(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068152
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】スプレーコーティングを有するコンタクト要素、接続アセンブリ、スプレー媒体の使用、およびコンタクト要素を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/526 20210101AFI20240510BHJP
H01M 50/522 20210101ALI20240510BHJP
H01M 50/514 20210101ALI20240510BHJP
【FI】
H01M50/526
H01M50/522
H01M50/514
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023186126
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】10 2022 129 225.8
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス グライナー
(72)【発明者】
【氏名】マルチェラ ヨアナ オーバースト
(72)【発明者】
【氏名】フランク オステンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】イザベル ブレシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ シュミット
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA03
5H043AA19
5H043CA22
5H043FA04
5H043FA26
5H043FA38
5H043FA40
5H043HA06F
5H043HA11F
5H043HA22F
5H043HA23F
5H043HA25F
5H043JA12F
5H043JA21F
5H043JA26F
5H043KA01F
5H043KA06F
5H043KA07F
5H043KA08F
5H043KA09F
5H043KA10F
5H043KA13F
5H043LA03F
5H043LA11F
5H043LA21F
5H043LA34F
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可能な限り低い接触抵抗で、電気導体を導電的な方法で互いに電気的に接続するためのデバイスを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの電気導体8、8a、8bに接触するための少なくとも1つの接触面6、6a、6bを有する導電性キャリア本体10を備えるコンタクト要素4であって、少なくとも1つの接触面は、少なくとも1つの接触面に分散された導電性固体粒子1から形成されたスプレーコーティング22を有する、コンタクト要素とする。固体粒子の存在および分散により、コンタクト要素が少なくとも1つの接触面で少なくとも1つの導体に押し付けられ、固体粒子が少なくとも1つの導体の材料に少なくとも部分的に貫入すると、コンタクト要素と少なくとも1つの導体との間の接触抵抗を低下させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気導体(8、8a、8b)に接触するための少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)を有する導電性キャリア本体(10)を備えるコンタクト要素(4)であって、
前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)は、前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)に分散された導電性固体粒子(1)から形成されたスプレーコーティング(22)を有する、コンタクト要素(4)。
【請求項2】
前記固体粒子(1)は、前記キャリア本体(10)に存在し得る酸化物層(28)から突出し、同時に、前記キャリア本体(10)および接触する前記導体の非酸化領域(30)に接触する、請求項1に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項3】
前記固体粒子(1)の平均粒径が、前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)の平均表面粗さおよび接続される前記キャリア材料/部品の前記可能な酸化物層厚さの平均表面粗さよりも大きい、請求項1または2に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項4】
前記固体粒子(1)は、エッジを有して、飛散して、かつ/または球形に構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項5】
前記固体粒子(1)は、前記キャリア本体(10)よりも高い硬度を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項6】
前記固体粒子(1)は、コア(36)とコーティング(38)とを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項7】
前記固体粒子(1)は、前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)に均一にまたは非周期的に分散され、かつ/または、前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)の表面の10%未満を覆う、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項8】
