(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068170
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】吊り構造と無人機吊りシステム
(51)【国際特許分類】
B66C 1/36 20060101AFI20240510BHJP
B66C 1/38 20060101ALI20240510BHJP
B66D 3/24 20060101ALI20240510BHJP
B66D 1/54 20060101ALI20240510BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240510BHJP
B64U 101/67 20230101ALN20240510BHJP
B64U 101/64 20230101ALN20240510BHJP
【FI】
B66C1/36 A
B66C1/38
B66D3/24
B66D1/54 Q
B64U10/13
B64U101:67
B64U101:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188087
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】111142192
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519033063
【氏名又は名称】中光電智能機器人股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】王 泰元
(72)【発明者】
【氏名】楊 易達
(72)【発明者】
【氏名】陳 英傑
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004CC01
3F004CD06
3F004DA02
(57)【要約】
【課題】無人機に適用される吊り構造であって、フック状本体と少なくとも1つのフック爪を含む。
【解決手段】フック状本体は底部、少なくとも1つの樞接端と当接部を有し、少なくとも1つの樞接端と当接部の間にフック口を有し、かつ、フック口は底部と対向する位置にある。また、少なくとも一つのフック爪は樞接部及び樞接部からそれぞれ延出する第1の爪部と第2の爪部を有する、樞接部は少なくとも一つの樞接端に樞接する。第2の爪部の重さは第1の爪部の重さより大きい。吊り構造が吊り状態にある場合、第1の爪部の第1の末端が当接部に当接して、フック口を閉鎖する。本発明はさらに前記吊り構造を含む無人機吊りシステムを提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人機に適用される吊り構造であって、
フック状本体と少なくとも1つのフック爪とを含み、
前記フック状本体は、底部、少なくとも1つの樞接端および当接部を有し、前記少なくとも1つの樞接端と前記当接部との間にフック口を有し、前記フック口は前記底部と対向する位置にあり、
前記少なくとも1つのフック爪は、樞接部、および前記樞接部からそれぞれ延出する第1の爪部と第2の爪部を有し、前記樞接部は前記少なくとも1つの樞接端に樞接され、前記第2の爪部の重さが前記第1の爪部の重さより大きく、
前記吊り構造が吊り状態にある時、前記第1の爪部の第1の末端は前記当接部に当接して、前記フック口を閉鎖する、吊り構造。
【請求項2】
前記第2の爪部は第2の末端を有し、
前記吊り構造が吊り状態にある時、前記第2の末端は前記底部の内側に位置する、請求項1に記載の吊り構造。
【請求項3】
前記少なくとも1つのフック爪の数は2つであり、前記少なくとも1つの樞接端の数は2つであり、かつ、2つの前記フック爪の2つの前記第2の末端は互いに向かって延伸して接続する、請求項2に記載の吊り構造。
【請求項4】
前記フック状本体の前記当接部の全体の幅は、吊り物のハンドルの開口より大きい、請求項2に記載の吊り構造。
【請求項5】
前記吊り構造がフック外し状態にある時、前記第1の爪部の前記第1の末端は前記当接部に当接せず、吊り物が前記フック口から前記吊り構造を離れるように構成された、請求項1に記載の吊り構造。
【請求項6】
無人機吊りシステムであって、
前記無人機吊りシステムは吊り構造と出し戻し装置とを含み、
