(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068149
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】関心点散布システム
(51)【国際特許分類】
A01M 7/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A01M7/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023185881
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】2211522
(32)【優先日】2022-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2304375
(32)【優先日】2023-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】509003265
【氏名又は名称】エクセル インダストリーズ
【氏名又は名称原語表記】EXEL INDUSTRIES
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】マルグリット アーサー
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121CB03
2B121CB23
2B121CB32
2B121CB33
2B121CB47
2B121CB51
2B121CB69
2B121CB70
2B121DA62
2B121DA63
2B121EA21
2B121FA04
2B121FA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】散布システムの視野内の関心点をマーキングし、関心点を位置決めし、農業用機械の軌跡又は移動に関わらずそれらへの散布を可能にすることにより、局所散布を可能にする方法を提供する。
【解決手段】散布ブーム(10)と、少なくとも1つの光学センサと、制御システムとを備え、制御システムは、視野から取得された画像を処理し、少なくとも1つの関心点(5)を検出し、関心点(5)を散布ブーム(10)の参照フレーム内の位置データに関連付けし、少なくとも1つの関心点(5)に応じて少なくとも1つの散布ノズルを制御するように構成され、位置データは、散布ブーム(10)の移動に応じて制御システムの計算システムを介して継続的に更新され、関心点(5)の位置データが散布可能領域に対応する場合、制御システムは、当該散布可能領域に対応する散布ノズルの開閉を制御して関心点(5)に散布を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散布ブーム(10)と、
前記散布ブーム(10)上に配置され、散布可能領域(11;111、112)に関連付けされる少なくとも1つの散布ノズルと、
視野(22)を有する少なくとも1つの光学センサ(21)と、
制御システムと、
を備え、
各前記光学センサ(21)は、関心点(5)の三次元位置データを取得可能に構成される少なくとも1つの深度カメラを備え、
前記制御システムは、前記視野(22)から取得された画像を処理し、少なくとも1つの前記関心点(5)を検出し、前記関心点(5)を前記散布ブーム(10)の参照フレーム内の位置データに関連付けし、少なくとも1つの前記関心点(5)に応じて前記少なくとも1つの散布ノズルを制御するように構成され、前記位置データは、前記散布ブームの移動に応じて前記制御システムの計算システムを介して継続的に更新され、
前記関心点(5)の前記位置データが前記散布可能領域(11;111、112)に対応する場合、前記制御システムは、前記散布可能領域(11;111、112)に対応する前記散布ノズルの開放を制御して関心点(5)に散布を行う、
局所散布システム。
【請求項2】
前記散布可能領域(11;111、112)に関連付けされる前記ノズルのセットを備え、
前記ノズルのそれぞれは、前記関心点(5)の前記位置データが関連付けされた前記ノズルの前記散布可能領域(11;111、112)に対応する場合、前記制御システムが前記散布ノズルの開放を制御して前記関心点(5)に散布を行うように制御される、
請求項1の散布システム。
【請求項3】
散布部に対応する前記ノズルのグループを形成する前記ノズルのセットを備え、
前記ノズルのグループは、それぞれ、前記散布可能領域(11;111、112)に関連付けされ、関連付けされた前記関心点(5)に応じて制御され、