前記スプレーコーティング(22)は、酸素に対する親和性がある材料を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項9】
前記キャリア本体(10)は、1つの電気導体(8、8a、8b)にそれぞれ接触するために互いに相反する方向を向く2つの接触面(6、6a、6b)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のコンタクト要素(4)と、
少なくとも1つの電気導体(8、8a、8b)と
を備える接続アセンブリ(2)であって、
前記コンタクト要素(4)は、前記少なくとも1つの導体(8、8a、8b)に押し付けられ、前記スプレーコーティング(22)の前記固体粒子(1)は、前記少なくとも1つの導体(8、8a、8b)の材料に少なくとも部分的に貫入する、接続アセンブリ(2)。
【請求項11】
前記スプレーコーティング(22)の前記固体粒子(1)は、前記少なくとも1つの導体(8、8a、8b)に存在する前記酸化物層(46)が粉砕されるような高い強度を有する、請求項10に記載の接続アセンブリ(2)。
【請求項12】
コンタクト要素(4)の導電性キャリア本体(10)にスプレーコーティング(22)を形成するための、キャリアガスおよび固体粒子(1)を含むスプレー媒体(60)の使用。
【請求項13】
コンタクト要素(4)を製造する方法であって、
-導電性キャリア本体(10)に少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)を設けるステップと、
-導電性固体粒子(1)を前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)にスプレーするステップと
を含む、方法。
【請求項14】
飛散した、エッジを有する、かつ/または球形の粉末(56)が、前記導電性固体粒子(1)の出発材料(54)として使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
スプレープロセスは、コールドガススプレー法またはプラズマ溶射法を使用して実行される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記固体粒子は、Ti、W、Ru、Cr、W、Fe、Ag、Co、Pt、Ni、Mg、またはCu合金のうちの1つまたは複数から構成され、任意選択でコーティングされる、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバなどの少なくとも1つの電気導体に接触するためのコンタクト要素に関する。さらに、本発明は、そのようなコンタクト要素と、少なくとも1つの電気導体とを備える電気接続アセンブリに関する。本発明はさらに、スプレーコーティングの使用およびそのようなコンタクト要素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリモジュールなどの電気モジュールと、電気モータまたは他の電力消費ユニットおよび発電ユニットとの間で電流を伝達するために、銅、アルミニウム、またはそれらの合金から形成された電気導体が、自動車およびエネルギー技術において使用されることが多い。例えばバスバの形態の電気導体を、互いにまたは電気モジュールに導電的な方法で接続する必要があることが多い。これは、通常は互いに押し付けられて電気接続を確立する、指定された接触面で行われる。これにより、電流の伝達を損なう接触抵抗が必然的に生じる。接触抵抗は、集中抵抗と表面汚染抵抗とからなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、可能な限り低い接触抵抗で、電気導体を導電的な方法で互いに電気的に接続するためのデバイスを提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、少なくとも1つの電気導体に接触するための少なくとも1つの接触面を有する導電性キャリア本体を備えるコンタクト要素であって、少なくとも1つの接触面は、少なくとも1つの接触面に分散された導電性固体粒子から形成されたスプレーコーティングを有する、コンタクト要素によって達成される。
【0005】
本出願の構成で記載される固体粒子の特徴および特性は、すべての固体粒子に当てはまることが好ましいが、少なくとも大部分の固体粒子または少なくとも固体粒子の平均に当てはまる。
【0006】
本発明は、接触抵抗を低下させることができるため有利である。これについて、以下でより詳細に説明する。
【0007】
一方で、導電性固体粒子は、コンタクト要素と少なくとも1つの電気導体との間で電流の伝達が行われる別々の場所で接触を確立する、マイクロコンタクト(いわゆるa-スポット(a-spot))を形成することができる。これらは別々の場所であるため、それらの場所における接触圧力は、同じ法線力を使用して互いに押し付けられる連続する接触面と比較して高くなる。存在し得る汚染層を破開することができ、表面汚染抵抗を低下させることができる。加えて、別々の場所の数および位置を、スプレーコーティングのパラメータ(例えば粒子密度)によって最適化することができる。
【0008】
他方で、少なくとも1つの接触面に固体粒子が分散されることにより、マイクロコンタクト(以下で、微細表面または接触を確立する微細表面とも称する)もそれに応じて分散される。これは、電流の流れが単一の場所に制限されず、個々のマイクロコンタクトの相互の影響から生じる集中抵抗の割合を低下させることができることを意味する。
【0009】
要するに、これは、本発明によるコンタクト要素における固体粒子の存在および分散により、接触抵抗が低下することを意味する。
【0010】
