わった場合に、ある程度(弾性的に)変形することができ、同時に、リムリングは、隙間寸法を超えて変形する前に、支持部および/または支持要素によってスポーク体に確実に支持されるので、リムリングが損傷することはない。
【0019】
疲労強度を高めるために、好ましくは金属材料からなる螺子をカバー要素で覆うことも有用である。組み立てを容易にするために、異なるスポーク体の円周方向に隣接する2つの締結領域の螺子が共通のカバー要素で覆われていると、この点で特に有用である。
【0020】
カバー要素が2つの一体化された螺子受け(雌螺子)を備え、それぞれに螺子が直接ねじ込まれる場合、すなわち、カバー要素が2本の螺子用のロックナットを直接一体化している場合、リムの組み立てがさらに簡素化される。
【0021】
第1のスポーク体のディスク領域に連結ボルトを受け入れるための連続した受け穴が設けられている場合、これを車両に連結するための締結要素として直接使用することができる。
【0022】
したがって、円周方向に隣り合う2つのスポークの間の軸方向通路が第1のスポーク体の受け穴と軸方向に整列するように、第2のスポーク体のディスク領域が第1のスポーク体に対して相対的に回転されると、さらに好都合である。これにより、車両への組付けが大幅に簡素化される。
【0023】
軽量設計のためには、リムリングも繊維複合材料、好ましくはCFRP材料で作られると有利である。
【0024】
次に、図面を参照して本発明をより詳細に説明するが、その文脈においては、様々な例示的な実施形態も示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態のリムの斜視図であり、リムスターの2つのスポーク体とリムのリムリングとの接続が明瞭に開示された図である。
【
図3】
図1に開示されたリムの詳細斜視図であり、リムリングの半径方向内側におけるスポーク体のいくつかの支持部の連結を示している。
【
図4】本発明の第2の実施形態のリムの正面図であり、第1の実施形態のリムと比較すると、ロックナットとして機能する追加のカバー要素が、スポーク体をリムリングに接続する螺子に取り付けられた図である。
【
図6】
図4および
図5で使用される第2のスポーク体の斜視図である。
【
図7】
図4および
図5で使用される第1のスポーク体の斜視図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態のリムの斜視図であり、スポーク体が締結領域によってリムリング上の支持要素に保持されている図である。
【
図10】
図8に開示されたリムの詳細な斜視図であり、スポーク体の締結領域に取り付けられた支持要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図は単に概略的なものであり、本発明を理解する目的にのみ提供される。同じ要素には同じ参照符号を付している。
【0027】
図1~
図3は、本発明によるリム1の第1の実施形態を示している。リム1は、自動車用リム、特に自動車/乗用車のリムとして設計されている。
【0028】
リム1は、繊維複合材料、すなわちCFRP材料からなるリムリング2を有する。リムリング2は、好ましくは、予め別々に製造されたいくつかのプリフォームから構成され、これらのプリフォームは、リムリング2を形成するために互いに接続された後に最終的に堅牢になる。リムリング2のリムフランジ20は、好ましくは炭素繊維からなるいくつかの円周方向/環状の繊維束によって強化される。
【0029】
リム1には、リムリング2とは別に製造されたリムスター3も備えられている。リムリング2はリムスター3に取り外し可能に連結されている。
【0030】
本発明によれば、リムスター3はいくつかの部品から構成され、2つの星形スポーク体4、5を有し、各スポーク体4、5は半径方向に延びる複数のスポーク11または12を有している。
【0031】
リム1の軸方向から見て、第1のスポーク体4は、その中央のディスク領域7が他の第2のスポーク体5のディスク領域8よりも後方となるように配置されている。したがって、リムスター3に使用されるスポーク体4、5のディスク領域7、8は、軸方向に連続する異なる平面に配置されている。