前記吊り構造は、フック状本体と少なくとも1つのフック爪とを含み、
前記フック状本体は、底部、少なくとも1つの樞接端および当接部を有し、前記少なくとも1つの樞接端と前記当接部との間にフック口を有し、前記フック口は前記底部と対向する位置にあり、
前記少なくとも1つのフック爪は、樞接部、および前記樞接部からそれぞれ延出する第1の爪部と第2の爪部を有し、前記樞接部は前記少なくとも1つの樞接端に樞接され、前記第2の爪部の重さが前記第1の爪部の重さより大きく、
前記吊り構造が吊り状態にある時、前記第1の爪部の第1の末端が前記当接部に当接して、前記フック口を閉鎖し
前記出し戻し装置は、出し戻し機構および接続部材を含み、前記出し戻し機構は前記接続部材を出し戻しするように構成され、前記接続部材は前記フック状本体に接続される、無人機吊りシステム。
【請求項7】
前記第2の爪部は第2の末端を有し、
前記吊り構造が吊り状態にある時、前記第2の末端は前記底部の内側に位置する、請求項6に記載の無人機吊りシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフック爪の数は2つであり、前記少なくとも1つの樞接端の数は2つであり、かつ、2つの前記フック爪の2つの前記第2の末端は互いに向かって延伸して接続する、請求項7に記載の無人機吊りシステム。
【請求項9】
前記フック状本体の前記当接部の全体の幅は、吊り物のハンドルの開口よりも大きい、請求項7に記載の無人機吊りシステム。
【請求項10】
前記出し戻し装置はさらに、ハウジング、スイッチおよび落下防止機構を含み、
前記落下防止機構と前記出し戻し機構は前記ハウジングに配置され、
前記スイッチは前記ハウジングの前記吊り構造に面した側に配置され、かつ、前記出し戻し機構と前記落下防止機構を電気的に接続し、
前記出し戻し機構が前記接続部材を戻して、前記吊り構造が前記スイッチを触発した時、前記出し戻し機構は前記接続部材の戻しを停止し、かつ、前記落下防止機構は前記吊り構造の落下を阻止する、請求項6に記載の無人機吊りシステム。
【請求項11】
前記ハウジングの前記吊り構造に面する前記側に第1のガイド部が設置され、
前記フック状本体はさらに、前記第1のガイド部に対応する第2のガイド部を有し、前記第2のガイド部は前記当接部に隣接する、請求項10に記載の無人機吊りシステム。
【請求項12】
前記第1のガイド部は楕円凹部であり、前記第2のガイド部は楕円凸部である、請求項11に記載の無人機吊りシステム。
【請求項13】
前記落下防止機構は、落下防止部材と駆動部材を含み、
前記駆動部材は前記スイッチに電気的に接続され、かつ、前記落下防止部材を移動させるように構成された、請求項10に記載の無人機吊りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吊り構造(hanging structure)に関し、特に無人機に応用される吊り構造と無人機吊りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle、UAV)、略して無人機は、必要に応じて異なるツールを組み合わせて使用することが可能であるため、例えば、空中撮影、農薬散布、軍事的嫌がらせ、および救援物資の輸送などの多用途に応用されている。無人機で貨物を輸送する場合、一般的にフックを使って吊り物を吊り上げる方法が知られているが、従来のフックでは物を吊している時にフック口が開放され、閉じられないことがあるため、例えば貨物の積みと降ろしの際に、貨物が衝撃を受けて宙に浮いてしまうことが避けられず、吊り物が外れて落下する恐れがあり、また、無人機が貨物を降ろした後、吊り物がフックに再び引っ掛かる問題があった。
【0003】
この「背景技術」は、発明の理解を促すことのみを目的とし、「背景技術」が開示した内容には、当業者に既に知られている従来技術の構成ではないものが含まれている可能性もある。また、「従来技術」の開示内容は、当該内容または本発明の1つまたは複数の実施例が解決しようとする問題を示すものではなく、また、本発明の出願前に当業者に既に把握または認識されていたことを示すものでもない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、吊り上げる時にフック口が閉鎖状態を保ち、吊り物が外れ難くて、荷卸しの後に吊り物が再び引っ掛からない吊り構造を提供する。