本発明によるコンタクト要素は、電気モジュールの一部、特に、少なくとも1つの電気導体が接続される、電気モジュールの接続点であってよい。あるいは、本発明によるコンタクト要素を、互いに接続される2つの電気導体間に配置することができる。加えて、そのような実施形態における本発明によるコンタクト要素の一側のみが、本発明によるスプレーコーティングを有する少なくとも1つの接触面を含むことができ、コンタクト要素の他側には、従来の銀コーティングを形成することができる。さらに、互いに接続される2つの電気導体は、代わりに少なくとも1つの接触面を共有することができる。
【0011】
本発明を、それ自体が有利であり互いに任意に組み合わせることができる以下の実施形態によって、さらに改良することができる。
【0012】
例示的な実施形態によれば、固体粒子は、キャリア本体に存在し得る酸化物層から突出し、同時に、キャリア本体および接触する導体の非酸化領域に接触することができる。
【0013】
さらなる例示的な実施形態によれば、固体粒子は、一端部でキャリア本体に固定され、別の端部でキャリア本体から突出することができる。局所的に高い接触圧力により、導体に存在する酸化物層を破開することができる。固体粒子の粒径は、接触する導体の酸化物層の平均層厚さよりも大きくてよい。固体粒子が導体の非酸化領域まで到達することを確実にするために、固体粒子は、接触する導体に存在する酸化物層が粉砕されるような高い強度を有することが好ましい。酸化物層が存在する場合、固体粒子は、酸化物層を貫通し、酸化物層にまたがることができる。これにより、酸化物層を除去するためまたは酸化物層をそもそも形成することができないようにするために、少なくとも1つの電気導体を前処理またはコーティングする必要なく、接触抵抗の一部である、いわゆる表面汚染抵抗が低下する。これにより、処理およびコーティングされていないバスバを電気導体として使用することができるため、労力およびコストが大幅に節約される。
【0014】
ここで、コーティングの複雑さおよびコストは実際に低下しており、単に電気導体からコンタクト要素へとシフトしたというようなことではないことに留意すべきである。コンタクト要素は電気導体よりも小さく扱いやすいため、コーティングがより容易になる。加えて、コンタクト要素は、電気導体の材料またはコーティングに依存しない広く使用可能な解決策である。当然、コーティングおよび前処理された(例えば、スチールブラッシングおよび/またはサンドブラストによって)バスバを、電気導体として使用してもよい。
【0015】
さらに、固体粒子の粒径は、少なくとも1つの接触面の平均表面粗さよりも大きく、特に2倍超であってよい。平均表面粗さは、例えば、平均粗さ値または粗さ深さであってよい。固体粒子の粒径は、50μm超であり得ることが好ましい。このようにして、固体粒子は、接触領域の表面構造の谷に沈み込むのではなく、接触面の表面構造の先端を越えて突出する。
【0016】
コンタクト要素のさらなる可能な実施形態によれば、固体粒子を、エッジを有して、特に鋭いエッジを有して、飛散して(spattered))、かつ/または球形に形成することができる。その結果、固体粒子は、基材(すなわちキャリア本体)に固定するために、スプレーコーティング中に十分に付着することができる。鋭い縁は、接触する導体に存在し得る酸化物層を破開するのにも役立つ。固体粒子は、球形であってもよく、球形とエッジを有した幾何形状との組合せで設けられてもよい。
【0017】
酸化物層の破開をさらに促進するために、固体粒子は、キャリア本体よりも高い硬度を有することができる。固体粒子は、例えば、ニッケル、銀、白金、チタン、ルテニウム、タングステン、鉄、コバルト、亜鉛、銅、クロム、およびマグネシウム、またはそれらの合金からなる群のうちの少なくとも1つの材料を含むことができる。キャリア本体を、例えば、アルミニウム、銅、またはそれらの合金から製造することができる。
【0018】
コンタクト要素のさらなる可能な実施形態によれば、固体粒子は、コアとコーティングとを備えることができる。特に、固体粒子は、いわゆるコアシェル構造を有することができる。コアの材料はコーティングの材料とは異なるため、材料の選択の柔軟性をもたらすことができ、有利である。例えば、コアの材料を、硬度および/または導電性に関して選択することができ、コーティングの材料は、硬度に関して選択される。固体粒子は、銅-亜鉛もしくは銅-スズ合金または銅-銀もしくは銅-鉄もしくは銅-ニッケルもしくは銅-マグネシウム合金から形成されたコアと、ニッケル、銀、もしくはそれらの合金のコーティングとを有することが好ましい。
【0019】
コンタクト要素のさらなる可能な実施形態によれば、固体粒子を、接触面全体に分散させることができる。さらに、固体粒子を、少なくとも1つの接触面に均一に分散させることができる。均一に分散された固体粒子の場合、単位面積当たりの固体粒子の平均数(すなわち粒子密度)は、異なる領域について一定であり、または少なくとも±20%以内の偏差、特に±10%以内の偏差である。このようにして、使用可能な空間が、可能な限り完全に使用される。
【0020】
しかしながら、固体粒子は、接触面全体を覆う必要はない。コンタクト要素の材料およびコストを節約する実施形態によれば、固体粒子が少なくとも1つの接触面の表面の10%未満を覆っていれば十分である。
【0021】
集中抵抗の補正をできる限り大きく維持するために、個々の固体粒子を互いに離間させることができる。言い換えると、固体粒子は、可能な限り、凝集体(agglomerate)を全く形成しないか、少なくともほとんど形成しない。あるいは、固体粒子は、当然、凝集体を形成してもよい。好ましい電流分布を実現するために、凝集体を互いに離間させることができる。
【0022】