【0032】
ここで使用される方向情報に関しては、リム1の回転軸27を指すことに留意されたい。したがって、軸/軸方向という用語は、回転軸27に沿った/平行な方向を意味し、半径/半径方向という用語は、回転軸27に垂直な方向を意味し、円周方向という用語は、回転軸を中心に同心円状に延びる円周線に沿った方向を意味する。
【0033】
第1のスポーク体4のディスク領域7には、車両側に締結するための複数の受け穴19が円周方向に分散して設けられている。受け穴19は、ディスク領域7を軸方向に貫通する貫通孔として設計されている。受け穴19は、ホイールボルトの接触面を形成するために、金属ブッシュ/金属スリーブによって内側が補強されている。
【0034】
第1のスポーク体4は、ディスク領域7の外側に円周方向に放射状に分布する複数の締結領域9を有する。第1のスポーク体4の各締結領域9は、リムリング2、すなわちリムリング2の(径方向内側に突出する)フランジ領域21に貫通螺子17によって締結固定されている。第1のスポーク体4の各締結領域9は、ディスク領域7から径方向外側に延びるスポーク11の径方向外側端領域を形成している。ディスク領域7、スポーク11および締結領域9は、CFRP材料から一体的に作られ、第1のスポーク体4を形成している。
【0035】
図2の正面図では、第1のスポーク体4の2つのスポーク11がいわゆる(第1の)スポーク対22aを形成していることも明らかである。第1のスポーク対22aの2つのスポーク11は、一緒になってV字形を描いている。スポーク11は、V字の基部を介してディスク領域7に形成されている。このV字の基部は、受け穴19を半径方向外側から取り囲むディスク領域7の穴摩擦領域23上に直接形成されていることが分かる。
【0036】
さらに、第1のスポーク対22aを形成するスポーク11は、共通の支持部14を介して締結領域9で互いに連結されていることが分かる。支持部14は、第1のスポーク対22aの2つのスポーク11の締結領域9を円周方向に互いに連結する円弧状の連結ウェブを形成する。支持部14も第1のスポーク体4の一体部分であり、したがって締結領域9に直接一体的に形成される。第1のスポーク対22aは、支持部14とともに円形ディスクセグメントの輪郭を描いている。支持部14の外径は、リムリング2の半径方向内側面13を直接形成するリムリング2の円筒状リング領域24の内径よりも小さくなっている。支持部14は、円周方向から見て、その半径方向外側がリムリング2の内側面13/リング領域24の曲線と平行になるように延びている。
【0037】
また、例えば、
図3を参照すると、リム1が完全に組み立てられた状態では、支持部14は、リムリング2の半径方向内側面13から隙間31だけ半径方向に離間されていることが好ましい。支持部14の半径方向外側面とリムリング2の半径方向内側面13との間のこの半径方向の隙間31(ここではリング領域24によって実現される)は、この実施形態では0.3mmである。
【0038】
支持部14は、リング領域24からだけでなく、より好ましくは、フランジ領域21とリング領域24との間の移行領域25(半径領域/屈曲領域)からも半径方向および軸方向に離間している。この距離はまた、高さ0.3mmの半径方向および軸方向の隙間(明瞭にするために図示せず)によって達成されることが好ましい。
【0039】
しかし、支持部14は、軸方向においてフランジ領域21に直接接している。
【0040】
換言すれば、第1のスポーク体4は、(支持部14を介して)一方ではフランジ領域21と軸方向において接触しており、第1のスポーク体4は、(支持部14を介して)他方では対象となる半径方向の隙間31を介してリムリング2の半径方向内側面13から離間している。
【0041】
全体として、第1のスポーク体4は、円周方向に分散されたいくつかの、ここでは5つの同様に設計された(第1の)スポーク対22aを有し、これらは、それぞれ円周方向に離間した異なる円周領域においてディスク領域7に連結されている。
【0042】