【0005】
また、本発明は、無人機による配送時に吊り物がフックから外れ難くて、無人機が荷卸しの後フックを戻す時に吊り物が再び引っ掛からない無人機吊りシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の他の目的および利点は、本発明が開示する技術的特徴からさらに理解され得る。
【0007】
前記目的の1つ、一部または全部、並びにその他の目的を達成すべく、本発明は、フック状本体と少なくとも1つのフックとを含み、無人機に適用される吊り構造を提供する。フック状本体は底部、少なくとも1つの樞接端および当接部を有し、樞接端と当接部の間にフック口があり、フック口は底部と対向する位置にある。また、フック爪は、樞接部と、樞接部からそれぞれ延出する第1の爪部と第2の爪部とを有し、樞接部は樞接端に樞接される。第2の爪部の重さは第1の爪部の重さより大きい。吊り構造が吊り状態になると、第1の爪部の第1の末端が当接部に当接し、かつフック口を閉鎖する。本発明はさらに前記吊り構造を含む無人機吊りシステムを提供する。
【0008】
本発明の一実施例において、前記第2の爪部は第2の末端を有し、吊り構造が吊り状態の時に、第2の末端は底部の内側に位置する。
【0009】
本発明の一実施例において、前記フック爪の数は2つであり、樞接端の数は2つであり、2つのフック爪の2つの第2の末端は互いに向かって延伸して接続する。
【0010】
本発明の一実施例において、前記フック状本体の当接部の全体幅は、吊り物のハンドルの開口よりも大きい。
【0011】
本発明の一実施例において、前記吊り構造は、吊り構造がフック外し状態にある時に、第1の爪部の第1の末端が当接部に当接せず、吊り物がフック口から吊り構造を離れるように構成されている。
【0012】
本発明の一実施例において、前記無人機吊りシステムは前記吊り構造と出し戻し装置を含み、出し戻し装置は出し戻し機構と接続部材を含み、出し戻し機構は接続部材の出し元年を行うように構成され、接続部材はフック状本体に接続される。
【0013】
本発明の一実施例において、前記出し戻し装置はさらにハウジング、スイッチと落下防止機構を含む。落下防止機構と出し戻し機構はハウジングに配置され、スイッチはハウジングの吊り構造に面した側に配置され、かつ、出し戻し機構と落下防止機構を電気的に接続し、出し戻し機構が接続部材を戻して、吊り構造がスイッチを触発した時に、出し戻し機構は接続部材の戻しを停止し、かつ、落下防止機構は吊り構造の落下を阻止する。
【0014】
本発明の一実施例において、前記ハウジングの吊り構造に面した側に第1のガイド部が設けられ、フック状本体はさらに対応する第1のガイド部と第2のガイド部を有し、第2のガイド部は当接部に隣接する。
【0015】
本発明の一実施例において、前記第1のガイド部は楕円凹部であり、第2のガイド部は楕円凸部である。
【0016】
本発明の一実施例において、前記落下防止機構は落下防止部材と駆動部材を含み、駆動部材はスイッチに電気的に接続され、落下防止部材を移動させるように構成されている。
【0017】
本発明の実施例は、吊り上げる時にフック口が閉じたままになる吊り構造を採用することで、吊り物が外れ難く、かつ荷卸しの後に再び吊り物に引っ掛かることがない。本発明の実施例の無人機吊りシステムは前記吊り構造を採用することで、無人機で吊り物を配送する時にフック外れが起こり難く、かつ無人機が荷卸しの後に吊り物を戻す時に再び吊り物に引っ掛かることはない。
【0018】
本発明の上記及びその他の目的、特徴及び利点をより明確に理解できるよう、以下は好ましい実施例を挙げて、図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明の一実施例の吊り構造のある視角からの概略図である。
【
図1B】本発明の一実施例の吊り構造の異なる視角からの概略図である。
【
図2】本発明の一実施例の吊り構造のフック口が開けた時の概略図である。
【
図3】本発明の一実施例の吊り構造の吊り状態の概略図である。
【
図4】本発明の一実施例の吊り構造をフック離脱状態に切り換える概略図である。
【
図5】本発明の別の実施例の吊り構造の概略図である。
【
図6】本発明の別の実施例の吊り構造の概略図である。
【