加えて、固体粒子を、少なくとも1つの接触面に非周期的に(すなわち、周期的ではない、または規則的なパターンを形成しない)分散させることができる。本実施形態は、コンタクト要素と少なくとも1つの導体とが修理およびメンテナンス作業の一部として繰り返し接続されるときに、少なくとも1つの導体において固体粒子により形成された塗装(impression)が互いの上に落ちないという利点を有する。周期的な分散に関して予想されるように、塗装が互いの上に落ちると、塗装が摩耗領域になるため、電流の伝達が損なわれる。言い換えると、固体粒子の非周期的な分散により、周期的な分散よりも、コンタクト要素が少なくとも1つの導体に再び接続されるときに、まだ摩耗していない箇所に新しい塗装が生じる可能性が高い。あるいは、固体粒子および固体粒子の凝集体は、当然、少なくとも1つの接触面に周期的に(すなわち規則的なパターンを形成する)分散されていてもよい。
【0023】
さらなる可能な実施形態によれば、スプレーコーティングは、クロムまたはマグネシウムなどの、酸素に対する親和性がある材料を含むことができる。酸素に対する親和性がある材料を、接触面全体に分散させることができ、または少なくとも1つの接触面の縁部領域に限定することができる。さらに、酸素に対する親和性がある材料は、固体粒子に混合される別の粉末成分として存在してもよい。酸素に対する親和性がある材料は、低い電気化学的標準電位(electrochemical standard potential)、特に、固体粒子、コンタクト要素、および/または少なくとも1つの導体よりも低い電気化学的標準電位を有する物質であってよい。それにより、酸素に対する親和性がある材料は、脱酸素剤(いわゆるゲッタ)として機能し、マイクロコンタクトにおける酸化の発生を防ぐまたは少なくとも低減させることができる。
【0024】
キャリア本体は、任意選択で、1つの電気導体にそれぞれ接触するために互いに相反する方向を向く2つの接触面を含むことができる。両方の接触面は、スプレーコーティングを有することができる。したがって、互いに接続される2つの電気導体間に、コンタクト要素を特に容易に配置することができる。その後、電流が、2つの導体のうちの一方から、第1の接触する接触面の固体粒子を介して流れ、キャリア本体を通り、第2の接触面の固体粒子を介して2つの導体のうちの他方に入る。
【0025】
特に、キャリア本体を、好ましくは互いに平行に延び、かつ互いに対向して配置された2つの平坦面を有する円板状の平板体として構成することができる。これらの平坦面はそれぞれ、接触面を形成する。さらに、平坦面はそれぞれ、スプレーコーティングを有する。円板状構成により、コンタクト要素を、例えば、過大な設置空間を占めることなく、以前に互いに直接接続された2つの既存のバスバの導電性接続のための後付け部品の一部として使用することができる。
【0026】
最初に述べた目的を、前述した実施形態のうちの1つによるコンタクト要素と、少なくとも1つの電気導体とを備える接続アセンブリであって、コンタクト要素は少なくとも1つの導体に押し付けられ、スプレーコーティングの固体粒子は、少なくとも1つの導体の材料に少なくとも部分的に貫入しているまたは押し込まれている、接続アセンブリによっても達成することができる。少なくとも1つの電気導体を、銅、アルミニウム、またはそれらの合金から製造することができる。スプレーコーティングの固体粒子は、コンタクト要素の少なくとも一側に、好ましくは、接触する導体に押し付けられる側に存在する。
【0027】
接続アセンブリは、前述した本発明によるコンタクト要素の利点および技術的効果から有効である。特に、スプレーコーティングの固体粒子は、固体粒子が少なくとも1つの導体の材料に貫入しているまたは押し込まれている箇所で、前述した接触を確立する微細表面(すなわちa-スポット)を形成し、したがって、コンタクト要素と少なくとも1つの電気導体との接続は、低い接触抵抗を特徴とする。
【0028】
接続アセンブリは、任意選択で、取付デバイスを備え、取付デバイスは、圧入中に、コンタクト要素を少なくとも1つの電気導体に押し付けるように構成されている。
【0029】
取付デバイスは、例えば、ねじおよびナットまたはねじ付きスリーブまたはリベットのそれぞれであってよい。この場合、コンタクト要素は、取付デバイスのための開口部、特に中央開口部を含むことができ、開口部はキャリア本体を通って延びる。円板状キャリア本体の場合、開口部は2つの平坦面に対して垂直に延びることができる。例えば、ワッシャまたはスペーサスリーブをキャリア本体として使用することができ、ワッシャまたはスペーサスリーブは、銅、アルミニウム、またはこれらの金属のうちの一方をベースとする合金から形成される。
【0030】
あるいは、取付デバイスを、クリップまたはクランプとして構成してもよい。したがって、キャリア本体は、必ずしも開口部を必要としない。必要であれば、接続アセンブリは、特に高い複合圧入を形成するために、いくつかの取付デバイスを備えてもよい。
【0031】
接続アセンブリの可能な実施形態によれば、スプレーコーティングの固体粒子は、少なくとも1つの導体に存在する酸化物層が粉砕されるような高い強度を有することができる。特に、スプレーコーティングの固体粒子は、少なくとも1つの導体に存在する酸化物層よりも高い破断点伸びを有することができる。言い換えると、酸化物層は、固体粒子よりも脆性または延性であり、したがって、コンタクト要素と少なくとも1つの電気導体とが互いに押し付けられたときに、固体粒子は酸化物層を突き破る。特に、固体粒子は、少なくとも1つの電気導体の酸化物層を通って突出し、少なくとも1つの電気導体の非酸化領域まで延びる。
【0032】
固体粒子を導体またはキャリア材料の一方にそれぞれ塗布および/または導入することは、様々なスプレーコーティングプロセスを使用して実現することができる。
【0033】
接続アセンブリは、任意選択で2つの電気導体を備える。1つまたは複数の取付デバイスが存在する場合、取付デバイスは、2つの電気導体間にコンタクト要素を保持することができる。
【0034】