第2のスポーク体5は、第1のスポーク体4とほぼ同一である。第2のスポーク体5も、繊維複合材料、好ましくはCFRP材料で作られた一体部品として実現されている。第2のスポーク体5も中央ディスク領域8を有する。しかしながら、第2のスポーク体5のディスク領域8は、受け穴が無いように設計されている。第1の実施形態では、第2のスポーク体5のディスク領域8の外径が、第1のスポーク体4のディスク領域7の外径よりも小さくなっている。
【0043】
第2のスポーク体5のディスク領域8も、円周方向に分散されたいくつかの、すなわち5つの(第2の)スポーク対22bによって径方向に連結されている。第2のスポーク対22bは、それぞれ2つのスポーク12からなり、各スポーク12は、締結領域10においてその半径方向外側に向かって終端している。それぞれの第2のスポーク対22bの2つの締結領域10も、支持部14によって互いに接続されている。
【0044】
図2を見ると、第1のスポーク体4のディスク領域7に比べて第2のスポーク体5のディスク領域8が小さいため、第2のスポーク体5のスポーク12は第1のスポーク体4のスポーク11よりも長くなっていることがわかる。第2のスポーク体5の支持部14はフランジ領域21によって支持され、第2のスポーク体5の締結領域10は、第1のスポーク体4に関して説明したのと同じ方法でリムリング2に固定されている。
【0045】
さらに、第2のスポーク体5の軸方向通路26が、第1のスポーク体4の受け穴19と軸方向に整列する2つの隣接するスポーク対22bの間の円周方向に配置されるように、第2のスポーク体5が第1のスポーク体4に対して回転するように寸法決めされ、配置されていることが
図2から分かる。これにより、対応する組立工具を用いた組立時に、対応するボルトを外側から軸方向にねじ込むことができるようになっている。
【0046】
2つのスポーク体4、5は、第1のスポーク対22aと第2のスポーク対22bとが円周方向において交互となるように、互いに調整され、相対的にねじれるように配置されている。したがって、第1のスポーク対22aと第2のスポーク対22bとは、リムリング2/フランジ領域21上に円周方向に交互に配置されている。
【0047】
すでに説明したように、2つのディスク領域7、8は、リム1の軸方向に間隔をあけて配置されている。ディスク領域7、8はさらに、金属製の軸受要素6、ここでは軸受ブッシュ/軸受スリーブを受け入れるように設計されたハブ本体29/取付体に接続される。
【0048】
これに関して、
図3では、ハブ本体29がディスク領域7、8の間に軸方向に挿入されたスペーサ28を含むことに留意されたい。スペーサ28は、CFRP材料などの繊維複合材料から構成することも可能であり、あるいは金属材料から形成することもできる。スペーサ28内に配置される軸受要素6は、金属材料で構成されている。軸受要素6もディスク領域7、8に圧入される。
【0049】
スポーク体4、5をリムリング2に固定するために使用される螺子17の接続に関しては、これらがフランジ領域21及びそれぞれの締結領域9、10の貫通孔を通って突き出ていることが通常であると指摘されるが、分かりやすくするためにこれ以上詳細には図示を省略している。螺子17は、必要な締結力を加えて締結領域9、10をフランジ領域21で固定するために、ロックナットまたは同様の支持要素にボルトで固定されるのが好ましい。スリーブおよび/またはワッシャーなどの金属要素を、フランジ領域21または締結領域9、10のこれらの貫通孔に配置することも可能である。
【0050】
最後に、さらに2つの実施形態を
図4から
図10に関連して示す。これらの実施形態は、構造および機能において第1の実施形態とほぼ同一であるため、簡潔にするために、これらの実施形態と第1の実施形態との相違点のみを以下に説明する。
【0051】
本発明によるリム1の第2の実施形態が
図4から
図7に示されている。また、
図6および
図7は、第1の実施形態で用いられているように、組み立てられていない状態のスポーク体4、5も示している。
【0052】
第2の実施形態では、スポーク体4、5をリムリング2に締結する螺子17が、リム1の周囲に向かってカバー要素18によって覆われている。カバー要素18は、本質的に細長く、一方では周囲から円周方向にすぐ隣接する2つの螺子17を覆うように機能する。したがって、第1のスポーク体4の締結領域9の螺子17と、円周方向にすぐ隣り合う第2のスポーク体5の締結領域10の螺子17とは、共通のカバー要素18によって覆われている。
