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  • 特開-給液用具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006816
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】給液用具
(51)【国際特許分類】
   A01G 27/02 20060101AFI20240110BHJP
   A01G 27/04 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A01G27/02 F
A01G27/02 H
A01G27/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108057
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】深谷 果林
(57)【要約】
【課題】 給液のための貯留液体のうち相当量が外部へ給液され難くなることが防がれ得る給液用具の提供。
【解決手段】 有底筒状体Pの側壁部P1の外方側に、側壁部P1に沿って下方部から上部にわたり、有底筒状体Pの内部との間を隔した状態で繊維製の給液用条体Sを案内し、下端部において有底筒状体Pの内部に通じる側部案内部Gを有する。給液用条体Sは、側部案内部Gにより案内されることにより、有底筒状体Pの内部との間を隔され、有底筒状体Pの内部の浮体Fと給液用条体Sが互いに影響を及ぼすことが防がれる。給液用条体Sは繊維製であり、有底筒状体Pの内部に貯留された水は、給液用条体Sを介して、毛管現象により、有底筒状体Pの上方部から外部へ供給され得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体貯留用の有底筒状体の側壁部に沿って下方部から上部にわたり、前記有底筒状体の内部との間を隔した状態で、繊維製の給液用条体を案内し得、少なくとも下方部において前記有底筒状体の内部に通じる側部案内部を有してなり、
前記給液用条体を、前記側部案内部の上部から前記有底筒状体の外部へ導出し得るものであることを特徴とする給液用具。
【請求項2】
上記有底筒状体が、上方又は上部側方に開口するものである請求項1記載の給液用具。
【請求項3】
上記側部案内部が側壁部の外方側に位置する請求項1記載の給液用具。
【請求項4】
上記側部案内部に案内された給液用条体が下方部から上部にわたり側部案内部に沿う状態を保持され得るものである請求項1記載の給液用具。
【請求項5】
給液用条体を備える請求項1乃至4の何れか1項に記載の給液用具。
【請求項6】
上記有底筒状体の内部に、前記有底筒状体内に貯留される液体の量の増減に応じて浮力により上下する浮体を備えた請求項1乃至4の何れか1項に記載の給液用具。
【請求項7】
上記側部案内部の上部から有底筒状体の外部に向かって給液用条体を案内する外部案内部を有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の給液用具。
【請求項8】
上記外部案内部は、上記側部案内部の上部から有底筒状体の外部に向かい、更に下方へ向かって給液用条体を案内するものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の給液用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製の給液用条体を用いて液体貯留用の有底筒状体内の液体を外部へ給液する給液用具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11-318242号公報には、給水芯として、水の吸いあげ能力に優れた吸水性アクリル繊維を組紐にしたもの等を使用し、給水容器として、容量1.5~2l、高さ30cmのペットボトルを活用して、肩の部分に通気窓を開け、給水芯の先端部を植木鉢等の培養土の表面から中心部に向けて深く挿入して、その基部を、水を入れた給水容器の水につけて給水する、ペットボトルを活用した給水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-318242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、給液のための貯留液体の相当量が外部へ給液され難くなることが防がれ得る給液用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば次のように表すことができる。
【0006】
(1) 液体貯留用の有底筒状体の側壁部に沿って下方部から上部にわたり、前記有底筒状体の内部との間を隔した状態で、繊維製の給液用条体を案内し得、少なくとも下方部において前記有底筒状体の内部に通じる側部案内部を有してなり、
前記給液用条体を、前記側部案内部の上部から前記有底筒状体の外部へ導出し得るものであることを特徴とする給液用具。
【0007】
(2) 上記有底筒状体が、上方又は上部側方に開口するものである上記(1)記載の給液用具。
【0008】
(3) 上記側部案内部が側壁部の外方側に位置する上記(1)記載の給液用具。
【0009】
(4) 上記側部案内部に案内された給液用条体が下方部から上部にわたり側部案内部に沿う状態を保持され得るものである上記(1)記載の給液用具。
【0010】