コンタクト要素の導電性キャリア本体にスプレーコーティングを形成するための、キャリアガスおよび導電性固体粒子を含むスプレー媒体またはスプレーの第1の使用は、同様に、最初に述べた目的を達成する。特に、この使用により、前述した利点および技術的効果を有する本発明によるコンタクト要素の簡単な製造が可能になる。
【0035】
コンタクト要素を少なくとも1つの電気導体に接触させるときに1つまたは複数の酸化物層を貫通するための、スプレーコーティングによってコンタクト要素の導電性キャリア本体に塗布された導電性固体粒子の第2の使用は、固体粒子により接触抵抗を低下させることができるため、同様に、最初に述べた目的を達成する。
【0036】
2つの電気導体の導電性接続のための、キャリア本体を備えるコンタクト要素の第3の使用は、同様に、最初に述べた目的を達成し、キャリア本体の2つの平坦面はそれぞれ、2つの導体のうちの一方に配置され、コンタクト要素は2つの導体間で押され、キャリア本体におけるスプレーコーティングの固体粒子は、それぞれの導体の材料に少なくとも部分的に貫入する。この第3の使用において、コンタクト要素は、前述した利点および技術的効果を有する。
【0037】
本発明によるコンタクト要素を製造する方法は、同様に、最初に述べた目的を達成し、方法は、導電性キャリア本体に少なくとも1つの接触面を設けるステップと、導電性固体粒子を少なくとも1つの接触面にスプレーするステップとを含む。スプレーするプロセスで、前述したスプレーコーティングが少なくとも1つの接触面に塗布される。その後、形成されたコンタクト要素を前述のように使用し、その利点および技術的効果をもたらすことができる。
【0038】
方法の可能な実施形態によれば、飛散した、球形の、かつ/またはエッジを有する粉末を、導電性固体粒子の出発材料として使用することができる。したがって、固体粒子は、本発明により最初に使用されるときに、飛散した、球形の、かつ/またはエッジを有する粉末としてスプレー媒体に存在し得る。飛散した、球形の、かつ/またはエッジを有する構造により、そのような粉末粒子を、キャリア本体に十分に固定することができる。加えて、そのような粉末粒子は、酸化物層を容易に突き破ることができるため、有利である。球形の、割れた、回転楕円状の、またはブロック状の粒子形状を有する粉末を使用してもよい。
【0039】
製造が容易なコンタクト要素の実施形態によれば、スプレーコーティングは、溶射コーティング、特にコールドガススプレーコーティング(cold gas spray coating)またはプラズマ溶射コーティングであってよい。本発明による方法において、スプレープロセスを、コールドガススプレー法(cold gas spraying method)またはプラズマ溶射法を使用して適切に実行することができる。これは、溶接不可能またはコーティング不可能な材料の組合せをコンタクト要素で実施することもできるという追加の利点を有する。
【0040】
固体粒子の構造、特に、エッジを有する、鋭いエッジを有する、飛散した構造を維持するため、または少なくとも固体粒子の構造の変化をできる限り小さくし、粒子の酸化を大幅に防ぐために、固体粒子は、可能な限り、スプレープロセス中に溶けるまたは融解することがない。特に、導電性固体粒子を、主に少なくとも1つの接触面の方向へ加速することによって塗布することができる。例えば、不活性/無酸素雰囲気に晒されるコールドガススプレー法またはプラズマ溶射法を使用することができる。
【0041】
以下で、図面を参照しながら、いくつかの例示的な実施形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。例示的な実施形態の異なる特徴を、上記の見解に従って、必要に応じて互いに組み合わせることができる。特に、個々の特徴の効果が特定の用途に必要であれば、上記の説明に従って、記載する実施形態にこれらの特徴を追加することができる。逆に、個々の特徴の技術的効果が特定の用途において重要でなければ、存在する実施形態からこれらの特徴を省略することができる。図面において同様、同一、および機能的に同一の要素は、適切である限り、同じ参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】例示的な実施形態によるコンタクト要素の概略斜視図である。
【
図2】本発明による製造方法の方法ステップの概略側面図である。
【
図3】第1の例示的な実施形態による接続アセンブリの概略分解側面図である。
【
図4】第2の例示的な実施形態による接続アセンブリの概略側面図である。
【
図5】第3の例示的な実施形態による接続アセンブリの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下で、
図1の例示的な実施形態を参照しながら、本発明によるコンタクト要素4の概略構造を説明する。さらに、
図2を参照しながら、本発明による方法を説明する。加えて、
図3~
図5を参照しながら、本発明による接続アセンブリ2の概略構造を説明する。最後に、
図2~
図4を参照しながら、本発明による第1、第2、および第3の使用を簡単に説明する。
図1~
図5は非常に簡略化した概略図であり、特に、縮尺通りであると理解すべきではないことに留意されたい。
【0044】
図1から、コンタクト要素4は、少なくとも1つの電気導体8に接触するための少なくとも1つの接触面6を有する導電性キャリア本体10を備えることが見て取れる。キャリア本体10は、任意選択で、1つの電気導体8にそれぞれ接触するために互いに相反する方向を向く2つの接触面6a、6bを含むことができる(
図4参照)。特に、キャリア本体10を、好ましくは互いに平行に延び、かつ互いに対向して配置された2つの平坦面12を有する円板状に構成することができる。これらの平坦面12はそれぞれ、接触面6a、6bの一方を形成する。
【0045】