【0053】
一方、カバー要素18には2つの螺子受け30(
図4では矢印のみで示す)が一体化されており、それぞれに螺子17が直接ねじ込まれている。このようにカバー要素18は、2つの螺子17のロックナットを直接形成する。したがって、カバー要素18は、カバー機能だけでなく、リムスター3をリムリング2に固定するための固定機能も有する。
【0054】
好ましくは、カバー要素18は金属で一体に形成されているが(螺子受け30を形成する一体型雌螺子を有する)、その代わりに、このカバー要素18を繊維複合材料から形成することも可能である(その場合、好ましくは、螺子受け30を形成する一体化された金属インサートを有する)。したがって、支持要素は螺子17に直接接続される。
【0055】
最後に、本発明によるリム1の第3の実施形態が
図8から
図10に示されている。2つのスポーク体4、5は、特にそれらの締結領域9、10の点で、第1の実施形態とは異なることが分かる。同じスポーク体4、5の2つの隣接する締結領域9、10を接続する一体の支持部14も省略される。
【0056】
第3の実施形態では、金属ブロックの形態をなす別個の形状の支持要素15が、リムリング2上でスポーク体4、5を軸方向に支持するために設けられている。支持要素15は、締結領域9、10/スポーク体4、5よりも厚み(軸方向の寸法)が大きくなっている。明確にするために、支持要素15には、螺子17が貫通する軸方向の貫通孔16のみが示されている。螺子17は、これらの貫通孔16を通過し、また、明瞭にするために図示されていない締結領域9、10およびフランジ領域21の貫通孔からも突出する。また、本実施形態における各締結領域9、10は、円周方向に隣り合って配置された2本の螺子17が貫通されており、これら2本の螺子17によってリムリング2に固定されていることが分かる。
【0057】
第1のスポーク体4の締結領域9と第2のスポーク体5の締結領域10は、円周方向において同じ高さに配置されている。したがって、第1のスポーク体4の締結領域9は、第2のスポーク体5の締結領域10と円周方向で同じ高さとなる。同じ高さに配置された両締結領域9、10は、同じ螺子17でフランジ領域21、ひいてはリムリング2に締結されている。
【0058】
また、第1のスポーク体4の締結領域9は、支持要素15の第1の軸方向側面に支持されているのに対し、第2のスポーク体5の締結領域10は、第1の軸方向側面とは反対側の第2の軸方向側面に支持されている。あるいは、第2のスポーク体5の締結領域10が、支持要素15の第2の軸方向側面に対して直接的に支持されず、間接的にのみ支持される場合も可能であり、この場合、フランジ領域21は、支持要素15と第2のスポーク体5の締結領域10との間に軸方向に配置されるのが好ましい。
【0059】
次に、支持要素15自体は、半径方向の隙間31を介してリムリング2の内側面13まで再び半径方向に間隔をあけて配置される。また、支持要素15は、リムリング2の移行領域25から間隔をあけて配置されるのが好ましい。したがって、各支持要素15は、半径方向の隙間31を介してリムリング2の半径方向内側面13から半径方向に離間されている。支持要素15の半径方向外側面とリムリング2の半径方向内側面13との間の半径方向の隙間31は、ここではリング領域24によって実現される。支持要素15は、フランジ領域21上に軸方向に載置される。
【0060】
締結領域9、10の上述の配置により、両スポーク体4、5のスポーク11、12は半径方向に延び、第1のスポーク体4のスポーク11と第2のスポーク体5のスポーク12とは、それぞれの締結領域9、10とそれぞれのディスク領域7、8との間で交差している。したがって、第1の実施形態と比較して、スポーク11、12は、それぞれのディスク領域7、8に対してより大きな傾斜位置/傾斜を有する。
【符号の説明】
【0061】
1 リム
2 リムリング
3 リムスター
4 第1のスポーク体
5 第2のスポーク体
6 軸受要素
7 第1のスポーク体のディスク領域
8 第2のスポーク体のディスク領域
9 第1のスポーク体の締結領域