図7A】本発明の一実施例の無人機吊りシステムのフック出し状態とフック戻し状態の概略図である。
【
図7B】本発明の一実施例の無人機吊りシステムのフック出し状態とフック戻し状態の概略図である。
【
図8】本発明の別の実施例による無人機吊りシステムの概略図である。
【
図9A】本発明の一実施例の無人機配送フローの概略図である
【
図9B】本発明の一実施例の無人機配送フローの概略図である
【
図9C】本発明の一実施例の無人機配送フローの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の前記およびその他の技術内容、特徴および効果について、以下は図面を参照して行う好ましい実施例の詳細な説明において明確に示すとする。以下の実施例で言及される方向用語、例えば、上、下、左、右、前または後などは、図面で参照される方向に限る。従って、これらの方向用語は説明目的に用いられるものであり、本発明を限定するものではない。
【0021】
図1Aと
図1Bはそれぞれ本発明の一実施例の吊り構造の異なる視角からの概略図である。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、本実施例の吊り構造10は無人機に適用されるものであり、吊り構造10はフック状本体100と少なくとも1つのフック爪200とを有し、フック状本体100は底部120、少なくとも1つの樞接端130、および当接部110を有する。樞接端130と当接部110との間にフック口140があり、かつ、フック口140と底部120は対向して設置されている。また、フック爪200は樞接部230と、樞接部230からそれぞれ延出する第1の爪部210および第2の爪部220とを有し、樞接部230は樞接端130に樞接される。前記第2の爪部220は第2の末端221を有する。本実施例において、フック爪200の数は例えば2つであり、樞接端130の数は例えば2つであり、2つのフック爪200の2つの第2の末端221は、例えば互いに向かって延伸して接続する。換言すれば、2つの第2の末端221は、互いと接続する接続部222を含む。ただし、本発明は、フック爪200の数、樞接端130の数がこれに限らず、また、隣接する複数の第2の末端221の間に接続部222を有するとも限らない。
【0022】
本実施例の第2の爪部220の重さは、第1の爪部210の重さより大きく、吊り構造10の吊り状態において、第1の爪部210の第1の末端211は当接部110に当接し、フック口140が閉鎖される。具体的には、第2の爪部220の重さは第1の爪部210の重さより大きく、吊り構造10が吊り状態になっている場合、第2の爪部220は重力の牽引によって下へ移動し、さらにフック爪200を動かしてフック状本体100に対し反時計回りに回転させると、第1の爪部210の第1の末端211が当接部110に当接し、かつ樞接端130と当接部110との間のフック口140が閉鎖される。換言すれば、吊り構造10が吊り状態、即ち吊り上げた時に、荷重の有無に関わらず、第2の爪部220は重力に牽引されて第1の末端211が当接部110に当接し、フック口140が閉じられる。フック爪200の第2の爪部220の重さは第1の爪部210より大きく、例えば、同じ材質であっても第2の爪部220の体積を第1の爪部210より大きくして、または、第2の爪部と第1の爪部210の材質と体積が同じであっても、第1の爪部210を中空にすることができるが、本発明はこれに限らない。
【0023】
図2は本発明の一実施例の吊り構造のフック口が開放された時の概略図である。
図2を参照すると、フック口140を開放したい場合、例えば、手動でフック爪200の第1の末端211を当接部110に対向する方向へ移動させ、フック爪200をフック状本体100に対し時計回りに回転させることで、第1の末端211を当接部110から離せる。フック口140が開放されると、フック口140およびフック状本体100に合わせた吊り物(図示せず)を吊り構造10に入れることができる。
【0024】
図3は本発明の一実施例の吊り構造の吊り状態の概略図である。