さらに、コンタクト要素4は、開口部14、特に中央開口部16を含むことができ、開口部14は、キャリア本体10を通って2つの平坦面12に対して垂直に延びる。例えば、ワッシャ18またはスペーサスリーブ(図示せず)をキャリア本体10として使用することができる。ねじ20を開口部14に挿入することができる(
図4参照)。
【0046】
少なくとも1つの接触面6は、少なくとも1つの接触面6に分散された導電性固体粒子1から形成されたスプレーコーティング22を有する。特に、両方の接触面6a、6bがスプレーコーティング22を有することができる。
【0047】
固体粒子1は、コンタクト要素4と少なくとも1つの電気導体8との間で電流の伝達が行われる別々の場所24で接触を確立する微細表面(いわゆるa-スポット)を形成することができる。さらに、少なくとも1つの接触面6に固体粒子1が分散されることにより、接触を確立する微細表面もそれに応じて分散される。
【0048】
本出願の構成で記載される固体粒子1の特徴および特性は、すべての固体粒子1に当てはまることが好ましいが、少なくとも大部分の固体粒子1または少なくとも固体粒子1の平均に当てはまる。
【0049】
図1の詳細
図26から見て取れるように、個々の固体粒子1は互いに離間している。言い換えると、固体粒子1は、可能な限り、凝集体を全く形成しないか、少なくともほとんど形成しない。加えて、固体粒子1は、少なくとも1つの接触面6に非周期的に(すなわち、周期的ではない、または規則的なパターンを形成しない)分散されている。あるいは、固体粒子1は、当然、少なくとも1つの接触面6に、周期的に(すなわち規則的なパターンを形成する)かつ/または凝集体として分散されていてもよい。
【0050】
固体粒子1を、接触面6全体に分散させることができる。しかしながら、固体粒子1は、必ずしも接触面6全体を覆う必要はなく、少なくとも1つの接触面6の表面の10%未満を覆っていればよい。さらに、固体粒子1を少なくとも1つの接触面6に均一に分散させることができる。すなわち、単位面積当たりの固体粒子1の平均数は、異なる領域について一定であり、または少なくとも±20%以内の偏差、特に±10%以内の偏差である。
【0051】
図3に概略的に示すように、固体粒子1は、一端部でキャリア本体10に存在する酸化物層28から突出し、同時に、別の端部でキャリア本体10の非酸化領域30に接触することができる。言い換えると、固体粒子1の粒径は、キャリア本体10の酸化物層28の平均層厚さよりも大きくてよい。特に、固体粒子1は、キャリア本体10の非酸化領域30まで到達し、そこに固定されてよい。これを実現するために、固体粒子1は、キャリア本体10の酸化物層28よりも高い靭性、特に高い破断点伸びを有することが好ましい。これにより、固体粒子1は、キャリア本体10の酸化物層28を貫通し、酸化物層28にまたがることができる。
【0052】
図2および
図3から見て取れるように、固体粒子1の粒径は、少なくとも1つの接触面6の平均表面粗さよりも大きく、特に2倍超であってよい。平均表面粗さは、例えば、平均粗さ値または粗さ深さであってよい。固体粒子1の粒径は、50μm超であり得ることが好ましい。したがって、固体粒子1は、接触面6の表面構造の谷32に沈み込まず、同時に、接触面6の表面構造の先端34を越えて突出する(
図3参照)。
【0053】
図2~
図4に概略的に示すように、固体粒子1を、エッジを有するように、特に鋭いエッジを有するように構成することができる。その結果、固体粒子1は、基材(すなわちキャリア本体10)に固定するために、十分に付着することができる(
図3参照)。
【0054】
固体粒子1の固定をさらに促すために、固体粒子1は、キャリア本体10よりも高い硬度を有することができる。固体粒子1およびキャリア本体10のそれぞれの硬度は、例えば、マルテンス硬度、ビッカース硬度、ショア硬度、ブリネル硬度、もしくはロックウェル硬度、または別の硬度スケールによる硬度であってよい。固体粒子1は、例えば、ニッケル、銀、白金、ルテニウム、タングステン、鉄、コバルト、亜鉛、銅、およびマグネシウム、またはそれらの合金のそれぞれからなる群のうちの少なくとも1つの材料を含むことができる。固体粒子1の強度、特に引張強度および/または圧縮強度は、500N/m2超であることが好ましい。キャリア本体10を、例えば、アルミニウム、銅、またはこれらの合金から製造することができる。
【0055】
図2に概略的に示すように、固体粒子1は、コア36とコーティング38とを備えることができる。特に、固体粒子1は、いわゆるコアシェル構造を有することができる。ここでは、コア36の材料はコーティング38の材料とは異なるため、材料の選択の柔軟性をもたらすことができ、有利である。例えば、コア36の材料を硬度に関して選択することができ、コーティング38の材料は、導電性に関して選択される。固体粒子1は、銅-亜鉛合金もしくは銅-マグネシウム合金から形成されたコア36と、ニッケル、銀、もしくはこれらの合金から形成されたコーティング38とを有することが好ましい。
【0056】
スプレーコーティング22は、クロムおよび/またはマグネシウムなどの、酸素に対する親和性がある材料(図示せず)を含むことができる。酸素に対する親和性がある材料を、接触面6全体に分散させることができ、または少なくとも1つの接触面6の縁部領域に限定することができる。さらに、酸素に対する親和性がある材料は、固体粒子1のコア36および/または固体粒子1のコーティング38において固体粒子1に混合される別の粉末成分として存在してもよい。酸素に対する親和性がある材料は、低い電気化学的標準電位、特に、固体粒子1、コンタクト要素4、および/または少なくとも1つの導体8よりも低い電気化学的標準電位を有する物質であってよい。それにより、酸素に対する親和性がある材料は、脱酸素剤として機能し、接触を確立するマイクロコンタクトにおける酸化の発生を防ぐまたは少なくとも低減させることができる。