(5) 給液用条体を備える上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の給液用具。
【0011】
(6) 上記有底筒状体の内部に、前記有底筒状体内に貯留される液体の量の増減に応じて浮力により上下する浮体を備えた上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の給液用具。
【0012】
(7) 上記側部案内部の上部から有底筒状体の外部に向かって給液用条体を案内する外部案内部を有する上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の給液用具。
【0013】
(8) 上記外部案内部は、上記側部案内部の上部から有底筒状体の外部に向かい、更に下方へ向かって給液用条体を案内するものである上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の給液用具。
【発明の効果】
【0014】
本発明の給液用具においては、繊維製の給液用条体を用いて液体貯留用の有底筒状体内の液体を外部へ給液する場合に、液体貯留用の有底筒状体内に給液用の液体以外の物を配したとき、又は、給液用の液体以外の物が入ったときに、給液用条体の形状が影響を受けて給液用条体が比較的に上方位置に留まることにより有底筒状体内の液体のうち相当量が外部へ給液され難くなることが防がれ得る。また、有底筒状体内に給液用の液体以外の物を配した場合に、その物に対し給液用条体が影響を及ぼすことが防がれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】有底筒状体内に水がない状態の給液用具の半透明状に表された斜視図である。
図2】有底筒状体が満水状態である給液用具の半透明状に表された斜視図である。
図3】有底筒状体が満水状態である給液用具の半透明状に表された正面図である。
図4】有底筒状体が満水状態である給液用具の外部案内部の上部及び側部上方部が開放した状態の斜視図である。
図5】有底筒状体が満水状態である給液用具の外部案内部の上部及び側部上方部が開放した状態の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1] 本発明の実施の形態の例としての給液用具について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(1) 有底筒状体P
【0018】
液体貯留用の有底筒状体Pは、上方に開口する。
【0019】
有底筒状体Pは、全て不透明な合成樹脂製である。
【0020】
(2) 側部案内部G
【0021】
有底筒状体Pの側壁部P1の外方側に、側壁部P1に沿って下方部から上部にわたり、有底筒状体Pの内部との間を隔した状態で繊維製の給液用条体Sを案内し、下端部においてのみ有底筒状体Pの内部に通じる側部案内部Gを有する。この側部案内部Gは、外方に凹の溝状部の内方側が、透孔を有しない閉塞材により、前記溝状部の下端部を除き閉塞されて管路状に形成されたものである。
【0022】
給液用条体Sは、側部案内部Gにより案内されることにより、有底筒状体Pの内部との間を隔され、有底筒状体Pの内部の浮体Fと給液用条体Sが互いに影響を及ぼすこと(例えば浮体によって給液用条体が有底筒状体の下端部に達しなくなることや、給液用条体によって浮体が円滑に上下動し得なくなること)が防がれる。
【0023】
側部案内部Gに案内された給液用条体Sは、下方部から上部にわたり側部案内部Gに沿う状態が保持され得る。
【0024】
(3) 給液用条体S
【0025】
給液用条体Sは繊維製であり、有底筒状体Pの内部に貯留された水は、給液用条体Sを介して、毛管現象により、有底筒状体Pの上方部から外部へ供給され得る。
【0026】
(4) 有底筒状体Pの内部には、貯留される水の量の増減に応じて浮力により上下する猫の形態の浮体Fを備える。有底筒状体Pは全体が不透明であるため、有底筒状体Pに水を補給した際に猫の形態の浮体Fが上方へ浮き上がって姿を見せる。その際に、有底筒状体Pの側壁部P1の正面上端部に設けられている猫の手Rの形状に猫の形態の浮体Fが対応する。
【0027】
この浮体Fは、その下方部に錘を有することにより、有底筒状体P内の水に浮いた状態で頭部が上に位置するように姿勢が安定化する。
【0028】
(5) この給液用具は、側部案内部Gに案内された給液用条体Sを、側部案内部Gの上部から有底筒状体Pの外部に向かい、更に下方へ向かって案内する外部案内部Hを有する。側部案内部Gの上部は、外部案内部Hの内方端部に通じるが、有底筒状体Pに対しては閉塞している。
【0029】
外部案内部Hの上部及び側部上方部は、蓋状部材により閉塞した状態と開放した状態をとり得、給液用条体Sの取付や交換を容易に行い得るものとすることができるが、開放し得ないものとすることもできる。
【0030】
外部案内部Hのうち下方へ向かう部分は管状であり、その下端部H1は下方に向かって尖頭状をなし、植物栽培用の土壌又はその他の根生育部に刺し込まれ得る。
【0031】
外部案内部Hの下端部H1の側方に、根生育部に水を供給するための透孔部H2を有する。また外部案内部Hの下端部には、側方に向かって突起する板状の突起部H3(下方に向かって突起が縮小する)を、根生育部に刺し込んだ部分に対する傾斜や移動を防ぐために有する。
【0032】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0033】