図3を参照すると、吊り構造10が吊り状態にある場合、第2の末端221は、例えば、底部120の内側に位置する。本実施例における内側とは、フック口140に対向する側である。さらに言うと、吊り構造10が吊り状態であって、かつ吊り物20が吊り構造10に入った時、吊り物20のハンドル22は、例えばフック状本体100の底部120の内側に当接し、吊り物20の重さがフック状本体100にかかる。一方、本実施例において、第2の末端221は底部120の内側に位置し、例えば、ハンドル22に隣接して底部120の内側に当接するが、ハンドル22に当接しない(即ち、第2の末端221は、ハンドル22と干渉しやすい位置にある)。本発明の別の実施例において、第2の末端221がハンドル22に当接してもよいが(即ち、ハンドル22と第2の末端221が干渉し合う)、本発明はこれに限定されない。なお、前記吊り物20は所定の重さ範囲内で貨物を乗せるのに適しており、貨物は例えば、貨物自体がフック口140およびフック状本体100に対応したハンドル22を備えたものであって、または、貨物を吊り物20の中に入れてもよいが、本発明は吊り物20が積載する重量と方法について特に限定しない。また、第1の末端211が当接部110に対向する方向へ僅かに移動した場合、即ち、フック口140が僅かに開いた場合、第2の末端221が底部120の内側に位置し、かつ、例えばハンドル22に隣接して底部120の内側に接するところで、第2の末端221を例えばハンドル22と干渉させて、さらに第1の末端211と当接部110との間の間隔を制限し、即ち、フック口140の開放する程度を限定して、フック口140が開放度合いによりハンドル22が通過できないようにして、吊り物20がフックから外れないようにする。本発明の第2の末端221がハンドル22に当接する別の実施例において、第1の末端211が当接部110に当接した時に、第2の末端221は例えば同時にハンドル22と干渉し、フック口140を開放できないようにする。ただし、本発明はこれに限定されない。
【0025】
図4は、本発明の一実施例の吊り構造をフック外し状態に切り変える概略図である。
図4を参照すると、吊り構造10のフック外し状態において、フック爪200の第1の爪部210の第1の末端211は当接部に当接せず、フック口140を通して吊り物20のハンドル22を吊り構造10から離せるようになっている。具体的には、吊り物20を有する吊り構造10が荷卸しを行う場合、吊り構造10の下方に位置する吊り物20が先に着地した後、吊り構造10は降下し続けるため、吊り物20のハンドル22は吊り構造10に対して上方へ移動し、即ち、ハンドル22は底部120の内側から当接部110に向う方向Yに移動する。ハンドル22は当接部110まで移動し、フック爪200の第1の爪部210の第1の末端211に当接すると、ハンドル22は第1の爪部210の第1の末端211を当接部110から離れる方向Xに移動させ、第1の末端211を当接部110に当接させないようにして、フック口140を開放する。ハンドル22を吊り構造10から外せる程フック口140が開放された時、吊り物20はフック口140を通って吊り構造から離れる。換言すれば、吊り構造10はフック外し状態になる。
【0026】
なお、本実施例の第2の爪部220の重さは第1の爪部210の重さより大きく、吊り物20のハンドル22がフック口140を通って吊り構造10から離れた時に、第2の爪部220は重力の牽引によって降下し、フック爪200がフック状本体100に対して反時計回りに回転し、第1の爪部210の第1の末端211が当接部110に当接して、樞接端130と当接部110との間のフック口140は閉じられる。従って、吊り構造10の荷卸しの後(即ち、吊り構造10と吊り物20が分離された後)、吊り構造10が例えば吊り物20に再び引っ掛かることは起きない。
【0027】
本発明の実施例は、吊り上げる時にフック口140が閉鎖状態を維持できる吊り構造を用いることで、吊り物20外れは起きにくく、かつ、荷卸しの後に再び吊り物に引っ掛かることは起きない。
【0028】
図5は、本発明の別の実施例の吊り構造の概略図である。
図5を参照すると、本実施例の吊り構造10aは、前記実施例の吊り構造10と類似しているが、主な相違点は、当接部110aの全体幅D1が大きくなっていることである。例えば、当接部110aの全体幅D1は、例えば、吊り物20のハンドル22の開口21よりも大きく、つまり、当接部110aの全体幅D1は、開口21によって形成される水平間隔D2よりも大きい。吊り物20がフック口140 (