【0057】
図4に示す接続アセンブリ2は、コンタクト要素4と、少なくとも1つの導体8とを備えることができる。コンタクト要素4は、少なくとも1つの導体8に押し付けられ、スプレーコーティング22の固体粒子1は、少なくとも1つの導体8の材料に少なくとも部分的に貫入しているまたは押し込まれている。少なくとも1つの電気導体8を、バスバとして構成し、銅、アルミニウム、または導電性合金から製造することができる。
【0058】
特に、接続アセンブリ2は、互いに接続される2つの電気導体8a、8b、例えば2つのバスバを備えることができる。
図4から見て取れるように、その後、コンタクト要素4が、2つの電気導体8a、8b間に配置され、コンタクトブリッジ40として機能することができる。ここでの電流の流れ(いくつかの電流経路を表す破線61によって示される)は、2つの導体のうちの一方8aから、第1の接触面6aの固体粒子1を介して生じ、キャリア本体10を通り、第2の接触面6bの固体粒子1を介して2つの導体のうちの他方8bに入り、またはその逆に生じる。代替実施形態によれば、第1の接触面6aは、固体粒子を含むスプレーコーティングを有し、第2の接触面6bは、従来の銀コーティングを有する(
図5の拡大図参照)。必要であれば、コンタクト要素4を、導体8aの第2の接触面6bに溶接またははんだ付けしてもよい。
【0059】
代替実施形態(図示せず)によれば、互いに接続される2つの電気導体は、接触面を共有することができる。言い換えると、2つの電気導体を、同じ接触面に互いに隣接して置くことができる。さらに、コンタクト要素は、代わりに電気モジュール(図示せず)の一部、特に、少なくとも1つの電気導体が接続される電気モジュールの接続点であってよい。
【0060】
接続アセンブリ2は、取付デバイス42を備えることができ、取付デバイス42は、圧入中に、コンタクト要素4を少なくとも1つの電気導体8に押し付けるように構成されている。したがって、コンタクト要素4は、圧入中に、取付デバイス42によって少なくとも1つの導体8に押し付けられる。取付デバイス42は、例えば、前述したねじ20およびナット44またはねじ付きスリーブ(図示せず)またはリベットであってよい。
図4に示す実施形態において、取付デバイス42は、2つの電気導体8a、8b間にコンタクト要素4を保持することができる。
【0061】
図示しない実施形態によれば、取付デバイス42を、クリップまたはクランプとして構成してもよい。それにより、キャリア本体10は、必ずしも開口部14を必要としない。必要であれば、接続アセンブリ2は、いくつかの取付デバイス42を備えてもよい。
【0062】
スプレーコーティング22の固体粒子1は、少なくとも1つの導体8に存在する酸化物層46よりも高い靭性または強度、特に、高い破断点伸びを有することができる。言い換えると、酸化物層は、固体粒子1よりも脆性または延性であり、したがって、コンタクト要素4と少なくとも1つの電気導体8とが互いに押し付けられたときに、固体粒子1は酸化物層46を突き破る。特に、固体粒子1は、少なくとも1つの電気導体8の酸化物層46を通って突出し、少なくとも1つの電気導体8の非酸化領域48まで延びる(
図4参照)。
【0063】
本発明による方法は、本発明によるコンタクト要素4を製造するために使用され、方法ステップとして、導電性キャリア本体10に少なくとも1つの接触面6を設けるステップを含む。
図3に示すように、少なくとも1つの接触面6に導電性固体粒子1をスプレーするさらなる方法ステップが続く。
【0064】
スプレープロセスで、スプレーコーティング22が少なくとも1つの接触面6に塗布される。スプレーコーティング22は、スプレーコーティング50、特に溶射コーティング52であってよい。したがって、スプレープロセスを、溶射プロセス、例えばコールドガススプレーまたはプラズマ溶射を使用して実行することができる。使用されるスプレープロセスに応じて、溶射コーティングは、コールドガスコーティングまたはプラズマ溶射コーティングであってよい。
【0065】
飛散した、エッジを有する、かつ/または球形の粉末56を、導電性固体粒子1の出発材料54として使用することができる。割れた、球形の、またはブロック状の粒子形状を有する粉末を、代わりに使用してもよい。
【0066】
固体粒子1の構造、特に、エッジを有する、鋭いエッジを有する、飛散した構造を維持するため、または少なくとも固体粒子1の構造の変化をできる限り小さくするために、固体粒子1は、スプレープロセス中に溶けるまたは融解することがないか、できる限り少ない。特に、固体粒子1を、主に少なくとも1つの接触面6の方向へ加速することによって塗布することができる。これは、
図2に矢印58で示されている。例えば、コールドガススプレー法を使用することができる。
【0067】
図2は、コンタクト要素4の導電性キャリア本体10にスプレーコーティング22を形成するための、導電性固体粒子1を含むスプレー媒体60、スプレー剤、またはスプレーの、本発明による第1の使用を示す。
【0068】
図4に、コンタクト要素4を少なくとも1つの電気導体8に接触させるときに酸化物層28、46を貫通するための、スプレーコーティングによってコンタクト要素4の導電性キャリア本体10に塗布された導電性固体粒子1の、本発明による第2の使用が示されている。
【0069】
図4に、2つの電気導体8a、8bの導電性接続のための、キャリア本体10を備えるコンタクト要素4の、本発明による第3の使用が同様に示されている。キャリア本体10の2つの平坦面12はそれぞれ、2つの導体8a、8bのうちの一方に当てられ、コンタクト要素4は2つの導体8a、8b間で押され、キャリア本体10におけるスプレーコーティング22の固体粒子1は、それぞれの導体8a、8bの材料に少なくとも部分的に貫入する。
【符号の説明】
【0070】
1 固体粒子
2 接続アセンブリ