前記関心点(5)の前記位置データ(5)が関連付けされた前記ノズルのグループの前記散布可能領域(11;111、112)に対応する場合、前記制御システムは、前記散布ノズルのグループの開放を制御して前記関心点(5)に散布を行う、
請求項1の散布システム。
【請求項4】
前記ノズルのグループを形成する前記ノズルのセットを備え、
前記ノズルのグループは、それぞれ、前記制御システムにより互いに独立して制御される、
請求項3の散布システム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記視野(22)から取得された画像を処理し、少なくとも1つの前記関心点を検出し、前記関心点を前記散布ブームの前記参照フレーム内の前記位置データに関連付けする、請求項1又は2又は3の散布システム。
【請求項6】
農業用機械により運搬又は牽引される、請求項1又は2又は3の散布システムにより散布される製品を散布する方法であって、
前記光学センサ(21)により前記視野(22)から取得した画像を処理し、
少なくとも1つの前記関心点(5)を検出し、
前記関心点(5)を前記散布ブームの前記参照フレーム内の前記位置データに関連付けし、
前記少なくとも1つの関心点(5)に応じて少なくとも1つの散布ノズルを制御し、前記関心点(5)の前記位置データが前記散布可能領域(11;111、112)に対応する場合、対応する前記散布ノズルの開閉を制御して想定される前記関心点(5)に散布を行う、
散布される製品を散布する方法。
【請求項7】
前記制御システムは、前記関心点(5)を散布される製品の用量に関連付けする、請求項6の散布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、農業散布の分野に関し、より具体的には、農業用機械を使用するリアルタイムで感知される位置データに応じた局所散布に関する。特に、本開示は、処理される領域から取得された画像に応じて制御されるノズルを介する散布システム及びその関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農業散布の目的は、一般的に作物の成長、収穫量、及び品質を向上させるために、作物に対して様々な処理製品を散布することである。処理製品は、特に除草を行う、並びに病気、昆虫及び害虫の蔓延を制御し、作物の適切な発育に必要な栄養素を提供するために使用することができる。
【0003】
従来の散布システムは、可能なら希釈された処理製品を含むように構成される少なくとも1つのタンクと、それぞれノズル又は複数の散布ノズルを備える複数の散布部を備える散布ブームと、タンクを異なる散布部へと接続する油圧回路とを備える。一般に、散布ブームは、農業用機械がプロット上を移動する長手方向を横切る軸に沿って延伸する。特に、油圧回路は、処理製品をタンク内へと吸い上げ、散布ブームへと導くように構成されるポンプと、油圧回路の圧力を所定の閾圧力に維持するように構成される圧力レギュレータとを備えてよい。各散布ノズルは、横断軸に沿って画定されたプロットの所定幅上に処理製品を散布するように構成される。従って、各ノズル又は複数のノズルは、円形、楕円形、又は略長方形等の処理製品を送達可能な幾何学形状に実質的に対応する、地面上の散布可能領域に関連付けされる。各ノズル又は複数のノズルに関連付けされる散布可能領域は、散布システムの移動を伴い自然に変化する。
【0004】
処理製品の散布量を低減するために、散布システムは、プロットの局所処理を可能とするように適合されてきた。
【0005】
局所処理とは、実際に処理が必要なプロットの領域にのみ製品を散布することを意味する。そのために、各散布部は、例えばタンクから対応する散布ノズルへの製品の循環が可能な開位置及び循環が遮断される閉位置となるように構成されるディスペンサにより制御される。特に、異なるディスペンサは個別に制御されてよい。一般的に、各散布部は、適切な制御ユニットにより個別に制御されてよい。
【0006】
また、散布システムは、画像取得システムと、制御ユニットとを備える。画像取得システムは、農業用機械に配置され、散布システムのノズルが通過する数秒前のプロットの画像を取得するように構成される少なくとも1つのカメラと備える。一般的に、画像取得システムは、散布システムにより処理される幅全体をカバーするように長手方向を横切る第2の軸に沿って配置される複数のカメラを備える。制御ユニットは、画像取得システムにより取得された画像上で実行されたリアルタイム画像処理を用いて処理される有効領域を決定し、処理される有効領域に応じて各ディスペンサを個別に制御するように構成される。
【0007】