図4に示す)から吊り構造10aを離れ、吊り構造10aがフック外し状態になった時、ハンドル22の開口21は当接部110aを通過できず、即ち、吊り物20は当接部110aに面して離れる方向でしかフック口140を離れることができないため、フック外しの時の吊り物20の移動方向をさらに制限できる。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0029】
図6は、本発明の別の実施例の吊り構造の概略図である。
図6を参照すると、本発明の別の実施例において、吊り構造10bのフック状本体100bの当接部110bの底部120から離れた側にガイド構造、例えば楕円凸部を設けることができる。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0030】
図7Aと
図7Bはそれぞれ本発明の一実施例の無人機吊りシステムのフック出し状態とフック戻し状態の概略図である。まず、
図7Aを参照すると、本実施例の無人機吊りシステム1は前記吊り構造10と出し戻し装置30とを備え、前記出し戻し装置30は出し戻し機構300と接続部材301とを備え、出し戻し機構300は接続部材301を出し戻しするように構成され、接続部材301はフック状本体100に接続されている。具体的には、出し戻し装置30は、例えば、無人機の腹部位置(胴中心)に配置される。出し戻し機構300を有する出し戻し装置30は、接続部材301を介して例えば
図1のフック状本体100に接続され、即ち、出し戻し機構300は接続部材301を出し戻しすることで、出し戻し装置30と吊り構造10との間の距離を調整する。前記フック状本体100を接続する接続部材301は、例えばロープである。本実施例の吊り構造10は、前記のその他の実施例の吊り構造、例えば、吊り構造10aまたは10bに置き換えることもできる。
【0031】
次に、
図7Bを参照すると、前記出し戻し装置30は、さらに、ハウジング310、スイッチ320と落下防止機構321を備えている。落下防止機構321と出し戻し機構300はハウジング310に配置され、スイッチ320はハウジングの吊り構造10に面した側に配置され、かつ、出し戻し機構300と落下防止機構321とを電気的に接続する。出し戻し機構300が接続部材301を戻す過程で、第1の爪部210の第1の末端211が当接部110に当接した状態を維持するので、吊り物20が衝撃を受けて吊り物20のハンドル22が一時的に宙浮きになったとしても、ハンドル22が外れて吊り物20が落下することはない。出し戻し機構300が接続部材301を戻して、吊り構造10によってスイッチ320が触発されると、出し戻し機構300は接続部材301を戻すことを停止し、かつ落下防止機構321は吊り構造10の落下を阻止する。これと同時に、ハウジング310の周りもまた第1の爪部210の開放を制限する役割を果たし、これによってフック外れの問題の発生を避ける。落下防止機構321は落下防止部材323と駆動部材322を含み、駆動部材322はスイッチ320に電気的に接続され、落下防止部材323を移動させるように構成されている。例えば、出し戻し機構300が接続部材301を戻して、ハウジング310に配置されたスイッチ320が吊り構造10に触発された時、スイッチ320が提供する信号は直接または間接的に出し戻し機構300まで伝達され、出し戻し機構300が接続部材301を戻すことを停止させ、これにより、吊り構造10が出し戻し装置30へ移動し続けてハウジング310に衝突することを避ける。同時に、スイッチ320が提供する信号は直接または間接的に落下防止機構321まで伝達され、落下防止機構321の駆動部材322が落下防止部材323をフック状本体100方向に移動させることで、吊り構造10と出し戻し装置30の相対位置が固定され、吊り構造10の落下を防止する。前記駆動部材322は、例えばステッピングモータであるが、本発明はこれに限定されない。上記スイッチ320は、例えばプッシュスイッチであるが、センシングスイッチ(例えば、圧力感知スイッチ、距離感知スイッチ)等であってもよいが、本発明はスイッチの種類を特に限定するものではない。
【0032】
図8本発明の別の実施例の無人機吊りシステムの概略図である。