10 第2のスポーク体の締結領域
11 第1のスポーク体のスポーク
12 第2のスポーク体のスポーク
13 内側面
14 支持部
15 支持要素
16 貫通孔
17 螺子
18 カバー要素
19 受け穴
20 リムフランジ
21 フランジ領域
22a 第1のスポーク対
22b 第2のスポーク対
23 穴摩擦領域
24 リング領域
25 移行領域
26 軸方向通路
27 回転軸
28 スペーサ
29 ハブ本体
30 螺子受け
31 隙間
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のリム(1)であって、タイヤを直接受けるように設計されたリムリング(2)と、前記リムリング(2)に接続され、自動車側のリムマウントに接続するために準備されたリムスター(3)とを備え、前記リムスター(3)は、各々が繊維複合材料からなる2つのスポーク体(4、5)からなり、前記各スポーク体(4、5)は、軸受要素(6)を受け入れるように設計された中央ディスク領域(7、8)と、前記リムリング(2)に接続された複数の締結領域(9、10)と、前記ディスク領域(7、8)と前記締結領域(9、10)との間に延びる複数のスポーク(11、12)とを有し、前記両スポーク体(4、5)の前記ディスク領域(7、8)は、異なる平面に配置されていることを特徴とする、自動車用のリム(1)。
【請求項2】
前記各締結領域(9、10)は、少なくとも1つの螺子(17)によって前記リムリング(2)に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のリム(1)。
【請求項3】
前記各締結領域(9、10)は、前記リムリング(2)の半径方向に延びるフランジ領域(21)に軸方向において直接または間接的に支持されていることを特徴とする、請求項1に記載のリム(1)。
【請求項4】
支持部(14)は、前記各締結領域(9、10)に一体に形成されているか、または複数の前記締付領域(9、10)に共に形成されており、前記支持部(14)が、少なくとも前記リムリング(2)の内側面(13)に平行な円周方向に部分的に延びていることを特徴とする、請求項1に記載のリム(1)。
【請求項5】
前記支持部(14)は、円周方向に隣接する同じ前記スポーク体(4、5)の2つの前記締結領域(9、10)を連結する円弧状の連結ウェブとして設計されていることを特徴とする、請求項4に記載のリム(1)。
【請求項6】
前記各締結領域(9、10)が、特殊形状の支持要素(15)に接続されており、前記支持要素(15)が、前記リムリング(2)の内側面(13)に平行な円周方向に少なくとも部分的に延びていることを特徴とする、請求項1に記載のリム(1)。
【請求項7】
前記支持要素(15)は、それぞれの前記締結領域(9、10)を前記リムリング(2)に同時に固定する少なくとも1つの螺子(17)によって貫通されていることを特徴とする、請求項6に記載のリム(1)。
【請求項8】
前記支持部(14)および/または前記支持要素(15)は、前記リムリング(2)の環状領域(24)から、0.1mmと0.8mmとの間の目標の隙間(31)だけ半径方向に間隔を空けて配置されていることを特徴とする、請求項4又は6に記載のリム(1)。
【請求項9】
前記第1のスポーク体(4)の前記締結領域(9)は、前記第2のスポーク体(5)の前記締結領域(10)と同一平面または異なる平面にあることを特徴とする、請求項1に記載のリム(1)。
【請求項10】
円周方向に隣接する異なる前記スポーク体(4、5)の2つの前記締結領域(9、10)の螺子(17)は、周囲に向かって共通のカバー要素(18)で覆われていることを特徴とする、請求項1に記載のリム(1)。
【請求項11】
前記カバー要素(18)は、2つの一体化された螺子受け(30)を有し、それぞれの前記螺子受けに前記螺子(17)が直接ねじ込まれることを特徴とする、請求項10に記載のリム(1)。
【請求項12】
前記スポーク体(4、5)の前記ディスク領域(7、8)に、連結ボルトを受けるための連続した受け穴(19)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のリム(1)。
【外国語明細書】