具体的には、システムの散布ブームに配置される複数のカメラを備える散布システムが知られている。カメラは、カメラの視野内の関心点を検出するように構成される。関心点は、例えば生物的ストレッサの存在等により散布される領域である。本分野の散布システムは、カメラの視野内のプロットを複数のセクターに分割し、1つ以上のセクターに、特に生物的ストレッサを含む領域である関心点をそれぞれ配置する。関心点とセクターとが関連付けされると、農業用機械がそれらのセクターに移動し、散布部が開位置又は閉位置に制御され、処理されるべきと識別されたセクターのみに処理製品を送達する。
【0008】
しかしながら、農業用機械が曲がる時、プロットのセクター化が再実行される。最初のセクター化におけるセクターは、新しいセクター化のセクターに対応しない。そうなると、どのセクターが散布され、どのセクターが散布されていないのかがもはや分からなくなり、1つのセクターが複数回散布される、あるいは別のセクターが散布されない等の事態が起こり得る。
【0009】
従って、本開示の目的は、散布システムの視野内の関心点をマーキングし、関心点を位置決めし、農業用機械の軌跡又は移動に関わらずそれらへの散布を可能にすることにより、局所散布を可能にする方法を提供する。
【発明の概要】
【0010】
より正確には、本開示の1つの目的は、散布ブームと、散布ブーム上に配置され、散布可能領域に関連付けされる少なくとも1つの散布ノズルと、視野を有する少なくとも1つの光学センサと、制御システムとを備え、制御システムは、視野から取得された画像を処理し、少なくとも1つの関心点を検出し、関心点を散布ブームの参照フレーム内の位置データに関連付けし、少なくとも1つの関心点に応じて少なくとも1つの散布ノズルを制御するように構成され、位置データは、散布ブームの移動に応じて制御システムの計算システムを介して継続的に更新され、関心点の位置データが散布可能領域に対応する場合、制御システムは、当該散布可能領域に対応する散布ノズルの開放を制御して関心点に散布を行う。
【0011】
具体的には、光学センサは、関心点の三次元位置データを取得可能に構成される少なくとも1つの深度カメラを備える。
【0012】
有利には、散布システムは、散布可能領域に関連付けされるノズルのセットを備え、ノズルのそれぞれは、関心点の位置データが関連付けされたノズルの散布可能領域に対応する場合、制御システムが当該散布ノズルの開放を制御して関心点に散布を行うように制御される。
【0013】
より有利には、散布システムは、散布部に対応するノズルのグループを形成するノズルのセットを備え、ノズルのグループは、それぞれ、散布可能領域に関連付けされ、関連付けされた関心点に応じて制御され、関心点の位置データが関連付けされたノズルのグループの散布可能領域に対応する場合、制御システムは、当該散布ノズルのグループの開放を制御して関心点に散布を行う。
【0014】
好ましくは、散布システムは、ノズルのグループを形成するノズルのセットを備え、ノズルのグループは、それぞれ、制御システムにより互いに独立して制御される。
【0015】
さらに好ましくは、散布システムは、視野から取得された画像を処理し、少なくとも1つの関心点を検出し、関心点を散布ブームの参照フレーム内の位置データに関連付けする。
【0016】
具体的には、制御システムは、状態に応じて散布ノズルを稼動するためのルールを実行してよく、特に散布可能領域内の関心点が存在する状態に加えて、稼動ルールは、散布ノズルを稼動して処理製品を送達する可能性と、処理製品を送達しないように散布ノズルを停止させる可能性とを含み、ノズルが稼働する際、稼動ルールは適用される処理製品の特定容量を決定してよい。
【0017】
また、本開示は、農業用機械により運搬又は牽引される、簡単に上述される散布システムにより散布される製品を散布する方法に関し、制御システムは、光学センサにより視野から取得した画像を処理し、少なくとも1つの関心点を検出し、関心点を散布ブームの参照フレーム内の位置データに関連付けし、少なくとも1つの関心点に応じて少なくとも1つの散布ノズルを制御し、関心点の位置データが散布可能領域に対応する場合、対応する散布ノズルの開放を制御して想定される関心点に散布を行う。
【0018】
散布システムの制御システムは、適応された計算システムにより、前進、転回等の散布ブームの動きに応じて、処理される関心点の位置データを継続的に決定する。
【0019】
有利には、制御システムは、関心点を散布される製品の用量にさらに関連付けする。
【0020】
本開示は、単に例示としてあげられる以下の説明を読み、非限定的な例示である付される図面を参照することにより、より良く理解され、同一の参照記号が同様の物体に与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1は、本開示に係る、散布システムの概略図である。
【0022】
図2は、本開示に係る、稼動中の散布システムの概略図である。