4 コンタクト要素
6、6a、6b 接触面
8、8a、8b 導体
10 キャリア本体
12 平坦面
14 開口部
16 中央開口部
18 ワッシャ
20 ねじ
22 スプレーコーティング
24 別々の場所
26 詳細図
28 酸化物層
30 領域
32 谷
34 先端
36 コア
38 コーティング
40 コンタクトブリッジ
42 取付デバイス
44 ナット
46 酸化物層
48 領域
50 スプレーコーティング
52 溶射コーティング
54 出発材料
56 飛散した粉末
58 矢印
60 スプレー媒体
61 線
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気導体(8、8a、8b)に接触するための少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)を有する導電性のキャリア本体(10)を備えるコンタクト要素(4)であって、
前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)は、前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)に分散された導電性の固体粒子(1)から形成されたスプレーコーティング(22)を有する、コンタクト要素(4)。
【請求項2】
前記固体粒子(1)は、前記キャリア本体(10)に存在し得る酸化物層(28)から突出し、同時に、前記キャリア本体(10)および接触する前記少なくとも1つの電気導体(8、8a、8b)の非酸化領域に接触する、請求項1に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項3】
前記固体粒子(1)の平均粒径が、前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)の平均表面粗さおよび前記キャリア本体(10)の酸化物層(28)の平均層厚さよりも大きい、請求項1に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項4】
前記固体粒子(1)は、エッジを有して、飛散して、かつ/または球形に構成されている、請求項1に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項5】
前記固体粒子(1)は、前記キャリア本体(10)よりも高い硬度を有する、請求項1に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項6】
前記固体粒子(1)は、コア(36)とコーティング(38)とを備える、請求項1に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項7】
前記固体粒子(1)は、前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)に均一にまたは非周期的に分散され、かつ/または、前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)の表面の10%未満を覆う、請求項1に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項8】
前記スプレーコーティング(22)は、酸素に対する親和性がある材料を含む、請求項1に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項9】
前記キャリア本体(10)は、1つの電気導体(8、8a、8b)にそれぞれ接触するために互いに相反する方向を向く2つの接触面(6、6a、6b)を含む、請求項1に記載のコンタクト要素(4)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のコンタクト要素(4)と、
少なくとも1つの電気導体(8、8a、8b)と
を備える接続アセンブリ(2)であって、
前記コンタクト要素(4)は、前記少なくとも1つの電気導体(8、8a、8b)に押し付けられ、前記スプレーコーティング(22)の前記固体粒子(1)は、前記少なくとも1つの電気導体(8、8a、8b)の材料に少なくとも部分的に貫入する、接続アセンブリ(2)。
【請求項11】
前記スプレーコーティング(22)の前記固体粒子(1)は、前記少なくとも1つの電気導体(8、8a、8b)に存在する酸化物層(46)が粉砕されるような高い強度を有する、請求項10に記載の接続アセンブリ(2)。
【請求項12】
コンタクト要素(4)の導電性キャリア本体(10)にスプレーコーティング(22)を形成するための、キャリアガスおよび固体粒子(1)を含むスプレー媒体(60)の使用。
【請求項13】
コンタクト要素(4)を製造する方法であって、
-導電性のキャリア本体(10)に少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)を設けるステップと、
-導電性の固体粒子(1)を前記少なくとも1つの接触面(6、6a、6b)にスプレーするステップと
を含む、方法。
【請求項14】
飛散した、エッジを有する、かつ/または球形の粉末(56)が、前記導電性の固体粒子(1)の出発材料(54)として使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
スプレープロセスは、コールドガススプレー法またはプラズマ溶射法を使用して実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記固体粒子は、Ti、W、Ru、Cr、W、Fe、Ag、Co、Pt、Ni、Mg、またはCu合金のうちの1つまたは複数から構成され、任意選択でコーティングされる、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】