図8を参照すると、本発明の別の実施例において、無人機吊りシステム1cのハウジング310cの吊り構造10cに面した側に第1のガイド部cが設けられ、フック状本体100cは、第1のガイド部311に対応する第2のガイド部111をさらに有し、第2のガイド部111は当接部110に隣接する。また、前記第1のガイド部311は、例えば楕円凹部であり、第2のガイド部111は、例えば楕円凸部である。本実施例において、第1のガイド部311と、第1のガイド部311に対応する第2のガイド部111の構造設計は、出し戻し機構300が吊り構造10cを第1のガイド部311に戻す時に、吊り構造10cの第2のガイド部111の位置決めをガイドするのに有用であり、このようにして、落下防止機構321が所定の設計通り吊り構造10cの落下を阻止することを確保できる。本発明の別の実施例では、対応する第1のガイド部311と第2のガイド部111は、その他の構成に設計されてもよく本発明は特に限定されない。
【0033】
図9A~
図9Cは本発明の一実施例の無人機配送の流れの概略図である。まず、
図9Aを参照すると、無人機400は、
図8の無人機吊りシステム1cを有し、無人機吊りシステム1cの出し戻し装置30cは、例えば、無人機400の腹部位置に配置されているが、本発明はこれに限定されない。無人機吊りシステム1cに吊り物20が吊り下げられ、かつ、吊り構造10cが例えば出し戻し装置30cに対し固定されている状態で、無人機400が地上を飛行して目標地点へ移行し、目標地点が例えば荷卸し地点500の真上にあるとする。次に、
図9Bを参照すると、目標地点まで移動すると、無人機400は、例えば空中に停留し、例えば遠隔操作によって出し戻し装置30cに接続部材301を放出させ、吊り構造10cと吊り物20を下方に向かせて荷卸し地点500へ移動させる。最後に、
図9Cを参照すると、吊り物20が荷卸し地点500に置かれ、吊り物20が吊り構造10cから切り離された後、無人機400の出し戻し装置30cは、例えば吊り構造10cの荷重量の減少を自動的に検出し、出し戻し装置30cを駆動して接続部材301(
図9Bに示す)を自動的に引き戻すが、本発明はこれに限定されず、本発明の別の実施例において、出し戻し装置30cは、例えば遠隔操作によって接続部材301を戻すことができる。接続部材301を引き戻す時に、無人機400は空中停留の状態を維持し、換言すれば、無人機400は荷卸し地点500の地上を飛行し、かつ、接続部材301を引き戻すことを完成し、かつ、吊り構造10cと例えば出し戻し装置30cとの相対位置を固定する。
【0034】
本発明の実施例の無人機吊りシステム1は前記吊り構造10を採用するため、無人機で吊り物20を配送する時にフック外れ起り難く、かつ、無人機が荷卸しの後にフックを戻す時に再び吊り物に引っ掛かることがなく、吊り物が吊り構造から離脱しにくい問題を解決できる。
【0035】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施範囲はこれに限定されるものではなく、即ち、本発明の特許請求の範囲および発明内容を基に行われた簡単かつ等価的な変更および修飾は本発明の範囲内に属する。さらに、本発明のいずれかの実施例または請求項は、必ずしも本発明が開示するすべての目的または利点並びに特徴を達成する必要はない。また、要約書及び発明名称は、特許文献の検索にのみ使用されるものであり、本発明の権利範囲を限定するものではない。さらに、本明細書または特許請求の範囲で言及される「第1」、「第2」などの用語は、要素(element)の名称を示し、または異なる実施例および範囲を区別することに使用され、要素の数の上限または下限を限定するものではない。
【符号の説明】
【0036】
1、1c 無人機吊りシステム
10、10a、10b、10c 吊り構造
100、100a、100b、100c フック状本体
110、110a、110b 当接部
111 第2のガイド部
120 底部
130 樞接端
140 フック口
200 フック爪
210 第1の爪部
211 第1の末端
220 第2の爪部
221 第2の末端
222 接続部
230 樞接部
20 吊り物
21 開口
22 ハンドル
30、30c 出し戻し装置
300 出し戻し機構
301 接続部材
310、310c ハウジング
311 第1のガイド部
320 スイッチ
321 落下防止機構
322 駆動部材
323 落下防止部材
400 無人機
500 荷卸し地点
D1 幅
D2 水平間隔
X、Y 方向