【0023】
図面は、本開示の実施を可能にするために本開示を詳細に示すものであり、非限定的なものではあるが、当該図面は、適用可能な場合、本開示をより明確に画定するために特に使用されることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、局所散布システムに関する。散布システムは、一般にその成長、収穫量、及び/又は品質を向上させることを目的とする異なる処理製品を穀物に散布できる農業用機械15により運搬される。具体的には、散布される処理製品は、穀物中の生物的ストレッサを処理するために使用されてよい。
【0025】
散布システムは、散布ブーム10と、少なくとも1つの散布ノズルと、少なくとも1つの光学センサ21と、制御システムとを備える。参照記号が添付される概要
図1及び2に示される。
【0026】
散布ブーム10は、一般にノズルのセットである少なくとも1つの散布ノズルを備える。
【0027】
散布ノズルのセットは、散布ブーム10上に配置され、各ノズル又はノズルのグループは、散布可能領域11に関連付けされる。
【0028】
従って、ノズルのセットのノズルは、互いに独立しているかノズルのグループを形成しており、散布部に分かれている。
【0029】
特に、ノズルのセットは、散布可能領域11を調整可能なように構成される。実際、ノズルは、独立して円形の領域に散布を行うことができる。ノズルのグループは、共に、例えば、楕円又は略長方形の領域に散布を行うことができる。
【0030】
光学センサ21は視野22を有し、視野内の各点は位置データに関連付けされてよい。
【0031】
1つの実施形態によれば、光学センサ21は、具体的には画像中に検出された任意の関心点5についての二次元位置データを取得可能なように構成されてよい。
【0032】
別の実施形態によれば、光学センサ21は、三次元位置データを取得可能なように構成される少なくとも1つの深度カメラを備えてよい。
【0033】
制御システムは、視野22から取得した画像を処理し、少なくとも1つの関心点5を検出し、検出された関心点5を散布ブーム10の参照フレーム内の位置データに関連付けするように構成される。
【0034】
取得した画像から関心点5を特定するために、光学センサ21は、その光学的中心及び特定される関心点を通過するビームを実施してよい。
【0035】
また、制御システムは、少なくとも1つの関心点5に応じて散布ノズルのセットを制御するように構成され、関心点5の位置データがノズルの散布可能領域11に対応する場合、対応するノズル又は散布ノズルのグループの開放を制御して当該関心点5に散布を行う。
【0036】
具体的には、制御システムは、識別された各関心点5に応じて散布ノズル又は散布ノズルのグループを制御してよい。例えば、関心点5が延長された場合、散布システムの制御システムは、関心点5が延長される散布可能領域に対応するノズルのグループを制御する。
【0037】
関心点5が小さい場合、好ましくは、制御システムは散布ノズルを個別に制御する。
【0038】
1つの実施形態によれば、散布システムは、稼動するノズルの数及び/又は各ノズルに送達される処理製品の用量に適応可能であり、それにより、各関心点5に適応する。
【0039】
散布システムが互いに独立する複数のノズルを備える場合、各ノズルは、散布可能領域11に関連付けされ、関連付けされた関心点5に応じて制御される。従って、関心点5の位置データが関連付けされたノズル又はノズルのグループの散布可能領域11に対応する場合、制御システムは、ノズル又はノズルのグループの開放を制御して当該関心点5に散布を行う。
【0040】
散布システムがノズルのグループを形成するノズルのセットを備える場合、各ノズルのグループは、散布可能領域11に関連付けされ、個別に制御される。従って、関心点の位置データが関連付けされたノズルのグループの散布可能領域11に対応する場合、制御システムは、散布ノズルのグループの開放を制御して当該関心点5に散布を行う。
【0041】
例えば、
図2を参照すると、農業用機械15は、ここでは長方形である散布可能領域11にそれぞれ関連付けされた散布ノズル又は散布ノズルのグループを備える散布ブームを牽引又は運搬する。関心点5は、散布ブーム10上に配置される光学センサ21により取得された画像を分析することによりマーキングされる。関心点5は、最初に光学センサ21の参照フレーム内の位置データに、次に散布ブーム10の参照フレームに関連付けされ、これは、ブーム10上の光学センサ21の相対位置が事前に定義されているからである。
【0042】
制御システムは、位置データを含む関心点5に関連するすべての情報が保存されるデータベースをホストするメモリを備える。
【0043】
さらに