本発明の給液用具は、液体貯留用の有底筒状体の側壁部に沿って側部案内部を有してなる。
【0034】
(1) 有底筒状体
【0035】
液体貯留用の有底筒状体は、上方に開口するもの又は例えば上部側方に開口するもの(例えば、有底筒状体の軸線方向上方には開口せず軸線方向に直交する側面に開口するもの)とすることができる。その有底筒状体は、例えば合成樹脂製とすることができるが、これに限るものではない。
【0036】
有底筒状体は、例えば、全て若しくは側壁部が不透明なもの、全て若しくは側壁部が透明(例えば無色透明)なもの又は半透明であるもの、全て若しくは側壁部が部分的に透明なもの又は半透明であるものとすることができる。
【0037】
(2) 側部案内部
【0038】
有底筒状体には、側壁部に沿って下方部から上部にわたり、有底筒状体の内部との間を隔した状態で繊維製の給液用条体を案内し、少なくとも下方部(下端部であることが好ましい)において有底筒状体の内部に通じる側部案内部を有する。
【0039】
給液用条体は、側部案内部により案内されることにより、有底筒状体の内部との間を隔され、有底筒状体の内部と給液用条体が互いに影響を及ぼすことが防がれる。
【0040】
側部案内部が側壁部に沿う状態としては、例えば、側壁部の外方側に位置する状態[この場合、有底筒状体の内部に影響を及ぼすことが効果的に防がれ得る。例えば外側に膨出した状態で側部案内部が設けられた場合である。]、側壁部の内方側に位置する状態[例えば内側に膨出した状態で側部案内部が設けられた場合である。]、又は中間的な状態[例えば側壁部の外側にも内側にもやや膨出した状態で側部案内部が設けられた場合、若しくは、側壁部内に側部案内部が形成された場合である。])を挙げることができるが、これらに限るものではない。 側部案内部は、下方部においてのみ有底筒状体の内部に通じる管路状とすることができるほか、下方部以外においても1又は2以上(多数であってもよい)の透孔により有底筒状体の内部に通じるものとすることもできる。
【0041】
側部案内部の具体例としては、外方に凹の溝状部の内方側が、透孔を有しない閉塞材により閉塞されて管路状に形成されたものや、外方に凹の溝状部の内方側が1又は2以上(或いは多数)の透孔を有する材料により覆われたものを挙げることができる。
【0042】
側部案内部に案内された給液用条体は、下方部から上部にわたり側部案内部に沿う状態を保持され得るものとすることができる(例えば、給液用条体が変形する余地が空間的にあまりない場合や、給液用条体のうち上部及び下方部等の部分が側部案内部等に対し保持されている場合を例として挙げることができる。)。この場合、給液用条体自体が変形して有底筒状体内の比較的に上方位置に留まることにより、有底筒状体内の液体のうち相当量が外部へ給液され難くなることが防がれ得る。
【0043】
(3) 給液用条体
【0044】
給液用条体は各種合成繊維や天然繊維等の繊維製であり、側部案内部によって、有底筒状体の内部との間を隔した状態で案内され、側部案内部の上部から有底筒状体の外部へ導出され得るものとすることができる。
【0045】
有底筒状体の内部に貯留された水、水系液体又はその他の液体は、給液用条体を介して、毛管現象により、有底筒状体の上方部から外部へ供給され得る。
【0046】
本発明の給液用具は、給液用条体を備えるものとすることができる。
【0047】
(4) 本発明の給液用具は、有底筒状体の内部に、前記有底筒状体内に貯留される液体の量の増減に応じて浮力により上下する浮体を備えたものとすることができる。有底筒状体の全て若しくは側壁部が不透明なものである場合、有底筒状体に液体を補給した際に浮体が上方へ浮き上がって初めて姿を見せるものとすることができ、有底筒状体の全て若しくは側壁部が透明なもの(又は半透明であるもの)である場合、或いは、有底筒状体の全て若しくは側壁部が部分的に透明なもの(又は半透明であるもの)である場合、有底筒状体に液体の減り具合が浮体の位置によって見える他、例えば、目盛やその他のデザインを施すことにより、減り具合を明確にしたり、浮体の位置に応じたメッセージを見るものに与えるものとすることができる。
【0048】
前記浮体は、その下方部の比重を他の部分よりも高いものとして、有底筒状体内の液体に浮いた状態の姿勢が安定化するものとすることができる。
【0049】
(5) 本発明の給液用具は、側部案内部の上部から有底筒状体の外部に向かって給液用条体を案内する外部案内部を有するものとすることができる。
【0050】
前記外部案内部は、管状であるものとすることができる。
【0051】
(6) 上記外部案内部は、側部案内部の上部から有底筒状体の外部に向かい、更に下方へ向かって給液用条体を案内するものとすることができる。
【0052】
前記外部案内部は、下方へ向かう部分が管状で、その下端部が植物栽培用の土壌又はその他の根生育部に刺し込まれ得るものとすることができ、当該下端部の側方に、土壌の粒子などによる目詰まりを防ぎつつ根生育部に水又は水系液体等を供給するための透孔部を有するものとすることができる。また、当該下端部には、側方に向かって突起する板状の突起部(例えば下方に向かって突起が縮小するもの)を、刺し込んだ根生育部に対し傾斜や移動を防ぐために有するものとすることができる。
【符号の説明】
【0053】
F 浮体
G 側部案内部
H 外部案内部
H1 下端部
H2 透孔部
H3 突起部
P 有底筒状体
P1 側壁部
R 猫の手
S 給液用条体
図1
図2
図3
図4
図5