図2を参照すると、農業用機械15及び散布ブーム10が移動すると、農業用機械15及び散布ブーム10の移動に応じて位置データを転値する計算システムによりデータベースが更新される。計算システムは、位置データと散布可能領域111、112を比較する。従って、関心点5の位置データが散布可能領域111、112に対応する場合、対応するノズル又は散布ノズルのグループが稼動して当該関心点を処理する。
【0044】
従って、
図2を参照すると、該当する時間において関心点5が位置する散布可能領域111は、対応する散布ノズルを稼動することにより処理される。逆に、散布可能領域112は関心点5を含まず、対応する散布ノズルは該当する時間において停止している。
【0045】
1つの実施形態によれば、制御システムは、光学センサ21の視野22(又は可能な場合、散布ブームに配置された様々な光学センサの視野)から取得された画像を処理し、少なくとも1つの関心点5を検出し、関心点及び対応する用量を散布ブーム10の参照フレーム内の位置データに関連付けする。
【0046】
さらに、本開示は、農業用機械15により運搬される散布システムにより散布される処理製品の散布方法に関する。
【0047】
散布方法において、散布システムを制御するためのシステムは、光学センサ21により視野22から取得された画像を処理し、その後、少なくとも1つの関心点5を検出する。次に、制御システムは、関心点5を散布ブーム10の参照フレーム内の位置データに関連付けし、関心点に応じて、具体的には稼動又は停止、及び可能な場合、適用される用量について、少なくとも1つの散布ノズルを制御する。最後に、関心点5の位置データが散布可能領域11(又は
図2の111及び112)に対応する場合、制御システムは、散布ノズル又は散布ノズルのグループを制御して領域に散布を行う。
【0048】
散布システムは、関心点の位置データを確立する際に散布ブームの移動を考慮する。
【0049】
さらに、散布方法において、制御システムは、関心点5及び対応する用量を散布ブーム10の参照フレーム内の位置データに関連付けする前に、関心点5を散布される処理製品の用量に関連付けしてよい。製品用量は、稼動ルールが有効化された後に、稼動機能により計算される。
【0050】
これにより、制御システムは、具体的には関心点5である処理される要素を識別できる。具体的には、制御システムは、視野22から取得された画像中の穀物に存在する生物的ストレッサを識別可能になり得る。その後、識別された生物的ストレッサは、1つ以上の関心点5を形成する。次に、制御システムは、位置データを散布ブーム10の参照フレームの識別された各関心点5に関連付けする。
【0051】
また、制御システムは、可能な場合、大きさ、形状、又は検出の信頼性及び適用される処理製品の用量等の特性を関心点5に割り当てる。
【0052】
本開示によれば、散布ブーム10に配置された光学センサ21により取得された各画像は、従って、全体的に処理され、位置データが(処理される要素に対応する)各関心点に割り当てられ、位置データは、二次元、又は好ましくは三次元である。
【0053】
三次元位置データを取得するために、光学センサ21は深度カメラを備えてよい。
【0054】
三次元位置データの利点は、特に非平面、勾配、若しくは傾斜プロット、若しくは曲面を含むプロット上、又は処理される要素が高い場合の、位置決め、従って散布の効率が高いことである。
【0055】
既に説明したように、処理される関心点5の位置データは、最初に光学センサ21の参照フレーム内、次に散布ブーム10の参照フレーム内に決定される。これらは予め決定しているため、散布ブーム10上の光学センサ21の相対位置を知ることができる。
【0056】
さらに、散布システムは、散布ブーム10の位置を知り、散布ブーム10の参照フレーム内への関心点5の位置データの転置を容易にする、GPS型の衛星位置センサを備えてよい。
【0057】
散布システムを制御するためのシステムは、適応された計算システムにより、前進、転回等の移動を行う散布ブーム10の移動に応じて、処理される関心点5の位置データを継続的に決定する。従って、計算システムは、特に浮動小数点数の計算を実行可能な、適応されたプロセッサを備える。
【0058】
このために、制御システムは、バッファとして管理されるメモリ内に、処理される関心点5、並びに処理される関心点5の位置データ、散布ブーム10の移動に応じて継続的に更新される位置データ、及び視野22から取得された新画像等を含む関連情報を含むデータベースを保存する。
【0059】
次に、いつ処理される関心点5が散布可能領域に入り、対応する散布ノズルが稼働するかが決定される。
【0060】
1つの実施形態によれば、制御システムは、状態に応じて散布ノズルを稼動するためのルールを実行してよく、具体的には、散布可能領域内の関心点5が存在する状態に加えて、稼動ルールは、散布ノズルを稼動して処理製品を送達する可能性と、処理製品を送達しないように散布ノズルを停止させる可能性とを含み、ノズルが稼働する際、稼動ルールは適用される処理製品の特定容量を決定してよい。
【0061】
稼動ルールは、処理される関心点5に存在する生物的ストレッサの表面積、その大きさ、又は画像処理により識別される信頼指数までも考慮してよい。
【0062】
本開示により、散布システムは以下の利点を達成可能である。
【0063】
第1に、制御システムによりノズルを稼動する決定を可能にする情報はセクターを超えて送信されず、
図1に示される関心点5等に点に集中する。
【0064】
第2に、本開示は二次元の位置に限定されない。
【0065】
また、本開示は、関心点を二重処理又は排除してしまうリスクを冒さずに、前回の軌跡に対する散布システムの斜め移動を管理することができる。
【0066】
さらに、本開示は、従来の線形代数計算等により、転回補償を容易に実施できる。
【0067】
散布ノズルの動態の管理がさらに向上する。
【0068】
本開示は、(大きさ、数、表面積等の)識別された生物的ストレッサの追加パラメータを考慮することにより、検出に応じて適用される製品の用量の適応を容易にする。
【0069】
また、本開示は、隣接する散布ノズルの重複をより良く管理可能とする。
【0070】
本開示により、光学センサの視野をセクター化する場合等、グリッド分解能とは別に処理される点の検出マップを生成可能である。
【0071】
また、関心点5の位置データは取得された画像の全体像から決定され、散布ブーム10の参照フレーム内へと送信されるため、光学センサは、散布ブームの進行方向又はその反対方向に対して横に、さらには斜めに配置される等、自由に配置されてよい。
【0072】
換言すれば、本開示は、散布される領域を、散布ブーム10の参照フレーム内の点として識別してよい。
【0073】
可能な場合、各関心点5は、位置データ(二次元又は三次元)に加えて、追加の特性に関連付けされてよく、特性は具体的には、
検出表面積(mm2)
アルゴリズム検出信頼指数(RN)
処理される要素の種類(アザミ、アルファルファ等)
用語(高さ、段階、散布不可能等)
複数の検出を検出するための、処理される要素が検出された画像の数である画像識別子
である。
【0074】
関心点の特性は、稼動ルールを実施するために使用されてよい。
【0075】
上記のように、セクター化をせずに画像中の関心点を位置決めすることの利点は、特に散布システムの複数の回転又は並進を考慮して線形代数のツールを使用できることである。移動は、特に、2つの測定されたGPS位置間の並進、時間経過に伴う加速、又は外部センサによる速度の測定であってもよい。
【0076】
散布可能表面は、円形、楕円形、長方形、三角形、半円等の単純な幾何学形状で示される。ノズル又は散布ノズルのグループに関連付けされた散布可能表面が状況に応じて適応可能である。幾何学形状の固有パラメータは、状況に応じてリアルタイムに可変である。
【0077】
例えば、
長方形の散布可能領域の長辺又は円形の散布可能領域の半径は、散布ブームの移動速度に応じる。
楕円形の散布可能領域の半径は、ブームの高さの関数である。
幾何学形状の位置は、散布ブームのクリアランスに応じて適応する。
幾何学形状の位置は、傾斜に応じて適応する。
【0078】
本開示によれば、処理される点が検出され、位置決めされ、可能な場合、特に稼動ルールに応じてその外観散布可能領域内に検出され、その後、処理される。
【0079】
この場合、稼動ルールは、有効化された時に、あるいは特定の用量でノズル又は散布ノズルのグループを通して散布を行う状態である。
【0080】
例えば、稼動ルールは、
ある信頼指数及び画像数で3つの関心点が検出された;及び
少なくとも1つの関心点が3mm2超の大きさを有する
である。
【0081】
さらに、実施例において、
制御システムは、同じ画像数の検出に基づいて散布可能領域中の該当する時間において存在する関心点の表面積の合計の最大値を計算し、散布可能領域の表面積で除算し、単位プロット表面積当たりに適用される処理製品の比により積算し、
制御システムは、適用される処理製品の用量を計算し、対応するノズルを稼動する。
【0082】
また、用量決定は、散布システムの対応する処理製品のタンク中に残っている処理製品の量の情報を考慮して、適用する用量を増加又は減少させてよい。
【0083】
もちろん、関心点に関連付けされるように考慮されるパラメータ、稼動ルールの数及び複雑さ、あるいは適用可能な異なる処理製品の数は上記の例に限定されず、当業者は、必要に応じてそれらを適応させてよい。
【外国語明細書】